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2022年8月上旬

8月6日 土曜日 蝉の声が聞こえる …

 今朝はアオイの花だけが一輪咲いていました。カッシアの影に隠れているからか、背丈も小さくひっそりと咲いていると言った感じです。考えたらムクゲもアオイ科の花だから、作りが似ていると言えば似ているかな。今朝は蕎麦打ちも一回で済みそうだったから、朝食も少し遅い時間で、珍しいホッケの味醂干しを買ってあったので、焼いてもらっておかずにする。女将が作った揚げ浸しともずくも添えられて、美味しくいただくのでした。

 蕎麦屋までの道程も涼しい朝だったから楽なのでした。お隣のひまわり畑も、日に日に花の咲いている数が増えて、満開の日が楽しみなのです。看板と幟を出して、チェーンポールを降ろせば、今日はもう週末だから早いもの。昨日一昨日の二日間が、あまりにもお客が少なかったので不安だったけれど、女将の三年日記によれば、去年の夏も緊急事態宣言が出ていて、平日はとてもお客が少なかったのだとか。店の窓を全開にして涼しい朝の空気を入れる。

 店内の気温は25℃と昨日よりも涼しい。ただ、湿気に弱い亭主には、ちょっと動くと汗が出るのが辛いところ。蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打てば、もう汗が噴き出してくる。加水率43%で捏ねた生地はちょうど好く仕上がって、伸して畳んで包丁を打てば、切りべら26本で140g前後の束が8つ取れた。昨日の残りの蕎麦と合わせて、今日は15食の蕎麦を用意しました。どれだけお客が来るのか分からないけれど、蕎麦の数を越えることはないと思うのです。

 野菜サラダもこのところ涼しいからかあまり出ないので、週末だけれど今日は三皿だけ盛り付けておくことにしました。暑いから、作って直ぐに冷蔵庫に入れてしまうと、カウンターに並べてお客が見て頼むということがないから、ちょっと残念ではあるのですが。天麩羅油を鍋に注ぎ、天つゆの鍋を隣の火口にかけて、天麩羅の具材や天ぷら粉を調理台に並べたら、開店の準備は完了です。一度来て店の掃除を済ませた女将が、11時過ぎに早お昼から戻って来た。

 時間に余裕のある亭主は、真空フリーザーで半解凍した豚ハラミを串に刺して、誰か頼まないかなと皮算用をする。週末に出なければ、家に持ち帰って亭主の酒の肴にするから、それはそれで嬉しいのだけれど、コロナの影響で夜の営業を休んでいるから、あまり期待は出来ないのです。昼前からぽつりぽつりとお客が入って、何時の間にか駐車場は満杯。歩いて来るお客もいるから店の中も、満席になるのでした。厨房は俄に忙しくなるから楽しい。

 今日は新しいお客がほとんどで、女将も顔を見たことがないお客ばかりだったと言う。鴨せいろが二つも出て、天せいろに天麩羅蕎麦、ぶっかけ蕎麦など、種類も幅があるのでした。1時過ぎには、皆さんお帰りになるから、混むのは申し合わせたように昼の一時間ばかり。洗い物をする暇もなかったから、女将と二人でせっせと洗っては片付ける作業を繰り返す。外が涼しいからか、厨房も27℃を越えなかったのが幸いでした。とても動きやすいのです。

 残った幾つかの蕎麦を賄いで食べて仕舞うと、明日の分が少なくなるから亭主は家に帰るまで空腹を我慢する。みずき通りに折れる所の森の木々から、蝉の声がやけに賑やかに聞こえてくる。女将は蕎麦屋に居ても森の木々から蝉の声が聞こえるというけれど、亭主には耳鳴りばかりが煩くて、それと気が付かないのです。でも外に出て実際にミンミン、ジージーと鳴く声を聞くと、夏の風物詩。角のお宅では、これもアオイ科の芙蓉の花が咲いていました。

 餅を焼いてもらって30分ほどひと眠りしたら、女将が買い物から帰って来た。亭主はまた蕎麦屋に出掛けて、明日のお新香を漬けて洗い物を片付けてくる。5時を回っても夫婦の見たいテレビ番組はなく、週末の夕食時は本当にテレビを消したママなのです。野球や競馬やゴルフなどスポーツの好きな人は、テレビを観る楽しみも多いのかも知れない。夕食には沢山残った野菜サラダを使って、定番になったお好み焼きを作る。亭主は串焼きがあるから半分だけ。

8月7日 日曜日 今日は不安定な空模様で …

 午前5時半、家を出て車で蕎麦屋に向かえば、重苦しい雲が一面に空を覆っていました。夕べ漬けたお新香を取り出さなければと、早い時間に出掛けたのですが、11時間のつけ込みで、味は上々なのでした。キュウリは太い物の方が、甘く漬け上がる気がしてならない。農家で取れたばかり野菜は美味しく漬かるのです。カウンターの上に干した昨日の洗い物を片付け、洗濯物を畳んだら、洗濯機の中に洗ったままになっていた昨日の分を干して、家に戻ります。

 それでもまだ6時半過ぎだったから、女将はまだ寝覚めのヨーガの時間で、台所には現れない。亭主は仕方がないから、エアコンの効いた書斎に入って横になれば、湿気がないのでぐっすりと寝込んでしまう。7時過ぎに女将に起こされて朝食の席に着く。週末になると定休日の買い出しまでに、冷蔵庫の中の食材がが片付いてくるので、予想通り、ハムエッグと煮物のおかずで美味しく朝食を食べるのです。洗面と着替えを済ませて、いつもの時間に蕎麦屋へ。

 何時の間にか青空が広がって、早朝の天気が嘘のようなのです。蕎麦屋の駐車場には、お隣の軒下からツバメの軍勢が次々と飛び立って、蕎麦屋の周りを高く低く飛び回っているではありませんか。蕎麦屋を背景にしてカメラを構えて待つけれど、スピードが速すぎてシャッターを押す頃には、もう屋根の上に飛び去っていく。連写の機能が付いている一眼レフでないと、なかなか難しいようです。ジリジリと陽射しが首を焼くから、直ぐに店の中に入る。

 今朝も43%の加水率で蕎麦を捏ね始める。最近はこの加水にもすっかり慣れて、生地が少し柔らかければ打ち粉を多めにして伸していく。今日も8人分の蕎麦を打って、昨日の残りの蕎麦と合わせて13人分を用意する。この週末もあまりお客は多くないから、十分に足りるはず。女将から聞いたのだけれど、昼前になると市役所からの放送で、毎日コロナの感染拡大を注意する放送が流れているのだとか。お客が減ったのは天候のせいばかりでもないのかも。

 それでも今日は10時半から駐車場に車を止めて、開店を待っているらしいお客がいたのです。陽が差して暑くなってきたから「まだ準備が終わっていないけれど、中でお待ちになったら」と言えば、「助かります」と店の中に入る。大釜のお湯も沸いていないので、亭主の飲む冷えたほうじ茶を出して、野菜サラダの具材を刻み、お湯が沸いたところでお茶を入れて注文を聞く。近くの介護施設の夜勤明けで遠くまで帰る途中なのだとか。リピーターの方でした。

 11時前に配膳したのは開業以来初めてでした。女将が来る頃にはヘルシーランチセットをもう食べ終えて、礼を言って帰られた。混んだのは昼過ぎの一時だけで、今日も日曜日なのに10人はお客が入らない。「以前のように補償もないのにねぇ」と、珍しく女将が行政の批判をするから驚いた。途中で大粒の雨がザーッと降ってきたと思ったら、直ぐに止んで陽が差してくる。東の空には黒い雨雲、西の空には青空が覗く、そんな天気の一日なのでした。

8月8日 月曜日 立秋が過ぎて再び暑さが戻った …

 いつものように22時に就寝、5時起床。最近はこの習慣が続いています。台所に行ってお湯を沸かし、コーヒーを入れて、明かりもテレビも点けずに窓の外を見ている亭主。食堂の窓に朝日が当たってとても眩しいから、今日はきっと暑くなると思えたのです。5時半を過ぎたらガレージのシャッターを開け、車に乗って蕎麦屋まで出掛ける。あまりすることはないけれど、昨日の盆や蕎麦皿を片付け、洗濯物を畳んで、西側の小径のムクゲを掃き集める。

 隣のお花畑は、また少しひまわりの花が咲いて、日に日に彩りが加わってくるのでした。ひまわりには青い空がよく似合う。来月、米寿を迎えるお袋様の住む低層マンションも、朝日を浴びてこんな早い時間からさぞ眩しかろう。一緒に仕入れに出掛ける明日には、お盆の墓参りの打合せをしなければ。お墓の草取りは近くに住む弟がもう済ませてくれたらしい。西側の小径に散ったムクゲを掃きに出れば、伸びていた葛の蔦をお隣で刈り取ってくれたのでした。

 家に帰れば女将が朝食の支度を済ませて、味噌汁とご飯を運んでいる。その湯気が朝日に当たってちょうど見えるから、亭主は居間の椅子から立ち上がり食卓に着くのです。いよいよ我が家の冷蔵庫には食材がなくなってきたらしく、蕎麦屋の残り物にウィンナや卵をあしらって、美味しそうに見せるのは女将の神業か。豚汁も肉がなくなったから、タンパク質は油揚げだけで、大根と人参に刻み葱を入れて、結構、美味しく出来上がっているのです。

 食事が終わったら、洗面と着替えを済ませて、エアコンの効いた書斎で10分間だけ微睡む亭主。今朝は新聞がないから休憩が出来ないと、お茶を入れている女将に所望して、美味しいお茶で目を覚ますのです。ご近所の百日紅の花が綠の木々を背景にして、鮮やかだったから、ウッドデッキから写真を撮らせてもらった。今日も暑そうな空なのです。蕎麦屋に出掛ける途中、ご近所のご主人に後ろから「昨日までは涼しかったのだけれどねぇ」と挨拶される。

 早朝にエアコンを入れておいた蕎麦屋に着いて、朝の仕事を終える亭主。今朝は500gだけの蕎麦打ちだったから、慌てることはないのです。昨日の残りの蕎麦と合わせて11食分を用意して、厨房に戻る。まだ10時前なのでした。二つの大釜に火を入れたら、まずは野菜サラダのアスパラとブロッコリーを茹でておく。10時になると、例によって市の放送が始まるから嫌になる。感染拡大を注意する、この放送のお蔭で、確かに随分とお客は減っているのです。

 野菜サラダの具材を刻み、天麩羅の具材を調理台に並べ、天麩羅油を鍋に注いで、天つゆの鍋を隣の火口に乗せたら、もう大釜の湯が沸いているのです。11時には準備か終わるから、それからテーブルをアルコール除菌液で拭いていく。今日は11時20分には暖簾を出した。エアコンを入れても、換気のために窓を少し開けているから店内は27℃どまり。それでも、湿気が取れるからか、蒸し風呂のような外に比べたらかなり涼しいのです。

 12時を過ぎてやっと車が駐車場に入ってくる。一台入ると続けてまた入るから不思議なもので、天せいろやヘルシーランチセットを続けて出すのでした。でも、今日はそれでお終い。1時を過ぎたところでかき揚げを揚げて、自分の食べる賄い蕎麦を茹でるのです。お客が少なくても、月曜日は後片付けが大変で、洗い物と片付けの他に、ゴミ袋を外の混み箱に移したり、洗濯物を洗ったり、持ち帰る食材を袋に詰めたりと、汗だくで1時間近くかかるのでした。

8月9日 火曜日 暑さはますます酷くなって …

 どうも定休日というのは、ゆっくり寝ていられない性分らしい。あれをしようこれもしておこうと、考えて寝付くからか、午前4時には目が覚めて、珈琲を飲みながら明るくなるのを待つのでした。それでも実際には時間と体力とが足りなくて、全部は終われない。今朝も5時には家を出て、森の影から朝日が昇るのを眺めながら、返しを仕込んで出汁取りの準備。昨日の後片付けや洗濯物を畳んだり干したり。南側のミニ菜園の草刈りまでは手が回らなかった。

 家に戻れば朝食の時間で、亭主の希望で今朝は茄子焼きと銀ダラの塩焼き。学生時代にナス焼きだけで夕食を食べていた記憶が、未だに懐かしく、自分の原点のように思えてならないからです。我が家の冷蔵庫もほとんど空になって、茄子やキャベツなどの野菜だけが残っていたのです。週に一度の仕入れの日にも、亭主が家の分の肉や魚や果物を買ってくることが多くなった。暑いから2キロの道程を歩いて買い物に行く女将だけでは、到底持って帰られない。

 お袋様と二人で買い出しに出掛け、盆の墓参りの打合せをする。暑くて眠れない夜は、氷枕にタオルを何重にも巻いて寝ているというから、いろいろ工夫をするものだと感心する。新レンコンがやっと少し安くなったから、天麩羅の具材に使おうと買って帰る。いつもより少ない量なのに、値段が高いのはこの暑さで野菜の値が上がっているかららしい。ひとパック100円だった茗荷も一挙に300円だから驚いた。大根も小振りなのに一本200円を超えていた。

 早朝に準備をしておいたから、出汁を取って蕎麦汁を仕込んでおく。一番出汁二番出汁と取って冷やさなければならないので、どうしても小一時間はかかるのです。昼の時間を気にしながら、何とか11時過ぎには仕込みを終えて、家に戻って昼食の準備にかかる。買い物から帰った女将も慣れたもので、蕎麦を茹でる鍋に水を汲んで火にかけ、昨日、亭主が揚げて帰った天麩羅をグリルに入れて、蕎麦が茹で上がる頃に焼き上がるように段取りをつけるのです。

 昨日の蕎麦が随分と残ったから、お袋様にも持って帰ってもらったのですが、亭主は念願の大盛りにして腹一杯食べられた。それでも、家で一番大きな3㍑ほどの鍋で二人分茹で、小さな笊とボールで蕎麦を洗うから、どうしても上手く仕上がらないのです。一人分ずつ茹でれば好いのに、つい面倒で二人分を一緒に茹でてしまう。女将は美味しそうに食べてくれるけれど、蕎麦屋の主は納得がいかない。茹でた蕎麦に艶が出ないのが見てくれも好くないのです。

 居間の椅子に座って女将の運んでくれるお茶を飲んだら、テーブルの隅に彼女の携帯が置いてあるのに気が付いた亭主。スポーツクラブの予約が2時過ぎにあったのでした。ひと眠りする時間はあるから、エアコンの効いた書斎に入って横になる。朝が4時起きだとどうしても昼寝が必要なのか。それでも20分ほど微睡んだだけで、午後の仕込みのことを思うと気が気ではないのです。無事に女将が希望する席を取って、亭主は蕎麦屋に出掛けていくのです。

 蕎麦屋に着いたらまずは、今朝やり損ねた南側のミニ菜園の様子を見に行った。予想通り、もう荒れ放題で、やはり耕して野菜を作っていないと、自然に帰ってしまうのだと痛感するのでした。明日こそは、長袖長ズボンに手袋をはめて、この雑草を刈り取ってやろうと思うのです。午後の仕込みは小鉢の準備なのですが、先週買った冬瓜を、何とか使おうとあちこちのレシピを覗いて考えたのですが、結局は揚げ浸しのようにして作ったまでは好かったのですが。

 冬瓜を茹でるのを忘れたから、なかなか火が入らない。一年振りだからやはり失敗なのでした。どうやって修正しようか、こんなこともあろうかと、今日は半分だけ使って量を減らしておいて好かった。家に帰って女将に話をすれば、「しばらくやっていないと、忘れてしまうことが多いのよ」と言われる。夜は今日買って帰った小振りの鰯を焼いて食べる。他はすべて先週の蕎麦屋の残り物。さあ明日は早く起きたら涼しいうちに、草刈りに精を出そうか。

8月10日 水曜日 今日は墓参の日 …

 今朝も早くから起きてはいたのですが、どうもなかなか疲れが抜けなくて、朝飯前のひと仕事に蕎麦屋に出掛けて草刈りが出来なかったのです。朝食を終えたら洗面と着替えを済ませて、9時前にお袋様を迎えに行って、近くの霊園に盆の墓参りに出掛ける夫婦。霊園の入り口には青空に映える百日紅が見事で、まだ誰も来ていなかったから、三人で手分けをして花を供えて線香を上げる準備をするのでした。盆の入りは週末にかかるので、混むといけないと配慮。

 亭主が桶に水を汲みに行っている間に、女将とお袋様が花を切りそろえて、線香に火を点けたら、それぞれが隣り合った三箇所の墓に参る。この霊園の出来たばかりの頃に、一番早くに墓を買ったので、正面の手前、真ん中の場所を手に入れることが出来たのです。それから何十年、今では墓地の規模も何倍にも広がって、随分と立派な霊園になった。家からは歩いても来られる距離だから、昔はお袋様も散歩がてらに好く来ていたと言う。

 お袋様と女将とを家まで送ったら、亭主はその足で蕎麦屋に出掛け、午前中の仕込みを済ませる。昨日作って冷やしておいた蕎麦汁を徳利に詰めて、揚げ浸しの野菜の中から冬瓜だけを取り出して、もう一度火を通して柔らかくする。イメージ通りに仕上がらなかったのが悔しくて、二回目は冬瓜をあらかじめ茹でて柔らかくしておく。トマトも湯引きして皮を剥いておくのでした。蕎麦羊羹と蕎麦豆腐を仕込んだところで、午前中の仕込みを終わりにしました。

 家に帰ってそろそろ昼の支度をしなければと思っていたら、珍しく時間に買い物から女将が帰っていない。仕方がないから、とろろ芋をおろして、天麩羅の残りを焼き、蕎麦を茹でるばかりに準備を調えておいたら、やっと女将が帰ってきた。薬局の小母さんと長話をしていたのだとか。今日は蕎麦を一人分ずつ茹でて、氷で締める笊とボールも用意したから、少しは味が良くなっただろうか。冷たいとろろがヒンヤリと美味しいのでした。 

 食後はひと眠りをせずに、1時過ぎには蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをする亭主。ナスとミョウガとシシトウを油で炒め、薄口の出汁醤油に砂糖を入れて作った汁に、茹でた冬瓜とトマトと一緒に漬け込む。二回目のチャレンジは、冬瓜とトマトを茹でたのと、色を薄く仕上げたのが違う。透き通った冬瓜の涼しさが出ないのがやはり失敗。残った冬瓜を今度は出し汁と塩と砂糖で煮込んだら、鶏胸肉の挽肉を入れ、出汁醤油を垂らし、片栗粉でとろみを付けた。

 今度はイメージ通りに上手く出来たのです。透き通った冬瓜の涼しげな色が夏場の涼と、やっと一年前を思い出した亭主。天麩羅の具材を切り分け、糠床にお新香を漬けたところで、時計は既に4時を回っていた。エアコンを入れていても30℃を越える厨房で、今日は随分と頑張って仕込みをしたものです。気になっていた包丁を研いで、ついでに砥石が真ん中だけへこんできたので、砥石削りで少し平らにしておく。なかなかここまでやる暇がなかった。

 新しく別の業者から仕入れた豚ハラミを真空のフリーザーで解凍しておいたら、二日目なのにもうドリップが出ている。家で味見をしておこうとラップにくるんで、先ほど仕込んだ鶏胸挽きと冬瓜の煮込みと共に家に持って帰る。帰り道、いつもの酒屋まで遠回りをして焼酎と炭酸を買い、ついでにガソリンを入れて帰宅する。午後の陽射しはますます強く、車外温度は40℃を越えているのでした。みずき通りに折れる中央通りの風景もいかにも夏の午後らしい。

 台所で夕食の支度をしていた女将の用意してくれたのは、亭主の好きなジャガイモのバター焼き。モズクの酢の物とインゲンの胡麻和えと酒の肴には持って来いでした。それに亭主の持ち帰った豚ハラミの串挿しとシシトウを焼いて、冬瓜と鶏挽肉のあんかけ煮を加えれば、立派な酒飲みの夕食となるのでした。珍しくテレビも野球をやっていないから、女将と二人で静かに今日一日を振り返る。明日は祝日だから、蕎麦は少し多く打った方が好いと女将が言う。

8月11日 木曜日 朝夕が少し涼しくなったのか …

 午前6時の隣のお花畑。ひまわりの花が随分と沢山咲いてきた。花が小さいから、遠目にスマホのカメラで撮ると黄色い点に見えるけれど、人間の目で見ると確かに一つ一つの花がよく見える。西側の小径に散ったムクゲの花殻を掃き集めて、早速、厨房に入って夕べ漬けたお新香を取り出す。ついでに昨日作って鍋のまま冷やしておいた冬瓜とナスとミョウガとトマトの煮浸しを盛り付けておく。二回目の方が汁を薄くしたけれど、冬瓜はやはり染まってしまう。

 家に戻れば女将が台所で朝食の支度をしてくれていた。今朝は先日までの朝からの暑さが感じられない。湿気はあるからエアコンを使っているけれど、窓を開ければ涼しい風が入って来るのでした。店から持って帰った先週の三ツ葉がまだ残っていたのか、卵とじにして食卓に並ぶ。朝は暖かい食べ物が有り難いと思う年頃だから、豚汁がおかず代わりになって、とても美味しく感じられるのです。女将の漬けるお新香は、亭主は醤油をかけないと食べられない。

 食後は例によって短い時間だけれどひと眠り。今朝は珈琲も飲んでいなかったのを思い出す。20分ほど微睡んで頭がすっきりとしたところで、蕎麦屋に出掛けていく亭主。みずき通りを渡る頃には、随分と雲が出ていたけれど、時折、太陽を隠すので、陽射しが熱くないからちょうど好い。蕎麦屋の四軒隣の奥様が、花壇に植えたお花に水遣りをしていたので挨拶をする。古くから住んでいる人たちは、皆、亭主たちよりは年上の方なのです。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。女将の記録によると、去年は非常事態宣言が出ていたのに、山の日は10人を越えるお客があったらしい。それは大変だと今朝になってから慌てて、二回蕎麦を打つことにしたのです。750gと500gとに分けて、43%の加水でしっかりと蕎麦粉を捏ね、丁寧に伸して畳んで包丁切り。時間はかかるけれど、これだけあれば安心だと、生舟に蕎麦を並べて厨房に戻るのでした。

 やはり、いつもの時間に蕎麦屋に来て、蕎麦を二回打つというのは、その分だけ時間がかかる。特に定休日明けはやることが多いから、大根と生姜をおろして薬味の葱を刻んだところで、いつもだったら野菜サラダの具材を盛り付けている時刻。今日は祝日だから女将が手伝いに来てくれるのが、唯一の救いなのでした。胡麻油も新しい一斗缶を開けなければならず、重たい一斗缶を持ち上げて天麩羅鍋に油を注ぐ。大釜の湯が沸いたのでポットに詰める。

 これでもう開店5分前だったから、女将が「暖簾を出すわよ」と珍しく亭主をせっつくのでした。それだけ急いで準備を間に合わせたけれど、昼を過ぎてもお客は来なかった。今日もぴったり10時には市の放送が入って感染拡大が続いていると大音量でアナウンス。去年もこの放送でぴたっと客足が落ちたのだとか。幸いにも、1時近くになってお客が入り始めたから好かったのです。ご家族連れは墓参の帰りらしかった。続けて沢山の調理をするから忙しい。

 やっと亭主が遅い昼を食べたのは1時半過ぎでした。新しい油で揚げた天麩羅はやはり美味しい。今日のお客もそう感じてくれただろうか。月曜日に打った蕎麦を、今日の昼用にひと束残しておいたのだけれど、これも締まってなかなかいけるのです。最後のお客が帰ったのが遅かったから、全部の片付けを終えて2時半を過ぎた。女将はとっとこ先に帰って、ゆっくりと歩く亭主は家々の日影を通って家まで辿り着く。冷たい梨を女将が剥いてくれたのが嬉しい。

8月12日 金曜日 世間はお盆休みなのか …

 駅前の高層マンションが輝いて見える朝は、朝日が昇って強烈な陽射しを放っている証拠。今日こそは、蕎麦屋の南側の草刈りをしようと決めていたから、5時に起き出して珈琲を入れてひと休み。30分ほど居間の椅子に座って目を覚ましたら、意を決して玄関を出る。庭を見ればモミジアオイがぽつんと咲いていたので、写真に撮っておく。女将が愛でるだけあって、その姿が凛々しくも見える。ガレージのシャッターを開けて車に乗り込む。

 蕎麦屋に着いたら、他の事はさておき、軍手と鎌を手にしてミニ菜園に向かうのでした。月桂樹の枝を払いながら、西側の小径の手前まで一挙に草を抜いて行く。蔦が絡みついて大変だったけれど、定期的に草刈りをしているから、見てくれほど草の数は多くなかった。店の中に戻って90㍑のゴミ袋を持って帰り、刈った草を詰めて行くのですが、これがあっという間に一杯になってしまう。30分ほど奮闘して、ゴミ袋一つで今朝はお終いです。

 厨房に戻って昨日の洗い物を片付け、洗濯機の中の洗濯物を干したら、もう6時半を過ぎているのでした。朝の空気はヒンヤリとしていたけれど、やはり動いたから汗が滴り落ちて、家に帰る頃には暑い暑いと言ってクーラーの風で涼む亭主。それでも朝食は温かい方が好い年頃。豚汁はたっぷり肉が入っているから、唯一のタンパク源。自分で作った冬瓜と鶏胸挽きのそぼろ煮は、生姜の隠し味が利いていて、なかなか美味しい。来週はこれを店で出してみよう。

 朝から身体を動かしたからか、食後はすんなりとひと眠りには入れた。洗面と着替えを先に済ませ、エアコンの効いた書斎で30分ほど熟睡して、お茶を一杯飲んだら再び蕎麦屋に向かうのです。蕎麦屋の並びのご近所の奥さんたちが、玄関脇のお花に水遣りをしていたから、挨拶を交わしてちょっと立ち話。蕎麦屋の隣のひまわり畑も、今朝の強い風で揺れていました。空の色が真夏の空よりも青いような気がするのは、風が秋を感じさせる風だからだろうか。

 早朝にエアコンを入れておいたので、蕎麦屋の中は快適です。蕎麦打ち室も26℃で湿度は35%。それが、亭主が蕎麦を打ち終える頃には28℃、45%になっている。汗だくになった亭主の熱気が、狭い部屋を暖めているのかも知れない。今朝は750g八人分を打って、昨日の残りの蕎麦と合わせて13人分を用意する。平日だけれど、世間はお盆のお休みだからと、少し余裕を持って打っておいたのです。それが今日はぴったり当たって、昨日よりも多いお客がご来店。

 昼近くになって、三人連れのお客がいらっして、「美味い蕎麦を食べに来ましたよ」と年配の男性が大きな声で言う。初めての方なのにと思ったら、連れの女性の一人がリピーターで、「美味しい蕎麦を食べさせる店だから」と、友だちを連れて西の町から来てくれたのでした。蕎麦好きの方たちらしく、全員がせいろ蕎麦で男性だけは大盛りのご注文。年配の方達だから亭主も気が楽で、いろいろな質問に答えながら蕎談義に付き合う付き合うのでした。

 次のお客がいらっして、お茶をお出ししたところで、前のお客はお会計。ヘルシーランチセットとせいろ蕎麦のご注文だったから、野菜サラダと蕎麦豆腐をお出ししてその間に盆に蕎麦皿や蕎麦汁、薬味、小鉢をセットして、蕎麦を茹でる。天麩羅を揚げないと随分と楽なのです。時計は1時を回っていたから、今日はこれで終わりかなと、平日のつもりでいたのが迂闊なのでした。やっと洗い物を済ませた頃に、車が続けて駐車場に入ってくる。

 後半は皆さん天せいろや単品の天麩羅のご注文で、最後のお客は隣町の常連さんなのでした。とりあえずお茶をお出ししたら、前のお客の配膳をしてから、「いつもので好いですか」と確認をして、カウンターに野菜サラダを持って行く。盆と蕎麦皿、天麩羅皿と天つゆの器を用意して、インゲンと稚鮎とキスを揚げ、辛味大根をおろして、蕎麦を茹でる。前のお客がお会計を済ませて帰った後は、常連さんのいつもの四方山話に付き合う。有り難いことなのです。

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2022年8月初め

8月1日 月曜日 朝の8時から30℃を越える暑さで …

 今朝も4時半から朝飯前のひと仕事に蕎麦屋へ出掛けたけれど、カメラを持って行くのを忘れて、向かいの森の空が真っ赤に染まった美しい朝焼けも、写真に撮れませんでした。カウンターの上の洗い物を片付けて、新しい天つゆを作り、浅漬けを漬け込んだら、洗濯機の中の洗濯物を干して、最後に西の小道の槿の花びらを掃き集めるのでした。家に戻ってもまだ6時半だったから、エアコンを効かせた書斎で20分ほどひと眠りする亭主。

 7時を過ぎたので食堂に行って朝食を食べる。痩せたサンマの開きが焼かれていました。ジャガイモを茹でてバターを塗って食べればご飯が進むのです。朝ドラの終わらないうちに宅急便の配達が来て、受け取りに出た女将が「今朝は外も相当に暑いわよ」と言っていました。今日から8月だと、元気に蕎麦屋に出掛ける亭主でしたが、陽射しの強いのには閉口するのでした。早朝の雲はどこかに消えて、みずき通りも真夏の暑さ。明日は定休日と頑張って歩く。

 今朝も燕の親子がお隣の軒下から、蕎麦屋をめぐって元気に飛び交っていました。よく見ると中に小さな燕が何羽かいるようで、時折、電線に止まって休んでいる様子。やはり、今年は二回産卵したようで、親鳥以外にも身体の大きな燕がいるのは、先に生まれて育った兄弟らしいのです。何とか、カメラの画角の中に収めようと、少し粘ってはみるけれど、スピードが速すぎて、そのうち朝日がジリジリと肌に照りつけるから、エアコンの効いた店内に逃げ込む。

 店内は27℃までしか下がっていないのですが、湿度も下がっているから蕎麦打ちには快適な環境。早速、蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。昨日の蕎麦はほとんど売り切れたから、今朝は750g八人分を打つと決めていました。7月の月曜日は、毎週6~8名のお客の数だったから、それ以上の場合は御免なさいと、売切れにしようと考えていました。しかし、混んだ週末の翌日は判らないのです。暑さやコロナの感染者数の増加もあって、読めないのが本音。

 43%の加水率で蕎麦粉を捏ねれば、今朝は幾分生地が柔らかい。少し包丁の刃に蕎麦が絡みつく場面もあったけれど、なんとか凌いで、切りべら26本で135gの蕎麦を八束仕上げるのでした。蕎麦粉の袋にはあと一日分の蕎麦を打つだけしか残りがないから、この定休日には次の蕎麦粉を注文しなければならない。天婦羅の具材の海老も今週は頼まなければならないし、天婦羅油も来週にはなくなる。明日の仕入れもあるから、今日の売り上げ如何で持ち出しになる。

 そんなことを考えながら、蕎麦を打ち終えて厨房に戻り、早朝に漬けておいた浅漬けを取り出して小鉢に盛り付ける。揚げび浸しもあるから、蕎麦の数だけ小鉢が出来れば好いという計算。定休日前は、出来るだけ食材を残したくないと言うのが正直なところなのです。野菜サラダも今週は毎日のように随分と残ったけれど、メニューに出しているからには、ある程度用意しておかなければならないのです。昨日も夜になってから、辛味大根を捜しに出かけた。

 月曜日には常連さんが来て辛味大根を頼まれることが多いので、駅前のショッピングモールに出掛けたけれど、そこにはなくて、隣の小さな八百屋に辛味大根のコーナーがあったので助かった。一昨日も西の街のスーパーでたまに出ていることがあるからと、他の買い物がてら出かけてみたけれど置いていなかった。ネットや蕎麦粉の農場で頼めばすぐに手に入るのだけれど、送料が入ると倍の値段になる。ミニ菜園が機能していればこんな苦労はないのですが。

 開店の準備が整って、10分前だったけれど車が駐車場に入って来たので、待っていましたとばかりに、暖簾を出して「営業中」の看板を掲げたのです。母と娘らしい女性二人お客が店に入られて、しばらくメニューを眺めてから、せいろ蕎麦と天せいろのご注文。盆と蕎麦皿に蕎麦猪口、薬味の皿と蕎麦汁、小鉢を用意してから、天婦羅を揚げる。蕎麦を二人分茹でたら盛り付けて配膳。次のお客が来ても慌てないように、しっかりと練習のつもりでお出しする。

 ところが今日は珍しく後が続かないのです。ゆっくりと食べて帰られたお客がいなくなって、後片付けと洗い物を済ませたら、ぽつねんと椅子に座って次のお客を待ち続ける亭主。そういえば辛味大根の常連さんは金曜日に来たばかり。1時を過ぎたのでかき揚げを揚げて賄い蕎麦をぶっかけで食べておく。それでもお客は来ないから、残った天婦羅の具材をすべて揚げて、家に持ち帰る準備を始める亭主。夜は残った食材を消化しながら一献なのです。

