2月12日 月曜日 臨時休業明けの振替休日は…
今日の朝飯前のひと仕事は、金柑大福の白餡に包む金柑の甘露煮作りでした。とにかく今朝包む金柑がないから、急いで少しだけ作ることにして種を取るのでした。これを酢水で煮立たせたら、氷砂糖を溶かした鍋でじっくりと煮込んでいくのです。約30分煮て柔らかくなったら火を止める。市販の金柑ではないので少し小さめだけれど、香りは好いのです。仕事が終わった頃には外は明るくなって日の出の時間だったけれど、雲がかかって太陽は見えなかった。
朝食を終えてひと眠りしたら、洗面と着替えを済ませてまた蕎麦屋に向かう。少し雲は出ていたのですが、これなら晴れと言えそうな天気でした。ただ陽射しは暖かいけれど、風が少し冷たいのが気になっていたのです。昨日一日、臨時休業で営業をしなかったのがどう影響するのか、不安な面持ちで蕎麦屋に着けば、店の中は暖房を入れておいたので暖かい。看板と幟を出して、チェーポールを降ろしたら、早速、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つのでした。
生舟に残っていた蕎麦と合わせて、今日は14食の用意で営業を始める。作ったばかりの金柑の甘露煮を白餡で包んだ金柑大福も、無事に三皿用意して、野菜サラダの具材を刻んで、こちらもいつも通り三皿用意しておきました。昼前に珍しく早く橋の向こうの常連さんがいらっして、黙って新聞を読み始める。女将が「いつもの辛味大根とせいろ蕎麦の大盛りでいいですか」と聞いて、亭主は直ぐに大根をおろして蕎麦を茹でるのでした。
続けてテーブル席には薪屋のご夫婦がいらっして、辛味大根にせいろ蕎麦とヘルシーランチセットの天せいろを頼まれ、ワカサギの天麩羅を二人前も注文される。「どうですかワカサギは?」と亭主が尋ねれば「美味しかったわ。一人分でなくて好かった」とぺろっと食べて仕舞っていたのです。帰りに金柑大福を二つお持ち帰りになったから、これで金柑大福はお終い。リピーターの母と娘もテーブル席に座って、暖かい汁の天麩羅蕎麦と白エビの掻き揚げ。
その後ひと休みする暇もなく、今日は次々とお客が来たのです。後半は初めてのお客ばかりだったけれど、皆さん天麩羅が食べたかったらしく、暖かい汁がなくなって作り足すのでした。最後のご夫婦は、奥様のぶっかけ蕎麦に入れる南瓜がなくなったから、代わりに海老の天麩羅を入れてお出しした。風は冷たいから、温かい汁の蕎麦が随分と出たけれど、昨日休んだ分を少しは取り戻せた感じなのです。亭主は洗い物が続いたので腰が痛くなって、ひと休み。
2月13日 火曜日 朝はまだ真っ白な霜が降りるけれど…
午前6時半。今日の朝飯前のひと仕事は、まずはカウンターに干してある昨日の洗い物を片付けること。前の畑は白い霜がびっしりと降りて、農家の親父様がもう仕事をしていたから驚きです。昨日固めた天麩羅油をビニール袋に入れて、生ゴミ入れるゴミ箱のゴミと一緒に外の大きなゴミ箱に持って行く。それでも時間があったから、洗濯機に洗ったままの洗濯物を干し終えれば、店の中を見回せば朝日が差し込んでいる。隣の畑も霜で真っ白なのでした。
エアコンの暖房を入れたままにして家に戻れば、定休日だと言うのに女将が健気にも朝食の用意をしてくれている。有り難い事なのです。タンパク質は卵焼きとキノコ汁に入った鶏肉だけ。蕎麦屋の営業が終わる頃には、家には食べる物があまりなくなっているのです。冷蔵庫の中にはまだ沢山の食材が入っているけれど、朝の短い時間で用意するには、今朝のメニューが好いと考えたのでしょう。お茶をもらってひと休みしても今朝はひと眠りをしないのでした。
8時半になったらまた蕎麦屋に出掛けて、買い出しの品をもう一度チェックしてから、お袋様に電話を掛けて農産物直売所に向かうのです。空は青く晴れて今日は暖かくなりそうなのでした。新鮮な白菜の小さなものを丸ごと一つもらって、生椎茸や大根、人参、ホウレン草など新鮮な野菜を沢山買ってから、隣町のスーパーに出掛けるのです。今朝は鼻水が出て目から涙が出て来るから、お袋様に言ったら「それは花粉症の症状だよ」と言われて驚いたのです。
