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2022年10月上旬

10月6日 木曜日 朝から冷たい雨の降る寒い一日 …

 2日間の定休日に、ゆっくり朝寝をする習慣が付いてしまったらしく、今朝も6時半までぐっすりと眠ってしまった。朝飯前のひと仕事に出掛けないと、どうしても後の仕事が詰まってくるから、今朝は朝食後に朝ドラの終わるのを待って、蕎麦屋に出掛けました。朝から雨かが降って、今日は一日中冷たい雨が降るという予報だったから、お客も来ないだろうと車に乗って出掛けたのです。11月下旬の寒さと言うから、蕎麦を食べるには少し寒すぎる。

 蕎麦屋に着いたら、まずは昨日の洗い物を片付けて、小鉢を盛り付けたら、珈琲を一杯飲んで目を覚まします。店内の温度は19℃と本当に寒いというくらいなのでした。湿度も54%で、まさに冬の初めの寒さと言っても好い。蕎麦打ち室に入ってまず考えたことは、昨日と同じ加水率では生地が硬くなりすぎるだろうということ。かと言って、何%ならちょうど好いという答えがあるわけではないので、取りあえず42%で蕎麦粉を捏ね始めたのです。

 季節の変わり目は、ちょうど好いという加水率が微妙に変化するから、ほんの少しずつしか増やせない。それでも長年の経験で、ちょうど好い柔らかさで生地は仕上がる。わずか750gしかない蕎麦打つのに、二度に分けて加水するのももどかしいから、最近は一気に計量した水を粉に混ぜているのです。練り上げて蕎麦玉にしたら、ビニール袋に入れて寝かせておきます。その間に、厨房に戻って、今日は大根と生姜をおろし、薬味の葱を刻んでおきました。

 9時半になったところで再び蕎麦打ち室に入り、地伸し、丸出しから四つ出しにかかり、本伸しを終えたら八つに畳んで包丁切り。これで朝飯前のひと仕事に来なかった分の時間は取り戻せた。10時前に蕎麦切りを終えて、厨房に戻ってひと休み。外はまた冷たい雨がシトシトと降り続いている。この寒さではお客は来ないだろうと思えたから、今日は野菜サラダも二皿だけ盛り付けておきました。暖かい鴨南蛮やカレーうどんにもサラダを付けるからです。

 暖簾を出しても、こんな寒さの中を、お客が来るはずもなかったけれど、12時半前に雨の中を傘も差さずに例の少年がやって来た。「いつもので好いかい?」と亭主が言えば、こっくりと頷く。海老を一本天麩羅にして揚げて出してやれば、大事そうに食べているのでした。この寒さの中を七分ズボンで来たらしく、「カルピスは冷たいので好いかい?」と聞けばまたコックリと頷くのでした。亭主が話しかければにっこりと応えるけれど、他にあまり話はない。

 少年が帰って油の冷めないうちにかき揚げを揚げ、1時前にぶっかけで賄い蕎麦を食べておく。客が来なければ大釜の湯も天麩羅油も汚れないから、昼は抜きにしようと思っていたけれど、彼のお蔭で昼飯にありつけたのです。じきに雨の中を女将が「寒いわねぇ」と言ってやってきた。午前中に風呂釜の交換工事があったのだけれど、無事に済んでほっとしたらしい。「夕食は何にしましょうか」と言うのでかき揚げを揚げ、葱を持たせて鍋焼きうどんに決める。

 家に戻れば居間の室温はやはり19℃。急に冷えてきたから、エアコンを入れなければいられない寒さなのです。書斎でひと眠りしたら、荷物を届けるはずの業者から、電話が入って到着が5時過ぎになるというので、5時前に蕎麦屋に出掛けて、珈琲を入れる準備をしておく。新米の若者は店を回るのにも時間がかかるらしく、やっと来たのが5時半近くなのでした。西の空は少し明るくなっていたけれど、雨は止みそうにない。夜は鍋焼きうどんで温まった。



10月7日 金曜日 昨日よりも強い雨と寒かった一日 …


 今朝もゆっくりと眠った朝なのでした。寒さが昨日よりも増しているから、暖かくして眠ったのが好かったらしい。昨日はお客が少なかったから、取り立てて片付けるものも用意するものもなく、大根をおろして蕎麦を打てば、後は野菜サラダを二皿盛り付けて終わりなのです。雨は昨日よりも強く降っていたから、今日もお客は来ないだろうと、車を出して蕎麦屋で出掛けるのでした。店の中は、なんと16℃と最近にしては一番寒いのです。

 エアコンが壊れているから、奥の座敷のエアコンを二つともフル回転にして、店との間にある扉を開け放って、なんとか暖を取るのでした。蕎麦は昨日の残りが随分あったけれど、500g五食分だけ打ち足しておくのです。今日もお客が来なければ、明日で調節するしかない。明日は雨も上がると言う土曜日だから、朝に二回打つのは避けたかったのです。蕎麦打ち室も寒かったけれど、湿度が70%近くあったから、今朝は41%の加水率で何とか生地を捏ねました。

 冷たい雨は昨日の様に霧雨になることはなく、かなりしっかりと降っていた。風は北西から吹いているようで、秋桜の咲く隣の畑側から窓に雨しぶきが当たる。その窓から見えたのは雀たちの群れ。何羽も蕎麦屋の柵に止まって雨に打たれている。しばらくすると皆で飛び立って、向かいの畑の中に消えていく。ひまわりを刈った後だから、種がこぼれているのかも知れない。見上げれば、電線には何十羽も鈴なりに雀が止まっているではありませんか。

 暖簾を出してもこの寒さでは、蕎麦を食べに来る人がいるはずもなく、1時近くまで待ってから、油を温めて天麩羅とかき揚げを揚げる。少し粉っぽいまま揚げた方がパリッとするから、200℃の設定にして蕎麦がゆで終わるまで揚げた。実に美味しい蕎麦なのでした。食後のひと休みをしていたら、1時半を過ぎてから駐車場に車かが入ってきたのです。若い真面目そうな青年がぶっかけ蕎麦の温かい汁をご注文。先ほど練習をしたばかりだったから楽勝でした。

 ご両親は四国の方だからうどんだけれど、彼は茨城出身だとかで蕎麦が大好物なのだとか。今度来た時は、冷たいせいろ蕎麦を頼みますと言って帰って行った。後片付けをしていたら、エアコンの修理の人たちが来て、何処が悪いのかとチェックをしてくれた。ピッと鳴ったところでリモコンに出た記号を見て「基盤が壊れている」と言うから大したものです。亭主にはこのピッが聞こえない。日曜日の午後には基盤を持って出直してくると言うから助かった。

 家に帰ってひと休みしたら、傘を差していてもずぶ濡れで帰った女将を迎える。夜の女将のパトロールもなさそうなのでひと安心。4時からは今度はディラーに出掛けて、車検の見積もりをしてもらわなければなりませんでした。まったく今週は忙しい。蕎麦屋と一緒で相手があることだから、自分のペースでは行かないのです。車のチェックが終わったのに約一時間待たされて、やっと見積書が出来る。向かいの有名店でトンカツを買って夜は女将とカツライス。



10月8日 土曜日 やっと雨の止んだ一日 …


 久し振りに雨が上がって、蕎麦屋の隣のコスモス畑も元気に花を咲かせていました。蕎麦屋の屋根には小雀たちが沢山集まって、羽を休めているのです。雨の降り続けた昨日までは、いったい何処で暮らしていたのか。小さな生き物たちの心配をするよりも、お客の来ない蕎麦屋は、いったいどうやって営業を続けていけば好いのかと、心配すべきなのでしょうが、亭主はいつもの通りのんびりと、辺りの写真を撮っている。これが隠居仕事というものなのか。

 西の空には青空も覗いて、鯖雲が広がっていました。まだ気温は低いけれど、昨日までの雨の日よりはずっと好い。三連休の初日だから、天気さえ持てば少しはお客も来るのではないかと期待する。朝の厨房は17℃と昨日よりは少し暖かかったけれど、奥の座敷のエアコンをフル回転させて、店の方も20℃近くまで室温を上げておくのでした。蕎麦打ち室に入っても、思ったよりも湿度はあるから、今朝は41%強の加水で蕎麦粉を捏ね始める。

 昨日までに残った蕎麦は、生舟の中に沢山あるのでしたが、週末はやはり15食は用意しておかなければ心配なのです。去年の今日は19人のお客があったと女将が言う。夜の営業もしていたから、夜の営業を休んでいる今年とは随分と違うだろうけれども、今はちょっと状況が違うのです。ちょうど好い水加減で、伸して畳んで包丁切り。向かいの畑では、親父様達が朝の仕事に精を出しているのでした。馬酔木の木の下で小雀たちが遊んでいるのが見える。

 さすがに週末だからと、今日は野菜サラダを三皿用意しました。この寒い日に、野菜サラダを単品で頼む客はいないと思うけれど、カレーうどんや鴨南蛮蕎麦にはサラダを付けるから、念のためにと作っておくのです。昨日までに毎日残ったサラダは、家で今朝やっと蒸し野菜にして食べ終わっただけに、今日売れ残ったらどうしようという気持ちの方が強かった。三皿残ったらお好み焼きにするしかないかと、女将に言えば嫌いでないから笑っていたのでした。

 暖簾を出してお客を待てば、昼過ぎにご家族連れのリピーターさんがいらっして、せいろ蕎麦二つにぶっかけ蕎麦の温かい汁、天せいろのご注文でした。お子様達のせいろ蕎麦を先に出して、ぶっかけ蕎麦と天せいろの天麩羅を揚げていく。その間に、家のご近所の常連さんがやって来てカウンターに座るのです。いつも座るテーブル席も空いているのに、カウンターに座るときは少しは話をしたい時。気の好い夫婦はゆっくりと話し相手になっていました。

 1時になってお客も来そうになかったから、亭主はかき揚げを揚げてぶっかけで賄い蕎麦を食べてしまう。ボールに残った衣を硬めに溶いて揚げたから、本当にカラッと仕上がって美味しかったのです。昨日の蕎麦だったけれどコシがあって歯ごたえも好いのです。女将と片付け物をし始めたら、ラストオーダーの時間にお客が入って、暖かいぶっかけ蕎麦とハラミとカシラの串焼きを注文される。「ここら辺は食べる所がないですね」と美味しそうに蕎麦を啜る。

 閉店時刻をだいぶ過ぎてお客が帰ったら、亭主は洗い物を済ませて大釜を洗い、女将は洗い物を片付けてまな板を消毒する。家に戻って梨を剥いてもらったら、亭主は今日のデータをパソコンに入力して、横になってひと眠りなのです。朝も食後のひと眠りをしなかったからかぐっすりと眠り込んで、5時を過ぎた頃に「お腹が空いたわ」と女将に起こされ、台所に入ってお好み焼きを作る。今日残った三皿の野菜サラダが全部なくなったのでした。

10月9日 日曜日 日中は陽も差して昨日よりも暖かい一日 …

 今日は朝から少し青空が覗いていました。日中も陽が差して、晴れるのかと思ったけれど、やはり今日は曇り空一色。でも、そのせいか気温は上がって、店の中の温度は朝で18℃もあったのです。厚着をしていた昨日までとは違って、薄手の長袖シャツにベストを羽織って蕎麦屋に出掛けた亭主。腕まくりをして蕎麦打ち室に入るのでした。生舟の中の蕎麦をチェックしたら、8食分しかなかったので、今朝も500g5食分を打ち足しておきます。

 このところ連日500gを打っているのですが、練習と思って気楽に伸している。それが好いのか悪いのか、短時間で打てるから楽なのですが、どうも厚味にムラがあるような気がするのです。少し加水が多すぎるのかも知れない。力を入れすぎるとすぐに生地が広がってしまうから、加減して伸し棒を転がすから、その分、厚味が均一にならないのだろうか。切りむらがあるわけでもないけれど、太さが揃わない時があるのです。明日はもう一度試して見たい。

 野菜サラダは三皿盛り付けておいたのですが、最初のご夫婦がヘルシーランチセットを頼まれたので、すぐに二皿なくなってしまいました。奥様がいつも亭主の書くブログを読んでくださっているとかで、一人でも来たくなるのだと言う。お蕎麦が美味しかったとおっしゃって帰って行かれた。いつも一人でいらっしゃる常連さんが今日はお友だちを連れていらっしゃる。二人とも辛味大根を頼まれたけれど、一人分しかなかったので半分ずつにしてお出しした。

 気温は昨日よりも高かったけれど、22℃止まりだったから、やはり蕎麦を食べるには涼しすぎるのか、日曜日にしてはお客が少なかった。天麩羅が出ないのも珍しい。かき揚げを揚げてぶっかけ蕎麦でも食べたかったけれど、自分だけのために油のパットを洗うのも憚られたので昼は抜き。蕎麦も明日のことを考えると微妙な数が残るのでした。片付けを終えて女将が帰った後に、点検をして亭主が後を追う。道の途中でエアコンの修理に来る業者から電話が入る。

 もう近くまで来ているというので、家に帰って車を出してまた蕎麦屋に逆戻り。外に置いてある室外機の基盤が壊れたらしく、新しい基盤を取り付けて30分ほどで運転できるようになった。修理の時間を利用して、朝のうちに出汁取りの準備をしておいたから、出汁を取って蕎麦汁を仕込む。さすがに明日の分の蕎麦汁がもうなかったのです。帰りがけに酒と煙草を買いにコンビニと酒屋に寄って、パンを買ってやっと遅い昼飯。夜はカシラの串焼きで一献です。



10月10日 月曜日 三連休の最終日だったけれど …



 朝は雨が降っていたから、玄関を出てみればもう上がっていた。伸びすぎた団扇サボテンの葉を切ってやろうと思ったけれど、女将がまだ花が咲きそうだから可哀想だというので、新聞を取って家に入る。この天気では外の物干しには洗濯は干せないから、まだこのままでもいいのかも知れない。雨なら車で蕎麦屋に出掛けてしまおうかと思ったが、考えたら今日は三連休の最終日で、暖かくなると言うから、もしかするとお客が来るかも知れない。

 最近は、お客が少ないから朝飯前のひと仕事にも出掛けずに、その分、亭主は食後のひと眠りもしなくなった。洗面と着替えを済ませたら、お茶をもらって朝ドラの時間が終わったら、蕎麦屋に向かうのです。すっかり道路も乾いて、みずき通りのハナミズキは紅葉を通りすぎてもう枯れ始めている。午後からは晴れて暑くなるという予報だったけれど、天気が不安定だから予報もあまり当てにならない。朝は薄い長袖のシャツにジャンパーを羽織っていた。

 8時半前に家を出ても、今日も500gしか蕎麦を打たないので、朝の蕎麦屋では、幟を立てて看板を出したら、ゆっくりと珈琲を飲んで、昨日のブログを読み返す。朝のうちはまだ肌寒いから、直ったばかりのエアコンの暖房を入れておく。そして、この後の段取りを考えたら、重い腰を上げて蕎麦打ち室に入るのです。室温は22℃、湿度は65%。暖かくなると、加水率をまた変えなくてはならない。今朝は41%の加水で水回しを始めるのでした。

 昨日の反省から、伸しはしっかりと厚味を揃え、伸し棒も60cmの伸し棒を使って、丁寧に伸していく。ところが、やはり生地が小さいだけに、つい力が入りすぎてどうしても伸し幅が55cmほどになってしまう。50cmが適正なのだけれど、5cm幅が広いと生地が薄くなるから、包丁切りの際に、切りべら26本では120g程にしかならないのです。切りべらを28本にしてなんとか135g以上の束にしました。昨日よりは満足な仕上がりで生舟の中に並べるのです。

 向かいの畑の親父様は、朝から紅葉の終わったコキアを抜く作業をしているらしい。毎日、蕎麦を打ちながら、朝から自然相手に仕事に出るから偉いといつも見ている亭主。今日も野菜サラダは三皿盛り付け、暖かくなるというのを期待していました。ところが、雨が降り出したり、陽が差したりと目まぐるしい空模様で、結局は曇り空。暖簾を出して1時間経ってもお客は来なくて、女将と暇をもてあましていたのです。やっとお客が来たのは1時前なのでした。

 4700ccの国産の高級車で乗り付けた隣町の常連さんは、いつもと同じご注文でしたが、辛味大根だけが品切れなのでした。女将が野菜サラダを出している間に、亭主は季節の野菜と稚鮎、キスの天麩羅を揚げてせいろ蕎麦を出す。彼の今日の話題は葉山の友だちに誘われてのカワハギ釣りの話。亭主も毎週のように釣りに出掛けた昔を思い出して懐かしい。今は昔の世界なのは、彼も同じらしいけれど、亭主よりも若いから記憶がはっきりしているのでしょう。

 明日は定休日だから片付けが終わったら、今週の残り物を女将と手分けして、家に持ち帰る準備をする。天麩羅も少しだけ揚げて、沢山残った蕎麦を、お袋様と家と定休日明けの賄い蕎麦の分とに分けて持ち帰るのでした。青空も覗いて暖かくなったから、柿を剥いてくれた女将が「ムクゲの剪定を始めますか」と言うので、亭主は半袖に雪駄をつっかけて、脚立と剪定ばさみをもって通りに出る。一番大きな木を刈り終えたところで30分。後は明日の朝に回す。

 

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2022年10月初め

10月1日 土曜日 嬉しい誕生日プレゼント …

 偶然なのか昨日は、写真家の野口里佳さんから展覧会の招待状が届いた。10月7日(金)~1月22日(日)に恵比寿ガーデンプレイスの東京都写真美術館で「Small Miracles(不思議な力)」という写真展を開催すると言う。日本での開催の時はいつも招待状が届くので、女将と伊豆まで出かけたこともあるのに、彼女を誘ったら全く乗り気ではない。新型コロナも収まる頃だと思うのだけれど、どうしたものか。まだ日にちはあるから、誰か誘って出かけて見たいけれど … 。

 今日は午前4時半に目覚め、珈琲を入れて一杯飲んだら、蕎麦屋に出掛けて出汁取りとお新香を糠床から出す作業をする。出汁取りは蕎麦汁まで作ってやはり小一時間はかかるから、終わった頃にはもう辺りはすっかり明るくなっていました。隣のお花畑のコスモスを見に出たら、自然に種がこぼれて生えたものだと言うから、背丈もまちまちで、見てくれはあまり綺麗ではないのです。それでも今朝の青空に映えて、季節を感じさせてくれるのでした。 

 蕎麦屋で盛り付けたお新香の残りを持って家に帰れば、朝食のおかずは豚汁とベーコンエッグでした。冷蔵庫の中はすっかり空っぽだったから、今週はなかなか好い成績。蕎麦屋の残り物ばかり食べていると女将も気が晴れないだろうから、新しいレシピでいつもと違う料理を作る方が好い。と言っても、子供たちが家にまだ居た時のような洋風の食べ物はなかなか難しい。今はやはり煮物が中心で今朝もひじきの煮物が出ていたのです。

 朝が早かったから、食後は書斎でひと眠りかと思ったら、洗面と着替えを済ませたら、もう蕎麦屋に出掛ける体勢なのです。5分間だけ横になったら、意識が遠のいて眠ってしまいそうになった。朝ドラの終わる時間だから、これから寝てしまうと大変なことになると、居間でお茶をもらう。今日は蕎麦を500g五人分しか打たないつもりだから、あまり早く出掛けると向こうで暇をもてあますことになるのです。洗濯物を干す女将に「行って来ま~す」と門を出る。

 駐車場の金木犀はますます色濃くなって、開け放った窓から店の中にまで香りを漂わせている。今日も室温23℃と、エアコンの壊れているのを忘れさせてくれるから嬉しい。蕎麦打ち室に入って蕎麦を打とうとしたら、ポ~ンとFacebookのメツセージが届く。こんな朝早くから誰かと思ったら、50代も後半になるはずの昔の教え子が誕生日のお祝いをくれた。「お元気でいてください」と亭主を年寄り扱いする。折しもアントニオ猪木が亡くなったと言うから … 。

 もう、そんな歳になったのかと、まだ時間に余裕があったので、「ありがとう」とコメントを返した。今朝も加水率は昨日と同じく42%で蕎麦粉を捏ね始めたけれど、どうも少し柔らかめなのです。昨日の反省から、今日は丸出し、四つ出しで力を抜いて、50cm幅になるように生地を伸して畳んでいく。どうしても少し幅か広がるので、切りべらを28本にして135gにしたら、少し細い仕上がりになった。昨日の残りの蕎麦と合わせて、今日は14食用意しました。

 いつもサラダが残るから、野菜サラダは三皿だけにしようと具材を刻んでいたら、またポ~ンポ~ンポ~ンと続けざまにメツセージが届く。みんな同年代の教え子たちなのでした。包丁を持っているから今は返答も出来ずにイイネで勘弁してもらった。世間は週末の休日なのです。蕎麦屋はお客の来るのを期待する週末です。暖簾を出せば、すぐに駐車場に車がつづけて入ってきたから嬉しい。一番手はカレーうどんの小父さんご夫婦。これが手間がかかるのです。

 最初の二組をこなしたかと思ったら、休む間もなく次のお客がいらっしてカウンターに座る。1時間ちょっとで10人を越えたから、厨房は嬉し楽しの大忙しで、女将もてんてこ舞いなのでした。メールが入ったのもチャリーンという音だけは聞こえたけれど、とても見ている暇はない。たぶん毎年お祝いのメールをくれる友人だろうとは思うけれど、時間のある時にゆっくりと味わいたい。1時を過ぎても客足は止まらなかった。1時過ぎには「お蕎麦売りきれ」

 洗い物もしていなかったから、後の片付けに時間がかかる。一段落して2時になったところで、暖簾と幟をしまってチェーンポールを揚げたら、亭主はぶっかけで賄い蕎麦を食べておく。久し振りの10人越えで、これも誕生日のプレゼントか。3時前には女将と二人で家に戻り、林檎を剥いてもらったら、蕎麦屋で足りなくなった食材と、夜のおかずを買いに隣町のスーパーに車を走らせるのです。疲れているだろうに、夜が寝れないと困るからと、女将は2kmの距離を歩いて買い物に出掛けるのでした。亭主は昼寝もなし。


10月2日 日曜日 二日続けては混まなかった週末 …


 蕎麦の売り切れた日の翌日は、小鉢も蕎麦汁もなくなっているから、今朝は5時半過ぎに家を出て、朝飯前のひと仕事。夕べは早く休んだけれど、4時半までまったく目が覚めずにぐっすりと眠れたのです。今日も朝から秋晴れの好い天気で、蕎麦屋で車を降りればもう金木犀の香り。まずは空になった蕎麦徳利に、作ってある蕎麦汁を詰めていきます。週に二回蕎麦汁を作ったから、今週は結構お客が来た方なのか。それは今日のお客の入り如何なのです。

 小鉢は夏野菜の揚げ浸しと冬瓜の煮物。これにお新香が加わるから、10数人分はいつも用意していることになります。お新香は昨日でなくなったけれど、夕べは疲れてもうぬか漬けを漬けに来る元気がなかったので、キュウリとナスとカブにニンジンを加えて、今朝は浅漬けを漬けておくのでした。天麩羅の出る時には、さっぱりと小鉢にお新香を付けることが多い。最近はぬか漬けを食べない人もいるから、特に若い人には食べられるかと聞くこともあるのです。

 家に戻って朝飯には亭主の希望でカレーライスにしてもらった。昨日はカレーうどんが出たので、例によって大盛り分を解凍するから、残ったカレーを持って帰って来ていたのです。これに豚汁がつくので朝から結構なボリュウム。混んだ日には昼を食べる暇がないから腹持ちが好いだろうと考えた。食べ終えたら満腹になって、書斎に入ってひと眠り30分です。今日は蕎麦も二回打たなければならないからと、緊張していたから8時には目が覚めて出掛ける準備。

 秋晴れの朝は風も涼しくて気持ちが好い。蕎麦屋の駐車場と前のバス停の向こうにはコスモスの咲く畑が続いている。バス停は101系統という路線で、ユーカリの駅の南口から、9時50分12時15分、16時5分と日に三本だけ出て、蕎麦屋のある小竹入り口までは、団地の中をぐるぐる回るから10時14分、12時39分、16時29分に着く。循環型だから小竹入り口から駅までは25分で着く。電信柱の3本向こうには1時間に1本の市のバス停があるのです。駅からは早い。

 朝の仕事を終えたら、今朝はひと休みする間もなく蕎麦打ち室に入って、二回の蕎麦を打ち上げる。どうも加水率42%では少し柔らかくなるので、次は41%に下げてみようか。柔らかい生地は、気を抜くとぐにゃっと太く切れてしまうから、要注意なのです。15食の蕎麦の束を生舟に並べて、今日のお客を待つのでした。開店の時刻までには、まだもうひと仕事。野菜サラダの具材を刻んで盛り付ける作業が残っている。休日でも三皿だけの用意で臨むつもり。

 ヘルシーランチセットの注文が多くて、「ご免なさい」と断る日もあるけれど、蕎麦豆腐も日に四つしか用意しないから、多くても四皿しか出せないのです。野菜サラダは作ったその日しかお客に出さないから、残ればすべて家で食べなければならない。食品ロスの分までは値段に含めていないので、これが難しいところなのです。昨日は最後のお客が四皿目の注文だったので、サラダのない分を値引きしてヘルシーランチセットを出したのでした。

 「混む日は続かない」と経験上知ってはいるものの、こんな秋晴れの蕎麦日和の日に、そのまさかが起きるとは思ってもみなかったのです。いつもの時間にいつものジョギングの人たちが通り、散歩の人たちが店の前を行き過ぎるけれど、お客は少なかった。女将と二人で暇をもてあまし、用意した食材も、明日出なければまた家に持ち帰るのです。それでも今週は来客数がやっと20人を越えたと、コロナ禍後の復調を見守るのでした。陽射しの強かった午後 … 。


10月3日 月曜日 お客は少なかったけれど … 


 今朝は珍しく遅い時間に目が覚めて、居間のテレビで6時のニュースを見るのでした。お客少なかった昨日打った蕎麦が沢山残っていたから、今日は蕎麦打ちをしないつもりなのです。その分、朝はゆっくりと出来るから「ニコラ・テスラ」という発明家の半生を描いた映画をしみじみと観てしまうのでした。テスラモーターズがこの発明家の名にちなんで社名としたと言うのも頷ける。いつもの時間に女将が朝食を用意してくれたけれど、食べてまた映画を観る。

 9時前にやっと家を出て、蕎麦屋に向かえば、今日も涼しい秋の風が吹く。隣のコスモス畑がやけに元気そうだったので、店に入る前に写真を撮りに行く。朝の仕事を終えて、いつもなら蕎麦を打つのですが、今日は蕎麦打ちはないから、空いた時間で奥の座敷を掃除機で掃除した。洗濯物を畳んで、洗濯機の中の洗濯物を干して、段ボールを潰して片付けるのでした。それでもまだ9時半だから、蕎麦打ちというのは、随分と時間と労力がかかるものだと感じた。

 一応、心配だから昨日打った蕎麦の様子を見ておく。綺麗にひと束ずつキッチンペーパーで包んで、更に布巾を被せて冷蔵庫の生舟に入れてあるから大丈夫。10食分の蕎麦があったから、今日はこれで十分なのです。先月は連休が続いたせいか、月曜日にお客が来なかった日が二日もあったけれど、まさか10月になってもゼロが続くとは思えなかったのです。厨房に戻って、いつもの通り野菜サラダの具材を刻み、三皿だけ盛り付けてカウンターに並べる。

 大根をおろして、天麩羅の具材を調理台に並べ、天麩羅油と天つゆを火口に載せて、天ぷら粉を用意したら、もう大釜の湯は沸いている。11時前にひと休みして、店の掃除を始める。開店時刻の10分前には暖簾を出して、営業中の看板をぶら下げる。この時間帯が一番緊張するのです。何を頼まれたらこうしようと頭の中でシュミレーションを繰り返し、材料のある場所を確認しておくのです。最初のお客が来るまでは、ハラハラドキドキの時間なのです。

 昼を過ぎた頃に若い作業員風の男性が二人車で乗り付け、天せいろの大盛りを二つ頼まれる。お茶を出したら「お水もください」と500cc入るグラスに氷を入れて出せば、4杯もお替わりするから、「随分汗をかいたのですね」と言えば、「現場が近いんで、美味しい蕎麦を食べようと思って来たんです」と応える。若くて元気が好いから二人の声も大きい。手際よく天麩羅を揚げて蕎麦を茹でて出せば、さすがに大盛りはすぐには食べ終わらないのでした。

 二人の食べた盆や蕎麦皿を下げて、テーブルをアルコールで吹いたら、洗い物の開始です。次のお客が来る前に洗い終えられれば、一番好いのだけれどと思いながら、次々と皿や小鉢を洗っていく。週末とは違うから、そうお客は続かないのです。戸棚に片付けられる食器はしまって、蕎麦皿や盆などの漆器はカウンターに干しておきます。1時近くになっても次のお客は来ないから、かき揚げと余分にある天麩羅の具材を揚げて、賄い蕎麦をぶっかけで食べる。

 1時をだいぶ過ぎた頃に、駐車場に車が入って、女性が一人でご来店。亭主は「テーブル席でも好いですよ」と言ったけれど、カウンターに座って、ヘルシーランチセットの天せいろをご注文なのでした。野菜サラダと蕎麦豆腐を席に運んだら、亭主は厨房で盆や蕎麦皿、小鉢に蕎麦汁や薬味をセットしてから、天麩羅を揚げるのですが、カウンターの向こうからいろいろ話しかけてくるから大変。か細い声なので、耳を澄まさなければいけないから、調理が滞る。