8月2日 火曜日 佐倉も午後は38℃になるとの予報 で…

 定休日の今朝は朝飯前のひと仕事には出掛けずに、冷蔵庫の中が空になったから、残り物で質素に朝食を済ませるのでした。食後のひと眠りもせずに、女将の朝ドラの時間に亭主は前の通りに脚立を持ち出して、お隣の家との境に伸びた紫陽花の剪定に取りかかる。雪柳や連翹の伸びた枝に蔦がからまって、鬱蒼とした状態なのでした。お隣の奥様も出て来て「助かるわぁ」と水撒きを始める。朝日陽の差す前でないと、暑くて仕事が出来ないのです。

 蕎麦屋に寄ってエアコンのスイッチを入れて、お袋様を迎えに行けば、「今日は朝から暑いねぇ」と言って車に乗り込むのです。農産物直売所に着けば、ナスやキュウリなどの夏野菜が沢山並んでいる。「天麩羅にするならこの大きさが好いよ」と農家の親父様が、まだ値札を貼っていないナスの袋を持って来てくれた。知り合いの農家の親父様に「冬瓜とナスをもらったよ」と挨拶をすれば、オクラの袋を抱えてお袋様に渡していた。有り難いことなのです。

 隣町のスーパーに足を伸ばせば、朝から凄い暑さのせいか、今朝はお客が少ないのでした。小葱以外は新鮮な野菜がすべて揃って、店に帰って買って来た野菜を冷蔵庫にしまうのにひと苦労。昨日の洗い物もまだ片付けていないのです。20℃の設定で冷房を入れていているのに、店の中の温度は29℃。外は相当に暑くなっているらしい。野菜籠に入りきれない野菜は、上の冷蔵室に並べて、すぐに使うものは取り出しやすいように見える場所に入れておく。

 カウンターに干した盆や皿を片付け、洗濯物を干し終えたら、もう11時近くになっていたから、家に戻って昼食の支度を始めるのでした。亭主は鍋にお湯を沸かして昨日残った蕎麦を茹で、女将は亭主が昨日揚げて帰った天麩羅をグリルで焼くのです。家で茹でる蕎麦は、どうしても鍋の大きさが蕎麦屋とは違うので、水で洗うにしても狭い場所でボールと笊に入れるから、仕上がりが違ってくる。氷で締めないから綠色だけれど、食感はやはり今ひとつなのです。

 それでも天麩羅もカリッとして立派な天せいろだから、贅沢な昼食なのです。最後に蕎麦を茹でた鍋から蕎麦湯を蕎麦猪口に取って啜るのがまた格別。女将には一人前130gの蕎麦ではちょっと多いので、いつも100gほどにして盛り付けてやる。その分、亭主が余計に食べられるから嬉しいのだけれど、食べ終えてみるとやはりまだ物足りない。スルスルスルッと食べるのが早いから「満腹中枢がまだ働かないのよ」と女将に言われる。

 居間で食休みをすれば、女将がお茶を入れて持って来てくれる。ついでに二週間後のスポーツクラブの予約をして欲しいと、彼女のスマホと記録するノートを置いていくのです。2時5分が予約開始の時刻だから、今日はまだ何も仕込みをしていなかったので、彼女のスマホをポケットに入れて、まずは酒屋に出掛けて焼酎と炭酸を買って蕎麦屋に行く。時間通りにスマホを操作して予約を済ませたら、朝のうちに準備しておいた出汁を取って蕎麦汁を作るのです。

 3時過ぎには仕込みは終わったけれど、エアコンを効かせた蕎麦屋は34℃より室温が下がらないので、首にアイスノンを巻きながらも、次の仕込みに入る元気がなかった。午前中に手に入らなかった小葱を買いに、橋を渡って団地の中のスーパーに行こうと、車に乗り込めば、駐車場の日影に停めておいた車の車外温度計は、なんと45℃を表示しているではありませんか。外は確かに体温よりも暑いのです。アイスノンを首に巻いたまま、マスクも忘れて店内へ。

 明日が定休日のスーパーには、野菜も残り少なくなっていたけれど、無事に小葱を手に入れたついでに、上手そうな冷凍銀ダラを買って、だいぶ陽の傾いた中央通りを家路につくのでした。女将は稽古場でまだ頑張っている。亭主は昨日残ったハラミの串刺しと茹でたジャガイモをグリルで焼いて、一足先に晩酌を始める。やっと女将が台所に現れたところで、野菜サラダとかき揚げの具材の残りでカレー炒めを作る。二人が同じ事を考えていたから不思議です。

8月3日 水曜日 暑い暑いとばかりは言っていられずに …

 夕べは暑くて何度も汗をかいて目が覚めたけれど、エアコンのタイマーを30分にセットしてまた眠る亭主。夜中27℃より下がらなかったらしいから、熱帯夜もいいところなのです。5時半にはすっかり目覚めて、コーヒーを入れて一服したら、蕎麦屋に出掛けて朝飯前のひと仕事。昨日は家の庭木の剪定をしたから、今朝は蕎麦屋の駐車場のヤマボウシとモミジの剪定をしようと、車に脚立を積み込んで出掛けて行ったのです。6時前だというのに陽射しが強い。

 突き出た枝を手の届くところは剪定ばさみで切り、脚立を使ってもう少し上まで切っていく。落ちたら危ないからと、次は高枝鋏を伸ばして上に飛び出た枝を切り落とす。朝の散歩の奥様が挨拶をして通りすぎる。90㍑のビニール袋に切った枝を詰めていくと、ちょうど満杯になる分量で、亭主も少し疲れてきた。袋を運ぼうとチェーンポールのチェーンをまたいだつもりが、足が引っかかって歩道に転んでしまった。通りがかりの車が止まって「大丈夫ですか」

 朝食の時に女将にこの話をすれば「ぼうっとしてると危ない年齢なのよ」とたしなめられた。身体の感覚が鈍くなってくるのです。車を運転していても、時々、注意が散漫なことがある。気をつけないと高齢者の事故になりかねないから、いつも通り慣れた道で蕎麦屋に向かうのです。午前中に切り干し大根の煮物と揚げ浸しと、小鉢二種類を仕上げて、冷蔵庫で冷やしておいた蕎麦汁を徳利に詰める。洗い物を終わらせればもう11時なのでした。

 店のエアコンを最強にして運転しても、厨房の温度は29℃までしか下がらない。外はうだるような暑さなのでした。車のエアコンを入れて家まで帰れば、玄関まで歩くのも暑いのです。「昼は何を食べようか」と女将に聞けば、まだキャベツが二玉も残っていると言うから、亭主が台所に立って回鍋肉を作り、女将がレタスと若布のスープを作ってくれた。甜麺醤を入れて本格的に味つけをしたのは好かったけれど、香りが強すぎて好きではないと女将が言う。

 世界に誇る中華料理も、子どもの頃から食べつけない女将には縁遠い料理らしいのです。そう言えば、昔、隣町にあった中華料理屋で食べた回鍋肉は、もっと甘くて優しい味だったかも知れない。日本人向けに工夫をして出していたのでしょうか。我が家でも豆板醤も辛いからとあまり好かれないから、砂糖を入れて甘めに仕上げる必要があるのです。午後は整形外科にひと月振りに出掛け、血液検査をして尿酸値を計ってもらう。少しは薬の効果があるのかな。

 そのまま蕎麦屋に行って、午後の仕込みをする亭主。蕎麦豆腐と明日のデザートを作ったら、天麩羅の具材を切り分けて、お新香を漬け込む。その間に、業者が天麩羅油と海老と稚鮎を持って来るのでした。油も海老も値上がりしたばかりだから、明日は蕎麦粉が届くけれど、果たして支払いが間に合うかどうか。家に戻れば、女将がコロナの感染者数がまた増えていると大騒ぎ。世の中の人は自分たちとはかなり違う感覚らしいと二人でニュースを見るのでした。

8月4日 木曜日 未明から激しい雨と雷の音で …

 朝まだ暗い時分でした。ドドーンという雷鳴と共にザーッと激しい雨の音で目が覚めたのです。夕べ蕎麦屋で漬けたお新香を取り出さなくてはならないし、小鉢も盛り付けなければと、コーヒーを一杯飲んでから5時半過ぎに、雨の降る中を車に乗り込む亭主。これでは今日は開店休業だろうなぁと、昨日作った揚げ浸しも少なめに盛り付けて、6時過ぎにはもう家に戻るのでした。することもないから、また床の中に横になって夢の続きを見るのでした。

 珍しく女将が「ご飯ですよ」と起こしに来てくれた。いつになく涼しい朝だったから、ぐっすりと寝込んでしまったらしいのです。食堂に行けば定番の和食のメニュー。まずは豚汁で身体を温める。蕎麦屋で大根が残ると家に持ち帰って来るのだけれど、夏場の豚汁も馬鹿に出来ないのです。若い頃は暑い夏にはなんでも冷たい物を欲しがったものですが、最近は女将の出す暖かな料理が嬉しい。鰺の干物も小さなもので十分なのです。

 今日は車で出掛けようかなと言っていたのに、雨が上がったらしく、涼しい朝の風の中を、蕎麦屋までゆっくりと歩いて行くのでした。隣のお花畑もやっと小さなひまわりが咲き出して、これからが見物だろうと楽しみになる。耕すのも種を蒔くのも大変だろうに、よく続けてくれるのです。蕎麦屋に来るお客様が「素敵ですね」と言う姿が今から目に浮かぶようです。雨の上がっているうちに、西の小径に散ったムクゲの花を掃き集めておく。

 幟を立てて看板を出し、チェーンポールを降ろしたら、手指をよく洗って今日の蕎麦打ちに入るのです。いつも定休日明けの木曜日は、沢山お客が来たらどうしようかと多少の躊躇いがあるけれど、今日はこの天気ではあまり期待できないと、750g八人分をしっかりと打つのです。加水率はいつもと同じ43%でしたが、湿度が高い分だけちょっと柔らかめ。心が落ち着いているからか、今朝は打ち下ろす包丁の運びも軽く、140g前後の蕎麦の束を生舟に並べました。

 雨は降ったり止んだりで、空は暗いままでした。小鳥たちの姿も見えずに、亭主は一人厨房に帰るのです。蕎麦玉を寝かせている間に、薬味の葱も刻んだし、大根も生姜もすり下ろしておいたから、まずはブロッコリーとアスパラを茹でて、レタスの葉をちぎり、キャベツを三皿分だけ刻んでしまいます。お客が来なければ野菜サラダも出るはずもないのですが、アーリーレッドとパプリカをスライスして、ニンジンのジュリエンヌ。今日は綺麗に切れました。

 キュウリとトマトとパイナップルを載せて、最後にブロッコリーとアスパラを添えて今朝の仕込みは完了です。時計はまだ11時前。新しい天麩羅油を鍋に注いで、作っておいた天つゆをレンジに乗せたら、ちょうど大釜の湯が沸いて、蕎麦湯の器を温めるポットと、蕎麦茶用の四つのポットに入れて行く。後は店の掃除をするだけ。開店までに早朝を含めて4時間の準備をして、2時間半の営業は、考えたら割に合うものではないかも知れない。

 それでも毎日飽きずに続けられるのは、やはり好きだからなのでしょうか。お客に趣味の蕎麦屋だと言われても、最近では笑って済ませることが出来るようになったのです。店内は換気のために窓を開けていても、今日は27℃より上がらない。外はだいぶ涼しいのです。1時前になってもお客の姿がなかったので、下ろしたての天麩羅油でかき揚げを揚げて、月曜日に打った蕎麦を茹でて賄い蕎麦を食べておく。木曜日のヨーガのなくなった女将が来てくれた。 

 何かすることはないかと言うけれど、お客が来ていないから昨日の洗濯物を畳むことぐらいしか仕事はないのです。亭主は奥の座敷に入って一服させてもらう。やっと陽が差してきたらしく、障子に映る蔦の影が素敵でした。ラストオーダーの時間の1時45分になったところで、暖簾と幟と看板をしまい、チェーンポールを上げて、大釜の掃除に取りかかるのです。女将は天麩羅のパッドを洗い、亭主の昼飯の後片付けをしてくれる。2時前には店を出るのでした。

 家に戻れば、雨の降っていた朝には撮れなかったアオイの写真をじっくりと撮っておく。ピンクのアオイも何時の間にか交配したのか、花の芯の方がモミジアオイの真紅になっているから不思議なのです。まだ蕾もあるから、当分は楽しめそうで嬉しい。珍しくエアコンを入れない居間で、女将の切ってくれた桃を食べる亭主。書斎に入って今日の写真のデータをパソコンに取り込んだら、ひと眠りするのでした。お客が来なくても7時間の労働は疲れるのです。

8月5日 金曜日 今日も涼しい一日で …

 女将の稽古場に置いてあるプルメリアの花がまだ咲いている。7月の初めからだから、ひと月近くも次々と咲き続けているのです。部屋に立ちこめる香りが好いと、炎天下の外には出さずにおいたのが好かったのでしょうか。常夏の島では大きな木になるのに、植木鉢に植えられて本来の姿ではないのが、ちょっと可哀想な気もするけれど、30cmほどのただの棒切れがここまで育ったことを考えると、生命力の素晴らしさを感じないではいられないのです。

 朝食を終えて朝ドラが終わる時間に家を出て、みずき通りを渡れば、陽が出ていないからか風は涼しいのでした。先日、農家のお兄さんが、草刈りをして耕したばかりの向かいの畑には、もう青々とした雑草が伸び広がっている。やはり、作物を植えていないと、手入れが行き届かないのでしょう。蕎麦屋のすぐ前の親父様の畑は、しょっちゅうトラクターを走らせているから、黒い土が綺麗に見えているのでした。蕎麦屋のミニ菜園もまったく同じことが言える。

 今日は昨日の蕎麦が生舟に一杯残っていたので、蕎麦の様子を確認して今朝は蕎麦を打たないと決める。昨日と同じように暑くならないという予報だったし、コロナの感染者数もあまり減っていないから、今日もお客は期待できないと思ったのです。それでも野菜サラダはいつもの平日のように三皿盛り付けて、準備は万端で開店の時刻を待つ亭主。そろそろ暖簾を出そうかと思っていたところに、ガス屋さんが来て一酸化炭素の検知器の交換だと言う。

 ブザーが鳴ったら直ぐに電話をするという仕組みで、随分と親切なことだと感心する。亭のガスレンジは年老いた時のことを考え、一般の家庭用のレンジを向かい合わせて二つ入れているから、空だきや鍋の温度が高くなり過ぎても自動で火が止まる仕組み。厨房の天井にはガス漏れの検知器も設置してあるし、このコロナの時期には常時窓を開けているから、まずは心配がないでしょう。二重三重に安全を確保して、蕎麦屋の営業をしているから安心です。

 隣のお花畑のひまわりも、昨日よりは咲いている花の数が少し増えたのです。道路を挟んで向かいの畑も同じ農家の畑で、やはりひまわりの種を蒔いたらしく、全部が咲いたら圧巻だろうと今から楽しみにしているのです。昼を過ぎてもお客はなくて、賄いの蕎麦を茹でてさあ食べようかと思ったところに、駐車場に車が入ってきたから、汁は入れずにラップをかけて冷蔵庫にしまった。きっと食べる頃にはコンビニのざる蕎麦状態になっている。

 奥のテーブルに座ったご夫婦のこ注文はヘルシーランチセット。サラダは作って直ぐに冷蔵庫に入れてあるから、「まずはサラダを召し上がっていてください」と、ドレッシングと共にお出しする。蕎麦豆腐をお出しして、天麩羅を揚げないから出すのに時間はかからない。「今日は奥様はいないのですか」と聞かれて、彼女の来てくれるのは週末だけだと応える亭主。以前にもいらっしたお客なのだろうかと思いながらも、蕎麦湯とデザートまでお出しする。

 家に帰って女将がスポーツクラブから戻る前に、蕎麦粉の支払いに郵便局まで車で出掛ける亭主。銀行でお金を下ろしたついでに、いつもの酒屋まで車を走らせる。女将の帰ったところで、このお客の話をすれば、いつも休みの日に来てくれていた方ではないかと、好く覚えているから凄い。雪の降った日にもいらっしたのだとか。厨房で調理をする亭主は、元来、話をしてもあまりお客の顔を見ていないのかも知れない。物忘れが激しいのでなければ好いけれど。

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2022年7月末

7月26日 火曜日 朝から雨の降る定休日 …

 確か月の初めに咲き出したプルメリアが、まだ花を咲かせ続けているのでした。女将の稽古場はよほど居心地が好いらしく、花びらが散っていると思えば、くるくるっと巻いた蕾が開いて、また新しい花が咲くのです。今朝は雨の音で目が覚めるほどだったけれど、たまには適度なお湿りが欲しいと思っていた。蕎麦屋の草取りも月桂樹やモミジの剪定も気にはなっていたが、今日は朝飯前のひと仕事もお休みにして、ジュディーガーランドの伝記映画を観ていた。

 亭主が出掛けないのを知ってか、女将も朝食をゆっくりと支度として、小鰺の開きを焼いて豚汁を作ってくれた。肉や野菜が摂れるからと、蕎麦屋で大根の残った時には、最近、よく豚汁が出るのです。暇を見つけて大根やニンジンを煮て、冷蔵庫にストックしておけば、朝の忙しい時間に、油揚げと肉とを入れてすぐに出来るらしいから、女将も考えたもの。食後にまた映画の続きを見て、女将に話をすれば、ライザミネリの母親だとさすがによく知っている。

 朝ドラの終わる時間に、雨の中を車で蕎麦屋に出掛ければ、今朝も昼顔が咲き始めていた。昼まで花が萎まないところが朝顔とは違うのです。店の中に入って、今朝の新聞を見れば、昨日の市内のコロナ感染者数は200人を越えていました。足の指の故障で夜のパトロールにはしばらく参加出来ずにいたのですが、7月もコロナ感染者が増えたので中止になるという連絡が来た。参加者が老人達ばかりだから、かなり慎重に様子を見ているらしいのです。

 昨日の洗い物を片付け、洗濯物を畳み終えたところで、お袋様に電話をして、雨の中を今日の仕入れに出掛けるのでした。ナスやキュウリやピーマンなど夏の野菜が沢山並べられて、インゲンの細いのが出ていたから一緒にもらって帰る。隣町のスーパーに足を伸ばせば、雨が降っているからか、いつもより駐車場は空いていて、お目当ての野菜類はすべて手に入ったのです。出汁を取る昆布と干し椎茸を買ったからか、今日は少し予算をオーバーしてしまった。

 店に戻って沢山の野菜類を冷蔵庫に収納したら、少し早かったけれど家に帰って昼の準備をする亭主。先週はぶっかけ蕎麦があまり出なかったので、掻き揚げ用に刻んだ玉葱や人参が余ったので、昼は炒飯と餃子にしようと女将と話をしていたから、肉を加えてカレー炒飯を作るのは亭主の役目。隣の火口で餃子を焼いて、皿に盛るのは女将の仕事。お好み焼きに使う生姜と青海苔は、炒飯にも使えると喜ぶ亭主。滅多に飲まないコーンスープも今日は買って来た。

 満腹になったところで、朝寝をしなかった分、エアコンの効いた書斎で1時間ほど昼寝が出来た。2時過ぎには女将のスポーツクラブの予約をしてくれと言われていたので、起き出して居間の部屋に行けば、しっかりとスマホと予約を記す手帳が置かれていた。冷蔵庫に昨日買って帰った西瓜があったから、目覚ましにひと切れ。子供の頃に買ってもらった図鑑に、西瓜は野菜の仲間に入っていたから、それ以来、野菜かと思っていたのも不思議な経験です。

 夕刻を前に蕎麦屋に出掛けて、朝に昆布と干し椎茸を浸けておいた鍋で出汁を取る。最近はだいぶ手慣れてきたので、一時間はかからない。黄金色の澄んだ一番出汁を取って、返しを加えて3㍑近い蕎麦汁を作る。残った一番出汁は瓶に入れて予備にする。二番出汁は容器に入れて約4㍑。どちらも水で冷やしてそのまま冷蔵庫に入れてしまうのです。蕎麦汁も十分に冷えたところで冷蔵庫に鍋のまま入れて、明日、蕎麦徳利に詰めていきます。

 今日は朝から雨が降ったせいか、それほど気温は上がらなかったけれど、その分湿度が高く、蒸しているという感じがしてならなかった。亭主は初めから、夜は冷やし中華を食べたいと思っていたのですが、女将の好みもあるからと、午後に聞いてみたら「今日は蒸し暑いからいいわ」とOKが出る。昨日のうちに買っておいた食材を使って、夜も亭主が麺を茹でる。麺が好きなことは勿論ですが、スープのお酢の味がさっぱりとして、美味しく感じられるのです。

7月27日 水曜日 本格的な夏になったかと感じた一日 …

 いつもの年ならやっと梅雨の明ける時期だけれど、今年は梅雨明けがやけに早かったから、なんともすっきりしない季節の変わり目なのです。それでも今朝は青空が広がり、夏らしい陽気で、煙草を買いに出た亭主は、そのまま蕎麦屋まで車を走らせるのでした。みずき通りを坂の上まで登れば、蕎麦屋の前のバス通り。西の小径の木槿の花を掃き集めたら、今朝の仕込みは昨日作った蕎麦汁を徳利に詰めて、蕎麦豆腐と水羊羹を作ることから始まるのです。

 常連さんの増えたせいか、最近は蕎麦豆腐の売れ行きが悪いのです。蕎麦屋で「蕎麦豆腐」と聞けば、珍しいから一度は食べてみようかという気になるけれど、決して美味しいものではないので、繰り返し頼むお客は少ない。自家製味噌ダレの甘さと柔らかな食感が好きだというお客もいるけれど、単品だと量が多いので敬遠するらしいのです。ヘルシーランチセットは半分の量にして出しているけれど、これが出ない日には蕎麦豆腐が残るのでどう改善するか。

 そんな課題を抱えながら、今日は型パッドに流し込む蕎麦豆腐の量を少し減らしてみたのです。蕎麦粉とタピオカ粉の量を四分の三にして、豆乳はそのまま、加える水を三分の二にして、少し小さめに作ってはみたけれど、果たして、どんな結果になるか。足りなくなる分には、また作れば好いけれど、週の営業が終わって残るのは耐えられないのです。蕎麦豆腐と水羊羹を流し込んだ豊缶を冷蔵庫に入れたら、早速、午前中のメインの揚げ浸しに取りかかる。

 出し汁を作って冷やしたら、夏の野菜を切り分け、ボールに入れて中華鍋に油を注いで揚げていくだけだったのですが、膝下の戸棚を見れば、油が足りないのでした。切った具材をボールに入れたまま冷蔵庫に入れて、少し早いけれど家に戻る亭主。昼は何にしようかと女将に言えば、「キャベツが随分と余っているのよ」と言うから、ホイゴウロウにしようとキャベツひとつ分を炒めて、亭主の得意の中華鍋を振る。今日は豆板醤を入れて辛めに仕上げました。

 食後は亭主はひと眠り、女将はスポーツクラブに出掛けていくのでした。午前中の仕込みが途中だったので、あまり家でゆっくりもしていられない。でも、糠味噌に野菜を漬けるのは、4時過ぎでなければ漬ける時間が長くなり過ぎるからと、午後の一番暑い時間帯に蕎麦屋に出掛けていくのでした。厨房の温度は33℃を越えて、エアコンを入れても31℃までしか下がらないので、首にアイスノンを巻いて、中華鍋に火を入れるのです。

 お客にもらった茗荷やシシトウ、農産物直売所で買ったオクラやパプリカが沢山あったので、今日は夏野菜が豊富。家から持って来た油を中華鍋に注いで、実の硬い物から順番に揚げていくのです。洗い物が少なくなるようにと、揚げては中華スプーンで鍋に冷やした出し汁に入れて行きます。全部の野菜を揚げ終わるまでに、随分沢山の油を使った。用意したタッパが二つでは足らないので、もう一つ用意して汁まで入れたら、冷蔵庫に入れて冷やすのでした。

 調理台が片付いたところで、冷蔵庫から糠床を取りだして、少し柔らかくなりすぎたから煎り糠を足して、キュウリとカブとナスを漬けておく。明日の朝まで16時間ほど、美味しく漬かると好いのですが。最後に、明日の天麩羅の具材を切り分けて、容器に入れてラップをかける。やはり、生椎茸はパックから取り出してビニール袋に入れた方が、ストレスを取り除くから、長持ちをするらしいのが判った。洗い物を済ませて、5時過ぎには家に帰るのです。

 定休日二日目の今日は、朝のうちに何ヶ月振りかでグリストラップの掃除をしたのが大きな進歩でした。ビニール袋二つ分の油の塊を取り出し、心もすっきりしたのです。午後の陽射しは一層強く、隣のお花畑の小さなひまわりも、ぐんぐん育っている様子。家に戻って夕食は何にするのと女将に尋ねれば、残った食材を片付けてと言うので、韮とモヤシの野菜炒めに、鶏肉の塩胡椒焼きと味見に持ち帰った揚げ浸しで、質素であっさりした食事となりました。

7月28日 木曜日 朝からとても暑い一日で …

 朝飯前のひと仕事で蕎麦屋に出掛けようと玄関を出れば、庭の隅に何やら真っ赤な花が咲いているのに気が付いた。近くに寄って見れば、なんとここ何年も咲かなかった真紅のモミジアオイなのでした。ピンクの方は普通のアオイだと、これではっきりと判ったのです。モミジアオイの葉は普通のアオイの葉よりも、細くモミジの形にをしている。女将に知らせると「肥料をやったのが好かったのかしら」と嬉しそうなのでした。目の覚めるような真紅が美しい。 

 蕎麦屋の駐車場に車を入れれば、今朝はやたらと沢山のツバメたちが飛び交っていました。めったにカメラには写らないのですが、近くを飛んでくるから思わずシャッターを切る。高い空まで飛んで行くものもあれば、畑のあちらこちらを低空で飛び回るものもあって、いよいよ巣立ちなのでしょうか。身体がひと回りもふた回りも大きくなっているのです。厨房に入って温度計を見れば、今日は朝から28℃もあるから、いつもより暑い朝なのでした。

 冷蔵庫から糠床を取り出して、夕べ漬けておいたお新香を取り出し、切り分けて小鉢に盛り付ける。漬けてから11時間ほどでしょうか、味は薄くもなく塩辛くもなくちょうど好い塩梅なのです。このところお客に好評の夏野菜の揚げ浸しも四皿だけ盛り付けておきました。洗濯物を畳んでから、7時過ぎに家に戻る。玄関を入れば、昨日一昨日と少し朝食の支度が遅かったから、少し心配でしたが、案の定、女将はそれに慣れてしまったらしいのです。

 それでも食後にエアコンの効いた書斎で10分ほど眠って、定休日明けの営業に出掛けるのでした。看板と幟を出してチェーンポールを降ろし、店のエアコンを入れたままにしておいたから、蕎麦打ち室まで涼しくなっていた。あまり気張らず、平日の来客数のデータに従って、750g 八人分の蕎麦を打つ。万が一、足らなくなれば、売りきれにして、ご免なさいで済ませるしかないのです。いろいろ考えると却っ気が疲れるから、最近は割り切るようにしている。

 野菜サラダも三皿だけ盛り付けました。出ない日には全部残ってしまうけれど、これも決めたとおりに用意するしかない。厨房の温度はエアコンを入れているにもかかわらず、昼になるに従ってぐんぐん上がってくる。外が相当に暑くなっているのでしょう。30℃を越えたところで、亭主はアイスノンを首に巻くのでした。昼を過ぎてもお客は来なかったけれど、今日は1時前から続けてお客が入ったのでした。せいろ蕎麦が多く出て、最後のお客だけが天せいろ。

女将のスポーツクラブの予約を取れと、彼女のスマホを持たされたけれど、前のお客の会計を済ませ、次ぎのお客にお茶を出したところで、隠れてスマホの操作をする亭主。家のご近所の奥様だったけれど、天麩羅が美味しいと言ってくださった。そこに遅れて女将が現れる。来週からは木曜日のレッスンがなくなるので、もっと早く来れると言うことだった。1時半の予約はまだ営業中だから、お客が続くと辛いのです。夜は残った野菜サラダで冷やし中華を作る。

7月29日 金曜日 暑すぎてかお客の来ない日 …

 今朝も早くから陽射しが強く、朝飯前のひと仕事に蕎麦屋に出掛けてみれば、店の中は朝から32℃になっていました。蕎麦打ち室を覗いて見れば、なんと34℃もあるから驚きです。朝日が外壁に当たった熱が、建物の中まで伝わってくるらしいのです。朝日があまりにも眩しいので、東側の窓のブラインドを下ろしてエアコンの効きをよくする。カウンターに干した昨日の洗い物を片付けて、小鉢と蕎麦汁の数を確認したら、洗濯物を畳んでおきます。

 昨夜のうちに印刷した今年の暑中見舞いの第一陣を、出そうと思ったけれど、切手の値段が気になっていたので調べて見れば、今年は63円になっているのだとか。何枚も買い置きをしても、値段が上がるから結局は二度手間になる。コンビニで一円切手を買って貼り付けたけれど、折角、印刷して仕上げたのに、体裁が美しくなくなったから興ざめです。親しい友人宛の葉書だったから、勘弁してもらおう。家に戻って朝食を食べ、今朝は書斎で30分眠った。

 9時前に日影を辿って蕎麦屋まで出掛ければ、日影のないバス通りでは、百日紅の花を眺めながら、あと50mの辛抱だとゆっくりと歩く亭主。やっと蕎麦屋に着いて、エアコンで冷えた店内に逃げ込むようにして入れば、生き返るのでした。やはりブラインドを下ろしておいて正解です。朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。室温は27℃で、湿度は35%と低めだったから、思い切って43%弱の加水で粉を捏ね始めました。

 やはりエアコンで空気が乾燥していたのか、43%近い加水でも、生地はそれほど柔らかくはないのでした。伸して畳んで包丁打ちをして、無事に八人分の蕎麦を仕上げる。昨日の蕎麦と合わせて10人分の蕎麦を生舟に用意できたのです。厨房に戻り、解凍しておいた豚ハラミを4本だけ串に刺して、大根をおろし、野菜サラダの具材を刻んで三皿盛り付ける。ハラミは真空フリーザーを氷温にして、ドリップが出ないように設定。サラダも直ぐに冷蔵庫に入れる。

 外は青空が広がって相当な暑さで、昼前にもう厨房は30℃になっていました。アイスノンを首に巻きながら、開店の準備を終わらせて、暖簾を出すけれど、この暑さでお客が来るのか心配なのです。今朝の新聞では、昨日の市内のコロナ感染者数は初めて300人を越えていたから、暑さにしてもコロナにしても、お客の来ない条件は出そろっている。ゆっくり身体を休めていようと思うのだけれど、どうも休憩モードにはなれないのです。

 それでも1時過ぎに隣町の常連さんがいらっしたから、亭主は黙っていつもの特別メニューをセットする。野菜サラダを出したら、辛味大根をおろして、インゲンとキスと稚鮎の天麩羅を揚げるのでした。月曜日に4回目のワクチンを接種した帰りに寄ったら、店が混んでいては入れなかったと言う。確かあの日は平日なのに、1時を過ぎてから混んだのでした。と、まだ営業中でお客もいるのに、県の調査だと言って若い視察員が前触れもなく現れる。

 今日の営業は常連さんお一人で終了。それでも有り難い事です。早めに片付けて、家に戻ってエアコンを効かせた書斎で、落胆のふて寝をする亭主。4時過ぎに目を覚まして、もう一度蕎麦屋に出掛け、明日の小鉢や蕎麦汁の補充をして、新しくお新香を漬けておくのでした。夜は店で残った野菜サラダで今日も冷やし中華かと思ったけれど、女将がチーズ揚げを作ってくれていたので、亭主が作って冷凍してある餃子を焼いてもらって一献なのです。

7月30日 土曜日 朝から眩しい太陽が …

 午前5時半、居間の部屋に入れば、食堂の窓に朝日が当たってとても眩しいのでした。毎日のように同じ時間に朝日が当たるのを見るけれど、こんなに眩しく感じたことはないのです。昨夜、冷蔵庫で冷やしておいたほうじ茶を一杯飲んで、朝飯前のひと仕事に蕎麦屋に出掛けるのです。夕べ漬けた糠漬けを取り出すのが目的でしたが、それだけでは勿体ないからと、玄関から入った所の床掃除もしておく。石けん水で床を磨き、雑巾で拭き取っていくだけです。

 だいぶ前に塗った床のワックスが剥がれているから、土足で歩くところがもう汚れ放題なのです。毎朝、涼しいうちに少しずつやれば、少しは綺麗に見えるだろうと、昔のように一気に片付ける元気のなくなった亭主は、持久戦で臨む決意なのです。電動のポリシャーを購入したらどうかと、いろいろ調べてはいるけれど、狭いみせの中の一部分だから、手で拭いた方が確実で安上がりのようなのです。向かいの森から昇る太陽の光も、今朝は随分と眩しい。