仕入れを終えて蕎麦屋に戻れば、暖房が入っていたので暖かく、野菜類を冷蔵庫に収納したら、白菜を切って漬け物の桶に塩を振って漬け込む。重しをして蕎麦打ち室に置いておけば、明日の朝にはすっかり水が上がるのです。漬け物の一番の頼りは、野菜が新しいことで、大根のなた漬けの塩漬けもしたのだけれど、これは午後にはもう水が上がってくる。家に戻ったところで、昨日残った蕎麦を持ち帰るのを忘れたことに気が付いたから大変です。
もう一度車を出して蕎麦屋に行くのも億劫だったので、ちょうどスーパーで買って帰ったラーメンの麺が二つと挽肉があったから、先週使い切れなかったキャベツや人参、ピーマンなどを入れて、昼はあんかけ湯麺にして、作り置きの餃子を焼いたのです。味つけは塩と胡椒と砂糖だけ。野菜の甘みが挽肉の旨味とがしっかりと合わさって、女将も「美味しくて温まる」と言っていた。餃子は言わずもがな、今回は挽肉を沢山入れたので肉餃子になっていた。
食後は書斎に入ってひと眠りしたら、女将のスポーツクラブの予約を済ませて、午後の活動を開始する。西の町のホームセンターに久し振りに出掛けて、天削げの割り箸と業務用の消毒液とついでに洗剤や大型のゴミ袋などを買って帰る。空は何処までも青く広がって、春らしい陽気なのでした。何度も出掛けるのが面倒なので、灯油の空き缶を積んでいたから、ガソリンスタンドに寄って買って帰る。蕎麦屋で荷物を降ろして午後の仕込みに入るのでした。
塩で漬け込んだ大根はすっかり水が上がっていたので、甘酒の素と砂糖と唐辛子と柚子を入れて漬け直す。蕎麦打ち室の白菜はまだ十分に水が上がっていたなかった。夕刻までにはまだ時間があったから、返しを仕込んでおこうと思って、減塩醤油と減塩の再仕込み醤油を箱からから取り出して調理台に置いたら、味醂とワインビネガーがないのに気が付いた。最近は、なくなる直前まで余分な費用を使わないようにしているので、こんなことが起きるのです。
仕方がないから、明日の朝一番で買いに行くことにして、家に戻ってひと休みです。蕎麦屋の駐車場の落ち葉の処理も、熊手やスコップなどの道具を車に積んでいたのだけれど、今日は風が強かったので出来なかった。夕食は暖かいからと刻み鮪の手巻き寿司にしてくれたので、酒も飲まずにむしゃむしゃと食べるのでした。お茶をもらって居間でテレビの番組を見るけれど、風呂の時間まで退屈なので、焼酎のライム炭酸割りを飲みながら過ごすのでした。
2月14日 水曜日 今日は風もなく暖かい一日で…
隣町のスーパーが開く朝の9時を待って、味醂とワインビネガーを買いに行く。そのまま蕎麦屋に行って返しの仕込みに入ったのです。蕎麦徳利はすべて空になっいたので、出汁を取る準備も忘れなかった。蕎麦汁は先週作ったものがまだ鍋ひとつ分だけあるから、返しを作ってこれを詰めてから、水の上がった白菜の漬け物を漬け直せば好いと考えていたのです。予定通りに時間をかけて、次の作業をこなしていく亭主。BGMにはクラプトンのアンプラグド。
白菜一把が二日目で水が上がってしんなりとしたから、小さな漬け物器に移したら、昆布と刻み柚子と京唐辛子を輪切りにして、幾層にも同じように漬け直すのでした。新鮮な野菜は見事なまでに水が出て、昨日は到底入らないと思っていた白菜が、すべて綺麗に並べて漬け込めるのでした。今週も美味しいお新香が出来そうです。蕎麦屋の駐車場の落ち葉を70㍑のビニール袋に詰めて、まずは一袋というところで11時になる。家に帰って昼食の支度をしなければ。
先週は蕎麦が二束と端切れを残して終わったので、今日は古くなったとろろ芋を持ち帰って、昼はとろろ蕎麦にするのでした。女将の作った鶏肉と大根の煮物がまた格別に美味しかったので、華を添えたのです。暖かくなってきたから蕎麦は実に美味かった。お茶をもらってひと休みしたら、書斎に入って亭主はひと眠りなのです。その間に女将はスポーツクラブに出掛け、亭主も1時間ほどして蕎麦屋に出掛けるのでした。午後の仕込みは出汁取りから始める。
