カテゴリー
未分類

2022年12月下旬

12月20日 火曜日 日に日に寒くなるのか …

 今朝は7時間の睡眠で6時過ぎに目覚めて、蕎麦屋に出掛けるのでした。公園の森から朝日が昇る時間で、残月がまだ暗い空の部分に輝いていました。今日も雲ひとつなく晴れる様子で、放射冷却で地上は昨日の朝よりも更に冷えてくるのです。蕎麦屋に着いて向かいの畑を眺めれば、真っ白な霜が一面に降りているのでした。エアコンのスイッチを入れたら、厨房に入ってまずは昨日の洗い物を片付ける。珈琲を入れて飲みながら、今日一日の段取りを考える。

 3㍑の鍋に出汁取りの昆布と干し椎茸を入れて、午後の出汁取りの準備をしておく。今朝は地域の子ども会の段ボールと新聞の回収があるので、奥の座敷から束ねておいた段ボールを車に積み、新聞の袋も口を結わいて車に積み込むのでした。そして、女将が家の居間のカーテンを洗濯をしてくれると言うから、庭木を剪定して蕎麦屋に置いたままの背の高い脚立を積み込んで家に戻るのです。家に戻れば7時過ぎで、女将が昼食の支度をしているところでした。

 好きなしゃけ粥もさすがに三日続くと飽きてくる。それでもしっかりと汁まで啜って身体を温め、今朝は食後のひと眠りもせずに、着替えたらお袋様に電話をかけるのです。家から車で5分もかからないのに、彼女はもう階段の下で亭主を待っていた。「寒いねぇ」と言いながら車に乗り込み、農産物直売所に向かうのでした。今日も新鮮な野菜が並んでいたから、大根やトマト、キャベツ、白菜、里芋など、買えるものはもらっていくのです。

 いつも沢山の野菜を買うからか、レジの小母さんが「なんか商売でもやっているの?」と言うものだから「蕎麦屋をやってます」と応える亭主。場所を聞かれて説明をすれば「今度食べに行ってみるよ」と言うから、定休日だけ伝えておくのでした。隣町のスーパーにも出掛けたけれど、寒いからか今日は駐車場がやけに空いていたのです。一通り欲しい物を手に入れて、後は女将に頼まれた食材とトイレットペーパーやティッシュペーパーを車に積み込む。

 野菜類を片付けて、白菜と大根を塩漬けにしたら、家に戻って荷物を降ろす。ちょうど女将が買い物から帰ってきたから、ガレージからの階段を上り下りして玄関まで三往復。昼は野菜サラダの残り物を消化するために、女将がタンメンが暖まると言ったから、一昨日の分の野菜サラダ二皿分に肉を加えて亭主が汁を作り、先日の夜に作った餃子を焼いて、無事に昼飯を食べる。満腹になった亭主は書斎に入り、女将のスポーツクラブの予約の時間までひと眠り。

 30分ほど眠ったら、居間の部屋でテレビの映画を観ながら、予約の時刻を待つのです。スムーズに予約が出来て、テレビの続きを見終えたら「行って来ま~す」と稽古場の女将に声を掛けて蕎麦屋に出掛ける。午後の仕込みは出汁取りです。先週はお客が少なかったから、まだ十分にあったのだけれど、週の途中で出汁を取る時間が勿体ないから、蕎麦汁は蕎麦徳利にすべて詰めて、残った分は鍋のまま冷蔵庫に入れておく。天つゆも別鍋で作って保存する。

 夜は先週までに残ったキャベツを消化するために、女将の提案で先日食べたばかりのちゃんこ鍋。亭主は今日買って帰った鶏の手羽元を塩で焼いてもらって焼酎を飲む。ちゃんこ鍋は最後にうどんを入れるから、どうしても腹に溜まるのです。昼も夜もしっかりと食べたから、風呂の時間に体重を量ったら、案の定、80kgを少しオーバーしていました。定休日の食事は要注意なのです。今日は午後に南の庭のタラの木も剪定したのに、動く量が少なかったのかな。

12月21日 水曜日 今日も恙なく暮れて …

 夕べは10時過ぎには床に就いたのに、明け方に寒さで目が覚めて居間のストーブで暖まり、また眠ったらもう7時なのでした。天気予報とは裏腹に、朝は青空も覗いて陽も差していたから、女将が居間のカーテンを洗うと言っていたので、食後に蕎麦屋から持ち帰った背の高い脚立を立てて、亭主はカーテンを外すのでした。居間は亭主が喫煙をするスペースなので、カーテンの汚れは尋常でないと言う。だから洗ってもらえるだけでも有り難いのです。

 9時過ぎに家を出て蕎麦屋に向かえば、明け方ほどは寒くないから不思議。それでも蕎麦屋の厨房は8℃と冷たいので、エアコンの暖房を入れて、二つの大釜に水を汲んで湯も沸かしておきました。気になっていた塩漬けにしておいたなた漬けの大根と白菜は、どちらも水が上がっていたから、なた漬けの大根は容器を小さな物に移し替えて、甘酒の素と柚子と唐辛子を入れて付け直す。白菜も冷蔵庫に入る容器に移して塩と柚子と唐辛子を入れて漬け直すのです。

 ひと休みしたら、今度は筑前煮の下ごしらえに取りかかるのでした。蓮根の皮を剥いて酢水で茹でたら、里芋を六方に剥いて茹で、牛蒡を乱切りにして下茹でをしてから、他の根菜類を切ってから、鶏肉をごま油で炒めて、一気にすべての根菜を中華鍋に入れるのです。一通り油が回ったら、二番出汁を入れて煮込み、出汁醤油と砂糖を加えて味つけをします。今週はなた漬けと白菜のお新香と筑前煮があるので、小鉢は三種類と年末だからと頑張ったのです。

 約束の時間の11時半には家に戻り、女将の希望で今日は昼にお好み焼きを亭主が作る。「冷蔵庫の中が綺麗になくなったわ」と嬉しそうに言うから、いつも蕎麦屋の残り物ばかりで申し訳ないと亭主は頭を下げる。月曜日に残った野菜サラダの三皿分も、お好み焼きにすると三人分の野菜が、綺麗に食べられるから不思議なのです。食後は昔懐かしいジャンポール・ベルモントの映画を観ながら、女将のスポーツクラブのヨガの予約をし終えたらひと眠りです。

 午後も天気予報とは違って薄陽が差していたから、レースのカーテンを洗って干した女将の判断は正しかったのです。女将が帰って入れ替わりに、亭主は蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをする。今日は今年最後の夜の防犯パトロールかがあるので、あまり沢山の仕事は出来ないから、天麩羅の具材を切り分けて、午前中に使った鍋やボールを片付けるだけ。まな板を消毒したら、布巾類を洗濯して家に戻るのでした。レースのカーテンを掛けるのも亭主の仕事。

12月22日 木曜日 朝から冷たい雨の降る日は …

 昨日の天気予報の通りに朝から冷たい雨が降っていました。まだ暗いうちに蕎麦屋に出掛けて、今日の小鉢を盛り付けておいた。霜が降りて美味しくなった白菜の漬け物はこの冬初めての一品。根野菜の筑前煮も大根のなた漬けも亭では冬の定番です。折角、賑やかに小鉢を盛り付けたけれど、この天気ではどれだけお客が来るのだろうと、ちょっと前向きにはなれない気分で家に戻るのでした。7時を過ぎたというのに、外は薄暗いのです。

 朝食を終えたら朝ドラの終わるのを待って再び蕎麦屋に向かう。雨脚が強くなってきたので、今朝は車で出勤です。ゴミ出しに行く女将が傘を差して通りに出ていた。ガレージまでの階段でもうずぶ濡れになりそうなのでした。いつもより早くに店に着いたから、早朝に重曹とお湯をかけておいたレンジ周りを綺麗に掃除。この間、グリルは同じように掃除をしたばかり。10年も使うとやはり汚れが酷くなっているのです。グリル周りの汚れをあと少し落としたい。

 店の中は早朝から暖房を入れておいたので、蕎麦打ち室も15℃になっていました。昼前からは晴れると言う予報だったけれど、どうもまた天気がずれ込んで行く様子だったから、少し多めに打とうかと思っていた蕎麦もいつも通りの750g八人分に変更。果たして昼を過ぎても雨は止まないのでした。金柑大福も解凍してある白餡が足りずに三皿だけ、野菜サラダはいつもの通り三皿用意したのです。暖簾を出せば、近所の常連さんが傘を差して歩いていらっした。

 いつものように瓶生のビールを頼まれて、「カレー蕎麦が美味いから今日は大盛りでお願いします」と言う。付け出しと野菜サラダを出してビールを飲んでいる間に、カレーの汁を解凍してとろみを付けてお出しする。何を話すのでもないけれど、満足そうに大きな器の汁をすべて飲み干して、また傘を差して帰って行かれた。洗い物を済ませた頃に、隣町の常連さんが来て、辛味大根とキノコ付け蕎麦のご注文。こちらはよく話をするお客だから退屈しない。

 やっと雨の止んだ1時前に女将が来てくれて、亭主も奥の座敷で一休み出来たのです。厨房に戻っても件のお客は、女将を相手にまだ話をしている。「キノコ蕎麦が美味しいから明日も来ようかな」と言ってやっとお帰りになって、亭主も賄い蕎麦を茹でてぶっかけで食べておく。この寒さではもうお客は来ないかと思っていたら、ご夫婦のお客がいらっして温かい汁のぶっかけ蕎麦を注文なさる。野菜の天麩羅を揚げて蕎麦を茹でたら、もう閉店の時間だった。

 雨の上がった夕刻は、女将が買い物に出掛けて、夜のご飯はポークステーキにすることになる。野菜サラダが二人分残ったので、亭主も同じ事を考えていたから不思議なものです。ところが、夕食の前に業者が年末の食材を届けに来るから、亭主はまた蕎麦屋に出掛けて行く。配達する若者はまだ慣れないらしく、到着する時間が遅い。「あと5分で着きます」と電話が入ったのが6時前。亭主は昼の洗い物を片付けて、珈琲を入れる用意をして待つのでした。

12月23日 金曜日 晴れてとても風の強い一日でした …


 夕べの夜から送電線が風でゴーゴーと音を立てていたのです。朝起きてもまだ風は強く、結局、この風は夕方まで止まなかった。蕎麦屋に出掛けるときも、門を出てたら雪駄では寒いと気が付いて、ウォーキングシューズに履き替えに玄関に戻り、手袋までして家を出たのでした。郵便受けから新聞を取り出して、一面の見出しだけ見たら、もう店の中に入る。室温は8℃。急いで暖房を入れて、大釜に水を張り、火を点けるのです。

 今朝も750g八人分の蕎麦を打ち、身体が熱くなってきたので暖房の温度と風量を下げる。それでもまだ15℃にしかなっていなかったのです。いつもと同じ44%強の加水だったけれど、昨日は四辺の端がひび割れたので、今朝は丁寧に時間をかけて捏ねたら、伸す時になめらかな四辺になったのです。ちょっと手を抜くと何処かにひずみが現れるもの。天つゆや小鉢の煮物などもその都度味見をするけれど、見えないところに油断はついて回るから、要注意なのです。

 10時前に蕎麦打ちを終えて、少し時間が合ったから、大鍋を取り出して小松菜を茹でておく。鍋焼きうどんや鴨南蛮蕎麦などに、小松菜の綠は欠かせないのです。少し硬めに茹でて切り分けたら、一回使う分ずつラップでくるんで半分は急速冷凍庫に入れる。あまり長い間冷凍すると、解凍するのが大変だから、古くなったら家に持ち帰って味噌汁の具材になるのです。天麩羅鍋の奥の火口でブロッコリーとアスパラを茹でようとしたら、鍋の湯をこぼしてしまう。

 取っ手に自分の手が引っかかったのです。沸騰する直前だったから熱いお湯が足元までこぼれた。厚手の靴下を履いていたので、何とか無事でしたが、身体と意識のずれは最近時々感じることです。時間通りに野菜サラダを刻んで開店の準備は進む。昼を過ぎたら、急にお客がやって来て、駐車場がすぐに満杯になった。若い職人風の人たちは、天麩羅蕎麦と温かい汁のぶっかけの大盛りで、すぐに後からいらっした常連さんは、いつものヘルシーランチセット。

 外は相当に寒いらしい。出た盆や皿の洗い物をするついでに、鍋焼きうどんの鍋を洗っておきました。1時を過ぎたらもうお客はなく、暇になった亭主は、南瓜をスライスして天麩羅の具材を準備して、自分もかき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べておきました。空はこんなに青いのに、冷たく強い風は収まらず、明日の天気が気になるところ。お客がゼロではない平日が続いてはいるけれど、週末はもう少しお客が欲しいのです。今年もあと一週間あまりでお終い。



12月24日 土曜日 今日はクリスマス・イヴだけれど …



 まだ暗い6時に家を出て蕎麦屋に向かう。昨日ほど風は強くなかったけれど、やはり寒い朝なのでした。店の暖房を入れ、二つの大釜に火を入れて、昨日の洗い物を片付けたら、今朝は残り少なくなったカレーを仕込むのが仕事。鍋に油を引いて具材を炒めたら、水を入れて煮るだけだからわけはない。野菜に火が通ったらルーを入れて弱火でぐつぐつと更に煮込む。隣の火口では今日の分の暖かい蕎麦の汁を作っておきました。6時40分になっても陽は昇らない。

 昼の時間が一番短い冬至が終わったら、少しは日の出も早くなるかと思ったけれど、逆にまだ少しずつ日の出は遅くなって行くらしい。レンジの火を止め、鍋はそのままにして家に戻れば、今朝は昨日の鶏鍋の残りにご飯を入れてお粥。身体が温まるからちょうど好いのです。二人だけだと鶏鍋も一回では食べきれないのが悲しい。食事を終えてお茶をもらったら、今朝はひと眠りをしないでテレビでまた映画を観ている亭主。ストーブから離れられないのです。

 朝ドラの最中に洗面と着替えを済ませて、朝ドラが終わる時間に「行って来ま~す」と玄関を出る。手袋はしていたけれど、毛糸の帽子を被るほどの寒さではない。これから年が明けたら、もっと寒くなるだろうから、少しは寒さにも慣れていかなければ。蕎麦屋に着いたら看板を出し、幟を立てチェーンポールを降ろす。晴れて青空が気持ちが好いのですが風は冷たい。厨房に入って、まずは冷めたカレーの鍋からカレーをジブロックに分けて入れる。

 蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打てば、昨日と同じ加水率でしっとりとした蕎麦が出来上がる。切りべら26本で135g前後の束が八つ取れた。昨日残った蕎麦と合わせて15食の用意。コロナ禍ではちょっと多すぎるけれど明日の朝に二回打つよりはこの方が好いのです。今日はカレーを作った分、少し時間が押している。金柑大福も包まなければならないからと気持ちが焦るけれど、週末は女将が手伝いに来てくれるので、ちょっと安心しているのでした。

 薬味の葱を刻んで、大根を擦りおろし、生姜を擦ったら、早速、野菜サラダの具材を刻み始めて、出来上がったら金柑大福を四皿包むのです。時計との睨めっこで、湯も沸いていたから暖簾をまず先に出しておきました。隣の調理台では女将が小鉢を盛り付けてくれていた。亭主は白菜のお新香を取りだして、切り分けて盛り付けるのです。全部で11鉢用意したけれど、これは来てくれれば好いという希望の数なのでした。外は快晴なのに歩く人の姿はないのです。

 それでも昼過ぎに、近くから歩いていらっした親父様が一人で、カウンターに座ってぶっかけ蕎麦の温かい汁をご注文。天麩羅を揚げて蕎麦を茹でたら、椀を温めていたお湯で蕎麦を温めてから、熱い汁を掛けて天麩羅を載せる。薬味は大根おろしと生姜と葱で、女将が「お好みでお使い下さい」と言って席に運んでいた。続けて駐車場に車が入って、ご夫婦でいらっしたのにカウンターに座る最近の常連さん。キノコつけ蕎麦が美味しいからと二人で頼まれる。

 1時を過ぎたから今日はこれで終わりかと思っていたら、見覚えのある黒い車が入って、背広姿の隣町の常連さんがいらっしゃる。せいろ蕎麦の大盛りと辛味大根のご注文で、今日初めての冷たい蕎麦。「こんな寒い日に、よほどお蕎麦が好きなのね」とは女将の言葉。わざわざ寄り道をして来て下さるだけでも有り難いのです。亭主はやっとかき揚げを揚げて、ぶっかけで賄い蕎麦を食べるのでした。帰り道、午後2時半の太陽は低く、陽射しも朝より弱かった。



12月25日 日曜日 今日も寒い日なのにお客が …


 午前6時に家を出て蕎麦屋に着いたらまずは暖房を入れる。二つの大釜に水を張って火を点けるのでした。寒さに少し慣れたのか、室温7℃でも耐えられない寒さではない。今週はキノコつけ蕎麦が随分と出たので、蕎麦汁にキノコを加えてまたキノコ汁を作っておく。沸かしてしまうと味が落ちるから、家から持って来た鶏肉を二番出汁で茹でたら、冷凍してあるキノコを入れて鍋を温めるだけ。6時40分を過ぎたらそろそろ日の出だから、外に出て写真を撮る。

 前の畑はうっすらと霜が降りている様子。家に戻って朝食を食べたら、今朝は書斎に入って少し横になる。眠ったのかどうか分からないけれど、じっとしていると寒いから床の中で休むのです。日曜日で朝ドラもないのに、いつもと同じ時間で身体は動くから不思議なのです。洗面と着替えを済ませたら、女将に声を掛けて蕎麦屋に向かいます。手袋を付けなくても今朝は寒くないから、昨日よりは暖かいのかも知れない。陽射しが背中から身体を暖めてくれる。

 蕎麦屋につて朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。早朝に暖房を入れたままにしておいたので、蕎麦打ち室も16℃になっていた。昨日の蕎麦が思ったよりも残っていたから、今朝は500g五人分だけ打っておきました。この蕎麦の数の調整は、その日の天候や気温によってお客の数が変わるから、慎重に判断しなければいけない。沢山打ち過ぎると残る蕎麦多くなるので、消化しきれなくなるからです。今日は昨日よりも暖かくなりそうです。

 10時過ぎに蕎麦打ち室を出て、金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻んで、開店の準備を着々と進める亭主。11時を過ぎた頃に、いきなり玄関の扉が開いて、「こんにちは」と向かいの畑の向こう側に住む常連の小母さんが顔を見せる。11時半に女性四人で来るけれど大丈夫かと言うのです。どうも今日はお客さんらしい。予約は出来ないけれど早くいらっしゃれば大丈夫と応えて、女将には奥のテーブルに箸やおしぼりをセットしてもらうのでした。

 バス通りを若い女性たちが歩いて来るのが見えた。暖簾を出して到着するのを待つ夫婦。遅れて小母さんもやって来て、天せいろを四つご注文なのでした。ところが、小母さんよりも少し早く、いつも来るカレーうどんの小父さんご夫婦がいらっしたから、急に忙しくなるのでした。天麩羅を揚げながらカレーの汁を作り、女将は盆をセットしてキノコ汁を暖める。カレーうどんとキノコ蕎麦のご夫婦は、いつものように金柑大福と串焼きのご注文だから大変。

 全ての注文を出し終える頃に、また車が駐車場に入って、若いご夫婦がカウンターに座るのでした。キノコつけ蕎麦と鴨せいろの大盛りを頼まれるから、厨房の亭主と女将は休む暇もない。テーブル席とカウンターとで金柑大福を頼まれたから、こちらは仲良く分けて頂いてお出しする。野菜サラダもすべて出尽くしたのでした。若い女性たちはさすがに賑やかで、テーブル席のご夫婦は食べ終えたらすぐにお帰りになる。カウンターに蕎麦を出し終えたら1時。

 これで今日は終わりかと思っていたら、休む間もなくまだお客がご来店。食べ終えたテーブルやカウンターの盆や皿は、カウンターの上に下げて女将がテーブルを拭いて回る。久し振りに10人を越えたお客で忙しいけれど嬉しかった。蕎麦は沢山用意したので正解。若い女性の一人客はテーブル席に座って天麩羅が食べたいとぶっかけ蕎麦を頼まれる。一日10㎞は歩いていると冷たい汁でご注文なのでした。と、今週二度目の隣町の常連さんもいらっしゃる。

 時間が遅かったから、最後のお二人が帰ったらもう閉店の時間なのでした。亭主は昼を食べる間もなく、カウンターに並んだ盆や皿を洗い続ける。外の気温は10℃までしか上がらなかったのに、去年に比べても今日は随分お客が入ったのです。それにしてもキノコつけ蕎麦が随分と出て、朝に仕込んだキノコ汁がもう一人分詩か残っていない。皆さん汁まで綺麗に飲み干して帰られるから嬉しい。夜は鴨肉の残りを持ち帰って、久し振り鴨鍋にしてもらった。



12月26日 月曜日 晴れても風の冷たい一日でした …



 今朝も青空が広がる好い天気でした。朝のうちは風もなく、手袋をする寒さではなかったので、毛糸の帽子だけ被って蕎麦に出掛ける。店の中は7℃だったけれど、暖房を入れただけで、大釜に水を張っても火は点けなかったのです。やはり、少しは寒さに慣れてきたのかも知れない。幟を立ててチェーンポールを降ろしたら、玄関脇にメニューの看板を出す。厨房に入って小鉢を盛り付けるのだけれど、今日はあまりお客が来ない予感がする。

 蕎麦打ち室はやっと10℃になっていた。例年の冬は蕎麦打ち室が10℃になったら、蕎麦を打ち始めることにしていたのを思い出す。昨日の蕎麦が4束半だけ生舟に残っていたので、今朝はまた500g五人分だけ打つことにしました。加水率は44%で、いつも通りのしっとりとした生地に仕上がり、包丁切りも綺麗にそろって、五束半の蕎麦が取れました。上手く畳むと最後まで蕎麦が取れるから、昨日の半束と合わせて、今日の賄い蕎麦にしようと決める。

 今朝はゆっくりと眠ったので、朝飯前のひと仕事に来なかった。そのせいで結構仕事があったから忙しい。蕎麦玉を寝かせる間に大根をおろして、蕎麦を打ち終えたらすぐに天麩羅の具材を切り分けておく。野菜サラダの具材を刻んで、金柑大福まで包まなければならないから、時間は相当に押しているのです。それでも、その忙しさが楽しく感じるもの。テーブルをアルコール消毒液で拭いて、ぴったり11時半には暖簾を出せたから、自分でも驚いた。

 急いで開店の準備をしても、風が強くなったからこの寒さではお客は来ない。と、思っていたらバス通りを例の少年が歩いて来るのが見える。「いらっしゃい」と言って亭主は盆と蕎麦皿をセットして、海老の天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる。カウンターの席に運んだら、カルピスとお菓子を持って少年のところに持って行くのです。「今日は朝から何も食べていない」と言うから事情を聞けば、お婆さんがまた入院したらしい。いつになく喋ったので好かったかな。

 少年が帰ってしばらくはまた亭主一人。バス通りと店の駐車場がよく見えるカウンターの隅の椅子に座って、時の過ぎるのをじっと待っている。いつもの時間になって勢いよく駐車場に入ってくる車は、昨日来たばかりの隣町の常連さん。「今日は鍋焼きうどんを食べる」と昨日言ったからやって来たのだとか。そうでもなければこの寒さの中を何処にも出ないで家に居るのだ言う。寒くてゴルフもしたくないし、テレビを観ながら蜜柑ばかり食べているらしい。

 昔で言う「高等遊民」を地で行くような人だから、面白いテレビ番組がないとこぼしていた。帰りがけに「良いお年を」と亭主が言えば、「まだ今年はあと二回ほど来ますよ」と言うのでした。今年の営業日はあと三日なのに、大晦日はとろろ蕎麦と決めているらしいのです。後のお客が続きそうにないから、亭主も賄い蕎麦を茹でて山葵とおろしを添えて美味しく食べる。あちこちで蕎麦を食べているらしい彼の言うように、やはり亭の蕎麦は美味しい。

 

カテゴリー
未分類

2022年12月中旬

12月13日 火曜日 冷たい雨の降る朝でした …

 定休日だと言うのに朝の5時前から目が覚めて、早朝のニュースを見終え、冷たい雨の降る中を蕎麦屋に出掛ける亭主。昨日の洗い物を片付けて、出汁取りの昆布と干し椎茸を鍋に浸したら、白餡造りを始めるのでした。以前は、一晩水に浸けて湯がいた大手亡豆の皮を剥き、濾していたけれど、同じ値段で手に入る冷凍白餡なら、時間と手間が省けるから、最近はスーパーで袋に入って凍ったものを買い求めてくるのです。水と氷糖蜜とで解凍して煮詰めていく。

 煮詰めきるまでに時間がかかるから、今朝も途中で止めて家に帰るのでした。コンビニに寄り、煙草と夜の酒のつまみを買って、7時過ぎには食卓に就く。今朝は塩鮭の焼いたものが出た。長女が年明けには夫婦の古稀のお祝いだからと、他の海産物と共に送ってくれたもの。国内産らしく身はしっかりとしていたけれど、昔ながらのしょっぱい味なのでした。半身で切り分けられてパックしてあるから、頭の部分は三平汁にでもしようかと話していたのです。

 朝食を終えていつものことながら亭主は、書斎に入ってひと眠りする。お休みの日だから緊張がほどけて、たっぷり1時間は眠ってしまったから、お袋様に電話をして仕入れに出掛ける時間を少し遅らせてもらった。雨の中を傘も差さずに車に乗り込みながら「寒いねぇ」と言って、農産物直売所に向かうのでした。いつもより時間が遅かったからか、野菜類が随分と並んでいました。顔見知りの農家の奥さんが「いつも買ってくれて有り難うございます」と挨拶。

 隣町のスーパーも雨だからか空いていました。今日はキュウリが少し細い物ばかりだったけれど、40品目近い買い物メモの食材を全て揃えて帰る事が出来ました。蕎麦屋に寄ってお袋様に昨日残った蕎麦や大福などを持たせて、家まで送ってまた蕎麦屋に戻る。昼までにはまだ時間があったので、白餡を煮詰めながら大根のなた漬けの仕込みをするのでした。今年は大根も豊作らしく、太くて長いものが1本77円で出ていたから、2本も買ってきたのです。

 冷たい雨は昼になってもまだ降り止まず、昼食の時間に家に戻れば、女将が鍋に湯を沸かして天麩羅をグリルで焼いてくれていた。居間のテーブルの上には、彼女のスマホと予約ノートが置かれて、予約を終える2時過ぎまでは、家を出られないことを思い出す。美味しく蕎麦を食べ終えた後は、やはり書斎に入ってひと眠り。でもそうそう眠れるものではなく、30分もしたらもう目を覚まして、予約の時間までと、このブログの午前中分を書き始めるのでした。

 午後の仕込みは、朝塩漬けにした大根を甘酒の素で漬け込むことと、出汁を取って蕎麦汁と天つゆを作ること。その前に蕎麦粉と辛味大根の代金を振り込みに、郵便局まで出掛けなければなりませんでした。やっと雨も上がって青空が少しだけ覗いてくるけれど、寒さは相変わらずなのです。蕎麦屋に着いてすぐに暖房を入れて、出汁取りの鍋にも火を入れる。白餡を煮詰めて火を消したままにしておいたら、具合好く固まっていたから、タッパに詰め替えて冷凍。

 甘酒の素に柚子と唐辛子をいれてなた漬けを漬けたらラップをかけて冷蔵庫に入れておきます。出汁取りは例によって小一時間はかかるから、洗濯機の中の洗い物を干したり、部屋干しにしてあった前の日の洗濯物を畳んだりと、やることは幾らでもあるのでした。一番出汁を取り終えて蕎麦汁を仕込んだら、5㍑の鍋で二番出汁を取る。最初の鍋は3㍑だったから、沸騰する少し前に追い鰹で出汁を取るのです。天つゆも作って家に帰ればもう4時半なのでした。

12月14日 水曜日 晴れても冷たい風の吹いた日 …

 夕べは夜の9時になったら、猛烈に眠くなってそのまま床に就いてしまいました。4時間ほど眠ったら目が覚めて、居間で煙草を吸いながら再び眠くなるのを待つのです。3時にはまた床に入って眠りに就いたのでが、目が覚めたらもう7時前なのでした。昨日考えていた今朝のスケジュールは白紙に戻った。「ご飯が出来ました」と女将に呼ばれて朝食の卓に就く。鰺の干物も脂が乗って美味しかった。最近は塩分も控えめに仕上がっているらしいのです。

 気分転換に最初に西の町のホームセンターに出掛けて、割り箸や布巾や、大晦日の年越し蕎麦を入れるパックやタレの容器を買い求めてくるのでした。途中の景色がいつもと変わるので心が晴れるのです。蕎麦屋に戻ってまずは蕎麦豆腐を仕込み、キノコ汁を作って小さな鍋とタッパに分けたら、昨日作った蕎麦汁を容器に詰めていく。昼飯までにはまだ時間があったから、何年も洗っていないグリルの中を取り出して、重曹をかけてお湯の盥に入れておく。