 糠床からキュウリとナスとカブを取りだして切り分けたら、小鉢に盛り付けて今日のお客に備える。ところが、あまりもの暑さのせいか、天麩羅がほとんど出なくて、せいろ蕎麦などには夏野菜の揚げ浸しを付けるので、前のお新香は家に持ち帰って食べる始末。今朝も女将の作ってくれた卵焼き以外は、全部、蕎麦屋で残った食材ばかりなのでした。それでも美味しく食べられるから幸せというもの。キュウリの梅漬けがさっぱりとして食が進む。

 早く終わった朝食の後は、エアコンの効いた書斎でゆっくりと朝寝。夜が暑くて目が覚めるので、寝ても寝てもまだ眠い。やっと起き出して再び蕎麦屋に行く頃には、陽もだいぶ高く昇っているのでした。蕎麦屋に着けば玄関前に西瓜と長ナスが置いてあるではありませんか。向かいの畑の親父様が持って来てくれたらしい。トラクターで畑を耕している彼方に向かって「有り難うございます」と大声で叫べば、運転席から手を振って分かったという合図。

 早朝からエアコンを入れているから、蕎麦打ち室も27℃まで下がって、加水率43%で今朝の蕎麦を打つ。ちなみに湿度は45%なのでした。夏場は水が少なくて好いと思っていたのは、間違いだったのか、エアコンで除湿もされるから、自然の中の蕎麦粉の状態とは少し違うのかも知れない。そうなると、年間を通して43%というのが一つの目安になるのでしょう。今朝も切りべら26本で135gの蕎麦を八人分打って、今日も15食の蕎麦を用意したのです。

 あとから来てくれた女将が、店の掃除を終わらせて、サラダのドレッシングの入れ物の掃除や、蕎麦豆腐のタレの用意など、こまごまとした準備を整えてくれる。野菜サラダは週末だからと四皿盛り付けたけれど、最近は野菜サラダがなかなか出ない。女性のお客が来ないと、ヘルシーランチセットも出ないから、デザートと一緒に残ってしまうことが多いのです。今日も最初にいらっしたカレーうどんの常連さんが、野菜サラダを食べてくれただけでした。

 後はせいろ蕎麦の大盛りばかりが随分と出て、蕎麦好きの男性客はあまり他の物には目もくれないのです。真昼の外はうだるような暑さで、こんな暑い中を蕎麦を食べに来てくれるのは、やはり常連さんたちなのでした。市内のコロナ感染者数もこのところ相当に増えているから、皆さん外食をするのを控えているのかも知れない。先週も週末よりは平日の方がお客が多いのでした。明日の日曜日もお客が少なければ、コロナ野感染拡大の影響だと言えるかも。

 早めに店の片付けを終えて、家に帰ってから女将と二人で西の町のスーパーに出かけることにしました。亭主はホームセンターで割り箸やらペーパータオルなどを買い込み、女将は今日の夕食のおかずを見て歩いた。魚屋の寿司も気にはなったけれど、野菜サラダの残りが沢山あるというので、肉だけ買って夕食はまたしてもお好み焼き。一人分でサラダ二皿分の野菜を食べられるから、確かに効率的だけれど、酒の肴としては今ひとつなのでした。

7月31日 日曜日 今までにない暑さの日 …

 雨戸を開けた女将が「今朝もモミジアオイが咲いているわ」と言うので、庭に出て写真を撮った。朝から暑いのに品好く綺麗に咲いているから、見ているこちらもしっかりしなくてはと思うのです。昨日はお客が少なかったから、今朝は朝飯前のひと仕事はなしにして、女将もゆっくりと朝食の支度をしていた。ハッシュドポテトに目玉焼きのおかずだったけれど、子供の小さな時分によく食べたからか、歳を取っても美味しく食べられるのです。

 朝食を終えて蕎麦屋に出掛ける前に、暑中見舞いの第二陣を出しに1km先のコンビニまで車を走らせる亭主。車でなければ、葉書も出しに行けないほど不便な場所に住んでいるんだなぁと、改めて思うのでした。それでも何不自由なく暮らしているのは、歳を取って行動範囲が狭くなったからか。その倍ほどの距離を、女将は毎日歩いて出掛けるから偉いものです。今朝は朝の8時からもう外は30℃を越えているから、相当に暑くなると思えるのでした。

 家から300mの距離を蕎麦屋までゆっくり歩いて、時々、家々の日影で立ち止まる亭主。今朝も青空が広がって、陽射しはジリジリと肌を焼くようなのです。店の前に来たところで、お隣の軒下から飛び出してくる燕の群れに遭遇する。6、7羽の大きなツバメが何度も滑空して、蕎麦屋の駐車場の周りを飛び回るから圧巻でした。スピードが速いので、とてもカメラでは追えないから、一方向だけを狙って、視界に入ったところでシャッターを切った。

 ちょうど巣のある軒下に近づくときには、翼を広げて減速するので画角の端にその姿が写っていたのです。朝の陽射しは強いし、長い時間は付き合えないから、幟を出してチェーンポールをおろせばまだ飛び回っている。この暑いのによく疲れないものだと、感心しながらもう一枚蕎麦屋をバックにシャッターを切れば、群れの中の一羽が屋根の上に写っていました。みんな以前よりも相当に身体が大きくなっているから驚いたのです。

 活発な燕たちに元気をもらって、今日も蕎麦を打つ亭主。昨日の蕎麦が生舟に半分以上残っているから、今朝は500gだけ打ち足して合わせて15食を用意した。加水率は迷わずに43%。家の仕事を終えた女将がやって来て「外はお風呂の中みたいに暑いわよ」と言う。エアコンを効かせた厨房も、今朝は早い時間から30℃を越えているのでした。首に凍らせたアイスノンを巻いて、薬味の細葱を刻み、大根をおろしたら、あまり出ない野菜サラダを三皿にして用意。

 先週の日曜日は、コロナの急拡大もあってかお客がほとんど来なかったから、今日はどうだろうと思っていたら、開店から続けてお客が入って、五人家族がいらっしたところで満席の看板を出す。カウンターにも中年のリピーターご夫婦が座って、ヘルシーランチセットのご注文でした。12時半前にもう10人は越えたのでしょうか、厨房は32℃の暑さになって、一区切りして亭主は、エアコンを効かせてある奥の座敷に涼みに入るのでした。

 「奥さんも暑いでしょう」とカウンターのご主人が言えば、「火のそばが特に暑いのよ」と涼しい顔の女将。背の高い亭主は、尚更、暑い。蕎麦は乾燥に弱いから、狭い蕎麦打ち室にも厨房にもエアコンは入れていないのです。何度も電話をかけてきたご近所の奥さんが、娘と孫を連れていらっしたのは1時前でした。一度来たけれど満車で入れなかったと言う。この暑いのに鴨せいろの大盛りを頼まれた娘さん。今は大阪で暮らしているのだそうな。

 お蕎麦売り切れの看板を出したのは1時頃。幸いその後はお客が来なかった。女将と二人で洗い物と片付け物をこなしながら、お盆の休みはいつにしようかと話をする。今日で7月も終わりだから、そろそろ案内を出しておいた方が好いのです。家に戻れば、居間の部屋はなんと35℃になっていた。二人で冷えた西瓜を食べたら、亭主は売り上げと写真のデータをパソコンに入力してひと眠り。女将は夕刻から買い物に出掛けたらしい。夜はまた冷やし中華を作る。

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2022年7月下旬

7月20日 水曜日 あまりにも熱い日 …

 朝から青空の覗いたのが嬉しくて、6時過ぎには家を出て蕎麦屋に出掛けたのですが、朝の陽射しがもう熱いのです。まずは西の小径に散った木槿の花を掃き集めて、厨房に戻って出汁を取る準備をするのです。昨日の洗い物を片付けたら、昨日作って冷蔵庫で冷やした揚げ浸しをタッパに詰めて、家にも味見のために少し持ち帰ります。7時を過ぎて家に戻れば、女将も定休日だからと少しゆっくりで、亭主は家の前の通りに散ったムクゲの花も掃き集める。

 食後にお茶を入れてもらって、ひと眠りをせずに朝ドラの終わる時間に、床屋に行こうと車を走らせるのでした。開店時刻に着けるかと思ったら、一足違いで車で送られてきた老人に先を越された。「午後からまた来ましょうか」と言えば、長男がまだ出掛けていなかったからと、髭だけ剃ってくれるのでした。久し振りに会ったお兄さんも随分と歳を取っていた。近くに自分の理髪店を開業してもう30年になるのだとか。亭主は40年も親父様の店に通っている。

 大リーグのオールスター戦を店のテレビで見ながら、前のお客が終わった親父様に頭を刈ってもらって、再び蕎麦屋に出掛けるのです。朝飯前に仕込んでおいた抹茶小豆が固まっていたから、小豆を載せて完成。後は、朝のうちに準備をしておいた出汁を取って、蕎麦汁を仕込むだけ。これが午前中の亭主の忙しい日程なのでした。外はギラギラと暑い太陽が照りつけて、車の車外温度は37℃にもなっていた。蕎麦屋の中はエアコンを効かせても28℃が精一杯。

 亭主は首に凍ったアイスノンを巻き付けて、全身に流れる血を冷やしている。今日は35℃まで気温が上がるというから、まったく異常な暑さなのです。出汁を取って蕎麦汁を仕込むまでに、小一時間はかかるから、のんびりとラテン音楽を聞きながらリラックスする亭主。する事があって幸いなのか、道楽の蕎麦屋といえども、週に七日を楽しませてくれる。久し振りの青い空は、熱すぎてちょっと馴染めない。沖縄の青い海が懐かしく思い出されるのです。

 家に戻れば、女将が昼食の支度をしてくれて、後は亭主が新蕎麦を茹でるだけ。二日続けて新蕎麦を食べるのも贅沢だけれど、三連休の最後の日にお客があまり来なかったから、随分と蕎麦が余ったのです。タンパク質が足りないからと、女将が高野豆腐を煮て小鉢を一品増やしてくれた。亭主は薄緑色の蕎麦湯を飲んで腹の足しにしたけれど、それでも物足りないから、二人で食後に冷えた西瓜を食べる。食後は書斎に入って横になったら直ぐ眠りに落ちた。

 1時間ほど眠ったら、女将はもうスポーツクラブに出掛けていました。冷蔵庫で冷えたプラムを囓って目を覚ます亭主。居間の室温は31℃、慌ててエアコンを入れて風で涼むのでした。3時前には家を出て、蕎麦屋で午後の仕込みを開始するのです。昨日、草刈りを終えた東側のミニ菜園は、それなりに綺麗になっていた。後は屋根より高くなった月桂樹を剪定して、南側のミニ菜園の草刈りをしなければならない。一気には行かないところが歯痒いところ。

 午前中の洗い物を片付けて、蕎麦豆腐を仕込み、天麩羅の具材を切り分け、4時を過ぎたら、冷蔵庫から糠床を取りだして、胡瓜と茄子と蕪を漬けておきます。今日使った道具を洗って、まな板を消毒したら、布巾類を洗濯して、午後の仕込みは終了なのです。明日はどれだけ蕎麦を打てば好いのか、この時点で考えている亭主。木曜日のお客の数は、今月は7人止まりだから、750g八人分を打てば足りるだろうかと、記憶にとどめておくのです。

 家に戻れば、女将が相撲中継を観ながら「またコロナの感染で部屋ごと休場なのですって」と最新のニュースを伝えてくれる。晩のおかずには、亭主が韮とモヤシと肉の炒め物を亭主が作り、女将は鴨肉の残りと葱を焼いておかずにする。夜は風呂から上がって、焼売を作る仕事が残っていた。玉葱を刻んで片栗粉をまぶし、生姜を刻んで、挽肉を入れて卵と酒と胡麻油、醤油、塩、オイスターソースを加えて、少し小振りの焼売を20個ほど包んで冷凍する。

7月21日 木曜日 晴れたのに蒸し暑い一日で …

 6時前に蕎麦屋に出掛けようと玄関を出たら、庭のモミジアオイが咲き出していたので、写真に撮っておいた。昔、職場の用務員さんから種を頂いて庭に植えたら、以前は随分と沢山咲いていたのですが、10年以上も経って手入れもしないから、今はこの花だけになってしまいました。眠そうに花びらを広げている姿が、なんとも美しいのです。雲は出ているけれど陽は差して、朝からむっとする暑さなのが堪らない。亭主は本当に湿気に弱いのです。

 蕎麦屋に着いたら、まずは糠床を冷蔵庫から取り出して、夕べ漬けた夏の野菜類を切り分ける。知り合いの農家で作っている中長ナスは、結構大きいので食べ出がある。今回はキュウリの大きい物がなかったから、ナスが目立ってしまうのでした。小鉢に盛り付け、冷蔵庫に収納したら、今度は昨日作った蕎麦汁を空の蕎麦徳利に詰めていきます。あまり早くに徳利に詰めると、徳利を洗うときに蕎麦汁の色が底に付いてなかなか取れないのです。

 まだ7時前だったから、西の小径に散ったムクゲの花びらを掃き集めて、家に戻っても、また、通りに落ちたムクゲを掃く亭主。女将は早くから台所に入っている様子なのでした。今朝のおかずは蕎麦屋で残った三ツ葉に厚揚げを入れて卵とじ。すりおろした山芋とお新香。いつものことながら、食べ終えるとどっと汗が噴き出してくるのです。朝から食堂も28℃を越えているから、今日も相当に暑くなるに違いない。八人分だけで蕎麦が足りるだろうか。

 そんなことを考えながら、少し早めに蕎麦屋に出掛ければ、玄関脇のツツジの枝に絡まった昼顔が、花を咲かせていました。放っておくとあちらこちらに伸びてしまう雑草だけれど、花の咲く間はそっとしておいてあげよう。看板を出してチェーンポールを降ろしたら、幟を立てる。春の新蕎麦の幟もあるから、当分は二本立ててひと目を惹くのも好いかも知れない。店の中は早朝からエアコンを入れておいたから、爽やかな高原の涼しさなのでした。

 蕎麦打ち室の温度は25℃、湿度は45%と活動しやすい環境なのですが、亭主が入って蕎麦粉を捏ね始めると室温は27℃まで上がる。やっと適切な加水率を掴んだので、最近は、41%の加水で、蕎麦粉を捏ねている。硬過ぎず、柔らか過ぎずにしっとりとした生地に仕上がるのです。蕎麦玉にして寝かせている間に厨房に戻り、大根や生姜をおろして、葱切りを済ませたらひと休み。一旦、椅子に座ってしまうと、なかなか立ち上がるのが億劫になるのです。

 何時の間にか、厨房の温度計も27℃になっているから、外気温度が上がってきたらしい。平屋の建物だから、外の温度が直ぐに建物の中に影響するのです。換気のために窓を少し開けると、いくら冷やしても28℃よりは下がらない。蕎麦打ち室に戻って蕎麦玉を伸していけば、ちょうどいい柔らかさなのだけれど、伸し棒にはかなり力を入れるのです。これでまた汗が噴き出る。無事に八人分の蕎麦を取り、生舟に入れて冷蔵庫に収納しておく。

 厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、平日だから今日は三皿だけ盛り付けておきます。大釜に火を入れて、天麩羅鍋に油を注ぎ、天つゆの鍋を冷蔵庫から出してコンロにかける。店の掃除を終えたら、開店の準備は終了。最初のお客が来るまでは、緊張した面持ちで待つ亭主。昼過ぎに、以前いらっした三人連れのお客がやって来て「先日はどうも有り難うございました」と、畑で採れたらしいトウモロコシや野菜を持って来てくれました。

 書を書く親父様で、女将が使わなくなった二八の大きな紙を、家まで取りに行って沢山もらってくれたと聞いている。展覧会にでも出品しない限り、使わない大きさなのです。注文の蕎麦を出し終える頃に、ご近所らしい老人がいらっして、先日食べた海老とインゲンの天麩羅が美味しかったから、またお願いしますと言ってせいろ蕎麦を頼まれる。帰りがけに、ここの蕎麦は開業当初に比べたら、格段に美味しくなっていると褒めてくれたのでした。

7月22日 金曜日 今日は朝から気温が高くて …

 夕べは10時に床に就いたのに、夜中に汗をかいて目が覚めてしまう。エアコンのタイマーを30分にセットして、再び心地よく朝まで眠ったのは好かったけれど、寝る前に見ていたテレビ映画が影響したのか、自分が結婚する頃の、実に不思議な夢を見て目が覚めた。居間の部屋に行けば朝から28℃もあるから、今日は外気が暑いのだろうとエアコンを入れて涼むのでした。今朝もコーヒーを一杯飲んで、蕎麦屋に出掛ける亭主。外はむっとする暑さなのでした。

 今朝は大した仕事もないだろうと、西側の小径に散ったムクゲの花を掃き集めていたら、早朝の散歩に出掛ける母と娘らしき二人が「木槿の花が素敵ですね」と挨拶をする。今日の分のほうじ茶を沸かして、小鉢を盛り付けたら、残ったお新香を持って家に戻るのでした。7時前だから、まだ女将は朝食の支度をしていた。亭主はもう一度玄関を出て、通りに落ちたムクゲの花を掃き集めるのです。昨日の蕎麦が二束だけ残っていたので、今朝も八人分を打つ予定。

 朝食を食べ終えて書斎で少し横になるけれど、夕べは十分に眠ったから眠ることは出来なかったのです。それにつけても朝から暑い日なのでした。薄陽が差してはいるけれど、雲は多く、蕎麦屋に着いても暑さがあまりにも酷いので、幟を出してチェーンポールを降ろしたら、駐車場に水を撒いて植え込みの木々にも久し振りの水遣りです。きっと、湿度もかなり高いのでしょう。からりと晴れない今年の夏は、もどり梅雨を引きずりながら続くのでした。

 隣の家の軒下から、大きな親燕が飛び出したかと思ったら、小さな子燕が四羽続けて空に舞い上がる。まだ体力がないのかそのうち三羽はすぐに電線に止まって休んでいるらしい。とっくに子ども達は飛び立ったかと思っていたら、最近は、まだ巣の中に親燕が戻っていくから、二回目の産卵だったのかも知れない。蕎麦打ち室に入って亭主は今朝の蕎麦を打つ。暑いからお客が来るかも知れないけれど、この天気では果たしてどうなのだろうと気になるのです。

 今日も加水率は41%強で打ったのだけれど、四つ出しを終えて四隅の角が上手く出ないのが気にかかる。もう少し水を増やして生地を柔らかめにして、しっかりと四隅を整えた方が、畳んで包丁打ちをするのには都合が好いのです。加水率43%というのが、蕎麦打ちの定番なのですが、季節によってこれでは柔らかすぎることもあるから、苦労をするのです。明日は42%台で打ってみようかと考えながら、750g 八人分の蕎麦の束を作って生舟に入れる。

 野菜サラダの具材を刻み、三皿分を盛り付け、天麩羅鍋に油を注ぎ、新しい天つゆを作って開店の準備をする。暖簾は出したけれど昼になってもお客は来ない。12時半近くにやっとお客が入ったかと思えば、それからが今日は大変でした。1時間近くの間に8人のお客が入れ替わりいらっしたから、さすがの亭主も『次のお客が来たらどうしよう』と内心不安なのでした。幸いにも、おろし蕎麦やぶっかけ蕎麦、とろろ蕎麦という注文が多く、手早く出せたのです。

 自転車でいらっした最後のカップルだけがリピーターで天せいろのご注文。今日はご新規のお客がほとんどだったのです。厨房はすでに30℃を越えて亭主は汗だく。1時半に最後のお客が帰って、やっと賄い蕎麦を茹でるのでした。半分だけ洗い物を済ませたところで、昼飯を食べてしばしの休憩です。西の小径の窓の下には生まれて間もない雀の子ども達が集まって、何やら話をしているらしい。今日は女将は手伝いに来ないから、3時半になってやっと帰宅。

 平日に思わぬ数のお客が来たので、蕎麦汁を入れた徳利もほとんど空になり、小鉢も出尽くしたのです。家に戻ってひと眠りしたところで、大相撲を見るのも諦めて、夕刻にまた蕎麦屋に出掛け、明日の準備をするのでした。厨房は32℃もあったから、首にアイスノンを巻きながら、蕎麦汁を補充して小鉢を盛り付ける。明日は今日よりも晴れて暑くなると言うから、蕎麦は二回を打たなければならないでしょう。今日は汗をかいたから、体重が随分と減っていた。

7月23日 土曜日 朝から陽射しがジリジリと … 

 朝飯前のひと仕事を終えて蕎麦屋から戻れば、まだ朝食の支度が出来ていないので、前の通りに落ちたムクゲの花を掃き集めに出る亭主。今朝は綺麗な青空が広がっていましたが、陽射しは強く、道路の家の影になる部分を伝わって、蕎麦屋まで行くしかない。朝食を食べ終えて、朝ドラの始まる前に出掛ければ、まだ日影の部分も長くて幾分かは涼しいのです。蕎麦は、昨日ほとんど売り切れたので、今日は二回蕎麦を打たなければならなかった。

 みずき通りまで出ると、この先は、東側の森の手前に畑が広がっているから、もう陽射しを遮るものがないのです。早朝にエアコンを入れてきたから、涼しくなっているはずの蕎麦屋に急ぐだけ。百日紅の花が歩道に突き出すように咲いていたから、写真を撮らせてもらったら、その家の小母さんが「朝から暑いわねぇ」と、玄関脇から挨拶をするものだから、ちょっと立ち話。朝からこんなに暑いとは、昼の暑さが思いやられるのです。

 やっと蕎麦屋に着いて玄関を開ければ、爽やかな高原の朝が広がって、生き返るようなのでした。蕎麦打ち室の扉を閉めたままだったから、「しまった!」と開けて見れば、なんと33℃もあるではありませんか。狭い蕎麦打ち室には、蕎麦粉や天ぷら粉などと酒類を冷やす冷蔵庫が二台も入れてあるので、朝日の当たるのと相俟って相当に暑くなるのです。厨房に置いた温度計は25℃まで下がっているのでした。幟と看板を出してチェーンポールを降ろしに出る。

 ひと休みしてしまう前にと、まだ暑い蕎麦打ち室に入り、二回分の蕎麦粉を計量して、蕎麦玉まで作っておく。一旦休んでしまうとなかなか動き出せないのが、最近の亭主の傾向なのを、自分でもよく判っているのです。やっと店の冷気が入り込んで、30℃まで下がった蕎麦打ち室で、蕎麦粉を捏ねればもう汗が噴き出してくる。慌ててレックレスのアイスノンを、冷凍室から取りだして首に巻くのでした。今朝は42%の加水で捏ねたら、ちょうど好い柔らかさ。

 丸出し、四つ出しを終えれば、昨日よりも四隅の角がしっかりと出ていました。生地が硬すぎると、これがなかなか難しいのです。八つに畳んで包丁切りをしても、蕎麦が包丁の刃にくっつくほどではなかったのが好かった。これを二回繰り返し、今日は昨日の残った蕎麦と合わせて、15食の蕎麦を用意しました。これだけあれば、大盛りが出ても、何とか間に合うだろうと思えるのでした。暑すぎる日にはお客が少ないと女将が言うから、半信半疑で厨房に戻る。

 野菜サラダの具材を刻んで、週末だからと今日は四皿盛り付けておく。開店の準備が終わって、大釜の湯も沸いていたから、10分前に暖簾を出せば、直ぐに年配のご夫婦が車でいらっして「まだ早いけれど、大丈夫?」とテーブル席に着くのでした。天せいろとヘルシーランチセットのご注文でしたが、天麩羅の付くBセットはちょっと多いかも知れませんよと亭主が言って、せいろ蕎麦のAせットを頼まれる。全部出し終える前に、次のお客がいらっしゃる。

 歩いていらっしたのは、最近、よく見えるお客さんで、今日はお友だちと待ち合わせていたらしかった。ビールと天麩羅の盛り合わせ二皿を頼まれて、女将が酒を運んでいる間に、亭主は天麩羅を仕上げるのでした。酒が進むにつれてハラミの串焼き4本を追加でご注文です。昨日、仕込んだばかりの串焼きが出てホットする亭主。男性二人の割には、随分と話が弾んで、最後にせいろ蕎麦を頼まれて終わりかと思えば、まだ話が終わらない。女将が片付けに入る。

 1時を過ぎていたから、これで今日は終わりなのかと思ったら、ご家族連れが車でいらっして、遅いお昼を頼まれた。子ども達はせいろ蕎麦、ご夫婦は天せいろで、先にせいろを出して、後から天麩羅を揚げてお出しするのでした。蕎麦を食べ終えたお子様達にはカルピスとバームクーヘンのサービスです。洗い物は半分終えていたから、今日は早めに片付けが終わる。亭主が揚げ玉を載せてぶっかけで賄い蕎麦を食べて、その間に女将が洗い物を片付けてくれる。

 暑い最中を家に戻れば、居間の部屋は33℃もあった。さすがに熱くて堪らないから、ひと休みする前に女将の剥いてくれた桃を食べたら、店と家のティッシュやアルコール消毒液を買いに出る。お客が出すのが万札ばかりで、釣り銭がなくなったから、ついでに両替をしてくるのでした。エアコンの効いた書斎でひと眠りしたら、蕎麦屋に出掛けて、明日の仕込みです。女将も買い物に出て、釣り銭を作ってきてくれた。夜はまた残ったサラダでお好み焼きでした。

7月24日 日曜日 こんな田舎でも第七派の影響が出てきたか …

 午前6時前、蕎麦屋の向かいの畑では、もう親父様が仕事を始めている。太陽は森の上に昇っているのだけれど、雲に覆われて薄陽が差すだけなのです。西の小径に散ったムクゲの花を掃き集めて、店のゴミ箱に捨てに行く亭主。エアコンのスイッチを入れて、カウンターに乾した昨日の洗い物を片付ける。珍しく売れた豚のハラミを串に刺して補充したら、小鉢も切り干し大根の煮物を足して、今日のお客に備えるのでした。日曜日だからどれだけお客が来るか。

 家に戻って台所に立った女将の支度の具合を見計らって、亭主は家の前の通りに散ったムクゲの花を掃き集める。今まではこれも女将に任せっきりだったのに、蕎麦屋でムクゲを掃くようになって、あまり苦ではなくなったから不思議。これも生活習慣というものかしら。お互いに歳を取っていろいろと手が回らなくなるから、出来る範囲で助け合うのがいいのかも知れない。食堂に入って小鉢を盛り付けたり、出来上がったおかずを食卓に並べるのも同じです。

 今朝は食後にお茶を一杯もらったら、書斎で横になって10分ほど眠ったのだろうか。洗面と着替えを済ませて、9時少し前に家を出るのでした。陽は差しているのだけれど、雲は多く、晴れるのだか曇るのだか判らない空模様。日中は33℃まで気温が上がると言うから、昨日ほどではなくてもかなり暑い陽気のようです。蕎麦屋の厨房はエアコンを入れておいたから、25℃と爽やかな涼しさ。蕎麦打ち室も今日は扉を開けてあったから、26℃まで下がっていた。

 昨日の蕎麦が生舟に半分ほど残っていたから、今朝は750g八人分を打って15人分の蕎麦を用意する予定。加水率を42%で蕎麦粉を捏ね始めれば、絶妙な湿り気で生地は思うように伸していける。丸出しも綺麗な正円に仕上がり、四つ出しも角がしっかりと取れるのでした。これを伸し広げて、八つに畳んだら、切りべら26本で135gの蕎麦の束を八つ取って蕎麦打ちは終了。仕上がりが綺麗だと、打った後の気持ちもさっぱりと、次の仕事に取りかかれるのです。

 野菜サラダも四皿盛り付けたけれど、店の中も28℃になってきたから、早めに冷蔵庫に入れるのでした。厨房は30℃までは直ぐに上がってしまう。亭主は首にアイスノンを巻いて、全身を流れる血を冷やしている。暖簾を出して間もなく、女将の友人がやって来て、天麩羅と蕎麦を持ち帰りたいと珍しく急ぐ様子。時間を置くと蕎麦は伸びてしまうと念を押して、容器に入れて蕎麦徳利や薬味まで持たせるのでした。何でも娘さんが来て昼に食べさせるのだとか。

 ところが今日は、それきりお客は来ずに、女将と二人で暇をもてあますのでした。連日、コロナの感染者数が過去最高を記録して、市内でも連日100人を超える感染者数なので、そろそろ気をつけなければと皆が思うようになったのかも知れない。日曜日にお客が来ないと言うのは、今までないことなのでした。二人の関心事は夕刻からの大相撲の千秋楽で、新聞をよく読んでいる女将は、最近の相撲事情にやたらと詳しい。コロナで休場の力士も多いのだとか。

 片付ける物もあまりなく、早めに家に帰って亭主はエアコンを入れた書斎でひと眠り。夕刻になって女将は買い物に出掛け、起き出した亭主は、相撲を見ながら酒のつまみを作って早くから一献。野菜サラダが四皿分も残ったから、亭主は夕飯に冷やし中華を作って食べる。女将が帰って一緒に相撲を見ながら、お互いの贔屓の力士を応援するのでした。本来はスポーツの嫌いな女将だったのに、最近では亭主よりも詳しいから、話を聞いていて楽しいのです。

7月25日 月曜日 昨日とはうって変わって満員御礼 …

 夜中に何度も暑くて目を覚ましたけれど、エアコンの30分でオフのタイマーを入れてまた眠りに就いた亭主。5時前に居間に行けば思ったよりも涼しい。窓を開け放って風を入れれば、エアコンなど必要のないくらいなのでした。昨日はお客がなかったので、今朝は片付けるものもないけれど、あまり時間が早いので、コーヒーを一杯飲んだら蕎麦屋に出掛ける。やることは何もないから、ムクゲの散った花を掃いていたら、ゴミを出しに西の小径の階段を下りる近所の奥様に「いつも早いですね」と挨拶をされるのでした。

 それでも天麩羅のパッドにキッチンペーパーを敷いたり、大釜の水を張ったり、洗濯物を畳んだり干したりと、細々とした仕事をこなして家に戻って、通りに散った木槿の花を掃いておくのです。まだ7時前だから、女将は起き出したばかりで、亭主の帰った音を聞きつけて台所に入るけれど、急がしてはいけないと箸を並べたり、小鉢を盛り付けたりしながら、味噌汁とご飯の焚けるのを待つのです。彼女は彼女で亭主が眠たいのだろうと急ぐから有り難い。

 今日は蕎麦打ちがない分、ゆっくりで好いのにとは思うけれど、食後のひと眠りで1時間ほど休めたので、気持ちの好い朝なのでした。玄関を出れば朝日を浴びたムクゲの花が、今朝の青空に映えている。明日が定休日だと言う安堵感も手伝ってか、平日の月曜日だからあまりお客も来ないだろうと、すっかり気が緩んでいる亭主。蕎麦屋に着いても、蕎麦打ちのない分、時間をもてあますばかりなのです。忙しいのに慣れているから、ゆっくりした時間が怖い。

 野菜サラダの具材を刻んでも、まだちょっと早すぎる。その分、丁寧にキャベツやニンジンを刻んで、今日は三皿だけ盛り付けておきました。天麩羅鍋の油や天つゆを所定の位置に置き、大釜の湯が沸いたらポットに入れて準備は万端。店の掃除を簡単に済ませ、早めに暖簾を出してお客を待つのです。昼過ぎに近所の仲好し三人組が、自転車を停めてご来店。月に一度ぐらいのペースで彼女たちは来てくれるので有り難いのです。ヘルシーランチセットのご注文。

 サラダと蕎麦豆腐、天せいろにデザートは、お年寄りには多いように思えるけれど、いつも同じご注文で、ゆっくりと間食されるから元気なのです。その間に他のお客も入って、店は俄に忙しくなるから大変。テーブル席に三人ずつと、カウンターに二人入ったところで、表の看板を準備中に換える。亭主一人だから、とても対応できないのです。おまけにビールや酒の肴を頼まれて、嬉しいけれど後のお客に少しずつ、待ってもらうしかないのです。

 全部の注文を出し終えた頃には、もう天麩羅の具材も切れて、小鉢もなくなってきたから、売りきれの看板を出してひと息つくのでした。まだ1時過ぎなのに、亭主の感覚では8人が限度。それでもお客が来れば、大釜の湯は沸いているから、新しく天麩羅の具材を切り分けて、蕎麦のあるだけ対応するつもりなのですが、幸いにも今日はこれで終わりでした。間が空いていればどうと言うことはないのですが、1時間で8人はちょっと辛いのです。

 お客が皆帰った後で、暖簾と幟をしまったら、亭主はかき揚げを揚げてぶっかけで蕎麦を食べる。厨房の気温計は31℃を差しているのです。十分に食休みをとったら、もう動きたくないから、後片付けがしんどいのでした。それでも、首にアイスノンを巻いて、冷蔵庫に入れる物は先に片付け、大釜を洗い、少しずつ盆や皿を運んでは洗い、拭いては片付け、その繰り返しを延々と続けるのです。今日は深川青磁の天麩羅皿や魯山釜の蕎麦猪口がすべて出尽くした。