小一時間かけて一番出汁と二番出汁を取ったら、蕎麦汁を仕込んですべて水で冷やしてから、冷蔵庫に収納するのです。調理台が片付いたところで、明日の天麩羅の具材を切り分けて、容器に入れてラップをかける。午前中に漬け直した白菜のお新香は、また水が出ていたから、ぎゅっと蓋を閉め直すのでした。4時過ぎにすべての作業が終わって、後は明日の朝飯前のひと仕事で、蕎麦豆腐を造ったり、出来れば蕎麦を打っておければ一番好い。
家に戻ってひと休みしたら、夕飯は昨日と同じ鮪のたたきの手巻き寿司で好いかと女将が言うので、亭主は酢飯に乗せてマグロ丼にしてもらった。夜のプールに出掛けるので、ゆっくりと食べている暇はないのでした。食休みに何度も観ているメグ・ライアンの「ニューヨークの恋人」を途中まで見て、6時過ぎには車に乗ってスポーツクラブに出掛ける。今日は人は少ないのだけれど、泳げる人が多くて、間を開けて後に付いていく形で泳いだのです。
2月15日 木曜日 今年は随分と早く春一番が吹いた…
今日は午前5時前に蕎麦屋に着いて、白菜のお新香を漬け物器から取り出し、小鉢に盛り付けたら、なた漬けも少しだけ盛り付けておいたのです。それから蕎麦豆腐を仕込んで、コーヒーを一杯入れてひと休み。6時を過ぎると辺りが明るくなって、東の空がほの赤く染まってくるのでした。蕎麦打ち室に入って今朝一回目の蕎麦を打つのでしたが、48%の加水では生地がちょっと柔らかかった。暖かいからか粉の具合がいつもと違っているようなのです。
何とか8束打ち上げて生舟に並べれば、ちょうど7時前になる。朝食を終えて書斎でひと眠りしたら、女将の観ている朝ドラの終わる時間にちょうど目が覚めるのでした。洗面と着替えを済ませて、「行ってきま~す」と稽古場で新聞を読んでいる女将に声をかけ、玄関を出たところで、空に異様に大きな飛行機が爆音を響かせて飛んで行くのが見える。初めて見る自衛隊のC2という輸送機なのでした。かなり低空なので妙に威圧感があって怖かった。
蕎麦屋に着くまでに、家の裏手の幼稚園に向かう近所の親子に出会って挨拶を交わす。幟を出したら直ぐに蕎麦打ち室に入って、二回目の蕎麦を打つ。今日は暖かくなると言うから、お客が沢山来たら困るので、念のために普段よりも多めに用意しておくのです。生姜をすったり、薬味の葱を刻んだりは早朝の間に終わらせてある。いつもの時間に金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻むのです。新しい胡麻油を天麩羅鍋にあけ、天つゆをコンロに載せて温める。
外は陽が差していたけれど、次第に風が強くなってきたのです。これはちょっと想定外なのでした。暖かくても風のある日はお客は来ないというのが、これまでの経験から分かっていたから。それでも女将が手伝いに来てくれた昼前には、新型の高級車に乗って男性が一人ご来店なのでした。ヘルシーランチセットのご注文で、女将が野菜サラダや蕎麦豆腐を出している間に、亭主は厨房で盆や蕎麦皿を用意する。昼を過ぎて高齢の女性二人がいらっしゃった。
とろろ蕎麦と鴨南蛮蕎麦を頼まれたから、とろろ蕎麦を先にお出しして、じっくりと鴨肉を焼く。電話を受けた女将が「大学の同級生の○○さんから」と言って亭主に電話を渡すのでした。久し振りだったけれど、ゆっくりと話をする暇もない。明日、五人で蕎麦屋に来たいのだけれどと言うことなのです。今日は開店前に「明日は営業していますか」と言う電話が入っていたのでした。何人で来るのかも聞かなかったけれど、何とかなるだろうと思って快諾した。
珍しく今日は天麩羅が出なかったから、1時を過ぎて亭主はぶっかけ蕎麦を山葵だけで食べる。家に戻ってもあまり疲れていなかったからか、今日は昼寝をしなかったのです。明日は今日とは違って寒い一日になりそうだけど、お客は来ることになっているから、まずは安心。ちょうど女将のスポーツクラブの予約が取れずに、明日も手伝いに来てくれると言うから、さらに安心なのでした。本当に久し振りに旧友に会えるのが楽しみな晩です。