 油汚れには重曹が一番なのです。弱アルカリ性の水溶液は、酸性の油汚れには滅法強い。それを分かっていながら、なかなか掃除をしないのは、自分でも怠惰としか言いようがないのです。洗い桶に浸けたグリルが綺麗にするのは午後の楽しみ。家に戻って大釜に水を入れて湯を沸かせば、女将が天麩羅の最後の残りをグリルで焼いてくれる。家のグリルは女将がこまめに掃除をするから、いつもピカピカで羨ましい。今日も食事の後には洗って干してあった。

 午後の予定では、蕎麦屋の南側のタラの木が大きくなりすぎたので、剪定しようと思っていたけれど、冷たい風が強くなってとても外での作業は無理なのでした。大きな木の根が張ってあちこちに生えてきているのも刈り取らなければいけない。春の時期にタラの芽を採るにしても、あまり多すぎると使い切れないのです。山での生活する人たちのように、塩漬けにでもして保存してみようかしら。それでもやはり狭い庭だから、刈り取るのが一番好いのでしょう。

 厨房に入って、まずは午前中に重曹を溶かして浸けておいたグリルを洗う。何年も溜まった油汚れなのに、魔法のように綺麗に油が落ちてすっきりしました。気をよくして、蓮根の皮を剥いて酢水で茹で、南瓜の種を取って切り分けたら天麩羅用にレンジでチーンしておく。そして、また今週も切り干し大根の煮物を作るのでした。食材の残った物で作るのが一番安上がりなのです。筑前煮は季節のものだけれど、いろいろ買い足さなければならないから高く付く。

 最後に明日の天麩羅の具材を切り分けて、冷蔵庫に収納したら午後の仕込みは終わりです。火元の確認をして蕎麦屋を出たのは5時過ぎで、西の空が夕焼けで綺麗なのでした。家に戻って二階の部屋の窓から写真を撮ろうとしたけれど、もう夕焼けは終わって、沈む夕陽に富士山がシルエットで綺麗に見えていました。空気が随分と澄んでいるらしいのです。明日は放射冷却で冷えると言うけれど、晴れてくれれば日中は少しは気温も上がるのです。

 夜はキャベツが沢山残っているからと、またしてもちゃんこ鍋。途中まで食べたらうどんを入れて、本格的な夕飯になるのですが、亭主は酒の肴に鶏の手羽中を塩で焼いてもらったから、半分は食べられない。残りは女将が全部平らげたから、たいしたものです。風呂の前に体重計に乗ったら、案の定体重が増えている。今日も亭主はあまり動いていないから、当然と言えば当然。明日の蕎麦屋はどんな展開になるのかが楽しみな夜です。

12月15日 木曜日 この冬一番の寒さとか …

 6時を過ぎて蕎麦屋に出掛けてみれば、向かいの畑にはうっすらと霜が降りているのでした。店のエアコンを入れて水を張った大釜に火を点ける。じっとしてると寒さが足元から伝わってくるほどなのです。冷蔵庫から昨日作った小鉢の煮物を取り出して盛り付けていく。切り干し大根の煮物となた漬けで、今週もまた始めようと7鉢だけ用意しておきました。一日中晴れると言う予報は朝からもう違っている。沢山の雲の合間から朝日が昇るのです。

 よく見てみれば、雲は静かに東に向かって動いているようです。西の空は少し青空が覗いているから、日中は晴れてくるのかも知れない。しかし、空気はとても冷たくて、熱い珈琲を沸かして、飲みながら今日の段取りを考える。晴れても寒さが厳しければ、なかなかお客は来ないのが冬場の辛いところ。陽が差して人々が散歩にでも出て来るようなら好いのだけれど。7時前に家に戻れば、途中で近所に住む弟が犬の散歩に出ているのに出会った。

 朝食を食べ終え、今日は8時半には家を出て蕎麦屋に向かいました。陽はさしているものの相変わらず雲の多い天気なのです。手袋をしていない手は冷たく、ジャンバーのポケットで温もりを保つ。蕎麦屋まで歩く数分間が、随分と長く感じるのでした。幼稚園に子供を連れて行く若い母親に出会ったきり、誰とも会わずに蕎麦屋に到着。看板と幟を出したら、チェーンポールを下げて今日の始まりを知らせる。果たして何人分の蕎麦を打とうかと思案する亭主。

 二週続けて混んだ木曜日だったから、今朝は850g九人分の蕎麦を打つことにしました。加水は44%だから、水を加えて1200gちょっとになる計算。これならひと束135g以下なら確実に九人分取れるのです。たまにこうやって少しずつ蕎麦を打つ量を増やしておけば、昔のように1kgを無理なく打つことが出来るようになるかも知れない。急に一度に沢山の量を捏ねて、また腱鞘炎などになったら、歳を取った分だけ治るのも遅くなるだろううから。

 問題は大晦日の年越し蕎麦なのです。去年も、店で15人ほど、予約で持ち帰るお客が20食分ほどだから、軽く30食分は蕎麦を打たなければいけない。早朝から打っても750gでは、少なくても4回は打たなければいけない計算です。あまり早くから予約を宣伝すると、頼むお客が増えてはキャパシィティーを越えてしまう。歳を取るに従って、今現在の己の力量を知ることの大切さを痛感するのです。持ち帰りの天麩羅を揚げることも含めて考えておかなければ。

 昼になったら西風で雲が消え、青空が広がったのは好いけれど、寒さは相変わらずなのでした。換気のために少しだけ開けておく窓も、隙間を狭くしておくのです。通りを歩く人影もなく、こんなに晴れているのにお客は来ない。12時を過ぎた頃に、女将が来てくれて「先週も少し来るのが遅かったと言われたから」と有り難かったのです。隣町の常連さんもいつもより早くいらっして「木曜日はいつも混んでいるから、蕎麦がなくなる前にと思って来ました」

 「今日はお客も来ないからゆっくりしていって下さい」と、すっかり顔馴染みになった女将が珍しく話をする。結局、今日のお客は一人だけで、ゼロでないのがせめてもの救いなのです。洗い物も片付けも少ないから、早めに帰り支度を済ませて家に戻る。疲れていないので、ひと眠りをすることも出来ずに、4時を過ぎたらもう食べる事を考えている亭主。今夜は一年ぶりでおでんだと知っていたから、焼酎を飲みながら食卓に料理が出るのを待っていました。

12月16日 金曜日 なんと昨日よりも寒い朝でした …

 まだ暗い5時半に家を出て蕎麦屋に向かう。とても寒い朝なのでした。鼻水が出て止まらないから、頻繁に鼻をかむ亭主。店の暖房を入れて、大釜に水を張ったら蓋を開けたまま火を点けておくのです。IHでポットにお湯を沸かして、珈琲を入れて暖まる。昨日もお客がほとんどなかったから、新しくやらなければならないことはなかったのですが、買い置きしてある金柑の実を切って、種を取ったら、酢水でゆがいてから氷糖蜜を入れて甘露煮を作る。

 洗濯機の中の洗濯物も少ししかなかったけれど、部屋干しの物干しに掛けて奥の座敷に運ぶ。煮詰まった金柑は冷ましてから瓶に入れて、冷蔵庫に保管するのです。7時までにはまだ時間があったから、コンビニに寄って週末の分の煙草と酒の肴を買って家に帰る。台所で女将が用意していたのは、亭主が思っていたとおりおでんの残りとベーコンエッグなのでした。身体を温めてから、食後は書斎に入ってひと眠りするのが楽しみなのです。

 9時前には家を出て再び蕎麦屋に出掛ける。今日は珍しく革靴を履いて出てみたら、運動靴よりは歩きやすいような気がする。右足の親指の軟骨が変な具合に固まってしまったものだから、どうしても正常には歩けない。少し引きずってしまうのです。このままずっとこんな風なのだろうかと、少し心配になるけれど、手術をして何とかする気がないから、慣れるしかないのです。ゆっくり歩いている分には、支障がないから無理をせずに暮らしていたい。

 蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打てば、最近は44%の加水率でとても好い具合に生地が仕上がるのです。菊練りを終えて蕎麦玉を作ったら、寝かせている間に厨房に戻って、大根おろしを済ませておきます。昨日の蕎麦がほとんど残っていたから、わずか500gの蕎麦打ちだったけれど、これも練習だと思って真剣に伸して畳むのです。切りべら26本で135gと、いつもと同じように綺麗に打てた。端切れも最後まで切って、昨日の端切れと合わせて明日の賄い蕎麦。

 天気は好いのですが何しろ寒いので、いつもなら外に出て写真を撮る亭主も、窓の内側から外の青空の写真を撮るのです。それでも昼になるにつれて少し気温は上がって、道を歩く人たちの姿も見られるようになりました。リックを背負い一人で歩く男性が蕎麦屋に来るのかと思ったら、駐車場を横切って玄関に着いたから、急いで準備をするのでした。入って来たお客を見れば、いつもの常連さんでビールと最近はカレー蕎麦を頼んで、ノートパソコンを広げる。

 ビールのお通しには大根のなた漬けを出して、カレーの汁を作る間に、カレー蕎麦に付いている野菜サラダを出して食べていてもらう。蕎麦の場合はうどんよりも、細い分だけ食べやすいように、少しとろみを減らすように作っているのです。太いうどんの場合は、汁のとろみがあった方が上手く絡むと思うのです。「ご馳走様でした」「毎度、有り難うございます」という言葉だけを交わして、今日も帰っていった。カウンターの隅に座る客は無口なお客が多い。

 1時をたいぶ過ぎて、駐車場に車が入ったので、スタンバイする亭主。女性のお客が何処に座ろうかとまごまごしているから、「お好きなところへどうぞ」と言えば、景色の見えるテーブル席に座って、何を頼もうかと考えている様子。「暖かい汁が好ければキノコつけ蕎麦が人気ですよ」と亭主が勧めれば、茸が好きらしくすぐにご注文になる。「キノコの香りが美味しいわ」と喜んで下さった。小鉢で出したなた漬けも気に入ったらしく、名前をメモしていた。

 それで今日はもうオーダーストップの時間になる。こんなに晴れた日なのに、朝が寒かったから、外に出て蕎麦を食べようなどとは思わないのが普通なのでしょう。明日は終日曇りで気温も上がらないと言うから、週末でも苦戦を強いられるだろうと思いながら家路に就くのでした。女将のいない家に戻って冷蔵庫を覗けば、昨日の野菜サラダがまだ残っていた。今日の分も合わせて5食分。夜は当然のことながら、亭主がお好み焼きを作るしかなかったのです。

12月17日 土曜日 昼も8℃までしか上がらなかった …

 朝食を食べ終えて、珈琲を一杯飲んだら蕎麦屋に出掛ける亭主。「陽が差しているわよ」と女将に言われて家の前の通りに出れば、雲の合間から薄陽が差していました。これが今日最後に太陽を見た瞬間なのでした。予報では終日の曇り空で、昼も気温が上がらないと言う。平年並みなのでしょうが、今週はいきなり寒くなったから身体に応える。暖かすぎた冬の始まりは、急な寒さで蕎麦屋のお客も今週は激減しているのです。コロナの感染拡大も影響している。

 それでも蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、小鉢を盛り付けて今日の準備をするのです。さすがにこの寒さでは今日は蕎麦を打てない。昨日残った12食の蕎麦で、十分に足りると判断したのです。蕎麦を打たなければ、時間がたっぷりあるから、野菜サラダも早く作り終えて、昨日の金柑大福と一緒にカウンターに並べる。これさえも今日は出ないだろうと思いながら、開店の準備をしていたら、11時過ぎに車が駐車場に入ってきたのでした。

 随分と早いけれど、お湯も沸いていたから暖簾を出して店の中にお客を入れる。「寒いから暖かいぶっかけ蕎麦を」と言う親父様は海老とキスの天麩羅を追加して頼まれる。奥の座敷で着替えをしていた女将が、あまりにもお客の来るのが早いので、慌てて店に現れるのでした。途中で気が付いた親父様は「11時半からなのですね」と申し訳なさそうに言う。天麩羅を揚げて、蕎麦を茹でてお出しすれば、美味しそうに食べていたから好かったのです。

 少しだけ窓を開けて換気をしていたけれど、あまりにも寒いのでお客が来たら少し開けることにして、窓を閉めて暖房を入れていたのです。外は今にも雪でも降るのではないかと思えるほど、暗く冷たい空模様なのでした。最初のお客が早かったから、後の客待ちの時間がとても長く感じられた。昼を過ぎて1時を過ぎてもお客が来る気配はなかったから、亭主は余分に残っている蓮根を揚げて、賄い蕎麦を食べておく。それが今日最後の調理なのでした。

 コシのある蕎麦は美味しかったけれど、寒いから最後はやはり暖かい蕎麦湯を入れて飲み干すのでした。2時過ぎには家に戻って、亭主はそのまま隣町のスーパーに食材を仕入れに行く。生姜が切れていたので、この店の綺麗な色の生姜を買い求めに行ったのです。女将はその間に美容院に出掛け、亭主は家に戻って書斎に入ってひと眠り。夜は防犯パトロールがあるから、身体を少しでも休めておかないと。80歳の老人の後について団地の通りを巡り歩くのです。

12月18日 日曜日 目まぐるしい天気の変わりよう …

 夕べの夜のパトロールで疲れたのか、今朝は8時間睡眠から目覚めて食堂に行く。寒い朝だったから、女将が気を利かせてシャケ粥にしてくれたのです。ご飯は少ないけれど餅が入っているので腹にも溜まる。洗面と髭剃りを終えて着替えをませたら、いつもよりは早く家を出て蕎麦屋に向かうのでした。明け方まで雨が降っていたらしく道路は濡れて、昨夜の天気予報で今日は晴れというのはまた外れなのでした。まったく最近の天気は変わりやすいのか。

 蕎麦屋に着いて最初にする仕事はやはり蕎麦打ち。昨日までに残った蕎麦はあるのですが、やはり日曜日だから足りなくなるのは避けたいと余分に打っておくのです。加水率はこのところ44%強。しっとりと仕上がった生地は伸して畳んで、切りべら26本で135gに。朝の雲は何処に消えたのか、外は青空がひろがっているのでした。蕎麦打ち室を出て厨房に入ったら、白玉粉の分量を量って氷糖蜜と水を加えて、金柑大福を四皿分包みます。

 そして、野菜サラダの具材を刻み始めるのです。包丁は研いだばかりだから切れ味も好く、キャベツやニンジンのジュリエンヌも今日は思うように刻めた。ところが、開店の時刻の15分も前に、家の近所の常連さんが四人連れで歩いていらしたから、店に入ってもらって女将がお茶を出すのでした。BGMの音楽も流さないうちに、天せいろ四つのご注文で、お一人はせいろうどんを頼まれる。賑やかな会話をされているうちに、天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる亭主。

 その間に、橋の向こうの地区の常連さんがいらっして、カウンターでせいろ蕎麦の大盛りと辛味大根のご注文。ついでに毎年の事ながら年越し蕎麦の予約をされる。いつもご一緒に年越し蕎麦を頼まれるお友だちが、今年は施設に入ってしまったからと話をされる。亭主が奥の座敷で一休みしている間に、お客はみんな帰って女将が洗い物をまとめてくれていた。まずは日曜日の前半戦が終わったという感じで、時計はまだ12時半前だったのです。

 ところが、西の空から俄に黒い雲が立ち上り、今にも雨が降りそうな天気になっていた。まだ陽は差しているけれど、冷たい風が吹き始めて、これではお客は来ないだろうと女将と二人で話していたのです。この時間を利用して、亭主はかき揚げを揚げて昼の賄い蕎麦を食べておく。今日は蕎麦が沢山あるから、遠慮せずに端切れを使わずに蕎麦を茹でるのでした。サクサクの玉葱の天麩羅が美味しい。つゆに溶け込んだ山葵の味も抜群なのでした。

 1時を過ぎて駐車場に車が入ってきたと思ったら、女将の友だちの常連さんで「いつものお願いします」と、野菜サラダとせいろ蕎麦を頼まれる。最近は周囲にも認知症になる人が多いと言う話をして、大晦日の年越し蕎麦と天麩羅の注文もして行かれたのです。洗い物はほとんど終わっていたから、後片づけも楽ちんで2時過ぎには二人で蕎麦屋を出るのでした。夜は昨日の残った野菜サラダを消化しようと、亭主がまたお好み焼きを焼くのでした。

 日一日と年の瀬が近づいて、やることは沢山あるのだけれど、今年もすべてそのままで新年を迎える気配。明日も朝からとても寒くなると言うので、ワールドカップの決勝も見れずに今日も眠ってしまうのだろうか。日々是好日とは言うけれど、蕎麦屋をしているからか、食べることばかりに意識が集中して、自分の健康管理は大丈夫なのかとふと思う事があるのです。それにしても今夜のお好み焼きは野菜もたっぷりでカリッと焼けて美味しかった。

12月19日 月曜日 寒い朝、霜柱がびっしり …

 昨日にも増して寒い朝でしたが、ワールドカップの決勝戦を途中から起きて見だしたら、興奮してしばらく寝付けなかった。再び目覚めたらもう7時を過ぎていたのです。女将の用意してくれた朝食は今朝も美味しいシャケ粥だったけれど、卵とカブの葉が入ってカラフルに進化していたのでした。着替えを済ませて家を出れば、玄関前の植え込みの水仙の花が咲いていた。こんな寒い時期に咲くものだったかと、去年の記憶がないからただただ驚くばかり。

 雲一つない青空が広がって、背中に当たる陽射しが暖かい。長い影法師が冬の太陽の低さを物語っている。毛糸の帽子を被って手袋をしないと耐えられない寒さで、陽の光だけが唯一の救いなのでした。今朝はさぞかし霜がいっぱい降りているだろうと蕎麦屋に着けば、隣の畑には長い霜は柱がびっしりと立って、今朝の寒さを知らせているのです。晴れてもこの寒さでは、月曜日だしお客は見込めないのではと思いながら、いつもの朝の仕事を済ませる亭主。

 蕎麦打ち室に入って生舟の蕎麦の状態を確認したら、八人分と少し残っていたから、今日は蕎麦を打つのを諦めました。蕎麦を打たない日が週に二日もあるのはとても珍しいことなのです。厨房に戻って大釜の湯を沸かして暖を取る準備をしたら、今日の小鉢を盛り付けておきます。残っている蕎麦の数だけ用意したらラップを掛けて冷蔵庫に入れる。今週はお客が少なかったから、とうとうぬか漬けは漬けられなかった。仕入れた野菜はそのまま家に持ち帰る。

 蕎麦打ちをしないとかなり時間が余るから、買い置きしてあった柚子を取り出し、皮を剥いで千切りにしておくことにしました。研いだばかりの包丁の切れ味が好いので、今日は綺麗に甘皮を剥いで千切りにしたら、小さなタッパに一杯分の柚子皮を急速冷凍庫に入れておく。連日、霜が降りる日が続くから、そろそろ白菜の漬け物をする時期なのかと思いながら、この柚子を使う日を楽しみにするのです。今週は冬至の日になるから、柚子も旬の時期なのかな。

 柚子の香りが漂って元気が出るようで、野菜サラダの具材を刻んで開店の準備は11時過ぎには終わるのでした。天麩羅油を鍋に入れて、天麩羅の具材を調理台に並べたら、キノコ汁をIHで温め、天ぷら粉を取り出して、テーブルとカウンターをアルコールで拭くのです。開店の時刻を待って、やっとカウンターの奥の椅子に座ってひと休み。蕎麦打ちがない日は寂しいけれど、お蔭でゆっくりと準備が出来たのです。晴れていても寒い日はお客が来ない可能性も。

 予想に違わず、12時半までは誰もお客が来なかったのですが、それからが今日はいつもと違うのでした。初めての方たちもリピーターの方たちも、つぎつぎといろいろな品を注文して、亭主一人では対応に追われ、1時過ぎには蕎麦は売り切れる。前のお客が座ったテーブルに次のお客が座るから、盆や皿をカウンターに載せて、洗う暇もない忙しさだったのです。寒かったからか、キノコつけ蕎麦が売り切れて、ぶっかけも暖かい蕎麦が出るのでした。

 お蕎麦売り切れでやっと営業が終わり、遅い昼の賄い蕎麦を端切れの蕎麦を寄せ集めて食べ、洗い物を片付ける亭主なのでした。月曜日は一人の営業だから、混んだ時には後片づけが大変なのです。大釜を洗い、天麩羅鍋を掃除して、洗い物は洗いかごが一杯になるので、時間を空けて片付けなければならない。最後に生ゴミを外のボックスに入れた頃には、もう陽もだいぶ傾いていたのでした。やっと家に戻れば「随分遅いからどうしたかと思ったわ」と女将。

カテゴリー
未分類

2022年12月初旬

12月7日 水曜日 初霜の朝 …

 今までになく寒い朝でした。そのせいかぐっすりと眠れた。6時前に目が覚めて、お茶を飲んでテレビのニュースを見る。まだ外は明るくならないのです。6時半前に家を出て蕎麦屋に向かえば、朝靄がかかって、向かいの畑は真っ白に霜が降りていました。今年の初霜です。室温8℃の店の暖房を入れても、すぐには暖かくならないので、まずは大釜に湯を沸かして小松菜を茹でる。半分はラップでくるんで急速冷凍しておきます。残りはタッパに入れて冷蔵庫。

 茹でたお湯は蒸気で厨房が暖かくなるからそのままにして、昨日塩漬けしておいた大根の水を絞ってボールに取り、甘酒の素と砂糖を入れ、冷凍してあった柚子皮と唐辛子を輪切りして掻き回す。これで容器に入れておけば自然と味が馴染んでくるのです。窓から外の様子を窺いながら、日の出前になった頃合いを見計らって玄関を出れば、ちょうど朝日が空を明るく染めている。また少し日の出の位置が東に移ったような気がする。寒くても気持ちの好い朝です。

 犬の散歩で蕎麦屋の常連の小母さんが「お早うございます。今朝は寒いねぇ」と声をかけてくれたから「お早うございます。初霜ですね」と挨拶を交わす。相手のかおがやっと見える程の明るさ。以前は5時半頃には散歩に出ていたのに、今はまだ暗い時間だから、夜明けを待って家を出てきたらしいのです。古くからの地元の人だから、この界隈のことは何でも知っている。バス通りを夾んだ団地に住む亭主は、近所の人に会えば挨拶を交わしても何も知らない。

 日々の生活に忙しいばかりで、それだけ人と人との繋がりがないのでしょう。昔ながらの地区の人たちは畑があるから家は離れていても、皆さん隣組で情報を交換しているのです。家に戻れば女将が寒いから寝坊をしたと言ってやっと台所に入る。定休日だから亭主も慌てずにストーブに当たって暖を取っている。今朝は赤身魚の焼き物と茄子焼き。青森産の大蒜に醤油で甘い味が出て、これだけでもうご飯が進むのです。満足したら書斎に入ってひと眠り。

 夕べは十分に眠ったのに、食後のひと眠りも一時間は寝た。これで昨日の寝不足は解消されたと感じるのでした。10時前に家を出て蕎麦屋で午前中の仕込みを始める。蕎麦豆腐を仕込んで切り干し大根の具材を刻み、胡麻油で炒めたら二番出汁を加えて煮込む。出汁醤油と砂糖で味付けをしたら、火を止めて冷ましてタッパに入れるのです。早朝のなた漬けとこの切り干し大根とで、明日の小鉢二種類は完成。海老の天麩羅を揚げて家に持ち帰るのでした。

 今日は珍しく天麩羅に華を添えたから、大型の海老が更にボリュームが出た。溶いた天ぷら粉が残るのが勿体なかったのです。11時半に家に着けば、女将が鍋にお湯を沸かして、蕎麦を食べる準備を整えている。晴れて日中は気温も上がるから、家の中は暖房も入れていない。「揚げたての天麩羅と茹でたての蕎麦が美味しい」と女将が言えば「今は天麩羅の華も嫌われるからね」と亭主が応える。華も散らさずにエビ天を出すのが蕎麦屋の日常なのです。

 昼食に満足したら書斎に入ってまたひと眠りする亭主。いったいどれだけ眠れば気が済むのかと、自分でも不思議でならない。1時間ほどぐっすりと眠ったら、女将はもうスポーツクラブに出掛けていた。亭主は珈琲を一杯飲んで蕎麦屋に出掛ける。午後の陽射しが西側の小径に降り注ぐ時間帯だったので、まずは懸案だった木槿の剪定から始める。葉が落ちて枝が道路に出ている部分を、90㍑の袋をぶら下げながら、綺麗に切りそろえていく。汗をかく一時間。

 厨房に戻ってからの午後の仕込みは、天麩羅の具材切りと南瓜のチーンと蓮根を茹でるだけ。4時過ぎにはこれも終わって家に帰って、女将に餅を焼いてもらって早い夕食を軽く食べておくのです。今日は夜の防犯パトロールがある日なので、女将は一人で夕食を食べるから、亭主は帰ってから酒の肴を作れば好い。寒い夜なのに、亭主よりも年上の老人たちが集合場所に集まってく来る。明日も氷点下の朝らしいから、なんとか凌げれば好いと思う夜です。


12月8日 木曜日 霜の朝、日中は晴れて暖かく …

 今朝も寒い朝でした。日の出前の東の森まで続く畑は真っ白な霜が降りているのでした。この間、大根と里芋を持って来てくれた向かいの農家の親父様が、蕎麦屋まで歩いた足跡がそのまま凍って残っていました。店に入って暖房を入れたら、お湯を沸かしてほうじ茶を入れる。昨日のうちにいろいろと準備は済ませているから、今朝はこれと言って別に仕事はないのです。それでもやはり店に来て今日の段取りを考える。洗濯物を畳んで戸棚に入れる。

 そして、レンジ周りの掃除を済ませて家に戻るのです。女将が台所に立って朝食の支度をしていた。寒くなったせいか、以前よりは少しだけ時間が遅い。ご飯を食べ終わるのが7時半になるから、お茶を飲んで一服すれば、もうひと眠りする時間がないのです。それでも亭主は書斎に入り15分でも横になる。女将の朝ドラが終わる時間には起き出して、洗面所で髭を剃る。顔を洗えばもうすっかり目覚めて、珈琲を入れて一服すればもう9時10分前なのでした。

 「行って来ま~す」と玄関を出れば、眩しい朝の光に輝く黄色い金柑が目に飛び込んでくる。雲一つない青空が広がって、陽射しは暖かいのです。蕎麦屋までの道程を、家の影にならない日向を選んで歩く亭主。その昔、息子と同級生だったお隣の奥さんが、犬を連れて散歩に出るのに出会って挨拶を交わす。看板を出し、幟を立ててチェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打ち始めるのです。乾燥しているから今朝は44%強の加水率。

 菊練りを済ませて蕎麦玉を仕上げたら、厨房に戻って大根と生姜をおろす。再び蕎麦打ち室に入って、綺麗に丸出しまで進んで、今日も上手く蕎麦か打てると確信したのです。この正円の出来は生地が均等な厚味でないと作れない。四つ出し、本伸しと進んでも形が崩れないから、八つに畳んで包丁切りをしても上手くいくのです。750gの蕎麦を打って8人分の蕎麦の束を生舟に並べて、万が一、足りない場合は、今日と明日の亭主が食べる分の蕎麦がある。

 月曜日に打った蕎麦だけれど、一番綺麗な出来の蕎麦を二束残してあるのです。厨房に戻って金柑大福を四皿分包み、野菜サラダの具材を刻んで、三皿盛り付けておきました。大釜に沸いたお湯をポットに詰めて、天麩羅油と天つゆの鍋とキノコ汁を温め、テーブルをアルコールで拭いて回ったら、いよいよ暖簾を出す時間なのでした。開店に合わせたかのように、常連の仲好し三人組のお婆さん達がご来店で、今日は寒いからと珍しくキノコつけ蕎麦をご注文。

 野菜サラダも頼まれて、キノコ汁もサラダもこれで完売なのでした。蕎麦を出し終わらないうちに、少し若いご夫婦がカウンターに座って、せいろ蕎麦の大盛りと天せいろのご注文。昼前だというのに、生舟の蕎麦がもう残り少ないのでした。こんな時にはお客が続くもので、リピーターのお婆様が娘と孫とお友だちを連れて5人でいらっしゃる。蕎麦が4、5人分しかないと言えば、先のお客が大盛りを取り消して下さった。一挙に10人のお客で店は満杯なのです。

 一つ一つ作っては出すを繰り返すけれど、とても間に合わないので、家にいるはずの女将にSOSの電話を入れる。昼は食べ終えたらしくすぐに来てくれて、5人連れのお客の対応をしてくれたから助かったのです。時計はまだ12時を回ったばかりなのでした。5人の女性達は皆さん天せいろのご注文だったから、天麩羅を揚げては蕎麦を茹でるの繰り返し。平日に10人を越えるのは珍しい。少し遅れていらっした隣町の常連さんには、お蕎麦売り切れと謝った。



12月9日 金曜日 三日連続で霜の降りた朝 …


 午前5時半、夕べ漬けた糠漬けが気になって蕎麦屋に出掛けました。なた漬けが昨日一日で終わって、切り干し大根があと少しだけだから、週末に向けてお新香は貴重な小鉢なのです。12時間あまり漬けた割には味はほどよく食べ頃なのでした。満月だった昨日の夜の月が、有り明けの月となってまだ西の空に出ていた。外の寒さはやはり冬。暗くてまだ霜の降りているのも見えないのです。明るくなるにつれて、うっすらと畑に霜が降りているのが分かりました。