 それでも何とか天せいろをお出ししたけれど、彼女の話はまだまだ続くのです。四十代なのかと思ったら、大きなお子さんが何人もいて、親御さんの介護で大変なのだとか。二人の親を最期まで家で面倒を見た、家の女将の苦労と重なって、相手をしているうちに、閉店の時間を過ぎてしまった。それでも最後のデザートを食べて「お腹いっぱいです」と言って帰られたから好かった。残った天麩羅の具材を揚げて、家に戻ったのは3時過ぎなのでした。


10月4日 火曜日 ゆっくりと眠った朝 …


 今朝は7時過ぎに女将に起こされるまで目が覚めなかったから、よほどぐっすりと眠っていたのです。朝食を食べて蕎麦屋に出掛けると、9時前の太陽がもうギラギラと輝いているのでした。雲は多かったけれど青空が広がって、昨日よりは少し暑いという体感温度なのです。1年365日、まったく休み無しで蕎麦屋に通っているから、定休日くらいはゆっくりと朝寝でも好いと、自分にご褒美。蕎麦屋に寄って足りないものはないかと再度チェックしておく。

 お袋様に電話をすれば、相変わらず元気な声で「お早うございます」と言うものだから「蕎麦屋に来てるけれど、もう行ける?」と迎えに行くのでした。農産物直売所には橋を渡って何百メートルかで着いたら、今朝は随分と車が沢山並んでいた。田植えも終わって晴れた日が続いたからか、今日は野菜が随分と沢山あって、新鮮な形の好いキャベツやキュウリやナスのほかにミョウガ、インゲン、冬瓜を買ったら、知り合いの農家の親父様がオクラを持って来た。

 隣町のスーパーに足を伸ばして、足りない野菜や家の魚や肉を買い込み、蕎麦屋に戻って品物を確認するのです。大根が随分と安くなっていた。いつもなら、これらの野菜を冷蔵庫に収納したところでもう家に戻ってひと休みなのですが、ゆっくりと眠れた今日は、冬瓜の皮を剥いて下茹でをしたら、天つゆを仕込んで冷やすところまで仕事がはかどる。鶏の胸肉の粗挽きも忘れずに買って来たし、午後は冬瓜の煮物から始めようと考えるのでした。

 11時過ぎに家に戻れば、女将が昼の支度をしてくれて、蕎麦を茹でる湯も沸かしておいてくれたのです。昨日揚げて帰った天麩羅の具材をグリルで焼いて、亭主が持ち帰った小鉢とお新香を添えて、立派な天せいろの出来上がり。昨日、蕎麦打ちの調節をしたので、明日は蕎麦以外の昼を食べられそうなのでした。嫌いではないのだけれど、営業のある日も昼に蕎麦を食べている亭主だから、たまには違うものも食べてみたいというのが本音です。

 蕎麦湯まで美味しく飲み干して満腹になったら、いつもの習慣で書斎に入ってひと眠り。今日は女将のスポーツクラブの席取り予約があるから、どうせ2時過ぎまでは午後の仕込みに出掛けられないのです。彼女のスマホを片手に無事に一番好い席を予約したら、先日、亭主が買って帰った「秋月」という新しい品種の梨を剥いてくれたのですが、これが幸水と豊水を掛け合わせたような甘くて瑞々しい美味しさなのでした。2時半過ぎにやっと蕎麦屋に行く。

 駐車場に車を止めたら、今日は昼間なのに雀が集まっていて、電線に止まった二羽は、車の窓を開けても逃げないでおしゃべりをしている。スマホのカメラでは望遠が上手く効かないけれど、シルエットだけで記録しておきました。明日はもう雨になると言うから、秋晴れの最後の日なのです。雨が降ったその後は、また一段と涼しくなるのでしょうね。金木犀の黄色い花も散り始めてきたから、季節は目まぐるしく変わっていくのです。

 厨房に入っての冬瓜の煮物作りは、まずは出し汁を沸かして鶏の胸肉の粗挽きを入れ、今日唐辛子を輪切りして加えたら、午前中に下茹でした冬瓜を入れて、砂糖と塩と出汁醤油少々で味つけをするのです。これを冷ましている間に切り干し大根の煮物を作り、小鉢の二品が完成。奥の座敷に干してあった洗濯物を畳んで、洗濯機の中の洗濯物を干しておく。家に帰れば、夕食には今日買って帰った活きの好いサンマが焼かれていました。脂が乗って美味しかった。



10月5日 水曜日 暗い空、午後のような午前 …


 今朝もゆっくりと目覚めた。涼しいからよく眠れるのだろうか。今日は朝のうちにムクゲの枝を剪定してやろうと思っていたら、ゴミ出しから帰って来た女将が「雨が降っているわよ」と言う。夏の終わりに枝を随分払ったはずなのに、秋に入ってからもまだ伸びるらしく、道路側に大きくせり出しているのです。奥にある黄色い花を付けたカッシアは、枝が伸びすぎると道路に花びらが散って掃除が大変だからと、夏に短く切り詰めておいたのです。

 庭の団扇サボテンも、ついこの間短く切り詰めたはずなのに、また棘のある葉をどんどん伸ばしている。花の時期も終わったから、再び剪定をしなければならない。この種の植物の生命力は恐ろしい程なのです。蕎麦屋のカッシアや二本あったオリーブの木は、切り詰めすぎて枯れてしまったけれど、サボテンは不死身なのかも知れない。外にあっても寒い冬を十分に越して育つのです。この葉を天麩羅にすると美味しいという話を聞くけれど、本当なのだろうか。

 昨日買って帰った新サンマは四尾でひとパックだったから、今朝も当然サンマの塩焼き。大根がなかったから、ミョウガを刻んで添えてくれた。一人分だけ残っていた野菜サラダは、ウインナソーセージと炒めて出されていたけれど、塩と胡椒でなかなかの味なのでした。後は蕎麦屋の小鉢の最後の残り。それにしても美味しいサンマなので、頭と中骨だけを残して綺麗に食べてしまう。入れてもらったお茶を飲みながら、今日の仕込みの段取りを考えるのです。

 今日は遅い午後から整形外科へ行って、薬をもらって来なくてはならない。店のエアコンの修理も頼まなくてはならないし、夜は再開された防犯パトロールに出なくてはなどと、やることが多かったから、午前中に出来るとこまでやっておきたかった。蕎麦屋に着いてまずは洗いかごに伏せたままの昨日の洗い物を片付け、返しを作る準備。味醂が足りるかと心配したけれど、何とか間に合った。ワインビネガーはそろそろ注文しておかなくてはならない。

 外はどんよりと曇って、まるで夕方のような暗さなのでした。5リットルの鍋が沸騰する前に火を止め、そのまま隣のコンロに移して自然に冷めるのを待つ。空いた火口で蕎麦豆腐を仕込み、明日のデザートの水羊羹を作って豊缶に流し込む。こちらも自然に冷めるまで動かせない。その間に蓮根の皮を剥き、酢水に浸けたらそのまま火にかける。次ぎに南瓜の種を取り、端を揃えて切ったら、端切れは煮物用に冷凍する。四つに切り分けた南瓜はラップでくるむ。

 最後に天麩羅の具材を切り分けて、容器に入れていく。生椎茸は6つ、ピーマンも半分に切って6個、茄子だけは中が黒くなるのが早いから4つだけにしてラップをかけて冷蔵庫に入れる。火にかけておいたレンコンは笊に取り、水で洗ってペーパータオルを敷いたタッパに入れておく。最後に玉葱を刻んで水で洗ったら、こちらもペーパータオルを敷いた容器に入れ、ざく切りにした三ツ葉を詰めてラップをかける。これで今日の仕込みはお終いなのです。

 時計は11時前なのでした。朝がゆっくりと眠れたからか、とても順調に仕込みが終わった。業者に電話をして海老と胡麻油の注文をしておく。ぬか漬けは、明日の夕方に業者が荷物を持ってくる時に漬ければ好い。昼前に家に戻って昼食の支度をするのが、定休日の亭主の仕事。酒屋とコンビニに寄って酒と煙草を買い、先週の残り物を使ってカレー炒飯を炒める。女将がスポーツクラブに出かけている間にひと眠りして、蕎麦屋のエアコンの修理を依頼する。

 2時半を過ぎたところで、駅前のマンション群にある整形外科に出掛ける亭主。今日は薬をもらうだけだったけれど、さっき電話したエアコンの修理担当から電話が入った。7日の金曜日の14時から19時の間に伺いますと言うからOKしたけれど、その日は車の車検見積もりの予約もしてあった。何とかなるだろうと処方箋をもらって、近くの薬局に並ぶのでした。夜のパトロールの前に女将が夕食を用意してくれたのに、6時前には雨が降りだして今日は中止。

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2022年9月末

9月26日 月曜日 雲一つない青空の広がる秋晴れの日 …

 6時前の東の空に、蕎麦屋の向かいにある森の木々の間から、朝日が昇ってきました。雲一つない空で、今日も好い天気になりそうなのです。今朝の朝飯前のひと仕事は、昨日の洗い物の片付けと、蕎麦汁の詰替え、そして洗濯物を畳んで干しての繰り返し。昨日残った生舟の蕎麦を確認して、今日は蕎麦を打たないと決めた。蕎麦粉が足りないかと心配したのですが、嬉しくはないけれど上手い具合に今日出す分の蕎麦が残ったのでした。

 今週残った一番出汁と二番出汁を容器に入れて、家に持ち帰ったけれど、「今朝はレタスと若布のスープにします」と女将に言われる。古い食材から確実に食べて行くには、彼女の指示に従うほかはないのです。蕎麦屋で残った物を家に持ってくるのは好いけれど、廃棄をせずに最後まで食べるには、その管理をする必要がある。お客がたくさん入るときは好いけれど、先週のように当てが外れて、いろいろ残ると亭主には何が先だったかもう分からないのです。

 先週、亭主が味見に蕎麦屋から持ち帰った冬瓜の煮物はほど好い味で、ホッケの照り焼きと相性が良かった。シラスおろしも昨日の大根の残り。レタスと若布のコンソメスープーも十分に美味しい。満足して食事を終えたら、例によって書斎に入ってひと眠り30分。今日は天気が好いから、シーツの洗濯をしたいと思っていた女将には悪かったけれど、すっきりとした頭で玄関を出る亭主なのです。カッシアの花の手前に今年も金柑の実がびっしりと付いていた。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、あまりにも好い天気なので奥の座敷から風呂場や洗面所まで、全部窓を開けて風通しをする。最近、掃除機をかけていないので、小さな蜘蛛の巣が張っている。八畳間は、去年、親類が集まった時のままで、家から運んだ大きなテーブルを片付けていない。襖を開けたままの押し入れには、布団が入ったままだけれど、前に家が建ってからは干す機会がない。布団干しの道具を買いたいとは思ってもなかなかチャンスがない。

 南側の庭も手つかずだし、考えたらやることが多すぎて、亭主一人の力では手に負えないのは年齢のせいか。厨房に戻って、今日の大根をおろして野菜サラダの具材を刻み、平日だからと三皿だけ盛り付けておく。天気が好いから、もしかしてサラダが出たりするのではないかと期待するのです。朝は涼しいのですが、昼になるに従って気温も上がってくるから、エアコンを入れたけれどフイルター掃除の表示が出て、作動しないから困った。

 掃除を始めると客席が汚れるから、開店前の時間ではちょっと間に合わない。窓を全開にして、今日は涼しい自然の風で切り抜けるしかない。かくして暖簾を出せば、昼を過ぎてもいっこうにお客は来ないのでした。二週続けての連休の後なので、外食を控える人たちも多いのかも知れない。空は雲一つない秋晴れで、亭主にしてみれば絶好の蕎麦日和なのに、いつまで待ってもお客は現れなかったのです。コロナも収まらず、今日は救急車の通るのを三回も見た。

 1時半になったので、今日の分として用意した天麩羅の具材を、揚げて家に持ち帰る準備を開始する。茄子とピーマンはそのままビニール袋に入れて味噌焼きの材料になる予定。用意した小鉢も蕎麦豆腐も今週は出が悪かったので、タッパに入れて全部持ち帰る。結局、蕎麦もそのまま持ち帰って定休日の昼飯になるのです。それでも食べきれない分は、明日、お袋様に持っていってもらおう。洗い物もほとんどないから、今日は女将よりも先に家に帰った。

 今日は20年も使った風呂釜の具合が悪いからと、メーカーから人が来る日なのでした。果たして、古すぎてもう修理する部品もないと言うので、新しく付け替えてもらうことにした。家を建ててから三回目の交換です。日本製だからここまで使えたのだとか。大相撲も終わって、夕刻は少し寂しい静けがさ漂う。昼を食べていなかったのに気が付いた亭主は、早めに夕食にしてもらうのでした。当然のことながら、蕎麦屋で揚げて持ち帰った天麩羅がおかずです。



9月27日 火曜日 今日も爽やかに晴れた一日でしたが …

 7時間も眠ったのになかなか起きられない朝でした。室温は23℃だったのにとても寒く感じたのは、涼しい陽気になれてしまったからだろうか。ジャージの上着を着て食堂に入れば、夕べ女将と話しておいた蒸し野菜が出ていた。蕎麦屋で残った野菜サラダをどうやって食べようかと二人で話し合ったのですが、結局、涼しければ蒸し野菜ということになったのです。小鉢の冬瓜の煮物も、茄子の味噌汁もすべて昨日の残り物だから有り難いのです。

 食後のひと眠りはさすがにしなかったから、自分で珈琲を沸かしてひと休みしたら、お袋様との仕入れに出掛ける前に、蕎麦屋に寄って洗い物の片付けを済ませるのでした。店のエアコンのフィルター掃除がまだ終わっていないから、仕入れを済ませたらまずはそこから始めないとと思うのです。農産物直売所に行けば、今朝はあまり野菜が並んでいないから、ニンジンや茄子を買っただけて帰ろうと思ったら、知り合いの農家の親父様が野菜を持て来たのです。

 「オクラがいつも美味しいよ」と言えば、「今日も朝採ったばかりだよ」と言うのでもらって帰る。切り口の綺麗なオクラは五日間の営業には十分に耐えるのです。それでも今週でもう終わりなのだそうな。季節は変わるから仕方のないこと。天麩羅には使えないけれど、里芋がそろそろ出てくるのだろうか。筑前煮の季節なのかも知れない。スーパーの野菜もだんだんと北の地方のものが増えて来て、アスパラも今日はメキシコ産なのでした。

 みんな少しずつ値段が上がっているから、レジで会計をするときに随分と高いなと感じるほどなのです。コロナ以前なら9月はお客の多い時期なのに、なぜかお客の少なかった今月は、蕎麦粉を二回頼んだり、沢山の醤油類が届いたりして、売り上げよりも食材費の方が多かった。10月からは海老や胡麻油の値段も15~20%も値上がりする。明日からは、県内の市町村の感染者数が発表されないと言うけれど、それが好いのか悪いのか、亭主には分からない。

 昼は昨日揚げて帰った天麩羅の残りをグリルで焼いて、豪華な天せいろを夫婦で食べる。午後は女将のスポーツクラブの予約があったので、2時過ぎまでは家に居なければならなかったのです。前総理の国葬の中継があったから、夕刻までテレビの前にいて、葬儀の当日に反対派の集会があったりで、ひと昔前とはやはり時代が違うのでしょう。蕎麦屋に出掛けたのは遅い午後でした。まだまだ昼は暑くなるから、最初にエアコンのフィルターを掃除するのでした。

 ところが、普段は自動掃除で便利なエアコンも、ゴミや埃が溜まると大変で、全部、分解して綺麗にしなければならないから、カレーの仕込みも冬瓜の下茹でも出来ずに夕方になってしまう。リモコンに出るフイルター掃除の小さなサインは、目の悪い亭主にはなかなか見つけられなかったのです。家に帰って女将に話せば、彼女も今日は稽古場のエアコンのフィルターを掃除したのだという。夕食は女将の作った大根の煮物がメインで、後は蕎麦屋の残りもの。

 明日は朝から忙しくなりそう。月末なのに肝心の床屋にも今日は行けなかったけれど、その分ゆっくりと出来たのは好いのかも知れない。涼しい朝と陽射しの強い昼とが続く毎日で、長袖と上着と半袖を着替えるのに忙しい。明日の予定は、まずは朝飯前のひと仕事で、カレーを仕込み、冬瓜の下茹でをして、8時半の半の床屋の開店に合わせて親父様に髪を切ってもらおう。冬瓜の煮込みを作ったら、小鉢の二品目に煮た小豆が残っているので従姉妹煮を作ろう。お新香は漬けずに三品目に揚げ浸しを作っても好い。

 


9月28日 水曜日 今日も秋らしい陽気で …

 6時過ぎに蕎麦屋に出掛ければ、駐車場に隅にある金木犀の甘い香りにふと足を止める。昨日分解して水洗いをしたエアコンのフィルターは、すっかり乾いたので今朝は取り付け作業を始めた。すべての部品を元あった通りに戻して、コンセントにプラグを入れて、リモコンのスイッチを入れてみたところ、運転の綠のライトが点滅してしまう。何処か不具合があるようなのです。何回か繰り返しても同じ状態なので、家に戻って取扱説明書をダウンロードする。

 女将の用意してくれた朝食は、例によって先週の蕎麦屋の残り物でした。残ったキュウリは糠味噌に漬けて、天麩羅の最後の残りも煮付けて、様々な工夫をしてあるのが涙ぐましい。亭主はとろみを付けてある冬瓜の煮物を、ご飯にかけて美味しく頂くのでした。今朝は後の予定が詰まっていたから、床屋の開店の時刻に合わせて、親父様の顔を見に出掛ける。今朝は先客もいなかったから、すぐに髪を刈ってもらって、そのまま蕎麦屋に行ってエアコンの様子見。

 取扱説明書を見ながらもう一度エアコンを分解して組み立ててみる。幸いに今日は涼しいからエアコンは使わないですんだけれど、何遍やっても運転を開始しないから困った。もう一度取扱説明書を熟読して、それでも解決しなければ、いよいよカスタマーセンターに連絡するほかはない。家の居間のエアコンも同じような経過を辿ったのですが、こちらは最後にもう一度フィルターをセットし直して、今は無事に運転しているのです。何が問題なのか不思議。

 11時半になったので家に戻って昼食に蕎麦を茹でる。今日はやはり店で残ったとろろ芋をおろしてとろろ蕎麦。女将の作った大根と鶏肉の煮物も、柔らかくて美味しかったのです。蕎麦はしっかりと茹でたお湯を残しておいて、蕎麦湯まで飲み干す亭主。蕎麦が大盛りだったから、満腹になってひと眠りしたいところなのでした。でも、昨日考えた予定はエアコンのフィルターのお蔭で、どんどん遅れているから、すぐに蕎麦屋に出掛けて仕込みを開始する。

 冬瓜の皮を剥いて大きな賽の目に切ったら下茹で。15分ぐらいは茹でるから、厨房の椅子に座って、次の段取りを考えながらひと休みする。カレーに入れる具材を用意しながら、デザートの水羊羹を先に仕込んでおかないと、冷えて固まるまで時間がかかる。小さな鍋に粉寒天を水と氷糖蜜に溶き、練り餡を入れて火にかけながら、豊缶を水で洗っておくのです。ミニ菜園に月桂樹の葉を採りに言ったら、生姜を刻んでいよいよカレーの具材を炒め始める。

 水の量は目分量で鍋の半分ぐらいまで入れ、隣の火口では鶏胸肉の粗挽きを炒めて冬瓜の煮物を煮始める。カレーの鍋が十分に煮立ったら二種類のルーを入れ、火を弱めて更に加熱。その間に、揚げ浸しの具材を用意するのです。いつも具が多くなりすぎて量が増えてしまうから、今日は8鉢分と決めて野菜を刻む。京唐辛子の種を取り、冬瓜の鍋に入れたら、水溶き片栗でとろみを付けて火から下ろす。中華鍋を用意して揚げ浸しの具材を炒め始める。

 野菜に火が入ったら、水で冷やしておいた出し汁に入れていくのです。ここまで一気に調理をして火を使っても、厨房は25℃と今日は涼しい。冷めて固まってきた豊缶の水羊羹にラップをかけて、冬瓜も揚げ浸しも容器に入れ、冷蔵庫に入れたら、いよいよカレーの袋詰め。8人分のルーを5袋に詰めて、冷凍室で保存する。鍋類を洗って調理台が片付いたら、明日の天麩羅の具材を切り分けて、やっと終わり。3時間以上もかけて午後の仕込みを終えるのでした。

 4時を過ぎたので家に戻れば、女将が「まだ野菜サラダが二つ残っているけれど、夕飯は何にしましょうか」と言う。カレーを作って残った鶏肉を持ち帰ったから、グリルでカリカリに焼いてもらって、その間に亭主が豚のバラ肉と野菜サラダの具材を炒めて、あんかけを作る。大皿にカリカリ焼きを載せて、このあんかけをかけたら、晩のおかずが出来上がり。レタスは若布とスープにするのでした。二日間の定休日で、やっと蕎麦屋の残り物が消化できた。

 

9月29日 木曜日 金木犀の花が香る一日 …

 今朝は6時過ぎに蕎麦屋に出掛け、蕎麦豆腐を仕込んで昨日作った小鉢を盛り付けて来た。外ではスズメたちが煩くなき騒いでいたけれど、写真を撮ろうと玄関を出るだけで、もう遠くに飛び去ってしまう。どうやら蕎麦屋の屋根の辺りに寝床があるらしいのです。エアコンの調子は相変わらずで、運転ランプの点滅が治らない。エラーコードの確認をしても、どのコードにも該当しないらしく、本当に壊れているのだろうかと思ってしまうのです。

 7時過ぎに家に戻って、女将の用意してくれる朝食を食べ、今朝も美味しく満足な亭主。昨日は午後の仕込みで疲れたからか、夜は9時過ぎにはもう眠くなって、ブログも途中で眠ってしまったのです。今朝は3時過ぎには目が覚めて、このブログの続きを書いたらまた眠ってしまう有様。満腹になった食後のひと眠りも、今日はぐっすりと40分も寝入ってしまうのでした。それもなかなか起きられずに、お茶をもらって9時前にやっと家を出るのでした。

 蕎麦屋に近づけば遠くから金木犀の香りが漂う。店の中の室温は23℃と涼しかったけれど、蕎麦を打つとまた暑くなるからと、奥の座敷に行って長袖を脱いでくる。前掛けをして先日届いた蕎麦粉を計量し、今日の蕎麦を打ち始めるのです。春蕎麦は終わったというので去年の秋の蕎麦だから、念のために加水率は42%にして捏ね始めれば、これがちょうど好い具合で、しっとりと粘りのある仕上がりなのでした。蕎麦玉にしてビニール袋に入れて寝かせておく。

 伸して畳んで包丁切りをすれば、切りべら26本で140g前後の束が8食分綺麗に生舟に並ぶのでした。今日も涼しいから、そんなに多くのお客は見込めないけれど、蕎麦だけは最低限用意しておかなくてはならないのです。厨房に戻って大根と生姜をおろし、薬味の葱を刻んだところで、大釜の湯が沸いたので4つのポットに入れる。10時を過ぎたから、そろそろ野菜サラダを作る準備。ブロッコリーとアスパラガスを茹でて水にさらし、レタスを洗って笊に取る。

 いつもの国産のアスパラに比べると、随分と太いメキシコ産だったけれど、3分ほど茹でたら柔らかくなっていた。一本60円近くする代物だったから、硬くて筋があったのでは堪らないのです。この天気だからお客が来ないのも予想されたし、ましてや野菜サラダが出るとは思えなかったのですが、最初に決めたとおりに三皿盛り付けておく。残ったら残ったでまた家に持ち帰って、今夜は何に添えて食べようかと、ついつい考えてしまうのです。

 暖簾を出してお客を待てば、昼前に自転車に乗ったお父さんと娘さんがいらっして、今日は幼稚園の模擬入園に参加してきたのだと言う。天せいろとせいろ蕎麦を頼まれたから、娘さんの蕎麦を先に茹でてお出ししてから、天麩羅を揚げる。お父さんが、もう直ぐ三歳になる娘さんに蕎麦を食べさせている間に、天せいろが出来上がるのでした。小さな女の子が「お蕎麦が美味しい」と言うから驚いた。家ではラーメンばかり食べているのだとか。

 それっきりお客はなく、1時を過ぎたら女将がやって来て、例によって亭主がスマホでスポーツクラブの席取り予約をしてやる。それでも片付け物を手伝ってくれるから随分と助かるのです。2時半前には蕎麦屋を出て、家に戻れば庭のカッシアの黄色い花が、青空の覗いた午後の空に映えているのでした。梨を剥いてもらって、今日の売り上げと写真のデータをパソコンに入力したら、書斎のエアコンを効かせて、亭主は夕刻までぐっすりと眠るのです。



9月31日 金曜日 爽やかな秋の日に値上げの足音が …


 午前五時半の蕎麦屋からの眺めは気持ちが好かった。冷えた空気が畑の中から昇る温かな湿気を冷やして朝靄が広がるのです。昨日はお客が少なかったから、今朝はあまり仕事はなかったけれど、心配なのは運転できないエアコンの事で、コーヒーを飲みながらもう一度取扱説明書を読み直してみる。もう一度エラーコードを確認しても、耳の遠くなった亭主には、特に高音のピッという音が聞こえずらく、どのコードで鳴っているのかの確認は難しいのです。

 昨日の洗い物を片付け、洗濯物を畳んで、蕎麦汁の数と残った蕎麦の確認をして家に戻るのでした。昨日よりは天気が好いらしく、女将も朝の洗濯に精を出しているのです。朝食は昨日と同じ鰺の開きと茄子とピーマンの味噌焼きに、お新香が付いて亭主には十分な質と量なのでした。今日は蕎麦は500g打てば十分だから、少し眠れるかと思ったけれど、そう言う日に限って眠ることが出来ない。朝ドラの終わる時間に家を出て、蕎麦屋に向かうのでした。

 みずき通りのハナミズキもすっかり紅葉して、今朝の青空に映えているのでした。蕎麦屋に着けば例によって小雀たちが集まって、モミジや金木犀の木で遊んでいる。駐車場に近づけばすぐに飛び立って、逃げ遅れた二羽だけが電線に止まっているのでした。身体が随分と大きくなっているのには驚きました。看板と幟を出してチェーンポールを降ろして、店の窓を全開にして涼しい空気を入れる。室温は昨日よりも1度高く24℃なのでした。

 昨日の蕎麦がだいぶ残っていたから、今朝は500g五人分だけ打ち足して、生舟に蕎麦の束を並べる。温度が1度高いだけなのに、湿度のせい、今朝は同じ加水率でも少し柔らかい生地に仕上がった。伸し加減を強めにしたら幅が60cmほどに広がってしまい、生地は薄めで、包丁切りの際に切りべら28本にする必要があった。柔らかい生地だから、当然、多少の切りむらも出てくるのです。最近は、あまり神経質にならずに、手打ちだからしようがないと考える。

 10時40分だったか、蕎麦屋の前に団地の中を回って駅前のショッピングモールに行くバスが止まる。駅から左回りで来る市のコミュニティーバスは、停留場が50mほど先にあるけれど、この辺りは手を上げれば止まってくれる区間なのだとか。どちらも車に乗らない老人が多く利用しているのです。全開にした窓からは金木犀の香りが漂ってくる。今日は北からの風だから、店の中は思ったよりも涼しいので助かった。エアコンを早く何とかしなければいけない。

 蕎麦打ちも少しで朝が少し早かったからか、休み休みやっていても、野菜サラダの具材を刻んで盛り付けを終えたら、まだ10時半なのでした。この時間に奥の座敷と廊下と洗面所の掃除機をかける。大釜の湯が沸いてポットに湯を入れ、油を天麩羅鍋に入れ、天つゆの鍋を隣の火口にかけ、天麩羅の具材と天麩羅粉を冷蔵庫から出したら、もう開店の準備は終わっていた。これで11時だからちょっと早すぎる。テーブルをアルコールで拭いてひと休み。

 開店10分前に駐車場に車が入って来たので、見れば隣町の常連さんでした。「早いけど好いですか?」「お湯が沸いているからどうぞ」と亭主は暖簾を出す。いつものご注文で、野菜サラダに特注の天麩羅と辛味大根にせいろ蕎麦。全部出し終えた頃に、もう一台の車が入って、こちらは高齢の女性と娘さんらしいお二人で、天せいろとヘルシーランチセットのご注文。追加で串焼きまで頼まれた。90歳を越えるというお婆さんが、しっかりと天せいろを食べた。

 皆さんが帰られてからは、1時になってもお客は来そうになかったから、洗い物を終えたら、亭主は賄い蕎麦を食べておく。あとは閉店の時間を待つばかり。昨日よりはお客が増えたので好しとするべきなのでしょう。家に帰れば女将はまだスポーツクラブから帰っていなかった。ひと眠りして、夕刻にはまた蕎麦屋に出掛けてぬか漬けを漬けてくる。帰りに酒屋を回って酒を買う。今日は何故か駐車場も満配で、客は皆、ビールを何ケースも買っているのでした。