2月16日 金曜日 平日には珍しくお客が10人を越えて…
6時過ぎに蕎麦屋に行けば、今朝は東の空に幾重にも雲が出て、ちょっと不気味な朝なのでした。真上の空は雲がなかったから、これが続けば今日は晴れと言うことになる。昨日の洗い物を片付けて昼間の水分補給にほうじ茶を沸かしたら、瀬戸物のグラス3つ分に入れておくのです。女将はいつも水筒に水を入れて持ち歩いているから安上がり。7時近くになったら煙草を買いにコンビニまで車を走らせ、家に戻ればやっと朝食の支度が調うところでした。
食事を終えてお茶をもらったら、書斎で30分ほど横になるのだけれど、眠ったのだか起きていたのか分からない。昨日沢山打った蕎麦が生舟に残っていたから、今朝は500gだけ打ち足せば好かった。テレビのデータ放送で佐倉市の天気予報を確認して、今日も昨日の続きで風が強い一日になりそうなのでした。昨日は南風で春一番だったけれど、今日は北風で寒くなりそうなのでした。幟を出したら蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。加水率は47%にしました。
それでも少し柔らかめの生地の仕上がりで、薄く伸してしまうから、今日は切りべら26本なのでした。均等な幅で切りそろえられたから、まずまずの仕上がりです。昨日の蕎麦と合わせて今日は14食の用意ですが、平日ではこんなに出るはずもないと思ったのです。厨房に戻って金柑大福を今朝は四皿分包み、昨日の残りと合わせて六皿も用意しました。大学時代の友人家族がお孫さんを連れてやって来ると言うので、今日は久し振りに多めに作っておいたのです。
野菜サラダはいつもと同じ三皿だけ用意して、まだ11時前なのでした。あらかた開店の準備が終わった頃に、老婦人が運転する超高級外車が駐車場に入ったと思ったら、上手く停められなくてご主人にバトンタッチ。それでもなかなか切り返しが出来なくて、外に出た亭主が最後に代わって無事に駐車する。聞けば昨日電話をくれた方なのでした。奥のテーブルには友人の家族の分の箸とおしぼりをあらかじめ置いて、入り口のテーブルに3人を案内するのでした。
天せいろと鴨南蛮蕎麦とヘルシーランチセットの天せいろをご注文で、白エビのかき揚げとワカサギの天麩羅を頼まれる。続けていらっしたのは三人のご家族なのでした。テーブル席に座れないかと言われたのですが、「今5人家族がいらっしゃるので」と、予約を受けないはずの霊犀亭が辛うじて難を免れる。三人とも天麩羅蕎麦のご注文で、ご主人は大盛りで頼まれた。今日は天気が好いからか天麩羅がよく出るのでした。切り分けた具材がなくなったのです。
そこに待ちかねた友人の家族がやって来て、40年振りだと言うから、そんなに会っていなかったのかと、月日の経つのが早いのに驚く亭主。娘さんには若い頃の奥様の面影があった。お孫さんはまだ小学生だとか。蕎麦が美味しいと言って喜んでくれたから嬉しい。他のお客は皆さんお帰りになったから、蕎麦は売り切れにして暖簾をしまう。積もる話は止めどなくあったけれど、お互いに元気で好かったねという結論。彼もやっと仕事を辞められたのだとか。
2月17日 土曜日 今日も蕎麦屋は結構な賑わいでした…
昨日はプールに行く時間に蕎麦屋に出掛けて、カウンターに干してあった大量の盆や蕎麦皿を片付けた。今朝も5時半には蕎麦屋に出掛け、すっかりなくなった天麩羅の具材を切り分けて容器に入れる。10年前の開業当時は今よりもずっと忙しかったはずなのに、そんな記憶がまったくないのは、やはり若かったのでしょう。6時を過ぎたところでまだ時間があるから、今日の蕎麦を打っておこうと蕎麦打ち室に入って、蕎麦を打ち始めたのです。