 二時間近く経っても片付けは終わらないから、洗い籠の中身はそのままにして、家に帰ることにする。あまり亭主の帰りが遅いからと、心配になった女将が蕎麦屋に向かうのに途中で出会う。午後の暑さで、もう何もする気力がなかったけれど、家に食べるものもなかったので、女将と二人で隣町のスーパーに出かける。魚や肉と果物を買い求め、夕食には土用の鰻を買って、二日遅れで食べるのでした。鮪の好きな女将は一人鰻重を作って食べていた。

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2022年7月中旬

7月12日 火曜日 今日も蒸し暑い一日です …

 夕べは食事の前から頭がクラクラして、軽い熱中症になったようなのです。一人で営業の平日に珍しく混んだから、ネックレスのアイスノンもするのを忘れて、30℃を越える厨房で休む間もなく動いていた。チーズ揚げを食べながらいつもの焼酎を飲むけれど、まだ酔っていないのにふらつくから、エアコンの効いた居間の部屋でしばらく休んでいました。ブログも短めに終わらせ、10時には床に就いたのです。明け方に何度か目が覚めてやっと5時半に起き出す。

 いつもの習慣で蕎麦屋に出掛けて、今朝は最初にムクゲの落花を掃除する。近所の若いご主人がランニングに出ると見えて「お早うございます」と声を掛けてくる。「お早うございます」と挨拶を返せば、彼はもうバス通りに出ていた。厨房に入って昨日の洗い物を片付ける。洗いかごの中にも残った食器を伏せたままだったから、布巾で拭いて戸棚に収納する。洗濯物を畳んで片付けたところで、洗濯機の中の洗濯物を今度は乾していく。いつもの朝と一緒。

 家に戻れば、女将が台所に入る時間で、亭主は箸を用意したり、小鉢を並べたり、味噌汁をよそったりと、女将の作る韮の卵とじが出来上がるの待つのでした。ご飯も自分で盛り付けて、「いただきま~す」と先に食べ始める。随分と眠ったはずなのに、朝食を終えるとまた書斎に入って横になる。今朝は朝ドラが終わってもまだ目が覚めないのです。お袋様に少し遅くなると電話をしたら、珈琲を入れてもらってやっと目を覚ます。10分遅れで仕入れに出掛ける。

 空はどんよりと曇って、陽の差さない分だけ気温は低いようなのですが、やはり蒸し暑い。農産物直売所に出掛ければ、近所の農家のご夫婦が野菜を運び終えたところで、お袋様が挨拶をしていた。「この間のピーマン立派だったね」と言えば、今日はインゲンがないのだと言う。「胡瓜も茄子も今朝取ったものだよ」とご主人に言われて、幾つももらって帰る。隣町のスーパーは広告が出ていたせいか、朝から随分と込んでいました。蕪はもう終わりのようだ。

 蕎麦屋に戻って仕入れた沢山の野菜を冷蔵庫に詰め込んでいく。女将に頼まれた魚は買ったのに、肉を買ってくるのを忘れたので、今度は団地の中のスーパーに出掛けて買い足してくる。最近はタンパク質が不足気味だったから、やっと食べられるとひと安心。昼はお好み焼きにして、昨日残った野菜サラダを食べてしまおうかと話していたけれど、家に帰ったら買い物に出た女将も汗びしょで、急遽、冷やし中華に変更。野菜サラダはそのまま載せて肉を添えた。

 今日は間違わずにシマダヤの本生冷やし中華を買ったので、汁まで綺麗に飲んで満足な亭主。女将に言わせるとマルチャンの冷やし中華の方が汁の味が濃いのだそうで、その分だけお酢もきついから亭主が嫌がるのではないかとか。今朝は随分とゆっくり眠ったから食後のひと眠りはしなくて済んだ。しかし、居間で寛いでいたら、女将が2時過ぎのヨーガ教室の予約をお願いしますと、ノートを持ってくるものだから、午後の仕込みに出掛けられない亭主。

 定休日だからゆっくりとしろと言うことなのかと、テレビ映画を観ながら居間で寛いでいたのです。無事に一番好い席を取れたと報告すれば、今度は娘の所に書く手紙の写真をお願いしますと言うものだから、最近の我が家のお花の写真をポストカードに印刷して女将に渡す。やっと4時前に蕎麦屋に出掛けて、出汁を取るだけで精一杯。ゴミの回収に業者が来る今日は、ミニ菜園の草取りも出来なかったのです。海老と鴨肉の発注をかけて今日の仕事はお終い。

 夕食には豚汁とズッキーニとジャガイモのグラタンに、アスパラとウインナソーセージの焼き物が出た。スポーツクラブがお休みの女将は、頑張って準備をしてくれたらしい。大相撲を二人で見ながら、新聞を読んで知識の豊富な女将の解説を聞く亭主。冷房を入れなくても涼しくなる夕刻だから、横になれば直ぐにでも眠ってしまいそうなのでした。夜が眠れなくなるからと、ぐっと我慢をして、このブログを書き上げるのです。

7月13日 水曜日 朝から雨模様で …

 朝から雨の音で目が覚める。そう言えば夕べの天気予報では今朝は雨だと言っていたっけなと、ぼうっとした頭で記憶を辿るのでした。少し涼しいので熱いコーヒーでも飲もうと湯を沸かして、居間の椅子に座れば、時計はまだ5時前なのでした。マグカップを片手に持ったまま、テレビのニュースを見ているうちに、意識が途切れて「あちっ」と、ハーフパンツから出た地肌に、コーヒーをこぼして目を覚ます。これは悔しいけれどコーヒーより効果があった。

 雨の振る中を草刈りも出来ないし、厨房で二つあるレンジ周りの掃除をし始める亭主。辺りを見回せば、店の換気扇も随分と長い間掃除していないから、すっかり埃が溜まっている。厨房の床もなかなか掃除が出来ないでいる。窓の外を見れば、折角、グリストラップの蓋の周りの草取りを終えたのに、なかなか手つかずでまた草が生えてきている。やることが多すぎて、とても一度には片付かないので、今朝は奥の座敷に積んであった段ボールを潰して片付ける。

 家に戻れば朝食の用意が出来て、少し涼しいから豚汁が美味しいのでした。銀だらの塩焼きも随分と久し振りで、実に美味しい。今朝はゆっくりと眠ったので、早くから起き出したのに、食後のひと眠りもなし。いつもの時間に蕎麦屋に出掛けて、ほんの一時、雨の止んでいるうちにと、西側の小径のムクゲの落花を掃除しました。厨房に戻って蕎麦豆腐を仕込んだり、明日のデザートの水羊羹を仕込んだり、やることは幾らでもあるのです。

 切り干し大根の煮物の準備をして、隣の火口で一緒に小豆を煮ておこうと思ったら、砂糖が足りないのに気が付いた。昨日、買ってくるのを忘れたのです。仕方がないから、切り干し大根を煮込んだところで仕込みは終わりにして、砂糖と粉寒天を買いに、団地の中のショッピングモールに出掛ける。余裕があれば他の買い物もするのだけれど、今日は業者の持ってくる海老や鴨肉の支払いがあるので、大事を取ってすぐに家に帰るのでした。

 昼は女将と朝話していた通りに、久し振りにカレー炒飯を亭主が作る。あっさりとしてとても美味しかった。11時半には女将のスポーツクラブの予約があったから、今日は女将のスマホを借りて、小さな画面で席取りに集中する。パソコンの大画面よりもカーソルの移動距離が少ないので、時間がかからない分、5Gではなくても直ぐに一番好い席を取れるのでした。満腹なのと席が取れた安堵感で、書斎に入って横になったらすぐに寝入ってしまう。

 寝起きに冷えたプラムを食べて、午後の仕込みに蕎麦屋に向かうのです。まずは午前中に終えるはずだった揚げ浸しの仕込みに取りかかる。黄色のカボチャと赤のパプリカは、全体の彩りを鮮やかにするので、最初に火が通るまで揚げる。次ぎに茄子やオクラや茗荷にシメジと一度に中華鍋に入れて火を通す。隣の火口では時間のかかる小豆を煮ている。揚げ浸しの汁は最初に作って水でボールごと冷やしてあるから、揚げた野菜を次々にボールに入れて冷蔵庫へ。

 天麩羅の具材を切り分けて容器に入れたら、小豆を小分けして冷凍室で保存する。揚げ浸しは二つの大きなタッパに入れて、一つは家に持ち帰るのでした。女将が何の宣伝で見たのか、揚げ浸しの汁で素麺を食べると言う話をしていたから、いつもより味見の量を増やしたのです。糠味床を冷蔵庫から取り出して、お新香を漬ける。ミョウバンを買うのを忘れたので、野菜の新鮮さを信じて茄子を漬ける。煙草を買いにコンビニまで車を走らせ、そのまま家に戻る。

 5時過ぎには大相撲の中継を観ながら、夕食の食卓に着く。タンパク質がないからと、女将が鶏肉と長葱をグリルで焼いて、作ったばかりのポテトサラダを添えてくれた。さて、揚げ浸しの素麺は、以外と美味しいものなのでした。汁は京風の出汁醤油を薄めたものにして、同じく出汁醤油で甘く味つけした揚げ浸しを入れて、素麺を食べるのです。二人ともかなり美味しいと満足な夕餉。今日はあまり動かないのに、三食しっかりと食べて体重が増えていた。

7月14日 木曜日 時折、陽が差しても、降り続いた雨 …

 雨のそぼ降る朝でした。梅雨明けが早かった分、梅雨の戻りとでも言うのか、最近は雨の日が多いのです。6時前には車で家を出て蕎麦屋に向かう。目覚めのコーヒーも、蕎麦屋の厨房で飲んだのです。夕べ漬けておいた糠漬けを冷蔵庫から取り出して、胡瓜と茄子と蕪を切り分ける。色止めのミョウバンは使わなかったけれど、やはり新鮮な茄子は色が落ちていないから嬉しい。作った農家の親父様に感謝なのです。揚げ浸しも綺麗に仕上がりました。

 家に戻れば女将が朝食の支度で手一杯のようだったから、亭主は味噌汁をよそって、納豆にオクラを入れて盛り付ける。涼しい朝なのでした。昔懐かしい作り置きのポテトサラダは、ハムエッグにはよく合うのです。食べる時間はわずか5分間だから、亭主は居間の椅子に座ってもう眠くなる。少し我慢をしていると、女将がお茶を入れてくれるから、これでゆっくりと食後のひと眠りが出来るかと思ったら、書斎で横になっても今朝は眠れなかった。

 洗面と着替えを済ませて、朝ドラの時間に家を出れば、陽が差しているのだけれど、雨が降っているのです。仕方がないから傘を差して、蕎麦屋までとぼとぼと歩いて出掛ける。いつもより時間が早かったので、幟を立ててチェーンポールを降ろしたら、西側の小径に行って、ムクゲの落花を掃き集める。ゴミ出しから帰るご近所の奥様に出会って「まったく変な天気ですね」「ほんとほんと … 」と挨拶を交わすのでした。

 8時半には蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。春の新蕎麦は昨日届いたけれど、今日は秋の蕎麦粉の最後の残りを使って、8人分750gの蕎麦を打つのでした。天候も優れないから、お客も期待できないし、これで十分に足りるはず。店のエアコンは入れていなかったけれど、室温は25℃、湿度は65%だったから、加水率を40%弱にして、蕎麦粉を捏ね始めればやはり硬い。繰り返し捏ねてやっと菊練りを終えれば、滑らかな生地に仕上がるのでした。

 加水が少なくて滑らかに仕上がれば、伸しで畳んで包丁で打っても、蕎麦は綺麗に仕上がるのです。包丁の音もトントントンと乾いた感じで、切った蕎麦がくっつかないから綺麗に仕上がる。包丁打ちした8束のうち、6束が135gぴったりの重量だったから、今日は珍しく大正解。やはり、柔らかすぎる生地は要注意なのです。力は要ってもこのペースで頑張らなくてはいけない。明日からの新蕎麦ではねまた少し新しい加水率になるのかと、ワクワクするのです。

 薬味の葱切りを済ませ、大根と生姜をおろしたら、野菜サラダの具材を刻んで、新しい油を天麩羅鍋に入れる。大釜のお湯が沸いたから、お茶と温め用のポット四つにお湯を入れ、天麩羅の具材を冷蔵庫から取り出して、天つゆと油を温めたら、店のテーブルをアルコールで拭いて回る。玄関の取っ手やトイレの取っ手を塩素の入った消毒液で拭いて、開店時刻の15分前。暖簾と営業中の看板を出して、いよいよ開店なのです。雨の中を今日は早くからお客が来た。

 三人連れのご家族がいらっして、天せいろ三つのご注文だったから、盆と蕎麦皿などを揃えてから、天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる。出し終えたところで、雨の中を歩いていらっした男性客が、テーブル席に座りビールと天せいろを頼まれる。最初のお客は若い男性がよく話すので、なんと皆さん1時間近くも座ったままで、カウンターのお客はビールを飲みながらパソコンを出して作業を始める。空いている平日だからと、亭主は何も言わずに見守るのでした。

 そのうちに隣町の常連さんがやって来て、家の近所でもコロナの感染が広がってると言う。「明日から春の新蕎麦になります」と言えば、「明日も来ますから」とおっしゃる。また駐車場に車が入って、男性客が今日最後の蕎麦を大盛りで頼まれる。スポーツクラブが休みの女将が早めに来てくれたので助かった。亭主にスマホを渡して次の予約を取ってくれと言う。雨の降る日だというのに、平日にしてはよくお客が入ったのでした。夜は大相撲を見ながら一献。

7月15日 金曜日 戻り梅雨、結局、夜まで雨 … 。

 最近は、夜10時前に床に就いて、朝の5時前に起きるという生活が続いている。これだと不思議なことに、朝食後のひと眠りも、仕事が終わってからの午後の昼寝もしないでいられるから好い。むやみに眠らないから、一日が随分と長く感じられるのです。いつまで続くかは保証の限りではないけれど、今朝も6時前に蕎麦屋に出掛けて、朝飯前のひと仕事です。夕べから降り続いていた雨も、霧雨になって空はどんよりと曇り空なのでした。

 カウンターに乾してあった昨日の盆や蕎麦皿を片付け、天麩羅の具材を切り分けて補充したら、洗濯物を干したり畳んだりと結構やることはあるのでした。7時過ぎにやっと家に戻って、女将の用意してくれた朝食を食べる。今朝は鰯の蒲焼きと豚汁にとろろ芋をおろしたのが付いた。揚げ浸しは先日亭主が仕込んで、味見にと持ち帰ったもの。少し涼しい朝だったから、豚汁がとても美味しく感じられた。野菜類とタンパク質が摂れるので優れた一品なのです。

 今朝も食後のひと眠りをせずに、洗面と着替えを済ませたら朝ドラの最中に「行って来ま~す」と家を出るのです。雨が降っていたから傘を差して歩いて出掛ける。蕎麦屋に着く頃には雨も小降りになってきたので、まずは西側の小径に散ったムクゲの花を掃きに出る。家の近所のご主人が朝の散歩で通りかかったから挨拶をする。今日はいよいよ新蕎麦を打つのだと、気持ちも新たに蕎麦打ち室に入れば、室温は26℃、湿度は75%なのでした。思案する亭主。

 結局、加水率を39%まで落として蕎麦粉を捏ね始めたのですが、これがやはり少し硬くて、水が馴染むまでじっくりと捏ねていく。新蕎麦は少し水分が多いような気がしていたけれど、考えたら蕎麦粉を作る農場では水分が何%といつも決まって蕎麦を挽くから、大きく変わるはずもないのです。お蔭で、捏ねてひと汗、伸してひと汗、涼しい朝なのに汗だくになって、それでも綺麗な仕上がりで、新蕎麦を打つ朝にふさわしい出来栄えなのでした。

 春の新蕎麦独特の薄緑色の蕎麦がとても美しいと感じられるのです。大釜で茹でるときは綠色が最も濃くなるから、お客様にも見せて上げたいくらい。水で洗って氷で締めるといくらか色が落ちてしまうので、お客様には熱い蕎麦湯をポットに入れて、綠色の蕎麦湯を見て頂くことにしている。野菜サラダの具材を刻み、三皿盛り付けて開店の準備。外は雨がかなり強く降っている。折角の新蕎麦披露の日だというのに、宣伝もしていないから今日はどうだろう。

 1時間待ってもお客は来ない。この天気では仕方がないと思っていたら、店の前で速度を落とした車が、一度通り過ぎたのにまた戻って来たらしい。年配の女性が「いつも気になっていたのよね」と天せいろのご注文なのでした。「今日からちょうど春蕎麦の新蕎麦なのですよ」と言って天麩羅を揚げていたら、昨日、新蕎麦を食べに今日も来るからと言って帰られた常連さんが、珍しく遅い時間に現れる。「今、お茶を差し上げますから、ちょっとお待ち下さい」

 前のお客の注文の品を出し終えて、「昨日と同じものを」とおっしゃる常連さんの調理をやっと始める。まずは盆と蕎麦皿を用意して、天麩羅の皿と天つゆの器、蕎麦汁に小鉢、薬味の葱と山葵を盆に載せたら、キスと稚鮎を揚げ始めるのです。そして、辛味大根を摺りおろし、蕎麦を茹でてはい出来上がり。「今日も怪しい電話がかかって来ましたよ」と昨日話題になった詐欺やなりすましの話を亭主がすれば、「ホントに今は多いよね」とおっしゃる。

 Amazonからの偽のメールは、送付されるメールの履歴を調べれば嘘だと判ると、いろいろ調べた亭主が応える。大手の電力会社を語って個人情報を得ようと電話をかけてくる輩には、「郵送で送ってください」と言うことにしている。閉店時間も迫って、今日は昨日にもましてお客が少なかった。女将も午後からがスポーツクラブなので、手伝いには来てくれないから、亭主一人でのんびりと片付けをするのでした。3時前には家に帰ったら女将も帰っていた。
 「夜は何にしようか?」と女将が言うので、珍しく二人で隣町のスーパーに出掛ける。亭主もちょうど店で茄子を漬ける色止めのミョウバン切れていたのでした。この雨で女将が買い物に出掛けない時は、家の冷蔵庫が直ぐに空になるのです。毎週、亭主が店の食材を仕入れに行くスーパーは、かなり値段が安いらしく、女将は胡瓜やジャガイモなどを買い込んで、魚のコーナーも覗いていた。結局夕食には、新鮮な刺身を買って帰って、珍しく日本酒を飲む亭主。

7月16日 土曜日 終日の小雨で蒸し暑く …

 降っていないかと外に出れば、霧のような細かな雨。今日は一日中この雨が降ったり止んだりで、とても蒸し暑いのでした。蕎麦屋のエアコンを22℃に設定して運転しても、厨房の温度計は27℃で、26℃台だったのは朝のうちだけでした。今朝も6時になったら家を出て蕎麦屋に出掛け、昨日の片付けやら、小鉢の補充やら、浅漬けの漬け込みやらで、何かと仕事はあるのです。洗濯物の始末までは手が回らなかった。7時を少し過ぎた頃にやっと家に戻る。

 食堂に入れば、女将がもう朝食の支度を終えて、ホッケの塩焼きをグリルから出して、味噌汁とご飯をよそってくれました。ご飯を食べると何故か急にからだが熱くなるから不思議で、女将に言わせるとそれが朝食の効能らしい。それでなくてもジメジメと湿った部屋の空気が気持ち悪いのに、亭主は我慢できずに書斎に入り、エアコンを効かせて横になる。乾いた涼しさの中で、今朝は以前のようにひと眠り。それも小一時間ぐっすりと眠ったのです。

 家を出たのは9時を過ぎていたけれど、雨が降ると言うから傘を持っていった方が好いと女将が言う。ちょうど霧雨が途切れている間に蕎麦屋に着いて、まずは西側の小径に散ったムクゲの花を、箒を持って掃き集める。幟を出したところで、もう少し雨に変わっているから、今日の天気も梅雨時のしとしとふる雨のようなのです。今朝は春蕎麦の新蕎麦を少しは宣伝しようと、蕎麦の農場から送ってもらった「常陸春蕎麦」の幟も立てて、駐車場の入り口に飾る。

 店はエアコンを入れているけれど、蕎麦打ち室は室温26℃、湿度は75%で、外の方が気温は低いはずなのに、後で予報の画面を見たら、湿度は終日90%を越えているから驚いた。蒸し暑いはずです。三日目になる新蕎麦の蕎麦打ちも、今朝は加水率を40%に戻して、捏ね始めたのですが、やはり硬い。自分の力がなくなったのかと、亭主は少し怯むけれど、これが打てなくては蕎麦屋も店じまいだろうと、汗を拭きながらしっとりとした生地に仕上げるのです。

 蕎麦玉を寝かせている間に厨房に戻り、大根と生姜をおろして、次の作業の準備をしておきます。再び蕎麦打ち室に入って、蕎麦玉を地伸しする作業に入るのですが、生地が硬いのでこれがまた大変です。また汗を拭きながら丸出し、四つ出しを終えるのでした。明日は思い切って41%まで加水を戻してみようか。蕎麦粉の変わる時というのは、いつも適正な加水率を捜すのに時間がかかるのです。それでも無事に蕎麦を打ち終えて、今日は14食の用意をしました。

 野菜サラダの具材を刻んで、週末だから四皿に盛り付け、暖簾を出せば程なく最初のお客さんがいらっしゃる。いつも天せいろに出汁巻き卵と、鴨葱塩焼きを頼まれる方だったけれど、「コロナになってメニューを減らしたので、卵料理は止めたのです」と言えば、「天麩羅の海老を追加して、辛味大根をお願いします」その後も、雨にもかかわらず次々とお客が入って、せいろ蕎麦とおろし蕎麦を頼まれたご夫婦は、「とても美味しかった」と言って帰られる。

 今日は最初のお客が入ったときに、亭主がふと目眩を感じて、気温が低いのに熱中症なのかと、女将に言われて直ぐに首にネックレスのアイスノンを巻く。厨房の温度計は27℃だったけれど、湿度が70%を越えていたから、単に温度だけではないのかと怖くなった。車が入れ替わり駐車場が満車になる頃に、例のカレーうどんのご主人が一人でカウンターに座り、他のお客様の注文の品を出終えた後で、うどんを茹でてゆっくりとカレーの汁を仕上げるのでした。

 天候の割にはお客が入ったので、家に戻ってひと休みしたら、また蕎麦屋に出掛けて出汁を取り、蕎麦汁を仕込んでおくのでした。小鉢も盛り付けて、明日の分のお新香を糠床に漬けるのです。5時半近くに家に帰れば、大相撲も残り何番かで、昼食の早かった女将は先に夕食を済ませていました。亭主は今日残った野菜サラダを載せ、自分で冷やし中華を作って食べる。明日は晴れると言うから、今日以上にお客が入る可能性がある。蕎麦をどれだけ打とうか。

7月17日 日曜日 空模様に翻弄された一日 …

 朝飯前のひと仕事を終え、朝食後に亭主が家を出るときには、空には青空が広がって、木槿の花が映えていたのです。車で蕎麦屋に出掛けた6時過ぎには、まだ霧雨が降っていたというのに。夕べ漬けたお新香を切り分けて小鉢に盛り付けたら、蕎麦汁を蕎麦徳利に補充して、少なくなった天麩羅の具材を切り分けるのでした。最近は天せいろが随分と出るから、週末は日に二回は具材を補充しなければならない。天麩羅油も新しいものを注ぎ足して使っている。

 7時前に家に戻れば、家の前の通りに庭の木槿の花が散っているので、女将のひと手間を省いてやろうと亭主が掃き集めておく。実際、朝は彼女にとってとても忙しいのです。洗濯をしてその間に台所の洗い物をするから、洗濯物を干して蕎麦屋の手伝いに来るまでに休む暇はないから、亭主も何か少しは手伝おうと心がけているのです。特に夏場は、蕎麦屋もかなり熱くなるから、女将も熱中症になって熱を出したこともある。お互いそれ相応に歳だから心配。

 蕎麦屋に着いたら、昨日から出している春蕎麦の幟を今朝も一番で立てておく。チェーンポールを降ろしたら、箒とちりとりを持って西側の小径に行って、ムクゲの花が散ったのを掃き集めておく。この時は雨も止んで、青空も少し覗いていたのですが、長くは続かないのです。もくもくと群雲が現れて、雨が降り出すのは時間の問題。大気が不安定と言うのはこのことなのか。今朝も気温は低いけれど、店の中の湿度は70%を超えていました。

 蕎麦打ち室に入れば、もう天気のことなどどうでもよくて、新蕎麦の加水率を今朝は41%にして、蕎麦粉を捏ね始めるのでした。これが見事に的中したから、今朝はしっとりと仕上がった蕎麦玉を二つ作って、厨房に戻る亭主。8時前には家を出たので、時間は十分にある。日中の水分補給のために、お湯を沸かしてほうじ茶を何杯分も作っておく。蕎麦を打つと身体が熱くなるからと、熱中症予防に、ネックレスのアイスノンを首に巻いてまた蕎麦打ち室に戻る。

 室温はまだ27℃なのですが、湿度があるから要注意。エアコンを効かせてはいるけれど、狭い蕎麦打ち室では亭主が蕎麦を打つだけで、もう温度が上がってくるから不思議。500gを二回打って、昨日の残りの蕎麦と合わせて15食を用意しました。お客が10人を越えても、15人は越えないのが、コロナ禍の後に客が戻った最近の週末なのです。1.5人分の大盛りの注文がどれだけ入るかで残る蕎麦が違ってくる。今日の天気の状態で、果たしてどれだけのお客が来るか。

 いつもより30分は早くから準備を始めたので、蕎麦を二回打ってもまだ時間が余った。熱い厨房では、根を詰めずに休み休み仕事をして、熱中症の予防には十分に気をつけているのです。野菜サラダの具材を刻み、休日だからと四皿盛り付けておきます。すべての準備を終えてもまだ11時。平日だと、これから店の掃除を始めるのですが、女将がいる週末はもうそれも終わっている。10分前に暖簾を出して、女将と二人でお客の来るのを待つのでした。

 日曜日なのに珍しく、早くからお客がいらっして、初めてらしいご夫婦が天せいろのご注文。蕎麦を出し終える頃に駐車場にもう一台車が入って、ご家族連れの5人がご来店。「テーブルは4人しか座れないので、お一人はカウンターにどうぞ」と亭主が案内する。一度には調理が出来ないので、お子様のせいろ蕎麦から出して、お婆様の天麩羅うどん、ご夫婦の天せいろと手際よく注文の品を出すのでした。前のお客が「お蕎麦が美味しかった」と帰られる。 

 その後はもう入れ替わり立ち替わりお客が入って、1時半になる前にお蕎麦売り切れの看板を出すのでした。その後にいらっした車のお客は、看板を見て帰られた。新蕎麦が美味しかったと言ってくれたのは3組ほどで、蕎麦湯まで綺麗に飲んで帰られたのです。蕎麦好きの女将の友人も歩いていらっして、途中で凄い雨に降られて日傘を雨傘に転用して来たのだとか。3時前には洗い物を終えて家路に就いた女将と亭主。雨はすっかり上がっていたのです。

7月18日 月曜日 晴れ間も見えたが蒸し暑い一日 …

 亭主の10時就寝5時起床の生活はまだ続いている。今朝も6時前には車で家を出て蕎麦屋に着いたら、まずは西側の小径のムクゲの落花を見に行ったのです。今朝はあまり多くないし、雨も降りそうにはないので、後で掃けば好いだろうと思っていたら、隣の畑のクローバーが綺麗に刈られているのに気が付いた。お隣の親父様が昨日の午後から仕事をしたらしい。機械で刈るとはいえ、畑は広いから大変な労力なのです。夏の花の準備も整えて偉いものです。

 亭主も頑張って厨房に入り、昨日からになった蕎麦徳利に蕎麦汁を補充する。すっかりなくなった小鉢も新しく盛り付けたけれど、作ってあった切り干し大根も尽きたので、次はカボチャの従姉妹煮を作ろうと、小さな雪平鍋に出しを入れて、冷凍してある南瓜の端切れを煮始める。出汁醤油に砂糖を足して、コトコトと煮ていく。茹でた小豆も昨日のうちに解凍してある。その間に今日のほうじ茶を沸かして、南瓜が柔らかくなるのを待つのでした。

 家に帰ればいつものように、女将が台所で朝食の支度をしているのです。シャカシャカとスライサーでジャガイモを削る音が聞こえたから、邪魔をしないようにと亭主は通りに落ちたムクゲの掃除をして戻る。ハムエッグとハッシュドポテトは、何十年ぶりかで復活した我が家の人気メニューの一つなのです。今日も食後のひと眠りをせずに、亭主は女将の朝ドラの時間が終わったら「行って来ま~す」と蕎麦屋に出掛ける。みずき通りも厚い雲に覆われていた。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、箒と塵取りを持って西の小径に出る。ムクゲの花を掃き集めて玄関に戻れば、向かいの畑から南瓜を抱えて親父様がやって来たのです。「今、採ったばかりだから」と亭主に渡すから、冷蔵庫に取っておいたお茶の袋を「いつももらってばかりで申し訳ないから」と持って帰ってもらう。今朝は珍しく畑の作物について立ち話をするのでした。亭主は下着一枚になってエプロンをしたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。

 今日も二回の蕎麦打ちで、昨日打った蕎麦がほとんど残っていなかったから、今日は750gと500gの蕎麦玉を作る。41%の加水で水回しを始めたら、新蕎麦の淡い緑の色が好く出ていたので、写真に撮っておいたのです。適正な加水率が掴めたら後はこちらのもので、伸して畳んで綺麗に包丁切りを済ませ、15食の蕎麦を用意する。三連休の営業はいつもの週末と違って、毎日が混むとは限らないから難しいけれど、混んだ場合も対応できるように15食なのです。

 10時過ぎからお客は来たけれど、店置きのパンフレットを渡して「11時半からなのですよ」とお断りする。しかも二組もいらっしたと女将に言えば、「便利な生活に慣れているから、いつでもやっていると思うのよ」と案外冷たい。それだけ初めてのお客が増えていると言うことかも知れない。今日も10分前には野暖簾を出して、少しでも早くいらっしゃるお客に応えようと思ったけれど、最初のお客が来たのは11時半過ぎなのでした。

 12時半を過ぎたらしばらくお客が途切れたので、亭主はかき揚げを揚げてぶっかけで賄い蕎麦を食べておく。後半は1時過ぎからお客が入って、最後に今週二日もいらっした常連さんが、また新蕎麦を食べに来てくれて四方山話。全英ゴルフが始まったという話題とコロナの感染の話が主でした。今日は初めてのお客が多く、常連さんは二人だけでした。早めに洗い物を片付けて、女将と家に帰り、夕方からの四回目のワクチン接種に備えるのでした。

 ショッピングモールの接種会場に着けば、待っている人たちがやけに年配の人たちばかりだと思ったら、自分たちもその年配の部類なのだと気が付いて思わず笑ってしまった。家に戻れば大相撲はもう最後の頃なのでした。今日残った野菜サラダを使って、亭主が冷やし中華を作って夕食にする。野菜サラダの一皿分を食べられるからと、女将も嫌がらずに食べてくれた。三日間も亭主の道楽の蕎麦屋に付き合ってくれた女将には感謝してもしきれないのです。

7月19日 火曜日 梅雨の再来は …

 雨こそ降らなかったけれど、朝からどんよりとした曇り空。夕べは少し床に就くのが遅かったのです。それでもいつもと同じ時間には目が覚めて、朝のコーヒーを飲んだら、6時前には車で蕎麦屋に出掛けるのでした。厨房で昨日の片付けを始める前に、軍手をして箒と塵取りを持って西の小径に出るのです。アスファルトの間から生える雑草を引きむしりながら、散ったムクゲの花びらを掃き集める。毎朝の習慣になって、最近は苦ではなくなったから不思議。

 7時前には家に戻って、今度は、前の通りに散ったムクゲの花びらを掃き集める。これも毎朝の習慣になって、ちっとも苦ではないのが素晴らしい。朝食には、焼いた鯖と銀だらを女将と半分ずつ食べて、蕎麦屋の残り物のお新香や小鉢を平らげる。天麩羅の具材で残った南瓜も、焼いたり味噌汁に入れたりで大活躍。それにしても亭主の道楽で続ける蕎麦屋の食材の廃棄率はいつもゼロだから、女将の協力には本当に感謝しているのです。

 朝飯を食べ終えたら30分だけ横になって、寝足りなかった分を回復する。お袋様に電話をして迎えに行き、農産物直売所に出掛ければ、今朝はまだ新しい野菜があまり入っていなかった。知り合いの農家の出している茄子やパプリカを買い込んで、隣町のスーパーに出掛ける。女将に頼まれた果物や魚や肉の他に、トイレットペーパーまで買わなければならなかったので、カートに乗せる品物はもう手一杯。いつもお袋様に手伝ってもらって袋に詰めるのです。