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2022年9月下旬


9月20日 火曜日 彼岸の入りだったけれど …

 台風一過の強い南風の影響で、今朝は28℃と異様な暑さ。庭の木槿がまた咲き出して、夏の名残りを感じさせるのでした。朝食後に蕎麦屋に出掛けて、昨日の後片付けをしたら、洗濯物を干して出汁取りの準備を済ませる。レンジフードを外して大釜に入れ、ついでに天麩羅鍋ももう一つの大釜に入れて、それぞれに重曹の粉を振りかけてお湯で浸けておく。子ども会の廃品回収に出す段ボールと新聞紙を持って家に帰るのです。それから今日の仕入れに出掛けた。

 お彼岸の墓参りの花を買うからと珍しく女将も一緒に、お袋様を迎えに行き、農産物直売所と隣町のスーパーに出掛けるのでした。農産物直売所では、台風の後だからと農家も野菜を持ってくるのが遅れているらしく、目当ての野菜があまり手に入らなかったので、隣町のスーパーでほとんどの品を揃えなければなりませんでした。三連休後のスーパーはいつもより空いていたので、女将とお袋様を送り届けて、10時前には蕎麦屋に戻って野菜の検品。

 朝のうちにお湯に重曹を入れて浸けておいたレンジフードの様子を見れば、油汚れが綺麗に落ちているから嬉しかった。これを午後にもう一度沸かして、さらに汚れを剥がすのが楽しみ。あとは台所洗剤の原液を使って、傷の付かないようにタワシで擦れば好いのだろうと考える亭主。今までにいろいろな方法を試してみたのですけれど、やはり重曹の威力が一番凄い。銅の天麩羅鍋はあと少しで全部の焦げが落ちるのですが今週で三回目の挑戦です。

 昼飯は、蕎麦屋で残った野菜でカレー味の肉炒めを作り、レタスと三つ葉と椎茸の残りでスープをこしらえて、簡単に済ませる。女将が庭のアンデスの乙女が花を咲き始めたと言うので、外に出て写真を撮る。カッシアの花が咲くのは秋口だったかしらと、もう去年の事は忘れているのでした。一面に黄色い花が付く姿はとても綺麗なのです。雨が上がったら墓参りに出掛けようと、お袋様とも話していたのですが、午後はずっと雨が降っているのでした。

 仕方がないから、女将は稽古場に入って作品を書き始め、亭主は女将のスポーツクラブの予約を終えたら、蕎麦屋に出掛けて出汁を取り始める。雨はシトシトと休みなく降り続く。後ろのレンジでは二つの大釜で、天麩羅鍋とレンジフードを煮ているのです。汚れがどんどん落ちて、大鍋の湯が真っ黒になるから凄い。一番出汁を取り終え、返しを加えて蕎麦汁を作ったら水で冷やして、次ぎに二番出汁を取り始める。時間がかかるからここで珈琲を入れる。

 カウンターの上には、以前メニューに珈琲を載せていた時に使っていたコーヒーメーカーが置かれたまま。本場イエメン産の炭火焙煎のコーヒーモカマタリを入れて、お客に出すのを楽しみにしていたのですが、蕎麦屋で珈琲を飲む人の数も減って、メニューから外してしまった。週末の夜の営業もそろそろ始めても好いかと思っているけれど、コロナの終息が今ひとつ … 。二番出汁を取り終えて水で冷やしている間に、冷やした蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めていく。

 天つゆを仕込み、鍋やボールを洗って4時過ぎには家に戻る亭主でしたが、思ったよりも仕込みがはかどらない。明日に延ばした彼岸の墓参りも、お袋様の都合で朝のうちに出掛けることにした。家に戻れば、亭主が焼売を作った皮の残りで、女将がチーズ揚げを作ってくれる。横綱が休場で大関が全員負けるという大相撲を見ながら、若い世代の台頭を切実に感じる二人。30代前後の力士が活躍する世界でそれだから、さらに年寄りの世界ではどうなのだろうか。


9月21日 水曜日 やっと墓参の日 …


 朝の6時過ぎに蕎麦屋に出掛けたら、いつものように雀の群れがピーチクパーチクと賑やかなのでした。写真を撮ろうと近くに寄れば、目の好い彼等は一斉に飛び立って電線に止まる。屋根の雨樋のあたりに巣があるのかも知れない。雀も群れるのかと意外に思う亭主なのでした。定休日の朝だからこんな暇もある。今朝は昨日の洗い物の後片付けと、レンジフードに重曹を入れて二回目の洗浄をするのが目的だから、涼しい朝の店に入って仕事を始めるのでした。

 今朝は8時半からお袋様を迎えに行って、近くの霊園に墓参をする予定だったから、あまりゆっくりはしていられない。重曹の威力は大したもので、大鍋で沸かしたらレンジフードの油汚れもどんどん落ちていく。ただ、その後が、台所洗剤の原液でタワシで擦ったくらいで綺麗に落ちるものなのかが、ちょっと心配なのでした。やはりひと月に一度ぐらいは掃除しないと、綺麗に落ちないのかも知れない。火を止めて後は昼間の仕事と、家に戻るのでした。

 幸いに雨は降らずに曇っていたから、女将とお袋を車に乗せて霊園まで行けば、まだ誰も来ていなかった。手分けをして我が家の墓と女将の親の墓と、弟の家の墓の三つの墓所の草取りを済ませ、花を供えて線香を焚く。「やっぱり花があると好いわね」とお袋様が喜んで、三箇所の墓を次々に参るのです。朝の9時前だから他に人もなく、無事に墓参を済ませて家に帰るのでした。お袋様もこれから病院に出掛け、午後は集会所で体操だと言うから忙しい。

 女将を家まで送って珈琲を入れてもらったら、亭主も9時過ぎには蕎麦屋に出掛ける。昨日は出汁取りだけで終わったから、今日の仕事は沢山あるのです。小鉢を二品仕込んで、天麩羅の具材の切り分けと、デザートと蕎麦豆腐を作らなければいけない。午前中に何処まで出来るか、残った時間との闘いで、まずは切り干し大根の煮物を作る。隣の火口では天麩羅の具材のレンコンを下茹でしておきます。次ぎに冬瓜の皮を剥いて、下茹でしたらもう11時になった。

 冬瓜が透き通ってきたらオクラを輪切りにしたのを入れ、一緒に笊に上げる。ここまでやったところで11時になったから、家に戻って昼食の準備をするのでした。今日は気温が随分と低かったから、昼食は女将もラーメンと餃子で好いと言うので、亭主は嬉しい限りなのです。餃子もだいぶ前に包んで冷凍してあるし、ラーメンや、チャーシュー、シナチクなども用意してあったのです。東京の下町育ちの亭主にとってはまさにソウルフードなのでした。

 餃子を焼くのは女将に任せて、亭主は麺を茹でてラーメンを仕上げる。余分なものは入れずに、葱を刻んで海苔を載せただけのオーソドックスなラーメンを作るのです。亭主の少年時代に東京の下町では、30円ラーメンというのがあって、なるととハムと葱だけが乗ったラーメンを食べさせてくれる店があった。仲間と連れだった少年たちが年に一度の贅沢で、昼を食べた記憶がある。父に連れられて夜泣き蕎麦を食べに行ったのも、ラーメンの美味しい記憶。 

 母がやはり調理師だったこともあって、チャーシューも自前で作る事を覚え、若い頃はラーメン屋を次々と食べ歩いたものでした。それが渓流の釣りに惹かれて山里を巡っているうちに、美味しい蕎麦と出会って、歳を取ってみると、やはり蕎麦が好いと思うようになったのです。調理師学校を卒業する頃には、ラーメン屋ではなく蕎麦屋を開業しようと思っていたから、亭主の心の中ではごく自然な成り行きと言えると言えるのかも知れない。

 女将がスポーツクラブに出掛けている間に、昼寝から目覚めて蕎麦屋に出掛け、午後の仕込みにかかるのでした。明日ののデザートには抹茶小豆を仕込んで、蕎麦豆腐を作ったら、天麩羅の具材を切り分ける。朝から重曹で煮ていたレンジフードの掃除が一苦労で、換気扇の掃除までは出来なかった。4時過ぎに家に戻って大相撲を見ながら一献。夕食には、先日、亭主の作った焼売が出されて、昼に続いてとても美味しい料理なのでした。



9月22日 木曜日 台風の合間に … 


 涼しい朝でした。長袖を着込んで更に上着を着なければならないほどの陽気なのでした。6時前に蕎麦屋に行けば、今朝は毎朝賑やかな雀たちの姿が見えない。ちょっと寂しい気もしたけれど、彼等も巣立っていくのだろうからと、老いて取り残されるのは自分だけのような気がしたのです。厨房に入って小鉢を盛り付け、今日のこの涼しさではお客はあまり見込めないと、夕べはお新香を漬けないで正解だったのです。昨日の洗い物を片付けて家に戻る。

 台所では女将が朝食の用意をしていたけれど、定休日明けだから少し遅めの開始なのでした。遅い時間に慣れてしまうというのは、亭主ばかりでなく同年代の彼女も同じなのです。それでも亭主が小鉢の盛り付けを手伝って箸を揃えている間に、ベーコンエッグを作りながら茄子を焼いて、10分後には豚汁をよそって炊いたばかりご飯を持って来てくれた。蕎麦屋の向かいの畑の親父様から頂いた長ナスがやっと終わったと言う。大蒜も今日で終わりなのでした。

 7時半には食事を終えて、書斎でひと眠りしようと横になったけれど、すんなりと寝入れないので起き出して洗面所に行く。髭を剃って着替えを済ませれば、もう出掛ける準備は完了です。考えたら昨日も早い時間に床に入ったから、これも習慣のなせる術なのでした。朝ドラの終わる時間に家を出て、蕎麦屋に着いたら看板と幟を出してチェーンポールを下げる。でも、少し早すぎるから厨房で珈琲を沸かしてひと休み。掃除をした換気扇のフードが綺麗です。

 今日の段取りをシュミレーションしたら、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。こんな涼しさだけれども、750g八人分を打つしかないのでした。足りなくなるということはまずない。明日の休日も終日の雨だと言うから、むしろ週末に向けての蕎麦の残り具合が気になるのです。蕎麦粉の残りはあと僅か。いつ注文をしようかと考えているけれど、売り上げが出ないと代金を支払うのも難しい。今日も夕刻には業者が海老と鴨肉を持って来るのです。

 一回しか打たない蕎麦打ちは気も楽だけれど、その分気合いを入れて好い蕎麦を仕上げたい。今朝の店内は、21℃とつい先日よりも4℃も低く、湿度は50%と乾燥しているから、加水率を42%強にして、蕎麦粉を捏ね始める亭主。これがぴったり当たって、ちょうど好い硬さの蕎麦が仕上がった。季節の変わり目は、加水の量を見極めるのが難しいのです。これで今日のお客様には胸を張って美味しい蕎麦をお出し出来ると嬉しいのでした。

 10時過ぎに厨房に戻り、二つの大釜に火を入れて、野菜サラダの具材を刻み始める。今週はなかなか好いアスパラが手に入った。平日だから三皿を盛り付けて、天麩羅鍋に新しい油を注ぎ、天つゆを温める。ポットに沸いたお湯を詰めて、11時には開店の準備がすべて整ったので、テーブルをアルコール消毒液で拭き、床のゴミを掃く。暖簾を出す前に、もう蕎麦屋の裏からご夫婦が歩いていらっして「少し早いですけれど」とテーブルに座るのでした。

 奥様がカレーうどんをご注文で、ご主人はぶっかけ蕎麦の冷たいのと言う。独りでこなす厨房では、天麩羅を揚げてカレーの汁を作るのは結構大変だけれど、お茶を出したら盆と器に小鉢とサラダと薬味をセットして、お二人同時に出せるように頑張った。会計を済ませたご夫婦が帰る頃に、車が一台駐車場に入って、女性お一人の客がご来店。空いているからかテーブル席に腰を下ろして、またぶっかけ蕎麦の冷たいのをご注文なのでした。

 以前にもいらっしたお客だと話をしていて亭主も思い出す。今日はマンション住まいで料理教室を開いているという話も聞いた。昔は隣町で亭主も知るカフェもやっていたそうな。その頃にも店に蕎麦を食べに来たのを思い出す。小さな畑の出来る土地を捜して料理教室をやりたいというので、個人の開業の辛さを知っているから、年齢を尋ねて、新築の家を建てるのはお止めなさいと言う亭主。団地の中でも空き家はあるから、見て回ればと地図で案内をする。

 「後10年もすればこの蕎麦屋も止めるだろうから、それまで待てればここを譲ってあげるよ」と言えば、厨房や奥の座敷やミニ菜園を見て回るのでした。彼女のイメージにあった店の作りのようで、「また来ます」と言って、団地の中を見に出掛けた様子。1時を過ぎたら女将が来て、洗い物の片付けをしてくれた。閉店前にもお客がいらっして、この陽気ではまずまずの入りか。夕刻に荷物を受け取りにまた蕎麦屋に出掛け、お新香を漬けて家に戻るのでした。


9月23日 金曜日 秋分の日は意外と天気が持って …

 5時半を過ぎて明るくなった頃に、蕎麦屋に出掛けて糠床からお新香を取り出して、小鉢に盛り付ける。今日は終日の雨という予報だったのが、何時の間にか変わって曇りになった。いずれにせよ、やることは変わらないから、もくもくと昼の開店に向けた準備を進めるのでした。昨日の蕎麦は生舟に4つ残っていたから、今日はいつもどおり750g八人分を一回打ち、12食の蕎麦を用意しておこうと考える。早めに家に戻ったら、珍しく7時前に女将が台所に入る。

 先日店で残ったカレーを温めて、今朝は亭主だけ豚汁とカレーなのでした。大盛り用にカレーを袋に詰めて凍らせるから、普通盛りを頼まれて温めると、どうしても丼に入り切らないので、残ったものを家に持ち帰って来るのです。ちょっと食べるにはちょうど好い分量。これで十分に満足して身体も温まり、書斎に入って横になればすぐに眠りに落ちる。昨日も早く休んだのに、よく眠れるものだと、自分でも感心するのです。30分も眠れば頭もすっきりです。

 玄関を出れば団扇サボテンの黄色い花が亭主を見送ってくれた。本来は夏の季節に咲く花だけれど、今年は秋になってもまだポツポツりと咲いている。新しい葉も大きくなって、いくら切っても増えてくる生命力の強い植物なのです。ただ、棘があるので女将が洗濯物を干すときに刺さるといけないと、短く切り詰めてあるのです。同じ黄色の花を付けてきた庭のカッシアを見上げながら、今日も蕎麦屋に出掛けるのでした。今日はお日彼岸の中日です。

 いつもの朝の仕事を終えたら、9時前には蕎麦打ち室に入り、今日の蕎麦を打つ。昨日とは違って湿度は高く、室温も3度ほど高かったから、今朝は42%の加水率で蕎麦粉を捏ね始めるのでした。予想は見事に的中して、しっとりとした生地に仕上がり、蕎麦玉にして寝かせている間に厨房に戻る。大根をおろして冷蔵庫に入れたらひと休み。女将がやって来る頃にはまた蕎麦打ち室に入り、伸して畳んで包丁切り。無事に八束の蕎麦を生舟に並べるのでした。

 10時になったら二つの大釜に火を入れる。そう決めておかないとたまに忘れることがあるのです。そして、ブロッコリーとアスパラを茹でて笊に上げる。こちらも最近はタイマーを使って上げる時間を決めている。歳を取ると、他の事を始めて前の仕事を忘れることが多いので、気をつけないといけないのです。レタスを水で洗い、キャベツの千切りを済ませ、アーリーレッドをスライスして、パプリカを刻む。休日だけれど今日も三皿のサラダを盛り付けておく。

 11時前には大釜の湯が沸いて、ポットに詰めて蕎麦茶も用意するのです。天麩羅鍋に油を注ぎ、天つゆを用意したら、天麩羅の具材と天ぷら粉を調理台に出して、開店の準備が整うのでした。昨日よりも湿気があるけれど、気温はそれほど高くないので、窓を開けたら、カウンターの椅子に座って、早お昼を食べに帰った女将が戻るのを待つ亭主。どんよりと曇った天気が気になるけれど、三連休の初日だから、まさかいつもよりはお客が来るはずと期待する。

 暖簾を出したら、女将と二人でじっとお客の来るのを待つのですが、今日は1時間経っても客の姿は見えない。休日はお客の出足が遅いとは言え、とうに昼の時間は過ぎているから心配なのです。やっと最初のお客がいらっしたと思ったら、女将が注文を取って亭主が天麩羅を揚げているうちに、お客が次々に入ってくるではありませんか。駐車場は満杯で、歳を取ったお婆さんは路肩に車を停めていらっしゃる。満席の看板を出して一つ一つ蕎麦をお出しする。

 片付けも終わらないうちに、また次のご夫婦がいらっして、暖かいぶっかけの蕎麦とうどんをご注文。今日は用意しておいた天麩羅や掻き揚げの具材も底をついた。やっと最後のお客が帰ったのは、もう閉店の時間で。暖簾と幟をしまって、まったく手を付ける暇がなかった洗い物を始める亭主。こんな日もあるのです。黙々と仕事をこなした女将に感謝。3時過ぎに家に帰ってひと眠りしたら、夕飯前にまた蕎麦屋に出掛けてお新香を漬けてくるのでした。



9月24日 土曜日 台風はいつ来るのか?


 先日からニュースで大騒ぎをしていた台風15号は、温帯低気圧に変わったと夜になって知った。最近は情報が多すぎて、肝心の自分の住んでいる地域に、どれくらい台風が近づいているのか、ネットで気象庁の台風情報、雨情報をみてやっと理解するのです。女将などはスマホの市内の今日の天気を見ているらしいけれど、洗濯物を干すには、自分の目で空の様子を見て確かめた方が好いと言う。今朝は激しい雨の音と雷鳴で早くから目が覚めたのです。

 5時半過ぎにガレージから車を出すときも、稲光と雷鳴が鳴り響いてあたりが怖いほどなのでした。蕎麦屋に出掛けて夕べ漬けたお新香を取り出し、明日のために出汁を取って小一時間を過ごす。雨は次第に収まって、辺りが十分に明るくなったのでひと安心。朝刊の県内感染者数欄を見れば、人口の少ない割には佐倉市だけ200名を越えているから不思議です。毎日、蕎麦屋の前を救急車が通るのは、皆、コロナの感染者なのだろうか。

 家に帰れば女将は朝食の支度中。ベーコンエッグと豚汁で今日も美味しい朝食にありついた。食後はひと休みしたら書斎に入ってひと眠り30分。今朝は雨と雷のお蔭で3時半から目が覚めて、ちょっと寝不足気味なのでした。朝ドラの終わる時間までには洗面と着替えを済ませ、女将に頼んで珈琲を一杯入れてもらう。まだ雨は降っている様子でした。仕方がないから傘を差して蕎麦屋に出掛ける。みずき通りのハナミズキが随分と紅葉してきた。

 蕎麦屋に着けば、今朝は小スズメたちがまだモミジの樹の辺りで賑やかなのでした。亭主が近づくと一斉に飛び立っていく。店に入って今朝は蒸し暑いのでエアコンを入れたら、看板と幟を出してチェーンポールを降ろす。蕎麦打ち室に入って蕎麦粉を計り、計量カップに水を汲んでくる。蕎麦粉が残り少なかったので、取引先の農場に電話をかけて発注をかけておく。月曜日の午前中に到着と言うから、明日の混みよう次第ではハラハラものなのです。

 今日も750g八人分の蕎麦を打って、昨日の残りと合わせて12食分を用意する。この天気ではお客もあまり期待できないのです。ところが、しだいに雨は止んで青空まで覗いてくるから分からない。時折、薄陽も差してきたのです。それでも野菜サラダは週末だけれど三皿だけ盛り付けて、開店の準備を済ませる。雨だった天気予報は南風の曇りに替わり、例によって昼過ぎまではお客の姿がない。やっと駐車場に大きな外車が入ってきたと思ったら、また一台。

 三台目も大きなワゴン車だったから、入れないだろうと思っていたら、「他に駐車場はないのですか?」「済みません。これだけなんですよ。」と応えれば帰って行く。家族連れやご夫婦が帰った後に、また車が入ってきた。雨が止んでいるうちにお客が来てくれて幸いなのでした。最後のお客が帰ったらもう閉店の時間で、亭主はうどんを茹でて、ぶっかけにして賄い飯を食べておくのです。蕎麦は明日のことも考えて残しておいた方が好いと思ったのです。

 台風の来るという今日の天気では、まずまずのお客の入りで有り難い事でした。雨は、時折、激しく降って、洗い物を片付けて帰る頃にはすっかり上がったので好かった。世間では後半の三連休、明日はその最終日で晴れると言うから、楽しみなのです。ただ、蕎麦粉が底をついているので、あとどれくらい蕎麦が打てるのだろうかと心配です。最悪、月曜に蕎麦粉の届くのが遅ければ、「準備中」の看板を出して蕎麦を打つしかないと、逃げ道を考えておく。

9月25日 日曜日 台風一過の晴天だったけれど …

 今朝は朝飯前のひと仕事に出掛けなくて済んだので、ゆっくりとした朝のひとときを過ごしました。故ジャンポール・ベルモントの「カトマンズの男」をテレビで見て、50年以上も前の映画なのに、テンポといい色彩といい、賑やかな明るさが心に響いたのでした。その時代の映画に詳しい台所にいた女将が顔を出して、ヒロイン役の「ウルスラ・アンドレスは007に出た人でしょ」と解説をしてくれる。食後は例によって書斎でひと眠り30分なのでした。

 今日は晴れるという予報だったけれど、蕎麦屋に着いてもまだ曇り空。日曜日だからと張り切って来てみたけれど、涼しいのであまりお客は見込めないかとは思ったのですが、蕎麦は最後の蕎麦粉を使って750g八人分を打って、15食の蕎麦を用意したのです。室温は25℃、湿度は60%だったから、加水率を22%に戻して蕎麦粉を捏ねて、エッジの効いた綺麗な蕎麦が打てた。もうそれで満足。明日は明日の風が吹くと、馬鹿に出来ない日曜日に期待するのでした。

 野菜サラダも今日は四皿盛り付けて、なんとかお客が来ないかと願ってはみたけれど、この二日間と同じようにお客の出足は遅いのでした。外は陽が出て来たので少し気温も上がったけれど、窓を開けても26℃とかなり涼しい陽気なのです。台風の過ぎた連休最後の休日は、もっと何処かに出掛けたいと思う人が多いのかも知れないのでした。12時半過ぎに、やっと最初のお客が歩いていらっして、カウンターに座って天せいろのご注文。

 続けて車でいらっしたご夫婦が、やはりカウンターに座ってせいろ蕎麦と天せいろを頼まれる。油は温まっているから、すぐに天麩羅を揚げてせいろ蕎麦と一緒にお出しする。しかし、それきりお客は来なくなって、こんな天気の好い秋の日に、蕎麦を食べようというお客が来ないのは不思議なのでした。1時を過ぎてもお客がないから、亭主は残った天麩羅の具材を揚げて、賄い蕎麦を食べておくのです。青空が広がって気持ちの好い陽気。

 閉店の間際になって、少しずつ片付けを始めていたら、駐車場に車が入ってくる。大釜の火は消していなかったので、注文を聞いて天せいろを二つ仕上げる。前のお客との時間が空いている時は、来客の姿が見えたらとにかく天麩羅鍋に火を入れておくのです。銅の天麩羅鍋は温度が下がらないのだけれど、さすがに30分も火を止めておくとすぐには温まらない。箸に溶いた天麩羅粉を付けて、油に落としてみながら、ジューッと浮き上がるのを見極める。

 最後のお客が帰ったのは2時をだいぶ過ぎていたけれど、他の洗い物は済んでいたから2時半には店を出る。こんな好い天気なのにお客が少なかったから、明日は蕎麦を打たなくてもちょうど好い。今月は珍しく週の来客数が30名には届かなかった。雨や台風の影響もあったから仕方がないのでしょう。それよりも悪天候の中を蕎麦を食べに来てくれた事を有り難いと思わなければいけない。家に戻れば、カッシアの黄色い花が今日の青空に映えているのでした。

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2022年9月中旬

9月12日 月曜日 蕎麦日和なのにお客がなかった …

 今日は思ったほど雲が多くないので、青空が見えて爽やかな朝でした。それでも明日が定休日なので、蕎麦は打たないと決めていたから、昨日の残りの蕎麦だけで売りきれにするつもり。蕎麦屋に着いて、昨日の蕎麦の状態と冷蔵庫の小鉢や蕎麦汁の数を確認して、まだ早すぎるからと南側のミニ菜園に出て草取りを始める亭主。涼しいから7mほど進んで、ちょうど袋が一杯になったところで終わりにするのでした。あと何回やれば南側の菜園を終えられるか。

 紫蘇の葉の陰に居場所のなくなったバッタが逃げ込んでいた。お隣との境のブロック塀にはカナヘビが避難している。草が生えている間に、いろいろな生き物が住み家にしているから、草刈りを怠けているのも、まんざら悪いことではないという気になる。明日は業者が店のゴミを回収に来る日だから、どうしても今朝のうちに少し終わらせておきたかったのです。蕎麦を打たないと、朝の時間に随分と余裕があるから、好いような悪いような複雑な気分です。

 子どもの頃に家でよく見かけたカナヘビは、近ごろではすっかり見かけなくなった気がするのだけれど、この歳になってやっと子どもの頃のように、小さな生き物を見つける余裕が出来たと言うことなのかも知れない。蕎麦屋が忙しいときにはそんな暇もないだろうから、コロナ禍で草刈りをする暇が出来たのがその一因なのでしょう。ゴミ袋を西側のゴミ置き場まで運んで、手洗いを済ませて厨房に戻るのでした。まだ9時過ぎだから時間がありすぎる。

 まずは珈琲を入れてひと休み。外は晴れているから天気予報よりも気温は上がるかも知れない。用意した蕎麦は7食限りだから、もしかすると足りなくて大変になるのかも。しかし、天気が好くても涼しいから、そんなに甘くはないのかも。データでは最近の月曜日は、1~8名のお客だから、多分大丈夫だと自分に言い聞かせる。野菜サラダの具材を刻むのはまだ早すぎる。あまり早すぎるとキャベツやニンジンの千切りが乾燥してしまうのです。

 このところ、野菜サラダは毎日のように残っているから、そろそろ家で食べるのにも飽きてきた。野菜も随分と値段が上がっているので、贅沢な話だけれど、食べ方の工夫が足りないのかと、タブレットでいろいろ検索してみる。ついでに秋に植える野菜を見れば、リーフレタスやホウレン草などの葉物野菜や、来春に収穫のサヤエンドウ。今年はこのサヤエンドウを植えたものだから、他の夏野菜が植えられなかったので要注意。ホウレン草は店では使わない。

 やっと10時を過ぎたので、大釜に火を入れて、野菜サラダの具材を刻み始める。材料は今日までに使い切れるようにと仕入れているので、そんなに出るはずもないけれど、やはり三皿分盛り付けておく。天麩羅の具材を調理台に並べ、油を天麩羅鍋に注いで、天つゆの鍋をレンジに載せたら、後は店のテーブルをアルコール消毒液で拭いていく。いつもなら10分前には暖簾を出すのだけれど、用意した蕎麦が少ないので、今日はちょっと躊躇われるのでした。

 あれこれと心配を重ねて始まってみれば、天気が好いのにお客は来ない。天気予報も曇りから晴れに変わって蕎麦日和になったけれど、一向にお客の来る気配はないのでした。そもそも蕎麦屋の前のバス通りを通る車の数も少ないし、いつもならこんな陽気で散歩する人影も見えないのです。土日で出掛けた人が多いのか、来週から続く連休を前に、出掛けるのを控えているのか。1時を過ぎたのでかき揚げを揚げて、ぶっかけで賄い蕎麦を食べてしまう。

 蕎麦を食べ始めたら、スポーツクラブの予約が取れなかった女将が現れて、「今日はゼロだよ」と亭主が言えば、「ええっ、こんなに天気が好いのに」と驚いていた。家に持ち帰るために、残った天麩羅の具材を揚げる。小鉢も蕎麦豆腐もタッパに入れて持ち帰る。残った蕎麦と蕎麦汁も、野菜サラダも、冷蔵庫の野菜籠のキャベツや大根なども、全部袋に詰めて、二人とも両手に荷物をぶら下げて、家に帰るのでした。夜は早速、残飯整理が始まるのです。

9月13日 火曜日 涼しいのに動くと汗が出る陽気 …

 定休日の朝はゆっりとしていたいと思うのですが、朝食を終えたら女将が「無花果の枝を玄関前に運んだから切ってください」と、朝からひと仕事を仰せつかる。長い枝を剪定用のノコギリで切らないと、家庭のゴミ袋には入らないのです。わけもないことだからすぐに玄関先に出て、どんどん短く切っていくのですが、その間にもう女将がゴミ袋に詰めていく。朝から身体を動かす彼女との差がこんな所にも現れたという感じ。亭主はもっとゆっくりのペース。

 雨上がりの朝なのか、道路は濡れていました。お袋様との仕入れの前に、蕎麦屋に出掛けてひと仕事。郵便受けから新聞を取り出して、今朝の市内のコロナ感染者数を確認する。さすがに100人は切ったけれど、まだまだ多いのが気にかかるのです。いつになったらプールに出掛けられるのだろうかと、先が見えないのが辛い。蕎麦屋へ来店するお客も、きっとそうした思いを抱いているのだろうと思うと、なかなか来客数は伸びそうにない。