蕎麦粉が残り僅かだったから、袋に入っているだけ打てば好いと思ったら、850g以上の量があったので、今日は10人分の蕎麦が打てると喜んだのです。午前中には蕎麦粉が届くことになっていたけれど、昨日の残りの蕎麦と合わせて12人分もあれば、何とか足りるだろうと思えたのです。加水率は47%。捏ねた蕎麦をしばらく寝かせて、厨房で換気扇を回しながら一服する。今日の段取りを考えて、蕎麦打ち室に戻るのです。135gの束でちょうど10人分が仕上がる。
7時20分になったから慌てて家に戻ったら、女将はもう朝食を終えていた。急いで食事を済ませてお茶をもらって一服したら、書斎に入って30分ほど眠ったのです。女将の観ている朝ドラが終わる頃には洗面と着替えを済ませて、今の椅子に座ってゆっくりとするのでした。蕎麦打ちが終わっていると随分と余裕があるのです。化粧品の再配達の電話操作ができない女将に代わって、QRコードからアクセスしたら、もう配達に出ていると分かったのです。
朝から曇っていた空は、少しは青空が見えるけれど、天気予報では今日は晴れだと言う。品物が届くまで蕎麦屋には来なくて好いよと女将に言って来たので、今日は店の掃除から洗濯物を干す作業まで亭主が済ませておく。それでも悪いと思ったのか10時前には荷物が届いたと店に来てくれて、トイレの掃除だけして早お昼を食べに帰ったのです。外は青空が広がって少し暖かくなってきたらしい。宅配のお兄さんが仕事を終えたと蕎麦を食べに来てくれた。
今日は鴨南蛮蕎麦の大盛りの注文で、食べ終えてから蕎麦豆腐まで頼まれたのです。その後はしばらく時間が空いたので、亭主は金柑大福に使う白餡作りに精を出す。女将は割り箸を袋に詰める作業をしてくれていた。1時前に5人連れのご家族がやって来たから、昨日と同じように奥のテーブルに5人で座ってもらった。注文はカレーうどんを含めていろいろなのでした。急に厨房は忙しくなるのです。それが楽しいと思えるから、まだまだ余裕はあるのでした。
続けて老夫婦のリピーターがいらっして、鴨南蛮蕎麦とヘルシーランチセットの天せいろを頼まれる。前回もお年寄りが食べきれるのだろうかと心配したのですが、二人で綺麗に食べ終えたから感心するのでした。ご主人が壁に掛けた店の名前の由来書について、女将に話を聞いていた。2時前になって「遅くまで済みません」と言って帰られた。洗い物をする暇もなかったので、今日も3時近くまでかかって洗い物と片付けをこなすのでした。
家に戻って書斎でひと眠りすれば、やはり疲れたのか、女将が5時半に起こしに来るまでまったく目が覚めなかったのです。今日は夜の防犯パトロールのある日だったから、寝ぼけ眼で出掛けたら、メガネをかけるのを忘れてしまった。今日は少し少なめのコースを通ってくれて、4km程の道程を話をしながら歩くのでした。年を取ると目も耳も悪くなるものだと言いながら、出歩かないと歩かなくなるからいけないと言う話を80歳を過ぎた老人から聞くのでした。
2月18日 日曜日 やはり暖かいからか今日も蕎麦屋は賑わう…
昨日の片付けがあったから、今朝も朝飯前に蕎麦屋に出掛けて、カウンターに干してあった盆や蕎麦皿を片付けるのでした。そして天麩羅の具材がほとんど残っていなかったから、昨日の夕刻に買い物に出掛けた女将に頼み、ピーマンやナスを買ってきてもらった。生椎茸も最後の1パックを使って、なんとか今日の具材を切りそろえるのでした。東の森の向こうから、朝日が昇ろうとしている。今朝は7時になる前に家に戻って朝食の食卓に着くのです。
食事を終えたら書斎に入って30分ほど横になる。朝ドラはないけれど、いつもの時間に起き出して洗面と着替えを済ますのでした。新しく届いた蕎麦粉の袋を開けて、750g8人分の蕎麦を打つ。昨日の蕎麦が3束残っていたから、今日は11人分の用意で営業を開始するのでした。前のバス通りを4人連なって、サイクリング車が蕎麦屋の前で止まった。時間はまだ11時過ぎなのでした。それでも自転車を駐車場に停めるのに手間取ったから、暖簾を出したのです。