 帰り道、蕎麦屋に寄って、昨日、売れ残った新蕎麦をお袋様にも持って帰ってもらう。仕入れた野菜類を冷蔵庫に収納して、いつもなら家に戻るのだけれど、今日は返しがすっかりなくなっていたから、こちらも仕込まなくてはならなかったのです。ワインビネガーと味醂を煮立たせて、減塩醤油と再仕込み醤油を鍋に注ぎ、最後に氷糖蜜と塩を加える。沸騰をさせてはいけないから、表面が白くなるのを見計らって火を止めるのです。これで二週間分の返し。

 最後に、先日、向かいの畑の親父様から頂いた南瓜を骨切り包丁で切って、中身を確認するのでした。黄色く柔らかいのが、畑で採ったばかりの新鮮さを物語っていた。これなら少し小振りだけれど天麩羅の具材に十分使えるのです。レンジの消火をしっかりと確認して家に戻れば、女将が昼の支度を始めてくれていた。亭主は煮立った鍋で蕎麦を茹でて水で洗うだけ。トマトやお新香、山芋もすべて蕎麦屋の残り物だけれど、とても美味しく頂いたのです。

 2時過ぎから女将のスポーツクラブの予約があるからと、昼食後の昼寝もせずに待っている亭主。時間になってスマホを片手に待機していたけれど、いざ予約の時間と画面を操作すれば、「チケットをご購入ください」と表示が出て、どんどん席が埋まっていくではありませんか。既に二週間分の予約をしているから、それ以上の予約はさらに有料となるのです。稽古場で仕事をしていた女将に伝えて、亭主は午後の仕込みに出掛けるのでした。

 今日は空模様の割には雨が降っていなかったので、蕎麦屋に着いたら軍手と鎌を手にして、直ぐに東側のミニ菜園に向かう亭主。南側の菜園まで、残る2m ほどの間の雑草を刈り取って、ビニール袋に詰めていく。以前なら一日で終わった作業を、二週間かかった。やはり歳か? 後は、屋根より高く伸びた月桂樹の枝を剪定して、南側の菜園の草取りを終えれば目標達成。最初に草取りをした所には、もう新しい草が生えているから、気の長い話なのです。

 厨房に戻って手洗いを済ませ、いよいよ午後の仕込み。夏野菜の揚げ浸しを作って、出し汁に浸ける。4時前に蕎麦屋を出て家に戻れば、夕飯にはまだ早いから、テレビの大相撲中継を観ながら、先週残ったキャベツを刻んで餃子を包む亭主。包み終わる頃に女将が現れて、今日仕入れたトウモロコシを茹でてくれた。インゲンを捜して団地の中のスーパーに行けば、何十個も小さなジャガイモが入った袋が100円で売っていたので、これを買って帰ったから、夜はジャガバター。それに餃子を焼いて二人とももう満腹なのでした。

 

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2022年7月上旬

7月7日 木曜日 結局は晴れて好かった七夕の夜 …

 煙るような霧雨の朝でした。4時半には目覚め、例によって居間の椅子に座って珈琲を一杯飲む。朝飯前のひと仕事に出掛けるにはまだちょっとは早すぎるから、テレビのニュース番組を見るのだけれど、ぼうっと聞いているから直ぐに内容を忘れてしまうのです。5時前になったら車を出して蕎麦屋に向かい、昨日の夜から考えていた蕎麦汁の詰替えとお新香と煮物の小鉢を盛り漬けるのでした。開業時に揃えた手作りの徳利もだいぶ古くなったので気になる。

 小鉢も沢山の種類を集めたけれど、今はほとんどが戸棚の中に眠っている。使い勝手の好いものだけが残っているのです。盆の中に蕎麦皿や蕎麦徳利、蕎麦猪口と合わせて、上手く納まる大きさが使い易いのでしょう。今から思えば、あまり値の張る器を揃えてしまうと、欠けた時に補充するのが大変になるのです。蕎麦徳利が一番いい例なのでした。明日の分までも小鉢を盛り付けて、いよいよ一回目の蕎麦打ちにかかる。時刻はまだ6時前なのでした。 

 朝飯前のひと仕事に、今朝は2時間近く費やして、家に戻れば女将の用意してくれた朝食を食べる。7時のニュースを二人で見ながら、亭主は見たら直ぐに忘れるから怖い。今日は七夕、この天気では夜空の星も見えないだろうと、10年以上も前のこと、まだ亭主も現役で勤めていた頃に、小中学校時代の友人と都内でミニクラス会で集まったのを思い出す。年を取ると昔のことは好く覚えているもので、今でもその時の写真を机の脇に張ってあるのです。

 食後のひと眠りを終えて、今朝はゆっくりと家を出た。通りに面した庭の木槿がやけに賑やかに咲いている。南向きだから、ちょうど逆光で写真には上手く写らないけれど、朝の雨は上がって傘を差さなくても好いから助かった。湿気はあるけれど気温が低いので、今日は過ごしやすいかも知れない。その分、お客は少ないだろうなと思いながら、蕎麦屋に着いたら今日二回目の蕎麦を打つ。「自分の食べる分もないのでは元気が出ないでしょう」とは女将の言葉。

 加水率は湿気があるのでぴったり40%。早朝の一回目に続けて、今日は好い蕎麦が打てた気がする。薬味の葱を刻んで、大根と生姜をおろし、野菜サラダの具材を刻んで盛り付ければ、まだ11時前。開店の準備を済ませ、店の掃除や消毒を終わらせて、西側の小径に散っている木槿の花を掃きに出た。この休みに草取りもしたから、少しは綺麗になっているのでした。家の木槿の落花は毎日女将が掃いてくれているから、せめて蕎麦屋だけは亭主がやらなければ。

 昼前は霧雨がしきりに降るので、涼しい北風も吹いて過ごしやすいけれど、これではお客は来ないだろうと思えるのでした。暖簾を出してお客を待つこと1時間。休憩時間だと思えば気が楽だなどと考えていたら、北の空から青空が覗いた。それがどんどんと広がって、午後は陽射しも戻って涼しい陽気。給食を食べられない例の少年がバス通りを歩いて来る。お茶を飲むわけでもないから、カルピスとバームクーヘンを出して、海老の天麩羅とせいろを用意。

 不思議なことに、この少年が来るといつもお客が続くのです。今日は注文が続いたので、彼とゆっくり話も出来なかった。窓際のテーブルのお二人は、中年の男性が長々と話をしている。女将に持たされたスマホでスポーツクラブの予約をする時間も迫っている。今日の分はスポーツクラブの席が取れなかったから、早めに来るからと言っていた女将もまだ来ない。続けてまた男性客がご来店で、やっと女将が現れた。間一髪で無事に席を確保して昼を食べる亭主。

 空腹を我慢していた遅い昼食の後も、女将がいると亭主はとても楽なのです。奥の座敷でぶっかけ蕎麦を食べ終えて、一服する暇がある。今日は蕎麦も随分と残ったけれど、野菜サラダは全部家に持ち帰り、晩のおかずになるのでした。洗い物と片付けを女将と二人で終わらせ、帰る道には青空が広がって気持ちが好かった。亭主は足の指を庇いながらゆっくりと歩くものだから、女将はどんどん先に進んでいく。夜は上弦の月が出て、無事に七夕の晩となった。

7月8日 金曜日 今朝も涼しかったけれど …

 今朝も5時前から目覚めてはいたけれど、あまり早くから蕎麦屋に出掛けてもすることがない。珈琲を飲みながらテレビのニュースを見て、6時近くになったから煙草を買いにコンビニに出掛ける。玄関を出たところで、この間、短く剪定をしたばかりの金柑の木に白い花が咲いているのを見つけました。あんなに短く枝を切り詰めたのに、元気に咲いているから、冬の収穫が楽しみです。空は暗く雲に覆われて、晴れると言う夕べの予報は朝から外れている。

 早い朝なのにコンビニはお客の車が並んでいる。作業着姿の若者たちが次々と、昼の弁当を買っているのでした。ハーフパンツにTシャツ姿で毎日のように煙草を買いに来る自分は、店員の目にはいったいどのように写っているのだろうか。蕎麦屋に寄って、昨日の洗い物を片付け、洗濯物を干して家に戻る。高原のような涼しさの朝だから、エアコンも入れずに帰って来た。家の台所では、ちょうど女将が出汁巻き卵を焼くところなのでした。

 朝食を食べ終えて、書斎に入って横になれば、15分ほどうつらうつらした時に「お父さん、BSのチャンネルを替えたいのだけれど」と朝ドラの前に女将が起こしに来る。夕べ亭主が夜食のざるラーメン餃子を食べながら、食堂のテレビを観たままなのでした。何度教えても女将は覚えないから、リモコン受信部の壊れたテレビは早晩買い換えた方が好いのかも知れない。でも、リモコンを使わなくても十分に見られるから、二人とも勿体ないと思っているのです。

 雨は降っていないのが幸い、蕎麦屋まで歩いて出掛けたけれど、誰にも人には会わなかった。マスクはしてなくても大丈夫でした。涼しいから朝の仕事もすんなりと、蕎麦は500gだけ打てば足りそうだったから、時間が余るだろうと、まずは駐車場の紫陽花の剪定をするのでした。花芽を残して短く切り詰めたら、90㍑のビニール袋一杯になるほどでした。草木ははあちこちで伸び盛りの時期、花の枯れた紫陽花が、いつまでもひと目について可哀想だったのです。

 涼しいから店の窓を開け放って、蕎麦打ち室に入れば室温は25℃で湿度は65%。40%弱の加水で蕎麦粉を捏ねれば、ちょうど好い硬さになる。蕎麦玉を寝かせている間に、大根をおろし、大釜に水を張って、再び蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。生地が硬めだから、奥行き一杯までは伸し広げられずに、今朝は切りべら28本にして140g の蕎麦の束を五つだけ取った。切り幅も揃って、ちょうど好い仕上がりなのでした。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻む。

 打つ蕎麦の数が少ないと、それだけ時間が余るから、今日は11時前にもう開店の準備が整うのでした。外は晴れ間も見えて来たけれど、風が強いのが玉に瑕。西側の小径の様子を見に行けば、風で散った木槿の花が散らばっている。塵取りと箒を持って掃除をしていたら、ゴミ捨てから帰って来た近所の奥さんが「綺麗なお花だけれど、毎日お掃除が大変ね」と声を掛けてくれました。見ていてくれる人がいるのだから、早く南側の庭も草刈りを済ませなければ … 。

 早めに暖簾を出したけれど、天気が好くなったのにお客はなかなか来ないのでした。去年の記録を見ても、この週の週末はお客が少ないのです。今年は第7波が始まったとかで、感染者の数も急に増えてきているから、そんなことも関係しているのだろうか。昼過ぎにやっとお客がいらっして、天せいろのご注文でした。初めてのお客らしく、蕎麦粉から溶いた蕎麦湯を丁寧に飲んで行かれた。それでも、今日はそれきりお客がないのでした。分からないものです。

 亭主自身の昼の蕎麦を茹でて、ぶっかけで食べる暇も十分にあった。片付けを終えて家に戻れば、女将はまだ帰っていない。テレビを点ければ、元総理が銃撃されたという速報が入っていた。夕飯の時間までずっとそんなニュースが続いて、総理を辞めると警護が手薄になるのかしらと女将と話す。早い夕飯は二日続けて出なかった野菜サラダを使って、例により亭主がお好み焼きを作るのでした。平和すぎる日本にも広く危機管理の徹底を望みたいもの …。

7月9日 土曜日 普段通りに暮らすしかない …

 最近は夜明けと共に目覚めるのが習慣になってきたから、好いのか悪いのか一日が長く感じるのです。今朝も4時半にはもう目が覚めて、居間の部屋で珈琲を飲みながらぼうっと椅子に座っている。もう一度眠れば寝れないことはないけれど、せっかく起きたのだからと、今日の仕事の段取りをつらつらと思うのでした。テレビのニュースやデータ放送で天気予報を見て、6時前には車で家を出る。門の上にある木槿の花が今日も元気に見送ってくれる。

 蕎麦屋に着いたらまずは蕎麦汁を補充して、週末に予想されるお客の数だけは用意しておく。昨日一昨日でなくなってきた小鉢も、追加で盛り付けて、洗濯物を干そうと思ったら、昨日の帰りに洗ったはずの洗濯機の中で濡れたままになっている。洗剤を入れて蓋を閉めただけで、スイッチを入れるのを忘れてしまったらしい。店を出る時に、忘れものはないかといつも確認するのだけれど、何かしら忘れているから怖いのです。苦笑いをしながら家に戻る亭主。

 いつもなら、女将が台所に立っている時間なのに、今朝は亭主が帰るのが早かったのか、まだ彼女の姿はなかった。今朝は何を食べるのかと夕べのうちに聞いていなかったから、慌てることはないと居間の椅子に座って一服している。それでも、いつもの時間に食卓に料理が並び、いつもの時間には食べ終わる。今朝はホッケの塩焼きととろろ芋がおかずだった。とても美味しく頂いて、お茶をもらったら、書斎に入ってひと眠りするのでした。 

 今日は朝から陽が差していたから、蕎麦屋に着いたら久し振りに打ち水がわりに、ホースで駐車場に水を撒く。西側の小径のムクゲの落花も箒で掃いて綺麗にしておくのでした。今朝も蕎麦打ちは、500g五人分と決めていたから、時間が余るのが目に見えていたのです。朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って加水率40%弱で、今朝の蕎麦を捏ね始める。エアコンも入れていないのに、室温は26℃湿度は63%なのでした。陽射しのないところではまだ涼しい。

 蕎麦玉を寝かせている間に大根を擦り、大釜に水を張って、早朝に洗い直した洗濯物まで干しておく。再び蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦をのして包丁打ち。加水がちょうど好いと、蕎麦も本当に好く仕上がるのです。いつもより30分も早めに野菜サラダの具材を刻み、10時半過ぎにはもう用意が出来ていましたが、大釜に火を入れるのを忘れていた。若い女性がやって来て玄関の看板を見ていたけれど、「まだお湯が沸いていないので」とパンフレットを渡す。

 11時15分前なのでした。営業を始めるにはちょっと早すぎる時間なのです。そのうち女将も家から戻って、昨日のコロナの感染者数が78人にもなったという話になる。一昨日の数の倍になったから、こんな田舎の街でクラスターもないというのに、どこでそんなに感染するのだろうと思えてならない。彼女に言わせると、都会に出掛けているから、感染して帰って来るのではないかと言うのです。開店時刻を過ぎたら、直ぐにお客が続けて入った。常連さんばかり。

 カレーうどんの親父様は、今日はカレー蕎麦にしてみると言うので、孫の世話を今日は母親に任せて、久し振りにいらっした奥様が笑うのです。母娘らしい常連さんも、お母様がヘルシーランチセットを頼まれて、珍しく生ビールのご注文なのでした。それから1時間というもの、お客の来る気配はなかったから、亭主は蕎麦を茹でて、ぶっかけで昼を済ませてしまう。やっと次のお客たちが来たのは、1時半近くなのでした。同時に6人も入って大忙しでした。

 近所の友人に勧められていらっしたと言うご夫婦と、ラベンダー祭りに来たというご家族と、それぞれ蕎麦が美味しいとゆっくりしていかれた。閉店時間もとっくに過ぎて、女将と二人で洗い物をするひととき。薄雲は出ているけれど、陽射しの強い暑い午後なのでした。家に戻って亭主はいつものように、書斎に入ってパソコンに向かって、ひと仕事を終えたら午後の昼寝。その間に女将は買い物に出て、目覚めた亭主は蕎麦屋に行ってお新香を漬けてくる。

 ついでに昼の洗い物を片付けて、蕎麦汁を補充し、小鉢を盛り付け、洗濯物を干しておく。結果的に、いつもの土曜日の来客だったかほっとする亭主。春蕎麦の新蕎麦も発注したし、来週は鴨肉や海老を頼まなくてはならないし、売り上げが伸びないと支払いに困ることになる。平日にお客が少ないと、やはり目に見えて火の車なのです。明日はどうなるこことか。夜の食事は昨日のサラダの残りを炒め物にして、チーズ揚げと枝豆、トマトで一献なのでした。

7月10日 日曜日 朝から蒸した一日で …

 午前5時前に今朝は珍しく寝汗を掻いて目覚めた。気温も多少高いのかも知れないけれど、じめじめと湿気のある感じなのでした。亭主は、元来、この湿気には弱いのです。居間の部屋のエアコンをおそらくは外気温よりも高めの27℃に設定して入れただけで、爽やかな高原の朝になるから不思議なのです。例によって、6時まで椅子に座ってぼんやりと過ごし、珈琲を飲み終えたら車を出して、煙草を買いに出る。その帰りに蕎麦屋に寄って、夕べ漬けたお新香を取り出して切り分け、小鉢に盛り付けるのです。

 家に戻れば、女将が台所で朝食の支度をしている。昨日蕎麦屋で残った二人分の野菜サラダは、夜のうちに亭主が製作責任上、冷やし中華に載せて半分食べたから、今朝は残り一人分を二人で分け、スクランブルエッグを添えておかずに出る。卵と納豆がタンパク質摂取の食材らしい。野菜の揚げ浸しやお新香も含めて、我が家ではかなり多くの野菜を摂っているのです。昼は食べられればどうせ蕎麦なのだから、ちょっとタンパク質の方が少ない計算です。

 朝が少し遅かったせいか、今朝は食後のひと眠りもせずに、丁寧に髭を剃って着替えを済ませたら、早めに家を出るのでした。玄関前のムクゲが、「おはよう!」と言って亭主を送り出す。白い花びらの中央に紅色の模様が滲んでいるのが素敵なのです。紫色の花びらにも同じ模様が入ったのもあるけれど、白地に紅が素朴で美しいと感じる。最近は足の指の具合も好くなって、ゆっくりだけれど雪駄の足に力を入れて歩くことが出来るようになった。

 蕎麦屋に着いたらまだ時間があったので、まずは西側の小径に散ったムクゲの花を箒で掃き集める。まだ枝に付いている花の終わった花殻も取っておくのです。「一日花だから」とよく女将が言っている。朝の仕事を終わらせて、さあて今朝は何から始めようかと、厨房の椅子に座ってタブレットで天気予報を見るのでした。あまり当てにはならないけれど、午前中は小雨のマークが続いて、昼からは曇りという予報。蕎麦は最低限打てば好いけれど、今日は日曜日。

 昨日打った蕎麦が5束残っていたから、今朝は750gで8束打って合わせて13食分を用意すれば好いだろうと考える。この「好いだろう」は、足りるという意味ではない。天気が悪くても、日曜日だからお客が蕎麦の数よりも多く来ることも考えられるけれど、「ご免なさい。お蕎麦が売り切れました」と言って断るには、ちょうど好いだろうという意味なのです。あまり無理をして沢山お客を入れても、女将と二人では手一杯になるはずです。

 商売人としては失格なのかも知れないけれど、自分の腕を過信しないと言うことも大切だと思うのです。銅の天麩羅鍋に替えて、天麩羅も上手く揚がるようにはなったけれど、続けて沢山揚げたのでは上手くいかない。2時間半という昼の時間で、調理をこなせる数は自ずと限られてくるのです。お客様がゆっくりと寛げるかどうかが一番の問題です。今日は11時過ぎには最初のお客が来たので、お湯も沸いていたから店の中に入って頂いた。

 そう言う日には後が続くもので、昼前に三組のお客が入って遅れてきた女将もびっくり。ご近所のご主人が一人でいらっして、いつもと同じく天せいろのご注文。「全部美味しかった」と今日も褒めて頂いて気をよくする女将と亭主。昼を過ぎて、四人連れのお客が続き、一組はお婆さんを連れた女性陣、もう一組は小さなお子様を連れたご夫婦で、これで今日の蕎麦は売り切れなのでした。その後も何台か車が入ったけれど、女将が出てお詫びをするのでした。

 昼になるにつれ、曇りどころか陽も差して、厨房は30℃を越える暑さ。1時過ぎには「お蕎麦売り切れ」の看板を出したけれど、洗い物をする時間がないほど忙しかった。今日は選挙の日だからと、家に帰って着替えもせずに、そのまま投票所に出掛ける夫婦。さすがの女将も今日は買い物に出なかったのです。空になった冷蔵庫の中にはあまり食べるものもなく、今日残った野菜サラダを使って、夜は亭主が作った餃子を添えて、冷やし中華にすることに …。

7月11日 月曜日 朝は涼しく昼は暑く …

 昨日の朝よりは少し涼しいと感じたけれど、午前6時の太陽の光は、もうかなり強かった。家でもうひと眠り出来ない理由は、昨日の片付けが沢山あったから。最近は暑くなるとお客が増えるという繰り返しで、週末のお蕎麦売り切れは嬉しい悲鳴なのです。月曜日の今日は昨日にも増して暑くなると言うから、まずは片付けから始めないといけない。そして、残っている蕎麦汁を補充した分だけ、今朝は蕎麦を打とうと考えていたのです。

 蕎麦徳利はすべて空だったから、作り置きしてあった蕎麦汁をお玉で一本ずつ入れていく。ちょうど8本目で蕎麦汁が尽きて、大盛り用の蕎麦徳利が、冷蔵庫に少し残っていたから、今朝は9人分の蕎麦を打てば好いと考える。小鉢もお新香以外はすべてなくなっていたので、作り置きの分を盛り付けたら、ちょうど9人分なのでした。平日だから、暑くなったと言っても、そんなに沢山のお客が来るとは思えない。洗濯物を畳んで乾したら、家に戻るのでした。

 家の冷蔵庫もすっかり空になっていたから、今朝は何にするのだろうと居間の部屋で待っていたら、シャキシャキとジャガイモをスライサーでする音が聞こえてきた。ハッシュドポテトに卵焼きなのでした。それにお新香とピーマンのじゃこ煮がついて、亭主の朝食にはちょうど好い分量。すぐに食べ終えて書斎に入って横になる。わずか20分ほどなのですが、朝早く起きた分だけ身体を回復させるのです。洗面と着替えを済ませていつもの時間に家を出る。

 雲は多かったけれど今朝は晴れて、ジリジリと暑さが身体に入ってくる。蕎麦屋までは人に会わないから、マスクもしないでゆっくりと歩く亭主。朝の涼しさは何処へやら、今日は32℃まで気温が上がると言うから堪らない。朝のうちに店のエアコンを入れておいたから、蕎麦屋の中は高原の涼しさ。朝の仕事を終えて、蕎麦打ち室に入れば、朝日が当たるからか28℃もあった。湿度は55%だから、それでも外に比べれば涼しい。蕎麦粉を計量して850gを捏ねる。

 いつもより100gしか多くないのに、加水を39%にしているから、捏ねるのに力が要るのです。菊練りに入れば、捏ね鉢の中で両の腕を絞るように力を入れるので、尚更、大変だと感じる。やはり、少し歳を取ったのかな。それでも寝かせた生地は綺麗に仕上がっていた。本伸しも無事に済んで、切りべら26本で130gの包丁打ち。予定通りに9人分の蕎麦が取れました。頼んでおいた春蕎麦の新蕎麦が届く。5kgを二袋で打ち粉を入れて2万円近いからやはり高い。

 平日だからと野菜サラダを三皿だけ盛り付けて、開店を待つひとときが、一番緊張するのです。最初のお客が来てしまえば、後は流れに任せるだけなのですが、どれだけ来るのかが分からないのが不安なのです。果たして、昼前に若いカップルが見えて、天せいろととろろ蕎麦のご注文。続けてリピーターのカップルがテーブル席に座って、ビールと天せいろにとろろ蕎麦。同じ作業を繰り返せば好かったから助かる。前の二人が帰ったところで駐車場に車が入る。

 あれよあれよと蕎麦がなくなっていくから、やはり暑くなるとお客は増えるのかも。天せいろを頼もうとするお婆さんには「天麩羅の量が多いから、ぶっかけ蕎麦に海老を追加した方が安いですよ」と言ってやる。1時10分過ぎには「お蕎麦売り切れ」の看板を出して、最後のお客のテーブルにお茶のポットを置いてくる。洗い物をする暇がなかったので、お客が帰った後で賄い蕎麦をぶっかけで食べ、ゆっくりと一人で洗い物をする。月曜日は後片付けが大変。

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2022年7月初め

 午前6時に蕎麦屋に出掛けて、朝飯前のひと仕事。小鉢も蕎麦汁もあるから、カウンターに乾してある昨日の洗い物を片付け、乾いた洗濯物を畳む。あまり仕事はなかったのだけれど、なぜか朝のうちに店に一度来ないと落ち着かないのです。西側の小径に面した木槿の様子を見に行ったら、家と同じで紫の花が最初に開いている。枯れていく駐車場の紫陽花に替わって、「今度は私の番よ」とでも言いたげなのでした。先週、剪定をしたばかりなのに元気。

 7時前に家に戻って、居間のエアコンの風に当たっていたら、いつもより早く女将が朝食の支度を終えていました。亭主は女将が夕食に食べた残りのカレーを温め、自分でご飯を多めに盛り付けて食べ始める。夜のカレーと朝のカレーとどちらが身体に好いのか。二人ともそれなりに年を取ってきているから、あまり、胃に負担は掛けたくないのです。早く食べ終えた亭主は、女将がテレビを見ている間に、書斎に入ってひと眠りするのでした。

 朝ドラの終わる時間には目が覚めて、洗面と着替えを済ませ、出掛ける準備をする。まだ金曜日で営業二日目だというのに、随分と疲れた気がするのは暑さのせいだろうか。蕎麦屋に行く道すがら、ノウゼンカズラが見事に咲いているお宅の前を通って、今年も熱い夏がやって来たと実感する。今年は早くから梅雨が明けたから、この花も自分の番だと早くから花を咲かせていたのです。私たち人間も、様々な季節の中を、自分の番だと生き抜いてきたのだろうか。

 看板を出し、幟を立ててチェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って蕎麦を打ち始める亭主。早朝からエアコンを入れたままだから、27℃、湿度45%と蕎麦を打つのにはちょうど好い。今朝は加水率を40%まで下げて、蕎麦粉を捏ねるのでした。やはり、この時期は40%なのだと、しっとりとした仕上がりに感心する。蕎麦玉を寝かせている間に厨房に戻り、大根をおろしして二つの大釜に水を張っておく。途中で、頼んでおいた減塩醤油が届く。

 宅配便の若者が「この店は子供連れでも大丈夫ですか?」と尋ねるものだから「子供用の椅子とかはないけれど、大丈夫ですよ」と応えれば、店置きのパンフレットを持って帰る。家族で一度来てみたいと思ってくれたなら、有り難い幸せなのです。今日の蕎麦を無事に打ち終え、厨房に戻って野菜サラダの具材を刻む。暖簾を出してしばらくしたら、最初のお客がご来店でした。リピーターの方でお婆さんは直ぐにぶっかけ蕎麦を注文をする。

 昼前に二組のお客が入って、「前の方にお料理をお出ししてからになります」と、天せいろを頼まれた親子らしい二人連れに言ってお茶をお出しする。外があまりにも暑いからか、皆さん店の中でゆっくりとなさるのでした。厨房の温度は32℃にまでなったから、亭主も首に巻くアイスノンを着けて熱中症予防を怠らない。本当に暑過ぎるのです。やっとお客が帰って1時になったから、蕎麦を茹でてぶっかけで昼飯を済ませてしまう。

 食べ終えて洗い物をすべて済ませたところで、駐車場に高級外車がエンジン音を唸らせて止まるのでした。二人とも髪を染めた若い女性と男性の二人連れ。二人とも、ぶっかけ蕎麦のご注文だったから、稚鮎の天麩羅をサービスで付けてお出しする。綠色の髪の男の子も見てくれとは違って礼儀正しいのでした。二人が帰ったのはもう2時近く。ひと休みをしながら、幟や暖簾をしまって、洗い物を済ませ、大釜を洗い、ゴミ箱のゴミを外に出したらもう3時過ぎ。

 ぶっかけ蕎麦と天せいろばかりで、三皿作った野菜サラダは出なかったから、全部家に持ち帰って女将に渡す。昨日のサラダもまだ残っている様子。二人の思いは同じで、夕食はまたもやお好み焼きなのです。今日は少し粉を硬く溶いて小さめに作ったら、「食べづらい」と女将は言う。柔らかな生地のお好み焼きが好きらしいのです。明日の土曜日は少し気温も下がると言うが、四皿作る野菜サラダが気にかかるのです。注文が多くて足らないこともあるのに …。

7月2日 土曜日 朝から暑い一日でした …

 午前6時の蕎麦屋には、眩しいほどの朝の光が差し込んでいる。夕べ浸けておいた昆布と干し椎茸の鍋に火を入れて、今週二回目の出汁取りをする亭主。こればかりは時間を短縮することの出来ない作業だから、ゆっくりと落ち着いた気分で臨むのです。厨房の右端にあるIHではポットに湯を沸かし、今日一日分のほうじ茶を沸かし、グリーンの陶器のグラスに入れて冷蔵庫で冷やしておきます。鍋の壁から泡が出て来たら、鰹節を入れて灰汁を取り始めます。

 一番出汁は沸騰する前に火を止めて、鰹節が沈むまで待つこと約5分間。黄金色の美しい出汁が取れれば成功です。これを2㍑別の鍋に取って、返しを加えて蕎麦汁を作ります。残った一番出汁は、だいたいいつも 500m~1000mなので、ボールに取って水で冷やしてから容器に入れて冷蔵庫で保存する。鰹節を入れる前に取り出してあった昆布と椎茸を鍋に戻したら、水を加えて二番出汁を取り始めるのです。こちらは少し沸騰させてから容器に移して冷やす。

 調理台が片付いたところで、まな板を敷いて、冷蔵庫から糠床を取り出し、夕べ漬けたお新香の出来を確かめる。キュウリやカブの大きさや塩の付け具合にもよるけれど、その日によって出来は違うのが玉に瑕なのです。だから、いつも漬けておく時間を気にしなければならない。色が映えるだろうと、この時期はラディッシュを加えているのがひと工夫ですが、キュウリの綠とカブの白とナスの黒に赤は多すぎると暑苦しいから、薄く切って一切れだけ添える。

 レンジの火を消したことを「消した、消した」と声に出して確認して、玄関の鍵を「閉めた」と目に焼き付けてから、車に乗って家に戻る。年を取ると忘れることが多いので、いちいち意識に残すように努力しているのです。厨房では女将がジャガイモを剥いていたから、亭主がスライサーで千切りを作ってやる。昔懐かしいハッシュドポテトは、ポテトサラダ同様に、ハムエッグには合うのです。食後はジョンウェインの映画を観て、ひと眠りをしなかった。

 朝の仕事を終えて、蕎麦打ち室に入れば、今朝点けておいたエアコンが効いているからか、室温は27℃、湿度は37%と動きやすい。加水率をぴったり40%まで下げて、蕎麦粉を捏ねれば実に好い具合に仕上がるのでした。蕎麦玉を寝かせている間に、厨房に戻って葱切りと大根、生姜をおろすことを済ませ、再び蕎麦打ち室に入って蕎麦を打つのです。水の加減がぴったりだと、ひと束毎に蕎麦が、綺麗に包丁で打った姿を見せてくれるから嬉しいのです。

 毎回、こんな蕎麦が打てれば言うことはないのだけれど、季節が替わる度に水加減が替わるから、そこが難しいところなのですね。今日は、昨日の残りの蕎麦と合わせて、14食の蕎麦を用意する。10時前にはもう厨房に戻り、野菜サラダの具材を刻み始める亭主。蕎麦打ちが上手くいくと、包丁の切れ味まで好いような気がして、ニンジンのジュリエンヌも今朝は細く仕上がりました。週末だからと四皿のサラダを盛り付けたけれど、果たしてどれだけ残るか。

 給料日直後の先週末とは違って、今日は土曜日にしては少ないお客様。湿度が高くて蒸し暑いのも原因しているのかも知れない。それでも、開店直後にいらっした男性客は、カウンターの隅に座るや否や、この暑いのに、いきなり鴨南蛮蕎麦のご注文なのでした。孫の世話で奥様が来られないと言う常連のご主人は、例によって、カレーうどんとデザートの水羊羹のご注文。その後、二組ほどお客が入って、1時を過ぎたので亭主はぶっかけ蕎麦を作って昼飯。

 その後もお客はいらっしたけれど、閉店間際までゆっくりとされて、他の洗い物はもう片付いていた。女将と二人で2時半には蕎麦屋を出て、青空の広がる暑すぎる昼の陽射しの中を、亭主一人がゆっくりと後から家に着く。居間の温度は33℃まで上がっていたから驚きです。直ぐにシャワーを浴びてひと休み。夕食には昨日今日で残った野菜サラダに肉を入れ、カレー炒めにして食べる。夜になって、女将が、プルメリアの花が開いたと知らせに来ました。