 農産物直売所で、近所の梨園で出している豊水が甘くて美味しかったから、今日も買って帰る。ナスやオクラやニンジンももらって隣町のスーパーに出掛けるのです。モノレールの女子大駅の前にある研修施設の構内では、メープルの黄葉がとても綺麗なのでした。隣町のスーパーでは、野菜の値段が軒並み上がっていたから驚きです。大根もパプリカもブロッコリーも200円もするから大変です。それでも必要な物は揃えなければならないから買って帰る。

 来週は小鉢の種類を変えて、冷凍室に凍らせてある南瓜と小豆の煮たのを使ってしまおうと、冬瓜のそぼろ煮を一週遅れにする予定にした。週末にかけての連休が続くから、どれだけ出るかは分からないけれど、なくなれば、切り干し大根の材料はあるし、冬瓜を使っても好いし、置いておける具材で対応できるから安心なのです。買って来た野菜を調理台に並べて、先週のように買い忘れがないかをチェックしたら、冷蔵庫に順次収納していくのです。

 36cmの大鍋に30cmの銅の天麩羅鍋を入れて、今日も重曹で煮てておきます。その間に、前のレンジでは南瓜を出し汁で煮て、砂糖と出汁醤油で味つけをする。午後に出汁を取る準備も済ませ、11時前には家に戻るのでした。昨日残った蕎麦を消化するために、残った具材を揚げて帰った天麩羅をグリルで焼いて天せいろ。蕎麦豆腐も揚げ浸しもすべて蕎麦屋の残り物ですが、文句一つも言わずに食べてくれる女将に感謝をしなければなりません。

 視点を変えれば、かなり贅沢な昼飯なのです。これが毎週のように続くと、蕎麦屋の営業の未来を思って気が滅入るけれど、いつもこういう定休日ばかりではないから救われる。昨日の午後は、亭主が焼売を仕込んで違う調理が出来たし、冷凍室には餃子と焼売とがストック出来て女将も喜ぶのです。食べる物を作るのが好きというのが亭主の道楽なのかも知れない。いつも同じの蕎麦屋のメニューだけでは飽き足りないけれど、それを解決する術はあるのか。

 午後は昼寝もせずに書斎でパソコンに向かっていたけれど、女将のスポーツクラブの予約の時間を気にしながら、ついウトウトとしてしまったのです。予約開始時間の5分過ぎに目が覚めて、彼女のスマホとを開けば、残り一つがいつもの席で、無事にゲットする。稽古場で寛ぐ女将に話せば、いつも取っている人が誰だか分かるから、きっと他の人が遠慮してくれたのだとか。ホッとした亭主は、遅い午後に蕎麦屋に出掛け、午後の仕込みをするのでした。

 36cmの大釜には30cmの銅の天麩羅鍋を入れ、重曹を加えて沸騰させる。先週、やはり重曹で煮たら、天麩羅鍋の半分くらいが、皮が剥けるように綺麗に焦げが落ちて、銅本来の色合いが戻ったのに気をよくしたのです。反対側のいつものレンジでは、朝のうちに出汁取りの準備をしておいた鍋で5㍑の出汁を取る。どちらも時間のかかる作業だから、その間に先日購入したポリッシャーで床を磨くことを考えた。完璧とは言えないがなかなか綺麗になるのです。

 5時前に家に戻れば、女将はテレビで大相撲を見ながら、晩の食事の材料を揃えておいてくれた。蕎麦屋で沢山残った野菜サラダを消化するために、今夕もお好み焼きを作ると亭主が言っておいたのです。このところお好み焼きが大きくなりすぎて、食傷気味だったから、今日は原点に戻って小麦粉をざっくりと水と卵で溶いたら、塩で味つけをして、フライパンの真ん中で小さく焼いていくようにしたのです。生地が焼けるのを待って刻んだサラダの具材と肉を載せて、フライ返しでひっくり返す。なかなかの仕上がりでした。

9月14日 水曜日 日中は真夏が戻ったと思った …

 今朝も6時前には蕎麦屋へ出掛け、明日からの営業の仕込みを開始する亭主。デザートには粒餡の水羊羹を作り、豊缶に入れて固まるまでに、他の仕事をこなしていくのでした。7時前に家に戻れば女将が台所に立って、朝食の支度をしてくれている。今朝は茄子焼きと三ツ葉の卵とじで、タンパク質は卵だけ。肉も魚もあるのだけれど、亭主と女将の感覚ではこれでちょうど好い。貧しかった学生時代には、よく茄子焼きだけで夕食を済ませたものです。

 朝食後はひと眠りをせずにゆっくりと寛いで、9時前に家を出て西の町のホームセンターに向かうのでした。古い団地を抜けたところに目指す店はある。ラップやペーパータオル、アルコール除菌液などの備品を買いそろえ、雪平鍋の取っ手を捜したけれど、今ではもう置いていないらしい。仕方がないので雪平鍋そのものを一つ買った。ネットで頼んでも送料がかかるので、結局は同じ値段になるのです。Do It Yourself も最近では当てにならない。

 折角、先日餃子を作ったのだからと、隣のスーパーでシマダヤの生ラーメンを買って、シナチクやチャーシューまで買っておく。夜に食べるのは好くないから、今日は夕飯をラーメン・餃子をしようと考えたのです。どうせ女将は食べないだろうから、たまには二人別の食事でも好いだろう。生ものを買ったので、早かったけれどそのまま家に戻れば、女将も外出から帰ったばかりで、「暑くて遠くまで行けなかった」と言うのです。車外温度は31℃なのでした。

 昼の食材もすべて蕎麦屋の残り物でしたが、蕎麦豆腐もお新香も揚げ浸しもとろろ芋も、とても美味しく頂きました。残った小鉢があればの話だけれど、これをセットで出したらどうなのだろうか?天麩羅は要らないというお客には、案外、喜ばれるのではないだろうか。午後は例によって書斎に入ってひと眠り。女将がスポーツクラブに出掛けている間に、亭主は蕎麦屋に行って午後の仕込みをするのです。午前中にゆっくりした分、仕事は沢山あるのでした。

 時間のかかる小豆を鍋に入れて煮始めたら、隣の火口で蕎麦豆腐を造り、レンコンを酢水で煮て、揚げ浸しの出し汁を作り、後ろのシンクで冷やしたら、具材を少なめにして、中華鍋で炒めていく。夏野菜もそろそろ終わるけれど、外は真夏の陽射しがまた戻ったようで、カラフルな色合いが今日の陽気にあうのでした。隣の小豆は柔らかくなるまでに小一時間はかかる。その間に使った鍋を洗っては洗い籠に伏せ、砂糖を三回に分けて入れるタイミングを待つ。

 だいぶ疲れて来たところで冷たいお茶を飲んで休憩をしたら、今度は天麩羅の具材を切り分けるのです。かき揚げの玉葱と三ツ葉とを刻み終えたら、全部にラップをかけて冷蔵庫に入れる。最後は、冷蔵庫から糠床を出して明日の分のお新香を漬けておく。そろそろ5時になるから帰ろうと思うのですが、しばらく研いでいなかった包丁が気になって、やはり包丁研ぎを始める亭主。切れ味が落ちると、明日の仕込みに影響するのです。火元の点検をして店を出る。

 家に戻れば女将が食堂で大相撲の中継を見ていた。観客の中にいつも同じ席に座る若い女性がいるから、どんな人なのだろうねと二人で想像する。亭主はコンビニで買ってきたハッシュドポテトとポテトサラダを摘みながら焼酎を飲む。「冷凍室に焼売も作ってあるよ」と女将に言うけれど、彼女はひじきの煮物と納豆で夕飯を食べ始めるのでした。昼間から計画していたラーメンと餃子は、風呂上がりに作って食べる。気分は満足だけれど腹が一杯でした。


9月15日 木曜日 だいぶ涼しくなってきたけれど …


 午前6時の空はどんよりと曇り空。だいぶ涼しくなったから、夕べもぐっすりと眠れたのです。漬けたお新香が気になって、車で蕎麦屋に乗り付ければ、ちょうど好い味に漬いていました。ついでにカボチャの従姉妹煮と揚げ浸しも盛り付けて、今日と明日ぐらいの分量を冷蔵庫に入れておきます。お新香もなくなったらまた夕方に店に来て着ければ好いのです。出来るだけ新鮮なものを、お客に提供したいと思うのが亭主の考え。洗濯物を干したら家に帰る。

 居間の椅子に座って一服したら、もう7時を過ぎていたけれど、それもそのはずで、朝食はやけにボリュームがある品揃えなのでした。大きな鰺の開きは女将と半分ずつだけれど、茄子焼きも豚汁もかなり量があるのです。先日、向かいの畑の親父様から頂いた長茄子が新鮮だからか、青森県産の高価な大蒜が美味しいのか、醤油を付けてご飯に載せると甘みを感じるから不思議。もう少し若ければご飯のお替わりをするところでした。

 今朝は7時間もぐっすりと眠ったから、朝飯後のひと眠りもせずに、髭を剃って着替えをしたら、朝ドラの終わる時間に家を出る。昨日から、雪駄を止めて運動靴を履いてみているのですが、足の親指も軟骨が固まったらしく、やっとスタスタと歩けるようになりました。玄関前のムクゲも最後の力を振り絞って花を咲かせている。季節の推移に敏感なのは、人間だけではないので、夏の花もそろそろ終わりを迎えるのです。風は涼しい秋の風。

 蕎麦屋に着いたら、昨日使って洗っておいた鍋類を片付け、まずはガスレンジの上を綺麗に掃除しておく。1週間もすればまた汚れてしまうのですが、何事も初めが肝心と蕎麦打ち前に済ませたのです。店の窓を全開にすれば涼しい外気が気持ちが好い。蕎麦打ち室も25℃、湿度は58%なのです。先週の木曜日は、蕎麦が足りなくて困ったけれど、滅多にないことなので、今日も750g八人分を計量して蕎麦粉を捏ね始める。41.5%の加水でちょうど好かった。

 捏ね初めは少し硬いかなと思うのだけれど、捏ねていくうちに水が馴染んでしっとりとした感触に変わってくる。向かいの畑では、親父様がもう作業をしているのでした。菊練りまで終えて、蕎麦玉を作ったところで、ビニール袋に入れて寝かせておくのです。厨房に戻って大根と生姜と細葱を冷蔵庫から取り出し、おろし金でおろしたら、葱を刻んで水に浸す。ここで休んでしまうと、時間ばかり過ぎてしまうので、疲れていないうちに一気に終わらせる。

 やはり、よく眠れた朝は仕事も順調にこなせるのでした。再び、蕎麦打ち室に戻って、20分ほど寝かせておいた蕎麦玉を伸していくのです。両方の掌で押して伸ばす地伸しで、40cmほどの円形にしたら、今度は伸し棒を使って丸出しに入る。生地の硬さがちょうど好いと、この作業もすんなりとこなすことが出来るのです。生地を均一の厚味の正円にしたところで、四つ出しの作業に入る。今朝は、最初の加水が上手くいったので、順調に本伸しまで辿り着く。

 調子よく打てた生地は畳んで包丁切りをしても、綺麗に切り揃って気持ちが好いのです。生舟に八束の蕎麦を並べて蕎麦打ちを終える。時間は10時前だったから、前半の踏ん張りが効いたかな。朝の8時半から店で仕事をしているから、90分が一つの区切り。ひと休みして、野菜サラダの具材を刻み始める。昨日包丁を研いだから、今日は切れ味も抜群で、ストレスなく盛り付けることが出来た。天麩羅の具材を並べて、天麩羅鍋に油を注ぎ、天つゆを用意する。

 大釜の湯をポットに入れて、店の掃除を終わらせたら、開店時刻の分前。5分前には暖簾を出して、カウンターの椅子に座ってお客を待つのです。昼過ぎに駐車場に車が入って、見れば女性の一人客のご来店で、カウンターに座ってぶっかけ蕎麦のご注文。何かの帰りでここの美味しい蕎麦を食べようといらっしたのだそうな。デザートまで頼まれて、粒餡の入った水羊羹は硬すぎるかと思ったけれど、歯ごたえがあって美味しいと言われた。有り難いことです。




9月16日 金曜日 秋晴れの蕎麦日和だったけれど …


 今朝は5時半過ぎに家を出て、蕎麦屋の東側のミニ菜園の草取りをしました。残すところ5mというところで止まっていたので、気にはなっていたのですが、店の仕事があったりで、なかなかはかどらなかったのです。両手に軍手をはめて90㍑のビニール袋を用意して、お隣に響かないようにそっと草をむしる。突き当たりまで行ったら、先日剪定した月桂樹の葉が、刈れてそのままになっていたから、細い枝は剪定ばさみで短く切って袋に詰めたのです。

 黒いビニールシートを敷いた上に玉砂利を敷いてあるから、雑草もそんなに深くは根を張れないはずなのです。それでも飛んでくる畑の土が溜まるのか、玉砂利が見えないほどに草は生い茂っていたから、自然との闘いは不断の心がけが大切。一番日当たりの好い場所には何を植えようかと、先日、ガーデンセンターに見に出掛けたけれど、葉物野菜ぐらいしかなかったので、しばらく検討中なのです。何か植えないとまた雑草が生えてきてしまうから大変です。

 7時になったから家に戻れば、今朝は鰺の開きにベーコンエッグと、野菜サラダで残ったレタスをスープにして出してくれた。残り物を決して廃棄しないのが女将の偉いところ。毎日漬けているキュウリのお新香も味が好くなっている。朝ご飯がボリュームがあるのは、昼がいつ食べられるか分からない亭主にとっては嬉しい限り。食後は書斎に入って、朝ドラの終わる時間までぐっすりと眠るのです。珈琲を入れてもらって、やっと目を覚まして家を出る。

 今朝は気持ちの好い青空が広がって、陽射しは強いけれど涼しいのでした。蕎麦屋に着いたら、早速、幟を立てて、蕎麦打ち室に入るのです。昨日は客が少なかったから、この天気なら今日は少しは客が入るかと、蕎麦を打つ手にも力が入る。シャツ一枚にエプロンをしているだけなのに、蕎麦を打ち終わればもう汗びっしょりなのです。蕎麦打ち室の温度は25℃、湿度は60%。涼しくなっているのにやはり蕎麦打ちは力を入れるからか、汗が出てくるのです。

 今日は湿度も低く天気が好いから、奥の座敷も洗面所もすべて窓を開けて風を入れておきました。畳も押し入れも湿気が溜まると黴が生えるので要注意なのです。蕎麦の加水も41%でちょうど好い硬さで、切りべら26本で135gの束を八人分、生舟に並べるのでした。やはり蕎麦打ちは最初の水回しから、ずっと一連の作業が繋がっているのです。何処かでおかしな事をしてしまうと、後の作業に響いてくる。きちんと打てた日には胸を張って暖簾を出せるのです。

 野菜サラダの具材も包丁が切れるとすんなりと終わる。このところ、野菜サラダを全部家に持ち帰っているから、あまり威張れないのですが、そもそも平日のお客の数が少ないから、三皿では少し多すぎのかも知れない。と言って減らしてしまうと、注文があった時にお客の側からすれば「なんだ」と言うことになる。11種類の野菜を使って、いつも同じ物を作るのも、結構、大変なことなのです。蕎麦屋で野菜サラダが食べられるのを喜んでくれる客が減ったか。

 開店時刻の10分前に暖簾を出したら、女性の二人連れが駐車場に車を止めてご来店。天せいろとおろし蕎麦のご注文だったから、盆や蕎麦皿を用意して、大根おろしを小鉢に盛り付け、薬味を揃えたところで天麩羅を揚げ始めるのです。蕎麦を茹でてお出しすれば、「コシがあって美味しいわ」「何処の蕎麦粉ですか」と聞きながらも、二人は話し出すと箸が止まる。水切りをきちんとしなければ、蕎麦が伸びてしまうので要注意なのです。

 1時になってもお客は来そうになかったから、亭主は天麩羅の具材の端切れを揚げて、賄い蕎麦をぶっかけて食べてしまう。こんな好い天気の日なのに、そう言えば、外を歩く人影もないのは不思議なのでした。シルバーウィークなどと言って、三連休が続くから、金曜日はじっとしているのだろうか。明日一日だけが天気で、後は台風の影響で雨が降るらしい。読みの難しい週末になりそうです。明日の朝は狭い南側の庭の掃除をしようか … 。



9月17日 土曜日 昼はまた暑さが戻って …


 毎日、何かを念じながら眠ると新しい朝が来るもので、夕べは9時過ぎにもう眠くなって床に入れば、今朝は涼しいうちに目が覚めて、蕎麦屋の南側の庭を掃除することが出来た。先日、剪定した月桂樹の枝を庭に倒しておいたら、だいぶ刈れてきたからゴミ袋に詰めるにはちょうど好かったのです。ゴミの回収業者は重さでお金を取られるから、出来るだけ水分をなくしてと言われている。無理矢理袋に詰め込んで、やっと地面が見えて来た。

 残るは10mほどの草取りと、突き当たりに植えたタラの樹の剪定だけ。大きくなる木だから放っておくと大変なことになるのです。その手前には、コゴミを植えてあるのですが、どちらも元々ミニ菜園の畑にしていた土地だから、他の植物に邪魔されないのでどんどん伸びる。生産調整をしないと、同じ時期には出し切れないほど採れるから困ったもの。明日からは台風の影響も出てくるから、またしばらくは庭の手入れもお休みになります。

 家に戻れば朝食の時間で、今朝はほっけの塩焼きと豚汁がメインでした。店で残る大根もしっかりと煮物にしてくれるから助かる。薄味のキュウリのお新香はすっかり美味しさが定着して、糠床の手入れはやはり大切だと思うのでした。食後はひと眠りをせずにアンソニー・ホプキンスの「アトランティスのこころ」という映画を観て、不思議なストーリーに引き込まれていた。気が付けはもう9時なのでした。急いで蕎麦屋に出掛け、朝の仕事を終える。

 生舟の中には昨日の蕎麦が沢山残っていたけれど、週末だからと今朝は500gだけ打ち足して、15食の蕎麦を用意した。三連休というのはやっかいな代物で、お客の動きが予想できないので、一応、目一杯の準備だけはしておこうと考えました。暖簾を出してすぐにいらっしたのは、大盛りのせいろ蕎麦と辛味大根の常連さんで、新聞を読みながら黙々と蕎麦を啜る。次ぎはカレーうどんのご主人と奥様は今日は鴨せいろ。串焼き4本とデザートもご注文。

 その後しばらくはお客がなかったが、ご近所の小母さんから電話が入って、娘夫婦が来るのだけれど、閉店までに来られるかというものでした。女将が電話口で少しならお待ちしますと応えていたようで、ラストオーダーの時間を過ぎてのご来店なのでした。もう暖簾も下ろしていたので、残っていた野菜サラダを食べてもらっている間に、天せいろを三つ仕上げてお出しする。秋分の日の前に墓参りに来たのだそうな。洗い物や片付けをしながら話を聞く亭主。

 3時前には二人で家に帰って、女将の剥いた梨を食べながら、今日の夕食は何にすると話をすれば、彼女はこれから美容院に出掛けると言うので、亭主は昼寝を諦めて足りなくなった野菜を買いながら、夜はお刺身にしようということになった。週末だから、隣町の魚屋スーパーも好い食材が出ているのでした。帰りがけに蕎麦屋に寄って、明日のお新香を漬けてくる。明日の大型台風の影響がどれほどになるのかが、ちょっと心配なのでした。


9月18日 日曜日 蒸し暑く、曇り時々雨の天候で …


 朝飯前のひと仕事もさすがに外回りの仕事が二日も続いたので、今朝は厨房に入って、夕べ漬けたお新香を糠床から取り出し、蕎麦汁を蕎麦徳利に補充しておきました。歳を取って動きが遅くなったこともあるけれど、時間はいくらあっても足りないのです。2時間半の昼の営業のために、どれだけの時間をかけているのだろうかと思うことがある。それが健康の秘訣だと笑って言えれば好いなあ。外はうっすらと青空も見えていましたが、天気予報では曇り雨。

 二週間前に作ったばかりの返しも、もう甕に残り少ないから、蕎麦汁が足りなくなって出汁を取ったとしても、すぐには作れない。今日のお客の入り如何では出汁取りの準備をしなければならない。そして何よりも、一週間も寝かせなければいけない返しを作っておかなければ。ただ、台風の影響で天気が悪いと言うから、亭主はなんとか今日明日を乗り切れないかと思っているのです。明日の朝にでも返しを仕込んで、定休日に出汁を取れれば一番好い。

 家に戻れば例によって女将が台所で朝食の用意をしている。今朝はホッケの塩焼きと茄子とピーマンの味噌炒め。食事を終えて書斎でひと眠りしようと思ったけれど、今朝はかなり蒸し暑いので、洗面と着替えを済ませたら、蕎麦屋に出掛けて涼むことにする。朝のうちに今日はエアコンを点けてきたのです。大気全体が南風の影響でむーっとした暑さに包まれている。これはやはり大型の台風の影響なのでしょう。今日の営業も思いやられるのでした。

 千切れた雲がどんどん流れて行くのが分かる。青空も何時の間にか消えていくのでした。日曜日の朝だからバス通りには車の通りも少なく、いつもの時間帯にジョギングをしている人たち以外には人影も見えないのです。幟を出してチェーンポールを降ろしたら、亭主はヒンヤリと冷えた店の厨房に入って、デザートの水羊羹を作り始める。今週のために作った羊羹は、あと二人分しかないので、足りない時のためにと仕込んでおくのです。

 前回は小豆を煮たのを入れたのに漉し餡が多すぎて、仕上がりが硬かったから、今日は漉し餡を少なめにして小豆の煮汁をそのまま使う。勿論、氷糖蜜は入れるのだけれど、小豆が多すぎて豊缶に入りきれなかった。こんな時のためにガラスのカップを用意して、二人分は余分に出来た計算。蕎麦打ちを終える頃には、冷蔵庫に入れられるくらいに固まっているはず。この分量だと、木曜日までは持ちそうなので取りあえずひと安心なのです。

 9時前に蕎麦打ち室に入って、今日も500g5人分だけ打ち足しておく。蕎麦粉は来週末までは持ちそうだけれど、早めに発注しておかなければ。蕎麦打ち室の温度は27℃で、湿度は78%とかなり湿気が多い日なのでした。エアコンが効いているのにこの数字だから、外は相当に蒸し暑いのでしょう。女将の来る頃には、雨もぱらついて来た。玄関脇に傘立てを出して、来るかどうか分からないお客に配慮するのでした。空は暗く、これから雨が強くなるのだと言う。

 それでも日曜日だからと野菜サラダは四皿盛り付けておく。結果的には一皿しか出なかったから、無駄な労力だったけれど、それを止めてしまっては、営業も先細りになるような気がするのです。南風だったから、店の窓は雨が吹き込まず、少し抱けて明けて換気をしておく。いつもと同じ時間に暖簾を出して、女将と二人で客を待つのでした。1時間経ってもお客の来る気配はなく、外は、時折、激しい雨が降ってはまた止んでの繰り返し。

 1時前に亭主がしびれを切らして、天麩羅とかき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べる。何かしていないと間が持たないし、腹が減っては客を待つ元気も出ないのです。奥の座敷で食後のひと休みをしていたら、「○○さんが来たわよ」と女将が亭主を呼ぶ。女将の友だちの常連さんが、こんな雨の中をよく来てくれたものです。デザートをサービスして、残ったサラダも持って帰ってもらった。明日は今日よりも天気が悪いと言うから、果たしてどうなることか。


9月19日 台風接近の敬老の日は …


 昨日は朝食後のひと眠りも午後の昼寝もしなかったから、夜は9時になったらもう眠くなって、床に就くのでした。ぐっすりと眠って目覚めれば4時だから、7時間は眠ったことになる。まだ暗いから、珈琲を沸かしてテレビで台風情報を見る。随分早い時期から台風のニュースをやっていたのに、まだ九州を過ぎた辺りだと言うから、台風の速度が随分と遅いのか。日本列島の半分以上を勢力圏にしているのだから、相当に大きな台風のようなのです。

 やっと辺りが少し明るくなったので、車で蕎麦屋に出掛ければ、向かいの森はまだ日の出前で、空がぼーっと紅くなっている。どうやら雲がないので青空になりそうなのでした。それにしても、朝からむーっとする生暖かさで、これも台風の影響なのかと店のエアコンを入れる。厨房は朝から27℃、湿度は78%もあるのです。今朝の朝飯前のひと仕事は、ほとんどなくなった返しの仕込み。出汁を取るよりは時間がかからないけれど、寝ぼけ眼で調味料の分量を間違えてはいけないと、しっかりと計量するのでした。

 30分ほど火にかけて沸騰直前で火を止めたら、まだ6時前だったから、昨日の洗い物を片付けたり、大釜に水を張ったり、洗濯機の中の洗濯物を畳んだりと動き回る亭主。明日は第三火曜日で子ども会の廃品回収の日だから、最後にまだ片付けていない段ボールを紐で括って廊下に出しておく。やっと6時を過ぎたから、家に戻って朝食までの時間をひと眠り。1時間ほど眠ったところで女将が起こしに来てくれました。久し振りにベーコンエッグで朝食を食べる。

 テレビでは台風関連のニュースがやたらと多く、今日も朝から雨という予報だったのに、外は晴れて青空が広がっている。まだ台風本体が遠いので、風が強くて雲が流れているという状態なのです。洗濯物をどこに干したら好いのかしらと、女将にとっては判断に迷う天気のようでした。家を出て蕎麦屋に向かえば、気温は高く、陽射しは強く、みずき通りも夏の陽気で、クーラーの入っている蕎麦屋の店の中に逃げ込むようにして入るのです。

 幟を出して、チェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室の冷蔵庫を開けて、昨日残った蕎麦のチェックをする。生舟にはしっかりと打った蕎麦が13食分もあるから、連休最後の日とは言え、明日は定休日だから蕎麦を残したくないので、今日は蕎麦を打たずに営業をすることにしました。そうなると急に時間に余裕が出来るので、厨房の椅子に座ってお茶を飲みながら、明日の仕事を考えておく。換気扇のレンジフードの掃除と出汁取りが最優先かも知れない。

 タブレットで油汚れの落とし方について調べ、銅鍋と同じく重曹が有効なことが分かったので、明日は早速試して見よう。いつもと同じ10時を過ぎたところで、大釜に火を入れて、少し早いけれど、野菜サラダを作り始める。電話が鳴って今日は営業しているかという問い合わせ。台風前でも外は晴れて暑いくらいだから、結構お客は来るのかも知れない。果たして、開店と同時にテーブル席が一杯になり、ヘルシーランチセットは最初の三人で売り切れました。

 カウンターに座ったご夫婦は、ご主人がカレーうどん、奥様が天せいろのご注文で、店のブログを読んでくれているとおっしゃる。これで今日はお客も終わるかと思ったら、まだ1時前だというのに後半でまたテーブルとカウンターにお客が入ったのです。みるみる蕎麦はなくなって、1時過ぎにはお蕎麦売り切れの看板を出すのでした。隣町の常連さんが最後にいらっして、蕎麦が残っていて好かった。お客が帰る頃に外は土砂降りの雨になった。これも幸いか。

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2022年9月上旬

9月6日 火曜日 霧の朝、また暑さが戻った一日 …

 夕べは10時過ぎには床に就いたので、今朝も5時にはもう目が覚めて、水を一杯飲んだら蕎麦屋に出掛ける。濃い霧が出て初めは視界が悪かったけれど、明るくなるにつれて少し遠くが見えるようになりました。この定休日の朝には、南側のミニ菜園の草取りをしようと決めていたから、厨房で珈琲を一杯飲んで眠気を覚ますのでした。7時間も眠ったのに、なかなか目が覚めないのは、先週の疲れが抜けていないのか、それもやはり年齢なのかと不安になる。

 長ズボン長袖を着込み、首にはスポーツタオルを巻いて、軍手をはめたら90㍑のゴミ袋を手にして玄関を出る。歩く部分は石を敷いてあるから、深く根は張らないはずなのに、年月が経って土埃が溜まるのか、しっかり地面に根を張っている雑草もある。蔦は根っこから引き出さないとすぐにまた出てくる。入り口から5mほど進んだところで袋も一杯になったし、30分は経過したので、家に戻って今度は裏手に回り、先週切り残した無花果の樹の残り半分を切る。

 「先週の枝は全部ゴミに出しましたよ」と女将に言われていたので、今朝は何としても残る枝を落としておかなければならない。熟した無花果の実が沢山付いていたけれど、今朝は採っている暇はない。日影の足元に蚊が群がって、沢山食われたけれど気にせずにどんどん剪定ノコギリで切り進んでいく。朝日が当たる東側は、枝が随分と延びているのでした。やっと終わって居間に入ればもう7時前、今朝もベーコンエッグと豚汁で朝食を食べるのでした。

 夕べは十分に睡眠を取ったから、食後のひと眠りはせずに再び蕎麦屋に出掛け、仕入れに行く前に冬瓜の下茹でだけしておく。ついでに天麩羅鍋の焦げ付きを落とすために、大釜の中に入れて重曹で煮ておく。36cmの大釜に30cmの天麩羅鍋だから余裕で入った。どれほど効果があるのかは疑問だったけれど、高価な銅の鍋の外側も焦げつかせたままではいけないと、試して見たのです。9時前にはお袋様に電話をして迎えに行って、今日の仕入れの開始です。