 冷凍してあった鶏肉と茸を取り出して、キノコ汁を作り足しておきます。二番出汁500ccにナメコ半袋、エノキ、舞茸を半分に、シメジをひと株分、そしてシイタケ一つをスライスして入れておく。鶏のもも肉はこの間使った残り半分を入れ、煮立つまで待って出汁醤油を加える。味を見て更に蕎麦汁を加えてつけ汁の濃さにする。出汁醤油だけだと塩味ばかりが強くなって、汁の深みが出ないのです。やはり一番出汁と返しで作った蕎麦汁の威力は凄い。

 6時半を過ぎて外が明るくなったけれど、まだ陽は昇らないのです。コンビニに煙草を買いに出掛けて家に戻れば、ちょうど7時のニュースが始まったところで、朝食の支度はまだ出来ない。車外温度は4℃を表示していたから、今朝も相当に寒い朝なのです。やっと出来上がった朝食を食べて、亭主はすぐに書斎に入ってひと眠りするのでした。15分ほどでウトウトと目が覚めたけれど、朝ドラの終わる時間までは眠ろうともうひと眠り。

 頭は起きているのに身体が目覚めない状態で、しばらく床の上に座り込む亭主。やはり7時間はしっかり眠らないと、最近は目覚めが悪いのです。洗面と着替えを済ませて家を出たのは9時少し前でした。雲が大分出ているから、今日は晴れにはならないだろうと、指先が冷たくなるのを感じながらみずき通りを渡る。もう手袋をしなければいけない季節なのか。蕎麦屋に着いていつもの朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。

 昨日の反省を込めて、今朝は800g9人分の蕎麦粉を打つのです。最後の一人の常連さんに帰ってもらったのがとても残念だったのです。一束137gにしても9人分しっかりと取れるから、その週のお客の増減に応じて数は調節できる。天気が好ければお客は増えるだろうから、その見極めが大切。今日は青空が段々と雲に覆われてきたので、あまりお客は期待できない。それでも金柑大福は四皿、野菜サラダは三皿盛り付けて、開店の準備を始めるのでした。

 昼過ぎになって昨日の常連さんがいつもより早めにやって来た。「昨日は済みませんでしたね」と亭主が詫びてお茶を出す。満車だった駐車場が空くまで近くの空き地で待っていたのだそうな。昨日は歩いて来ているお客も3人いたから、平日の10人はやはりお蕎麦売り切れなのです。女将が来てくれたからこなせたけれど、一人で一度に10人はこなせない。小さな蕎麦屋の辛いところなのです。今日はパラパラとお客が来るだけで店は空いていました。

 宅配便が届いて中身を開ければ、スマホを固定する三脚が届いたのでした。「自撮棒」と箱に書いてあったけれど、メイドインチャイナの優れもの。早速、調理台に置いて試して見れば、なかなか好く撮れているではありませんか。蕎麦を打ったり、調理をしたり、手が離せないときでも撮影が出来るから、今後のブログ写真を乞うご期待です。新しいものにはなかなか手が出ない年齢なのですが、興味のあるものから少しずつ取り組んでいかなければ。

12月10日 土曜日 早朝5時半の蕎麦打ち …



 週末はどうしても蕎麦を二回打たなければならないことが多い。木、金とある程度お客が入れば、土曜日に回す蕎麦は出来ないのです。今朝も暗いうちから蕎麦屋に出掛け、まずは蕎麦粉を計量して蕎麦玉を作るところまでやっておく。外が少し明るくなったから、駐車場に出て蕎麦屋の写真を撮る。有り明けの月は鉄塔の上に見えた。日の出まではまだ時間があるのです。寒さ対策で水を張った大釜に火を入れて、水蒸気で厨房を暖める。

 それでも昨日ほど寒くはなかったから、再び蕎麦打ち室に入って今度は伸しを始める。加水率は44%、ちょうど好い生地に仕上がっているから、四隅の具合も良好。蕎麦切りは切りべら26本で135g。8人分と少しの蕎麦を取って生舟に並べたのです。昨日、残った三束と合わせて、これで11人分の蕎麦が用意できた。朝食を食べに帰って次ぎに来た時に、今度は500g5人分を打てば16人分の蕎麦が出来る計算です。年越し蕎麦を打つ大晦日の事を考えると頭が痛い。

 蕎麦打ちが終わった6時半過ぎに、やっと日の出の時刻になったらしく、ちょうど雲のかかった東の空に太陽の光が見え始めていたのです。7時前に家に戻れば、今日はいつもより早く女将が台所に立って、朝食の用意をしてくれていた。食事を終えた亭主はゆっくりとお茶を飲む暇があった。それから書斎に入っていつものようにひと眠りなのです。髭を剃って着替えを済ませたら、珈琲を入れて椅子に座って出掛ける前の最後の一服です。

 空は青く気温も昨日よりは暖かかった。早朝は暗くて見えなかったけれど、今日は霜が降りていないようでした。向かいの森の上には、幾重にも筋雲がかかって、どんどん遠ざかっていくように見えた。日中は晴れて気温も少し上がったのです。二回目の蕎麦打ちは量が少ないからすぐに終わって、厨房に入って大根をおろし、薬味の葱切りを済ませ、野菜サラダの具材切りに入る。今日は鴨南蛮蕎麦とヘルシランチセットでサラダは全て売れたから好かった。

 最初にいらっしたご夫婦はカウンターに座って、天せいろのご注文でした。天麩羅油も新しいから、綺麗に揚げてお出しする。奥様が蕎麦を一口食べて「これは美味しい蕎麦だわ」と喜んでくれた。お母様の墓参りにいらっしたそうで「また来ます」と言って店置きのパンフレットを持って帰られた。続けていらっしたのがご家族連れの若いご夫婦で、せいろ蕎麦二つにヘルシーランチセットと鴨南蛮のご注文。男の子達には早く蕎麦を茹でてお出しするのでした。

 続けて常連のご夫婦がいらっしてテーブル席に座り、天せいろとヘルシーランチセットを頼まれる。最後のデザートまでは食べ切れなかったらしく、金柑大福はお持ち帰りになる。時計を見ればもう1時過ぎだったから、人数の割には忙しく感じたのでした。洗い物が一つも済んでいなかった。ランチセットや鴨南蛮などが、手間がかかって忙しないからなのだろうと女将が言う。暖かくなったから今日はもう少しお客が来るかと思ったけれど、これでお終い。

 それでも小鉢も蕎麦汁も随分となくなったから、ひと眠りし終えた亭主は夕刻に、お新香を漬けにまた蕎麦屋へ出掛ける。予備の一番出汁があるから、蕎麦汁も作ってくる。返しが底をついたので、明日の朝は一番で返しを仕込まなければならない。蕎麦は今日打ったのが半分残ったので、一回打てば足りる計算です。小鉢は返しを作りながら南瓜の従姉煮でも作っておこうかと思う。今日ほどは天気は好くないらしいから、蕎麦は500g五人分で好いかな。


12月11日 日曜日 冷たい風の吹く午後でした …


 今朝は何故か4時過ぎに目が覚めてしまい、居間でお茶を飲みながら、ストーブを点けて暖まっていたのです。5時間しか眠っていないのに、眠り足りないと言う気がしなかったから不思議。ぐっすりと眠れたからなのでしょうか。テレビで昔懐かしいユルブリンナーの出る「太陽の帝王」という映画を観て、6時前に蕎麦屋に向かったのです。まだ真っ暗な朝だったので、厨房でまずは返しの材料を揃えて、5㍑の鍋に一杯の返しを作るのでした。

 次ぎに冷蔵庫から糠床を取り出し、漬けてあったナスとキュウリとカブとラディッシュの糠を洗って切り分けたら、小鉢に盛り付けるのでした。これで今日の小鉢は切り干し大根の煮物と合わせて、10鉢以上あるから足りるのです。6時半を過ぎて外が大分明るくなったから、日の出が見えるかと玄関を出てみたけれど、今朝も東の空には雲がかかって、太陽は見えないのです。上の空にも薄い雲がかかっているようで、昨夜の天気予報はまたもや外れ。

 それでも朝食を食べ終えて再び蕎麦屋に向かう頃には、青空も覗いて陽が差していました。今日は霜も降りていなかったから、昨日よりも更に暖かいのです。庭の金柑の実がまた黄色くなっていた。この分だと年明け前に少しは収穫出来そうなのですが、ちょっと時期を遅らせた方が甘くなるのかも知れない。大粒の金柑の種類だから、例年、蕎麦屋の金柑大福にも使っているのです。残りは女将が家で砂糖で煮て、冬場の喉の薬になると言って使っている。

 蕎麦屋までの道程は風もそれほど冷たくなくて、天気予報通りに午前中は暖かな空気が流れていたのです。店の暖房も今朝は点けて来なかった。蕎麦打ち室に入れば13℃はあったから、蕎麦打ちには十分な温度なのでした。予定通り500g5人分の蕎麦を、加水率44%で打ち上げて、切りべら26本で135gの束を五つ揃えて生舟に入れるのです。昨日の蕎麦と合わせて13食の用意ですが、天候が思わしくないのと、昼からは寒くなるというので、お客は期待できない。

 それでも金柑大福を四皿と野菜サラダを三皿は、いつもの通りに作っておくのでした。開店と同時に一週間おきにいらっしゃるご夫婦が見えて、ご主人はいつものカレーうどん、奥様はキノコつけ蕎麦を頼まれる。ハラミとカシラの串焼きと金柑大福を今日は二つ注文された。話をするでもなく、ゆっくりと静かに昼の時間が流れていくのでした。昼過ぎになって、駐車場に高級車が一台入り、年配の男性客がお一人でカウンターの奥に座る。せいろ蕎麦のご注文。

 こちらのお客も話をするでもなく、食べ終えたら「ご馳走様でした。お蕎麦が美味しかったです」と言って帰られる。蕎麦湯も綺麗に飲み干して行かれたから、蕎麦の好きな方なのだろうと思えた。外は冷たい風が出て来て駐車場のモミジの葉が散り広がっている。箒と塵取りを持って西の小径に出た亭主は、寒い風の中を落ち葉を掃き集めるのでした。先ほどまで覗いていた青空は、厚い雲に覆われてすっかり姿を消しました。この寒さではもうお客は来ない。

 こんな日曜日もあるのかと、冬場の営業の難しさを痛感した。女将のスポーツクラブの予約を取って、亭主はおろしと山葵だけのぶっかけ蕎麦で遅い昼を済ませる。確かに蕎麦は歯ごたえがあって美味しかった。蕎麦汁も先日のお客が言ったようにとても美味しい。それでもやはり天気には勝てないから、晴れると言う明日の営業に期待するしかないのです。お客が少ないから洗い物も片付けもすぐに終わって、女将と二人で2時半には蕎麦屋を出る。

12月12日 月曜日 晴れて風は冷たく …

 9時間も眠って7時に目覚めた朝。女将に呆れられる。暖かくして床に就いたから、明け方の冷え込みで起きることがなかったのです。朝食は鯖の塩焼きと鶏肉と大根の煮物などが出て、亭主にはちょうど好い分量なのでした。洗面所で髭を剃って、着替えを済ませたら、いつもよりも少し早く家を出る亭主。8時半の太陽は、公園の森の上に昇っていました。陽射しは暖かいのですが、やはり風は北風で昨日にひき続いて冷たいのでした。

 今朝は蕎麦打ちをしないと決めていたから、蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えて、昨日までは女将がやってくれた洗濯物干しを自分でするのです。と言っても僅かなタオルや布巾を干すだけだからわけはない。ついでに隣の部屋に行って、溜めてあった段ボールを潰して紐で縛っておく。ものの5分もかからないことなのですが、時間に追われているとつい億劫になるからそのままになっていた。そして、厨房に入って珈琲を沸かしてひと休みです。

 それでもまだ時間が余るから、買っておいた柚子を切って、皮を剥ぎ、千切りにして冷凍しておきます。これから冬の季節は、大根のなた漬けだけではなく、白菜の漬け物にも使うから、貴重な食材なのです。中身と白い甘皮はビニールに入れて家に持ち帰れば、女将がジャムにしてヨーグルトや紅茶に入れて利用してくれる。柑橘類特有の香りが辺りに漂ってかぐわしい。農産物直売所では小振りの皮肌の綺麗な柚子が四つで150円で買えるのです。

 いつも蕎麦を打ち終える時間になったら、大根をおろしてアスパラとブロッコリーを茹で始めます。今日の寒さではお客は来ないだろうし、来たとしても野菜サラダを頼む人はいないとは思いながらも、用意した具材を使い切ろうと今日も三皿の野菜サラダを用意するのでした。野菜サラダは毎日作るから、昨日出なかった分も家に溜まっているはず。女将が昼に食べてくれたとしても、今日の分が残れば後の始末にまた頭を抱えるのです。

 そんなことを考えながら、外に出て寒さの様子をみれば、風はやはり北風で、思ったよりも寒いのです。前のバス通りを歩く人影もなく、いつもの時間に買い物から自転車で帰る人やジョギングで走る人だけなのでした。空はこんなに青いのに、寒さには勝てない。それでも12時半を過ぎた頃、若い男性が歩いてやって来たのです。「注文しても好いですか」と言ってせいろ蕎麦の大盛りを頼まれたから、すぐに準備をして蕎麦を茹でてお出しする。

 1時を回ったから、沢山残りそうな天麩羅の具材を上げて、ぶっかけで賄い蕎麦を食べる亭主。残り物をどう処理するかを考える時間帯になったのです。昨日解凍した海老も沢山あるから、今日は天麩羅を揚げて家に持ち帰り、寒くなる夜は鍋焼きうどんにでもすれば好いだろうと、暖簾や看板や幟をしまったら、持ち帰る品々をチェックするのです。大釜や笊やボールの洗い物を終わらせて、天麩羅を上げる作業を終えたら、最後に野菜サラダを包んでお終い。

カテゴリー
未分類

2022年12月初め

12月1日 木曜日 気温9℃なのにお蕎麦が売り切れた …

 まだ暗い5時半に家を出て蕎麦屋に向かえば、外は6時になっても明るくならないのでした。気になって今日の日の出を調べて見たら、なんと6時半。これから年末まで更に日の出の時刻が遅くなると言うのです。寒さも冬らしくなって、季節が移り変わっていくのを実感する。厨房に入って昨日までに仕込んでおいた小鉢を盛り付け、日中も更に気温が下がると言うから、7鉢もあれば十分だろうと思ったのです。蕎麦は8人分を打つ予定でした。

 いつ陽が昇ったのかは曇り空だから分からなかったけれど、家に戻って食事を済ませ、再び蕎麦屋に出掛ける時には小雨交じりで、傘を差して行かなければならなかった。定休日明けの木曜日は、いろいろと仕事があるのでゆっくりはしていられない。看板と幟を出してチェーンポールを降ろしたら、すぐに蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打つ亭主。早朝にエアコンを入れておいたから、店の中が暖かいだけでもストレスがなくなる。

 いつもと同じ44%弱の加水率で捏ねた蕎麦粉は、しっとりとした生地に仕上がり、四つ出しで伸した四隅もかなり好い具合なのでした。これだと本伸しで更に伸し広げても、四つの角がきちんと取れるから、畳んで包丁切りをする時にも最後まで綺麗に切れる。やはり少し柔らかめの方が好いのか。細く切るなら、少し硬めの方が切りやすいけれど、そこが亭主の葛藤なのです。いつまで経ってもそんな悩みは絶えないから、逆に面白味があるのかも知れない。

 蕎麦を切り終えたら、厨房に戻って金柑大福を包む。熱々の求肥で金柑をくるんだ白餡を包むのですが、たった四つ作っただけで、もう掌が真っ赤になっている。熱いうちに手早く包まないといけないので、あまり沢山の数は作れない。野菜サラダも三皿だから、最近は金柑大福も四皿で終わりにしているのです。時折、雨が降りだして道路は濡れていたけれど、雨は止んでも気温が上がるどころか下がっているから外は寒い。窓は少しだけ開けて暖房を入れる。

 暖簾を出して1時間ほどはお客の来る気配もなく、話し相手の女将が来てくれる時間を待つ亭主。ところが、昼を過ぎた頃にご夫婦でいらっしたお客が、鴨南蛮とキノコつけ蕎麦のご注文で、「鴨の肉がボリュームがあって満腹になった」と喜んでお帰りになる。続いてご来店の少し若いご夫婦は、天麩羅蕎麦の普通と大盛りを頼まれる。と、珍しく少し早い時間に女将が来てくれて、この寒さで亭主が一人で寂しかろうとやって来たのだと言う。

 これが今日は随分と助かったのです。次ぎにいらっしたのは常連さんのご姉弟で、今日は久し振りにお父様までご一緒でした。足の骨を折ったと、ギブスをして松葉杖をついてお姉様は大変そうでしたが、寒い中を市内の遠くから来て下さった。ヘルシーランチセットとお父様はキノコつけ蕎麦を頼まれて、ゆっくりと話をして行かれたのです。こんな寒い日に、蕎麦好きのお客が続けて来てくれたので、生舟の蕎麦はもう空になっていたのです。

 夫婦で洗い物と片付けを済ませて、家に戻ったのが2時半で、亭主はパソコンに今日のデータを入力したら、例によってひと眠り。4時になったらまた蕎麦屋に出掛け、昼の洗い物の片付けと、お新香を漬けている間に、業者の若者から電話があって、暗くなった頃に、鴨肉や海老を届けてくれた。熱いコーヒーを一杯入れてやって「気をつけて帰ってね」と言って別れる。夜は寒いから鍋にして、うどんを入れて夫婦で暖まるのでした。



12月2日 金曜日 寒い日が続きます …


 サッカーの対スペイン戦を見ようと3時から起き出したのは好いけれど、前半はスペインのパス回しに日本が負けていたから、やはり実力の差があるのだろうかと、もう一度床に入ったのです。夕べ漬けた糠漬けが気になって、6時半に目を覚まし蕎麦屋に行けば、厚い雲の向こうからどうやら朝日が昇っているらしい。糠床から野菜を取りだ出して切り分けたら、7時前に家に戻るのでした。7時のニュースでサッカーの結果を見たら、何と日本が逆転勝ち。

 対ドイツ戦の時もそうだったけれど、亭主が途中でテレビを観なくなると勝っているから不思議です。ともあれ強豪を相手によく頑張ったものだと、女将の用意してくれた朝食を食べるのでした。後半までテレビを観ていたら、眠る暇もなくきっと疲れただろうと、今朝は食後のひと眠りをせずに蕎麦屋に出掛けたのです。風は冷たく曇り空。今日は晴れると言った予報は、また変わったのです。蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、珈琲を一杯飲んでひと休み。

 それでも西の空には雲の切れ目から青空が覗いていた。店の暖房を入れて、蕎麦打ち室の暖まるのを待つ間に、洗濯物を畳んで大鍋には水を張っておきます。少しでも先にやっておけることは済ませておかないと、一人で営業の日は、後から時間が足りなくなるのです。蕎麦打ち室が15℃になったところで、蕎麦粉600gと小麦粉150gを計量して、篩にかけてきめの細かい粉にする。そして計量カップに330cc強の水を入れて水回しの始まりです。

 気温のせいか湿度のせいか、最近はこれで柔らかすぎないので、しっとりとした生地が仕上がるのです。菊練りを終えて蕎麦玉を作ったら、厨房に戻って大根をおろします。お湯を入れるポットを用意したり、天麩羅鍋に油を入れたり、出来ることは済ませておく。そうやって少しずつ時間を短縮したら、伸しを打ち始めるのが9時半になります。地伸し、丸出し、四つ出しと、ある程度、生地が柔らかいから順調に進む。ただ、この時点でも伸しむらがある。

 伸し棒にかかる右手と左手との圧力が違うからか、生地を回しながら伸していくのですが、どうも少し薄いところがあるような気がしてならない。時折、掌で生地の具合を確かめてはいるのですが、気にしすぎなのだろうか。幅75cm、奥行き90cm弱に生地が広がったら畳みに入ります。上下に伸していくから、75cmの幅も少し狭くなるから要注意なのです。包丁切りに入れば、綺麗に太さのそろった蕎麦が無事に8.5人分取れました。

 10時前には蕎麦打ちを終えて、大釜に火を入れ、金柑大福を包むのですが、売り切れた翌日はいつも作らなければならないのです。15分ほどで四つの大福を包んで皿に載せ、野菜サラダの具材を刻み始める。10時半前にブロッコリーとアスパラを茹でて、レタスを洗い終わればいつものペース。キャベツとアーリレッドを刻み、レタスを敷いた皿に盛り付けたら、パプリカ、ニンジン、キュウリ、トマト、パイナップルを載せ、ブロッコリーとアスパラを添える。

 開店の準備が整うまでが忙しいのですが、暖簾を出した後は、お客が来るかと待つのが辛い。今日も寒さのせいか、1時前までは客の姿は見えなかったのです。やっと隣町の常連さんがいらっして、キノコつけ蕎麦と辛味大根のご注文。昨日は寒くて家から出られなかったのだとか。更に中年のご夫婦が歩いていらっして、鴨せいろ二つを頼まれる。来たのが遅かったから、帰るのも遅かった。カウンターの常連さんが初めてのなた漬けを食べて感動していた。

 洗い物を終えて店を出たのは2時半。西の方からやっと青空が広がっていたのです。今日は野菜サラダが全部残ったから、家に持ち帰って、夜は亭主がお好み焼きを作るのでした。今日は女将が地区の班長のパトロールで、7時前に家を出るのです。寒いけれど歩くと暑くなるからと薄着をして行ったら、亭主の防犯パトロールとは違って歩く距離が足りないと、汗もかかずに寒くなったと帰って来た。明日は土曜日で女将も手伝いに来てくれる。寒い朝だと言う。

12月3日 土曜日 いよいよ本格的な冬の寒さが …


 6時を過ぎていたけれど、蕎麦屋が気になって出掛けて行く亭主なのでした。夕べの天気予報では、早朝が4℃ということだったけれど、霜は降りていなかった。それでも、店の中の温度はこれまでになく低く11℃、蕎麦打ち室は10℃という寒さなのです。暖房を入れて、冷蔵庫の中を確認すれば、お新香の他の小鉢が盛り付けてなかったから、なた漬けと筑前煮とを二鉢ずつ盛り付けておく。ほうじ茶を沸かして昼に飲む分はラップをかけて冷蔵庫に入れる。

 蕎麦打ち室の冷蔵庫の生舟を確認したら、昨日打って残った蕎麦が5食あった。今日は週末だから、8食打ち足して13食の用意をしておけば十分だろだろうと考える。この寒さで曇り空だから、まずお客は見込めないのです。最近の天気予報は前日までは晴れのマークが出ていても、翌朝になると午前中は曇り、その後、夕方だけ晴れということが多い。家で洗濯をする女将は一喜一憂で、シーツや枕カバーを洗えるのかどうかと気になるところなのです。 

 家に戻れば今朝は鯖の塩焼きと豚汁にシラスおろしと、シンプルだったので、最近、食が細くなった亭主にはちょうど好いのです。今朝は女将が早朝に寒くて目覚めたので、寝坊をしてはいけないとエアコンを入れたら、暖かい風が顔に当たって、気持ちが悪くなったと言う。目眩もしたと言うから心配になったけれど、外は晴れているというので、朝の沢山の洗濯に余念がないのでした。市内の予報では曇りでも、青空が広がっているから嬉しいのです。

 食後のひと眠りから覚めて、珈琲を飲んだら家を出る亭主。塀際の水仙がもう蕾を沢山付けていたから「今年は随分と早いね」と洗濯を干す女将に言えば「陽当たりの好いところはもう咲いているお宅もあるのよ。行ってらっしゃい」と声が返って来る。朝日を背中に浴びて暖かいのだけれど、風はさすがに12月。襟元が寒いのでジャンパーのチャックを首まで上げて歩くのでした。幼稚園から少し離れた駐車場には車が並んでいた。今日はお遊戯会なのだそうな。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を済ませたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。このところ44%の加水で粉を捏ねているけれど、捏ね易く伸し易いのが嬉しい。ちょっと気を抜くと、ズルッと包丁が滑って太くなってしまうから要注意なのです。蕎麦を打っている間に空はどんどん雲が増えて、なんだ曇りじゃないかとタブレットで最新の予報を確認すれば、やはり午後まで曇りに変わっているから残念。寒さは変わらず風もあるからお客は来ないと思えるのです。

 それでも野菜サラダはいつもと同じく三皿盛り付けて、昨日作った金柑大福と一緒にカウンターに並べる。昨日はサラダが全部残ったから、夕食はお好み焼きにして、三皿分の野菜を消化したのですが、今日は果たしてどうなることか。暖簾を出してもお客は来ないから、女将と二人で話をすれば「去年の今日もゼロだったわよ。夜にお客が3人来たとかいてあったわ」と、三年日記の記録を読み返してくれている彼女には頭が下がるのです。

 それでも昼過ぎに橋の向こうの地区の常連さんがいらっして、いつもと同じくせいろの大盛りと辛味大根のご注文。「今年も年越し蕎麦をやるんですか」と聞かれて「まだ予約の準備していないけれど」と言えば、他の人の都合を聞いて次の機会に頼みますと言う。1時を過ぎてお客も来そうにないから、月曜日に打った蕎麦の最後のひと束を茹でて賄い蕎麦を食べる。きちんと打てているから締まって美味しいのです。西の空はまた晴れて陽が差してきた。

 結局、金柑大福と野菜サラダはすべて家に持ち帰って、今日もお好み焼きで夕食を済ませる夫婦。亭主が隣町のスーパーに買い物に出掛け、足りなくなりそうなキノコ汁のキノコと鶏肉と、鴨せいろに使う小松菜を買ったついでに、お好み焼きの粉を買ってみたのです。早めの夕食に台所に立って、いつもと同じようにフライパンで焼けば、外はカリカリ中はもっちりのお好み焼きが出来上がった。「小麦粉より高い分だけやはり違うわね」とは女将の言葉です。

12月4日 日曜日 寒いけれど午前中に晴れたのが幸いしたか …

 寒い朝でしたが、青空が広がって陽の差すのは嬉しいもので、蕎麦屋の前のバス通りに面した畑も、綺麗に耕されているのでした。今朝は今季初めて蕎麦打ち室が9℃を記録しました。真冬になれば2℃とか3℃とかの日もあるから、霜が降りないだけまだまだ暖かいのですが、今年は暖かさに慣れて寒く感じるのだろうか。店のエアコンの設定温度を上げて、室内を暖める朝なのでした。今日は昨日の蕎麦が随分と残っていたから、蕎麦を打たずにゆっくりです。

 厨房で金柑の甘露煮を作っていたら、向かいの畑から親父様がやって来て、大根を置いていってくれました。畑の中を戻っていく後ろ姿を見つけて「いつもどうも済みません」と礼を言って挨拶を交わしたのですが、作業に夢中で気が付かなかったから申し訳なかった。金柑大福を四皿分包み、野菜サラダを三皿盛り付けたら、いつもの時間に開店の支度が終わったので、やっと腰を下ろしてひと休み。それでも今日は蕎麦打ちがないから、楽なのでした。

 寒くても陽射しがあれば暖かく感じるから不思議です。蕎麦屋の前のバス通りも人が行き来しているから、散歩に出掛けたり、ジョギングをしたりと、昨日とは違った風なのでした。暖簾を出して間もなく、やはり歩いていらっしたご夫婦がデーブル席に座る。ぶっかけ蕎麦と天せいろをご注文で、天麩羅とかき揚げを揚げたら、蕎麦を茹でてすぐにお出しする。昼前にもうひと組ご夫婦でいらっして、カウンターに座ってぶっかけ蕎麦を二つご注文なのでした。

 晴れていると冷たい蕎麦と天麩羅が出るのは不思議なことです。亭主が奥の座敷に入って休もうとすれば「お客さんですよ」と女将の声がする。厨房に戻ってみれば、いつもビールをまず頼まれる近所の常連さんが、カウンターに座ってカレー蕎麦のご注文。カレー蕎麦には野菜サラダが付いているから、突き出しとサラダとでビールを飲んでいた。今日は丼物のメニューが多かったけれど、皆さん汁まで綺麗に飲み干されているから嬉しいのでした。

 昼を過ぎたら雲が出て、暗い空模様になってきたのでした。女将も亭主もこれで終わりかと思っていたら、常連さんの女将の友人が車でいらっして、いつものせいろ蕎麦と野菜サラダ。続けてこちらも常連さんの老夫婦がテーブル席に座って、いつもと同じ日本酒と天せいろ、せいろ蕎麦と過辛味大根を頼まれる。隣の市から車でいらっしゃるそうで、決まって奥様が日本酒を飲まれるのです。閉店の時間を過ぎて、やっとお帰りになるのでした。