7月3日 日曜日 陽は陰り気味で蒸し暑く …

 今朝は特別に仕事はなかったけれど、6時になったら家を出て蕎麦屋に向かう。家の門の脇に咲いた白地に底の紅い木槿。茶道では「宗旦木槿」とも言われ、「日の丸」という名もあるようですが、あまりピンと来ない。その名前よりも花の雰囲気が清楚な感じで素敵なのです。家では紫や赤の木槿が最初に咲いて、その次ぎに咲くのがこの花。例年、真っ白な木槿は一番最後に咲くのですが、今年は暑いからか余り時間差がなかった。暑い夏には元気な花が好い。

 特に仕事がないとは言っても、蕎麦屋に来ればすることはある。今朝は小鉢を盛り付けて、蕎麦汁を蕎麦徳利に詰め、昨日の洗い物を片付けるのです。そして、乾いた洗濯物は畳んで、洗濯機の中の洗濯物を干しておく。たったこれだけのことだけれど、朝飯前のひと仕事にやっておくと後が楽なのです。昔と違って、一度にえいっとやってしまえないから、やはり年を取ったのでしょう。身体に無理をしないようにと、小分けに仕事をするのです。

 先日、剪定をしたばかりの蕎麦屋の西側の小径を覗けば、もう下草が生えている。こちらでも、木槿が紫色の花から咲いているのです。家で挿し木をしたものを、蕎麦屋に持って来て植えたから、同じ色の花が咲く。手前のモミジは、年末にあれだけ短く枝を落としたのに、夏になればご覧の通り、伸び放題なのです。夏場は伸びだ枝だけを、もう一度刈り込まなければいけない。東側と南側の菜園の草刈りもあるから、なかなか一度には片付かないのです。

 家に戻れば女将が台所で、朝食の支度をしてくれていた。ハムエッグは若い頃なら「手抜きの料理」と文句を言ったものだけれど、今ではちょうど好い食べ物になっている。添えた赤と黄色のアイコさんは、先週、農産物直売所で顔を合わせた農家の奥さんが「いつも沢山買ってもらうから」とお袋様と二人で一袋ずつ頂いたもの。切り干し大根の煮物は、蕎麦屋で作った小鉢の残り。蕪の葉の味噌汁も、何も無駄にしない女将のアレンジなのです。

 朝食を終えて書斎に入り、20分ほどひと眠りした亭主は、コーヒーを入れてもらって再び蕎麦に出掛ける。今朝は太陽も雲に隠れているのに蒸し暑い。近所のご主人に挨拶をすれば「朝から暑いね」と言ってすれ違うのです。みずき通りを渡ってバス通りに出れば、水まきをしていたご近所の奥さんが「今日も暑いわね」と声を掛けてくれた。気温は昨日よりも低いはずなのに、やはり湿度が高いのだろうか。エアコンを入れておいた店の中は快適なのでした。

 朝の仕事を終えたら、早速、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。エアコンが効いているから、室温は27℃、湿度は37%。昨日と全く同じ40%の加水だったけれど、今日の方が少し生地が柔らかいのです。初めは好い感じだと思っているのに、蕎麦玉を伸しているうちに段々と分かってくる。四つ出しをすると、尚更、柔らかさが目に見えて、四つの角を出すのになかなか長さが揃わないのです。明日は39%の加水率で打ってみようかしら。

 亭主は一人で営業するペースで野菜サラダの具材を刻むから、11時にはもう油も天つゆも用意が終わっている。早お昼を食べに帰った女将も、早く来ても仕事がないから、最近では、11時をだいぶ過ぎてから戻って来るようになったのです。それはきっと好いことなのでしょう。開店時刻の10分前には暖簾を出したけれど、昼を過ぎても今日はお客がなかなか来ない。日曜日は出足が遅いことが多いのです。やっとお客が来たと思えば続けて来るから忙しくなる。

 最後のお客が帰ったのは閉店時刻の2時を過ぎていたけれど、なんとか昨日よりはお客の数が増えているから嬉しい。暑さのせいか今日はさっぱりとせいろ蕎麦のご注文が多かった。値段は安いけれど、作る方も一番楽で早いのです。かくして四皿作った野菜サラダはすべて残って、亭主は夕食に冷やし中華を作り、サラダの一皿分を消化するのでした。日曜日は何もテレビが面白いものがない。やはり、こちらがお休みモードでないから波長が合わないのか。

7月4日 月曜日 珍しく混んだ月曜日で …

 朝の4時には目が覚めるけれど、まだ少し早すぎると、ぼうっとした頭で今朝の仕事のシュミレーション。やっと起き出して薬罐にお湯を沸かし、熱いコーヒーを入れて居間でひと休み。このまま床に入ればまた眠ってしまいそうなのです。気温が低いのか、エアコンは28℃に設定していてもまだ涼しく感じる。レースのカーテン越しに外を眺めれば、どうやら今朝は曇りらしい。涼しいうちに蕎麦屋に出掛ければ、東側のミニ菜園の草を少しは刈れるだろうか …。

 結局、家を出たのは5時半過ぎで、薄曇りの空には太陽が弱々しい光を放っているのです。車に乗ると意識を集中しなければならないから、やっと目が冴えてくる。蕎麦汁も徳利に13本もあるから、今日のお客には十分なくらい。小鉢も新しく盛り付けなくても足りるほどなのでした。空の大釜に水を張りながら、カウンターに乾しておいた昨日の洗い物を片付けて、女将の仕事を少しでも減らそうと、洗濯物を畳んで洗濯機の中の洗濯物を干しておく。

 結局、草刈りをするほどは時間が残らなくて、早めに家に戻って台所の女将の手伝いをするのでした。冷蔵庫に残っていたハムとトマトを使って、今朝は亭主が卵焼きを作る。昔、遠い南の島のホテルの朝食で、卵焼き専門の料理人がガス台の前に立って、客の一人一人に注文を聞き、その場で卵を焼いてくれた。味つけは塩とコショウだけ。刻んだトマトを入れた卵焼きが美味しかったのです。固まらずに焼きすぎないように、ふんわりと仕上げるのがコツ。

 亭主が手伝うと朝食は早く出来るから、食後は書斎に入ってゆっくりとひと眠り出来る。目覚めたら女将の朝ドラの終わる時間でした。洗面と着替えを済ませ、女将の入れてくれたお茶を飲んで一服したら、今週最後のお勤めと玄関を出る亭主。ところが外は雨が降っていたので、急遽、車を出して蕎麦屋に出掛ける。帰りに持ち帰る残り物が沢山あるだろうから、傘を差しながらでは持ちきれないのです。足の指を庇いながら歩かなくて済むから内心は嬉しい。

 今日は雨の予報ではなかったから、じきに止むだろうと幟も出さずに蕎麦打ちを始める亭主。早朝に来た時にエアコンを入れておいたから、蕎麦打ち室の温度は25℃、湿度は50%といつもより涼しいのです。外気温が低いからだろうけれど、湿度は随分と高そうなのでした。それでも、加水率を39%にして蕎麦粉を捏ねる。最初は硬くて大丈夫かなと思ったけれど、腕に力を入れて体重を掛けているうちに、生地が馴染んでちょうど好い具合に仕上がるのでした。

 やはり、力を入れないと生地は上手く仕上がらないものなのか。蕎麦玉にして寝かせている間に、厨房に戻って大根をおろし、次の仕事の準備をしておく。上手く仕上がった生地は伸してもかなり好い具合。包丁切りも軽やかに、今朝の蕎麦を打ち終えて、昨日の残りの蕎麦と合わせて12食の蕎麦を用意する。平日の月曜日に、こんなにお客が来るはずもないないけれど、週末もお蕎麦がなくなって帰って頂いたお客もいたから、余分に用意したのです。

 いつもと同じ時間に始めているのに、今日は野菜サラダを刻み終えるのが随分と早かった。お蔭で11時前にはもう支度が調って、亭主はカウンターの椅子に座ってひと休み。眠ってしまいそうで怖かったので、時々、立ち上がって身体を動かすほど。最初のお客は昼前にいらっして、ヘルシーランチセットのご注文。サラダを食べてもらう間に、蕎麦豆腐を用意して、天麩羅を揚げる。次のお客も女性でヘルシーランチセットのご注文。これで野菜サラダは終わり。

 平日なのに、次の男性客の二人連れもヘルシーランチセットをご所望でしたが、もうなくなったと言えば、天せいろに替えてくださった。カウンターの女性がやっと帰ったと思ったら、今度はいつもランチセットをたのまれる常連さんがやって来たから、「ご免なさい」と天せいろに替えてもらった。海老は駄目なんですとおっしゃるので、いつも月曜日に来る辛味大根の常連さんにと、用意してあったキスと稚鮎を揚げてお出ししたのです。

 ラストオーダーの時間も過ぎて、今日はこれで終わりかと思ったら、駐車場に車が入って「まだ大丈夫ですか」とご主人が玄関を開ける。「天麩羅の具材がなくなったので、それ以外ならば」と言えば、せいろ蕎麦を二つのご注文。話を聞くと、この間は12時半に来たらもう蕎麦が売り切れだったとか。週末は16食を用意しても、そんなこともあるのです。朝早くから蕎麦を打つから、もうそれ以上は打てないので申し訳ない。これで目一杯なのです。
 洗い物を片付けていたら、県のコロナ対策調査の係員が来て、いつものようにあれこれとチェック。最後の洗い物を済ませ、油の処理や大釜の掃除、ゴミ箱の清掃、洗濯を済ませ、3時半にやっと家に戻って女将に今日の報告をする。昨日と同じ数のお客が来たからと驚いていたのでした。ひと眠りして、夕食の食卓につけば、今日は冷蔵庫の残り物を総動員して、ジャガイモとズッキーニのグラタンと野菜サラダの残りで野菜炒め。食後もまたひと眠りする亭主。

7月5日 火曜日 台風と雲の行くへは …

 今日は終日曇りという予報だったから、朝早くに煙草を買いに出て、そのままみずき通りを登って蕎麦屋に向かう。明日は朝から雨だと言うので、涼しいうちに少し、東側のミニ菜園の草取りをしようと考えたのです。ところがまだ6時だから、ちょっと早すぎる。庭の接するお隣に申し訳ないと、蕎麦屋の中の片付け仕事を先に済ませるのです。洗ってよく乾さなければならない盆や蕎麦皿、蕎麦徳利は一晩乾かしてから戸棚の中にしまうことにしている。

 乾してある洗濯物を畳んで、洗濯機の中の洗濯物を乾してやっと6時半。軍手をはめて90㍑のビニール袋を持ち、いよいよ草取りを開始すれば、20分ほどで 5mを進んだきり。ゴミ袋はまだ半分なので、朝食の後でまた続けるしかない。やはり以前とは違って、一気には終わらせることが出来ないのです。突き当たりの月桂樹の木まで行けば、脚立を立てて屋根の高さまで伸びた枝を剪定する予定。明日は雨だと言うから、南側の菜園まで進むのはいつになるのか。

 家に戻れば、女将が台所に立って朝食の準備をしている。後は、亭主が残っているアイコさんを使って、昨日のように卵焼きを作ってくれるのを待っていたらしい。中身が崩れない堅いトマトがこの卵焼きにはちょうど好いらしく、なんとかメインディッシュを仕上げる亭主。今日は草取りの続きがあったから、ひと眠りは出来ないのです。いつもの朝よりもなぜか忙しい感じなのでした。曇りだと言われたのに、外は青空が覗いて暑くなりそうな陽気なのでした。

 和室に着替えに行ったついでに、プルメリアの花の様子を見ればだいぶ咲き始めている。表に出せばと女将に言うけれど、直ぐに花が終わってしまうのが惜しいらしい。朝ドラの始まる時間に蕎麦屋に出掛けて、ゴミ袋が一杯になるまで草取りをする。今日は業者が一週間の店のゴミを回収に来る日なのです。9時前に月桂樹まであと少しというところで仕事を終わらせ、お袋様に電話をして仕入れに出掛けるのでした。お隣のご夫婦はとっくに仕事に出ていた。

 車に乗り込んだお袋様は、「予報では曇りだと言ったのに朝から晴れて暑いねぇ」と言って、この間、亭主が買ってやった首に巻くアイスノンを使っていると喜んでいた。元来、汗かきの彼女は、動くともう暑くなるらしいのです。とても今年米寿を迎える老人とは思えない元気さで、亭主も嬉しいのです。四回目の新型コロナのワクチンの接種申し込みも、電話を掛けて自分で済ませたと言っていたから、安心なのでした。亭主と女将も明日には申し込まないと。

 農産物直売所では、さすがに暑いと見えて、昨日入るはずの生椎茸は冷蔵庫に入っていた。大きなキュウリが安く出ているけれど、漬け物には持って来いの大きさなのです。夏の野菜もハウスで暖房を使わなくなって、随分と安くなっていた。隣町のスーパーに向かってまずは家の女将に果物の桃や巨峰を買い、用意したメモにある食材をすべて揃えたつもりが、書いていなかった冷凍うどんを買い忘れてしまった。冷やし中華の麺も違うメーカーのものを買った。

 家に帰って気づいたのですが、袋が同じような柄で年寄りには分かりづらい。マルちゃんの冷やし中華は、麺も汁も今ひとつ口に合わないのです。麺はコシのあり、汁もコクのあるシマダヤと決めているので、今日は女将に言い訳をして昼の冷やし中華を作る亭主。そうしたら女将も、牛乳を古い値引きの物を買ってしまったと言って、「年を取るとパッと見て識別できる能力が落ちるのね」と二人で笑うのでした。昼は冷やし中華と亭主の作った焼売を食べる。

7月6日 水曜日 やはり大気は不安定で …

 今朝も5時前にはもう起き出して、居間の椅子に座ったまま煙草をくわえて、ぼうっとしていたのです。夕べの予報どおり、霧雨が降っていたので蕎麦屋で草取りも出来ない。くわえた煙草には30分たっても火を点けることはない亭主。休みなのだから、もう一度、眠った方が好かったのかも知れないが、蕎麦屋に出掛けて、少しでも仕込みをしておかなければ、今日一日がまた忙しくなってしまうのです。車に乗って煙草を買いに出ながら、蕎麦屋へと向かう。

 確か昨日の朝は二箱も煙草を買って帰ったのに … 。雨は上がったけれど、西の空は真っ黒な雨雲なのでした。郵便受けから新聞を取り出して、昨日の市内のコロナ感染者の数を確認する。このところまた増えているから気になるのです。昨日使った鍋やフライパンを片付け、厨房の椅子に座って冷やしたほうじ茶を飲みながら、iPadで今日の天気や昨日書いたブログを見る。取りあえず蕎麦豆腐を仕込んでおかなければと、重い腰を上げて作業を始めるのでした。

 7時前になったので、火の元を確認して家に戻る。休みだからか女将もゆっくりで、ちょうど塩鮭をグリルに入れたところ。居間の椅子に座ってまた亭主はじっとしている。身体は今朝からの惰性で起きているのに、頭の中はお休み状態なのです。朝が早すぎて集中力が続かないのだろうか。朝食の食卓について、自分が買ってきた美味そうな塩鮭をおかずに飯を食べたら、お茶をもらって直ぐに書斎で横になる。ちょっと夢を見て微睡んだら頭はすっきりした。

 いつもの時間に今朝は車で家を出て蕎麦屋に向かう。まずはデザートの水羊羹を仕込んで、次ぎにいよいよ夏の野菜の揚げ浸しを作るのです。向かいの畑の親父様にもらったズッキーニが、あまりにも大きかったので、ナスやインゲン、パプリカ、シメジなどを入れていくうちに、随分と分量が増えてしまう。二回に分けて素揚げして、新しく汁も作って、揚げた野菜をどんどん鍋に入れていく。そのまま蓋をして冷蔵庫で冷やしておくのです。

 家に戻って、女将のスポーツクラブの予約を取る準備をしたら、四回目の新型コロナのワクチン接種の予約申し込みを電話で済ませる。以前よりもずっと繋がり易くなって、三回目の接種のちょうど五ヶ月後の夕方が上手く空いていた。11時過ぎに台所に入って、亭主は肉韮炒めとトマトとオクラとナメコの酢の物を作る。その間に女将が残った野菜で豚汁を作った。家にいても調理をする間は、妙に集中しているから不思議です。女将の席を取ったらひと休み。

 食後はまた一眠りで、午後は1時間ほどゆっくりと眠った。今日は涼しいからエアコンも入れていない。その間に、女将はスポーツクラブに出掛け、亭主は3時前に整形外科に向かう。今日は薬を一種類だけもらって、来月は血液検査をしますと言われた。帰り道、酒と昨日買い残した食材を買って一度家に戻る。お新香を漬けるにはまだ時間が早かったのです。4時になったら、三度、蕎麦屋に出掛け、天麩羅の具材を切り分け、お新香を漬けて家に帰る。

 沢山作った揚げ浸しを試食用に持って帰ったら、早速、夕食の食卓に並ぶ。タンパク質は先ほど買って帰ったトンカツ。キャベツは亭主が刻み、女将の作ったポテトサラダの脇に盛り付けられていました。今夜の亭主の仕事は、焼売を包むだけ。また雨が降りだして道路が濡れている。今日はほんの少しだけ陽も差して、青空も見えたけれど、曇り時々雨という天気なのでした。明日は曇りだと言うけれど、あまり当てにはならない。蕎麦をどれだけ打とうか。

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2022年6月末

6月26日 日曜日 まさかの2日連続お蕎麦完売 …

 久し振りの大賑わいで、蕎麦も蕎麦汁も小鉢もすべてなくなった日の翌日は、朝の4時に蕎麦屋に出掛け、夕べ準備しておいた出汁を取る。一番出汁に返しを加えて蕎麦汁を作り、何度も水を入れ替えて冷やしたら、蕎麦徳利に詰めていく。ここまでで約一時間。浅漬けを漬けるにはちょっと早すぎるから、今日の蕎麦の一回分を打っておこうと5時過ぎに蕎麦打ち室に入る。室温は28℃で湿度は78%だから、加水率はもう41%を切っていた。

 それでも室温が高いからか、捏ねて伸すうちに少しずつ柔らかくなってくる。打ち粉を沢山振って、なんとか8人分の蕎麦を仕上げて、後は朝食後にもう一回打てば好い。昨日も後からいらっしたお客に、売り切れだと断った反省から、今日は16食用意しておこうと考えたのです。昨日乾した洗濯物を畳んで、洗濯機の中の洗濯物をまた干しておく。これで6時になったから、朝飯前に2時間も働いたことになる。朝日を浴びた駐車場の紫陽花のブルーが見事。

 家に戻っても6時ではまだ女将は寝覚めのヨーガの時間帯。朝食までは時間があるので、エアコンの効いた書斎に入ってひと眠り。7時を過ぎてやっと目覚めて食堂に行けば、今朝のおかずのメインはウインナソーセージとハッシュドポテトにスクランブルエッグ。後から女将に聞いたのだけれど、日曜日は亭主が昼を食べ損ねることが多いので、油の多い食品を用意したのだとか。亭主は亭主でご飯を炊飯器から自分で多めに盛り付け、遅くなる昼食に備える。

 満腹になった食後は、また書斎で横になる。20分ほどウトウトしただけで、3時起きだった今朝の疲れを取るのです。洗面と着替えを済ませて、居間で珈琲を飲んで一服。今朝は8時半に家を出ました。もう日は高くなっているから、涼しい家々の影も少しだけ。日影のある道路の端を渡り歩くようにして、やっとみずき通りを越えるのでした。気温はもう28℃もあるはずだけれど、吹く風が涼しく感じるのは、少しずつ最近の暑さに身体が慣れたからだろうか。

 朝の仕事を終えて、蕎麦打ち室に入る前に、野菜を薄く切って、浅漬けを漬けておく。今日二回目の蕎麦打ちは、早朝の失敗を繰り返さない様に、加水率を40%ちょっとまで減らして蕎麦粉を捏ね始める。そして、蕎麦玉を作って寝かせている間に、葱切りを済ませて、大根をおろしてしまうのです。今日はお客が多いかも知れないからと、大根おろしも沢山作っておきました。ひと休みしている間に女将がやって来て、店の掃除を始めてくれるのです。

 二回目の蕎麦打ちも無事に終わり、やはりこの暑さだから一度に二回打つのはきついと感じた。室温はエアコンを入れていても27℃になっている。青空が広がる外はむーっとする暑さで、熱風が吹いていると感じる。27℃の店内がやけに涼しいのです。野菜サラダの具材を刻んで、昨日は一つしか出なかったので、三皿だけ盛り付けておきました。暖簾を出してお客を待てば、やっと昼過ぎに車が駐車場に入って、いきなり四人のお客様なのです。

 いきなりヘルシーランチセットが三つも出て、もう一人はせいろ蕎麦の大盛り。ランチセットの蕎麦の一つを温かい汁にしてくれとのご注文だから、汁を温めたりと手間がかかるのです。それからは次々とお客が入って、テーブル席もカウンターも2回転する混みようで、女将とも亭主も必死で仕事をこなす。小鉢も天麩羅の具材も今日は沢山用意しておいて好かった。最後に常連のご家族三人がカウンターに座って、これで今日の蕎麦はすべて売り切れなのです。

 1時過ぎには蕎麦がなくなったから、売り切れの看板を出すけれど、まだお客はやって来る。「三人なんですけれど…」「ご免なさい。お蕎麦がなくなってしまって」と平謝りでお断りする。1時間で15人のお客が来たことになるから、これも初めて。目の回るような忙しさだった。洗い物をする暇もなかったので、最後のご家族が帰ってから、女将と二人で黙々と洗い物と片付けをするのでした。帰り道の空は晴れて汗が噴き出る暑さ。

6月27日 月曜日 やはり梅雨は明けていた …

 久々の二日続けての満員御礼で、この週末は相当に疲れたのですが、混んだ日の翌日はする事が沢山あるので、今朝も朝飯前のひと仕事に出掛ける亭主。小鉢や蕎麦汁の詰替えをして、日中に自分で飲むお茶を沸かして冷蔵庫に入れておくのです。洗濯物も畳んで、洗濯機の中の洗濯物をまた干しておく。小一時間の仕事を終えて家に戻れば、ちょうど女将が台所で朝食の支度をしているのでした。冷蔵庫の中はほとんど空っぽだったのに、よく揃えてくれた。

 再び蕎麦屋に向かう頃には、もう陽もだいぶ高く昇って、じりじりと照りつける太陽は、真夏のそれなのです。各地で雷の注意報も出ているくらいだから、このまま梅雨は明けてしまうのだろうと、内心では思っていたけれど、まだ梅雨明け宣言は出ていないのでした。まだ6月だからと暑さを我慢して、今朝も蕎麦屋への道をゆっくりと歩いて行く亭主。誰にも人に会わないから、もうマスクは外しても好いはずなのに、手に持つのも面倒な程の暑さなのです。

 燕の雛が随分と育って、隣近所の巣のある軒下から、次々に飛び出してくる。そろそろ旅立ちの時なのかも知れない。身体も一回り大きくなっているのがよく判る。そんな燕たちの姿に元気を貰いながら、亭主も朝の仕事をこなすのです。早朝にエアコンを点けておいたから、蕎麦屋に入れば湿気もなく涼しいと感じる。朝日の当たる蕎麦打ち室も27℃、湿度も45%まで下がっていました。加水率も昨日よりも少なく、40%ちょっとで水回しを始めるのでした。

 さすがに40%だと生地はしっとりと硬く、伸して畳んで包丁を打っても、綺麗な仕上がりになるのでした。昨日と一昨日の混み様を脳裏に浮かべて、一抹の不安を抱えながら、750g八人分の蕎麦を仕上げて厨房に戻るのです。明日からは定休日だから、蕎麦が足りなくなればご免なさいと詫びるしかない。そう自分に言い聞かせながら、次の作業に入るのでした。大根と生姜をおろして、デザートには抹茶味の水羊羹を作っておきます。

 野菜サラダも平日の常で三皿だけ盛り付けておきます。外は熱風の吹く暑さで、店の中は冷房を22℃に設定しているけれど、27℃止まり。店の掃除をしてテーブルをアルコール除菌液で拭いた後は、換気のために窓を少しだけ開けておくから、直ぐに30℃近くまで上がってしまうのです。それでも湿度が低くなるので十分に涼しく感じる。開店の準備が整って、店の明かりを点ける。5分前には暖簾を出して、「営業中」の看板を掲げ、お客を待つのでした。

 外はあまりに暑すぎて、折角、綺麗に咲いた紫陽花が萎れてしまいそうだったから、如雨露に水を汲んで何回も水を遣る。亭主ひとりだから、駐車場に打ち水をしたくてもホースを伸ばしたり、給水栓を捻ったりと、時間がかかることはなかなか難しい。昼までは、『あまり暑すぎてお客が来ないか』と心配していたけれど、昼になったら二人連れの男性がいらっして、ヘルシーランチセットのご注文なのでした。蕎麦豆腐は一人分しかなかったので値引きする。

 まだ全品出し終えないうちに、カウンターにお一人の男性客が座って、天せいろに稚鮎の天麩羅を付け足してと頼まれる。「前のお客さんにお出ししてから作ります」と言ってお茶を出す。と、もう一台車が駐車場入って、何人いらっしたかと思ったら、ぞろぞろと職人風の若者が五人入って来て、カウンターとテーブルに別れて座るのでした。「お蕎麦が足りなくなるのですけれど」と言えば、カウンターのお二人はカレーうどん、テーブル席は鴨南蛮のご注文。

 とにかくお茶を出して注文を取ったら、次の作業に入るのです。やっと天せいろのお客に注文の品を出し、前のお客と合わせて蕎麦湯をお持ちする。カレーうどんと鴨南蛮は数があるから大変。それでもなんとかこなし、12時半過ぎにはすべて出し終える。鴨肉がちょっと焼き過ぎだったけれど、汁は朝に作ったばかり。この五人もすべて野菜サラダが付くのだけれど、お断りして100円引きで小鉢に替えてもらう。「うまかった」と言って帰ったたから好かった。

 「この暑いのに皆さん熱い食べ物ですね」と冷たい水を運びながら亭主が言えば、「暑い時には熱いものが好いんだよ」と若者が応える。すぐ近くの現場で働いていると言う。確かに、この近くから食事に行くにはどこも遠い。うどんが出たので、蕎麦が残ったと思ったら、入れ替わりで男性客一人がせいろ蕎麦の大盛り。これで今日の蕎麦は完売なのでした。小鉢がなくなったので、急遽、いんげんを茹でて生姜を添えてお出しする。梅雨明け宣言が出たと言う。

6月28日 火曜日 庭仕事は朝のうちに …

 午前6時前の太陽の光は、もうカァーッと熱気を放っている。前の畑で草を燃やす煙が辺りにたなびいて、白い靄のように見えるのです。夏場の農家は朝が早い。定休日の亭主も、蕎麦屋の周囲の雑草が気になって、早くから目覚めて心の準備をしていた。先週は久し振りに50人を越えるお客が来たから、身体は疲れているのです。店を開業した8年前とはやはり何処か違う。意を決して外に出れば、犬を連れて散歩する弟に出会う。白髪の老人になっていた。

 蕎麦屋を開業して何年かは、ミニ菜園にもいろいろな野菜を植えて賑やかだった。前に家が建ってからというもの、南側の庭に陽が当たらなくなって、コゴミやタラの木だけを残して、あまり野菜を作る気がなくなったのです。日陽の当たる東側の庭だけが、唯一野菜を植える場所になった。今年は絹さやを植えて収穫するまでにキュウリやナスを植える機会を逃してしまったから、そのままになっている。これも習慣で、やらないでいると雑草だけが伸びる。

 今日はゴミ回収の業者が蕎麦屋に来る日だからと、90㍑のビニール袋一杯に、雑草や木槿やタラの木の枝を詰めて庭仕事は終わり。厨房に入って昨日の後片付けを済ませ、洗濯物を畳んで洗濯機の中の洗濯物を干して、朝飯前のひと仕事を終えるのでした。7時前に家に戻れば、朝から暑い暑いと言いながら、女将が台所に立っているから、茄子とピーマンの肉炒めは亭主が替わって作るのでした。居間の大型エアコンが壊れたままなのはここに来て大きい。

 食後にエアコンの効いた書斎で横になっていたら、何時の間にか眠ってしまい、珍しく10分ほど遅れて目が覚める。お袋様に直ぐに行くからと電話をして、今朝の仕入れに出掛けるのです。農産物直売所に遅れて着いたら他のお客も何人かいて、ちょうど蕎麦屋の常連さんの農家のご夫婦も野菜を運んで来ていた。カボチャやラディッシュなど新鮮な野菜を買い、隣町のスーパーに向かうのでした。今日は黄色いパプリカとアーリーレッドが手に入らなかった。

 店に戻って野菜を冷蔵庫に収納したら、昼前に急いで床屋に出掛ける。ところが、この暑さだというのに店は混んでいて、奥さんも息子さんの店から応援に来ていた。マスターのOKサインが見えたので、冷房の入った店内に入ってしばらく待っていたのです。12時半に床屋を出て、家に居る女将に直ぐ帰ると電話をする亭主。昼はカレーの予定だったから、午前中に買って帰ったとんカツを切って、蕎麦屋の残り物のルーを温めれば出来上がりなのです。

 どうして忙しなかったかというと、午後からは年に一度の食品衛生協会の講習会があったのです。検便の提出と書類をもらって会場に入れば、駐車場が一杯だっただけに大勢の参加者が来ていた。約一時間の講習を聞いて、蕎麦屋の衛生管理にもほころびが出ているのに気が付いた。コロナ対策ばかりに気を遣って、最近はO157対策の次亜塩素酸消毒をしなくなったと気が付いたのです。トイレや玄関のドアの取っ手も以前はすべて綺麗に消毒していた。

 日影に停めておいた車の車外温度は40℃を越えていた。一旦、家に戻ってひと休みしたら、4時前には蕎麦屋に戻って今日の出汁を取る。やることは一杯あったけれど、厨房は33℃もあるからエアコンを入れても間に合わない。日首に巻くアイスノンを着けて、なんとか暑さを凌ぐのです。夜が暑くて眠れないというお袋様が、これを欲しがっていたから、総合薬局に行って買って届けてやる。そしてやっと家に戻れば、もう6時近かったのです。

 夜は何年か振りでざるラーメン餃子を食べる。市販のつけ麺では味が濃厚すぎて、ごまだれに酢が入るのが気に入らないから、昔、職場の近くで食べたざるラーメンの味を思い出した。毎日のように通って、店主から「店にある材料しか使っていない」というヒントをもらい、とうとう自分で作れるようになったのです。ラーメンのタレにすりごまと味噌を入れ、水で溶いて一度煮立てる。これを冷やして四川風辣油を垂らして食べるのです。餃子も手作り。

6月29日 水曜日 居間のエアコンが復活 …

 夕べは10時には床に就き、今朝も4時前には目が覚めて、今日は何をしようかと考えたのです。あまり早すぎると、お隣に面した東側のミニ菜園の草取りは迷惑だろう。先週までになくなったカレーを作り、昨日作って鍋に入れたままの蕎麦汁を、冷蔵庫から取り出して、蕎麦徳利に詰めればだいたい二時間近くかかるだろう。と、そこまで考えたら、カレーに入れる鶏肉を買っていないのに気が付いた。仕方がないから団地の中の24時間営業の店に出掛ける。

 朝が早すぎるから、車はほとんど通っていない中央通り。時折、散歩の老人が歩いているだけ。信号で右に折れてみずき通りへ進めば、そのまま道なりに左カーブ。坂を上って突き当たりが蕎麦屋の前のバス通りです。カレーの仕込みはもう頭に入っているから、具材を切り分けて、大蒜と生姜のみじん切りを油で炒めたら、具材を入れて煮ていくだけ。途中でミニ菜園にベイリーフを採りに出て、ルーを入れて煮込んでいくのでした。

 カレーが煮詰まるまでに、蕎麦汁の詰替を終えて、時間があるから、すっかりなくなった返しの仕込みをしておこうと、材料を用意する。足らなかった味醂は家から持って来て間に合わせるのです。すべて終わって7時前。「ただいま」と家に戻れば、30℃の暑さの中、台所で女将が朝食の支度をしている。「エアコンを買い換えたら」と言われて、もう一度、掃除をしてから電源を入れてみたのです。すると、何が好かったのか、冷房が動き出したから驚きです。

 居間と食堂と台所の広さをカバーするために、当時は最新の一番大きなエアコンを入れたのが平成22年だから、まだ壊れるはずはないのです。掃除や取り付け不具合のエラー表示もしっかり出ていたので、いつかやり直してみようと思っていたら、果たして28℃の設定で、居間も食堂も涼しいことと言ったら別世界のようなのです。28℃は女将と亭主には耐えられる暑さなのですが、これが昼になると32℃まで上がるから、二人ともそれぞれの部屋に避難していた。