 陽射しはどんどん強くなるばかりで、9時の車外温度は30℃になっていました。「彼岸まではなかなか涼しくはならないよ」とお袋様が言う。農産物直売所ではナスもキュウリも季節が過ぎたと見えて、あまり好いものがない。冬瓜をまた一つ買って、ミョウガやオクラももらっておくのです。梨は先週から豊水に変わっている。近所の農家で採れる野菜や果物をみると、季節の推移がよく判るのです。後は隣町のスーパーで近県のものを手に入れるのでした。

 昼は昨日揚げて帰った天麩羅をグリルで焼いて、蕎麦も沢山残ったから、亭主は珍しく大盛りで食べることが出来ました。この上ない贅沢と蕎麦湯までしっかり飲んで満足したら、今度は腹が苦しくて眠気が襲ってくる。女将のスポーツクラブの予約開始まで、書斎で横になってひと眠りです。定休日はこの休憩で、随分と疲れが取れるような気がします。2時5分の予約開始に間に合って、居間に置かれたスマホを操作。無事に一番好い席を取ることが出来た。

 稽古場から休憩で出て来た女将が水羊羹とお茶を運んでくれる。居間で洋画を観ていた亭主は、区切りの好いところで蕎麦屋に出掛ける。午後の仕込みは、朝のうちに下茹でをした冬瓜を、塩と砂糖と生姜と唐辛子で作った出し汁で、鶏の胸肉の粗挽きと一緒に煮込み、そぼろ煮を作ること。午前中に重曹で煮ておいた天麩羅鍋を金ダワシで擦れば、少しだけ綺麗な銅の色が見えてくる。明日の出汁取りの準備をして、洗濯物を干したら家に戻って夕飯の時間。

9月7日 水曜日 定休日二日目は湿気が酷くて …

 今朝は汗をかいて目が覚めた。涼しさに慣れた身体が、少しの気温や湿度の変化にも反応したのでしょうか。6時前だったので、珈琲も飲まずに蕎麦屋に出掛け、昨日から準備をしておいた出汁取りを開始する。鍋を沸かして10分ほどで鰹節を入れ、沸騰する前に火を止めて鰹節が沈むのを待つのです。これが一番出汁。濁らずに黄金色になれば成功です。2㍑の鍋には600ccの返しを入れて沸騰直前で火を止めて水で冷やす。残りは冷まして瓶に入れて冷蔵庫。

 結局、一時間をかけて出汁を取り、家に戻って朝食を食べる。再び蕎麦屋に出掛ける時に、門の脇に咲いたムクゲに元気を貰う。今朝は南側のミニ菜園の草取りもお預けでした。今日も定休日だからとゆっくりしていると、次の仕事がどんどん溜まってくるのです。隠居の道楽で始めた蕎麦屋も、仕事は歳を重ねるに従ってずっしりと重みを増している。まあ、それが毎日の励みとなっているのですが、身体が元気でないと続けられない仕事です。まだ大丈夫だよ。

 向かいの畑のコキア(箒草)が、この時期になって少しずつ紅葉している。農作物を作る畑で何を作るつもりなのか、未だに亭主には不思議でならない。厨房に入って揚げ浸しの準備をしながら、後ろのレンジでは大釜に銅の天麩羅鍋を入れて、重曹を加えて煮ている。ボコッボコッとお湯が沸いてきたから、どうなるのかと楽しみで、揚げ浸しは作り終えたら冷蔵庫に鍋のまま入れておく。床にこぼれた水を、例の電動マシーンで洗えば結構綺麗になるのでした。

 11時近くになったから、家に戻って昼食の用意。定休日二日目の今日はとろろ蕎麦と洒落てみました。またしても今日も大盛りだったから、蕎麦湯までしっかりと飲み干して、満腹になった亭主は書斎で昼寝を決め込むのでした。女将はその間にスポーツクラブに出掛け、亭主が目覚めた頃には居間の部屋は30℃になっている。湿気の多い昼なのでした。今日は通風の薬が切れたので、整形外科に行く日なのでした。先月の血液検査の結果も聞かなければならない。

 蕎麦屋に出掛けてひと仕事を終えたら、整形外科の開店5分前には廊下の椅子に座って医院の明かりが付くのを待つ亭主。駅前の高層マンションの二階のフロアには、眼科や歯科や婦人科、皮膚科、内科などいろいろなクリニックが集まっている。老人の多いこの団地では利用する人も随分と多いのです。検査結果は順調で、もう少し尿酸値の値を減らしたいからと、日に一度の薬を少し強い物に換えると言う。今度は2月に血液検査をしましょうと言われた。

 蕎麦屋への帰り道、24時間営業と開店したスポーツジムの前を通る。女将と亭主の通うスポーツクラブも24時間営業に変わったと言う。高齢者の多いこの団地で、そんな需要があるのだろうかと思うけれど、若い世代も暮らしやすいようにと考えられているのかな。店にも戻って明日の準備の詰めに入る。冷蔵庫で冷やしてあった揚げ浸しと冬瓜のそぼろ煮を小鉢に盛り付け、明日の天麩羅の具材を切り分けたら、糠床にお新香を漬け込んで今日の仕込みは終わり。

 ミョウバンを入れて大鍋で煮た天麩羅鍋は、見事に焦げが剥がれて銅の色が綺麗に見えて来た。金タワシでいくら擦っても落ちない焦げが、自然と皮を剥くように剥がれていくから面白い。試行錯誤を繰り返しながら、一つずつ課題を解消していかなくてはいけないのでしょう。新しい発見と驚きは次のステージへの活力となる。家に帰れば、女将は亭主の切り落とした無花果の樹から、熟した実を採ってまたジャムをひと瓶分作ったのだと言う。素晴らしい。

9月8日 木曜日 こんなに涼しい日にお蕎麦売り切れで …

 朝から涼しい陽気で、曇り空で湿気が多いのも気にならないほどでした。定休日明けの今朝も朝飯前に蕎麦屋に出掛けて、糠床に漬けたお新香を取り出すのでしたが、今日は一日中曇りで雨さえ降ると言うから、沢山のお客は見込めないと思うのでした。キュウリもナスも明日の分までと沢山漬けたけれど、残れば家に持ち帰って食べなければならない。夏の野菜もそろそろ終わりだから、カブも一つ100円もするのです。次は何を漬けたら好いのか。

 朝飯前のひと仕事は、昨日の洗濯物を干すくらいで、7時には家に戻って朝食を食べる。鰺の開きに三ツ葉と厚揚げの卵綴じに豚汁が付いて、亭主にとっては少し多めのおかずなのでした。食べ終えてから女将が「ちょっとおかずが多すぎたわね」と言うので「厚揚げが余分だったね」と応えるのでした。なぜか腹が苦し過ぎてひと眠りも出来ない状態だったので、珈琲を入れてもらって眠気を覚ますのでした。夕べの睡眠時間は約7時間。涼しいからよく眠れた。

 空はどんよりと曇っていたけれど、湿気があっても気温が低いから涼しく感じる朝なのでした。店の中も蕎麦打ち室も25℃と涼しいのです。湿度は70%あるからそれなりに湿ってはいるのですが、窓を開けて新鮮な空気を入れて、今日の営業の開始を準備するのでした。蕎麦打ちは加水率を42%のままで蕎麦粉を捏ね始めたけれど、湿度があるせいかどうも生地が柔らかく仕上がる。気温が低いと硬くなるのが常だから、いけるかと思ったのですが、そこが難しい。

 それでも打ち粉を振りながら、生地を伸して八つに畳み、切りべら26本で八束の蕎麦を仕上げる。これでも蕎麦は残るだろうと、この時点では思っていたのです。明日に繋げればいいと思いながら、涼しい日にはお客は来ないと言う、データを管理する女将の言葉を思い出していました。厨房に戻って薬味の葱を切ろうと思ったら、冷蔵庫の中には細葱がないことに気づいて、ミニ菜園に新しく伸びた小葱を採って代用する。検品をしたつもりで忘れていたのです。

 家にいるはずの女将に電話をして、買い物に行くならと小葱を頼んでおく。ミニ菜園はこんな時に役に立つのですが、今年は何も植えていない。辛うじて球根の残っていた小葱が育ってくれていたのでした。大根と生姜をおろしてひと休みしたら、野菜サラダの具材を刻み始める。開店時間の10分前に、ご夫婦がいらっして玄関前で待っている様子だったから、店の中にご案内して座っていただく。「時間前なのに悪いわね」「ちょうどお湯が沸いていますから」

 歩いて来たご夫婦は、天せいろにキスの天麩羅を頼まれて、ご主人は日本酒までご注文。すぐに次のお客が三人連れでいらっして、お茶をお出ししながら、前のお客の酒やお通しを運ぶ亭主。天麩羅を揚げているのに、蕎麦豆腐を頼まれたりで、一人ではなかなか忙しいのです。無事に最初のお客の注文の品を出し終えて、天せいろと天麩羅蕎麦を頼まれた次のお客の天麩羅を揚げている間に、男性客お二人がカウンターに座って鴨せいろのご注文なのでした。

 まだ12時半前だったけれど、家にいるはずの女将に電話をして、早く来て欲しいとSOS。結局、カウンターのお客たちは鴨せいろの大盛りを頼まれたので、これで今朝打った蕎麦はすべてなくなったのです。その後も隣町の常連さんがいらっしたけれど、「お蕎麦がなくなったんです。ご免なさい」とお断りするし、車でいらっしたご夫婦も女将が出ていってお断りする始末。今日はとても涼しい陽気なのに、どうしたと言うことなのでしょうか。

 女将が言うには「東京の感染者が減っているから、出掛けようという人が増えているのでは」それでも、買い物から帰る時に防護服を着た救急隊員が、家の近くで作業をしていたと言う。規制緩和の現実も、感染が身の回りで起きると生々しいものです。家に戻って遅い昼に餅を焼いてもらって済ませた亭主は、ひと眠りしてから店に戻って、明日の小鉢を盛り付け、蕎麦汁を補充しながら、業者が食材を届けるのを待つ。なぜか目まぐるしかった一日なのでした。


 9月9日 金曜日 昨日よりも涼しい秋の一日で …

 昨日にも増して涼しい朝でした。朝飯前のひと仕事に蕎麦屋へ出掛けようと玄関を出れば、霧雨の降る中、庭に紅いモミジアオイの花が見えた。今年はもう終わりかと思っていたら、最後の力を振り絞って咲いたという感じなのです。女将の稽古場のプルメリアも、涼しくなってもまだ咲いている。どちらもそんなに長い間咲く花だったかと、自分の記憶が定かでないのが悔やまれる。店に行ってもあまりすることはなく、洗濯物を畳んで家に帰るのでした。

 そんな朝は、南側のミニ菜園の草取りでもすれば好いのですが、小雨を理由にホッとしている亭主。本当は涼しくなったら、外回りはやることが沢山あるのです。億劫がって延び延びになるから、また新しい雑草が生えてくる。今朝の食卓には、先日、亭主が餃子を包んだ残りのニラを卵綴じにしたものと、例によって四枚ひと組で買って来た鰺の開きがおかず。昨日の朝食と変わり映えがしないけれど、少食になった亭主にはこれで十分なのです。

 食後はいつものように書斎に入って30分ほどひと眠り。女将の朝ドラが終わる頃に目を覚まし、洗面を済ませて髭を剃る。雨が降っていたら今朝は車で出掛けようと思ったら、早朝の雨はもう上がっていたので、少しでも歩いて運動になったか。今日はまだ金曜日だというのに、なぜか身体が重たいのは、やはり運動不足で体力が落ちているからなのでしょう。そろそろプールを再開したいけれど、市内の感染者はまだ三桁を下らないから要注意です。

 9時前に蕎麦屋に着いて、今朝は少し遅いからと急いで蕎麦打ち室に入る。昨日は蕎麦が足りなかったけれど、二日続けて混むということは滅多にないから、750g八人分の蕎麦粉を計量して、今日は41%のの加水で捏ね始めたのです。そうしたら、見事に勘が当たってちょうど好い硬さの生地に仕上がる。室温25℃、湿度79%なのでした。外はもっと涼しくて湿度もあるのでしょうが、蕎麦粉は正直に反応している。生舟に八束の蕎麦を並べて10時を過ぎたところ。

 蕎麦玉を寝かせている間に、大根をおろし、昨日女将に買ってきてもらった小葱を刻んだから、後は野菜サラダの具材を刻むだけ。涼しい日にはサラダが出ないのではと心配したけれど、今日は開店一番でいらっした男性が、ヘルシーランチセットの天せいろを頼まれたので、まずは上々の滑り出し。次のお客は、仕事の途中らしい若い女性が、お一人でカウンターに座って天せいろのご注文。このくらいのペースでお客が来れば好いのにと思いながらの昼過ぎ。

 昨日、蕎麦が売り切れで食べられなかった隣町の常連さんが、車を乗り付けて元気に店へ入って来る。「昨日は済みませんでした」と亭主が謝る。いつもの旬の野菜と魚の天麩羅は頼まずに、今日は鴨せいろを頼まれた。亭主はお客の姿が見えた時には、天麩羅鍋に火を入れていたけれど、取りやめて鴨肉を解凍するのでした。鴨肉が焼き上がって蕎麦を出す頃に、もう一台車が入って来る。ご家族四人連れで小さなお子様たちが一緒なのでした。

 若いお婆様は鴨せいろ、娘さんはとろろ蕎麦、子供にはかけうどんのご注文。どれもひと手間かかるものばかりだったけれど、上の男の子は、怪獣のミニチュアをテーブルの上に広げて遊び始める。リピーターの方だったのかしら。子ども達が賑やかになってきたので、亭主は先にうどんを仕上げてフォークと小鉢を付けて出してやる。とろろ芋をおろして蕎麦を茹でとろろ蕎麦を出したら、やっと鴨肉を焼いて鴨せいろ。子ども達にはカルピスと菓子を忘れない。

 ラストオーダーの時間までお客はゆっくりとしているから、亭主はテーブルの盆や皿を片付けて、洗い物をし始める。それから、遅い昼の賄い蕎麦を茹でて食べるのです。食後はひと休みするから、どうしても一人だと片付けに時間がかかる。3時過ぎにやっと片付けを終えて家に戻れば、女将はスポーツクラブから帰ったばかり。

 鴨せいろに入れる小松菜が切れ、巻きの悪いレタスもなくなりそうだったから、隣町のスーパーに出掛けて仕入れてくるのでした。豆乳や天麩羅鍋の漕げ落としの重曹も買って、店に寄ってお新香を漬ける。昼寝をする暇がなかったので、夕飯を食べたら風呂の時間までぐっすりと眠ってしまいました。

9月10日 土曜日 清々しい秋晴れの日なのに …

 5時前に蕎麦屋に出掛ければ、向かいの森の空が朝焼けでとても綺麗なのでした。夕べは夕飯の後で遅過ぎるひと眠りをしたばかりに、夜がなかなか寝付けずに、結局、3時半頃に目が覚めてしまったのです。珈琲を沸かして飲んだら、昨日漬けたお新香が気になって、明るくなるのを待って蕎麦屋に出掛けたという次第。ナスもキュウリもカブももうそろそろ終わりの時期なのに、まだ同じ漬け物を漬けている自分が可笑しくもある。

 5㍑の鍋に湯を沸かして小松菜を茹でたら、5cmの長さに切りそろえ、小さなタッパに入れて急速冷凍室で凍らせておく。涼しくなったからこのところ鴨せいろが随分と出るのです。知り合いの農家の親父様が、犬の散歩で店の前を通るから、いつものようにお互いに片手を上げて挨拶を交わす。農家も朝が早いから、蕎麦屋の親父も頑張っているよと、窓越しに無言のエール交換。他の小鉢を盛り付けて、蕎麦徳利にはストックの蕎麦汁を補充しておく。

 まだ6時過ぎだったけれど、朝が早すぎたので家に戻って食事の前にひと眠りするのでした。7時過ぎには女将が起こしに来て、食堂に入ればぷ~んと好い匂いがする。塩鯖を焼いたのと豚汁のご馳走で、亭主はこれだけでもう腹が一杯になる。お茶も飲まずにまた書斎に入って寝込んでしまうのでした。昨日の蕎麦はほとんど残っていなかったから、週末の今日は店が混んだら困ると蕎麦を二回打つ覚悟で、少し遅いけれど9時前には家を出る亭主。

 今朝は湿気がないからか、青空が広がって陽射しも強いのに、涼しくて爽やかな陽気なのでした。定休日が明けてまだ二日しか営業していないのに、もう何日も経ったように感じるのは、やはり少し身体が疲れているのか。滅多にないのですが、夜の睡眠が足りない日は特にそう感じるのかも知れない。蕎麦屋に着いて看板と幟を出し、チェーンポールを降ろしたら、石鹸で手指をしっかりと洗って厨房に入り、まずは少なくなっていた蕎麦豆腐を仕込んでおく。

 時計は9時15分を回っていた。蕎麦粉を750gと500gの二種類計量して、41%の加水で捏ね始める。一度に1250gを捏ねれば早いのでしょうが、以前やってみたら、やはり打ち台が狭くて上手く打てないのです。140g近くで一束にしているから、1kgでは11人分しか取れないので、やはり普段打ち慣れたこの方法がベスト。急いでいるからか二回目は少し切りムラが出来たけれど、手打ちの蕎麦はこんなものだろうと、打ち終えれば10時過ぎなのでした。

 女将が来てくれる日だったから、掃除や洗濯物干しなどは全部任せて、亭主は厨房に戻って野菜サラダの具材を刻む。天気の好い日にはサラダは出そうな気がする。蕎麦豆腐もデザートも揃えてあるし、ヘルシーランチセットが出れば嬉しい。サラダと蕎麦頭部を出して食べていただいている間に、天麩羅を揚げたり蕎麦を茹でたり出来るのです。ところが、準備は万端の時には、暖簾を出しても何故かお客は来ないから不思議。バス通りは車の量が多いのに…。

 1時前になってやっとお客が見えて、車を見れば常連の女先生。久し振りだから「元気でやってますか」と尋ねる亭主。話題はやはり新型コロナの感染状況で、新学期の始まった学校では、思ったほど感染者が出ていないのだそうな。趣味の野球観戦でストレスを発散して、家と職場を往復する生活なのだとか。お客が少ないと後片付けも楽ちんで、2時過ぎには女将と蕎麦屋を出る。四皿も残ったサラダは家に持ち帰り、例によってお好み焼きにするのでした。

9月11日 日曜日 珍しく蕎麦を打たない日曜日 …

 前日の反省から、夕べは10時には床に就いて、朝までぐっすりと眠る亭主。涼しくなったから、疲れているわけでもないのに、本当によく眠れるのです。風呂上がりに焼酎をオンザロックで飲んで、軽いつまみは食べるものの、以前のように寝る前にラーメンを食べたりはしなくなったのは少し進歩かな。5月に10数年振りに通風の発作が起きて、これも十分に反省をしているつもり。それでも、明け方に見る夢は、食べている夢だから面白い。

 女将は亭主が食べるのが好きだからだろうと言うのだけれど、間食もせずに朝も質素に食事を済ませ、遅い昼には食べられれば蕎麦一杯。夕食も女将とまったく同じ量だけだから、食べ過ぎと言うはずはないのです。その証拠に体重は増えない。最近はグルメリポートなどとテレビで食べる番組を見る機会があるので、その影響なのだろうか。調理師だからどうやって作るのかと言うことに興味があるだけで、これは食べてみたいという料理は多くないのです。

 昨日はほとんどお客がなかったので、わざわざ二回打った蕎麦がたくさん生舟に残っていたのです。今日は蕎麦を打つことを断念して、いつもの時間に出掛けては早すぎると、ジョン・ウェンの名作をテレビで見ていたのです。9時過ぎになって重い腰を上げ、着替えと髭剃り・洗面を済ませて、マスクをして家を出る。随分と涼しくなったから、最近はマスクを付けて蕎麦屋に出掛けることが多いのです。みずき通りの風景も昨日とは大違いで、一面の曇り空。

 女将が店の掃除を終えた頃に、向かいの畑の親父様が、両腕に何やら畑から採ったばかりの作物を抱えて、蕎麦屋に向かって来るではありませんか。女将が出て挨拶をすれば、今採ったばかりの長ナスを10本ばかり頂いたのでした。家の野菜がなくなってきたので、今日は何か買いに出掛けなければと思っていたと言う女将。いつももらうばかりで何もお返しが出来ないのが残念でならない。蕎麦屋に食べに来て下さいと言うのですが、なかなか機会がない。

 今日は開店の20分ほど前に車でご夫婦がやって来て、大釜の湯が沸いているからどうぞと、店の中に入ってもらったのです。蕎麦を打たなかった分、準備が早く終わって早お昼を食べに帰った女将が戻る頃には、もうお客がテーブルに座る有様。駐車場に車が止まっていれば、時間が早くても店が開いていると分かるから、開店時刻の前にまた一台。この調子でお客が入れば蕎麦は直ぐになくなると心配するほど、早い出足なのでしたが、後がなかなか続かない。

 昼過ぎにまたご夫婦でいらっしたお客は、ぶっかけ蕎麦の冷たい汁と温かい汁のご注文。余分に揚げすぎたかき揚げは、1時過ぎに亭主が賄い蕎麦を食べるときに載せた。今日は前のお客との時間が空いていたからか、天麩羅の揚がり具合がカリカリと好い具合なのでした。洗い物も終えていたから、ラストオーダーの時間が過ぎたら早めに店を閉めて、女将と家に帰る。また野菜サラダが全部残ったので、夜は久し振りにスパゲッティー・ミートソースを作る。

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2022年9月初め

9月1日 木曜日 外は蒸し風呂のような暑さで …

 定休日明けの木曜の朝はどことなく忙しなく、気持ちが落ち着かない。今朝もまだ暗い4時半には起き出して、居間で珈琲を飲みながら、ぼんやりとした頭で、蕎麦屋に行ってからまず何をしたら好いのかを考えようとする亭主。5時のニュースを見終えて、いよいよガレージに向かえば、外は以外と暑いので驚いた。朝焼けの綺麗な空なのです。陽が昇るのは日に日に遅くなっているらしい。店の中に入ってエアコンを入れ、厨房の明かりを点ける。

 定休日のうちに小鉢の食材は仕込んであるのですが、まだ盛り付けていないから忙しない気がするのか。お新香を糠床から取り出して、切り分けたらこれも盛り付けなければいけないので、やることが沢山あるように思えるのか。まずは心配していた小鉢の準備をし終えて約30分が過ぎた。それから、昨日のうちに出来なかったデザートと蕎麦豆腐の仕込みをするのです。どちらも火の前から離れられずに、それぞれ型と豊缶に流し込んでやっとひと安心。

 家に戻ればまだ6時過ぎだったから、朝食の時間までひと眠りする。朝飯前のひと仕事で心配だった準備を終えたこともあり、とにかく横にさえなればよく眠れるのが最近の亭主の傾向。6時間ではやはりちょっと睡眠時間が足りないのかも知れない。女将に起こされて食堂に行けば、ちょうど塩鯖が焼き上がるところでした。大根がなくなったらしく今朝はキャベツと油揚げの味噌汁。とろろ芋もお新香も蕎麦屋の残り物です。さすがに食後のひと眠りはなし。

 晴れていたと思った空は何時の間にか雲が広がって、家を出た頃にはぽつりぽつりと雨まで降りだした。蕎麦を打つ頃になると相当に強い雨になって、今日もあまりお客が見込めないだろうと思う。夕べは午前中から晴れるという予報だったから、今朝は850g9人分を打たなければいけないと思っていたのに、やはり、その日、その時の天気の情報を確実に知っておくことは大切です。43%で蕎麦粉を捏ね始めれば、これがまた柔らかすぎて大変なのでした。

 伸し棒で伸すのにも、ちょっと力を入れすぎると薄く伸びてしまうから、均等な厚味にするために相当な注意を払うのです。打ち粉を振りながら、何とか八つに畳んで包丁切り。切りべら26本で135gだから、上手く打てたと言うべきなのでしょう。人間の体感湿度よりも、蕎麦粉の方が敏感に大気の湿気に反応しているらしい。エアコンの効いている店内は60%以下の湿度なのです。厨房に戻れば電話が鳴って、頼んでおいた電動床磨き機がやっと届くのでした。

 こちらは床磨き専用で、先日届いた電動モップと合わせて使えばなんとか屈まずに床を綺麗に出来そうな気がする。やはり、作る人がいると言うことは、亭主のように使いたい人がいるのでしょう。早速、充電器に充電を開始して、試しの作業は明日の朝か。早朝のひと仕事をこなしたお蔭で、大根と生姜をおろすのも、薬味葱切りも、蕎麦玉を寝かせている間に終えたから、後は野菜サラダの具材を刻むだけ。今日はニンジンのジュリエンヌも細く仕上がった。

 新しい油を天麩羅鍋に注いで、天つゆの鍋を火口においたら、店の掃除とトイレの掃除。ひと息ついたところで玄関に出てみれば、外はまるでサウナ状態なのでした。雨は止んでいたけれども、この蒸し暑さは尋常ではない。玄関脇の馬酔木の枝には来春咲く新芽がびっしりと付いている。家の裏手の無花果ではないけれど、今年の暑さが幸いしているのだろうか。亭主が採った無花果の実を女将がジャムにしたら、とても美味しいと言われたのでした。

 開店すると同時に、家のご近所の奥様が久し振りにお友だちを連れていらっして、ゆっくりと話をされていた。パソコンを抱えて歩いて来たのは、いつもビールと天せいろの常連さん。平日は空いているから、長居をしても一向に気にならない。スポーツクラブが休みの女将がちょうど1時に来てくれて、亭主がやっと昼の賄い蕎麦を食べ始めたら、リピーターの若者が現れる。天麩羅と串焼きを沢山頼まれて、遅い昼食なのでしょう。凄い食欲に夫婦はびっくり。

 ハラミとみつせ鶏の団子を焼いて火加減を見ているところに、女将がスマホを持って来て「予約をお願い」と言うから慌てた。亭主の太い指で急いで画面をタッチするものだから、折角、セットした予約画面が消えてしまう。予約開始30秒で、再び表示した時にはもう残り三席で、辛うじて席を取れたから冷や汗ものなのでした。蕎麦湯まで出し終えて、亭主は奥の座敷でやっと食後のひと休み。2時半前には店を出て家に帰る。東の空は青空が覗いていました。

9月2日 金曜日 終日の雨にも関わらず …

 夕べはもの凄い雨の音で、雷まで鳴ってどうなるのかと思ったけれど、朝になったら雨も小雨になって、亭主は6時前に車で蕎麦屋に出掛けるのでした。今朝の朝飯前のひと仕事は、昨日届いた電動ポリシャーの試運転が主な目的でした。薄めてある台所洗剤を床に撒いて、スイッチを入れればゆっくりとブラシの部分が回転を始めて、思ったよりも床が綺麗になるので安心。これを今まではデッキブラシで磨いていたから、隔世の感があるのです。

 気をよくした亭主は、トイレの出口から玄関の入り口までを一気に洗ってしまう。その後でこれもおニューの電動モップで丁寧に拭き取っていく。今までは作業が面倒でなかなか掃除が出来なかったけれど、これなら頻繁に汚れを落としていけそうです。最後はやはり水モップで洗剤を拭き取り、床が乾いたらワックスを掛ける事を考えなければいけない。浪人時代に予備校代を捻出しようと、ビル掃除をしていたから、手順は好く判っているつもり。

 何か清々しい気持ちで家に戻り、女将の支度してくれた朝食を食べれば、今朝は食後のひと眠りもせずに、髭を剃って、着替えを済ませ、再び蕎麦屋に出掛けていくのでした。電動のポリシャーとモップのお蔭で、蕎麦屋の仕事もまた一つ楽しみが増えたような気がするのでした。小雨の降る中を傘も差さずにみずき通りを渡れば、空はどんよりとした雨雲が広がって、今日もお客が来そうもないと思いながら蕎麦屋に着く。雨の降る中を幟を立てるのでした。

 お客が来そうにないとは言っても、蕎麦だけは明日の土曜日を見据えて、しっかりと打っておかなくてはならない。今朝も750gの蕎麦を、加水を少し減らして捏ね始めたら、やはり相当に湿気があるから、42%ぐらいでちょうど好かった。蕎麦玉を寝かせている間に大根をおろし、本伸しを終えたところで、打ち粉を振りながら生地を八つに畳んでいく。切りべら26本で135gのペースを守りながら、無事に八人分の蕎麦を仕上げ、昨日の残りと合わせて12食を用意。

 これなら、今日残った分は明日に回せるから、明日の朝は蕎麦打ちは一回で済む計算。雨は次第に強くなって、風の吹き付ける北側の窓を換気のために明けておいたのを締める。まあ、お客が来なければ、明日は少しだけ打てば好いなどといろいろ考える。10時前に厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み始めたら、今日はキャベツもニンジンもやけに切り易くて、千切りも細く、ジュリエンヌも綺麗に仕上がるのでした。いつになく随分と早い時間でまだ11時前。 