12月5日 月曜日 日中は真冬の寒さで雨風まじり …

 日の出の時刻に蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物の片付けと小鉢の盛り付けだけ済ませて来る。暗い雲に覆われた寒い朝でした。昨日の青空がまるで嘘のよう。これも季節の移り変わりなのだと思いながら、少しずつ真冬に向かっていくのに慣れてくるのでしょう。小鉢は残りをすべて盛り付けて9鉢。今日の蕎麦の数と同じだけ。この天候と寒さだから、お客が来るはずもないけれど、準備だけはしておくのが亭主の信条なのです。

 朝食食べ終えて朝ドラの時間が過ぎたら、珈琲を一杯飲んでまた蕎麦屋に出掛ける。今にも降り出しそうな空模様でしたが、ぽつりぽつりと降って来たところで店に着いたから好かった。看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つのです。早朝に暖房だけは忘れずに入れておいたから、店の中は20℃近くまで温度が上がっていました。昨日の蕎麦が4束だけ残っていたから、500gを打って9人分の用意です。

 今朝は無理をせずに、伸した蕎麦を奥行き90cmまで伸ばさないで、四角形の形が崩れない程度で止めておいたら、畳んで包丁切りをした時に新しい発見。包丁の運びが軽やかで、綺麗に等間隔で蕎麦が切れたのです。いつもは生舟の長さ一杯になるように、90cmに出来るだけ近づけようとしているけれど、そもそもが包丁もそれほど刃渡りがあるわけでもないので、無理をせずに80cmほどで畳むのが正解なのかも知れない。次の機会に750gで試してみよう。

 片側を切り落としても、蕎麦の一本の長さが40cmになるわけだから、食べるのにそれほど不都合はないのです。むしろ、四隅の仕上がりを気にした方が、綺麗な蕎麦が出来るのかも知れない。目から鱗の気づきなのでした。厨房に戻って野菜サラダを三皿盛り付けたら、もう開店の準備は終わったようなもの。11時過ぎには店の掃除を始めて、定刻の10分前に暖簾を出しました。ここまでは緊張感溢れる朝のひとときなのですが、今日は通りに人の姿も見えない。

 1時間待ってもお客が来るはずもなく、雨が降りだして風も強くなるのでした。カウンターの椅子に座って、通りを走る車を眺めていた亭主も、このままではいけないと腰を上げて、買い置きしてある金柑の実を切って種を取り出すのでした。調理台で作業を始めると、お客が来たときに困るからと、いつもならただ待つだけなのですが、今日は一工夫して種を取った金柑を鍋に入れて、いつでもまな板を使えるようにしたのです。お蔭で金柑の甘露煮が完成。

 段々と道路も雨で濡れてきた。帰る時に降られなければ好いけれどと、今日は残り物を持ち帰るから心配なのでした。結局、閉店の時間までお客の姿は見えないから、亭主は賄い蕎麦を食べるのを諦めて、大鍋や天麩羅のパッドを洗うのを避けたのです。撤収は速やかに、雨の止んでいる間に家に戻って、餃子ライスを作って遅い昼を食べるのでした。女将が雨に降られて帰って来たのは3時過ぎ。夜は寒いので鶏鍋にして、うどんを入れて暖まるのです。



12月6日 火曜日 今日は寒くて終日の雨模様 …



 深夜から対クロアチア戦の放映があったけれど、夕べは10時半になったらやはり眠くなって床に就いたのです。でも、やはり気になっていたからか、11時50分にふと目が覚めて居間に行くのでした。対スペイン戦の時よりも動きが好いように見えて、前半に得点を挙げたから嬉しかった。後半も点を入れられたけれど、何故か負けるような気がしないのでした。果たして延長戦にもつれ込んで、かなりの接戦だったから見応えがあったのです。最後のPK戦が残念。

 真夜中に興奮したせいか再び床に就いたのは4時過ぎで、7時半過ぎまでぐっすりと眠ったのです。女将が食堂でひとり朝食を食べていた。亭主も納豆とお新香で簡単に朝食を済ませ、珈琲を入れてもらってお袋様と仕入に出かけるのでした。外は冷たい雨だったので、農産物販売所にも野菜が届いていないかと思ったら、新鮮な葉の付いたカブや長葱、キャベツが並んでいたので買って帰る。キャベツは大きすぎて毎週使い残しているから困った。

 ちゃんこ鍋やホイゴウロウにでもしないと、なかなか一度にはなくならないのです。ロールキャベツなどという選択肢は和食中心の我が家ではなかなかない。買って来た野菜を冷蔵庫に入れたら、先週行くのを忘れた床屋に出掛けるのでした。どうして忘れたかは未だに謎ですが、月末と思っていたら何時の間にか12月になっていたのです。床屋の親父様も「歳を取ると時間が経つのが早いからね」と言う。家に戻ればもう12時を回っていました。

 昼は昨日残った蕎麦とキノコ汁でつけ蕎麦にする。キノコ汁も作ってすぐは美味しいけれど、何回も温め直しているとやはり味が落ちてくる。一度に沢山作らない方が、お客にも美味しく出せるのかも知れない。キノコも鶏肉も冷凍できるから、来週はその作戦で行ってみようか。女将のスポーツクラブの予約の時間まで1時間以上あったから、亭主は書斎に入ってひと眠りするのでした。今日は久し振りに夜更かしをしたから、寝ても寝てもまだ眠たいのです。

 予約開始の15分も前に、女将がスマホを持って書斎に亭主を起こしに来た。仕方がないのでまだ眠たい目を擦りながら、亭主は机に向かって煙草を燻らせ、窓の障子に陽が差しているような気がしたので、障子を開けて外の景色を眺める。ところが雨は辛うじて上がったものの暗い雲ばかりで、ほんの一瞬だけ太陽が姿を見せたのでした。寝入っているのを起こしたから悪いと思ってか、女将がお茶を運んで来たり、柿を剥いてくれたりとサービス満点なのでした。

 家に居ても寒いだけだから、蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みに取りかかる。まずは朝のうちに干し椎茸と昆布を浸しておいた鍋で出汁を取る。お湯が沸くまでに大根を切ってなた漬けの準備。今日は塩をして重しをかけておくだけなのです。小一時間かけて蕎麦汁と二番出汁を作ったら、冷蔵庫に収納したら家に戻るのでした。なんとなく寝たりないのか、頭がクラクラとして気分が優れないから、早めに夕食のお好み焼きを作って、風呂の時間までまたひと眠り。

カテゴリー
未分類

2022年11月末

11月26日 土曜日 寒い雨模様の一日でした …

 午前6時過ぎの東の空は、どんよりとした厚い雲が空を覆っていました。今日の天気予報は午前中は曇りで午後は雨、夕刻は曇りで気温も終日上がらないというものでした。蕎麦屋に出掛けて夕べ漬けたお新香を糠床から取り出せば、好い香りがしてくる。天気が悪く、気温も低ければお客は来ないと考えるのが当たり前だけれど、昨日の蕎麦は一つもないから、今日は蕎麦を二回打たないとと、いろいろな細かなことをあらかじめ済ませて、家に戻るのでした。

 朝ドラの終わる前に家を出て、何とか雨に降られずに蕎麦屋まで辿り着いた。みずき通りに出る角のお宅の山茶花も、雨風に打たれて散って、向こう側のお宅の蜜柑も大分黄色く色づいている。風は冷たく襟巻きをして家を出た亭主。季節は冬に向かっているのですが、今年はなかなか寒くならないのです。かと思うと今朝のように平年並みの寒さがやって来るから、身体の調節機能が壊れてしまいそう。薄着をしているともう鼻水が出て止まらない朝です。

 早めに蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、すぐに蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。二回の蕎麦打ちは、どうしても30分は余分にかかるから、手際よく進めなければいけないのです。加水率は44%で蕎麦粉を捏ね始めて、一つ目の蕎麦玉をこしらえたら、次ぎも44%の加水率でしっとりとした生地を仕上げる。厨房に戻って大根をおろしたら、一息入れてまた蕎麦打ち室へ。切りべらは26本で130gから135gの束を生舟に入れて行く。14食の蕎麦を用意できた。

 時計は10時を回っていたけれど、それから金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻み始めたから、やはり少しいつもより遅くなっている。女将が来てくれるから、店の掃除をしなくて好いのが唯一の救い。そんな日に限って、開店の10分前に駐車場に車が入ってきたのです。ご家族3人連れで奥のテーブル席に座って、天せいろとキノコつけ蕎麦を頼まれる。お子様には小さな椀をお出しして、お母様が蕎麦を分けて食べさせていた。金柑大福も一つご注文。

 外の温度は13℃で、こんな寒い日だからお客が続くはずもなく、女将と二人で暇をもてあます時間が続いたのです。そこに玄関を開けて現れた女性が手を振るから、誰かと思ったらなんと下の娘ではありませんか。マスクをしているから女将も亭主も判らなかった。娘二人を市川の劇場に連れて行って、そのままユーカリまで来たらしい。女将の古稀のお祝いにと花を持って来て、昼はお客として蕎麦を食べたいというから、キノコつけ蕎麦をすぐに出してやる。

 すぐに次のお客がいらっしゃるが、娘の食べている蕎麦を見て、美味しそうだと思ったのか、こちらもキノコつけ蕎麦を頼まれる。金柑大福までご注文されて、今日はデザートもキノコ汁も完売なのでした。洗い物や片付けものを終えて2時半には女将と家に戻ったのです。書斎に入ってひと眠りしたら、夜は大相撲を途中までしか観られずに、防犯パトロールに出掛けて行く亭主。寒い中を亭主よりも年配の人々が集まって、一緒に元気に団地の中を歩くのです。




11月27日 日曜日 暖かな陽射しが …

 7時間以上眠って、今朝も7時前に目が覚める。昨日の夜の防犯パトロールで疲れたか。最近は蕎麦屋の行き来以外に、ほとんど歩かないから、運動不足の亭主にはちょうど好いのかも。蕎麦屋の昼の営業で、毎日6時間ほど厨房の中で立ちっぱなしだから、筋肉を使わないわけではないけれど、歩くのはやはり生活の基本なのでしょう。昨日の蕎麦屋で疲れたのは女将も同じだから、どうしても朝食が少し遅くなる。寒くなると尚更辛くなるのかも知れない。

 昨日の悪天候に比べたら、今朝は雲一つない青空で気持ちが好かった。庭の金柑の実もだいぶ色づいてきたから、今年は沢山の実が採れるのだろうか。陽射しは暖かいけれど、風が少し冷たい。亭主は蕎麦屋まで襟巻きをして出掛けるのです。看板を出して幟を立てたら、チェーンポールを降ろして今日の仕事を開始する。蕎麦打ち室に入って750gの蕎麦粉を計量したら、計量カップに水を入れて、捏ね始めれば少し柔らかい。昨日よりも少ないのに不思議だ。

 気にするほどではなかったけれど、伸せば綺麗に四隅がそろう。何が良いのかちょっと解らなかった。切りべら26本で135gの蕎麦を8束と少々。昨日の残った蕎麦と合わせて、今朝は15食の蕎麦を用意できた。天気の好い日曜日だからとは言え、まさか15食は出ないとは、コロナ禍の経験から分かってはいる。ただ、余分に蕎麦があると余裕を持って調理が出来るのです。今日も開店と同時にお客さんがいらっして、続けて三人連れのご家族がご来店なのでした。

 金柑大福と野菜サラダは既に仕上がっていたし、キノコつけ蕎麦の汁も、女将が大きな鍋から移して温めてあった。最初のお客はカウンターに座ってぶっかけ蕎麦を頼まれた。次の三人連れは皆さん天せいろのご注文。天麩羅鍋の油が冷めないうちに、どんどん天麩羅を揚げることが出来たから、快調なスタートなのでした。前のお客が帰らないうちに、自転車でご夫婦がいらっして、温かい汁のぶっかけ蕎麦とランチセットのご注文。こちらもすぐに出せた。

 注文の品と蕎麦湯を出して、亭主が奥の座敷でひと休みしようと思ったら、すぐに「お客さんですよ」と女将の呼ぶ声がする。今度は天麩羅付きのヘルシーランチセットと天せいろを頼まれて、ゆっくりとお食事をなさって行った。女将がカウンターに下げた盆や皿を、亭主が少しずつ洗いながら、今日はこれで終わりかと思っていたら、1時過ぎに今度はバイクで中年のリピーターの夫婦がいらっして、天せいろとせいろ蕎麦の大盛りを頼まれる。

 ゆっくりと食事をなさって「蕎麦は勿論だけど、大根のなた漬けが美味しい」とご主人が言って店を出る。柏からのツーリングだと聞いて、お気を付けてと声をかけるのでした。2時近くになって、亭主はやっと昼の賄い蕎麦を食べられた。2時半には家に戻って、女将が柿を剥いてくれる。書斎でひと眠りしている間に、女将は買い物に出掛けたらしい。夕食は大相撲の千秋楽を観ながら、亭主がお好み焼きを作り、夜はサッカーのワールドカップと忙しかった。



11月28日 月曜日 昨日とはうって変わって寒い曇り空 …

 5時半に家を出て蕎麦屋に向かう。混んだ日の次の日は、食材が欠けているから、補充しなければいけない。天麩羅の具材を切り分け、生シイタケ、ピーマン、ナスとそれぞれの容器に入れていく。かき揚げの容器も空になっていたから、玉葱を刻んで水にさらして補充しておきます。6時を過ぎて陽が昇る時間だと外に出れば、雲がかかって今朝は日の出も見られない。犬の散歩で通りかかった農家の親父様が、「早くから大変だね」と朝の挨拶をしてくれた。

 小鉢を確認したら残りが四鉢しかなかったので、レンコンとニンジンでキンピラを作る。材料は店にある物ばかりで何とか間に合わせるのです。七鉢あれば間に合うだろうとは思うけれど、不安がないわけでもない。でも今日は日中も寒いと言うから、そもそもお客が来るかどうかも分からないのです。もし万が一、足りなければ野菜サラダを出してもいい。過去にもそんな経験があったなと思い出す。定休日前の月曜日は、決して多く用意しすぎてはいけない。

 家に帰れば、亭主が居間に入ったのを聞きつけた女将が、台所に入って「お早うございます」とお互いに朝の挨拶をする。おかずは茄子とピーマンに豚肉を入れて味噌炒め。そして、縞ほっけの塩焼き。蕪の葉とシメジの味噌汁。これで十分。今日もひと眠りはしないで、髭を剃って珈琲を一杯飲んだら、8時半には家を出る亭主。蕎麦は昨日の残りが確か4束あったから、500gだけ打てば好い。風が冷たい通りを蕎麦屋までゆっくりと歩いてくのでした。

 今朝は暖房を入れておくのを忘れたから、蕎麦屋の店内は13℃しかなかった。これでは蕎麦を打つには寒すぎると、ほうじ茶を入れて暖まる。真冬なら、10℃以下でも蕎麦は打つのに、このところ温かい日も多いから、急に寒くなると、どうも調子が出ないのです。44%弱の加水で蕎麦粉を捏ね始め、ちょうど好い柔らかさで蕎麦玉を作り、ビニール袋に入れたらしばらく寝かせておく。その間に、厨房に戻って、大根と生姜をおろし、薬味の葱を刻むのです。

 蕎麦を打ち始めてもなかなか身体が暖まらないから、今朝は大釜に早くから火を入れて、蓋を開けて蒸気が室内に上るようにしておきました。亭主の座る厨房の椅子は、大釜の前にあるから、背中から暖めてくれるといった寸法。野菜サラダの具材を刻んで今日も三皿に盛り付けるけれど、たとえお客が来てもこの寒い日にサラダを頼む人はいないだろうとは思っているのです。それではどうしたら好いのかと思い詰めれば、いつもと同じにするのが一番と気づく。

 開店の準備を整えて、少し早めに暖簾を出したけれど、昼を過ぎてもお客がないから、やはりこの寒さでは普通は蕎麦は食べないと思うのでした。やはり冬場の集客には、手間はかかっても、鍋焼きうどんとかけんちん蕎麦とか、何か暖かくて美味しいものを用意しなければいけないかも知れない。あの店の熱々の鍋焼きうどんが食べたいと言うようなインパクトがないと、お客の数は自然と減るばかりだと思うのです。本格的に寒くなる前に宣伝しなければ。

 結局、2時間経ってもお客の姿は見えず、通りを歩く人の姿もないのでした。ぶっかけの賄い蕎麦を茹でて、大根おろしと山葵と天かすで食べる亭主。お客が来ないとなれば洗い物は最低限にしたいから、さっさと撤収の準備を済ませて家に戻るのです。女将が帰る時間よりも過かなり早く帰宅したから、書斎でひと眠りして夕刻からのブログ書きに入るのでした。11月も今日で営業は終わり。去年よりも若干お客の数は増えているのが、救いなのかも知れません。


11月29日 火曜日 なま暖かい風の吹いた日 …


 東の空が真っ赤に燃えているようだったから、急いで車に乗って蕎麦屋に出掛けたのです。向かいの畑の奥に続く森の向こうから、あさひは昇るはずだったけれど、陽が出る時刻にはもう空は雲で覆われていたのです。結局、天気予報通りに今日は曇り空一色で、時折、薄陽が差す程度。なま暖かい南風が吹いて、気温はどんどん上がっていくようなのでした。今朝は出汁を取って蕎麦汁まで作るのが、朝飯前のひと仕事です。小一時間の作業に終われる。

 昨日のうちに干し椎茸と昆布を浸けておいた3㍑の鍋に、沸騰直前で昆布と干し椎茸を取り出して削り節を入れる。灰汁を取っているうちに湧き出してくるから、火を止めてそのまま削り節が沈んでくるのを待つ。これを2㍑の鍋に濾して入れ、残りはボールに入れて濾す。ボールの一番出汁は、後ろのシンクの水を張った盥で冷やし、鍋の一番出汁には返しを加えて沸騰直前で火を止める。2リットルの一番出汁に対して返しの量は600cc強です。

 次ぎに二番出汁を取るのですが、寒い日が続くと温かい汁が出るので、先週も最後は5㍑の出しが全てなくなった。鍋の縁まで目一杯に水を入れて、追い鰹で6㍑の二番出汁を取っておきます。そのうち1.5㍑は温かい汁にするから、200ccの返しを加えて沸騰直前で火を止めるのです。水で冷やした一番出汁は、蓋をして鍋のまま冷蔵庫に入れる。二番出汁はステンレスの容器に1.5㍑ずつ入れて、水で冷やしてから冷蔵庫に。温かい汁の鍋はそのまま冷蔵庫に。

 使った鍋や濾し網を洗っていたら、時計はとっくに7時を回っていたけれど、定休日だから女将もゆっくりだろうと、家に帰ればいつもより遅い時間に朝食の支度が終わるのでした。ベーコンエッグと豚汁だけでもう亭主は満腹になるけれど、蕎麦屋で残った小鉢も責任上食べなければいけないから、ちょっとお腹が苦しいのです。そんな時は書斎に入ってすぐ横になってひと眠り。30分ほど眠ったら、苦しいお腹も治まったのでした。

 洗面と着替えを済ませてお袋様に電話をしたら、今日も仕入れに出掛けるのです。農産物直売所ではいつもの農家が朝採りのキャベツやカブを持って来てくれていた。いつも蕪の葉が新鮮なので、先週もすぐに茹でて何日か美味しく食べ続けたのです。里芋もいつもの農家のものを買って、今週は小鉢に筑前煮を作る予定。小さめの芋は家に持ち帰って夜の酒の友にするつもり。今日は随分と沢山買い込んだので、片付けるのに時間がかかった。

 11時過ぎに家に戻れば、ちょうど女将も買い物から帰って来て、昼はキノコつけ蕎麦の汁が店で残ったから、二人で付け蕎麦にして食べるのでした。昨日の小鉢の残りも昼で終わったから、夜は新しいおかずが食べられる計算。2時過ぎに女将のスポーツクラブの予約をするまでは、午後の仕込みにも出掛けられないから、食後の時間を無駄にしてはいけないと、煙草や酒をあらかじめ買いに出る。無事に希望の席を取って、ひと休みしたら蕎麦屋に出掛ける。

 洗濯機の中に入ったままの昨日の洗濯物を干したら、厨房に入ってまずは柚子の皮切り。小さな柚子だけれど綺麗な粒だからと買い求めてきたのです。中身を取り出して、皮の内部の白い部分を包丁でそぎ落とす。皮をみじん切りにしたら、小さなハックに入れて冷凍しておくのです。他は全て家に持ち帰り、女将が柚子ジャムを作ることになっている。亭主がパンでも食べれば使うけれど、だいたいは女将がヨーグルトに混ぜて食べてしまうのです。

 白餡を水と氷糖蜜で溶いて火にかけたら、煮詰まるまで弱火で時間をかける。その間に筑前煮の材料を切って、鶏肉を炒めたら他の具材も全て炒めて、出し汁で煮込むのです。出汁醤油と砂糖で味付けをしたら、根菜類が柔らかくなるまで更に煮込んで出来上がり。硬く詰まった白餡はタッパに入れて急速冷凍しておきます。4時半になったから、小粒の里芋と柚子の中身を持ち帰って女将に渡す。夜は鶏の手羽中を塩で焼いて、ニュースを見ながら一献です。


11月30日 水曜日 いよいよ11月も終わり …

 二階の階段の踊り場から東の空が赤く燃えるのが見えたから、急いで通りに出て空を眺めたけれど、もう陽の光は見えなかった。それでも今朝は青空が広がるのかと思っていたのに、朝食を食べ終えた頃には、空はどんよりとした曇り空。やはり天気予報通りなのでした。定休日だからか朝の女将と亭主の動きも緩慢で、朝食を食べる食卓に料理が並んでも、箸の進むのが遅いのです。暖かな朝だったから、暖房も入れずに静かに二人で食事を終える。

 いつもと同じ時間に亭主は蕎麦屋に出掛け、今朝はまず塩で押し漬けしてあった大根を取り出し、砂糖を加えて酒粕に漬ける。柚子の皮の千切りと京唐辛子の輪切りを加え、蓋をしてまた冷蔵庫に入れておくのでした。このなた漬けがとても美味しいと言ってくれるお客もいるから、大根の美味しい季節には毎年作っているのです。小鉢にして出す小物はメインの料理ではないけれど、ひと味違ってお客に喜ばれるのが嬉しい。料理人の造る喜びが広がる。

 次ぎに蓮根の皮をピーラーで剥いて、酢水で茹でている間に、隣の火口でキノコ汁を仕込む。出し汁で細かく切り分けた鶏肉を茹でて、次々といろいろなキノコを入れていくだけだから簡単なのですが、出汁醤油で味つけをしてからがちょと慎重になる。2㍑の鍋に1㍑の二番出汁を入れて、キノコを加えて煮込むと2㍑近くになるのですが、出汁醤油だけでは味に奥行きが出ないので、蕎麦汁を加えるのです。この分量を味見をしながら考えるのが難しい。

 つけ蕎麦で食べるから、少し濃いめでないと汁の味が薄まってしまうのです。レシピに記録していないから、加える出汁醤油や蕎麦汁の量は、いつもだいたいが目分量で、味見をする亭主の舌の感覚で味は決めている。11時前には家に戻って、庭の金柑が随分と黄色く色づいていたから、写真に撮っておきました。やはり今年は暖かいのでしょうか、例年なら年が明けないとこんなに黄色くはならないのです。今年は柚子が豊作だという事情が分かる気がする。

 昼はまた先週に残った蕎麦だから、蕎麦屋の真空保存室に残っていた海老を天麩羅に揚げて持ち帰ったら、これが甘くてとても美味しかったのです。お客に美味しい食べ物を出せるのが料理人の喜びだから、高価な海老もたまには食べてみるものだと思ったのです。蕎麦湯を飲んで満足した亭主は、書斎に入って1時間ほど眠ったのでしょうか、目覚めれば女将はスポーツクラブに出掛けていた。午後はまた整形外科へ行ったり夕刻の防犯パトロールと忙しい。

 薬をもらうだけなので医者も時間はかからないから、その前に煙草を買いにコンビニに行って、ついでに夜の酒の肴を買ったら、蕎麦屋に寄って午後の仕込みを終わらせてしまう。蕎麦豆腐を仕込んだら、天麩羅の具材を切り分けて、ラップをして冷蔵庫に入れておくのです。小鉢のために作った筑前煮となた漬けは、明日の朝飯前に盛り付けておこう。明日からは気温もぐんと下がると言うから、果たしてどれだけお客が来るものなのか。

 2時半過ぎには蕎麦屋を出て医者に行けば、開業前で廊下の椅子に座って一番で並ぶ。近くの薬局で処方箋を出して薬をもらうまでに約20分。薬局ではマイナンバーカードを取り扱っていると言うけれど、整形外科では使用できませんと張り紙がしてあった。スマホは使っていても、時代の変化にはなかなか対応できないのが亭主の年齢だからちょうど好い。家に戻れば4時前だけれど、夜のパトロール前に夕食を食べてしまおうと、餃子を焼いてご飯を食べる。

 下宿暮らしの学生時代には、近所のラーメン屋で食べる餃子ライスはかなりの贅沢だったのを思い出す。今では自分で包んだ餃子を冷凍して保存出来るから、自分で納得した味の餃子を食べられる。50年近く経った今でも、苦労した時代の思い出は忘れないから、とても満足して食後のひと眠りに入ったのです。1時間ほど寝込んだら、女将が「出掛ける時間ですよ」と起こしに来てくれたので、集合時刻に遅れずに出掛けられた。歩き回って汗びしょの夜でした。

カテゴリー
未分類

2022年11月下旬


11月20日 日曜日 朝よりも寒かった日中 …


 今朝は8時半には家を出て蕎麦屋向かう。自分の影が通りに映ったから、振り返れば雲間から陽が出ているのでした。これが今日太陽を見た最初で最後なのです。空は厚い雲に覆われて、時折、雨までぱらついたから天気予報通り。今朝は少し早めに蕎麦屋に着いたから、蓮根の皮を剥いて酢水で茹で、冷凍の白餡を水と氷糖蜜で溶かしていく。弱火で溶かしている間に、蕎麦打ち室に入って蕎麦を打ち始めるのでした。加水率は43%強。なかなか好い仕上がり。

 上手く仕上がる時は、菊練りの段階でもう生地が滑らかになっている。これがざらざらとしている時には、伸してもやはり綺麗には仕上がらないのです。しっとりとした蕎麦玉をビニール袋に入れ、厨房に戻って白餡の煮詰まり具合を見る。女将が来て「レンジの火が点いているわよ」と大きな声で言うから、「弱火で白餡を煮詰めています」と亭主が蕎麦打ち室から応える。気を使ってくれるのは嬉しいが、認知症の一歩手前と思われるのも辛いものがある。

 白餡を仕上げるには、それほど時間がかかるものなのです。以前はそれを大手亡豆の皮を剥き、茹でて濾していたのだから気が遠くなる。今は業務用冷凍の白餡を買って煮詰めるだけ。業務用の方が殺菌されているから長く日持ちかがすると、何処かのサイトに書いてあった。餡が煮詰まる前に蕎麦玉を伸して畳んで包丁切りまで、十分に終えられたのです。今日はまた少し均等な厚味を意識できたかも知れない。四隅は少しだけ丸みが小さくなったのです。

 切りべら26本で135gは変わらない。8束の蕎麦を生舟に並べ、残った半分の束は昨日の半分と合わせて、今日の賄い蕎麦にしよう。昨日は5束残ったから、今日の蕎麦は合計は13束。この寒さだからお客がそれほど来るとは思えないので、ちょうど好い量かも知れなかった。野菜サラダの具材を刻む前に、大釜に火を入れて、やっと硬くなってきた白餡を、二つのタッパに移して一つは急速冷凍室に入れ、もう一つは冷蔵庫に入れておく。

 野菜サラダを今日も三皿盛り付けて、暖簾を出して営業開始。ちょうど11時半になった頃に、隣町からいつものご夫婦が車でやって来る。奥様が先に店に入って「主人は例によってカレーうどんみたいよ。私はキノコつけ蕎麦をお願いします」と、もう注文を考えてある。追加で串焼き四本。お二人に注文の品を出し終える頃に、次のお客がいらっして、こちらは鴨南蛮蕎麦と鴨せいろのご注文なのでした。鴨を一度に二人分焼けるから世話がないのでした。

 皆さんお帰りになって洗い物を済ませたから、亭主は端切れの蕎麦を茹でて、小さな椀で賄い蕎麦を食べておく。食べ終わった頃にまたご夫婦がいらっして天せいろ二つを頼まれる。日中の方が朝よりも寒い日なのによくお客が来てくれると有り難いのでした。もう終わりだろうと亭主は奥の座敷で一休みしていたら、「お客さんですよ」と女将が呼ぶ。女将の友だちの女性が、いつもの野菜サラダとせいろ蕎麦を頼まれて、今日はサラダがすべて売り切れた。

 昨日と同じ人数が今日もご来店なのでした。寒い日だからやはり温かい汁の蕎麦が多く出たけれど、椀物は洗うのが楽で好い。何と言っても皆さん汁まで綺麗に飲み干して帰られるのが嬉しい。明日の天気はまだ見ていないけれど、今夜は雨になりそうで、それほど温かい日にはならないのでしょう。蕎麦も明日は500gだけ打てば足りそうで、小鉢もキノコ汁も十分にあるから今夜はゆっくりと出来そう。風呂に入って身体を温め、オンザロックで焼酎を飲もうか。