 取扱説明書を読み直してみたら、今まで掃除をしたことのない第二のフィルターがあったのです。これを掃除機で綺麗にしたから上手くいったのかも知れない。値段の高い高級なエアコンなので、パネルに表示されるメツセージの点灯の意味を、もっとしっかり見直しておけば好かった。問題解決のすっきりした気分で蕎麦屋に出掛け、午前中の仕込みに精を出す亭主。急な梅雨明けで、暑すぎて蕎麦屋の紫陽花ももう枯れてきているのでした。

 早朝から店のエアコンを入れたままだったから、快適な室温で厨房に入って仕込みを始める亭主。まずは切り干し大根の煮物を作ろうと、具材を切り分けて準備をするのでした。女将のスポーツクラブの予約を取らなければならないので、使える時間は限られているのです。もう一つの小鉢には、夏野菜の揚げ浸しを作る予定だったから、具材を切り分ける前に揚げた具材を浸す汁を作って、これを冷蔵庫で冷やしておく。午前中の仕込みはこれでお終い。

 昼は一年ぶりに冷やし中華にしようと女将と話していたから、女将が具材を用意しておいてくれたので、亭主は麺を茹でて皿に盛り付けるだけで済んだ。頑張ってスポーツクラブの予約に臨めば、なんと今回も一番で取ったはずなのに、満席となって取れなかった。パソコンよりもスマホの方がカーソルを移動させるのに時間がかからないから、5Gのスマホに負けたと言う感じ。次からは、女将のスマホで予約をしてみようと言って謝るのでした。

 午後は携帯電話会社とカード会社に連絡をして、身に覚えのない請求の解明にひと苦労。結局は、カード会社の方で取引を停めてくれて、新しいカードとパスワードで再開出来そうなのでひと安心。嫌な世の中になったものだと、便利さに溺れていてはいけないと肝に銘じるのでした。午後の仕込みは午前中の続きで、揚げ浸しを作って、天麩羅の具材を切り分け、蕎麦豆腐とデザートの水羊羹を仕込んで、食材を頼んだ業者が来るのを待つのでした。

6月30日 木曜日 梅雨はとっくに終わって月末 …

 午前5時半、向かいの森陰から太陽が顔を出す。向かいの畑の親父様もこんなに早くから仕事をしている。平日でも混んだ先日の反省から、やはり暑くなったこの時期は、お蕎麦8食だけの準備ではお客様に申し訳ないので、二回蕎麦を打つことにしたのです。亭主一人の営業だから、どこまで対応できるかが心配だったけれど、蕎麦が直ぐになくなるかも知れないという不安を抱いて営業するよりは、精神的にも安定して店を開けられるというもの。

 27℃の厨房に入って、まずは珈琲を一杯飲んで今朝の段取りを考える。夕べ漬けた糠漬けを取り出さなくてはならないし、昨日作った切り干し大根の煮物と夏野菜の揚げ浸しも、小鉢に盛り付けなくてはいけない。ちょうど店の窓から朝日が差し込んで、あまりにも眩しいのでブラインドを下ろしてエアコンを入れる。後は、蕎麦の一回目を打てば朝飯前のひと仕事は終わるのです。洗い場の水道で顔を洗って眠気を覚まし、6時前には蕎麦打ち室に入るのです。

 畑に出ていた向かいの親父様が、何やら手に抱えて蕎麦屋の方に歩いてくるから、玄関を出て挨拶をすれば、「もうキュウリも終わりだから」と採り立てのキュウリとズッキーニを持って来てくれました。「朝早くから大変ですね」と言えば「昼は暑すぎて仕事にならないからね」と笑って言うのでした。何もお返しするものがなくって恐縮したけれど、ご厚意は有り難く頂戴しておく。ついこの間も堀ったばかりのジャガイモを頂いたばかりなのです。 

 エアコンが効いてきたのか、蕎麦打ち室は27℃、湿度45%。加水率は41%弱。それでも捏ねていくうちに、初めの硬さはなくなってしっとりとしてくる。今日は 600g 6人分を二回打とうと決めていたのです。135gでひと束を取っていくと、端切れが60gほど残るので、これを二回打てば120gの端切れが出来る計算。これは自分の昼の賄い蕎麦にする予定。蕎麦玉を寝かせている間に、今朝は洗濯物を畳み、昨日洗った少しばかりの洗濯物を干しておくのです。

 四つ出しを終えた蕎麦を伸していけば、やはり少し柔らかくなっている。幅60cm、奥行き90cmちょっとに伸びて閉まったが、八つに畳んでちょうど包丁の長さ以内に治まったから好かった。今朝は切りべらを25本にして、一人分135gの長めの蕎麦が仕上がる。厨房に戻って冷蔵庫の製氷室の氷をビニール袋に詰めて、茹でた蕎麦を冷やす氷を冷凍室にストックしておく。何か忘れたものはないかと確認して、エアコンは点けたままで玄関を出るのです。

 玄関前の紫陽花も日中の強い陽射しで、そろそろ花も枯れてきたのです。毎日、水を遣れば少しは長持ちするのだけれど、地植えの植物にあまり手を掛けるのもどうかと、このところそのままにしてある。日影の花房がブルーで美しい。今年もこれが見納めか。天麩羅に使っている紫陽花の絵の入った天紙も、そろそろ次の季節の朝顔の絵のものに替えなければいけない。最近は、この季節の天紙に気づくお客が、あまりいないのが少し寂しくもあるのです。

 7時前に家に戻れば、女将がもう台所に立って、朝食の用意をしてくれていた。先週、店で残った三ツ葉に、天麩羅の具材で残った生椎茸をスライスして卵綴じ。海苔と納豆が出て、シンプルな朝食でしたが、最近、亭主はこれで十分と感じているのです。食後は、エアコンの入った居間の椅子に座ってひと休み。今朝も食後のひと眠りをしなかった。これも習慣なのか。朝ドラの時間になったら、亭主は洗面と着替えを済ませて出掛ける準備をするのです。

 玄関前の紫陽花は、早い夏の訪れに、最後の輝きを放っていた。朝の仕事を終えたら、すぐに蕎麦打ち室に入り、今日二度目の蕎麦を打つ。蕎麦玉を寝かせている間に、薬味の葱を切り、大根と生姜をおろして、再び蕎麦打ち室へ。無事に600g 六人分を打ち終えて、今日は12食の蕎麦を用意できました。野菜サラダを三皿作り、暖簾を出してお客を待てば、昼前に二組ほどお客が入る。一人は若者、もう一組は常連のご夫婦で、今日の暑さを恨めしがっていました。

 昼からは、例の少年がやって来て、その後はリピーターのご夫婦がご来店。前に来たときの話を覚えていて、「この暑いのに蕎麦を打つのは大変でしょ」と言いながら、近隣には蕎麦を打ち過ぎて、ご主人が腱鞘炎になって閉店した店もあると言う。年を取ってから店を始めたから、頑張り過ぎるといけないと思ってますと応える亭主。今日はデザートの水羊羹が随分と出た。朝持たされた女将のスマホで、無事にスポーツクラブの予約も取れた。

 2時前に女将もやって来て、片付けを手伝ってくれたのでした。家に帰ってひと眠りしたら、週末の煙草を買いに出て、やっと先週の売り上げの残りを銀行に入れる。去年、一昨年よりも6月の売り上げは伸びて、コロナ禍前の状態に少しずつ近づいているのです。市の感染者が昨日は一挙に増えて、心配の種は尽きないのです。夕食に亭主はまたもやざるラーメン餃子。女将は定休日に店で仕込んだカレーの残りを温めてカレーライスを食べるのでした。

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2022年6月下旬

6月20日 月曜日 今までにない蒸し暑さで …

 今朝も6時になったら車で蕎麦屋に出掛けました。駐車場の紫陽花も、いよいよブルーの花が目立ってきた。昨日の片付けと今日の仕込みをしていたら、犬の散歩で蕎麦屋の前を通る近所の農家の親父様が、窓越しに手を振って挨拶をするから、厨房の亭主も手を振って応えた。今朝は昨日よりも幾分涼しいのでしたが、相変わらずの蒸し暑さで、薄い長袖のジャージを着ていったけれど、店の中ではもう脱いでしまう。室温27℃だから半袖半ズボン姿。

 予備の蕎麦汁を徳利に詰めて、10人分の蕎麦汁は確保できたけれど、小鉢は8人分だけ盛り付けておく。暑くなるとは言うけれど、蕎麦は打っても9人分だから、いい加減な用意なのです。珈琲を入れてやっと目が覚めてくる。やはり、週末の疲れは抜けていない。昨日も4,000円もした蕎麦徳利を割ってしまったし、今日は天ぷら粉の容器を落として、粉をばら撒いてしまった。女将も昨日、洗濯物を入れてスイッチを入れて、洗濯機の蓋を閉めずに帰った様子。

 7時過ぎに家に帰れば、台所で女将が何やら苦戦しているから、手伝いに行く。何十年振りかでハッシュドポテトを作ろうして、新しいカッターの使い方が解らなかったらしいのです。子供たちのいた昔は何人分も焼いて出したのにと悔しそう。亭主は食事の支度が出来るまで、居間の椅子に座って今日の段取りを考えている。右足の指は痛くはなくなったけれど、軟骨が潰れているから、まだ左足の1.5倍の太さ。いつになったら靴が履けるようになるのか。

 食後はひと眠りをせずに洗面と着替えを済ませ、女将の朝ドラの終わる時間には玄関を出る。玄関前の鉢植えには、彼女が昔、娘から母の日に贈ってもらったカーネーションが今年も花を咲かせていました。今日は帰りに持ち帰る荷物が多そうだったので、車で蕎麦屋に出掛け、駐車場の端に停めておく。平日の月曜日だから、お客はまずそれほど来ないのです。一度に沢山のお客が来ても、亭主一人では対応できないから、車は二台も停められれば十分。

 駐車場の紫陽花もだいぶ花が開いてきたらしく、遠目で見てもなかなかの眺め。朝の仕事を終えたら、早速、蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打つのでした。室温は27℃、湿度は67%だったのだけれど、昨日までの加水率で今日も蕎麦粉を捏ね始める。だいぶ気温が高いから、もしかしてお客の数が多いといけないと、蕎麦汁の数だけは蕎麦を用意しておこうと、850g9人分の蕎麦を打つことにしたのです。太陽がぼうっと雲の向こうに見える天気でした。 

 蕎麦を打ち終えたら、厨房に戻って野菜サラダの具材を刻む。今週最後の野菜サラダだからと、キャベツやニンジンを刻むのにも集中して、上手く出来たかと思ったけれど、今日はサラダは一つも出なかったのです。11時過ぎに車が一台入って来たけれど、開店の時刻を見たのか、また戻っていった。大釜のお湯は沸いていないし、ちょっと早すぎるのです。開店時刻の10分前には、暖簾を出したものの、昼前にはお客は来なかったのです。

 12時半になる頃に、隣町の常連さんがやって来て、この間食べた稚鮎とキスの天麩羅に辛味大根をご所望だったから、下ろしたての油で揚げてお出しする。続けてご夫婦でいらっしたお二人は、せいろ蕎麦の大盛りとぶっかけ蕎麦のご注文。1時を過ぎた頃に、もう一台車が現れたけれど、亭主の車があるから入れない。「車を停める場所は他にないのですか?」と言われたけれど、「ご免なさい」と断るばかり。常連さんが「いま僕が出ますから」と言ってくれた。

 前のお客を追い出す形で、いらっしたのは女性の二人連れ。天せいろを二つ頼まれて、一人は海老は他の物に替えて欲しいとおっしゃるから、稚鮎とキスをお出しする。他のお客も皆帰られて、残った二人は蕎麦が伸びてしまうほどゆっくりと、遅い昼を召し上がるのでした。亭主は洗い物をすべて片付けて、厨房の椅子に座って待つけれど、ラストオーダーの時間になってもまだ話は終わらない様子。お蔭で家に帰るのが3時過ぎになって女将が心配していた。

6月21日 火曜日 夏至の今日は疲れていても早朝から蕎麦屋に …

 夕べも10時前にはもう瞼が重くなって床に入ったから、今朝はまた4時過ぎには目が覚めてしまうのでした。ぐっすりと眠ったはずなのに、また一時間ほど床の中でウトウトしている。5時半になったらもう眠るのを諦めて、車を出して煙草を買いにコンビニに行くのです。そのまま蕎麦屋に出掛け、珈琲を入れて一服する。午前6時の太陽は森の向こうにぼうっと光っているだけで、まるで亭主の寝起きの状態のようなのでした。梅雨だからか青空は見えない。

 先週は40人近いお客が来たから、それなりに身体が疲れているのだろうと思う。特に土日で続けて混んだのが応えたのでしょう。回復するのに時間がかかるのは、やはり年齢なのかも知れない。女将も疲れているのだろうと思って、朝食の支度を手伝う亭主。ナスとピーマンの肉炒めや、昨日揚げて帰った掻き揚げをグリルで焼いて食卓に載せる。新玉葱と人参、三ツ葉のかき揚げが美味しいと珍しく女将が言うのでした。油もおろしたばかりだから尚更かも。

 今朝は時間的には随分長く眠ったので、食後のひと眠りもせずに洗面と着替えを済ませたのでしたが、お袋様を迎えに行くにはまだ時間が早すぎる。女将は洗濯物を干して次を洗うのに忙しい。仕方がないから、テレビで朝ドラの後の番組を見ていたら、梅雨時の冷凍保存の話をやっていた。我が家で冷凍保存をする食材は、亭主の作った餃子や焼売だけだから、あまり関係がなかったけれど、食パンをアルミホイルで包んで冷凍すると好いと初めて知った。

 車で蕎麦屋に出掛ければ、車外温度は朝から29℃になっていたから、店のエアコンを入れてお袋様を迎えに行くのでした。「暑くてよく眠れなかった」と言う彼女を乗せて、農産物直売所に行けば、今日はインゲンが沢山出ていた。真竹の筍も出ていたから、二本も買ってきた。トマトや椎茸、アスパラ、ナス、ピーマン、キャベツなど、新鮮なものを仕入れて、隣町のスーパーに向かう。今日はアーリーレッドだけが手に入らないまま店に戻るのです。

 仕入れた野菜をすべて冷蔵庫に収納したら、今日は11時半に女将のスポーツクラブの予約があるので、少し早かったけれど家に戻る亭主。女将は出掛けているから、家に買った食材を冷蔵庫にしまって、書斎のパソコンで仕入れの入力をしていた。昼は昨日残った野菜サラダを全部使って、お好み焼きにする事になっていたから、女将が帰って二人で昼食の準備をする。フライパンを十分に熱して油を馴染ませれば、今日は二つとも上手く出来たのです。

 スポーツクラブ予約を終えたら、いつものように横になって少し休もうと思ったけれど、エアコンを入れて部屋を涼しくしても、何故か今日は横になっても眠れないのでした。かといって、頭が冴えているわけでもなく、ぼうっとした状態で涼んでいたら、何時の間にか眠りに就いたのです。目覚めれば時計は2時を回っていた。歯医者に定期検診に行くと言っていた女将は、稽古場で条幅を書いていました。西の町のホームセンターに行くと言って玄関を出る。

 玄関脇の団扇サボテンの花が、びっしりと咲いて目を惹くのでした。植木鉢のカーネーションは、昨日よりも花の数が増えている。陽は出なくてもこの暑さだから、植物は一斉に花を咲かせているのです。久し振りに備品の仕入れに出掛けて、消毒液や台所洗剤、割り箸やラップやゴミ袋など、重たい荷物を担いで蕎麦屋まで帰る。午後の仕込みは、朝のうちに干し椎茸と昆布を浸けておいた5㍑の鍋を沸かし、まずは一番出汁を取って蕎麦汁を3㍑作るのです。

 残った一番出汁は瓶に詰めて、二番出汁をまた5㍑取るのです。水で冷やした蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めて、洗い物を終えたところで時計は4時半を回っていたのでした。後は明日と諦めて家に帰る。夕食は、質素にすべて蕎麦屋の残り物。鳥の手羽元を買って、店で残った大根と煮たのが、女将の工夫なのでした。これに厚揚げを焼いて半分ずつ食べただけなのに、風呂に入る前に体重計に乗ったらいつもより1㎏も体重が増えているから不思議なのでした。

 女将に「昨日の夜はざるラーメンと餃子を食べたでしょ」と言われて納得する亭主。風呂に入る前だったのに、寝るのが早かったからか、しっかりと身体に蓄積されていたのですね。酒も煙草も食べるのも、生活習慣だから癖になる。身体を動かせない今は、食べるのを我慢しなければ、体重も増えるのが当たり前なのでしょう。間食をする習慣はないから、なかなか食べないではいられないのが辛いところ。あまりくよくよしない方が好いのかも知れないな。

6月22日 水曜日 今日も蒸し暑い一日で … 

 夕べは10時半には床に就き、今朝は6時前まで眠っていた亭主。定休日の二日目は、いろいろ仕込みがあるけれど、朝飯前から蕎麦屋に出掛けなくてもいいと、朝食の時間までゆっくりとワールドニュースを見ていました。温暖化の影響なのか各地で水害が多発しているらしい。外は朝から霧が出て、今日は曇りの予報だけれど、もしかして晴れるのだろうかと、少しは期待するのです。朝食の用意が出来て、女将が食堂で呼んでいる。

 蒸し暑い日が続くから、亭主のためにモズクを買って来てくれたらしい。針生姜があればもっと好かったが、作ってもらっておきながらあまり贅沢も言えない。塩鯖も最近は骨を取ってあるのが売られるから食べやすいのです。今朝も食後のひと眠りをせずにいつもの時間に蕎麦屋に出掛ける。駐車場の紫陽花は今が盛りと綺麗な花をいっぱいに咲かせていました。まずはお客の車の妨げになるツツジの枝を切りそろえておく。これなら少し奥まで車を入れられる。

 90㍑のビニール袋に一杯の枝を詰めたら、西側のゴミ置き場に持って行くけれど、来週の火曜日までは業者は取りに来ないのです。厨房に入って、まずは蕎麦豆腐をしこんでおきます。次ぎに昨日買ってきた真竹のタケノコの皮を剥いて、キンピラを作る準備をするのです。1cm弱の輪切りにして、灰汁を取るために重曹を入れて茹でてみた。重曹を入れすぎたのか、直ぐに泡が溢れて大変。水で洗って半月状に切ったら、蒟蒻とニンジンを切って準備する。

 フライパンに胡麻油を引いて、唐辛子を輪切りにして色が変わるまで炒めたら、用意した具材を入れて火が通るまで炒める。次ぎに二番出汁を入れてタケノコに十分に火が通るまで茹でたら、出汁醤油と砂糖で味付けをするのです。最後に白胡麻を振りかけて完成です。真竹は茹でた孟宗竹のタケノコよりも硬いから、歯ごたえのある分、キンピラには向いているのかも知れません。牛蒡ほど硬くはないので、旬の料理としてはいいだろうと思うのです。

 ツツジの剪定をしたから、かなり時間が取られて、午前中の仕込みはこれで終わり。11時半に女将のスポーツクラブの予約があるから、昼食を作って食べ終わるためには家に戻らなければならないのでした。女将がうどんを茹でるために、大きな鍋に湯を沸かしてくれた。亭主は冷蔵庫の野菜籠から先週店で残ったキャベツを取り出して、20cmほどのキャベツの芯を取り除いて適当な大きさに切る。ニンジン、ピーマン、長葱をまずは油を引いたフライパンで炒める。

 蓋をして蒸すような感じで野菜が小さくなったら、肉を入れて炒め直す。茹でて水で洗ったうどんを入れ、フライパンにくっつかないように鍋を振りながら、しばらく炒めて出来上がり。青海苔と鰹節に紅ショウガを載せて食べるのでした。塩とコショウと少々の醤油で味付けを下のだけれど、炒めた野菜の甘みでとても美味しい。昨日の昼に食べたお好み焼きと、材料がすべて同じだねと言って女将と笑うのでした。店の残り物を消化するのも同じなのでした。

 外が随分明るくなってきたからと、二階へ通じる階段の踊り場の窓から幼稚園の畑を眺めれば、なんと久し振りに青空が覗いているのでした。食後のひと眠りと思ったけれど、最近は横になってもなかなか寝付けない。夜の睡眠が足りているからなのか、身体の疲れが取れてきたのか。クーラーの壊れている居間で、テレビを観ていても蒸し暑くて堪らないから、書斎に入ってエアコンを効かせる。今度は横になれば何時の間にか眠りに落ちている。

 女将は暑い中をスポーツクラブに歩いて出掛け、亭主は3時過ぎまで眠っていた。女将の帰る音で目が覚めて、夕刻に業者が荷物を届けに来るからと蕎麦屋に出掛ける。午後の仕込みは、小鉢の二つ目、切り干し大根の煮物を仕込んで、明日の天麩羅の具材を切り分けるのです。4時過ぎに業者の若者が天ぷら粉と海老を届けに来たから、珈琲を入れて代金を払う。7月からは、天ぷら粉も油も海老も値上げになると言う。宅急便の送料も上がるのだそうな。

6月23日 木曜日 平日なのにお蕎麦は売り切れで …

 今朝は5時半になったら家を出で車で蕎麦屋に向かうのでした。向かいの畑では、鳩の群れが耕したばかりの畑の中を餌を啄んでいる。蕎麦屋に入って厨房にい行けば、今朝の仕事が頭に浮かぶ。まずは夕べ漬けておいたお新香を取り出して、切り分けたら小鉢に盛る。そして、タケノコのキンピラと切り干し大根の煮物も盛っておくのです。ラップを掛けて冷蔵庫の中に入れたら、次の仕事を始める前に、お茶を飲んで一服する。

 デザートを作っておいた方が好いだろうと考えて、水羊羹か抹茶小豆かと悩んだけれど、煮た小豆を解凍してあったから、今日使ってしまった方が好い。小さな鍋に抹茶と粉寒天を入れて、水と氷糖蜜で溶いたら、火にかけて沸騰するまで待つのです。これを荒熱を取ってから耐熱ガラスの器に注いで、少し固まってくるのを待つのですが、早朝の時間では間に合わないと、急速冷凍室に入れて、表面が少し硬くなったら小豆を載せる。白餡も少し浮かべてみた。

 後から気づいたのだけれど、寒天だけでは硬くなり過ぎるから、いつもはタピオカ粉を同量入れていたのです。それでぷるぷるの食感が出るのですが、もう遅い。昨日の洗い物を片付け、洗濯物を畳んで7時前には家に戻るのです。女将が珍しく早くから台所に立って、今朝の食事の支度をしてくれていた。今日は先週に蕎麦屋で残った三ツ葉を使って卵綴じ。大根の残りは手羽元と煮込んである。試食用に持ち帰ったタケノコのキンピラも出してくれた。

 朝食を終えたら、いつものように書斎で横になってひと眠りの亭主。ぴったり朝ドラの終わる時間に目が覚めて、洗面と着替えを済ませたら、珈琲を一杯飲んで歩いて蕎麦屋に出掛けるのです。玄関前の紫陽花は、いよいよブルーに染まってきた。今日いらっした女性たちのお客も、しみじみと眺めて「変わった品種で綺麗ですね」と言っていた。「家の紫陽花は短く切ったら今年は葉花が咲かないのよ」とおっしゃるので、「花芽の上から切らないとその年は咲かないのですよ」と亭主が知った風な事を言う。

 朝の仕事を終えたら、直ぐに蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。室温は25℃、湿度は78%だったけれど、最近、成功している41%強の加水で蕎麦粉を捏ね始める。しっとりとした生地に仕上がって、心持ち柔らかい気もしたけれど誤差範囲。捏ねている最中に蕎麦粉が届いたから、カウンターの上に置いてもらうのでした。今は受け取りの印鑑が要らないから楽なのです。菊練りを終えて蕎麦玉を作ったら、ビニール袋で包んで寝かせておくのです。

 厨房に戻って、ひと休みしたいところだけれど、最近はこの間に大根と生姜をおろして、薬味の葱を刻んでおく。休憩をすると仕事の流れが一旦止まってしまうので、再び始めるまでに10分はかかってしまうのです。そして、蕎麦打ち室に戻って蕎麦玉を伸して畳んで包丁打ち。思ったよりも柔らかい生地だったから、打ち粉を振って無事に包丁打ちを終える。切りべら26本で135g強。生舟に八人分の蕎麦の束を並べて蕎麦打ちを終える。8人来ることはまずない。

 大釜の湯も早めに火を点けておいた。野菜サラダを刻んで盛り付けたらまだ11時前だったので、休憩をせずに店の掃除を始めて、テーブルをアルコールで拭いていく。窓は少しだけ開けてエアコンを入れて湿気を取るのでした。ちょうど11時10分になる頃に、駐車場に車が入って、女性二人のお客様。「やっているのですか?」と言われて「どうそ、すぐお湯も沸きますから座ってお待ち下さい。今お茶を入れますね」と、前回の失敗は繰り返さない亭主。

 今日は最初のお客が早かったから、間が空いてちょうど好かったのです。小母さんたちが多かったこともあって、ランチセットも直ぐになくなった。話が長くても、次のお客が来るまでに時間があったから、洗い物も終えることが出来たのです。最後のお客は三人連れの女性陣。ランチセットを頼もうとしたけれど「ご免なさい、今日はもう売りきれで」と言えば天せいろに変更。「あら、またお客よ」と言うから、窓の外を見れば歩いて男性客がやって来た。

 若いカップルが大盛りを頼まれたので、蕎麦はなくなって売り切れの看板を出しておいたのです。申し訳ないから「ご免なさい。蕎麦がなくなったのですよ」と玄関に出て言えば、「そうですか。それは大したものだ」と言って帰られた。1時半には女将のスポーツクラブの予約をしなければならないし、蕎麦湯を出し終えてちょうど2分前。一番好い席が取れてホッとする亭主。じきに女将がやって来て、片付け物を手伝ってくれるのでした。

6月24日 金曜日 南風の強いとても暑い日でした …

 今までになく暑い朝でした。朝食を終えて今朝は珈琲を女将が入れてくれたので、一服して蕎麦屋に出掛けようと玄関を出る。暖かい朝だからか、団扇サボテンも満開で目の覚めるような輝きです。母の日のカーネーションも、見違えるほどに花を開いているのでした。「いつもの年より元気が好いのよ」とウッドデッキに洗濯物を干しに出た女将が嬉しそうに言う。「行って来ま~す」「はい、行ってらっしゃい」梅雨の中休みなのか、暑さはもう真夏のようだ。

 右足を庇(かば)うようにゆっくりと歩いて、みずき通りを渡れば、久し振りに広がる青空が心地よいのです。暑さに慣れていないだけで、夏本番はまだまだこれからと、坂道を登ってバス通りに出る。わずか 300m の距離を何分かかって歩いているのだろうか。8時半だというのに、強い陽射しがまともに当たるものだから、途中で立ち止まって向かいの畑を眺める。角を曲がって8軒目がもう蕎麦屋なのに、やけに遠く感じるのです。

 やっと愛しの蕎麦屋に着いてみれば、駐車場の木々が亭主を迎えてくれる。小さかった紫陽花も、今年は剪定が上手くいったのか、随分と背丈が伸びて、美央柳が咲いているうちに満開になってきている。ヤマボウシやモミジの新芽も美しいのです。幟を出してチェーンポールを降ろし、看板を出して準備中の案内を掲げておく。店の中を少しでも涼しくしておこうと、窓は閉めたままエアコンを入れて、蕎麦打ち室の扉を開けておく。

 朝の冷気がまだ残っているのか、厨房は25℃とまだ耐えられる暑さ。昨日はお新香が全部出たから、夕べのうちに漬けに来た糠床を取り出して、お新香を切り分けて小鉢に盛り付ける。塩も付けずに付けたのに塩味が強いのは、糠床がかなり塩辛くなっている証拠。野菜の水が出てかなり柔らかくなっていたので、煎り糠を足して塩味を薄め、味噌の硬さにまで戻しておくのです。毎日塩を付けて野菜を漬けたら、塩味が濃くなるのが道理。気をつけなければ。

 次ぎに水羊羹を仕込んでおかないと、開店までに冷やして固められない。寒天を水と氷糖蜜で溶き、黒餡を入れて火にかけたら、荒熱を取ってから豊缶に流し込むのですが、これが少し固まらないと冷蔵庫まで運べないのです。その間に蕎麦打ちを済ませてしまおうと、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。昨日は蕎麦が売りきれになって、最後にいらっした男性を帰してしまった反省から、今日は 850g 9人分を打つことに決めていました。

 昨日は少し柔らかめだったので、今日は41%の加水で挑むのでした。水が少ないのと蕎麦粉の量が多いのとで、かなり力の要る作業になりました。やっと捏ね上げて菊練りまでこぎ着け、蕎麦玉を作ったら、寝かせている間に厨房に戻って葱切りと大根おろしを済ませてしまう。四つ出しもいつもより大きくなるから、なかなか伸すのも大変。1kgなら巻き棒に巻いて伸すのだけれど、850g なら伸し棒一本で何とか伸せる。八つに畳んで9人分の蕎麦が取れた。

 厨房に戻って野菜サラダの具材を刻むのですが、大釜は早めに火を点けておく。お客が開店時刻よりも早くいらっしても、対応できるようにと、これも先日の反省を踏まえたもの。5分前には暖簾を出したけれど、今日は1時間経ってもお客は来なかった。暑すぎる日もお客が来ないと、女将が以前に言っていたのを思い出す。12時半を過ぎた頃に、若い三人連れがいらっして、ヘルシーランチセットととろろ蕎麦の大盛り二つとハラミの串焼きのご注文でした。

 天麩羅を揚げないので世話はないのでしたが、蕎麦は四束は一辺に茹でられないので、ランチセットのサラダと蕎麦豆腐を出して、とろろを擦って先にとろろ蕎麦の大盛り二つを出す。会計をした男性が、近くなのでまた来ますと言って帰られた。三人だと、盆や蕎麦皿、蕎麦猪口、薬味皿、小鉢など洗い物が多いので洗い物と片付けに時間がかかるのです。やっと洗い物が終わった頃に、駐車場に車が入って、また三人連れの今度は年配のお客がいらっしゃった。

6月25日 土曜日 暑すぎる一日、お蕎麦は完売で…

 昨日は昼の暑さに参ったのか、夜も9時半にはもう眠くて堪らなかった。何か食べてから寝たかったけれど、眠気の方が勝って横になったら直ぐに眠りに就いたのです。夜中に一度目が覚めたけれどやはり眠いから、時計を見ただけでまた寝るのでした。朝はトンカツを食べる夢を見て6時半に目が覚める。女将が朝食のおかずを作る間に、自分で炊飯器からご飯を多めに盛って、食べ始めるのでした。食堂と居間の窓を明け放ち、吹き抜ける風は心地よい。

 梅雨だというのに、二日間、青空が続くのも珍しい。8時前に家を出れば、まだ家々の影が長くて、日陰を通ってみずき通りまでは歩いて行けた。風もあるからまだそれほど暑くはないのです。ところが、みずき通りを右に折れてバス通りに出ると、東側は森と畑だけなので、朝日を遮るものがない。ジリジリと照りつける陽射しが真夏のそれのようで、暑すぎるのか、いつもは畑に群れている鳥たちも、もうとっくに木陰に避難しているのでした。

 朝の仕事を終えたら、昨日の洗い物を片付けて、窓を閉めたままで店のエアコンを入れておく。ちらっと新聞で県内のコロナ感染者の数をみれば、佐倉市はまた増えている。こんな田舎のどこで感染するのだろうかと、いつも思うのです。亭主は朝ドラの時間帯に蕎麦屋に歩いて来たからか、誰にも会わずにマスクもせずに済んだ。考えたら今日は休日だから、車の通りも少ないのです。蕎麦打ち室に入れば、室温30℃と昨夜の温もりが籠もったまま。

 今朝はかなり暑くなるからと、600g 6人分の蕎麦を二回打って、昨日の残りと合わせて14食を用意しようと決めていました。800g と500g でも好いのだけれど、同じ分量を二回打った方が打ち易いのです。女将は、給料日の後だから混むかも知れないと言っていたけれど、暑すぎて来ないと言うのも女将の言葉だから、今日はどちらに転ぶのか。14人はコロナ禍以後は滅多にないから、小鉢も蕎麦汁も15人分だけしか用意していないのでした。

 加水率は41%強、一回目はそれでも捏ね上げた蕎麦粉は、伸していくうちに柔らかくなって、畳んで包丁打ちの時に切りづらかったのです。二回目は多めに打ち粉を振って、何とか6人分の蕎麦を仕上げる。二回の端切れを合わせて120g。亭主の昼飯の賄い蕎麦は確保できたのです。端切れの蕎麦は、多少太くなるけれど、太いとは言っても打ち立ての蕎麦だから、コシがあってなかなかの味わい。いつ食べられるか分からないが、それを楽しみにして厨房に戻る。