 雨は降ったり止んだりを繰り返して、時折、強くなって窓を閉める。涼しいからエアコンを切って外の温度と同じ27℃で我慢するのです。暖簾を出してもさすがに今日はお客が来ない。12時半になって腹も空いてきたけれど、大釜の湯も天麩羅の油も使っていないから、自分の食べる分で汚したくはないのです。1時になったら昼飯を食おうと店の中を歩き回ってカウンターの椅子に腰を下ろせば、隣町の常連さんの車が駐車場に入ってくる。

 「こんにちは」「いらっしゃいませ。いつもので好いですか。涼しいからサラダはなしで?」常連さんのスペシャルメニューで天麩羅を揚げようとすれば、例の少年が雨の中を傘も差さずにやって来た。ついでに少年用に海老を揚げて、常連さんの辛味大根をおろしたら、同時に蕎麦を茹でて二人に蕎麦を出す亭主。何度も会っているのに「学校は昼で終わりかい?」と少年に話しかける常連さんだったけれど、亭主が「給食が食べられないんですよ」と応える。

 少年の来る日には決まって他のお客も来るから不思議。雨の中を今日も駐車場は満杯になったのです。「来年は中学で何の部活に入るんだい?」と亭主が水を向ければ嬉しそうに笑って、運動部に入りたいと言う。未来が希望に満ちあふれているのは、若者の方が顕著なのでしょう。新たにいらっしたお客さんに、天せいろやヘルシーランチセットを出して、雨の日なのにまずまずのお客の入り。やっと昼の賄い蕎麦を食べたのは、1時半を過ぎた頃でした。

 今日は後半に混んだから、洗い物が大変でした。女将がいない日は、倍の時間がかかるから、休み休みなので余計に時間がかかる。それでも3時過ぎには家に帰り、女将の剥いてくれた梨を食べる。「昨日の方が甘かったね」と言えば「今日のは水っぽいだけのいつもの豊水ね」と笑って応える。夕食の前にひと眠りして、また蕎麦屋に出掛けてぬか漬けを漬けてくる。明日は晴れると言うけれど、お袋様の米寿のお祝いをするから、午後が忙しくなるのです。

9月3日 土曜日 お袋様の米寿のお祝いで …

 午前5時半。まだ陽は昇っていないのです。もりの上空にかかった雲にこれから昇る朝日が光を投げかけている。眠い目をこすりながら蕎麦屋に着いて、珈琲を沸かして飲みながら、冷蔵庫から糠床を取り出して、キュウリとカブとナスを切り分ける。今日と明日の分と思って、夕べは少し沢山漬けておいたのです。小鉢に盛り付けてまな板を片付けたら、夕べ干し椎茸と昆布を浸けておいた鍋に火を入れて、出汁取りの開始です。ここから約1時間はかかる。

 7時前に家に戻れば、女将が台所で朝食の支度をしてくれていました。朝が早かったせいか亭主はもう眠くて仕方がなかったから、食事を終えたらお茶も飲まずに書斎に入ってひと眠りする。やはり7時間は眠らないと身体が言うことをきかない年齢なのか。プールを長くお休みしているから、最近はかなり体力も落ちているのでしょう。9月は子どもたちのスイミングの終わった時間に、そろそろリハビリを開始しようと思ってはいるのですが … 。

 県の感染者数が減っているのに、市内の感染者数は相変わらずの毎日が続いているのです。いつもの時間に家を出て蕎麦屋に向かえば、今朝は涼しい秋の日を思わせる陽気でしたが、青空は覗いているものの、なかなかすっきりと晴れてくれない。気温が低いとお客が来ないと言うこともあるから、晴れ間が出ないと難しいのです。女将の言うように「涼しいと蕎麦を食べたいとは思わない」というのが一般の人の感じ方なのかも知れない。

 それでも週末だからと、今朝も蕎麦打ち室に入って蕎麦を打つ亭主。涼しいから蕎麦打ち室の窓を開けて、42%で蕎麦粉を捏ね始めるけれども、それでもまだ生地が柔らかい。湿度計は75%を表示していたから、蕎麦粉は正直だと変なところで感心をしてしまう。気温は25℃だから、やはり秋の涼しさなのです。蕎麦を打って身体は少し汗ばんで温かくなって来たけれど、エアコンを入れる程ではない。女将がやって来て、今日はちょうどいい気候だと言う。

 蕎麦の生地が柔らかくても、いつもの切りべらで、いつもの分量を打てるようにはなったけれど、柔らかすぎるとどうしてもエッジの効いた蕎麦には仕上がらない。そのためにはもう少し加水を減らす時期なのかも知れない。今日は開店直後からお客が入って、皆さん男性お一人ずつなのでした。カウンターに座ったご近所のご主人はいつも天せいろで、今日は珍しく話をした。カレーうどんのご主人は、前回に続きハラミとカシラの串焼きにデサートをご注文。

 1時を過ぎたらもうお客の来る気配はなく、亭主はおろし蕎麦をぶっかけで食べておく。夕刻はお袋様の米寿のお祝いで、仕事を終えて弟もやって来るから、その準備もしておかなければならない。女将と二人、早めに家に戻って、ひと眠りした亭主は車で魚屋に寿司を買いに出掛ける。珍しく弟が早めにやって来て、車を家に置きに帰った亭主は、お袋様が来たところで、天麩羅を揚げ始めるのです。串焼きを焼いて小鉢を出したら、皆で揃って乾杯なのでした。

9月4日 日曜日 再び暑さが戻って …

 今朝はちょっと遅く6時に蕎麦屋に出掛け、珈琲を沸かして目を覚ましたら、夕べの洗い物の片付けから始めました。盆や蕎麦皿がないだけでも作業はスムーズ。4人分の天麩羅皿と天つゆの小鉢、串焼きを乗せた皿など、洗いかごに伏せたままだったから、布巾で拭いて戸棚にしまう。寿司を載せた飯台も、昔はよく刺身を盛ってお客に出したものでしたが、久し振りに使ったので懐かしかった。今日の小鉢を盛り付けて、ゴミ袋を外の大きなゴミ箱に移す。

 7時近くに家に戻って朝食を終えたら、亭主は例によってひと眠り。今日は蕎麦を少しだけ打つ予定だったから、ゆっくりと眠れるかと思ったけれど、30分ほど眠って10分ほどウトウトしたら、起き出して洗面所で髭を剃る。着替えを済ませて一服したら、台所で洗い物をする女将に「行って来ま~す」「はい、行ってらっしゃい」ご近所の花壇に今年もランタナが咲いているのに気が付いた。花の時期が長いから彩りが鮮やかになって目を惹いたのか。

 かと思えばノウゼンカズラがまた咲き始めたお宅もある。この花も随分と花の時期が長いのです。夏の長かった今年の陽気が関係しているのか、一度、花が終わったかと思っていたら、また咲き始めているのでした。百日紅のまだ鮮やかに咲くお宅もある。お花の好きなご近所が多いから、季節の変わり目でも目を楽しませてくれるのです。自分の家もそうだけれど、最近は朝顔を育てるお宅が少なくなったような気がするのです。花にもブームがあるのかな。

 日曜日の朝だからみずき通りも車が少ない。ハナミズキがやっと紅葉してきたらしく、秋の訪れを感じさせるのです。それにしても今朝は朝から蒸し暑いと感じる。毎年、こんな風に秋がやって来るのだったかしら。去年の事はもう覚えていないから、確かめる術もないけれど、涼しくなったり暑さが戻ったりしながら、季節はどんどん変わっていくのでしょう。今日は暑くなればきっとお客が沢山いらっしゃるはずだと、気持ちを切り替えて蕎麦屋に向かう。

 昨日の蕎麦が随分と生舟に残っていたので、今朝は500g五人分だけ打ち足しておくことにしました。加水率をぴったり22%にして蕎麦粉を捏ね始めたら、今朝は柔らかすぎずにしっとりとした生地に仕上がる。蕎麦玉を寝かせいてる間に厨房に戻って大根や生姜をおろし、次の作業の準備に余念のない亭主。伸しても畳んでも今朝は好い感じで、包丁打ちの時に包丁の刃にくっつかないのが上手く打てている証拠なのです。果たして、どれだけ出てくれるだろうか。

 野菜サラダを何皿作ろうかと悩んだけれど、女将が「ないんですかと言われるのが嫌なのよねぇ」とまた言うものだから、いつもの休日の通り四皿盛り付けておくのでした。お客の少なかった昨日は一皿出ただけで、残りは夕方から開いたお袋様の米寿のお祝い会で出したのです。野菜が嫌いだと思っていた弟も、歳を取ったせいか綺麗に食べてくれたので助かった。毎日同じ野菜の顔を見ている亭主は、家に持って帰って食べるのはちょっと敬遠したいのです。

 今日は雲は出ていたけれど天気も好く、開店の時間から閉店の時間まで切れ目なくお客が入って、忙しかったのです。野菜サラダの付いたヘルシーランチセットも幾つか出たので嬉しい。ぶっかけ蕎麦、おろし蕎麦、とろろ蕎麦と多少の変化もあって、女将がいるので亭主は調理に専念できるから嬉しいのでした。「蕎麦が美味しいわ」「小鉢が美味しい」「また来ます」などとと言って帰られるお客が有り難いのでした。年配の方と若い方が半々ぐらいでした。

 「馬鹿にしてはいけない日曜日」の言葉通りに、コロナの時期だから以前の半分程度のお客だけれど、お客が10人を超えたのでまずまずの成果。洗い物も営業中は次から次へとお客が入るので、全く手つかずだったのに、何故か早めに終わった。亭主が疲れていなかったのが一番大きな理由かも知れない。2時半にはすべて片付けも終わって、冷蔵庫の中を確認して明日の支度を考える。蕎麦汁と小鉢は明朝補充しなければならないのでした。気持ちの好い午後 … 。

9月5日 月曜日 今日は暖かかったけれどお客が少なくて …

 当てにならないのが最近の天気予報で、晴れると言っても途中で午後からに変わることが多い。今朝も5時半に蕎麦屋に出掛けたのですが、今にも雨が降りそうな空模様。東側のミニ菜園を覗けば、三週間ほど前に草取りをしたばかりなのに、もう茫々に雑草が生えているではありませんか。こうなると人間と自然の闘いのようで、諦めしまうと大変なことになる。雨さえ降らなければ、明日の朝には再び挑戦する覚悟で蕎麦屋に入るのでした。

 まずは洗濯機の中の洗い物を干して、奥の座敷の真ん中に置いておくのです。湿気があると以前も畳に黴が生えたので、部屋の真ん中に置いておくのが正しい干し方のようです。厨房に戻って、昨日の洗い物を片付けて、蕎麦汁を蕎麦徳利に補充しておく。小鉢を盛り付けてみたら、八鉢しか出来なかったので、そんなにお客は来ないだろうとは思いながら、足りなかった場合の事を考えておく。浅漬けを少しだけ作っておくのが一番手っ取り早い。

 家に戻って女将に小鉢の話をすれば、彼女の作ったひじきの煮物を持って行くかと言われたけれど、今朝のおかずで食べたかったから、やはり浅漬けにすることに決めた。蕎麦屋の週の営業が終わる日には、先週仕入れた食材の家の分がなくなってくるから、今朝はベーコンエッグに豚汁。冷蔵庫の中は空っぽだった。野菜サラダは昨日の残り物で、これでやっと食べ終わる。一週間で食材が完全に消化されるのは、考えてみれば健全なのではないかと思う。

 食後はお茶も飲まずに書斎に入ってひと眠りする亭主。だいたい横になったら、蕎麦屋に行ったら次は何をすべきなのかと考える。考えてもしようのないことを反芻するから、何時の間にか夢見心地になるのです。30分ほど微睡んだら一度目が覚めて、それから手足を伸ばして10分ほどウトウトとする。若い頃のようにパッと起きられないのが、歳を取った証拠かな。洗面と着替えを済ませて居間で一服したら、今朝も「行って来ま~す」と家を出る。

 夏休みが終わって幼稚園が始まったから、送ってくる親御さんや園児に会うので、マスクをして歩き出す。蕎麦屋の向かいの畑のひまわりが、初めは陽の出る東を向いていたのに、このところこちらを向いているような気がするから不思議なのです。隣のひまわり畑はもう花が終わりらしく、花の部分が黒い種になっている。蕎麦打ち室の湿度は80%と随分と湿気があるのでした。加水率を42%弱にまで減らしたけれど、捏ね上げた生地はまだ柔らかい。

 包丁打ちをしても、昨日より包丁の刃にくっつく時が多いから、蕎麦粉は正直なのです。それでも切りべら26本で135gをキープして五人分の蕎麦を打ち終えるのでした。昨日の蕎麦と合わせて10食分を用意して、今日のお客に備えるのです。先週は確か月曜日に珍しく8人もお客がいらっして驚いたけれど、そんな嬉しい日はそう長くは続かないと、長い経験で知っている。それでも野菜サラダは平日の三皿を盛り付けておきました。果たして何皿出るのやら。

 天麩羅鍋に油を注ぎ、天つゆの鍋を火口に置いたら、沸いた大釜の湯をポットに入れて、11時10分前。蕎麦打ちが少なかった分だけ時間が早いのです。次亜塩素酸の入った薬剤でトイレや入り口のドアを消毒して、テーブルや椅子はアルコール除菌のスプレーを使って拭いて歩く。夏から秋にかけてはノロウィルスの感染が特に心配だから、お客の手で触る部分はしっかりと拭いておくのです。後はコロナのウィルス除去。ノロはアルコールでは死なないのです。

 開店と同時にノートパソコンを持って歩いて来た常連さんが、カウンターの隅に座ってまた仕事場を開設する。注文は前回と同じくビールとカレー蕎麦。パソコンと出した食事を置くスペースと二人分の席を使うけれど、この時期は空いているから亭主も黙っているのです。料理が出たらビールを飲んで食べるだけだから、待っている時間に仕事をするのだろうか。亭主と会話をするという意識がないのかも知れない。外は青空が広がってやっと秋晴れが復活した。

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2022年8月末

8月27日 土曜日 夏の暑さが戻った日 …

 早くから起きていたのに、ぐずぐずしていたら蕎麦屋に出掛けるのが6時を過ぎてしまった。あまりすることがないと思っていたから、ちょっと気が緩んでいたのか。亭主の寝ぼけた頭のように、今朝の太陽もぼうっと森の向こうから昇って来たのです。昨日の洗い物を片付けて、小鉢を盛り付け、蕎麦汁の補充をしたら、もう7時を過ぎてしまいました。朝の30分は後になって効いてくるのです。急いで家に帰って食卓につく。

 ところが、こういう日は女将もゆっくりで、魚を焼きながらお新香を切り分けていたので、亭主が箸を並べ、小鉢を盛って、自分でご飯をよそうのでした。豚汁が出来上がってやっと「頂きま~す」なのです。今日は朝から何か蒸し暑いような気がして、二人ともエンジンがかかるのが遅かったか。食事を終えたら例によって亭主は書斎に入ってひと眠り。しかも、かなりぐっすりと眠ったのです。営業を始めてまだ三日目だというのに、朝から気怠いから困った。

 天気予報通りに雲が晴れて陽が差してきた。蕎麦屋の前のバス通りは、両側にひまわりの畑が広がって目を楽しませてくれる。夕べは雷の音がもの凄くて、怖いほどだったけれど、朝までには雨は上がっていた。看板を出し、幟を立ててチェーンポールを降ろせば、もう蕎麦打ちの準備をする時間。早朝にエアコンを入れておいたから、快適なはずなのに、今朝は湿度がまだ70%となかなか湿った空気がなくならない。外は相当に蒸しているのです。

 そのせいか、43%の加水で捏ね始めた生地は柔らかめで、打ち粉を振っても包丁に絡みつく感じなのでした。なんとか切りべら26本で135gに仕上げ、8束を打ち上げて、昨日の残りの蕎麦と合わせて13食を用意する。隣の西の小径では草を刈る機械の音がするから、厨房の窓から覗けば、亭主と一つ違いだと言う親父様が、汗だくになって小径に伸び広がっていた雑草を刈ってくれていた。蕎麦屋の始まる前に終わらせようと気を遣ってくれたのでしょう。

 刈り終えた頃に店の窓を開けて「暑いのに有り難うございます」と挨拶をする亭主。早お昼を終えて女将が下の階段を昇って来るときには、奥様も出て刈った草を掃き集めていたと言う。やはり有り難うございますと挨拶をしたと言うから、歳を取って今日の暑さの中を動くのは大変だと思ったのでしょう。蕎麦屋はエアコンが効いてきたけれど、厨房はやはり暑いのです。11時前に車が駐車場に入ったから、どうしたのだろうと窓から見れば宇都宮ナンバー。

 遠くからいらっして時間よりも早く着いたのだろうと、大釜のお湯も沸いていたから、店の中に入ってもらったのです。聞けばそれぞれ埼玉と栃木の人で途中で落ち合って、二時間も車を走らせたのだとか。蕎麦屋巡りが好きで、「霊犀亭」を調べたら是非行ってみようとやって来たのだと言う。お二人ともヘルシーランチセットの天せいろをご注文で、野菜サラダと蕎麦豆腐を食べていただいている間に、天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる。

 今日は四組8名だけのご来店だったけれど、大盛りが3名もいたり、デザートが出たりで、珍しくハラミとカシラの串焼きも随分と出たのです。週末だからか、皆さんゆっくりとされて、最後のお客が帰ったのは閉店時刻の2時少し前なのでした。前半のお客が昼前のご来店だったので、半分は洗い物が済んでいたから助かった。2時半には女将と二人で蕎麦屋を出る。外は猛烈な蒸し暑さで、夏が戻ったようなのでした。涼しさに慣れてしまったのが辛い。

 昼間、ノンアルコールビールを頼まれて、残りがなくなったと言うので、昼を食べ損ねた亭主は、家に帰るとすぐに隣町のスーパーに買い物に行く。パンでも買って食べようと思っていたのに、他の仕入れに忙しくてまたもや昼の食事を忘れてしまう。涼しい書斎でひと眠りして、夕刻には、再び蕎麦屋に出掛けて、小鉢がなくなったので、お新香を漬け、冬瓜を下茹でしておく。夜は女将の好物の鰹の刺身を買ってきたから、テレビを観ながら二人で食べる。

8月28日 日曜日 激しい朝の雨に …

 5時30分に車で家を出て蕎麦屋に出掛け、夕べ漬けておいた糠漬けを取り出した。味はイメージしたとおりに、ぴったり11時間でちょうど好い漬かり具合なのでした。茄子の色止めも効いている。今日と明日の二日間持ってくれれば好いのです。昨日茹でておいた冬瓜を、オクラと一緒に出汁で煮て、塩と砂糖と生姜と唐辛子で味付けをしたら、少し硬めに水片栗でとろみを付ける。多分、全部は出ないと思うけれど、これも今日と明日の二日だけの小鉢です。

 空いた蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めて、13人分の蕎麦汁を用意する。これは今日打つ予定の蕎麦と昨日の残った蕎麦を、合わせたよりも数が多い。雨の予報だったから、今日は12食の蕎麦で営業を開始するつもりでした。小止みになった雨の中を、西側の小径に出て、綺麗になった道路脇から、ひまわり畑の写真を撮っておく。家に戻れば、朝食の用意が調って「頂きま~す」食後は例によって書斎に入ってひと眠り。今朝は涼しかったからエアコンは点けなかった。

 これも最近の習慣なのでしょうか、食後の仮眠をぐっすりと1時間近く取るようになってしまった。目覚めたらザアザアと雨の音。外は酷い雨なのでした。午前中一杯この調子だと言うから、亭主は車を出して蕎麦屋まで行く。ガレージまで階段を下りる間も傘を差さないと歩けないほど。これではお客が来るはずもないのです。店に着いても、幟も出さず、チェーンポールも降ろさずに、蕎麦を打ちながら、しばらく様子を見ることにしたのです。

 北風のせいか北側の店の窓には雨が激しく当たって、店の中よりも外の方が涼しいくらい。昨日の暑さはまるで嘘のようなのです。蕎麦打ち室も暗かったから明かりを点けて、今朝は42%台で蕎麦粉を捏ね始めました。湿気があるとどうしても生地が柔らかくなってしまうから、昨日の失敗を繰り返さないように注意したのです。果たして、しっとりと仕上がりは好く、切りべら26本で135gの蕎麦が8束出来上がりました。今日は12食でも多い位なのかも知れない。

 ところが野菜サラダを盛り付け終える頃になると、雨は小降りになって、女将が早お昼から帰るとほとんど止んでいる。幟を出してチェーンポールを降ろせば、もう開店の準備。暖簾を出したら、程なくお客がやって来たのです。外の方が涼しいので、窓を少しずつ開けてエアコンは使わなかったけれど、十分に涼しい秋の風。女性の方は温かいぶっかけ蕎麦を頼まれて、男性はヘルシーランチセットのご注文でした。掻き揚げを揚げて汁を温め、蕎麦を茹でる。

 昼を過ぎれば今度は車二台で5人連れのお客がご来店。女性軍は天せいろが三つとお婆さんが温かい天麩羅蕎麦、そして男性は鴨せいろ大盛りなのでした。天せいろを先にお出しして、温かい天麩羅蕎麦はどうしても後になる。鴨せいろはその後でじっくりと鴨肉を焼いてお出ししたのです。お婆さんの食べた天麩羅蕎麦の汁を、女性たちが回し飲みしていたから、「汁が美味しいですか」と亭主が聞くと、「見られちゃった」と美味しさを隠せない様子。

 さすがに今日の天気では、これだけで十分なお客なのです。雨はその後も降ったり止んだりでしたが、天候には文句を言えない。コロナ以前の週末のお客の数と比べたら、半分ほどなのでしょう。それでも客の入りを見計らって、食材の用意をしているからあまり無駄はないのです。またしても昼を食べ損ねた亭主は、帰りにコンビニまで車を走らせ、サンドイッチと牛乳で空腹を満たす。風は涼しい秋の風。いつまで続くのか、無事に明日を終えたいところ。

8月29日 月曜日 午前中は秋晴れの陽気で …

 肌寒さで目が覚めた朝でした。外の陽気もすっかり秋の気配で、蕎麦屋に出掛ければ、青空に隣のひまわり畑が映えているのです。蕎麦汁の徳利は大盛り用も含めて10本、小鉢の数は8鉢用意して、打つ蕎麦の数は昨日の蕎麦と合わせて9人分と決めていた。天気は好いけれど、最高気温が25℃という予報だったから、お客はそんなには期待できないのです。今月の月曜のお客の数は4人止まりだから、これだけあれば十分に足りるはずなのでした。

 洗濯物を畳んで、洗濯機の中の洗濯物を干したら、車に乗ってコンビニに煙草を買いに出る。空は何処までも青く、風は冷たい秋の風。早朝の中央通りはまだ車の数も少なく、家々が長い影を落としていました。家に戻れば女将が台所で朝食の用意をしてくれていたから、居間で一服したらちょうど食事の時間となるのです。家の中でも半袖ではもう涼しすぎる温度のようで、今朝は20℃ほどしかなかった。タオルケットにくるまって食後のひと眠りです。

 夜もしっかりと7時間は眠っているのに、食後のひと眠りも最近は1時間も眠ってしまう。気候が涼しいからよく眠れるのかな。酒を飲んで寝るから眠りが浅いのだと言われそうで、女将にはあまり言わないようにしている。まあ、身体が要求している睡眠が好きなだけ取れるのは、何と言っても隠居の特権なのかも知れない。しっかり髭を剃って、今朝は珍しく車で蕎麦屋に出勤した。月曜日は持って帰る荷物が多いので、一人だから大変なのです。

 週末ならお客が車を停められなくては困るからと、近い距離だからほとんど車では行かないのに。もしかして、一人で営業の日は一度に、一度に沢山お客が入っても大変だと、無意識のうちに思っているのも知れない。3台停められる駐車場の端を亭主の車が塞いでしまうと、あと2台しか入れないから、一度にお客が来ても知れているのです。そんなことを考えながら、厨房の椅子に座って珈琲を飲む。外は気持ちの好い陽気だから、窓は開けたままです。

 蕎麦打ち室に入って今朝は500g五人分の蕎麦を打ち、予定通り昨日の残りと合わせて九人分の蕎麦を生舟に並べる。野菜サラダはいつも平日の通りに三皿だけ盛り付ける。天麩羅鍋に油を注ぎ、天つゆの鍋を出して火口に据える。テーブルをアルコールで拭いてまわり、大釜の湯も沸いて、お茶の用意も出来たから、暖簾を出せば、珍しくすぐにお客の車が入ってきたのです。ご主人がぶっかけ蕎麦で奥様が天せいろのご注文なのでした。

 電話が鳴るので取れば、宅配会社からまた醤油の瓶が割れたと連絡があったので、先月も割れてキャンセルになったから今月は倍の1ダースも頼んだのに、返しが作れずに困っていると、つい大きな声で怒鳴ってしまった。狭い店だから、お客様にはお詫びをして事情を話したのでした。取りあえず割れなかった分を持って来て欲しいと言ったら、昼過ぎには大きな段ボール箱に横に並べて持って来た。これでは割れるはずだと、取り扱いの杜撰さに驚く亭主。

 昼過ぎには続けざまにお客がいらっして、そんなに車を停められないはずなのにと思ったら、歩いて来たご夫婦もいたのでした。最後の女性お二人がいらっしてカウンターに座ったところで、「お蕎麦売り切れ」の看板を出して、順番に天麩羅を揚げて蕎麦を茹で、蕎麦湯を作ってお出しする。小鉢もなくなり、天麩羅の具材も切れたので、「最後の方はお待たせしたので、大サービスです」と言って、海老や野菜の天麩羅をぶっかけ蕎麦に載せてお出しした。

 カウンターの女性たちは厨房の亭主に話しかけ易いのか、「私より若いわね」などと会話の糸口を見つけてくる。団地の中に住んでいるのに、田んぼを借りて米を作っているのだと言う。デザートの水羊羹まで頼まれて、ゆっくりと話をしていかれる。閉店の時刻を過ぎて、亭主はやっと昼の賄い蕎麦をぶっかけで食べる。一人で洗い物と片付けをすると、一時間以上かかってしまうのでした。今日は残り物もなかったから、車で来る必要もなかったのでした。

8月30日 火曜日 朝はヒンヤリ、昼はムシムシ …

 定休日だと言うのに、今朝は4時起き。4時半には車で蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物を片付け、洗濯物を干したら、返しを作り始めるのでした。涼しいうちにやることは沢山あるから、6時前には家に戻って、女将に頼まれていた裏の無花果の樹の剪定をしたのです。今年は随分と実が付いて熟しているので、食べられそうな実はボールに取っておく。タラの樹も大きくなったから、短く刈り込んでやる。蚊がブンブンと顔や足を刺していくのが分かる。

 それでも30分ほどで退散して、切った枝の始末は後で女将に任せるのです。ボールに一杯の無花果の実は、ジャムにでもしてくれるのか、一粒食べてみたら甘い桃のような味わいなのでした。粒をもう少し大きくするには、摘果して実の数を減らさなければいけないのは分かってるけれど、そこまでは手が回らない。テレビのニュースを見ながら、女将の起き出して来るのを待つ。炊飯器のスイッチが切れたようだから、そろそろ朝ご飯の支度にやって来るはず。

 亭主が店で残った冬瓜のそぼろ煮を小鉢に盛っている間に、女将は豚汁を作り、ベーコンエッグを焼いて、お新香を切り分ける。自分でご飯を盛り付けて、「頂きま~す」と食べ始めるのでした。やはり朝が早かったからか、ひと仕事を終えてもう眠くて仕方がないのです。書斎に入って横になれば、涼しい朝だったから、あっという間に熟睡の境地。最近は1時間近くぐっすりと眠ることが多いのです。目覚めればもう8時半。洗面と着替えを済ませて蕎麦屋へ。

 まだ暗かった早朝に仕込んだ返しを甕に注ぎ、お袋様に電話をして週に一度の仕入れに出掛けるのです。最初に団地の外れの農産物直売所に向かう。ちょうど知り合いの農家の奥さんが野菜を運んで来たところで、「うちのは今日は稲刈りで」と言って新しく取れたばかりの茄子を籠に入れてくれた。「この間もらった南瓜もオクラも美味しかったよ」と言えば、「有り難うございます。今日も持って来ましたよ」と新鮮なものをくれるのでした。

 礼を言って車に乗り込み、隣町のスーパーに向かえば、運好く駐車場は最初に来た人たちが帰った後で、入り口に近い場所に停めることが出来たのです。夕べパソコンのプリンターで印刷した買い物リストに載っている品物は、全部揃えることが出来て大喜び。今日はレンコンがとても好いものが並んでいたので助かる。新レンコンの値段も、だいぶ落ち着いてきたらしい。店に戻ってすべての野菜類を冷蔵庫に収納し終えたら、11時近かったので家に帰って昼食。

 買い物から帰ったばかりの女将に、温かい湯麺と冷やし中華とどちらが好いかと尋ねれば「汗だくなので冷やし中華が好い」と言うので、麺と肉を茹でて昨日残ったサラダを載せてはい出来上がり。珍しく食後のひと眠りはせずに、朝の無花果の樹の剪定で使った脚立や剪定ノコを、もう一度車に積んで蕎麦屋に出掛ける。今度は蕎麦屋の月桂樹の木を剪定です。屋根まで伸びてしまった新しい枝をどんどん切っていたら、雨が降りだしたので厨房に戻る。