11月21日 月曜日 雨の降る寒い日だったけれど …


 朝飯前のひと仕事に蕎麦屋へ出掛け、一年振りに金柑の甘露煮を作った。雨が降っていたので6時前の辺りはまだ真っ暗な状態。種を取るために半分に切った金柑からは、柑橘系特有の香りが漂って身体の中から目覚めて来るようなのです。竹串で一つ一つの実から種をほじくり出して、鍋に入れて酢水で茹でる。少し柔らかくなったところで笊に取り、今度は水と氷糖蜜で煮込んでいくのです。宮崎産だけれど、これからの時期は、何と言っても金柑が美味しい。

 昨日の洗濯物を干して、その前に干してあった洗濯物を畳んで、家に戻る亭主。今日は女将がいないから、全部自分でこなさなくてはならないのです。玄関を上がってそのまま食堂に行けば、どうやら今朝は鮭粥のようで、女将がグリルで焼いた鮭の身をほぐしていた。亭主は皮まで食べるから、自分でよそってスルスルッと喉に搔き込む。茶碗に二、三杯食べたらもう暖かくなって、空腹だったお腹も落ち着いたのです。今朝はぐっすり寝たのでひと眠りはなし。

 朝ドラの終わる時間に、今朝は車で蕎麦屋に出掛けて、まずは小鉢を盛り付けておきました。この寒さと雨だから、今日はお客が来ることはないだろうと諦めてはいたけれど、準備だけはしておかなければならないのが辛いところです。蕎麦打ち室に入って、今日は500gだけ蕎麦を打つことにした。昨日の蕎麦がまだ少し残っていたから、5人分を打ち足しておけば十分に足りる計算なのです。500gという量は、最低の量だからあっという間に打ち終えるのでした。

 それでも均等な厚味を心がけ、十分に伸して畳んで包丁切り。切りべらは26本で、135gの蕎麦の束を五つ切ったらもうお終いです。端切れは昨日の端切れと合わせて、今日の賄い蕎麦にするつもり。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み始める。レタスも、ブロッコリーもアスパラも、使い切ってしまわなければいけないので、多少多めに盛り付けて、今日は大サービス。天麩羅の具材の成りない分を切り分けて、大根をおろし、薬味の小葱を刻んで準備完了。

 11時過ぎにはテーブルをアルコールで拭いて、少し早かったけれど暖簾を出しておくのでした。開店の時刻を少し過ぎた頃に、近所の常連の小母さんが友だちを連れてご来店。いつもと同じ天せいろに野菜サラダを単品で頼まれて、ゆっくりと話をしながら昼食を取るのでした。小一時間経った頃に、次のお客がいらっして、せいろ蕎麦の大盛りと天せいろのご注文。奥様が「鍋焼きうどんはなくなったのね」とおっしゃるから「寒くなったら考えます」と亭主。

 それでもせいろ蕎麦の大盛りを美味しいと言って食べられて、蕎麦湯も綺麗に飲み干して帰られた。「前は二人でやっていたのに」と言われて、コロナ禍で人を雇えなくなったのだとを説明をする。雨は上がってきたけれど、寒い日なのによくお客が来てくれると有り難かった。1時を過ぎた頃にまた年配のご夫婦がいらっして、天せいろを頼まれる。「お蕎麦も美味しかったし、蕎麦湯もとろりとして美味しかったです」とご主人がわざわざ言いに来てくれた。

 お客とお客との時間は空いているものの、盆や皿を下げてテーブルを拭いたら、またお客が来るという感じで、亭主は洗い物をするわけにもいかず、カウンターに下げてそのままにしてあった。店が空いているせいか、皆さんゆっくりとなさるのでした。最後のお客が帰ったのは1時半近くなのでした。ラストオーダーの時間になって、暖簾を下げたら、天麩羅を揚げて大盛りで賄い蕎麦を食べる。やっと食後のひと休み。外は青空が広がって陽もさしてきた。




11月22日 火曜日 今日は好い夫婦の日なのだとか …


 今朝はゆっくりと目覚めて、お袋様と仕入に出かけました。空は昨日とはうって変わって青く、車の中は陽が差して十分に暖かい。農産物直売所で朝採りの新鮮な野菜を買って、隣町のスーパーに足を伸ばして、足りない食材を仕入れて来るのでした。店に戻って野菜を冷蔵庫に収納したら、今日は女将を車に乗せて佐倉の城址公園に出掛ける。年賀状に使う写真を撮りに、背景が少しは違った場所が好いかと、昨日から二人で話していたのです。

 愛犬のpekoが亡くなってからというもの、すっかり足が遠のいてしまっていましたが、毎年、季節の替わる毎に訪ねていたもの。肝心の歴史博物館にはすっかりご無沙汰しているけれど、最近は、知的な興味よりもやはり自然の移ろいに二人とも関心があるのです。駐車場に車を止めて、広い園内の景色を眺めながら二人で歩く。行き交う人の姿を眺めれば、皆年配の人ばかりで、若い人は仕事に出掛けている時間だから、年寄りにしか会わないのも道理なのです。

 それでも若い女性が一人で歩いていたり、小さな子供を連れたママさん達が賑やかに話をしていたりと、市民の憩いの場所と言うだけあって、広い敷地に伸びやかな雰囲気が広がるのでした。モミジの紅葉の前で写真を撮ったら、奥の銀杏並木までゆっくりと歩いて行く。木漏れ日に映えるモミジは、枝の先端だけ見事に紅葉して、場所によって寒さが違うのだと分かる。葉の落ちた木々が綠の下草と相俟って、今日の青空に映えているのもまた美しい。

 足の具合を気にしながらゆっくりと歩く亭主をおいて、女将はスタスタと歩いて先を行く。やっと銀杏並木に辿り着けば、予想したとおりに、黄葉は大分散っているのでした。黄色い絨毯が敷き詰められた中を、銀杏を拾う家族がひと組いるだけだったので、場所を選んで三脚を立ててカメラを据える。もう一週間早ければ見事だっただろうと悔やまれるけれど、こればかりは来てみないと分からない。女将と二人で駐車場への近道をたどり、階段を降りるのです。

 長い下りの階段を下りるのにも、亭主は足を庇ってゆっくりと歩く。冬場は見るものもない池には、鴨たちが群れて休んでいるのでした。陽の当たる場所には亀が甲羅干しをして気持ちよさそうなのです。近道だから下ったからには今度は昇りがあるのは先刻承知。下りよりも昇りの方が足の具合にはちょっと疲れる。女将が先に立って亭主を待っているのです。やっと昇り終えれば駐車場はすぐそこ。来たときには空いていたのに、もう満車状態なのでした。

 以前なら、近くの蕎麦屋で昼を食べていこうかと女将を誘ったものですが、最近は外で食べると言うことがまったくないのでした。そもそも出歩かないのが夫婦のコロナ禍の常識なのですが、蕎麦を食べるなら、自分で打った新蕎麦の残りを食べるのが一番と、妙な自信があるから倹約になるのかも。今日は昨日残ったキノコ汁が沢山あるから、昼はキノコつけ蕎麦にしようと二人で決めていたのです。20分ほどで家に着いたら、早速、湯を沸かして蕎麦を茹でる。

 キノコつけ蕎麦を店で出すようになってから、初めて食べるから興味津々。キノコ汁が確かに美味しく、蕎麦もコシがあって好いのだけれど、食べているうちに汁が薄まって味が薄くなるのが難点。もう少し濃い味つけにしないと、お客も嫌がるだろうなと考えた。午後は食後にひと眠りをして、蕎麦屋に出掛けて出汁を取る作業。先週は温かい汁が随分と出たので、5㍑の鍋を満タンにして二番出汁を取っておくのでした。大相撲を見ながら、朝採りの蕪の葉のお浸しと衣かつぎで一献。銀ダラの塩焼きがまた美味しかった。

11月23日 水曜日 珍しく終日の冷たい雨 …


 寒い朝でした。朝方に寒さで目が覚めて、着込んでまた眠ったら今度はぐっすりと7時まで眠ってしまいました。台所で朝食の支度をする女将も、今朝は随分とゆっくりで、寝過ごした亭主と歩調が合っていたのです。寒い朝は豚汁が特に美味しく感じる。亭主の見立てで買って来たシャケも脂が乗って味も好い。シャケが苦手な女将は銀ダラを焼いて食べていた。蕎麦屋の前の畑の親父様から頂いたピーマンは肉厚で、ツナと煮込んだらこれがまた好い。

 朝ドラの終わる時間に家を出て、冷たい雨の降りしきる中を、蕎麦屋に着いたらまずは珈琲を入れて一服する亭主。今日の段取りをつらつらと考えるのです。鶏肉を切り分けて二番出汁で煮たら、キノコをどんどん入れて味つけをする。隣の火口では切り干し大根の煮物を煮詰めて、小鉢のひと品目が完成。塩漬けにしてあった大根を取り出して、柚子の皮を刻んだら甘酒の素を入れてなた漬けを漬け込む。午後には小鉢の二品目が出来上がる計算です。

 11時には家に戻って昼の支度をする亭主。今日は蕎麦屋のかき揚げの材料で残った玉葱と人参を使って、カレーチャハンを作るのでした。女将が傍らで肉や卵を冷蔵庫から出してくれるから、最後にカレー粉を振りかけて15分ほどで出来上がり。粉末のコーンポタージュのスープをお湯で溶いて、紅ショウガや青海苔をかけて昼食の出来あがりなのです。祝日だから、テレビは何も面白い番組をやっていない。ニュースだけ見て二人はご馳走様なのです。

 食後のひと眠りは30分で、女将の稽古場に行けばまだ家にいるからどうしたのかと思ったら、「今日は休日なのでスポーツクラブはお休みです」と言われる。今日は勤労感謝の日なのでした。分かっているはずのことが、つい頭から消えてしまうから、これが怖いのです。今朝も鶏肉と三ツ葉を家の冷蔵庫に忘れて、午前中の仕込みが出来ないからと、蕎麦屋から取りに戻った亭主。いつものことだけれど、老いの徴候は少しずつ始まっているのです。

 朝から降り続ける冷たい雨は午後も降り止まずに、空は朝も昼も同じ暗さなのでした。まずは明日の小鉢に、切り干し大根の煮物となた漬けを盛り付けて、ラップでくるんで冷蔵庫に入れる。明日も蕎麦は8食しか打たないつもりでいるから、8鉢もあれば足りるだろうという計算です。最近は、時期的になた漬けがあるので、ぬか漬けは木曜日の夕刻に漬けるようにしている。霜が降りる季節になれば、これに白菜のお新香を漬けるから、季節で変わる小鉢。

 レンコンの皮を剥いて輪切りにしたら酢水で茹で、南瓜を切り分けてレンジにかけ、天麩羅の具材を切ったら容器に詰めてラップをかけて冷蔵庫に入れておきます。これで午後の仕込みはお終いだから、時間的には余裕のある定休日二日目なのでした。洗い物を済ませて布巾類を洗濯機で洗い、蕎麦屋を後にして家に戻るのです。女将が稽古場で今日の作品を書き終え、「お腹が空きましたか?」と亭主に尋ねる。4時過ぎだったから夕食にはまだ早かった。

 夕食はキノコ鍋にする予定だったから、うどんを加えて温まる。二人で大相撲を見ながら、新聞をよく読んでいる女将の解説で、誰が何歳で大関に戻るには何勝しなければいけないと、亭主はひたすら聞き役なのでした。休日のテレビは夫婦にとっては何も面白い番組がないから、ワールドカップの始まる時間までは、亭主もブログの記入に専念しているのです。天気予報では明日は晴れると言うから、どんな展開になるのかと楽しみにしている晩なのです。

11月24日 木曜日 暖かくなった一日でした …


 5時のニュースで日本がドイツに勝ったと知って驚いたのです。夕べはワールドカップの放映を途中まで観ていたけれど、ドイツに点を取られてもう眠くなったので床に就いたのでした。勝負の行方よりも、暖かくなると言う今日の蕎麦屋の方が心配で、とにかく早く眠って今朝に備えたのです。ニュースを見終えてまた床に入り、7時まで眠ったら、朝食を食べて今朝は朝ドラの始まる前に蕎麦屋に出掛けました。雨上がりの青く晴れた空が眩しかった。

 厨房で珈琲を一杯飲んだら、まずは一年振りに金柑大福を包んでみようと、求肥を作って白餡にくるんだ金柑を包んでいく。久し振りだから分量を思い出せずに、ちょっと大きめの大福になってしまいました。一口サイズにするなら、白玉粉は大福四つ分で70gぐらいが適当だと後から分かった。それを80gにして氷糖蜜と水を同量加えたから、自然と分量が増える。その分使う白餡も増えるから、大きな金柑大福になってしまったのです。

 それでもやっているうちに段々と思い出して、一袋200gの白玉粉を三回に分けて使っていたのだったと記憶が蘇る。レシピは何かに記録しておかなければとは思うけれど、ついついそのままになってしまうのです。朝はエアコンの暖房を入れていたのに、蕎麦打ちを始めたら暑くなって、窓を少し開けて暖房を消すのでした。今日の加水率は43%強。しっとりとした生地に仕上がり、四つ出しも厚味を均等にすんなりとクリア。少し丸みが出るのは仕方がない。

 これを無理に直角に修正しようとすると、どうしても四隅の生地が薄くなってしまうのが下手な証拠です。それよりも均等に包丁打ちをして、最後は多少短くなっても好いと考えた方が得策。切りべら26本で135gの束を八つ取って、まだ80gの束が出来たから、8,5人分の蕎麦を生舟に並べたことになる。これが今日は綺麗になくなったから、最近は木曜日が売り切れになることが多いのです。暖かくなったのが好かったのか、亭主は昼も食べずに調理をする。

 今日はお一人でいらっしゃるお客が多く、開店時刻を過ぎて間もなくご来店の最初の無精髭の親父様は、カウンターに座ってヘルシーランチセットを頼まれる。次は年配の女性がテーブル席に座って天せいろ。やっと二人連れのお客が入って、せいろ蕎麦と温かい汁のぶっかけ蕎麦。お茶を出して調理を始めるとまた一人と、休む間もないのでした。最初の親父様が「金柑大福は金柑の香りがして美味しかった」とわざわざコメントを言って帰られる。

 そのうちに隣町の常連さんがいらっして、いつものように野菜サラダとキノコつけ蕎麦。カウンターに一人でせいろ蕎麦を食べ終えた若い女性は、盆や皿をカウンターの上に下げてくれた。そこに女将がやって来る。もう終わりだろうと思ったら、この間、キノコつけ蕎麦を食べて行かれたご夫婦が、今日は天せいろの大盛りとキノコつけ蕎麦。これで生舟の中の蕎麦はすべてなくなった。お蕎麦売り切れの看板を出して、やっと片付けに入るのです。

 洗い物をしていて気づくのは、蕎麦湯の入れ物が皆さん空で、綺麗に飲み干されていること。そして、キノコ蕎麦のお客は汁まで綺麗にのんんでいること。昼過ぎから気温が上がったらしく、エアコンを入れてないのに窓を開けた店内は22℃まで上がっていたのです。売り切れが続くと、土曜日には蕎麦を二回打たなくてはならなくなるけれど、明日の金曜日はどうなることか。当分は平日に8食を打って、様子を見た方が好いと考えるのです。




11月25日 金曜日 今日も日中は暖かな小春日和で …


 5時のニュースを見ながらお茶を一杯飲んだら、蕎麦屋に出掛ける亭主。夕べ漬けた糠漬けの仕上がりが気になって、少し早めに行ってみたのです。寒さはそれほどでもなく、店の中は昨日の温もりが残っているから、15℃なのでした。外は日の出がまた遅くなったのか、晴れているらしいのに6時過ぎになっても、まだ太陽は昇って来ない。冷蔵庫から糠床を出して、漬けた野菜を取り出せば、ちょうど好い漬かり具合。漬けすぎると胡瓜も縮むのです。

 洗濯物を畳んで忘れ物はないかと厨房を見回して、玄関の鍵を閉めるのです。家に戻ればもう7時。今朝はベーコンエッグに豚汁でしたが、蕎麦屋で漬けたお新香の端切れを持ち帰ったので、ご飯のおかずにしました。家で女将の漬けたお新香もあったけれど、味が薄いからと亭主は敬遠するのです。食後にお茶をもらったら、書斎に入ってひと眠り30分。今日は小鉢も盛り付けてあるからゆっくりとしてしまった。9時前に家を出れば風が少し冷たい。

 蕎麦屋に着いたら早速蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打つ。今日は早くに蕎麦がなくなった昨日の反省から、800gの蕎麦を打ち9人分を用意した。それでも足りない時は売り切れてしまうのだけれど、一食分でも余分にあると少し余裕が出来るのです。昨日と同じく気温は上がらなくても天気の好い一日らしいから、もしかするとお客が来るかも知れない。二日続けて混むことはないとは、長年の経験から分かっているけれど、今日は世間では給料日だから … 。

 加水率43%強で蕎麦粉を捏ねて、しっとりとした生地を仕上げたら、伸して畳んで、切りべら26本で130gの束を9つ生舟に並べる。135gだとちょっと足りない時があるので用心したのです。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻みながら、大根をおろしたり、薬味の葱を刻んだり、大釜の湯が沸けばポットに入れたりと忙しい。今日も女将はいないから、11時前には準備を終えて店の掃除をしなければいけない。室温は23℃と汗ばむほどなのでエアコンは消してある。

 開店時刻になったら、いきなり3人連れのお客様がいらっして、お茶をお出しすれば「何がお薦めですか」と聞かれたので、「天せいろが一番出ます。二番目は最近はキノコつけ蕎麦が人気です」と応える亭主。ご夫婦は天せいろの大盛りと普通盛り、お婆様はキノコつけ蕎麦を頼まれる。これでもう4束の蕎麦を使うから、心配になってきた。料理を出し終える前に次のお客がご来店で、12時前に5人のお客とは平日にしては珍しい。仕事着姿のお二人でした。

 鴨せいろとキノコつけ蕎麦のご注文で、鴨を焼いてからキノコ汁を温めて、同じ時間にテーブルに運ぶ。テーブル席が一杯になった時に、車がもう一台駐車場に入って、女性二人がいらっしゃる。まだ12時半前だというのに、蕎麦はもう残り少ないのです。取りあえずお蕎麦売り切れの看板を出して、ご注文のぶっかけ蕎麦を作ってお出ししたら、少し様子を見る亭主。駐車場は満車だから、これ以上お客は入れない。皆さんがお帰りになったら1時を過ぎた。

 亭主の食べる賄い蕎麦の分だけ蕎麦が残ったので、おろしと山葵で蕎麦を茹でて食べてしまう。二日とも売り切れというのは偶然なのだろうか。こういう日が平日に続くならば、コロナ前のように一日二回の蕎麦を打たなければいけない。その覚悟は出来ているつもりだけれど、寒くなる冬場はお客が減るのが蕎麦屋の宿命。鍋焼きうどんやけんちん蕎麦も考えてはいるものの、取りあえずはキノコつけ蕎麦で凌ぎたいところ。一人の営業だと手を広げられない。

 家に帰ってひと眠りしたら、隣町のスーパーに出掛けてキノコ汁の具材やレンコンを買い求めてくる。そのまま蕎麦屋に寄って、早速、キノコ汁を仕込んでおくのです。暖かい蕎麦の汁も鍋に一杯用意しておく。予備の一番出汁に返しを加えて、蕎麦汁も作っておくのでした。午後から雨だと言う明日がもし混めば、新しい出汁取りの準備をしなければいけない。野菜サラダが三皿全部残ったので、夜は牡蛎フライにしてもらって、女将と二人でサラダを食べる。

カテゴリー
未分類

11月中旬

11月12日 土曜日 今日もお蕎麦売り切れで嬉しい悲鳴 …

 今朝の6時前の空はどんよりと雲が垂れ込めていました。夕べ漬けたお新香を糠床から取り出すために、眠い目をこすりながら蕎麦屋に着いた亭主。珈琲を入れて目を覚ましながら、小鉢の数を確認すれば、筑前煮は3鉢しか出来ないので合計10鉢。昨日までのお客の数からすれば、週末だからちょっと足りないかも知れない。一番早く出来るのは切り干し大根の煮物だけれど、早朝には蕎麦汁の補充もあったので、洗い物を片付けたら、作る暇はなかったのです。

 家に戻って東の空を見れば、雲間から青空が覗いている。天気予報はあまり当てにならないのが最近の傾向だから、なんとか時間を作って、小鉢を作らなければ。一番大変な状況を見越して仕込みはしておくもの。幸いにもデザートは蕎麦饅頭が冷凍してあるから、作らなくても大丈夫なのです。連日のお蕎麦売り切れで、今日も蕎麦を二回打たなければならないから、少し早めに家を出て、なんとか二回の蕎麦打ちを終わらせなければならない。

 女将の用意してくれた朝食を食べ終わったら、このまま蕎麦屋に行けるだろうかとひと休みしたら、やはり無理だと分かって書斎でひと眠りするのでした。朝ドラの終わる時間に目覚めて、すっきりした頭で髭を剃り、着替えを済ませて再び蕎麦屋に向かうのです。玄関を出れば庭の金柑がやっと色づき始めて、今年も沢山の実がなりそうなので嬉しかった。早朝とは違って雲のない空が広がって、風もなく暖かな朝なのです。やはり天気予報とは違うのです。

 みずき通りの手前のお宅には、もう山茶花が咲き始めていたのです。9時前には蕎麦屋に着いて、看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、早速、蕎麦打ち室に入って、二回分の蕎麦粉を計量しておきます。次の仕事のことを考えて、750gと500gでなんとか14人分の蕎麦を打てるように、今日は初心に戻ってひと束130gの蕎麦を打とうと考える。段々と雑になって135gとか140gとかになっていた最近の蕎麦打ちを少し反省したのです。

 加水率は43%。この時期はもう温度も湿度も関係ない。とにかく好く捏ねて練っておけば、好い生地に仕上がるものなのです。切りべら26本で130gだから、以前のように少し細い蕎麦が仕上がるのでした。コシはあるから十分な太さで、生舟一杯に14束の蕎麦を並べる。ここでもう10時を回っていたから、二回の蕎麦を打つと、やはり少し時間がかかるのです。次は、厨房に戻って大釜に火を入れたら、大根と生姜をおろして、野菜サラダの具材を刻み始める。

 週末は女将の来てくれる日だから、店の掃除をしなくて済むので助かる。天麩羅油を天麩羅鍋に入れて温め、天つゆの鍋を冷蔵庫から出して温め、沸騰した大釜の湯をポットに入れて、天麩羅の具材を調理台に並べたところで開店の時刻でした。暖簾を出したらすぐにお客がいらっして、ヘルシーランチセットのご注文。帰り際に女将に「今まで食べたお蕎麦屋さんで一番美味しかった」とご主人が言ったと言うので、それを聞いた亭主も嬉しいのでした。

 昼前にはもうひと組お客が入って、お二人とも天せいろを頼まれる。お婆さんを連れたリピーターのご夫婦がいらっして、三人でキノコつけ蕎麦のご注文。皆さん綺麗に汁まで飲んでお帰りになる。その後も客足は止まらずに、亭主も女将も休む暇がなかった。小鉢で出したお新香が「とても美味しい」と、言うお客が何人もいたから驚いたのです。いつもと同じに新鮮な野菜を漬けているのに、糠床が少し緩くなっていたからなのか。確かめておかなくては。

 小鉢がなくなったので「お蕎麦売り切れ」の看板を出して、1時を過ぎたから好いだろうと思っていたら、昼過ぎに電話をくれて、「小一時間はかかるのだけれど」と言うから「今は空いていますけれど」と応えておいた家のご近所の常連さんが、6人連れでやって来たのでした。ちょうど切り干し大根の煮物を作っていたから、小鉢は足りたけれど、蕎麦はもう四つしかなかったから、お二人はうどんで我慢してもらった。全員が天麩羅のご希望なのでした。
 久し振りの混みようだったから、当然のこと亭主は昼を食べる暇もなく、夜は6時から防犯パトロールなのに、明日のお新香を漬けにまた蕎麦屋に出掛けて、カウンターの洗い物を片付け、空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を補充するのです。帰りにコンビニに寄って5時過ぎにやっとパンを買って昼飯を食べる。7時前にパトロールから戻っても、まだお腹は空いていないし、昨日作った餃子を焼いてもらって、焼酎を飲むのでした。明日も心配になってきました。


11月13日 日曜日 南風でとても暖かかった一日 …

 5時半過ぎに蕎麦屋に出掛けて、夕べ浸けておいたお新香を糠床から取り出す。外はまだ夜明け前で、向かいの森の際が明るくなっていました。天気予報では曇りのはずが、雲一つない晴天のようなのです。今日は南風だと言うから、日中はかなり暖かくなりそうなのです。最近、デザートで出している蕎麦饅頭がなくなったから、今朝は饅頭も作って蒸かさなければいけない。蕎麦も昨日で売り切れたから、今日も二回の蕎麦打ちと忙しいのです。

 早朝に出来ることは、昨日、女将に頼んで買ってきてもらったキノコを出し汁で煮て、キノコつけ蕎麦の出し汁をつくること。2㍑の鍋に沢山のキノコと鶏肉を入れて煮込むこと20分。キノコの香りが辺り一面に漂い、美味しそうなのでした。出汁醤油で味付けをして、最後に蕎麦汁を加えてつけ蕎麦のタレに合うように、味を濃くしておくのです。季節のせいかこのところ、お客様には大人気で、皆さん汁を綺麗に飲み干して帰られるのです。

 時計が7時を回ったから、家に戻って朝食を食べ、満腹になった食後のひと眠り30分。二回の蕎麦打つのは、それほど大変な事ではないけれど、習慣になった時間の感覚はすぐには変えられない。蕎麦屋に出掛けたのが8時45分で、店に着いて看板や幟を出し、チェーンポールを降ろしたら、もう9時になっていたのです。急いで蕎麦打ち室に入って、750gと500gの粉を計量し、43%の水を計量カップにそれぞれ用意する。後は一挙に集中するだけ。

 蕎麦を捏ねる時は丁寧に滑らかな生地になるまで練らないと、伸して広げたときに四辺の端がひび割れてしまうから、急いでいても急所は外せない。昔読んだ蕎麦打ちの本の中にも、確かそんなことが書いてあった。自分で実際に失敗をしないと分からないから、なかなか難しいのです。9時半過ぎに二つの蕎麦玉が仕上がった頃、女将が来て洗濯物を干し、店の掃除を始めてくれる。暑くなった亭主は水分補給をして、また蕎麦打ち室に戻るのです。

 10時過ぎには14食の蕎麦を打ち終えて、厨房に戻って蕎麦饅頭を作って蒸かし鍋に入れて蒸し始めるのです。それから野菜サラダを刻むから、今日は少しいつもより遅い時間なのです。開店の時刻の10分前には、もう駐車場にお客さんの車が入ってくるから、女将が出て店の中に入れる。お茶だけはお出ししたけれど「まだ準備が終わっていないんですよ」と言っても、お客はもう注文をしたがるから、キノコつけ蕎麦を勧めて野菜サラダを盛り付けるのでした。

 「とても美味しかったわ」と言って女性二人が帰った後は、しばらくはお客が来なかった。日曜日はお客の出足が遅いのは、いつものことなのです。1時前になったら続けてお客入り、天せいろやヘルシーランチセット、三人連れの常連さんはぶっかけ蕎麦にカレーうどん、キノコつけ蕎麦とバラバラのご注文だから手間がかかる。それでも黙々と調理をこなし、女将はお茶出しや配膳、会計にかかり切りになるのです。やっと終わりかと思えばまたお客が入る。

 今日は暖かくなったからか、歩いていらっしゃるお客もいたのです。最後の老夫婦も散歩の帰りらしいのに、温かいとろろ蕎麦は出来ないかとか、煮物の蕎麦はないかとか尋ねたけれど、結局は温かい汁のぶっかけ蕎麦と天麩羅蕎麦に落ち着いて、閉店の時間までゆっくりと食べていかれたのです。カウンターの皿に載せた蕎麦饅頭を、半分ずつ切ってサービスでお出ししたら、奥様が有り難がって礼を言って帰られた。あとは夫婦で後片付けと洗い物なのです。

 今日も9人もお客が入って、今週は随分とお客の来た計算です。蕎麦はまだ残っていたけれど、天つゆもなくなったので、1時半にはまだお客がいたけれど、お蕎麦売り切れの看板を出しました。女将も二日続けて混んだので疲れたらしく、今日はレジの打ちミスをしたらしい。亭主も昨日の混みようと、夜のパトロールで疲れた上に、またしても昼も食べずに仕事を終える。夕食は隣町のスーパーへ刺身を買いに出て、大相撲を見ながら簡単に済ませるのでした。


11月14日 月曜日 今日は寒さが戻って来た …

 午前6時前の東の空には分厚い雲がかかって、昇って来る太陽の光が下から赤く雲を照らしていました。今日は晴れるという予報だから、寒い北風でこの雲を南に向けて押していくのだろうか。朝飯前のひと仕事は、まず昨日の沢山の洗い物を片付ける事でした。丼やお椀が多かったので、みんなカウンターに干したままなのです。昨日は暖かかったのに、やはり季節のせいなのか温かい汁物が多く出た。冷たい蕎麦を頼んだ人と半々ぐらいなのでした。