 まずは大根をおろして、薬味の葱を刻みます。デザートは昨日作った水羊羹があるから大丈夫。そして、小鍋に湯を沸かして塩を入れ、ブロッコリとアスパラを茹でる。大きさや太さによって違いはあるけれど、大体、3分間が目安。その間にレタスを切って水で洗うのです。週末は四皿と決めているから、野菜を刻んで四皿分のサラダを盛り付けた頃に、女将が早いお昼を済ませて帰って来る。いよいよ開店の準備に入るのです。

 厨房は珍しく早い時間から30℃を越えていたので、女将に言われて亭主は首にアイスノンのネックレスを巻いている。家から蕎麦屋に来るまで、女将は頭まで汗をかいてしまったというのです。昼前に二組のお客が入って、好い出だしだと思っていたら、今日はテーブル席は三回転。駐車場も次々と車が入れ替わる。4人連れのご家族が二組もいらっして、女将もかなり消耗したらしく、時折、亭主が檄を飛ばすのでした。蕎麦が残り二つになったところで看板。

 1時半を過ぎてもお客は止まらないから、お一人のお客だけを二組入れて、後のお客は売れきれなのですとお断りしました。2時過ぎにやっと最後のお客が帰られて、空腹の亭主はぶっかけで賄い蕎麦を食べる。その間に女将が盆や皿をとりまとめて、洗いやすいように並べてくれた。二人で洗い物をして片付けても、今日は3時過ぎまでかかったのです。コロナ禍以前に戻ったような一日でした。まだ土曜日だから、晴れると言う明日が怖い。

 カレーうどんのお客がいたので、今日は15人のご来店でした。漬け物のきゅうりや蕪が足りなくなるので、亭主は家に帰って直ぐに買いに出る。ひと眠りした後で、夕食を食べてまた、蕎麦屋に出掛けて乾してあった盆や蕎麦皿を片付け、全部なくなった蕎麦汁を詰め替えて、明日の分の小鉢を盛り付けておく。お新香を漬けておこうと思ったら、買ってきた野菜を家の冷蔵庫に忘れて来たのです。買い物に出た女将が帰って、他の店もお客が一杯だったと言う。

 

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2022年6月中旬

6月13日 月曜日 平日なのにお蕎麦売り切れで …

 昨夜は遅くまでYouTubeで昔懐かしい曲を聴いていました。風呂上がりにギターを弾いたら、指は少し動くようになったのに、お気に入りの P.P.M.バージョンの「Don’t Think Twice」の歌詞があやふやだったから、聞き直してみようと思ったのです。書斎の本棚を捜せば楽譜はあるはずだけれど、当時の映像と共に本人達が歌う姿も見たくて、つい夜更かしをしてしまいました。今朝は一度4時半には目が覚めたけれど、昨日と同じで7時までもうひと眠りです。

 朝食を終えて洗面と着替えを済ませたら、今朝は朝ドラの始まる前に蕎麦屋に出掛ける亭主。気温は上がると言うけれど朝はまだ涼しくて、半袖のポロシャツの上にベストを着て蕎麦屋に向かうのです。途中、紫陽花の綺麗に咲いているお宅が三軒並んでいたから、青空と共に写真に撮っておく。きっと湿度が低いからなのですが、陽射しは暑いのに風はまるで高原の朝を思わせる。蕎麦屋の駐車場に咲き始めた紫陽花の花を見て、これからが楽しみなのでした。

 この花は、本来、とても美しいブルーなのです。段々と色が変わってくるのか、憂鬱な梅雨時の希望のような存在で、毎年、目を楽しませてくれます。その奥にあるモミジは去年大胆に剪定をしたのですが、新しい枝が伸びてその先端は薄赤く初々しい。今朝の青空に映えて何故か心が軽くなるのでした。朝の仕事を終えたら、大釜に水を汲みながら、昨日の洗い物を片付けて、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打ち始めます。室温は22℃、湿度は47%でした。

 すると、思い出したように、こんな日は湿気を取ろうと、奥の二部屋の座敷も、廊下や洗面所、風呂場の窓も全開にして、蕎麦打ち室に戻ったのです。このところやっと摑みかけてきた加水率を、今朝は41%強にして、捏ねた生地は少し硬いくらいの仕上がりなのでした。蕎麦玉を寝かせている間に、厨房に戻って大根をおろす。ひと休みして、蕎麦打ち室に帰ったら、伸して畳んで八つに折り畳んだ生地を、今日はちょっと厚めだから切りべら25本で140g。

 昨日の残りと合わせて、9人分の蕎麦の束を生舟に並べるのでした。晴れているとは言え、まさか平日の月曜日に、これがすべて売り切れてしまうと思わなかったのです。野菜サラダの具材を刻み、いつもの通り平日だから三皿に盛り付けておいたら、開店と同時にいらっした女性三人連れのお客が、ヘルシーランチセットをご注文で、あっという間に売り切れてしまう。聞けば、山武市から車で、一時間以上も掛けてラベンダー祭りを見に来たのだとか。

 ゆっくりとデザートまで召し上がって、今日はこれでお終いかなと、亭主は作ったばかりの野菜サラダが全部売れたのを喜んでいたのです。その後、1時間以上もお客が来なかったから、その間に解凍した豚のハラミを、串に刺してタッパに入れておく。今日出なければ、家に持ち帰って夜の酒の肴にするつもりなのでした。外は晴れて風は涼しく、出掛けるには絶好の陽気です。1時を大分過ぎた頃にやっと若いカップルがご来店で、天せいろのご注文なのです。

 ところが、盆と皿をセットして、天麩羅を揚げる準備をしていたら、すぐに続いて自転車に乗ったご夫婦がご来店で、またもや天せいろを頼まれる。ビールの注文もあったから、とにかくお茶と箸とおしぼりをお出しして、ビールと小鉢を出して「前の方の調理を先に済ませてしまいますから」と断って厨房に戻る。お客が続いても天麩羅は一度に二人分しか揚げないことにしているのです。お待たせしたお詫びにと、奥様に残っていたマスカット大福をサービス。

 こんな時には続くもので、ラストオーダーの時間も過ぎているというのに、散歩の途中らしい女性二人が窓の外で立ち尽くしているのでした。もう食材も尽きたからと、お蕎麦売り切れの看板を出して、亭主の食べる分の天麩羅を揚げていたのです。玄関を出た亭主は、「せいろ蕎麦」しか出来ませんけれどと、店の中に入って頂いたら、テーブル席で蕎麦を食べていた前のお客が「人が好いわね」と笑っている。亭主の食べる分を入れて今日の蕎麦は完売。

 散歩に来たのは好いけれど、この辺りでは食べる店屋が他にないのです。せいろ蕎麦だけでは申し訳ないと、自分が食べるために残った野菜や海老を、天麩羅にしておいたのを出して上げました。小鉢も切り干し大根の煮物を新しく盛り付けて、これも最後だから大盛り。残っていた大根おろしもすべて大盛りでお出しする。これには随分と喜んで「片付けを手伝いますよ」などと言って召し上がって行かれたのです。2時半になってやっと洗い物を開始。3時半に女将が心配して来てくれて、無事に片付けを終了するのでした。

6月14日 火曜日 今朝は早朝から頑張って …

 夕べは風呂から上がってギターを弾いて、テレビを観ながら油揚げと葱を入れた暖かいうどんを食べたら、急に眠くなったのです。店が混んだから昼食を食べられなくて、家に帰った午後の4時に餅を焼いてもらったのだけれど、夜になったらもうお腹が空くのは道理。10時前には床に入って自然と眠ったから、やはり疲れていた。それでも生活の習慣とは恐ろしいもので、今朝は4時にはもう目が覚めていた。珈琲を入れて目を覚ましたら、蕎麦屋へ出掛ける。

 定休日なのだから、何も慌てることはなく、起きているならば出来ることをしようという考え。ひんやりとした朝の5時では、どんよりとした空の下に広がる隣のお花畑の花もまだ開いていない。駐車場の紫陽花とビオウヤナギだけが彩りを放っていました。厨房に入って、昨日の洗い物をカウンターに乾したのを片付け、午後の出汁取りの準備をしたら、洗面所に行って洗濯機の中にある洗濯物を干すのです。重曹に浸けてあった天麩羅鍋を洗ってお終いです。

 それでもまだ6時前だったから、家に帰るには早すぎると、グリストラップの蓋の上に積み重ねたモミジの枝を袋に詰める。今日はゴミの回収業者が来る日なのです。一般の家庭とは違って飲食店の生ゴミ等は、有料で回収業者に依頼しなければならない決まりだから、霊犀亭では毎月100kgまでを定額で引き取ってもらっている。蕎麦屋の西側の小径を眺めたら、木槿やタラの木の枝が道路や前のお宅に伸び広がっている。これも近々剪定しなければならない。

 家に戻ってもまだ6時半だったから、書斎に入って少しだけ横になる。女将が朝食が出来たと起こしに来るまで、ぐっすりと眠ったのです。今朝は一汁四菜で、メインのおかずは昨日の蕎麦屋で残った野菜に肉を入れて、茄子とピーマンの味噌肉野菜炒め。女将は炒め物に水溶き片栗粉を入れるという中華の手法を知らないから、いつも平坦な味になる。持って帰って来た蕎麦屋の出汁を使った味噌汁も、味が薄過ぎて残してしまう。でも、何も文句は言わない。

 お袋様に電話をして迎えに行き、今日の仕入れに出掛けます。農産物直売所で旬の野菜を買い集めて、隣町のスーパーに行けば、今日は心なしか混んでいるのでした。印刷しておいた40種類の買い物リストを見ながら、レタスと小葱がまだ出ていないのを確認する。今日は先週の店で残ったキャベツを消化しようと、餃子を作ることにしていたので、家の食材も沢山買っておきます。買い物を店で収納したら、家に帰って、早速、餃子作りを始める亭主。

 大蒜と生姜を刻んだら、ニラとキャベツも刻んで、挽肉を入れて片栗粉に胡麻油、酒、醤油を加え、よく捏ねて皮で包み終えたら、昼のあんかけ焼きそばを作ります。その間、わずか40分。餃子を焼くのは女将に任せて、亭主はまずは麺を炒めて皿に取ったら、肉と具材を炒めたて水を入れてよく煮るのです。十分に野菜の味が出たところで、塩とコショウと砂糖を加え、片栗粉を入れてとろみを付ける。これが、霊犀亭流のあんかけ焼きそば。涼しい今日にはぴったりの昼食なのでした。包みたての餃子が付いたのが嬉しい。

 食べ終えた午後はゆっくりと昼寝。女将は稽古場で今月の書を書いている。1時間ほど眠っただろうか、珈琲を一杯飲んで蕎麦屋に出掛け、午後の仕込みにかかるのです。先週は最後に蕎麦汁が足りなくて困ったから、今日は5㍑の鍋で一番出汁を取って、二番出汁も沢山作っておきました。蕎麦汁を冷やして蕎麦徳利に詰めたら、もう4時半になっていました。蕎麦屋を出ようとしたら、犬の散歩の常連客の小母さんが、「今日は寒くなったね」と挨拶をする。

 お隣の若い奥さんが買い物から帰ったらしく、「こんにちは」と挨拶を交わす。ノースリーブのシャツを着ていたから、若い人は違うのだと感じるのでした。買い残した野菜を手に入れようと、近くのスーパーに出掛ければ、活きの好い鰯が出ていたから、買って帰って夕食は梅雨鰯の塩焼き。さすがに半袖では涼しすぎるのです。夜は、焼酎を飲みながらブログを書き終え、これから風呂に入ってギターを爪弾く予定。明日は雨だと言うから困った。

6月15日 水曜日 確か今日は県民の日では …

 夕べは夜食も食べずに、10時前にはもう眠くなって床に就く。最近の習慣で、4時過ぎには目が覚めるから、休みだからとまた寝てしまうのも能がないと思って、珈琲を入れてゆっくりと身体を目覚めさせるのです。5時のニュースを見て、今日一日の仕事を頭に思い描きながら、窓の外の雨を眺めている亭主。6時前に車で家を出て蕎麦屋に着いたら、新聞受けから新聞を取り出して、昨日の市内の感染者数を確認する。だいぶ減ってきているから嬉しいのです。

 厨房に入って、すっかりなくなってきた返しの仕込みを始める。味醂とワインビネガーを計量カップに計り、まず鍋で沸騰させる。次ぎに50%減塩の醤油と50%減塩の再仕込み醤油を鍋に注いで、氷糖蜜は最後に入れ、仕上げに塩を少々。それぞれの分量は頭に入っているけれど、念のために昔作ったレシピ表を出して確認するのです。これを間違えると、蕎麦汁の味がとんでもないことになる。これまでに間違えたことはないけれど、緊張する時間帯です。

 大きな鍋の返しは決して沸かさない。甕に入れるのに冷ましている間に、隣の火口で切り干し大根の煮込みを作る。砂糖を少し多めにした方が、お客様には喜ばれるようです。7時前になったので、家に戻って朝食の支度を手伝う。学生時代に、安いからとよく食べたモヤシとニラの炒め物は亭主が担当する。モヤシは丸ごと一袋、ニラは昨日の餃子に使った残りで、よく炒めるとほんの少しになるのです。昨日の梅雨鰯が焼かれて、お新香と今日は一汁二菜。

 今日は食後に亭主が眠らないようだからと、女将がお茶を入れてくれました。前にも一度見て、確かハッピーエンドだったからと、ケビン・コスナー主演のテレビ映画を最後まで観て、やっと書斎に入る亭主。9時過ぎになって少し寒いからと布団に入れば、朝が早かったからそのまま1時間ほど眠ってしまう。これが定休日の醍醐味と言えるかな。やっと起き出して蕎麦屋に出掛け、朝の片付けをしたら、隣町のスーパーまで行って昼の材料を買って帰るのです。

 揚げたばかりのトンカツを一つ買って、トマトピューレを手に入れる。昼はスパゲッティーにしようと女将に朝のうちに話したら、「何でも好いわよ」と言われたから、亭主の好きなベロネーズを作ろうと思ったのです。これも学生時代 JRの駅下の食堂で、週に何度も食べていたもの。カウンターに座ってシェフが中華鍋を振っている姿を、いつも眺めていたものです。本格ボロネーゼのソースにトマトピューレを加えて温め、切ったカツの上に掛けて出来上がり。

 最近はスパゲッティーをひと束100gは食べられないから、150gにして女将と二人で食べるのでした。そして、食後に珈琲を入れてもらう。11時半になって、女将のスポーツクラブの予約を無事に済ませたら、今日の午前中の仕事は終了なのです。昼食を終えていつもならひと眠りの亭主も、午前中に昼寝をしたのでさすがに眠れないのです。昨日の餃子作りで残っている挽肉を使って、今日は焼売を包む。卵を一つ分入れたのでちょっと緩くなったしまったなあ。

 2時半になったので、蕎麦屋に出掛け、まずは西側の小径に面した木槿とタラの木の剪定を始めました。90㍑のビニール袋を片手に持って、小径にはみ出している部分を切り取っていくのです。木槿の木はもう花のつぼみが付いていたけど、背に腹は替えられない。径の端に所々生えた雑草は、雨が乾いた日にまた刈れば好い。全部は一度に出来ないから、ビニール袋が一杯になったところでお終いにします。毎日少しずつやることの方が大事なのです。

 店に入って厨房で手を好く洗ったら、天麩羅の具材の切り分けを始めます。カボチャはレンジでチーンして、インゲン、生椎茸、ピーマンとナスを切り分けて、容器に詰めて冷蔵庫に入れたら、スライスして水に浸した玉葱と三つ葉を切って容器に詰める。そろそろ4時になるから、お新香を糠床に漬けて冷蔵庫へ。そして最後に蕎麦豆腐を仕込んで午後の仕事はすべて完了。家に戻れば、女将が作ったポテトサラダの酸っぱい香りが、ぷーんと漂っていました。

6月16日 木曜日 天気予報も当てにならない …

 今朝も4時半には目が覚めて、5時になったら蕎麦屋に出掛ける亭主。糠床からお新香を取り出して、切れ分けたら小鉢に盛り付ける。これだけではものの10分で終わってしまうから、ほうじ茶を入れながら後は何をしようかと考えるのです。蕎麦を打つにはちょっと力が出ないし、デザートをあまり早く作っては、美味しくなくなりそうで怖かった。幸いに雨が止んでいたから、店の西側の小径の草取りをすることに。火曜日の写真よりも綺麗になったでしょ。

 親指を庇いながら屈んで草をむしる動作は、やはり足に負担がかかるから、また筋肉痛になりやしないかとハラハラする。最近は日中の店と家との往復以外にほとんど歩かなくなったので、脚力も相当に落ちていると感じる。夜のパトロールに復帰するにも、まずは靴を履けるようになったら、十分にリハビリをしないといけない。家に戻ってもまだ6時過ぎだから、朝食までひと眠りするのです。7時を過ぎたら食堂に行って、女将の用意してくれた朝食を食う。

 朝ドラの始まる時間まで電気を消した居間でゆっくりして、洗面と着替えを済ませるのです。女将はその間、和室で新聞を読んでいる。そして、女将の朝ドラが終わったら「行って来ま~す」と再び蕎麦屋に向かう亭主。蕎麦屋の前の畑には、今朝は鳩が随分と沢山群れていた。写真を撮ってやろうと少し近づくと、一斉に飛び立ってしまう。草を刈ったばかりの休耕地には、食べる物が沢山あるのだろうか。蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら蕎麦打ち室へ。

 室温は20℃、湿度は70%だったけれど、最近のペースで加水率は42%弱にして、蕎麦粉を捏ね始めた。それでも少し硬いかと思ったけれど、捏ねていくうちに生地が馴染んできたのです。菊練りを終えて蕎麦玉にしたら、ビニール袋に入れてしばらく寝かせておきます。その間に厨房に戻って、薬味の葱を切り、大根をおろして、次の作業の準備をしておく。今日は白餡がまだあるから、シャインマスカットを包んで、マスカット大福を作る予定です。

 ふた房入って2,000円だから、ちょっと勿体ないようだけれど、ひと房は果物好きの女将にプレゼントして、もうひと房で五日分の大福を包めば、大福一つにつき50円。白餡と白玉粉と片栗の分の費用を入れても、マスカット大福一つの原価は100円ちょっとなのではないでしょうか。個人営業の店では、原価率が4割5割はざらだと言う話を聞いたことがあります。隠居仕事の亭主の店では、手間賃がそのまま働く楽しみになっているという勘定なのです。

 大福を包む準備を終えたら、また蕎麦打ち室に戻って、今日の蕎麦を打つ。しっとりとした生地だったから、伸して畳んで八つに折って、切りべら26本で135gの蕎麦を八束、生舟に並べるのでした。夕べの天気予報では日中は陽が出ると言っていたけれど、朝から曇り空で、気温は思った以上に低いのです。それほど多くのお客が来るとは思えないから、丁寧に打った蕎麦を食べて頂ければそれで好い。そんな思いで厨房に戻るのでした。

 無事にマスカット大福を包み終え、野菜サラダの具材を刻んだら平日だから三皿に盛り付けておきます。店の掃除を終えたら、沸いた大釜の湯をポットに詰め、新しい油を天麩羅鍋に注ぎ足して、天つゆを温めて開店の準備が整うのでした。10分前には暖簾を出してお客を待てば、程なくご夫婦でのお客がいらっしゃる。とろろ蕎麦とカレーうどんのご注文で、カレーの汁を作り、とろろ芋をおろして、蕎麦とうどんを茹でるのでした。

 続けて昼前に家のご近所のご主人がいらっして、天せいろのご注文。最近はお一人でよくみえるから、奥様はどこかにお出かけなのか。「とても美味しかったです。天麩羅がボリュームありますね」と言いながら、デザートのマスカット大福をお持ち帰りになる。テーブル席のご夫婦は、奥様がカレーうどんがとても美味しかったと喜んで頂けた。ご主人は、とろろ蕎麦はとろろの器に汁を入れるのか、蕎麦猪口にとろろを入れるのかと亭主に尋ねる。

 蕎麦猪口に蕎麦汁ととろろを少しずつ入れて食べるのが普通でしょうけれど、蕎麦汁をとろろの器に入れて食べるお客もいるので、器を大きな物にしてありますと応える亭主。食べ方に決まりはないから、どちらにでも対応できるようにと考えたのです。その後も、一人のお客が続いて、せいろ蕎麦にキスやメゴチや稚鮎の天麩羅を頼まれて、すぐに蕎麦と一緒に揚げてお出しする。
 隣町の常連さんが最後にいらっして、お勧めの天麩羅はと言うので、辛味大根をおろし、旬の稚鮎とキスとインゲンの天麩羅に辛味大根をおろしてせいろ蕎麦をお出しする。女将のスポーツクラブが予約は1時半だからと、朝スマホを渡されたけれど、まだ営業中だから気が気ではない。無事に一番好い席を取り終えて、やっと昼飯を食べていたら、女将がやって来て片付けを手伝ってくれる。

6月17日 金曜日 晴れの予報が夕方まで曇って …

 今朝は7時過ぎまで眠っていたのです。夕べは9時半には床に就いたから、なんと10時間近く眠ったことになる。女将は食堂に朝食の用意をして、亭主が起きてくるのを待っていました。いつもと同じ4時半には一度目が覚めたけれど、今日はあまり仕事もなかったから、もう一度眠ってしまったのです。女将は天気が好くなるからと、朝からシーツを洗ったり洗濯に忙しいのでした。玄関のドアを開け放って、「団扇サボテンが綺麗に咲いているわよ」と言う。

 勤めていた頃に学校の用務員さんに、切り落とした団扇サボテンの葉を一枚もらって、家で挿し木をしたのが始まり。切っても切ってもまた育ってくるから、その恐ろしいほどの生命力に驚かされるのです。十数年で背丈よりも大きくなりました。今朝は暖かいからか朝から花を開いている。「行って来ま~す」「はい、行ってらっしゃい!」と蕎麦屋に向かえば、やはり暖かいからか、隣のお花畑のポピーも花を開いているようなのです。

 朝の仕事を終えて蕎麦打ち室に入れば、室温は24℃、湿度は73%だったから、今朝は41%強の加水で水回しを始めました。これが見事に的中して、両手の指で蕎麦粉をかき混ぜている時から、もう、ちょうど好い水加減だと判りました。よく蕎麦打ち名人の言葉に、「水回しをして指の先で判る」というのがありますが、まさにその通り。水加減がちょうど好いと、捏ね鉢の壁に蕎麦粉がくっついたりせずに、綺麗に菊練りまで進むことが出来るのです。

 気分を好くして今朝も750g、8人分の蕎麦を打ち、昨日の残りの3束と合わせて11人分の蕎麦を用意しておきました。晴れると言っても外は曇り空、暖かいけれど陽が差すほどの気温ではないから、十分に足りる数なのです。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、今日も三皿のサラダを盛り付ける。雨ではないから、この暖かさならお客は来るはず。暖簾を出して待てば車が入ってくるのでした。女性の一人客で、テーブル席に座って天せいろのご注文。

 千葉の方からラベンダー祭りの下見に来たとかで、規模の小さいのにはがっかりしたとおっしゃっていました。ゆっくりと話をして行かれたから、時計はもう12時をだいぶ過ぎていました。例の少年が歩いてやって来たから、いつもの蕎麦と海老天とカルピス、バームクーヘンを出して、続けていらっした男性二人連れの蕎麦を用意する亭主。このくらいのペースが、一人で営業するにはちょうど好い。時計が1時を回った頃に、また一台車が入ってくる。

 若い真面目そうな女性でしたが、カウンターに座ってぶっかけ蕎麦のご注文でした。何でもご近所のお婆さんに、美味しい蕎麦屋があると聞いたそうなのです。俯(うつむ)きながら、ぼそりぼそりと話すから、全部はよく聞き取れない亭主。お父様の話や介護の話などを静かに聞きながら、時計はもう1時半を回っていたのです。もうお客も来ないだろうからと、カウンターに残っていた大福をサービスで出して、元気を出してもらうのでした。

 片付け物を終える前に、かき揚げとインゲンの天麩羅を揚げて、賄い蕎麦をぶっかけで食べておく。腹が減っていたのか、天麩羅も蕎麦もいつもより美味しく感じた。窓を閉めて、暖簾を下ろし、幟を閉まったら、ひと休みして、最後の客の盆や皿を洗うのでした。玄関脇の紫陽花の花が、まだいろいろな色に咲き出しているので、本当にブルーの綺麗な色になるのか不安になってしまう。植えてある土の手入れまではしていないから、ちょっと心配です。

 女将がスポーツクラブから帰る前に、今日は家に着いて持ち帰った食材を冷蔵庫に入れる。野菜サラダが全部残ったから、消化するのが大変そうです。肉と小麦粉、卵があったから、またお好み焼きにするのかと思っていたら、ちょうど帰った女将が同じ事を言う。我が家の冷蔵庫には、女将が買い物をしてこない週末前になると、何もなくなるのでだいたい見当が付くというもの。小麦粉の量を減らして、二人分のお好み焼きを焼いて夕食にするのでした。

6月18日 土曜日 やはり終日晴れなかった …

 梅雨時の天気予報はいつも難しいらしく、昨日の晩に見た予報では、佐倉は晴れるはずなのでしたが、朝から曇り空。それでも5時に蕎麦屋に出掛けたら、薄い雲の中から太陽がかすかに見えた。向かいの畑に群れていた鳩が、一斉に飛び立つ光景がとても印象的なのでした。朝食の時間だったのだろうか。郵便受けから新聞を取り出して厨房に入れば、昨日の洗い物が山積みで、片付けるのがひと仕事。早朝から身体を動かすにはちょうど好いのかも知れない。

 冷蔵庫から糠床を取り出し、漬け物を綺麗に水で洗って包丁で切り分けていく。今週は夕方にもう一度蕎麦屋に来て、まめに漬け物を漬けておくから優秀なのです。少しでも美味しいものをお客に提供できれば好いのですが、最近はぬか漬けそのものを嫌うお客もいるし、野菜そのものを嫌う主に男性客もいるからなかなか難しい。亭主の舌で味見をして、今日は好く漬かったと思っても、それがお客様全員には通じないから、多種多様の時代なのでしょうか。

 家に戻って朝食の食卓に着けば、今朝は鰺の開きの豪華版。最近は、骨抜きと言って、あらかじめ骨を取ってあるものが売っているのです。高齢者の多い時代だから、こんな工夫もされるのでしょうか。以前は女将と半分にして食べていたのだけれど、一汁三菜を守って納豆を出さずに鰺一匹を出す女将の工夫。亭主も蕎麦屋で何か新しい工夫が出来れば好いのだけれど、毎日の仕込みだけでも大変だから、なかなか新境地は開けないのです。

 女将の朝ドラの時間が終わったところで、今日も蕎麦屋に出掛ける亭主。朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って蕎麦を打つ。窓の外には紫陽花のブルーの花が、気持ちよさそうに咲いているのでした。室温は25℃、湿度は73%と昨日とほぼ同じだったから、今朝も41%強の加水で蕎麦粉を捏ね始める。いつものように蕎麦玉を伸して畳んで気持ちよく包丁を打つのですが、今日はちょっと柔らかいのか、包丁に蕎麦がくっついて切りづらかったのです。

 毎日がベストというわけではないのです。それが蕎麦打ちというものなのかも知れない。それでも、切りべら26本で135gの蕎麦を取る。少し切り幅が広いかと思えた時には、25本にして135gの蕎麦にするのです。昨日の残りの蕎麦と合わせて、今日は12食の蕎麦を用意しておいたから、天気も好くなさそうなので、ちょうど好いだろうと厨房に戻るのでした。蕎麦汁は朝のうちに一番出汁に返しを加えて10人分は余分に用意してある。

 薬味の葱を刻んで、大根をおろし、暑くなるだろうからと、今日は水羊羹を作ってデザートにする。天気が悪くても蒸し暑いのが梅雨時の陽気だから、窓は少しだけ開けて、エアコンを入れて店の中の湿気を取っておくのです。昨日よりも気温は低いのに、何故か蒸し暑いと感じるのでした。野菜サラダの具材を刻み、天麩羅鍋の油も天つゆも温め、開店の準備を終えたら10分前には暖簾を出して、今日のお客を待つのです。12時前に散歩の途中のお客が入る。

 常連さんやリピーターのお客が続く中で、店の入り口の写真を撮ったり、初めてのお客もいるのでした。例の少年が今日もやって来ていつものように蕎麦を食べて帰る。手足の骨折で、少年の昼ご飯を作れないお婆さんは、週末はデイサービスに行っているのだと言う。蕎麦が残り少なくなった1時半近くに電話が入って、女将が出てもう残り一つだと伝えれば、夜はやっているかと聞かれ、やっていないと応えたら、明日に行きますと言ったと言うことでした。

 最後のお客が帰って、お蕎麦売れ切れの看板をしまう亭主。お客の数は9人だったのに、大盛りが沢山出たから早く蕎麦がなくなったのです。鴨せいろや鴨葱塩焼きまで出て、週末らしく様々な注文が入るのです。それでも、四皿分作った野菜サラダは全部残ったから判らないもの。幟をしまいに出た亭主の目には、玄関脇の紫陽花が、心なしかブルーに変わってきているように見えた。今年は上手く花芽を潰さずに剪定できている様子。楽しみな梅雨なのです。

 女将を先に家に帰して洗い物を片付ける亭主。遅い賄い蕎麦を食べて、ひと休みしながら次々と仕事をこなす。今日は早朝から珍しく、8時間以上も働いたのです。時間が遅かったから、明日のぬか漬けを漬けておこうと野菜を取り出す。4時前には家に帰って、買い物に出掛けた女将を待つのです。お隣の家との境に植えた、墨田の花火の紫陽花が、淡いブルーに咲いて風情があるのでした。明日は朝から晴れると言うけれど、当てにしないで楽しみにしよう。

6月19日 コロナ禍以前を思い出す週末の忙しさ …

 午前6時の空模様は、陽は時折差すけれど曇り。なぜか生ぬるい風が吹いて、今日も蒸し暑くなりそうです。昨日は蕎麦が売り切れたので、日曜日の今朝は蕎麦を二回打たないと間に合わない。朝飯前に他の仕事を片付けておかないと、次が忙しくなるのは目に見えているから、疲れてはいたけれど蕎麦屋に来る。昨日の洗い物もカウンターに乾したままだから、まずはこれを片付ける。そして、糠床を取り出して野菜を切り分け、小鉢に盛っておくのです。

 家に帰ればもう朝食の支度が出来て、今朝は大きな縞ホッケが焼かれていた。野菜サラダは昨日の残りだけれど、アスパラやトマトがもう傷んできている。家に持って帰るにしても、夏場は特に生野菜には要注意なのです。厨房で野菜サラダを作ってから、12時まではカウンターに並べておくけれど、その後は冷蔵庫に入れるようにしている。店の中はエアコンを入れても、換気のために窓を少し開けておくから、25℃はあるのです。外はかなり暑くなる。

 朝食を終えたら、やはり疲れが残っている気がして、またひと眠りです。珈琲を入れて一服したら、やっと出掛ける気分になったから、「行って来ま~す」と家を出たのはもう9時過ぎだった。隣の幼稚園の紫陽花を眺めながら、晴れてはいないけれど陽が差して、今日もかなり蒸し暑くなりそうなのでした。途中で顔見知りの奥さんが通りを掃いていたから「お早うございます」と声を掛ければ、「今日も暑くなりますね」と挨拶が帰って来るのでした。

 蕎麦屋に着いたら朝の仕事を終え、気持ちだけ焦ってもやることは同じ。蕎麦玉を二つ作って寝かせている間に、次の準備をしておく。蕎麦は昨日と同じ加水率でも、ちょっと柔らかめの仕上がりなのでした。湿度は65%なのに室温が27℃もあるから、蕎麦を切っている間にもう汗が出てくる。生地が柔らかめだと切った包丁にくっついてしまうので、トントントンと勢いを付けて包丁を打つ。柔らかめだと生地が奥行き一杯まで伸されるので、切りべらは25本。

 生舟に9つの束を用意したら、続けて二つ目の蕎麦玉を伸して、包丁打ちをしたいところだけれど、厨房に戻ってひと休みする。ここで焦ってしまうと、上手く打てなかったりするものなのです。慣れているとは言え、自分の実力不足を知っているから、気持ちを落ち着かせてから、もう一度初めからやる気持ちで、蕎麦を伸すのです。包丁打ちも軽やかに、今度は切りべら26本で5食分の蕎麦を取り、今日は合わせて14食の蕎麦を用意しました。

 結局、時折、陽の差す暑い日曜日だから、沢山のお客が入って、1時過ぎには蕎麦が全部売り切れました。驚くことに、ヘルシーランチセットも含めて、ほとんどが天せいろのご注文で、2時半に女将と洗い物を終えたら、拭いてしまえる物は女将がどんどん片付けてくれるから、カウンターに残ったのは盆と蕎麦皿と蕎麦徳利だけなのでした。天麩羅の具材も足りなくなって、家に帰ってから隣町のスーパーに買いに行く有様。一人では到底こなせない量です。