 8月の初めに草取りをした南側のミニ菜園は、今年は絹さやの後は何も植えていなかったから、もう草が伸びて大変な有様。暖かかったからか、今年は随分と草の伸びるのが早いような気がする。明日は少しは草取りが出来るだろうか。そんなことを考えながら、朝のうちに準備をしておいた出汁を取る。一番出汁を取って蕎麦汁を仕込んだら、二番出汁は5㍑の鍋に追い鰹で多めに作っておくのでした。涼しくなってくると温かい汁が出るのです。

 3時前に注文してあった床掃除の機械が届いて、早速、梱包を開けて見れば、コードレスの充電式で自走式の優れもの。屈んで雑巾で店の床を拭くのは、この歳になるととても大変なので、どんな成果を上げるのか明日が楽しみです。2万円以上する高価な物だから滅多なことでは期待外れはないと思うのだけれど。このほかに、床を磨く機械も頼んであるから、この秋は店の掃除が楽しみです。明日は何から手を着けようかと考えながら、夕食の食卓に着く。

8月31日 水曜日 雨の音で寝覚めたけれど …

 珍しく夕べは夜更かしをして、0時近くに床に入ったのですが、これも習慣か朝は雨の降る音でいつもの時間に目が覚めて、居間で一服したけれどやはりまだ眠い。再び目が覚めたのは朝食の時間の少し前で、いつもと同じように7時間近くは眠ったことになる。蕎麦屋の剪定した木の枝を袋に詰めようと思っていたけれど、今朝の雨で濡れているからと諦めたのでした。さすがに朝食後のひと眠りはせずに、今朝は蕎麦屋に出掛ける亭主。

 バス通りの向こうにあるひまわり畑は、遅く種を蒔いたから今がちょうど盛りの時期なのに、どうもひまわりの花は陽の昇る東に向かって咲くらしく、バス通りからは花の顔が見えないのです。蕎麦屋の隣のひまわり畑はもう花も終わりらしく、種のこぼれて育ったという秋桜の花も盛りを過ぎていました。アゲハチョウが花に止まって、秋の訪れを感じさせるのですが、どうも今日はまた暑さがぶり返すらしく、あさから蒸しているのです。

 蕎麦屋の厨房に入って、今朝の仕込みは夏野菜の揚げ浸し。隣の火口では冬瓜を下茹でして、鶏胸肉の挽肉とのそぼろ煮を作る準備をするのでした。昨日届いた電動の床掃除機は、充電に3時間もかかるというので、セットしてコンセントに繋いだままにしておく。午後一番で試しに運転してみようと、楽しみにしている亭主なのでした。長い間に汚れた床は、一朝一夕で綺麗になるとは思えないけれど、新しい器材を導入して店を綺麗にする契機となればと思う。

 冬瓜を15分茹でたら透き通って竹串が通るようになったので、笊に上げて水で洗う。ピーラーでレンコンの皮を剥いて、隣の火口で下茹でをしてあったのを、水で洗い天麩羅の具材用にタッパに入れて冷蔵庫で保存しておく。午前中の仕込みはこのくらいにして、11時になったので家に戻って、昼の支度をしなければ鳴りませんでした。味見用に揚げ浸しを小さな容器に入れて、夕べで夜の酒がなくなったから、酒屋によって煙草と焼酎を買って家に帰る。

 昼は先週から残ったキャベツの処理に女将が困っていたので、焼きうどんにして大量のキャベツを消化する。フライパンに蓋をして油で炒めると、キャベツの半分の量がしゅんとなって、野菜が沢山摂れるのです。小鉢には午前中に作った揚げ浸しを添えて、焼きうどんは塩味に醤油を少しだけ垂らし、美味しく頂くのでした。食後のひと眠りも今日はパスをして、女将がスポーツクラブに出掛けたら、再び蕎麦屋に出掛ける亭主なのでした。

 フル充電を終えた床掃除機は、コードレスなので扱いやすく、リモコンのスイッチを入れれば散水する機能も付いていて、一分間に1000回という振動で床を擦るから優れもの。ただ、汚れの酷いところは、さすがにすぐには落ちないから、雑巾でこすって汚れを落とす。以前のように床に屈んで全部の作業をするよりは、確かに楽なのです。こんな機械を制作者が考えた理由は、やはり小さな店舗の掃除に苦労をしている人たちがいるからなのでしょうか。

 一時間ほどでトイレから店の入り口までの狭いスペースを洗ったら、もう午後の仕込みにかかる時間なのでした。午前中に下茹でをした冬瓜を入れる前に、二番出汁と塩と砂糖で出し汁を作って唐辛子と鶏胸の挽肉を入れて煮ておく。そこに輪切りにしたオクラを入れ、冬瓜を入れて最後に少しだけ出汁醤油を垂らす。水溶き片栗粉を加えて少し硬めに仕上げれば完成。今回は粗挽きの鶏胸肉を入れたので、ちょっと違う仕上がりですが味は抜群でした。

 明日の天麩羅の具材を切り分け、お新香を漬けたところで、業者が注文をしておいた食材を届けに来る。9月で会社を辞めるという担当者が、新しい若手を連れて挨拶に来た。来週からはこの地区を回るのが木曜日になるというので、亭主は忘れないようにカレンダーに記しておくのでした。とにかく、夏の暑さの戻った今日は、店の外も蒸し暑く、風も湿った生ぬるい風でした。家に戻ればもう夕食の時間で、味見に持ち帰った冬瓜のそぼろ煮とキュウリの梅和えで、早速、一献。メインのおかずは鶏腿肉のカリカリ焼きでした。

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2022年8月下旬


8月21日 日曜日 気温は低いけれど蒸した一日 …

 未明に激しい雨の音で目が覚めた。5時半過ぎには起き出して、夕べ漬けた糠漬けが気になっていたので、取りあえず蕎麦屋に出掛けようと玄関を出たら、もう止んでいる。蕎麦屋に着いた頃には、ひがしの空の雲の切れ間から、朝日が覗いて上空には青空も見え始めていたのですが、今日は一日中、晴れることはなかった。向かいの畑には朝靄が広がって、涼しいのだけれど何故か蒸し蒸しとした陽気なのでした。蕎麦屋の室内は気温25℃、湿度85%。

 昨日の洗い物を片付ける前に、冷蔵庫からヨッコラショと糠床を取り出して、野菜を切り分けたら小鉢に盛り付けていく。ついでに冬瓜のそぼろ煮と夏野菜の揚げ浸しも、最後の六鉢を作っておくのでした。今日、お客が混めば、何か別の小鉢を作らなければならない。カウンターの洗い物を片付け、すっかり空になっていた蕎麦と作りに予備の蕎麦汁を詰めていく。これも混めば明日の分まではないかも知れない。今日が終わってから考えることにしよう。

 洗濯物を干す暇もなく7時を過ぎたので、家に帰って女将の用意してくれた朝食を食べる。縞ホッケの塩味が薄かったからちょうど好かった。豚汁は店で大根や長葱が残る間は続けてくれるらしいから、貴重なおかずなのです。時間のある時に大根や人参だけ煮て、冷蔵庫に保存しておくのがコツらしい。この夏は大根も値が高くなっているから貴重らしい。油揚げや豚肉も入るから、栄養のバランスも好いし、朝は温かい物を食べるという理にかなっている。

 食後はお茶を入れてもらって、書斎で横になるけれど5分も眠れなかった。今朝は蕎麦を二回打たなければならないからと女将に言えば「前はお店も混んでいたからよく二回打っていたじゃない」と言われた。朝飯前のひと仕事を始める前は、混んだ日は夜に蕎麦屋へ出掛けて仕込みをしていたのです。歳を取ったのか、何時の間にか習慣になったのか、二回打つとなるとちょっと緊張する。玄関を出れば、しばらく花が少なくなったムクゲがまだ咲き続けている。

 そう言えば、以前は1kgずつ打っていたから、多い日はこれを二回打っていたのだ。そして、それが続いたから腕の腱鞘炎になってしまい、それから一度に打つ蕎麦粉の量を750gに変えたのだった。当時は加水量が少ない方が、美味い蕎麦が出来ると勘違いしていたから、尚更、力を込めて打っていたのでしょう。少ない量を打つのは力も少しで済むし、加水率を43%にしてからは、かく汗の量も少なくなったような気がします。ムクゲにあやかって頑張る亭主。

 野菜サラダも今日の天気では四皿も要らないかと思ったけれど、女将が「もうないのと言われる時が嫌なのよね」と言うので、休日の数を守って野菜を刻むのでした。今日は昼前に二組もお客が入って、これは幸先が好いかと思えた。ご主人がカレーうどんのご夫婦もいらっして、しっかりデザートまで頼まれる。酒を飲むわけではないのに、珍しく二組とも串焼きを頼んだから嬉しい亭主。若いカップルは、前にもいらっしてハラミの串焼きを頼んだ方でした。

 とろろ蕎麦にヘルシーランチせいろ蕎麦やおろし蕎麦のご注文だったから、昼前は具材が足りなくなるかと心配した天麩羅が出なかった。お客の来ない間にと亭主の食べる賄い蕎麦も、今日は大根おろしと山葵と葱だけ。揚げた天麩羅を入れるパッドが油で汚れていないので、自分がかき揚げを揚げて汚すのが憚られたのです。その分、後の洗い物が楽になる。などと考えていたら、午後のお客はいきなり天せいろのご注文。人生、思うようには行かないものです。

 1時を過ぎてもお客がなかったから、暇な亭主は取っての長い剪定鋏を持ちだして、切り残した紅葉の枝を払うのでした。隣にあるヤマボウシがちょっと刈り込みが足りないのか、モミジと同じくらいのボリュームになっているのが今後の課題か。最後のお客がお蕎麦が美味しかったと言って帰られたのは、もう閉店時間の間際なのでした。女将のスポーツクラブの予約を無事に済ませて、今日は早めに片付けが終わる。夜は串焼きとしめ鯖、モズクで一献。


8月22日 月曜日 久し振りに蕎麦を打たない月曜日で …

 曇ってはいたけれど、気温が低いからか、爽やかな朝でした。家の中では手に触れる場所がジトーッと汗ばんできたのに、外は風があるから心地よいのです。蕎麦屋に着けば隣地との境に生えていた草が綺麗に抜かれていた。ゴミ出しから帰った隣の奥さんが出勤するところだったから、挨拶をしながら「済みませんね。綺麗にしてもらって」と言えば「ついでだから」と笑顔で応える。まめなご主人が昨日の午後から草取りをしてくれたらしい。

 隣のお花畑を覗いたら、今朝も賑やかにひまわりの花が咲き乱れていました。空が灰色なのが惜しまれる。ついでに西側の小径のムクゲの様子を見ると、家のムクゲと同じで、ここに来てまた元気に花を咲かせているではありませんか。店の中に入り、看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、早速、箒と塵取りを持って掃除に出る。ついでに道路際の雑草も綺麗に抜いておいた。お隣の若夫婦に触発されたのが好かった朝なのでした。

 道路脇に溜まったほんの少しの土に種が飛んできて、雑草が生える仕組みらしい。風で飛んでくる土を畑に返すわけにも行かず、抜本的な解決には繋がらない。今朝は蕎麦を打たないと決めていたから、朝の時間に余裕があるのでした。昨日洗って火で乾かした大釜に水を張って、ポットを並べてお湯を入れる準備だけしておく。湯を沸かすのはまだ早いから、厨房の椅子に座ってひと休み。店の中を見渡せば、天井の換気扇が埃で丸く汚れているのでした。

 何ヶ月に一度かは取り外して洗っているのですが、このところ暑くてそんな元気がなかった。今朝は涼しいのと時間があったから、脚立を出してカバーを外し、タワシでゴシゴシ埃を落としたら、見違えるように綺麗になった。店の外も中も、埃というのは何時の間にか溜まってしまうらしい。小さな蜘蛛も例外ではなく、蕎麦打ち室の窓や、店のテーブルや椅子の下に何時の間にか糸を針巡らせているから要注意なのです。維持管理とは好く言ったものです。

 いつもの時間になったら、野菜サラダの具材を刻み、平日だから三皿だけ盛り付けておきます。店の外は時折陽が差して、青空も覗く陽気なのですが、天気予報通りに晴れにはならない。大釜の湯が沸いたので、いつもより早めに暖簾を出して、お客を待つけれど、今日は早いお客はないのです。昼を大分過ぎた頃に、車が駐車場に入って、若い男性客がいらっしゃる。天せいろの大盛りを頼まれてお出しすれば、蕎麦湯も綺麗に飲み干している。

 「お蕎麦かお好きなのですね」と亭主がカウンターのこちらから言えば、「東北の宮城の出身なので蕎麦が好きなのです」と言うから、「宮城はどちらのご出身ですか」と尋ねれば白石だ言う。昔、七ヶ宿によく渓流釣りに行ったという話をすれば、話が弾む。子供もまだ小さいと言うから、三十代ぐらいなのだろうか。近くの奥さんの実家に帰ってゆっくりと夏休みらしい。今日のお客はこれでお終い。閉店時刻を前に、亭主はぶっかけで遅い昼を食べるのです。

 残った天麩羅の具材を揚げて、家に持ち帰る準備をしながら、洗い物を片付ける亭主。店置きのパンフレットがなくなったから、デザートの抹茶小豆の写真を撮っておく。サラダも小鉢もすべて残ったから、一度家に車を取りに帰って、お盆に載せたまま運んで帰るのです。ちょうど女将がスポーツクラブから帰る時間だったから、荷物を玄関口に置いて煙草を買いに出る。書斎でハソコンに向かって今日のデータを入力したら、夕食までぐっすり寝込んでしまう。


8月23日 火曜日 朝夕は涼しく、昼は蒸し暑い日でした …


 最近は朝晩が涼しいのでよく眠れる。夜も早くに寝ることが多いから、朝は自然と早い時間に目が覚めて、今朝も定休日だと言うのに6時前には取りあえず蕎麦屋に出掛けました。片付け物もほとんどないから、青空が覗いているようなので、隣のひまわり畑を歩いて写真を撮ることから始めました。いつも蕎麦屋の側から眺めた風景を撮っているから、今日は少し先まで歩いて駅前の高層マンション群が見える辺りでシャッターを切ったのです。 

 それからやっと厨房に戻って、3㍑の鍋に昆布と干し椎茸を入れて水を汲み、午後の出汁取りの準備をしておく。奥の部屋に干してある洗濯物を畳み、今度は洗濯機の中の洗濯物を干していく。一つ一つは時間がかからないけれど、何でも一度にやろうと思うと大変になるから、気が付いたことは済ませておくのが年寄りの知恵か。厨房の椅子に座ってひと休みすれば、嗚呼、まだあれもやっておかなければと気が付くから、休憩も大切なのです。

 7時前に家に帰れば、女将が台所で茄子とピーマンの味噌炒めを作ろうとしていたから、亭主が代わってフライパンで炒めてやる。その間に女将はご飯を盛り付け、味噌汁をよそうのです。休みの日はやはり亭主も何処か余裕がある。昨晩は十分に眠ったはずなのにそれでも食後はひと眠り。満腹になると横になってしまうのがどうも習慣になっているらしい。子供の頃は食べて直ぐに寝ると牛になるなどと言われたものですが、身体にはどちらが好いのか。

 洗面を済ませて和室に着替えに行けば、辺り一面にプルメリアの甘い香りが漂っている。見れば蕾を幾つか残して、恐らく最後の花が開いているではありませんか。7月始めに咲き始めたのだから、2ヶ月近くも咲き続けていることになる。夏場は外に置いていた頃にはあまり気にならなかったけれど、女将が大切に育てているからなのか、随分と花の時期が長く続いている気がしてならない。お袋様に電話をして、今朝の仕入れに出掛ける亭主。

 農産物直売所で野菜をみつくろって買い終えたところで、知り合いの農家の親父様が今朝の野菜を持って来た。「朝採るからどうしてもこの時間になっちゃうんだよ」と値札を貼っていたから、太いキュウリや形の好い冬瓜や南瓜、オクラ、ナスなどをもう一度レジに行ってお金を払うのでした。隣町のスーパーにも出掛けて、足りない野菜や女将に頼まれた家の肉や魚や果物を買って、10時過ぎには蕎麦屋に戻寄って、残った蕎麦をお袋様に持たせて送って行く。

 冬瓜は割高だけれど小さめのものが使いやすい。切らずに置いておけば冬まで持つから冬瓜と言うらしい。切って茹でたら冷凍してもおける。亭では小さめのものを二回に分けてその週の小鉢に煮ている。皮を剥き、小さく切って、塩を入れて15分ほど下茹でをすれば、綺麗な透き通った宝石のような色になるので、これをいろいろな煮物に入れて使う。鶏の胸挽きとオクラ、唐辛子の輪切りと煮て塩と砂糖、生姜で味を付け、隠し味に薄口醤油をたらし、片栗でとろみを付けると、綠の色が涼し気なのです。冷やして食べたい。

 昼は昨日残ったそばを茹でて、天麩羅の具材の残りを揚げて帰ったから、グリルで焼いて天せいろ。3㍑の鍋で蕎麦を茹でるのだけれど、二人分を一度に茹でると、どうしても蕎麦屋で茹でるような艶が出ない。蕎麦屋のお客が「家で茹でるとどうしても美味しく出来ない」と言っていたと女将が言う。やはり茹でるお湯の量に関係があるのか。午後は先週盆休みだった床屋に出掛け、久し振りに親父様と四方山話。夕刻まで蕎麦屋で出汁取りをして今日は終わり。



8月24日 水曜日 涼しくなったのに蒸し暑く感じた一日 …

 夕べは夕食の後に風呂の時間まで、ぐっすりと遅すぎる昼寝をしてしまったから、夜がなかなか寝付けずに、午前2時過ぎにやっと眠りに入るのでした。たまにこういう失敗をするから、今朝は朝食の時間にやっと間に合って目を覚ます。あれもしなければと頭の中にはスケジュールが一杯で、定休日二日目は試練の日なのでした。朝ドラの終わる時間に蕎麦屋に出掛け、昨日の続きで冬瓜のそぼろあんかけを作る準備をするのが最初の仕事です。

 冬瓜を半分だけ切り分けて、皮を剥いたら2cmほどの大きさに切って塩水で茹でる。茹で上がる少し前にオクラを鍋に入れて火を通しておきます。これを冷蔵庫で冷やして、午後の仕込みの準備をしておくのです。ここまで終えたところで、今日は西の町に蕎麦屋の消耗品を仕入れにいかなくてはならなかった。早い時間に済ませておかないと、億劫になるから、思い切って昼前に出掛けて行くのでした。ラップやキッチンペーパー、消毒液などを買い込んで来る。

 帰り道、団地の中央部の農村地区を横切れば、稲穂の広がる水田の向こうに駅前の高層マンション群が見える。子どもたちがまだ小さな頃、螢を見に来たのも確かこの辺りです。今では休耕田もだいぶ多くなったけれど、この土地に住み始めた頃の懐かしい原風景が残っている。以前はこの地区から蕎麦屋に来てくれたお客もいたのです。駅から循環しているモノレールはこの農村地区の外側をぐるりと回るように団地の中を走っているのです。

 昼はまたしても蕎麦。今日は3㍑の鍋で一人分ずつ蕎麦を茹でたら、ツヤのある美味しい蕎麦が出来た。やはりお湯の量に関係があるでした。冷えたとろろ芋をおろして、蕎麦屋で残った蕎麦豆腐をつまみながら、美味しくいただくのです。今日は午後の仕込みが沢山あったので、食後の昼寝もせずに1時過ぎには再び蕎麦屋に出掛ける亭主。業者が荷物を持ってくる夕刻まで頑張れるだろうかと、多少の不安はあったけれど、やるしかないのでした。

 まずは、午前中に下準備を終えた冬瓜とオクラを鶏胸挽と出汁で煮て、砂糖と塩で味つけし、薄口の出汁醤油を垂らす。ここまで書いたところで、唐辛子を入れたのに、生姜を入れるのを忘れていたことに気が付いた。明朝、生姜を擦って加えても遅いだろうか。隣の火口では、カレーの具材を煮込んでいる。南瓜と人参が少し柔らかくなったらルーを入れて、後は余熱で十分。普通なら8人分の分量だけれど、汁が少なく具が多いから5人分に分けて冷凍する。

 2時間ほど頑張ったところで少し疲れてきた。厨房の椅子に座ってひと休みしながら、夏野菜の揚げ浸しに入れる食材を冷蔵庫から出しておきます。先週残ったレンコンは初めて入れるけれど、硬すぎないか心配。一度茹でてはあるけれど、最初に揚げて十分に火を通し、油が少なくなってきたから、火の通りにくい食材から炒めていく。いつもよりは量を少なくしてあるのは、何日も汁に浸けておくと色落ちして鮮やかさが薄れるから。2,3日が限度かな。

 冬瓜のそぼろ煮もそうだけれど、お客が順調に入ってくれると週末にもう一度作れるのです。こればかりはなかなか予測できないから、運を天に任すだけ。後は天麩羅の具材を切り分けて、蓮根の皮を剥いてスライスしたらを茹でる。南瓜を盛り付ける形に切り分けたらレンジでチーンして、かき揚げの玉葱と三つ葉を刻んで容器に入れる。ここまで約30分、残るはお新香を漬けて、蕎麦豆腐とデザートを仕込むのですが、業者が来るので珈琲を沸かして待つ。

 4時過ぎに荷物が届いて、久し振りに顔を見る若者は、9月から担当者が代わりますと言うから、理由を聞けばどうも結婚するらしい。新居からは会社が遠いので、今の会社は退職するのだと言う。新しい仕事も業種は違うけれどやはり営業らしく、若い人の決断に感嘆する亭主なのでした。若いうちに転職するのが今の時代らしいと、自分の人生をふと振り返る。5時過ぎに家に帰れば、女将が珍しくオーブンとグリルを両方使って夕食を用意していました。



8月25日 木曜日 今朝も早くから蕎麦屋に出掛け …

 昨日は夕刻まで頑張って仕込みをしたけれど、やはり全部は終わらなかった。今朝はその遅れを取り戻そうと5時半には家を出て、蕎麦屋に向かう亭主。向かいの森の雲の影から、日の出の遅くなった朝日が光を投げかけていました。定休日明けの平日だから、新型コロナの感染者が増え続けている中で、お客がそれほど来るとは思えなかったけれど、準備だけはしておかなければというのが亭主の考え。車で乗り付けた蕎麦屋のたたずまいは深閑としている。

 涼しい朝だったから、郵便受けから新聞だけ取り出して、エアコンも点けずに厨房に入り、昨日使って洗いかごに干してあるいくつもの鍋を片付ける。最初に取りかかるのは、固まるまでに時間のかかる抹茶小豆の仕込み。上に甘く煮込んだ小豆を載せたいのだけれど、少し沈むくらいの硬さで載せるのがポイントなのです。次ぎに蕎麦豆腐を仕込んで型に流し込み、冷蔵庫から糠床を取り出して、ナスやキュウリ、カブを切り分け、小鉢に盛り付ける。

 昨日仕込んでおいた冬瓜のそぼろ煮と夏野菜の揚げ浸しを、冷蔵庫から鍋のまま出して、小鉢に盛り付けていきます。味付けはもちろんのこと、見た目にも美味しそうだとお客に思われるように、いろいろな工夫をしているつもり。冬瓜の透き通った感触が涼し気なのが亭主のお気に入り。オクラの綠と唐辛子の赤をアクセントにしたのですが、2、3日のうちに出し終えないと色は褪せてくる。そんなことを考えながら準備をするのが楽しいのです。

 洗濯物を干して7時前に家に帰れば、今朝は厚揚げが入った三ツ葉の卵綴じがメインのおかずでした。亭主が持って帰ったお新香の残りと揚げ浸しが、少しは花を添えたかな。豚汁も涼しい朝にはちょうど好いのでした。栄養のバランスが良いのが何よりなのです。7時半から女将の朝ドラが終わる時間まで、亭主は書斎に入ってぐっすりと寝込んでしまう。洗面と着替えを済ませ、洗濯物を干すのに忙しい女将に「行って来ま~す」と声をかけて店に出掛ける。

 空は曇ってきたけれど、涼しくて気持ちの好い朝なのでした。蕎麦屋に入る前に西の小径に散ったムクゲの具合を見て、ついでに隣のひまわり畑に入って写真を撮っておく。いつも元気で賑やかに咲いているこの花に、どれだけ励まされることか。歳を取るに従って自然の草花との会話が出来るようになるものらしい。それだけ孤独と向き合うようになるのかも知れない。今朝も散歩の老人たちが、ひまわり畑で写真を撮っていたのでした。

 店内の気温は25℃、窓を全開にして空気を入れ換えておく。蕎麦打ち室に入っても湿度は40%台だったから、今日は本当に涼しい朝なのでした。昨日のうちに蕎麦粉の発注をしておいたけれど、蕎麦粉の届く土曜日に打つ分まで、蕎麦粉があるのかと心配だった。今朝も750g八人分の蕎麦を打ち、残りを見れば何とか足りそう。気温の低い日が続くと言うから、市内の新型コロナの感染者も増えていることだし、そうそうお客が来るとは思えないのです。

 それでも野菜サラダは平日の決めた三皿を盛り付け、新しい天麩羅油を鍋に注ぎ、開店の準備は着々と進む。暖簾を出して開店前のひとときに、カウンターの椅子に座ってひと休みすれば、眠ってしまうのではないかと思うけれど、さすがに眠ることはないのです。バス通りの向こうを見れば、あちらの畑のひまわりも随分と花を咲かせてきた様子。近くまでは寄れないけれど、お隣のご主人が道楽だからと言って耕した畑の広さには驚くばかり。

 ボサノバの明るい曲を流して待ち続けるけれど、予想通りにお客は来ない。1時前になってやっと常連さんが来てくれたけれども、「今日は涼しいからサラダはいらない」と言われて、辛味大根をおろして、レンコンと南瓜、稚鮎とキスの天麩羅を揚げる。「夏が旬の野菜って何なのですか」と聞かれるから、「うちで出しているのが全部旬の野菜ですよ」と応える亭主。昼飯を終えた女将が手伝いに来てくれて、二人で後片付けをして家に帰るのでした。

8月26日 金曜日 曇り空だけれど蒸して暑い日 …

 昨日はお客が少なかったから、準備するものもないので、今朝は朝飯前のひと仕事はお休みにしようと思っていたのです。ところが習慣とは怖いもので、いつもの時刻に目が覚めてもう一度眠ることも出来ない。仕方がなく、洗濯物でも片付けてこようかと車で蕎麦屋に向かうのでした。まずは西側の小径にムクゲの花が散っていないかを確認して、新聞を取って店の中に入れば、昨日の朝よりは蒸している感じ。市内のコロナの感染者数は相変わらず200名近く。

 距離的には近いすぐ隣の市でも300名を越えているから、高齢者にとっては不要な外出を自粛すべき状態が続いているのです。家に帰って女将とこの話をすれば、「お盆で広がってるし、夏休みが終わらないと、当分収まらないんじゃないの」と言う。「学校が始まったらまた広がるのでは」と心配する亭主。高齢者ばかりの夜の防犯パトロールも、9月一杯は休止にするという連絡があった。これでは今日もお客が見込めないと、食後のひと眠りをするのでした。

 いつもよりは遅く、9時前に家を出て再び蕎麦屋に向かう亭主。昨日の蕎麦が随分と残っているから、今日は500g5人分だけ打とうと決めていたのです。それでも蕎麦打ち一回は一回だから、43%の加水で丁寧に蕎麦粉を捏ねて、丸出し、四つ出しを終えて伸し広げていく。綺麗に八つに畳んで包丁打ちをすれば、今朝は調子が好くて、不思議と切りべら26本で135gに揃うのでした。135gだと端切れがけっこう残るので、86gは大盛り用にと束にしておくのでした。

 昨日の蕎麦と合わせて11人分の蕎麦の束を生舟に並べ、10時前に蕎麦打ちを終える。いつもと同じ時間なのです。大根をおろして、ブロッコリーとアスパラガスを茹で、レタス、キャベツ、赤玉葱と切り分けたら、野菜サラダの皿を用意する。レタスを敷いて刻んだキャベツと赤玉葱を盛り付けたら、パプリカをスライスして、ニンジンのジュリエンヌ。キュウリ、トマト、パイナップルを切り分けて皿に載せたら、最後にブロッコリーとアスパラを添える。

 昨日も全部残って家で女将となんとか朝までかかって消化した。今日も残ったら大変だとは思いながらも、盛り付けてカウンターに並べると、ホッとするのです。お客の少ない蕎麦屋でも、それが調理人の喜びというものか。昼前に男性客がお一人でご来店て、温かいぶっかけ蕎麦をご注文。「少し涼しくなったから温かいのがいいかと思って」とおっしゃるので、「お腹には好いのですよ」と亭主が応える。確かに店内は28℃と以前よりは気温が低い。

 1時前に女性客5人がテーブルを占領して、皆さんバラバラのご注文。お婆様とお母様が前にいらっして、今日は親子孫と三代で来て下さったそうな。二人ずつ蕎麦を茹でてお出しして、天麩羅を揚げて天せいろを二つ出したら、最後に鴨せいろを作る。5人分の調理をしている間に、次のお客が来たらとうしようかと気が気ではなかった。一人で営業する日は、お茶出しも盆や蕎麦皿のセットもすべて自分でやらなければいけけないから、これが大変なのです。