 天せいろやぶっかけ蕎麦など天麩羅がよく出たので、天麩羅の具材がなくなっていたから、今朝は具材を切り分けて容器に詰めておきました。レンコンも皮を剥いたら輪切りにして、酢水で茹でておくのです。切り分けた南瓜は5切れだけ残っていたけれど、買い置きはもうない。寒い月曜日になりそうだから、それほどはお客も来ないだろうけれど、材料がないと不安ではあるのです。余分に買ってあるのはパプリカだけなので、代用出来るかも知れない。

 混んだ翌日は乾いた洗濯物も多いし、沢山干さなくてはならないから片付けも大変です。家で二人分の洗濯をするのはいつも女将だから、それに比べたら大した量ではないと、元気を出して干しては畳んで戸棚にしまっていく。朝食を食べたら、例によって書斎で横になってひと眠り。これがまた至福の一時なのですが、不思議なことに朝ドラの終わる時間には目が覚める。今日は蕎麦は500gだけ打てばいいから、お茶を入れてもらって一服するのでした。

 思った通りに早朝の雲はすっかり何処かに消えて、みずき通りを渡るときにも青空がずっと続いているのでした。ハナミズキの紅葉ももうすっかり散って、季節はいよいよ冬に向かっているのだと感じさせるのです。今朝は新聞の来ない日だから、直接蕎麦屋の玄関を入る。今朝の暖房の温もりが残っているのか、店の中は外よりもかなり暖かく感じる。看板と幟を出してチェーンポールを降ろしたら、いよいよ定休日前の営業と蕎麦打ち室に入る亭主なのです。

 蕎麦粉を計量して、計量カップに適当に水を入れて蕎麦打ち室の計りに載せると、ぴったり215gで43%の分量になっているから、何か好いことがありそうな予感がするのでした。水回しの手の動きも軽やかに、よく捏ね上げた生地はしっとりと仕上がり、伸して畳んで包丁切りをしても、最初のひと束目から綺麗に等感覚で蕎麦が切れたのです。週末の疲れもやっと抜けたのかも知れない。昨日の残った蕎麦と合わせて10食分を用意して今日の営業に備える。

 他に仕事がなかったから、今朝は野菜サラダの盛り付けも早めに終えて、11時前にはすべての準備が整ったのです。すると、店の前の通りに車を停めて歩いて来る人がいるではありませんか。まさかこんな時間にお客なのかと玄関に出てみれば、「11時半からなのですね」と言うから「もうお湯も沸いていますから、どうぞお入り下さい」と、珍しく30分前に営業を開始したのです。テーブル席に一人座ってんせいろを頼まれる男性は、初めてのお客なのでした。

 「今度は女房と友だちを連れて来ます」と蕎麦を食べる前から言うから、「お近くなのですか」と尋ねれば成田だと言う。仕事でよくこちらに来るのだとか。店の名前や蕎麦の産地などを聞かれて、他にお客もいないから亭主も「霊犀亭のレイは動物のサイのことなのです」などと丁寧に答える。壁に飾ってある名前の出典を知らせたけれど、ちょっと見ただけであまり関心がないらしい。それでも美味しかったと蕎麦湯を飲み干して帰られたのです。

 早くからお客が来ると、もしかして今日も混むのかとちょっと胸騒ぎがしたけれど、寒い月曜日だからそんなはずもなく、12時半になってもお客が来ないから、暇をもてあまして、かき揚げを揚げて賄い蕎麦をぶっかけで食べるのでした。1時まえになってやっと次のお客がいらっして「先日来たら1時頃にもう売り切れだった」と言うから「今週は珍しく混んだのですよ」と応える。いろいろと話をして、キノコつけ蕎麦と蕎麦湯が美味しいと言って帰られた。

 予報よりは少し気温が上がったらしく、窓を開けていても寒い空気は入ってこなかった。県の感染対策室とかから電話が入って、月に一度の店内検査に係員がやって来た。「ご苦労様です」と質問に答えて署名をしたら「また来月伺います」と言って帰っていく。日に十何軒も店を尋ねて歩くのだそうな。こんな小さな店なのに、見てもらえているだけでも有り難いと思わなくては。月曜日の片付けはお客が少なくても時間がかかる。やっと終わったのは3時過ぎ。

11月15日 火曜日 寒さが戻って雨の朝 …

 昨日から続いた寒さの上に、今日は朝から雨だったから、最近になく冷え込んでいました。8時間も眠ったのになかなか目が覚めなくて、蕎麦屋に出掛けて昨日の洗い物を片付け、珈琲を一杯飲むまでは動き回る元気も出なかったのです。昨日の洗濯物は乾いておらず、洗濯機の中の洗濯物をハンガーに干したら、お袋様に電話をする時間です。五日間使って固めた天麩羅油を外のゴミ袋に入れて、マンションまで彼女を迎えに行けば、傘も差さずに元気な姿。

 雨だから農産物直売所にも農家が荷物を持ってこないかと思ったら、次々とトラックがやって来て、採ったばかりの新しい野菜を運んで来るのでした。トマトはいつもの農家から、キャベツも丁寧に作ってあるからここで買う。ブロッコリーは蕎麦屋の常連のお宅から立派な物が出ていた。隣町のスーパーにも出掛けて、今日は金柑がやっと出て来たので少し多めに買い込んでおく。買い物袋に六袋も買って、お袋様に手伝ってもらって荷物を詰めるのでした。

 昼は昨日打った蕎麦を持ち帰ってきたので、天麩羅の具材を揚げたのをグリルで焼いて天麩羅と蕎麦。客が少なかったから、残った分量が多かった。満腹になって亭主は書斎で横になり、例によってひと眠り。よくもまあ眠れるものだと自分でも驚くほどなのです。それでも30分ほど眠ったら目が覚めるのですが、起き上がるまでが時間がかかる。手の指を握ったり開いたりして、血の巡りを好くしてからやっと起き上がるのです。若いときとは違うから大変。

 午後は西の町のホームセンターに、店の備品を買いに出掛けなければいけなかったのだけれど、女将のスポーツクラブの座席を予約しなければいけないから、2時過ぎまではじっと待つ亭主。今日は席を取るまでが大変で、混み合っていてスマホが反応しないのでした。やっと最後に残った席を確保して女将に伝える。小雨の降る中をホームセンターに向かえば、近くの団地の脇にある公園の銀杏がもう散っていた。車を停めて写真を撮るのでした。

 団地の入り口まで帰ったところで、中央にある大きな公園の木々が綺麗に紅葉し始めていたから、また車を停めて写真を撮る。季節は思ったよりも早く通り過ぎているようなのです。先週はコロナの時期には始めてお客が40人を越えたから、随分と賑わった計算。コロナ以前はこれが普通だったと今ではもう思い出すことも難しい。また、感染者数が増えているようだから、外出制限が出るのかも知れない。蕎麦屋に戻って、出汁取りをする亭主。

 温かい汁が沢山でそうな陽気だから、今日は二番出汁を5㍑のなべに追い鰹で取るのでした。これで小一時間はかかるから、今日はもう仕込みを終わりにして、家に戻って女将と一緒に相撲中継を観るのです。新聞をよく読む女将の解説が絶妙です。夜は久し振りに鱈ちりの鍋にして焼酎を煽る。明日の仕事が随分と残ったので、今日は早めに寝て明日に備えようと思うのです。あまり動いていない一日だったから、夜がぐっすりと眠れるかと心配なのでした。



11月16日 水曜日 霧の朝 …


 午前5時半、家を出るときは下弦の月が煌々と輝いていたから、てっきり晴れるのだろうと思っていたら、蕎麦屋に着く頃には空は濃い霧に覆われているのでした。佐倉市の予報では気温も4度まで下がると言っていたから、今朝は初霜なのかと思っていたら、それほどまでは気温も下がらなかったらしい。それでも店の中は14℃と冷えているから、鼻水が出て止まらない。エアコンを入れて室内を温めたら、朝飯前のひと仕事にとりかかかるのでした。

 昨日使って洗ったままの鍋やボールを片付けて、蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めていく。残った蕎麦汁は容器に移し替えて、2㍑のこの鍋はキノコ汁を仕込むのに使うのです。鶏肉を小さく切り分けて、二番出汁で煮込んだら、シメジ、エノキ、ナメコ、マイタケ、刻んだシイタケと入れていくと、もう鍋は一杯になる。出汁醤油で味つけをして、更に蕎麦汁を加えて味に深みを出させるのです。少し冷ましたら、蓋をして冷蔵庫に入れておく。

 家に帰って朝食を食べたら、例によって書斎に入ってひと眠り。夕べは床に就いたのが11時過ぎだったから、今朝は少し寝不足なのでした。血行が悪いのか、どうも頭がクラクラするのです。朝ドラの終わる時間まで1時間ほど眠ったけれど、まだ寝足りないと床に入ってもうひと眠り。定休日だから、あまり時間に縛られずに、身体がすっきりと目覚めるまで眠ることにしている。太陽が出て少し暖かくなったから、青空を眺めながら再び蕎麦屋に出掛けていく。

 それでも店の中は16℃だから、またエアコンを入れて午前中の仕込みを開始するのでした。寒くなったせいか、カレーうどんが結構出るので、今日はまずカレーの仕込み。「具だくさんのカレー」とメニューにも書いてあるから、大蒜と生姜をみじん切りにして油で炒めたら、鶏肉を入れ、大きめに切った玉葱と茄子、次ぎに刻んでおいたニンジンカボチャ、シメジを加えてよく煮込んでいきます。その間にミニ菜園にベイリーフの葉を取りに行って鍋に入れる。

 よく火が通るまでには少し時間がかかるから、蓮根の皮を剥いて脇切りにしたら、隣の火口で酢水で茹で始める。南瓜のスライスをレンジでチーンして、午後にやる天麩羅の具材の仕込みを始めておくのです。女将の午後のスポーツクラブがあるから、11時半には家に戻って昼飯を作るのが定休日の亭主の勤め。カレーの残りも持ち帰ったけれど、「古い物から消化して」と言われて、蕎麦屋の残り物を使って、コンソメスープとカレー炒飯を作る。

 午前中に随分と眠ったから、昼飯の後はひと休みしただけで、また蕎麦屋に出掛けていくのです。午後の仕込みのメインは小鉢の筑前煮。朝のうちに塩を振って、重しをかけておいた大根のなた漬けも作らなければなりません。具材を全て切りそろえて、ボールに入れておいたら、鶏肉を刻んで油を引いた中華鍋で炒めて、野菜を入れて次々と炒めていく。二番出汁で煮込んで、ニンジンや里芋が煮えたのを確認して、出汁醤油と砂糖で味付けをするのです。

 筑前煮は材料を刻むのに時間がかかるから、最近は牛蒡も人参も里芋も下茹でをせずに、一気に煮込んでしまう。ひと休みしながらあとは何が残っているのだろうと考える亭主。蕎麦豆腐の仕込みと天麩羅の具材の切り分け。30分もあれば終わる仕事だけれど、洗い物や後片付けがあるから、簡単には終わらないのです。今夜は6時半過ぎから夜の防犯パトロールに出掛けなければならない。帰りにコンビニに寄って、牛乳と卵サンドを一つ買って食べておく。


11月17日 木曜日 朝は昨日よりも寒かったけれど …


 夕べの防犯パトロールが効いたのか、今朝は朝食の時間までぐっすりと眠ってしまいました。やはり最近は、店を往復する以外ほとんど歩いていないから、年配の人たちとの夜のパトロールが亭主のリハビリになっているのです。右足の親指はもうすっかり痛みもないのですが、潰れたという軟骨が変な具合に固まったのか、歩くときに多少足の裏に違和感があるのです。本人はあまり気にしていないけれど、五体満足と言うのは実は大変な事なのですね。

 今朝は蕎麦屋の電線に止まった雀が、近づいても逃げないでいるから写真を一枚。朝ドラが始まってすぐに家を出たのは、小鉢の盛り付けや昨日の洗い物の片付けがまだ済んでいなかったから。筑前煮と大根のなた漬けは、どちらもお客には好評の一品です。定休日の夕刻にぬか漬けを漬けに店に行くのも実は大変なのです。店の中は12℃と、最近にはなく寒かったので、エアコンの暖房を入れて珈琲を一杯入れたら、9時前には蕎麦打ち室に入るのです。

 加水率は43%といつもと同じで、しっとりとした生地が仕上がったから、伸して畳んで包丁切り。切りべら26本で135gにして、ちょうど端切れが残らない程度に切り終えるのです。少ない分量を打つからか、どうしても四辺の隅がぴたっと決まらないのが気になる。最後に切るひと束は、畳んだ隅が丸まっているから、少し長さが短くなるのです。計量して少し多めにも切っておくので、お客にも十分出せるけれど、もっと緻密に蕎麦を打ちたいと思うのは性分か。

 蕎麦打ちを終えて厨房に入れば、昨日の最後にレンジ周りを掃除したのが綺麗で心地よいのです。天麩羅鍋に新しい天麩羅油を入れたら、野菜サラダの具材と大根、小葱、生姜を調理台に並べ、換気扇を回しながら一服して、さあてどれから始めようかと考える。小葱を刻んだら、大根と生姜をおろして、ブロッコリーとアスパラを茹でながら、レタスをちぎり、キャベツの葉を切りそろえたところで、大釜のお湯が沸くのでした。時間は十分にあるから大丈夫。

 ところが、野菜サラダの具材を刻んでいるところで、駐車場に車が入って来たのです。まだ11時過ぎだというのに困ったものです。年配の女性二人だったから店の中に入ってもらって、とにかくお茶だけ出してと思ったら、この間、キノコつけ蕎麦を二日続けて食べにいらっしたお客様。サラダを盛り付ける手を止めて、今日も仕込んであったキノコ汁を温める。蕎麦を茹でるだけだから配膳も早いのです。その間に例の少年がやって来てカウンターに座る。

 「今日はお婆ちゃんの蕎麦をテイクアウトして」と言うので、普通なら断るところだけれど、家も近いから彼が食べている間に、入れ物を捜して用意してやる。テーブル席の小母様たちが「僕ちゃん偉いわね」と褒めて帰られる。3人の盆や皿を洗い終わったところで、隣町の常連さんがいらっしゃる。野菜サラダとキノコつけ蕎麦を頼まれて、例によって話をはじめるのでしたが、駐車場にはまたお客が。ちょうど女将が手伝いに来てくれて助かった。

 あと一人分しか蕎麦がなかったので、「一人なら入れてあげて下さい」と言って、カレー蕎麦と天麩羅蕎麦を仕上げる亭主。もうこれで終わりだろうと、かき揚げを揚げて蕎麦を茹で、奥の部屋で食べていたら、一人のお客がいらっしたとかで、女将に呼ばれる。隣町に住む県の議員さんで、天せいろの大盛りのご注文でした。気温も20℃には届かない寒い日だったのに、木曜日だというのにお蕎麦は売り切れて、今日の晴れた空のように気持ちが好かった。



11月18日 金曜日 同じ寒さでも昨日とはうって変わって …


 午前6時半の東の空です。森の向こうに陽は出ているのでしょうが、太陽はまだ見えない。この時期、まだ日の出は遅くなっているらしいのです。蕎麦屋の中は昨日の早朝と同じく12℃。すぐにエアコンの暖房を入れないと寒いのです。珈琲は家で飲んできてしまったし、とにかく糠床を冷蔵庫から取り出して、水道からお湯を出したままにして糠床から漬けた野菜を取り出す。手が冷たくて仕方がないのです。冬場はもっと冷たくなるのかと考える。

 キュウリ、カブ、ナスとお湯で洗って、包丁で切り分け、小鉢に盛り付けていく。ちょうど八鉢盛ったところで、ほんの少しだけ残ったナスはラップにくるんで家に持ち帰り、朝食の食卓に載せる。寒い朝は温かい豚汁が有り難い。食事を済ませてお茶をもらったらもう書斎でひと眠りの亭主。眠ったのかどうか分からないうちに、30分ほど時間が過ぎて、洗面と着替えを済ませるのです。エアコンの暖房だけでは、ちょっと身体が温まらない。

 女将が見ている朝ドラの終わる時間に家を出れば、バス通りの青く晴れた空に南天の赤い実がよく映えていました。風は冷たいけれど陽射しは暖かく、晩秋の一日の始まりなのだと実感するのです。今朝も「今日はまだ金曜日なんだなぁ」と亭主が言えば「まだ今週は始まって二日目なのよ」と女将が呆れ顔で言い返したのでした。亭主一人で営業しているせいか、週の前半をとても長く感じる。土曜日曜はあれよという間に終わって、月曜日はまた一人きり。

 蕎麦屋に着いて看板と幟を出したら、チェーンポールを降ろす。店の中は今朝方エアコンを入れたままだったから、十分に暖かくなっている。蕎麦打ち室に入って蕎麦粉を計量し、篩で細かく振るえば、さらさらの粉が木鉢に溜まって、水回しの時を今か今かと待っている。今朝も43%の加水で750gの蕎麦粉を打つ。手の小さな亭主には、ちょうど好い分量。生地が滑らかになるまで捏ねたら、両手で包み込むようにして菊練りをする。蕎麦玉を仕上げて厨房へ。

 身体が熱くなったので暖房を消して窓を少し開ける。室温は19℃まで上がっている。これから伸しにかかればまた汗をかいてくるのです。懸案の四隅の角をしっかりと作ろうと伸すけれど、無理をするとどうしても角だけ生地が薄くなってしまうから困った。まだ均等の厚さに伸し広げられていないのに違いない。自然に任せて伸し棒を転がしていくと、いつものように角の丸まった生地に仕上がるのです。それでも、蕎麦切りをするには均等の太さになる。

 130gから135gまでの分量で蕎麦の束を作っていくと、8束と半分の蕎麦が取れた。これが開業の当初に決めた適量なのです。それは年配の女性には少し多いくらいなのですが「130gがちょうど好い」と亭主が最後に蕎麦打ちを教わった、今は亡き老人の言葉なのでした。朝の散歩の折にも、蕎麦打ち室の窓から、亭主が蕎麦を打つのを見守ってくれたのです。彼の打った蕎麦は、ほとんど打ち粉も使わずに、綺麗に四角形に伸されていたのを覚えている。

 大根をおろして野菜サラダの盛り付けを終えたら、今日は11時にはもう開店の準備が終わっていました。昨日の早い時間のお客が頭にあったから、効率よく仕事が終えられたのかも知れない。最後にキノコ汁を温めて、寒い今日はどれだけ出るだろうかと皮算用。しかし、昼を過ぎてもお客はなく、やはり昨日がたまたま多かったのだろうかと思えてきた。1時を過ぎてもお客がないので、亭主は蕎麦を小さな鍋で茹で、おろしと山葵だけでぶっかけにして食べる。

 片付けを始めた1時半過ぎに、駐車場に軽トラックが入って来たので、見れば年配の女性が二人でいらっしゃる。お友だちに「絶対ここで食べてみて」と言われて来たと言うのですが、ヘルシーランチセットの天せいろを頼まれて、ゆっくりと話をされていかれたのです。メニューを見て「これだけ多くのメニューを全部一人で作るの?」と驚いておられた。亭主はそれでも独りの営業になって、メニューから削った品が多かったので心苦しい限りなのでした。

 お客の帰ったのはなんと2時半で、結局、使わずに済むと思った大鍋も天麩羅鍋も、バットも洗って片付けたから、家に帰ったのは3時過ぎなのでした。珍しくスポーツクラブから帰った女将の方が先に家に着いていた。夜は、定休日に作ったカレーの残りを持ち帰っていたから、カツカレーと朝から決めていたので、亭主が車でショッピングモールに出掛け、さぼてんでロースカツを二枚買ってきた。昭和の新宿で有名だった店のカツだけあって美味しかった。

11月19日 土曜日 風は冷たく陽は暖かく …


 午前五時半に家を出て、今朝は返しの仕込みが朝飯前のひと仕事なのです。一週間は寝かせないといけないから、早め早めに仕込んでおくのが肝要。減塩醤油も再仕込み醤油も、もう残りの本数がなくなってきているから、発注をかけておかなければ。隣の火口では天つゆの仕込みをしながら、寒い朝も元気にスタートを切るのでした。空になった蕎麦汁の徳利に新しい蕎麦汁を詰めて、今日一日の蕎麦屋の賑わいを祈るのです。

 家に戻って朝食の食卓に付けば、今朝も熱い豚汁が身体を温めてくれる。釜から自分でご飯をよそったら、いつもよりちょっと多すぎたけれど、おかずも沢山あったのでなんとか食べ終えたのです。朝の早い日は、例によって食後は書斎に入ってひと眠り。今日はぴつたり1時間も寝てしまいました。朝ドラもとっくに終わって、女将は洗濯物を干すのに忙しい。髭を剃って着替えを済ませ、「行って来ま~す」と女将に声をかけて玄関を出るのです。

 9時を過ぎて蕎麦屋に着いたら、早速、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。加水率は43%強で、少し柔らかめの方が四隅を伸すのに都合が好いかと、75cmの伸し棒で伸して、90cmの伸し棒で生地を巻く。丁寧に四隅を伸して行けば、昨日よりは少しましかという出来具合。あまり神経質にならなくても、要は生地の厚味が均等であれば好いので、打ち粉を振って包丁切りに入る。切りべら26本で135gとイメージ通りの蕎麦か仕上がるのでした。

 食後に少し長く眠って遅れた時間は、蕎麦玉を寝かせずにすぐに伸して取り戻したから、厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、今日も三皿だけ盛り付けておくのでした。女将が来てくれる日は、店の掃除をしてくれるから、亭主も随分と気が楽なのです。11時過ぎには開店の準備か整って、暖簾を出すのは亭主の仕事。昼前にご近所のご主人がいらっして、前回はカレーうどんだったから「暖かい汁ならキノコ付け蕎麦がありますよ」と勧めてみたのです。

 どうやら奥様が出かける日は、蕎麦屋に食べに来ているらしく、「落ち葉の掃除が私の仕事です」と随分と優しい。キノコつけ蕎麦がとても美味しかったと、綺麗に汁まで飲み干して帰られたのです。昼前にもうひと組ご夫婦がいらっして、キノコつけ蕎麦と天せいろのご注文。「新蕎麦になったんでしょ」とか「何処の蕎麦なんですか」とご主人はこだわりを見せていたけれど、キノコつけ蕎麦を食べて「美味しかった」と帰りは笑顔で出て行かれたのです。

 ひと組のお客のご注文の品を調理している間に、次のお客がやって来るというのが今日のパターンで、少し若いご夫婦にはカウンターしか空いていなかった。暖かい天麩羅蕎麦とせいろ蕎麦の大盛りを頼まれて「今月から新蕎麦になりました」と女将が言えば「何処の蕎麦?」と言うから「常陸蕎麦、茨城産です」と亭主が応える。いろいろと話をしたいと見えて、一つ一つ丁寧に答える亭主。綺麗に蕎麦湯まで飲み干して帰られたから、満足してくれたのかな。

 最後のお客は軽トラックにブナの木の輪切りを沢山積んで、娘さんとお父様と言った感じ。リピーターさんらしくヘルシーランチセットと辛味大根とせいろ蕎麦のご注文なのでした。デザートの蕎麦饅頭が美味しいと娘さんが言うから、外の車を指差して「薪にでもするんですか」と亭主が尋ねれば、隣町で薪屋をしているのだと言う。店のチラシを置いていくので「お客に見せますよ」と応える。寒いけれど陽は暖かい午後なのです。空は青く清々しかった。

 

カテゴリー
未分類

2022年11月上旬


11月5日 土曜日 思ったよりも陽が差したけれど …

 今日は一日曇りの予報でしたが、朝は少しだけ青空が覗いて、朝日の輝きが見えたのです。昨日にに比べたら、随分と気温が下がって、これで曇っていたらいくら土曜日でもお客は来ないと思った。そんな状況でも、営業の準備はしておかなければならないから、今朝の朝飯前のひと仕事に、キノコつけ蕎麦の汁の仕込みに出掛ける亭主なのでした。二日続けて随分とキノコつけ蕎麦が出たので、昨日の夕刻にキノコと鶏肉とを仕入れて来たのです。

 沢山の種類のキノコと鶏肉を使うから、どんぶり勘定で900円で出したのは好いけれど、あまり利益は上がらないのは計算済みなのです。ただ、天麩羅を揚げたり、鴨や長葱を焼いたりする手間がなく、作り置きの汁を温めて蕎麦を茹でれば済むから、少しは他の調理の時間を稼げるというメリットがあるのです。しかも、寒くなってきたこの時期に、熱々の汁はキノコの香りが漂って、美味しいと言うのが専らの評判だから、しばらくは作り続けるつもり。

 冷蔵庫の中の小鉢や蕎麦汁の数を確認して家に戻る。朝食は茄子とピーマンの味噌炒めと具だくさんの豚汁がおかずで、昨日残った大根おろしはシラスを載せて出されていた。食事を終えたら書斎に入ってしばらく横になる。昨日も10時には床に就いたから、睡眠は十分のはずなのに、腹が一杯になってウトウトするのが心地よいのです。30分ほどで正気に戻り、洗面と着替えを済ませたら蕎麦屋に出掛けていく。向こうの丘の上にある公園の木々が紅葉していた。

 今日は蕎麦がほとんど残っていなかったので、900g10人分を打ってみた。なぜ1kgで打たないかというと、伸した時に狭い伸し台の上では横幅が窮屈で、いろいろ片付けるのが面倒なのです。それに捏ねる時に力が更に要るから、ちょっとだけ減らしたのです。最近の反省から、四隅を綺麗に伸そうと巻き棒を使って、75cmの伸し棒で本伸しにかかる。加水率は43%にしたのだけれど、あまり柔らかくはならなかった。それでも30分以内に打ち終えたから好かった。

 42%の加水の時よりも、少しだけ柔らかくなった生地を畳んで、包丁切りに入れば、実に調子好く蕎麦が切れてくれた。蕎麦粉の好いせいか、打ち方が以前より少しは進歩したからか、最近は自分で食べてみてもコシがあって美味しい蕎麦だと感じる。蕎麦好きのお客は、そんな蕎麦の仕上がりに、結構、敏感なようなのです。今日は10分前にリピーターのご夫婦が来て、「春蕎麦のように新蕎麦と書いた幟を出せばいいのに」と言われたが秋蕎麦の幟にはない。

 昼前にもう一人お客がいらっしてカウンターに座り、ぶっかけ蕎麦のご注文。外は16℃と寒いから、それからがお客が来ない。まどから隣の畑をみれば、椋鳥たちが何やら地面を啄んでいるのです。1時を過ぎたから蕎麦を茹で、昼飯を食べて仕舞おうと思ったところで、駐車場に車が入ってくるのでした。男性客がテーブル席に座って天せいろの大盛りのご注文。十分に油を温めてから、揚げる天麩羅はカリッと仕上がった。奥の座敷で亭主も賄い蕎麦を食べる。

 今朝は忙しかったにもかかわらず、寒いからと蕎麦饅頭を茹でたのだけれど、結局、一つも出なかったのです。急速冷凍して明日と明後日に備える。小さなお子様達には、カルピスとバームクーヘンをサービスしているのですが、菓子が切れたというので、明日はこの饅頭を温めて出しても好いかも知れない。お客が来ればの話だけれど。洗い物も済んでいたから、今日は片付けにそれほど時間がかからなかった。女将と二人でやるから時間的にも助かるのです。

 昼過ぎから時折は陽が差して、少しは温かくなって来たのです。でも遅かりし。家に戻って柿を剥いてもらったら、亭主は書斎のパソコンに向かって、今日の売り上げと写真のデータを入力する。女将はひと休みしたら歩いて買い物に出掛けるのです。これが彼女の疲労回復の秘訣らしい。亭主はテレビを観るでもなく、書斎で横になってまたひと眠りするのです。夜は亭主がお好み焼きを焼いて、今日残った三皿の野菜サラダをすべて消化するのでした。



11月6日 日曜日 昨日よりも寒く風が冷たい …

 今朝は7時までぐっすりと眠ってしまった。11時には床に就いたのに、朝が冷え込んだからかよく眠れたのです。お新香を漬けていないと、糠床から漬け物を出す心配がないので、ちょっと緊張感が途切れる。朝食には亭主が美味そうだと買ってきた焼き鮭がやっと出て来た。塩味が薄くて脂が乗っているから、ご飯のおかずにはちょうど好いのです。具沢山の豚汁は最近の定番。野菜は下茹でしてあるから、肉と葱を入れてすぐに出来る。身体が温まるので好い。

 今日も見事に晴れた朝でしたが、風が昨日よりも冷たく感じる。それでも陽の当たる場所は暖かいから、隣のコスモス畑まで足を伸ばして写真を撮る。コスモスも随分と息の長い花なのだと知った。蕎麦屋に戻って厨房に入れば、やはりヒンヤリとするので、暖房を入れる。昨日のうちに出汁取りの準備をしておいたのを、すっかり忘れていたから慌ててレンジに火を点ける。速攻で一番出汁、二番出汁を取っても40分はかかるから、大失敗なのでした。