中年の男性4人が奥のテーブルに座って、おろし蕎麦とぶっかけ蕎麦の全員大盛りのご注文なのでした。最初に天麩羅とかき揚げを揚げて、後は蕎麦を茹でるだけなのですが、大盛りは一度に二つずつしか茹でられない。いつもの開店時間には、カレーうどんのご主人が奥様を連れてやって来たから、もうテーブルは一杯なのです。ハラミの串焼きを頼まれて、カレーの汁を作っている間に、急いで肉を切り分けて串に刺すのでした。奥様はおろし蕎麦を頼まれる。
今日はおろし蕎麦が多かったので、大根おろしが足りなくなって女将が大根をおろしてくれていた。12時前なのに、もう生舟には蕎麦が少ししか残っていないのです。自転車組が帰った昼を過ぎて、もう一台車が駐車場に入って、年配のご夫婦がいらっしゃる。お二人もよく見えるお客様で、奥様が必ず純米吟醸の日本酒と天せいろを頼まれるのです。ご主人はいつも辛味大根とせいろ蕎麦で、お二人とも蕎麦を食べきれずに残すのが常なのでした。
1時までお客をまって、お蕎麦売り切れの看板を出し、亭主はかき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べるのでした。生舟に残った蕎麦はたった一つなのです。今日も16℃と暖かいから、三日連続で蕎麦屋は混んだのでした。洗い物を済ませ、2時過ぎに女将と家に戻って、今日のデータをパソコンに入力したら、亭主は郵便局に蕎麦粉の代金を振り込みに行く。家に帰ったところで今度は女将が買い物に出掛ける。夜は活きの好い鰯が出ていたからと刺身で一献なのです。
2月19日 月曜日 今日は曇り空だったけれど異様に暖かい…
6時過ぎに蕎麦屋に出掛ければ、東の森の上の空かが赤く燃えるようなのでした。今日は一日中曇りだという予報だったから、陽の光が見えただけでも好かったのかも知れない。南風のお蔭で朝からかなり暖かいのです。厨房に入って、まずはポットに湯を沸かしてコーヒーを入れ、ほうじ茶を瀬戸物のグラスに三杯作っておく。湯の沸くまでにカウンターに干して盆や蕎麦皿を片付け、空になった蕎麦ドックリを調理台に並べて、小鉢を補充するのでした。
7時前に家に戻って、朝食の支度が出来るまで居間の椅子に座って一服する。「お父さん、ご飯ですよ」と女将に呼ばれて食卓に着けば、作ったばかりのベーコンエッグが美味しかった。冷蔵庫の中が空っぽになっているのを知っていたから、これが最後の料理なのかも知れない。煮物とお新香とで美味しく朝ご飯を食べたのです。食後にお茶をもらったら、書斎に入ってひと眠りするのでした。小一時間ぐっすりと眠って、洗面と着替えを済ませて蕎麦屋に行く。
看板と幟を出したらチェーンポールを降ろして、蕎麦打ち室に入るのです。今朝は750g8人分を打って、昨日の残りの蕎麦と合わせて9食の用意なのでした。加水率は47%。生地はちょうど好い硬さで、伸してもしっかりと四隅が取れて、蕎麦切りも均等な幅で上手く出来たのです。厨房に戻って大根をおろし、野菜サラダの具材を刻めば、今日は途中でひと休みをしなかったので、11時前には開店の準備が整うのでした。女将が来ない日なので緊張していたのか。
今日は男性の一人客ばかりなのでした。それも一人が帰ればまた一人といった具合で、洗い物を片付けたら、お茶を出して次の調理に入れば好かったから楽なのです。最後のお客が帰ったのが1時過ぎで、亭主は残った天麩羅の具材を上げて、賄い蕎麦を食べる。時間になったら幟をしまって、大釜を洗ったり天麩羅鍋の油を濾したり、明日は子ども会の廃品回収なので、奥の座敷の段ボールを潰して紐で縛って、新聞紙と一緒に玄関脇に置いておく。
家に戻ったら、ちょうど女将が蕎麦屋に今日の残りものの荷物を取りに来てくれるところで、階段の降り口で荷物を手渡したのでした。夕刻までひと眠りして、夕飯は食べずに夜のプールに出掛けるのです。いつもの時間でしたが、駐車場はやけに混んでいました。プールは一人一コースでゆったりと泳げたけれど、亭主以外は若い人たちばかりだったから、少し気が引けた。帰りに地階のスーパーに寄って、冷凍食品の酒の肴を沢山買い込んで帰るのでした。