 それでも今朝は蕎麦を、500gだけ打てば好かったので助かった。昨日の土曜日にお客があまり来なかったから、沢山用意した蕎麦が余っていたのです。9時過ぎには出汁を取り終えて蕎麦汁も作り、そのまま冷蔵庫に入れて急いで蕎麦打ち室に入る。湿度も室温も関係なく、今日も加水率を43%にして、綺麗な仕上がりの蕎麦を打てたのです。生地の硬さかがちょうど好いのと、打ち粉がたっぷり振りかけて、駒板の滑りがスムーズで包丁切りが手早く出来た。

 外は晴れていたけれど、気温は低く、陽射しがあっても、冷たい風が開けた窓の隙間から入って、なかなか暖まらないのです。そんな中を、暖簾を出したらすぐに、いつもの常連さんご夫婦がご来店なのでした。暖かい蕎麦かまたカレーうどんだろうと、キノコつけ蕎麦のご案内をしたら、お二人ともご注文。野菜サラダと串焼きを四本も頼まれて、ご主人は例によってデザートの蕎麦饅頭。続けていらっしたご夫婦は、ヘルシーランチセットのAとB。

 野菜サラダが一挙に三皿出て、蕎麦豆腐と蕎麦饅頭も出たので、亭主と女将は嬉しいのでした。キノコ汁の予備は冷蔵庫の鍋から移して、また温めておく。作った物が次から次へとなくなっていくのは、作る亭主も配膳する女将もやり甲斐があるというもの。昼前にまだ気温も低いのに四人お客があったので、今日はこれでお終いかと、1時を過ぎたら亭主は賄い蕎麦を作って食べておきます。ところが、まだ蕎麦があるならすぐに行きますと電話が入ったのです。

 向かいの畑の奥には柿の木が何本もあって、熟した柿を長い竿で落とした親父様が、その場で食べている風景がのどかなのでした。電話の主が友だちらしい女性を連れていらっしたのは、もう1時半近くなのでした。その後にもまたご夫婦がご来店で、結局、キノコつけ蕎麦は3杯も出たことになる。皆さん汁まで綺麗に飲み干して「美味しかった」とおっしゃってお帰りになるのでした。最後のお客が帰られたのは、もう閉店時刻の2時を回っていました。

 洗い物も片付けも女将と二人だからすぐに終わって、家に戻って亭主は女将に柿を剥いてもらうのです。夜はまた寒くなるからと鶏鍋にしようということになり、蕎麦屋から残りそうな長葱や椎茸などを持ち帰って、女将は足りない物を買いに出る。陽が出ているから暖かいけれど、陽が落ちる頃には随分と寒くなるのでした。取り皿に二杯ほど取って食べたらうどんを入れて、また二杯。亭主はそれですっかり腹一杯になるのです。すっかり身体が温まった。


11月7日 月曜日 昨日よりも寒い朝 …

 寒さで一度目が冷めて暖房を入れたら、また眠ってしまった朝。今日は9時間も眠った計算です。食堂に行けば女将がシャケ粥を作ってくれたから、二杯だけ食べてもう身体が温まる。朝ドラが終わるのを見計らって「行って来ます」と声をかけて家を出る亭主。陽は出ているけれど昨日よりも寒いのです。ゴミ出しに出て来た隣のご主人に会って「もう出掛けるんですか」と言うから、「お客が来なくても準備だけはしておかなくては」と応える亭主なのでした。

 空を見上げれば絹雲が青空にたなびいて、今朝は鳥たちの姿も見えない。玄関前に看板を出し、幟を立てて「ヨイショ」とかけ声をかけ、屈んでチェーンポールを降ろしていたら、ご近所の奥さんが通って「ヨイショが出ましたね」「何をするにもヨイショですよ」と言って笑う。こんなに広い空に絹雲が出るのも珍しいのです。蕎麦打ち前に片付けなければならない仕事は、結構、あるのでした。カウンターの上の洗い物を戸棚にしまって、次の仕事は … 。

 空の蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めて、昨日作っておいた南瓜と小豆の従姉妹煮を小鉢に盛り付け、割り箸やおしぼりを用意する。蕎麦打ちに入る時間を気にしながら、座敷に干してある昨日干した洗濯物を畳んで、今度は洗面所に行って洗濯機の中の昨日の洗い物を干すのです。女将のいる日はみんな彼女がしてくれるけれど、亭主一人の平日は、全部自分でやらなければいけない。身体を動かすのが健康には好いとは思っても、時間に追われるのはとても嫌なのです。

 それでも洗濯物を両手でパシッと広げて、綺麗に干していかないと、畳む時に面倒になるから、子どもの頃にお袋様に教わったとおりに、干していくのです。客が多いと盆や皿を拭く布巾類を沢山使うので、仕方がないとは思うのですが、これも習慣なのでしょう。9時過ぎには仕事を終えて、やっと蕎麦打ち室に入る。昨日の蕎麦が残っていたから、今朝はまた500g5人分だけ打って、今日は9人分の蕎麦を用意するつもりでいたのです。これなら楽勝です。

 昨日と同じく43%の加水で蕎麦粉を捏ね始めて、しっとりとした生地を仕上げて蕎麦玉を作る。ビニール袋に入れて寝かせている間に、厨房に戻って大根と生姜をおろしておきます。再び蕎麦打ち室に入って、蕎麦玉を伸していく作業は、60cmの伸し棒で十分なのでした。生地がちょうど好い柔らかさだから、綺麗に50cm幅で奥行き90cmまで伸ばして、八つに畳んで包丁切りです。切りべらは26本で140gといつもより心持ち太いのは、500gだと端切れが余るから。

 昨日よりも少し寒いと感じるから、窓は開店の直前まで閉めておいた。外は16℃だから、暖房を入れておいても22℃までしか上がらないのです。湿度が40%だから、体感では寒く感じるのでしょう。店の前のバス通りを通り過ぎる車を眺めながら、1時間は待ったでしょうか。こんな寒い日にはお客はなかなか来ないものと、諦めかけていたら、隣町の常連さんが車で乗り付けて、「キノコ蕎麦ください」と言う。野菜サラダに辛味大根もご注文なのでした。

 今日の話題はまたもや海外での体験談で、仕事でパキスタンやモルジブに行った時の怖かったというお話なのでした。何年前の話なのか、記憶力が好いとみえてつい最近の事のように話をされる。キノコつけ汁が美味しかったと帰られたのは、もう1時半近くなのでした。カウンターの盆や皿を下げて洗った亭主も、賄い蕎麦をぶっかけで食べる。暖簾も幟も下げて、チェーンポールも半分上げた後で、2時前にお客の車が入ってきたから驚きなのです。

 大釜の火も落としていたのけれど、「ちょっと時間がかかりますよ」と言って店の中に入って頂いた。女性はホワイトボードに書いたメニューを目ざとく見つけたらしく、キノコ付け蕎麦をご注文。男性客はせいろの大盛りを頼まれたのです。以前にも来たことがあるらしく、そろそろ秋の新蕎麦の季節だろうと寄ってくれたらしかった。2時半近くまでゆっくりとなさって、気の長くなった亭主も休み休み後片付けをするのでした。有り難いと思わなければ … 。



11月8日 火曜日 日中は小春日和で …

 今朝も7時起きで9時間も寝たことになるから、習慣というものは良きにつけ悪しきにつけ馬鹿には出来ない。お袋様を迎えに行くにはまだ早かったから、珈琲を一杯飲んで蕎麦屋に出掛け、今日の仕事の段取りを考えるのです。日中は暖かくなると言うから、先日の金木犀の剪定に続けて、駐車場のヤマボウシの木の剪定をしようかと、様子を見るのでした。夏に一度剪定したままで、その後に伸びた枝がぼさぼさになっているのです。

 今日は生ゴミの回収業者が来る日なので、午後の早い時間までに刈り取った枝を袋に詰めておかなければいけない。時間があれば、玄関前の柊南天の枝ももう少し短く刈り込みたいところ。空は何処までも青く、気温も少し上がってきたようなのでした。小春日和というのは今日のような陽気を言うのでしょう。農産物直売所には、沢山の旬の野菜が並んでいました。生産者の名前が書いてあるから、名前を知っている品質の好い農家の野菜を幾つも買い集める。

 隣町の魚屋スーパーでは、今日は太い長葱やパプリカがとても好い状態で出ていた。レンコンも新鮮なものが並んでいたので、嬉しいのでした。今週もキノコ汁を作るためにキノコを沢山仕入れておいた。そろそろ柚子も出て来たので、大根の美味しくなる季節だから、今年もなた漬けを漬け始めよう。白菜は随分出ているけれど、霜が降りるまでは買わないというのが亭主の考え。漬け物にするにはその方が甘くなると思うのです。

 今日は天麩羅の油も固めて捨てるから、その前に昨日残った天麩羅の具材を揚げて家に持ち帰る。昨日は閉店後までお客がいたのでもう天麩羅を揚げる気力がなかったのです。お蔭で家に戻って、揚げ立ててまだ暖かい天麩羅を食べられた。蕎麦の残りは二つ半だったから、亭主は大盛りを食べられたから好かった。美味しい蕎麦湯を飲むのが習慣だけれど、店のお客のように何杯もは飲めない。よほど蕎麦が好きな人が通ってくれているのだろうか。

 食後は例によってひと眠りかと書斎で横になるけれど、夕べ9時間も眠ったからさすがに眠れずに、意を決して蕎麦屋に出掛けて、駐車場の木々の剪定作業に取りかかる。ヤマボウシの枝を落とし、届かないところは長い剪定ばさみで切っていく。どうも朝日の当たる側だけが、葉が茂っているような気がしてならない。ついでに玄関前の柊南天のえだも大胆に短く切りそろえておく。成長が早いので、馬酔木や紫陽花の木が隠れてしまうのです。

 小一時間の作業で90㍑のビニール袋が一杯になったところで、上手い具合に業者がゴミを回収に来てくれたのです。洗濯物を畳んで昨日の洗濯物を干し、大根を短冊に切って塩漬けにしたら、午後の仕事はお終い。いつも幟や日除け暖簾を頼んでいる会社から電話が入った。今日は4時から五回目のワクチン接種に出掛ける予定なので、家に戻れば女将もちょうど作品を書き終えたところで、今日の仕入れのついでに買って来た柿を剥いてもらう。

 集団接種の会場に着けば、いつもより早い時間から長い行列が出来ていた。それでも大勢のスタッフが手際よく整理して、看護師のチェックが済んだら、接種場所に案内される。お酒と運動と長風呂は禁止と張り紙がしてあって、血行が良くなると副反応が起こりやすいのだそうな。風呂に入らなくても好いから、酒だけは少し飲みたいねと女将に話していたら、隣の女性が笑っていた。夕食後に夫婦で二階の階段の裏窓から月食を観る。もう直ぐ赤くなるのかな。



11月9日 水曜日 今日も晴れて寒い一日でした …

 今朝も寒い朝でした。夜中に寒さで目が覚めて、エアコンを入れれば好かったのに、我慢してそのまま眠ったら、やはりよく眠れなかったのです。7時まで眠って食堂に行けば、女将が朝食を用意してくれていた。定休日も二日目だけれど、朝ドラが終わる時間に蕎麦屋に出掛け、駐車場の剪定したヤマボウシを眺めるのです。後はモミジの上に伸びた枝を刈れば少しは綺麗になるかと思えた。お客の来る入り口だから、やはり、あまりみっともないのは好くない。

 雲一つない青空が出ていても、何故か寒い朝なのです。厨房に入って、昨日塩で浸けておいた大根を取り出し、小さなボールに甘酒の素を入れて漬け込んでいく。やっと店屋に出て来た柚子の皮を刻んで、唐辛子と共に漬け足します。一年ぶりだから、砂糖の量も好い加減で、味見をしてもよく分からないのが本当のところ。それでも、甘い分には浸けておけば味はこなれてくるはず。今回は柚子もまだ小さいから、大根も少量にして試作品のつもりなのでした。

 珈琲を飲み終えて筑前煮の仕込みに入るのでしたが、考えたら筑前煮は手間がかかるのです。ニンジン、蒟蒻、茹でたレンコンを切ったら、冷凍してある干し椎茸を戻して、更に里芋の皮を六方に剥き、半分に薄く切る。牛蒡を金タワシで洗って乱切りにして下茹でをしたら、笊に取って水を切っておく。最後にまな板を替えて鶏肉を切って、中華鍋で炒めていくのです。少しだけ作ろうと思ったけれど、やはり具が多いから量が増えてくる。

 隣の火口では、天麩羅の具材に使う新しいレンコンを茹でておきます。中華鍋には二番出汁を入れて煮込んだら、出汁醤油と砂糖で味付けをして、汁が少なくなるまで更に煮込んでいくのです。昼食の支度があるから、区切りの好いところで煮物はタッパに入れて、洗い物を済ませて家に戻る。昼はスパゲッティーをホワイトソースでとも思ったけれど、やはり寒いから野菜をたっぷり入れて湯麺にしました。冷凍室に残っていた餃子を焼いてちょっと中華風。

 食後のひと休みをしたら、女将はもうスポーツクラブに行く準備で、いつもなら亭主はここでひと眠りなのですが、夕べあまり眠れなかったにもかかわらず、このところの習慣で、今日は朝飯の後も昼飯の後も眠くならないから不思議。蕎麦屋のメニューや看板の写真を入れ替えて、最近人気のキノコつけ蕎麦を加えて何枚も印刷しておきました。ついでに店置きのパンフレットもなくなっていたので、新蕎麦の案内と共に15枚だけ印刷しておく。

 3時を過ぎて女将が帰ってきたら、今度は亭主が蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをするのです。空には少し雲が出て、少しは気温も上がったのでしょうか。蕎麦屋の中は18℃だつたから、エアコンは点けなくても動いていれば寒くはない。まずは天つゆを作って、予備の一番出汁にかえしを加えて蕎麦汁を作る。週末までは持たないダウけれど、キノコ汁の味つけにも使うから、余分にあった方が好いのです。天麩羅の具材を切り分けて、容器に入れてラッピング。

 最後に鶏肉を二番出汁で茹で、キノコをどんどん入れていく。出汁醤油で味つけをしたら、蕎麦汁を加えてちょうど好い味の濃さにするのです。陽も傾いてきたから、酒屋に寄って焼酎と炭酸を買いながら、コンビニのATMで明日の荷物の代金を引き出しておく。最近は売り上げの入金がないのでちょっと心配です。5時近くに家に戻れば、夜はまた里芋や隠元を茹でて好い酒のつまみ。昨日のワクチン接種の副反応などまったくなかったから嬉しいのです。


11月10日 木曜日 昼は気温も上がってすっかり蕎麦日和 …

 今朝も6時半までぐっすりと眠ってしまいました。夕べも10時には床に入っているから、最近は8時間から9時間は眠っていることになるのです。お蔭で体調は頗る好いのだけれど、今朝も朝飯前のひと仕事に行かなかったから、やることが沢山あって朝ドラが始まったらもう家を出るのでした。蕎麦屋に着いたら新しく印刷した看板や幟を出して、厨房に戻って蕎麦豆腐を造る。そして小鉢を盛り付けて、やっと蕎麦打ちに取りかかるのでした。

 今朝も加水率43%で新蕎麦の粉を捏ね始める亭主。店の中の湿度が40%だから、15℃の室温も寒く感じるのです。朝のうちだけだからと、エアコンを入れて蕎麦打ちに専念すれば、そのうちに暑くなってきて暖房を止めるのです。菊練りをして蕎麦玉を作ったら、ビニール袋に入れて寝かせている間に、厨房に戻って大根と生姜をおろし、薬味の小葱を刻んでおくのです。これで随分と時間が稼げるから、休憩もせずに蕎麦打ち室に入って蕎麦を伸して包丁切り。

 ここまで急いで仕事をしたので、やっといつもの時間に間に合って、二つの大釜に火を入れて野菜サラダの具材を刻み始めるのでした。 農産物直売所で仕入れたばかりのブロッコリーは、いつも買う女性の生産者で、丁寧に仕上げた野菜ばかりなので、180円で買ってもお釣りが来るくらい立派なのでした。トマトもいつも買う農家の作った物で、同じく直売所に出入りする農家の親父様も、褒めるくらい良く出来たものなのです。

 野菜サラダを盛り付けたら、新しい天麩羅油を鍋に入れて、天つゆの鍋を火にかけ、温まる間に店の掃除とテーブルを拭きを終えるのです。大釜の湯も沸く頃だから、ポットにお湯を入れて、11時過ぎには開店の準備が整う。外は青空が広がって段々と暖かくなったから、ちょうど好い数だけお客が来ればいいと、暖簾を出して開店の時間です。最初の一人がやって来て、ヘルシーランチセットを頼まれたら、続けてご夫婦がご来店。「順番にお出ししますから」

 そう言ってお茶を出したら、天せいろの天麩羅を揚げ始めるのです。「ご主人お一人でやっているのですか」と言われて、「土日は女将が手伝いに来るのですけれど、コロナ禍で平日は2、3人しかお客が来ないのです」と、お茶のポットをテーブルに置いてくる。のんびりとしたお昼時だと思っていたら、月曜日にいらっしたばかりの隣町の常連さんが車で乗り付ける。「辛味大根とキノコ漬け蕎麦をお願いします」と、だいぶキノコ汁が気に入ったようなのです。

 暖かくなったからか今日はその後もお客が続いて、1時に女将が手伝いに来てくれた頃には、もう蕎麦は売り切れていたのです。定休日直後の木曜日に売り切れになるのは珍しい。二人で洗い物と片付けをするから、2時過ぎには帰路に就き、後は夕刻に食材を届ける業者から荷物を受け取れはいい。昼を食べ損なった亭主は餅を焼いてもらって、書斎でパソコンに向かって今日のデータを入力。夕刻まで横になってひと眠りなのでした。

 4時を過ぎたら珈琲を入れて目を覚まし、再び蕎麦屋に出掛け、カウンターに干しておいた蕎麦皿や盆を片付ける。全部なくなった小鉢を補充して、空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めるのです。明日はまた出汁取りをしなければならない。いつもより早い時間に新人の業者が来たから、どうしたのかと思ったら、注文の品が全部そろわずに申し訳なさそうに「他の店を飛ばして来ました」と言う。珈琲を入れてやり、お勧めの冷凍牡蛎フライを二袋買うのでした。夕食には、早速、冷凍カキフライを揚げて試食するのです。


11月11日 金曜日 えっ、今日もお蕎麦売り切れ

 午前4時過ぎに目が覚めて、もうひと眠りしたかったけれど、昨日の反省から、今朝は朝飯前のひと仕事に出掛けようと頑張った。それでもまだ早すぎるから、珈琲を入れて一服したら、冷蔵庫の中に買ったままになっていた餃子の皮と韮と挽肉を取り出し、餃子を包むのでした。毎週のように蕎麦屋で残るキャベツの始末を、野菜スープを作って飲む女将だけに押しつけておくのも悪いから、たまには亭主がキャベツを消化する手伝いをするのです。

 やっと辺りが薄明るくなって車で蕎麦屋に出掛ければ、ちょうど店の常連の女性が、犬の散歩をしながら店の前を通って「お早うございます」と後ろから挨拶をするから「お早うございます。随分と早いですね」と言えば「旦那さんこそ早いじゃない」と声が返って来た。まだ、顔の輪郭が分かる程は明るくないのです。厨房に入って、まずは蕎麦豆腐を仕込んでおく。昨日は二つ出たから冷蔵庫にはまだ二つ残っていたけれど、忙しい週末の分を作っておく。

 それからキノコ汁を店のIHで使える小さな鍋に移して温め直す。2㍑の鍋で全種類のキノコと鶏肉を入れて作ると、8人分ぐらいは出来るのだろうか。最近は天せいろに続いて人気のあるのがキノコつけ蕎麦だから、味見をしながら丁寧に仕上げておく。冷蔵庫の小鉢と蕎麦汁の数を確認したら、洗濯物を畳んで家に戻るのでした。7時前の東の空に森の向こうから朝日が昇って来る。日の出の位置が随分と真東に移っていたから、季節が変わってきたのです。

 今朝のおかずは鰺の開きでした。あまり塩辛くなくて脂ものっているからとても美味しい。最近の魚の開き物は、皆、薄味になってきているらしい。女将の漬ける糠漬けは更に薄味だから、身体には良いのでしょうが、ご飯のおかずにはちょっと物足りない。「ご馳走様でした。美味しかった」と言って、亭主はすぐに書斎に入って横になるのです。やはり、朝があまり早いから食べたら急に眠くなる。朝ドラの終わる時間まで1時間ほど熟睡しました。

 洗面と着替えを済ませて今日もまた蕎麦屋に出掛けていく亭主。途中で誰にも会うことがないから、いつもマスクは外して出掛けるのです。朝の空気は少しヒンヤリしているけれど、雲一つない青空が広がって、今日も日中は暖かくなりそうなのでした。蕎麦打ち室に入り、今日の蕎麦を打ち終えて、野菜サラダの具材を刻む。11時前にはすべての準備が整って、あとは店の掃除をするだけです。5分程で終わるから、カウンターの椅子に座ってひと休みです。

 昼前に一人二人とお客がいらっして、天せいろとキノコつけ蕎麦が出る。洗い物を終えた頃に次のお客が来るといった具合だったから、今日はゆったりとこなすことが出来ました。大盛りが多かったので、まだ6人しか入っていないのに、1時前にはもう蕎麦が売り切れてしまった。こんなこともあるのだと亭主もびっくり。これが続けば、平日の8食打ちも増やさなければならないでしょう。それは嬉しい事だけれど、果たしていつまで続くだろうか。

 筑波から仕事に来ているという現場作業の若者が「ご飯物はなくなったのですか」と言うから、「コロナでご飯が出なくなったんですよ。ご免なさいね」と、温かい汁のかき揚げと天麩羅が付いたぶっかけ蕎麦の大盛りに、メゴチを二匹揚げて出してやる。せいろ蕎麦の並と大盛りを頼まれた若いご夫婦は「蕎麦と蕎麦湯が美味しかったです」と言って帰られたのです。半人前だけ残った蕎麦にかき揚げを揚げて、遅い昼飯を食べ、片付けを終えて家路につく。

 亭主が家に着く手前の路地で、右手の緩い坂道を上ってくる女将が手を振るのが見えた。この暖かさの中を2km近くを歩いて来るのだから、さぞかし暑いだろうと思ったら、家に入れば彼女はもう半袖だから大したものです。柿を剥いてもらって亭主は書斎で夕刻までひと眠りする。出汁も取らなくてはならなかったから、4時半に家を出て蕎麦屋に出掛け、出汁取りとお新香を漬けてくる。今日は野菜サラダが一つも出なかったので、夕食はポークステーキ。

カテゴリー
未分類

2022年11月初め


11月1日 火曜日 今年もあと二ヶ月か …

 午前5時に家を出て、車で蕎麦屋に向かう亭主。今日は生ゴミの回収業者が来る日なので、昨日固めた天麩羅油を外のゴミ袋に詰めなければいけない。カウンターの洗い物を片付けて、出汁取りの準備を済ませたら、昨日の洗濯物を畳んで洗濯機の中の洗い物を干していく。冷蔵庫や膝下の戸棚の食材を確認して、今日の買い出しに忘れ物はないかと調べるのです。大分汚れた天麩羅鍋は大釜に入れて、重曹を加えて沸騰させる。いろいろと済ませて6時半。

 家に戻ってもまだ朝食の時間ではないから、台所のシンクに夕べ夜食に肉うどんを食べて、そのままにしてあった鍋や皿を洗うのです。女将が朝食の支度をするのに、シンクが汚れていてはやる気が失せるだろうと配慮するのでした。冷蔵庫の中を覗いてみたら、昨日の夜に肉うどんで使った肉は、今朝の豚汁の具材になるはずだったのではないかと気が付いて、慌てて蕎麦屋に車を走らせ、けんちん汁用に冷凍してあったバラ肉を持って帰るのでした。

 無事に朝食の支度に間に合って、縞ホッケの塩焼きと豚汁で今朝も美味しくご飯を頂くのです。食後のお茶を入れてもらって、今日の段取りを思い巡らす亭主。仕入れの後は出汁取りが待っている。それで昼食の支度に入ればまずまずだろうと思うのでしたが、今日はエアコンの修理に業者が来ることになっていた。女将のスポーツクラブの予約もあったから、午後は時間的にかなりタイトなのでした。お袋様に電話をして迎えに行き、朝の仕入れに出掛ける。

 農産物直売所で多くの新鮮な野菜を手に入れて、隣町のスーはパーでは買い残した食材を購入する。肉や魚や果物などの家の買い物もあるから、なかなか時間がかかるのです。先に買い物を済ませたお袋様が、出口の外で待っていてくれた。お袋様を家まで送って店に帰って検品をしたら、やはりレタスを買い忘れていました。明日にでももう一度出掛けて買ってこなければ、野菜サラダが作れないのです。そんな忘れ物もあるかと火曜日に仕入れに行くのです。

 蕎麦屋に戻って野菜を冷蔵庫に収納したら、早速、出汁を取り始める。一番出汁を取り終えて、返しを加えて蕎麦汁を仕込もうと思ったら、どうも返しの量が残り少ないのでした。仕方がないから、一番出汁を鍋に入れて冷やしたら、冷蔵庫に入れて午後一番で返しを仕込むことにしました。先週の残りの二番出汁で天つゆを作り、後片付けをして家に戻ったのが11時半。女将が蕎麦を茹でる用意をしてくれていたから、すぐに蕎麦を茹でて昼食を食べられた。

 スポーツクラブの予約の始まる2時過ぎまでは時間があるので、亭主は書斎に入って横になる。ぐっすりと1時間は眠って、慌てて起き出してスマホに向かうのでした。テレビ映画を観ているうちにエアコンの修理業者がやって来て、具合の悪いところを見てくれたから、無事に直って安心できた。風を送る羽の部分にも小さなセンサーが付いていて、その接触が悪くなったせいなのだそうな。部品を取り替えて1万7千円。買い換えるよりはずっと安かった。

 映画を最後まで見終えて、蕎麦屋に出掛ける亭主。女将は稽古場で今月提出の書を書いているのでした。店に着いたら早速、返しを仕込んで、夕刻までにもうひと仕事と、来週の小鉢にと筑前煮を作る。昨日の朝には切り干し大根も少し作っておいたから、明日にお新香を漬けておけば、週末までは十分に足りる計算です。後は木曜日の午前中に新蕎麦の粉と打ち粉が届くのを待つだけ。蕎麦打ち前に届けばちょうど好いのだけれど … 。

 片付けを終えて家に帰ったのは5時過ぎで、女将が鶏鍋の準備をして待っていてくれた。そんなに寒いとは感じなかったけれど、明日はもっと暖かいから、今日食べなければいけないと言われた。珍しく大きなサンマが一尾200円と安く手に入ったから、サンマの塩焼きを期待していたのですが、鶏鍋の後にうどんを入れてもうお腹は一杯なのでした。夜は焼酎もなくなったし、寒くならないうちに床に入ろうか。明日の晩はまた防犯パトロールがあるのです。



11月2日 水曜日 今日も再び朝から好く晴れて…


 午前5時半まだ夜明け前。夕べも10時にはもう瞼が重くなって、今がチャンスと床に入れば、今朝の5時前まで目覚めずに眠った。定休日で早寝早起きの習慣がつくのは実に喜ばしいことなのです。今日は夕刻から防犯パトロールがあるので、午後はゆっくりした方が好いかと、朝飯前のひと仕事で、蕎麦屋に出掛けようと考えた。冷蔵庫に鍋のまま入れておいた一番出汁に返しを加え、火にかけて蕎麦汁を作る。水で冷やしている間に天麩羅の具材を切り分ける。

 南瓜を切り分けたらレンジでチーンして、レンコンは皮を剥き、スライスして酢水で茹でる。玉葱は薄く切って水に浸け、三ツ葉を刻んで一緒に容器に入れる。あとは新しく昨日買った南瓜の種を取り、四つに切り分けてラップをかける。端の部分は形を整えて、いつか従姉妹煮にでもカレーにも使えるから、ジブロックに詰めて冷凍しておくのです。これで普段の午後の仕込みが完了。まだ時間があったから、冷めた蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めておきます。

 早朝の一時間半でほぼ一日分の仕込みが済んでしまうから、いつもはいかにだらだらと過ごしているかを思い知る。昨日のうちに筑前煮と出汁取りだけを済ませておいたのが正解なのでした。慌てることはないけれど、先へ先へと少しでも予定を早めておけば、時間に余裕が出来て次のひと仕事に取りかかれるというもの。亭主一人のやり繰りだから、これが可能なのでしょう。 家に戻れば、昨日の美味そうなサンマが焼かれていた。蒸し野菜も美味しかった。

 食事の後は居間の椅子に座って『ベルエポックをもう一度』という映画を最後まで観てしまう。デジタル化社会について行けない初老の主人公に共感を覚えたのです。映画のセットを使ったタイムトラベルサービスというのも面白かったし、3年ほど前に劇場公開された映画らしいが、それにしてはテレビで放映するのが早過ぎる。9時近くまでテレビの前に居て、書斎で横になったらすぐにウトウトしてしまうのでした。目覚めればもう10時を過ぎていた。

 蕎麦屋に出掛けても、厨房の仕事で残っているのは、キノコ汁の仕込みとお新香を漬ける仕事だけで、漬け物にはまだ時間が早すぎるのでした。あまり天気が好いので、こういう日のために、車に脚立と剪定ばさみを積んでおいたから、気になっていた駐車場の金木犀の剪定を始めたのです。蕎麦屋の常連の小母さんが、自転車で通りかかって挨拶をしてくれた。「自分でやってるんだあ」と言って通りすぎる。田んぼの様子でも見に行ったのか元気なのでした。

 40分ほど剪定を続けて、やっと形が整ってきた。90㍑のビニール袋も一杯になったので、家に帰って昼飯の用意。女将が肉と玉葱・ニンジンを刻んでおいてくれたから、亭主は中華鍋で炒めて卵を入れたらご飯を散らして、久し振りにカレー炒飯を作るのです。野菜スープはサラダの残りの野菜を入れたコンソメ味で、これがなかなか美味しいのでした。ひと休みしたら昨日買い忘れたレタスを買いに出て、ついでに焼酎と炭酸を買ってまた蕎麦屋に出掛ける。

 午前中に剪定した金木犀の木が、丸く綺麗な形になって見違えるようなのでした。ヤマボウシの枝も払わなければならないし、南側の菜園の草刈りもあるし、やることはまだまだ沢山ある。取りあえず次の仕事の段取りを確認して、家に帰って整形外科に出掛ける。尿酸値を下げる薬をもらうだけだから、すぐに終わってそのまま蕎麦屋に寄り、キノコ蕎麦の汁を仕込んで、小鉢を盛り付けておく。最後に糠床に茄子と胡瓜と蕪を漬け込んで家に戻るのでした。

 夜の防犯パトロールは暗くなった6時からだから、5時40分には蛍光オレンジのジャンパーに反射板のたすきを掛けて、帽子を被って集合場所に歩いて行く。右足の親指はもう痛くはないのだが、どうもやはり右足は地面をきちっと掴んでいる感触がない。左の足はかかとからつま先までしっかりと地面に触れるのに、右足はかかとからいきなりつま先が地面に触れるのです。リハビリが必要だと思って意識して歩くけれど、見た目には辛そうに映るらしい。


11月3日 木曜日 文化の日だというのを忘れていて …

 午前6時過ぎの日の出前。今朝も早起きで朝飯前のひと仕事に蕎麦屋へ出掛ければ、地表の水蒸気が冷気に触れて朝靄が立ち上る。朝日が昇る直前までに見られる光景です。夕べ漬けたお新香が気になって、カウンターの洗い物を片付けたら、まずは糠床から取り出して、切り分けたら小鉢に盛り付ける。味は薄めでちょうど好い感じなのでした。珈琲を入れて飲みながら、今日の段取りをじっくりと考える亭主。取りあえず、冷蔵庫の中を確認して家に戻る。

 今朝は蕎麦粉が届くからと、朝食を食べてひと眠りをせずに、朝ドラの終わる時間に家を出る。ご近所の蜜柑が色づいた向こうには銀杏の黄葉が見えるのでした。今朝も雲一つない青空で、陽が出たからか随分と暖かいのでした。バス通りを蕎麦屋に向かえば、宅配便のトラックがハザードを点けて店の前で止まったから、小走りで近づいて、「今行きますよ」と運転手に知らせるのでした。今日は新蕎麦が届く日だから、受け取らないと蕎麦か打てないのです。

 古い蕎麦粉はまだ少し残っていたけれど、今日は蕎麦饅頭も作る予定だったから、新しい新蕎麦の粉が届いてホッとするのでした。早速、蕎麦を打って、今日は打ち粉も沢山届いたから、42%の加水でたっぷりと使って、蕎麦切りまで終わらせる。やはり花粉の打ち粉は欠かせない。蕎麦がくっつかずに綺麗に切り終えて、満足なのでした。ところが、亭主は今日が祭日だと、もうすっかり忘れていたから、750g八人分だけを打って厨房に戻ったのです。

 蕎麦饅頭を仕込んで蒸かしているうちに、時間はどんどん押してくる。野菜サラダの具材を刻んでいるうちに、もう駐車場に車が入ってくる。大きなワゴン車が入ってまた一台と、続けてお客がいらっしゃるのです。二人、三人、四人と入ったところで、もう満席の看板を出す。蕎麦は八人分しかなかったけれど、小さなお子さんがいたので救われた。12時過ぎには蕎麦がもう売り切れなのでした。亭主が今日が休日だとすっかり忘れていたと言えば店内は大笑い。

 慌てて準備中の看板を出して、亭主は蕎麦打ち室に入って蕎麦を打つ亭主。子連れの若いご主人がそれを見に来て「年越し蕎麦も自分で打つのですが、どうも短く切れてしまうんです」と言うから、「同じ事を言うお客がいたけれど、やはり年季が入らないと … 」と応えるのでした。「しっかりと捏ねないと繋がらない」と菊練りをする様子を見せたのです。今日は「新蕎麦が美味しかったです」と言って帰られるお客が多かった。蕎麦を打ち終えたところで … 。

 また駐車場には車が続けて入って来る。お婆様と一緒の三人連れのお客には、キノコつけ蕎麦を進めてみたら、三人とも注文されたから、前のお客に天せいろをお出しして、すぐに蕎麦を茹でてキノコ汁とともに配膳したのです。これが大当たりで「家庭ではこんなに沢山のキノコは食べられない」と、汁まで綺麗に飲んで喜ばれたのでした。1時前には追い打ちした蕎麦もすべて売り切れてしまいました。最近になく大勢のお客が入ったから後の始末が大変。

 お蕎麦売り切れの看板を出して、後からもまたお客が来たけれどお蕎麦がないとお断りしたのです。今日は盆や皿を洗う暇もなかったから、カウンターの上に下げた盆や皿を載せて、次々と亭主が洗っていくのを、女将が拭いて片付けていく。亭主は昼を食べる暇もなかったから、蒸かした蕎麦饅頭をかじって腹の足しにする。3時前にやっと片付けが終わって、女将と二人で家に戻るのでした。青空に鰯雲が出て、暖かな陽射しが心地よかった。

 今日は車検で車をディーラーに持って行かなくてはならなかったので、昼寝をする暇もなかった。約束の時間前に納車して、代車で蕎麦屋に出掛け、今度は海老や鴨肉が届くのを待つ。先月から新人に配達が代わって、やはり配達するのに時間がかかるらしい。待っている間に明日の天麩羅の具材を切り分けたり、カウンターの洗い物を片付け、蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めたりして、やっと荷物が届いて家に戻ったのは6時前なのでした。昼の早かった女将は、夕食を済ませていたから、手羽中を焼いて、里芋の杵担ぎで一献です。


11月4日 金曜日 午前中は晴れたけれど風が冷たく … 

 夕べも10時に床に入って今朝は6時に目覚める。若い頃は仕事の都合もあって、遅く寝ても早く起きるという生活だったけれど、最近は安定して7時間は眠っているから、身体の調子が好いのだろうか。冷えてくる明け方にトイレに行くことはあっても、またすぐに眠ってしまうのです。今朝も6時半近くに蕎麦屋に出掛け、夕べ漬けたお新香を糠床から取り出して、切り分けたら小鉢に盛り付けておく。洗濯物を干して畳んで家に戻るのでした。

 女将が台所に立って朝食の支度をしている間に、亭主はテレビで洋画を観ている。ジャン・レノとナタリー・ポートマンの出演する何度も観た『レオン』という映画だけれど、朝食を終えてもまた続きを観るのでした。8時半には映画も終わり、髭を剃って着替えたら蕎麦屋に出掛ける。今日は蕎麦打ちから始めれば好かったから気が楽なのです。新蕎麦の粉は打ちやすく、仕上がりも好いので楽しい。ただ、42%の加水ではちょっとまだ硬い気がするのです。

 生地を伸す時に硬いと、どうしても四隅が綺麗に仕上がらない。明日は43%にして少し柔らかめに仕上げて見ようか。巻き棒に巻いて丁寧に伸した方が好いのかも知れない。そのために伸し棒は60cmと75cmも揃えてあるのだから、これを使わない手はないのです。それでも今朝は八人分の蕎麦の束を生舟に並べて、無事に完了です。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻んで、三皿を盛り付けておく。早めにお客が歩いていらっして、ヘルシーランチセットをご注文。

 続けて男性の一人客が車でご来店で、カウンターに座って天せいろを頼まれる。三つ作った野菜サラダが二皿出ただけでも亭主は嬉しいのです。注文した物静かなご夫婦は、新蕎麦が美味しいと喜んで下さった。「美味しい蕎麦屋がなくて捜していたのよ」と、どこまでお世辞だか分からないけれど、もう一度いらっしゃればその真意が分かる。12時前にいらっしたお客が帰ると、また静けさが戻って来るのです。隣町の常連さんが来たのは1時前なのでした。

 野菜サラダがもう一つ残っていたから、これが出るのかと思ったら、辛味大根とキノコつけ蕎麦のご注文なのでした。5回目のコロナのワクチンを接種したら、熱が出て何も食べずに一日寝込んだのだとか。三ヶ月という短くなった接種間隔が、副反応の原因なのではないかと心配される。キノコ汁を汁まで綺麗に飲み干して、頗る満足だと言って帰られた。亭主はかき揚げを揚げて賄い蕎麦をぶっかけで食べる。やはり新蕎麦はコシがあってとても美味しい。

 休み休み後片付けをして、3時前には家に帰る亭主なのでした。今日は5時に車検にだした車が戻るというので、代車に乗ってまずは蕎麦粉の支払いを済ませに郵便局に行く。女将が帰って来たら、今度はキノコ汁に食材のキノコ類と鶏肉を買いに隣町のスーパーに出掛ける。ついでに蜜柑とトイレットペーパーを頼まれて、大荷物になるのでした。明日の朝はキノコ汁の仕込みから始めなくては。蕎麦饅頭もまた作らないと足りなくなりそうなのです。

 今日は写真が少なかったから、女将の撮したプラタナスの落葉の一枚を借りることにしました。少しずつ撮り方が進歩しているのが目に見えるので嬉しい。彼女がスマホを持ち歩く習慣が出来て、ホッとする亭主なのです。明日は寒くなると言うけれど、どれだけお客が来るやら。午前中に発注してあったおしぼり600個が届く予定です。定休日が明けてまだ二日しか経っていないのに、随分と日にちが過ぎたような気がするのは、日に何回も蕎麦屋に行くからか。


カテゴリー
未分類

2022年10月末

10月27日 木曜日 「段取り」と言う言葉 …

 午前6時過ぎの朝日はもう森の上に昇っていました。今日も青空の広がる寒い朝なのです。朝飯前のひと仕事は、お新香を糠床から出して切り分け、小鉢に盛り付けること。ついでに筑前煮も少しだけ盛り付けておきました。大釜の水は夕べのうちに満杯にしておいたし、珈琲を飲みながら今日の「段取り」を考える亭主。ふとこの言葉で思い出した。昔、福島の山中の釣り宿に泊まった時「段取りがあるから暗いうちに出ないと」と前夜に宿の老女将に言われた。

 若かったから「段取り」などと言う言葉は、知ってはいてもほとんど使ったことがなかった。渓流で竿を出すまでに、ばか長を掃いたり、糸を竿に付けたり、餌を針に付けたりしているうちにもう明るくなって、大きな山女魚が一番餌を食う朝まづめを逃してしまうのです。そんな経験を重ねても、日常の仕事や何かでは「段取り」ではなく「準備」などと言っていた。ところが最近は歳を取ったせいか、「準備」では言葉の重みが足りないと感じるようになった。

 朝飯前のひと仕事は、まさに日中の「段取り」をこなすためのいろいろな「準備」に他ならない。山中の釣り宿にはその後何年も通い続けて、渓流釣りの名人と言われた親父様からは、お婆様が亡くなってからも、随分長い間年賀状が届いた。年老いた父親が心配だからと、一人娘が付いて釣りに出掛けていた。その娘さんも結婚して親父様は近所の親類が面倒を見ていると言う話を聞いた。小さな息子を連れて行った時も、お婆さんには随分世話になったのです。

 今朝は髭を剃って着替えを済ませたら、9時前には蕎麦屋に出掛けていく亭主。看板を出し、幟を立てて、チェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。加水率は41%で、少し硬めの生地に仕上がる。暖房を入れた室温は19℃ほどだったけれど、暑くなってエアコンを消し、窓を少し開けるのでした。日中は18℃までしか上がらないという予報だったけれど、これだけ晴れていれば寒くは感じないのです。今日も天せいろが出そうです。

 蕎麦を打ち終えて10時を過ぎる。前掛けの粉を払いに玄関を出れば、柊南天の黄色い花に、5cmほどの大きなスズメバチが寄って来る。二匹もいたからちょっと警戒して写真に収めておきました。近くに巣があるのでなければいいけれど。お客が刺されたりしたら大変なのです。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻む。今日のキャベツは少し葉の厚味が薄かったから、余分に使って刻むのでした。晴れた日だから、以前のように平日バージョンで三皿用意した。

 大鍋に沸いた湯をポット4本に入れて、胡麻油を天麩羅鍋に空けたら、冷蔵庫から天麩羅の具材を取り出して調理台に並べる。天ぷら粉も天つゆも皆冷蔵庫から出しておきます。開店の15分前には、天麩羅鍋と天つゆの鍋に火を入れて温めておく。テーブルをアルコールで吹いたら、いよいよ暖簾を出すのです。宅配の車が駐車場に入ったから、何か持って来たのかと思えば、若い男性が蕎麦を食べに来たと言う。いきなりヘルシーランチセットの天せいろの注文。

 作ったばかりのサラダを出したところで、続けて若いカップルがご来店。お二人は天せいろだったけれど、最初のお客の天麩羅を先に揚げてしまう。天麩羅鍋には一人分しか具材が入らない。二人の時は半々に分けて揚げていくのです。油の温度が下がるとカリッと揚がらないので、最近は十分に注意して上げている。それでもお客が続くと、油が疲れるから少し間を開けてまた揚げるようにしているのです。宅配の青年からいろいろ仕事の苦労を聞かされる。 

 後半は隣町の常連さんがいらっして「何か新作はないの?」と言うものだから「この間ご所望だったキノコつけ蕎麦を作りました」と言えば、早速、ご注文。ご自分でサラダをカウンターから取るから、ドレッシングを渡せば「まだ箸をもらっていないんだけど」と随分せっかちに言うので、お茶と箸をお持ちするのです。今日の話題は自分でシチューを作ったら、具が多くなりすぎて困ったのだとか。スマホを持った女将が来て、次のお客の配膳をしてくれる。

 夜は肩ロースの塩胡椒焼きで、店で残った野菜サラダを二人で分け、家で作ったマカロニサラダを添え、今日もご飯を食べる亭主。今日も早い夕食の時間には、焼酎を飲まないことにしたのです。夕食の時間から飲み始めると、寝る前まで5時間もあるから、途中で風呂に入っても、ついつい飲み過ぎてしまうらしい。夕べも風呂上がりから飲んでちょうど好い量なのでした。夕食にご飯を食べるから、糖質が多めでちょっと心配だけれど、飲み過ぎるよりは好い。

10月28日 思ったより寒かった一日 …

 今日は晴れるという予報だったのに、朝家を出る時からもう空は雲に覆われていました。蕎麦屋の隣のコスモス畑も、白い雲ばかりで、青空が隠れてしまっていたのです。今日は少し暖かくなると思っていたら、朝から随分と寒いから驚いた。店の中に入って温度計を見たら、室温15℃、湿度が40%しかなかった。湿度が低いと寒さが増すのです。暖房を入れて店内が暖まるまで、お茶を沸かしながら、大釜に水を張り、昨日の洗い物を片付ける。

 ほうじ茶を飲んでちょっと暖まったら、看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしに出た。蕎麦打ち室もまだ15℃しかなかったけれど、まずは蕎麦を打たないといけないからと、41%の加水で蕎麦粉を捏ね始める。乾燥しているからか、水回しを終えて粉をまとめようとしてもすぐには固まらないのです。ここで慌てて水を加えてしまうと柔らかくなりすぎるといけないので、じっくりと力を入れて捏ねるのです。じわじわと水分がにじみ出てくる。

 こんな日は生地が硬いと蕎麦を伸すのにも根気が要る。伸し棒を何度も行き来させて、生地を広げていかなければなりません。それでも生地の端がひび割れてこないから、十分に捏ねられていることが分かります。90cmの奥行きに達するまで伸すのが難しいと分かったら、伸し棒に生地を巻いて何度も転がしていくのです。すると、自然と生地が伸びて90cmになるから不思議。ここで初めて八つに畳み、蕎麦切りに入ります。硬い生地はしっかりとエッジが立つ。

 八人分の蕎麦を打ったら、厨房に戻って野菜サラダの具材を刻む準備です。蕎麦打ちをして身体が熱くなり、室温も19℃まで上がってきたから、エアコンを消して窓を少し開けておきます。この時点でも外は陽射しがないから、今日は気温は低いままなのかも知れない。タブレットで市内の天気予報を見れば、いつものことですが昼まで曇りに変わっているから嫌になる。それでも野菜サラダは三皿用意しておきました。出るはずもなく、お客も来るかどうか。

 向かいの畑のネットで覆われた中に、葉物野菜が育って来ているのが見える。その後ろの柿の木には、人間の目で見ると色づいた柿が沢山なっているのですが、スマホのカメラのレンズでは捉えきれないようです。天麩羅鍋に油を入れて、天つゆの鍋にも火を入れておく。天麩羅の具材を調理台に並べ、天ぷら粉の容器を冷蔵庫から出して脇に置く。これでテーブルを拭いて回ったら、いよいよ開店の時刻なのです。10分前に暖簾を出してスタンバイする。

 気持ちはさあ開店というつもりでも、やはり、この陽気だから、お客は来ないのです。1時間経っても人影さえ見えず、こんな寒い日に蕎麦屋に行こうという人はまずいないのでしょう。1時になってもお客は来そうになかったので、今日は賄い蕎麦に最近開発したキノコつけ蕎麦を作って試食してみる。昨日の常連さんにはもう出したのですが、亭主は自分でまだ食べていなかった。茸の香りが美味しいけれど、まだまだ研究の余地がありそうなのでした。

 1時半にならない頃に、遅いお客がいらっして、海老を一本追加して天せいろを注文なさる。もう直ぐ片付けを始めようかと思っていたから、注文の品をお出ししたらもう大鍋の火を落とす時間なのでした。自転車で高層マンションの方からいらっしたようで、ゆっくりと時間をかけて蕎麦を食べて行かれた。たった一人のお客でもパットやボールや笊や大鍋などは洗わなければいけないから、洗う皿の数が少ないだけなのです。2時半には家路につく。


10月29日 土曜日 10月最後の週末は暖かさに救われた

 夕べは11時には床に就いたのに、今朝は6時半まで眠っていた。昨日もお客は少なかったから、疲れているはずもないのによく眠れたのです。夕食の時に晩酌をしなくなってから、そういった日が続いているから、少し続けてみようか。酒の量も減るし、プールに出掛けるようになれば、自然と晩酌はなくなるので、ちょうど好いかも知れないのです。一番の変化は体重が減っていること。だらだらと酒を飲んでいると何かしら食べているから、身体には好くない。

 朝飯前のひと仕事に出掛けなかったから、朝食を終えて朝ドラの時間が過ぎたら、もう蕎麦屋に出掛けていく亭主。みずき通りのハナミズキの紅葉が今年は綺麗なのでした。毎日の寒暖の差が激しいからに違いない。去年は枯れているのか紅葉しているのかが、はっきりと分からなかったのです。蕎麦屋の隣の畑の秋桜も、相変わらず元気に花を咲かせていました。今朝も雲一つない青空で、今日は暖かくなりそうなのでした。お客を期待したいところ。

 女将の記録によると、去年のこの土曜日は晴れていたけれど、お客はゼロだったと言うから、こればかりは何年やっていても分からない。蕎麦は500g5人分だけ打って、昨日の残りと合わせて14人分を用意しました。打ち粉がなくなったので、蕎麦粉を代わりに使ったのですが、どうしても勿体ないから少量にすると、蕎麦と蕎麦がくっついて宜しくない。明日は沢山使ってみようと思う。新蕎麦がもう直ぐ出るから、その時に一緒に打ち粉は頼むつもりなのです。

 野菜サラダは週末だけれど、最近の出具合からして三皿で十分と判断した。キノコのつけ蕎麦の汁を鍋に二杯分ほど作っておく。蕎麦汁に一番出汁を少し足して、新しいキノコを入れて煮るだけだから、手間はかからないのが好い。茸の香りがぷーんと漂うのです。開店の準備を終えて暖簾を出したら、珍しく今日は開店時刻にお客がいらっした。しかも四人家族で、天せいろを三つに鴨せいろ。大盛りが二人もいたから、作り甲斐があるというもの。

 その後も次々とお客が入って、厨房の亭主も女将もてんてこ舞いなのでした。10人入ったところで時計を見れば、まだ12時半になっていなかった。ほとんどが天せいろなのでしたが、三人のお客が天せいろを頼まれて、ほぼ同時に入ってきた年配の女性二人はカウンターに座る。「温かいお蕎麦ならキノコつけ蕎麦がすぐできます」とカウンターのこちらから亭主が言えば、ご注文だったから、汁を温めて蕎麦を茹でて早くにお出しする。これは大正解でした。

 「キノコの香りが季節を感じさせるわ」と、綺麗に汁まで飲み干されてお帰りなったのです。1時過ぎにはお客もいなくなって、洗い物と片付けに専念する女将と亭主。亭主はまた昼飯を食い損ねたのです。2時過ぎには片付けを終えて、例によってコンビニに出掛けてサンドイッチとカレーパンを買って食べる。ついでにマカロニサラダやハラミや軟骨の唐揚げを買って、夜の酒の肴にするのでした。ひと眠りして夕刻になったら、防犯パトロールに出掛ける。


10月30日 日曜日 空の綺麗な一日でした …


 午前5時には家を出て蕎麦屋に向かう。昨日の夜はパトロールもあったから、疲れてもう片付けや仕込みに来られなかった。蕎麦汁も小鉢もなくなっていたし、沢山の洗い物がカウンターの上に干したままだったから、気になって早くに目が覚めたのです。厨房に入って洗い物を片付け、蕎麦汁を詰め替えた頃に、やっと東の空が明るくなってきました。夜明け前の黎明がとても鮮やかなのでした。ちょうど5時半を回った頃です。

 小鉢は浅漬けにして、キュウリとカブとナスを二つずつにニンジンを半分スライス。いつもより多い量だけれど、残れば明日も使えるのです。朝食後に店に来たときには、水が上がって漬いている計算です。蓮根の皮を剥いて酢水で茹で、隣の鍋ではキノコ汁を4人分作って味見をする。二番出汁と薄口の出汁醤油で煮込んで、後で蕎麦汁を加えて味を調整した方が、色が薄くなると分かったので、今日は少しは美味しそうな色合いの汁になりました。

 家に戻ってもまだ6時半過ぎだったから、朝食までの30分ほど書斎で横になってひと眠りするのでしたが、ウトウトするだけでぐっすりとは眠れない。女将が「ご飯が出来ましたよ」起こしに来てくれて、朝食の食卓につくのでした。豚汁と縞ホッケの焼いたのが、今日のメインのおかず。南瓜の煮物ととろろ芋はその引き立て役なのでした。炊きたての新米はとても美味しいのです。近所の農家に持ってきてもらったばかりの米で、去年よりも味が好いと感じる。

 食後にもうひと眠りしたかったけれど、打ち粉の切れた蕎麦打ちは、蕎麦粉を打ち粉の代わりに使っているから、うまく蕎麦が打てるかと心配でならなかった。今日はもっと粉を沢山使って打ってみようと、意気込んで蕎麦屋に出掛けたのです。みずき通りを渡れば空は青く、真っ赤に紅葉したハナミズキが遠くまで見渡せて、とても素敵なのでした。考えたら今日は日曜日。通る車の姿も見えず、冷たい風に吹かれて歩くのは亭主一人なのです。

 看板を出して、幟を立てチェーンポールを降ろしたら、まず蕎麦打ち室に入って蕎麦を打つ。湿度は50%、気温は15度とまだ寒かったけれど、蕎麦粉を捏ねていくうちに身体が暖かくなって来る。今日は伸していく間の粉打ちを、篩にかけて細かくたっぷりとやってみたのですが、これが案外と効果的で、蕎麦と蕎麦がくっつくのを防いでくれました。ただ、包丁切りの時には注意をしないと、ゆっくり切っていると蕎麦がくっつくのでした。

 野菜サラダを三皿盛り付けて暖簾を出せば、開店時刻に合わせるかのように、昨日来た女性の二人連れがご来店。席が空いているのにカウンターに座って「今日もキノコ蕎麦をお願いします」と言うのでした。汁を温めている間に野菜サラダもご注文で、随分と気に入ってもらえたようでした。続いて常連の農家のご家族が、葉の付いた大根を二本ぶら下げて来てくれた。お婆様は今年90歳になると言う。天せいろを頼まれてしっかりと食べて行かれたのです。

 お客が途切れたからと、亭主が奥の座敷で休んでいる間に、いつもの時間よりは早く、女将の友だちが来たらしく、店の方で話し声が聞こえる。一つ残った野菜サラダをお出しして、蕎麦を茹でるのです。これで最後かと思ったら、亭主のブログを読んでいるというご夫婦がいらっして、奥様はキノコつけ蕎麦とデザートの蕎麦饅頭を頼まれる。昨日ほどではないが、二日続けて好く客が入った。片付けを終えた帰り道、蒼い空にかかる絹雲がとても綺麗 … 。

 明日も今日と同じような天候らしいけれど、月曜日だからあまりお客は期待できない。それでも蕎麦は打たなくてはいけないから、もう一度、蕎麦粉を打ち粉にして蕎麦打ちをしようと思う。新蕎麦の注文をして、ついでに打ち粉も忘れずに頼んでおかなくては。今週は鴨肉も海老も発注しておかなくてはならない。問題は小鉢の数が残り5鉢だから、何か作っておかなくてはならないかと悩む。浅漬けか切り干し大根の煮物が簡単だけれど、果たして客が来るか。



10月31日 月曜日 今日も爽快な青空で …

 今朝は6時に家を出て朝飯前のひと仕事。雲一つない青空がとても素晴らしい。東の森の上に朝日が昇って、辺りが神々しい景色に変わる。厨房に入って昨日の洗い物を片付けたら、蕎麦豆腐を仕込み、数の足りない小鉢に切り干し大根を作って盛り付けておく。乾いた洗濯物を畳んで戸棚にしまい、洗濯機の中の洗濯物を干していくのです。平日の今日は女将がいないので、亭主が全部やらなくてはいけない。わずか5分もかからないのに面倒に感じる。

 長年、主婦をやっていれば苦でもないのかも知れないけれど、習慣とは恐ろしい。だから、朝から何回も洗濯をして、朝食を用意する女将の働きぶりにはいつも感心してしまう。朝飯前のひと仕事ぐらいでは威張れたものではない。豚汁の具の多さに驚いて、今朝も美味しくご飯を頂いた。食後のひと眠りもせずに、朝ドラの終わる時間に再び蕎麦屋に出掛けるのでした。玄関を出れば金柑の実が少しずつ色づいている。今日でもう10月も終わりなのですね。

 蕎麦屋に着いたら、昨日の反省を忘れずに、今日は打ち粉にする蕎麦粉を篩でさらに細かくして、伸して畳んで包丁切り。41%では水が少ないのか、それとも打ち粉の蕎麦粉がくっつくのか、どうしても包丁で切るときに硬い感触がある。それでも、今までよりはずっと綺麗に蕎麦が切れた。いつも頼む農場に電話をして、明日から発売される新蕎麦と打ち粉を多めにを注文しておく。木曜日の午前中に着くと言うが、蕎麦打ちに間に合うだろうか。

 材料が残ってしまうからと、今日も野菜サラダは三皿用意したのですが、一つも出ずに残ってしまった。昼前に5人ほどお客が入って、やはりこの晴天が影響しているのかと思えた。鴨せいろと日本酒の注文以外は、せいろ蕎麦とおろし蕎麦で、調理は極簡単なのでした。この調子でもう少しお客が来るかと待っていたけれど、やはり平日の月曜日で、5人お客が会っただけでも有り難いと思わなければならないのです。洗い物もすぐに終わって賄い蕎麦を食べる。

 天麩羅の油を替えなければならないので、沢山ある油が勿体ないからと、残った天麩羅の具材をすべて揚げて、夜と明日のおかずに家に持ち帰る。それでも月曜日はゴミ捨てもあるし、片付けるのに時間がかかるのです。3時前にやっと仕事を終えて家に帰れば、途中でスポーツクラブから帰って来た女将に出会う。夕飯まで書斎に入って横になれば気持ちよく眠れた。食事の時間に女将が今日撮った写真を見せに来る。公園の銀杏がもう黄葉しているのでした。