 無事に5人分の蕎麦を出し終え、女性ばかりだからかいろいろと話をする。デザートの抹茶小豆も3人が頼まれて「これは美味しいわ」と褒められた。1時半には皆さんお帰りになったけれど、それから洗い物と片付けに入るのが大変。1時45分のラストオーダーの時間を過ぎたので、看板と暖簾と幟を閉まって、チェーンポールを上げていたら、車が止まってもう終わりかと言う。御免なさいと頭を下げる。遅い昼は家に帰ってから冷やし中華を作って食べる。

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2022年8月中旬

8月13日 土曜日 台風上陸通過の日だったけれど…

 昨日、一昨日と続けて平日の二日にお客が入ったので、お新香も蕎麦汁も底をついたのです。昨日のうちにお新香は糠床に漬けて、出汁を取る準備をしておいたから、今朝は6時前に蕎麦屋に出掛けました。出汁を取りながら、糠床から取り出したお新香を切り分けて、蕎麦汁まで作って約1時間。今日は蕎麦豆腐とデザートを仕込まなければいけなかったけれど、7時を過ぎたので家に帰ることにしました。隣のひまわり畑を眺めれば、可愛い花が沢山でした。

 日中、畑の様子を見て回っていたお隣の息子さんに挨拶をして、立ち話をすれば、去年、種が沢山取れたので、今年は広い範囲に播いたのだとか。「道楽でやっているから」と言うので、「私の蕎麦屋と同じですね」と言えば、予約をしなくても食べに行けるかと聞かれ、いつでもどうぞと応えておいた。家に戻れば、今朝は庭の隅にアオイと並んでモミジアオイが一輪ずつ咲いていた。蒸すけれども涼しい朝なのでした。気温は低いのでしょうか。

 女将の用意してくれた朝食は、いつになくボリュームがあって、全部は食べきれない。二人でホッケを半分ずつ残して、晩のおかずにすることに決める。今日は台風だからあまりお客も期待できないので、食後のひと眠りもゆっくりと、30分ほど熟睡するのでした。それでも、やることは沢山あったから、8時半過ぎには家を出て、エアコンの効いた蕎麦屋に向かう。台風がいつ上陸するのかをよく知らずに、少し北に進路を変えたことだけを覚えていた。 

 とは言っても、台風の進路の南側は雨風が心配されるから、みずき通りを渡りながら、この雲行きはもう台風の影響なのかと考えている亭主。まだ雨こそ降りだしていないけれど、店は開店休業になるかも知れないと、心配をするのでした。蕎麦屋に着いて幟を立てるのだけれど、雨風が強くなれば耐えられないかも知れないと、あらかじめ隣との境に立てた幟を降ろす場所を確認しておく。青空も見えてそれほど激しい天候ではないのが、ちょっと心配ではある。

 看板を出してチェーンポールを降ろしたら、厨房に入って抹茶小豆と蕎麦豆腐の仕込みを済ませる。抹茶が少し固まらないと小豆が沈むから要注意。蕎麦打ちが終わったら、薬味の葱を刻んで、大根をおろせば、後はいつもの野菜サラダの具材を刻む行程。少し仕事の多い分、時間はどんどん過ぎて行くのでした。蕎麦打ち室に入ったのは、女将が来た9時半過ぎなのです。今日は一回だけ打てば好いから、慌てることはないと慎重に蕎麦粉を捏ねていく。

 ちょうど43%の加水率で、今日もしっとりとした生地が仕上がったので、蕎麦玉を作って生地を寝かせる間に、厨房に戻って葱きりと大根おろしを済ませる。時間のない時には、ここで休憩をしてはならないと自分に言いかせるのです。一度椅子に座ってしまうと、立ち上がるまでに時間がかかるのが歳を取った証拠。大釜に火を入れたら、直ぐに蕎麦打ち室に戻って伸しにかかるのです。今朝も綺麗に伸して畳んで、八人分の蕎麦を仕上げ、生舟には12食の蕎麦。

 時折、雨が降る天気だったけれど、12時半を過ぎた頃にやっとお客が来てくれました。続けて1時を過ぎてリピーターのカップル。天せいろの大盛りとヘルシーランチセットを頼まれて、今日は綺麗に出来上がったと思っていた野菜サラダが出たので嬉しい。それでも空が暗くなって雷鳴が鳴り響く有様だったから、今日はこれでお終いだろうと、亭主はかき揚げを揚げて賄い蕎麦をぶっかけで食べるのでした。女将も残った野菜差サラダを包み、片付けに入る。

 家に帰って冷たく冷えた梨を剥いてもらって食べる。女将が美容院に行こうと電話をしたら、台風だからともう店を閉めたと言われたそうな。亭主は書斎に入って、今日の売り上げと写真のデータをパソコンに入力したら、横になってひと眠りする。目が覚めたらもう4時を過ぎていたから、随分と長い時間寝たことになる。夕食には早いから、ブログを書き始めて外が雨なのに気が付いた。明日は台風一過でお盆の墓参りが出来る天気。店は混むのだろうか。

8月14日 日曜日 台風一過、お盆も休まずに営業したら …

 台風が過ぎた翌朝は、からりと晴れ渡るかと思いきや、薄雲がかかった森の向こうから、今朝の太陽が光を放っていました。天気予報では昼過ぎまで曇り。お盆で墓参をするにはちょうど好い陽気だけれど、コロナ前のように墓参帰りのお客が来るということも、最近ではあまりない。以前なら、この時期はいつが休みかと電話が鳴ったもの。斯くして、定休日以外は休まずに営業をしようと女将と話していたから、今朝も6時には蕎麦屋に出掛けて行ったのです。

 陽は差していたけれど、見渡せば空には雲ばかり。隣のひまわり畑の写真を撮りながら、西側の小径に散ったムクゲの花殻を掃き集める亭主。今日は日曜日だから、こんな早い時間には通る人もいない。昨日作っておいた蕎麦汁を徳利に詰めて、カウンターに干してあった盆や蕎麦皿を片付け、洗濯物を干してもまだ時間が早かったのです。小鉢は11人分を用意してあるけれど、余裕があった方が好いだろうと、インゲンを茹でて胡麻和えの準備をしておく。

 家に帰れば朝食の支度が調い、今朝は卵焼きと厚揚げ、とろろ芋のおかずで美味しくご飯をいただくのです。ナスの味噌汁も子どもの頃はよく食べたのですが、ナスは栄養がないと思い込んでいる女将の嗜好で、我が家ではあまり出た試しがない。冷蔵庫に残った食材がそろそろ尽きてきたらしく、今朝は珍しくナスの味噌汁。食後は面白そうなテレビの映画も観たかったけれど、書斎に入って横になれば、30分ほど熟睡出来たのです。頭がすっきりした。

 蕎麦屋に出掛ければ今朝はいきなり蕎麦打ち。750gを打って、昨日の残りと合わせて15食の用意をしました。馬鹿に出来ない日曜日だからと、野菜サラダも四皿盛り付けて、女将が早お昼から帰る頃には、もう開店の準備が終わっていたのです。10分前には暖簾を出して、沢山ある蕎麦が少しでも捌ければと思ったのですが、願いが通じたのか昼前に続けてお客がいらっした。天せいろの老夫婦に配膳をしたら、カウンターに座った若い女性はぶっかけ蕎麦。

 それからしばらくお客は来なかったから、亭主は蕎麦を茹でてぶっかけで食べようとした矢先、駐車場に車が入ってきたから、奥の座敷でスルスルッと昼を済ませる。厨房に戻れば「6人なんですって、分かれて座ってくださいと言いましたよ」と女将が言うので、注文の決まるのを待てば、天せいろに鴨せいろ、せいろ蕎麦に天麩羅蕎麦とてんでにバラバラなご注文。天せいろとせいろ蕎麦を先に出して、鴨せいろ二つを出して、最後が天麩羅蕎麦の順に出す。

 話す言葉を聞けばどうも中国の人らしく、天つゆの器に薬味の葱や山葵を入れたりして、女将が対応していた。旅行なのか、何処か観光が出来ないかと捜しているらしかったけれど、この時期はもうラベンダー祭りも終わっている。小一時間ほど涼んでいる間に、常連さんの女将の友人がいらっして「いつものを」とご注文。暑い中を1キロ近くも歩いて来たらしいのです。今日はお客の帰るのが遅かったから、片付けにも時間がかかった。

 帰り道、みずき通りで珍しくアブラゼミを間近で見た。その名の通り油で揚げるようなジリジリという音で鳴いていました。家に帰れば、先に着いた女将がエアコンのスイッチを入れておいてくれたから、ヒンヤリと涼しい。冷たい梨を剥いて、居間で涼む亭主の所に持って来てくれるのは有り難いことです。昨日行けなかった美容院に電話をして、直ぐに出掛けた女将でしたが、5時前には戻らないだろうと、亭主はかしらを焼いて、珍しく日本酒で一献です。

8月15日 月曜日 お盆の中日、終戦記念日 …

 午前5時半、家を出て蕎麦屋に向かう亭主。西側の小径に散ったムクゲの花の様子を見ながら、隣のひまわり畑を眺めれば、いつのまにか沢山の花が開いているではありませんか。毎日、見ているのに、今朝は急に花の数が増えているような気がするのです。蕎麦屋に入ってエアコンのスイッチを入れ、厨房の明かりを点けたら、まずは朝刊を開いて、昨日の市内の感染者数を調べるのです。三桁が続いていたのに16名と激減しているのは、お盆のせいだろうか。

 厨房に入って冷蔵庫にある小鉢のお新香に、インゲンの胡麻和えを作れば全部で七鉢。そんなにお客が来るとも思えないけれど、ギリギリの数ではちょっと心配だったから、残っていたキュウリとナスとカブをスライスして、浅漬けを漬けておきました。急に足りなくなっても、直ぐには小鉢は作れないのです。残ったら残ったで家に持ち帰って食べるだけ。食材は少し多めに種類と数を仕入れてあるから、何をいつどう使うのかが思案の分かれ目なのです。

 カウンターに干してある昨日の洗い物を片付けたら、洗濯室に行って、洗濯機の中に洗ったままの布巾や手拭いを干していきます。昨日は混んだから洗濯物が沢山あったのです。隣の風呂場は綺麗なままで、ほとんど使っていないから勿体ない。よほど暑い日には、仕事が終わったからシャワーを浴びたりもしたけれど、ガス会社の点検の人には、「たまには水を入れて沸かした方が、風呂釜が長持ちしますよ」と言われているけれど、そのままです。

 7時前に家に戻れば、今朝は早くから女将が台所に立って朝食の支度をしてくれていた。とは言っても、空っぽに近い冷蔵庫の中身を知っているから、あまり期待はしていない。それでも、あり合わせの材料で、美味しいおかずを揃えるのは、さすがとしか言いようがない。そう言えば夕べはひじきを煮ていたっけ。早めに朝食を終えて、亭主は書斎に入ってひと眠りするのでした。エアコンで除湿していたから、ぐっすりと30分ほど眠れたのです。

 元気を取り戻して再び蕎麦屋に向かおうと玄関を出れば、相変わらず綺麗な花を咲かせている木槿(むくげ)が、朝日を浴びて亭主を見送ってくれているようなのでした。9時前だというのに、もう家々の影はほとんどなくて、今朝は熱い太陽が照りつけている。エアコンを効かせている蕎麦屋の涼しさを思って、わずか300mの暑さを我慢して歩く。駐車場の入り口でふと足を止める亭主。お隣の軒下の巣から飛び出してくるツバメの集団がまた飛び回っている。

 今朝はいつもと違って低く滑空したり、蕎麦屋の換気口に止まって休んだりと、興味深い動きをしているのでした。しばらくカメラを構えて何度かシャッターを切る。子ツバメが疲れて休んでいるのを、親ツバメが飛び立たせようとしているのだろうか。換気口に止まっているツバメは確かに身体の大きさが小さいのです。ジリジリと照りつける朝日に我慢が出来ずに、亭主は涼しい店の中に入って朝の仕事を開始するのでした。

 早朝に漬けておいた浅漬けを取りだして、鉢に盛り付ければ五鉢分だけ作れた。時計はとうに9時を回っていたから、急いで蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。昨日の蕎麦が4束残っていたから明日から定休日なので、今朝は500g5人分だけ打って9人分の蕎麦を用意しておきました。平日の月曜日だから、これで十分に足りるはず。厨房に戻って大根をおろし、ブロッコリーとアスパラを茹でて、野菜サラダの具材を刻み始める。

 後はいつもの手順で、11時前には大釜の湯も沸いて、店の掃除を終わらせてひと休み。と、開店時刻の20分も前だというのに、駐車場に車が入ってくるではありませんか。早すぎるけれど、湯が沸いていれば断るわけにもいかないので、暖簾を出して中に入ってもらうのでした。年配のご夫婦だったから、時間も気にしていないらしいのです。奥様が「天麩羅が食べたいわ」と天せいろ二つを頼まれて、お二人でゆっくりと蕎麦を召し上がるのでした。

8月16日 火曜日 風の強い定休日 …

 今日は定休日だからと夕べは少し夜更かしをしました。それでも朝はいつもと同じ時刻に目が覚めるから、ちょっと寝不足気味の亭主なのでした。お湯を沸かしてコーヒーを入れたら、目を覚まして蕎麦屋に出掛ける。駐車場の金木犀が伸びすぎて、お客の車を入れるのにもバックセンサーが反応するのではないかと、少しずつ剪定ばさみで刈り取って、ついでに脚立を出して上に伸びた枝を刈り取ったのです。今年は花が咲かないかも知れないと心配する。

 90㍑のゴミ袋が一杯になったところで作業を止めて、エアコンの効いた店内に戻って、カウンターに乾した洗い物を片付け、洗濯機の中の洗濯物を乾すのです。これでちょうど7時前になったから、家に戻ってやっと朝食です。今日の買い出しで亭主が家の食料も仕入れてくるから、空っぽの冷蔵庫を見回して、女将は最後の力を振り絞ったと言う感じ。すべて蕎麦屋で昨日残った食材なのですが、見事にアレンジされていた。今朝も美味しくご飯をいただいた。

 食後はエアコンの効いた書斎に入って横になれば、朝が早かったから30分ほどぐっすりと眠れました。寝不足の上に早朝から身体を動かして、満腹になれば、人間幸せに眠れるものなのです。すっきりした頭で目覚めて、お袋様に電話をして仕入れの迎えに行く。農産物直売所に向かいながら、まだお盆は終わっていないから、今日は休みじゃないかと気が付いた。隣町のスーパーは今朝の新聞に広告が入っていたから大丈夫と、今日は沢山買い物をする。

 お袋様が畑をやっている知り合いから冬瓜をいただいたと言うので、半分分けてもらって蕎麦屋へ戻って早速茹でる亭主。彼女は冬瓜をあまり食べないと言うので、先週作った鶏胸肉挽肉とのあんかけ煮の話をしたら、作って見る気になったらしい。蕎麦屋に帰ってから電話をして、15分ほど下茹でしたら、塩と砂糖と生姜に醤油で味つけをして、挽肉を入れて片栗でとろみを付けるところまで念を押しておく。彼女も調理が好きだから、上手く作るはず。

 茹でた冬瓜を冷蔵庫に入れて、家に帰ればちょうど女将も買い物から帰ったところで、二人とも汗だくだから大笑い。昼は昨日残った野菜サラダを載せて冷やし中華にしようと話していたから、湯を沸かして亭主が麺としゃぶしゃぶ用の肉を茹でる。皿のまま車で持ち帰った野菜サラダを、茹でて冷やした肉とそのまま載せて、附属の酢味のタレをかけるだけだから、とても簡単なのです。亭主は麺の下に氷を敷いて、最後は汁まで綺麗に飲み干すのでした。

 食後は昼寝もせずにパソコンに向かい、食材の購入記録を入力して、忘れないうちにとお袋様の米寿のお祝いを発注しておく。女将は二週間後のスポーツクラブの予約をしてくれと、自分のスマホを持ってくるのです。午後の2時過ぎ暑い最中に蕎麦屋に出掛けて、午前中の仕込みの続きをするのでした。先週のレシピを少し変更して、オクラと京唐辛子を輪切りにしてそれぞれ二本入れて見ましたが、オクラが冷えても色が悪くならなければ好いのですが、

 次ぎに定番となった夏野菜の揚げ浸し。硬い野菜から先に炒めてミョウガとシメジは後から入れて、冷やしておいた出し汁にさっと浸ける。小鉢二品の仕込みは終わったから、明日はデザートと蕎麦豆腐、天麩羅の具材の切りわけ、そして夕刻にぬか漬けを漬ければいい。朝は蕎麦汁を作らなければと、干し椎茸と昆布を3㍑の鍋に浸けておくのでした。家に戻っての夕食は鶏のもも肉のカリカリ焼き。これで昨日残った野菜サラダは食べ終わった。

8月17日 水曜日 定休日二日目は、飽きずに小豆を煮る亭主 …

 午前6時に蕎麦屋に出掛けたら、隣のひまわり畑がまた一段と賑やかに花を咲かせていたので、しばらく眺めていたのでした。左手の蕎麦屋は金木犀の枝を剪定したのは好かったけれど、つい先日枝を払ったばかりと思っていたモミジの枝がまだ残っていた。次は西の小径の側に脚立を立てて上に伸びた枝を払わなければいけない。今朝の朝飯前のひと仕事は、昨日、準備しておいた出汁を取って、蕎麦汁を仕込まなければならなかったのです。

 出汁取りはどんなに急いでも小一時間はかかるから、蕎麦汁まで作って、天つゆを仕込んだら、もう7時近くになっていた。先週の残った一番出汁でも蕎麦汁を作り、二番出汁を取る鍋と、天つゆの鍋と三つの火口を全部使って作業を進めるのでした。洗い物を済ませて、水で冷ました蕎麦汁と天つゆは鍋のまま、二番出汁は容器に入れて冷蔵庫に収納する。作ったばかりの蕎麦汁は、冷ましてストックしてあるものと一緒に蕎麦徳利に詰めて、これも冷蔵庫に。

 家に戻れば、女将は台所に立って朝食の支度をしていました。今朝のおかずは、昨日、亭主が買って帰った鰺の開きと蕎麦屋の残り物の最後の小鉢。長葱の塩焼きも蕎麦屋で残ったものだけれど、よくぞまあ、バランス好く組み合わせてくれたと感謝。食欲旺盛な若い頃なら、旅館や民宿で食べる小さな鰺の開きなどは、どうしてこんなに小さいのだろうと思ったものですが、今では沢山食べられないから、かえって味わいのあるひと品なのです。

 食後は例によって書斎に入ってひと眠り。定休日の二日目は、あまり多くの仕事はなかったから、午前中に床屋に出掛けて髪を刈ってもらおうと考えていたのです。お盆休みがいつからなのかを確認していなかったけれど、40年も通って世間の盆休みの後で休むと知っていたから、出掛けて行ったのです。果たして、今日は盆の明けなのに休みになっていた。仕方がないから、酒屋に寄って焼酎を買って帰ろうと思ったら、こちらも10時開店で閉まっていた。

 仕方がないから蕎麦屋に行って、明日の小鉢を盛り付けておく。夏野菜の揚げ浸しと冬瓜と鶏胸挽のそぼろあんかけ。旬の野菜が食べたいと通われる常連さんがいらっしたら、どちらを出そうかと迷ってしまいそう。ラップで蓋をして冷蔵庫に入れたら、今度は小豆を煮て抹茶小豆の仕込みです。ところが、この小豆を煮るにはやはり1時間はかかるから、洗濯物を畳んだり、朝の洗い物を片付けたりと時間をつぶすのが大変なのでした。

 隣の火口では小鍋に抹茶の粉に寒天とタピオカ粉を混ぜ、水と氷糖蜜を加えて沸騰するまで火を入れる。これが少し固まるまで待たなければならないから、小豆の煮えるまでの時間でちょうど好い。ほどよく固まった頃に、三回に分けて砂糖を入れた小豆の鍋に塩を少々。このタイミングがとても大切で、小豆は沈まずに表面に浮いたままで抹茶が固まってくれる。水羊羹ではないからタピオカ粉を加えて、ぷるんとした食感が欲しいところなのです。

 11時過ぎには家に戻ったら、女将がもう鍋に湯を沸かして、朝から話していた焼きうどんの準備をしてくれていました。亭主は台所に入って、肉と残り物のキャベツとピーマンを柔らかくなるまで炒めたら、茹でたうどんを加えて中華鍋を振る。本当は豆板醤をちょっと加えて作りたいところなのだけれど、辛いのが苦手な女将を気にして塩と胡椒だけで仕上げる。仕上げにほんの少しだけ出汁醤油を垂らして、昼のひと品が完成なのです。

 午後は天麩羅の具材の切り分けと、ぬか漬けの漬け込みだけだったから、スポーツクラブの予約のために、女将の持って来たスマホで無事に予約を済ませたら、また蕎麦屋に出掛けて今日最後の仕込みに取りかかるのです。本当に蕎麦屋が道楽でなければ、休みの日にもここまで頑張れないかな。夕食には女将が久し振りにピカタを作ると言っていたから、亭主は蕎麦屋で用意した小鉢を味見に持って帰るのでした。美味しい食事は人を幸せにするとは名言です。

8月18日 木曜日 午前中は雨の陽気で …

 雨の音で目が覚めた朝。夕べ漬けておいた糠漬けが気になって、6時前には車で家を出て蕎麦屋に向かう亭主。エアコンを入れなくても涼しい朝だったから、お新香を切り分けて小鉢に盛り付け、昨日の洗い物を片付ける。他に仕事はなかったから、西側の小径に散ったムクゲの花殻を掃き集めて、小鉢に入りきれなかったお新香の残りを持って家に戻るのです。天気予報を何度も見ているのに、その都度変わるから、目の前の天気で今日の予定を立てるしかない。

 今朝の食事は鰺の開きと豚汁、高野豆腐に亭主が持ち帰ったばかりのお新香。鰺の開きは四枚でひと組だから、二日続くのも仕方がないか。蕎麦屋で残った長葱を焼いて添えるのも女将のひと工夫。豚汁は店で残った大根のあるうちは続きそう。これで十分美味しい食事だから、満足して食後のお茶を飲むのでした。まだ7時半前だから、食後は書斎に入って女将の朝ドラの終わる時間までゆっくりとひと眠り。これがまた至福の時なのです。

 台所で朝の洗い物をしている女将に頼んで、珈琲を入れてもらったら、傘を差すのは嫌だけれど、仕方なく蕎麦屋に出掛ける亭主。今朝はエアコンを入れなくても涼しい朝なのでした。みずき通りを渡って、バス通りを蕎麦屋に向かえば、お盆が明けたせいかいつもより車の通りが激しいような気がする。いつも群れている鳥たちは姿を見せずに、蕎麦屋の隣の畑にひまわりだけが、今朝も変わらずに咲いているのでした。静かな朝なのです。

 昼には雨が止むという予報だったから、チェーンポールも降ろさず幟も立てずに、今朝はまず蕎麦打ち室に入って、定休日明けの蕎麦を打つ亭主。店の中の温度は26℃と低かったけれど、湿度は60%を越えてやはり雨のせいなのです。それでも加水はいつもと同じく43%。捏ねて行けば少し柔らかいかなという感触でしたが、これは伸し方を加減すれば解消できる程度の問題です。蕎麦玉をビニール袋に包んで寝かせている間に、厨房に戻って次の準備をする。

 一週間、毎日、蕎麦屋に通っているから、定休日明けとは言っても、今日が何日目の営業日なのか、つい忘れてしまうことがある。女将には「呆けてんじゃないの?」などと言われることもあるけれど、決してそうではなくて、毎日が同じ繰り返しなだけなのです。だから、「今日は木曜日なので」と仕切り直して、また蕎麦を打つのです。気温の低い雨の日の営業では、お客の数はあまり見込めないから、いつもと同じく750g八人分を打って生舟に束を並べる。

 野菜サラダは平日だからと従前の決まりに従って三皿だけ盛り付ける。ところが今朝は、ブロッコリーを仕入れるのを忘れたことに気が付いて、家に電話をして女将に買い物に行くのかと尋ねれば、「雨だし今日は行かない」との応え。仕方がないから、何か綠の野菜はないかと冷蔵庫の中を捜せば、オクラが予備に買ってあるのに気が付いた。塩で茹でて斜めに切ってブロッコリーの代わりにしたら、食べたお客は「案外あうものですね」と喜んでくれた。 

 雨の日のお客は、あらかじめ来ようと思っていたお客か、通りがかりのお客。今日も開店前に電話が入り「予約できますか」と言うので、予約はやってないけれど、空いているから大丈夫と言えば、暖簾を出して直ぐにいらっしゃる。聞けば、仕事でいらっした義理の息子さんが、白髪の老婦人を連れてきたのだとか。前にもいらっしてお蕎麦が美味しかったから、蕎麦好きの息子さんを連れて来たとおっしゃる。ヘルシーランチセットの天せいろを頼まれた。

 閉店間際になって仕事の途中らしい若い男性がカウンターに座ってせいろ蕎麦のご注文。スポーツクラブが休みの女将が来てくれて亭主は少し気が楽になる。1時半に彼女のヨガ教室の予約があったので、スマホを朝から渡された亭主は気が気ではなかったのです。早めに店の片付けを終えて、亭主がブロッコリーを買いに行くと言えば、午前中が雨で何処にも出掛けなかった女将が、珍しく一緒に行くと言う。お蔭で夜は鯛や鮪の刺身のご馳走を食べられた。

 夕食後に、スマホを持って歩かない女将に、いつも何処のお花が綺麗だったとか話をするので、少しは写真でも撮ってみたらと、食後に亭主が被写体になってカメラの練習。夜は夜でラジオを聞きたいといつも言っていたから、スマホにアプリを入れてやって使い方を教えてやるのです。二人とも時代遅れのアナログ人間なのだけれど、女将は必要がないものには関心を示さないから合理的。彼女が子供や孫たちとテレビ電話で話せる日は来るのでしょうか。

8月19日 金曜日 晴れて爽やかな陽気だったけれど …

 朝が涼しかったからか、今朝は6時過ぎまでぐっすりと眠った。昨日はお客が少なかったから、朝飯前のひと仕事もお休みで、台所に入った女将が、朝食の支度をしてくれるのを、居間の椅子に座ってじっと待つ亭主。床が椅子に変わっただけで、まだ頭が働かない状態なのです。「ご飯が出来ましたよ」と言われて食堂に行けば、今朝のおかずは鯖の塩焼きで、ちょっと食べ応えのありそうな大きさなのでした。最近の魚は骨が取ってあるものが多いので助かる。

 朝食が終わっても今朝はひと眠りをせずに、やはり居間の椅子に座って、テレビも点けずにじっと物思いに耽る亭主。今週はまだ営業を開始して今日が二日目だというのに、随分と日にちが経ったような気がしてならないのでした。お茶を運んでくれた女将に話をすれば、「お客が少ないから、待ってる時間が長いんじゃないの?」と、朝の仕事が忙しいから相手にされない。今年は盆休みも取らなかったから、夏の疲れが出始めているのだろうか。

 洗面と着替えを済ませ、女将の朝ドラの始まる前に、自分で珈琲を入れたら、またしばらく椅子に座って朝ドラの終わるのを待つ。今朝は昨日買ってきたブロッコリーや油や豆乳を、蕎麦屋まで持って行かなければならなかったから、短くなった日影を選んでゆっくりと歩いて行くのでした。朝の空気は涼しかったのですが、陽射しはまだジリジリと暑いのです。夏から秋にかけてはいつもこうだったからしらと、思い出すすべもないのです。

 蕎麦屋に着いたら看板を出し、幟を立てて、チェーンポールを降ろしたところで、ゴミ捨てから帰るお隣の奥さんに出会って挨拶をする。いよいよ盆休み明けの出勤らしく、制服を着て車に乗り込むのでした。若い人は見るからに元気そのもの。老いた自分は傍目にはどんな風に見えるのだろうかと、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打ち始めるのです。「疲れを知らない年代は遠い昔」だけれど、疲れても日々の稼業は休むことは出来ないと空元気を出す。

 いつも決まってこの時間帯に燕たちが飛び回るのです。蕎麦屋の駐車場の上野電線には、五羽の子ツバメが羽を休めていた。中には止まったまま毛繕いをするものもいれば、眠っているかと思えるものまでいる。親鳥は何処にいるのだろうか。そろそろ移動の時期なのだろうけれど、今年は随分と長い間、一箇所に止まっているような気がするのです。43%の加水で今日もしっとりとした生地が仕上がり、750gで八人分の蕎麦を打ち上げて、生舟の中に束を並べる。

 昼前にリピーターの母娘がご来店で、天せいろのご注文。随分とゆっくりと食べて行かれたけれど、その後はしばらくお客がなかったので、1時過ぎに亭主はかき揚げを揚げて、賄い蕎麦をぶっかけで食べておく。月曜日に残った五日目の蕎麦でしたが、これがまた美味しい。お客には出すことはないけれど、よく締まってコシの効いた味わいになるのです。1時半を過ぎてそろそろ片付けを始めようとしていたら、バイクの音がして最後のお客がご来店でした。

  天せいろにキスとメゴチの天麩羅を追加で頼まれ、しっかりと昼の食事を摂られて帰るのでした。片付けは少しだけでしたが、大釜の洗いや天麩羅油の後処理など、することは沢山ある。全部片付けて家に帰ったのは3時過ぎ。暑さもそれほどではなかったから、それほど辛くはなかった。女将もスポーツクラブから戻ったばかりで、二人で桃を剥いて食べる。亭主は書斎に入ってパソコンに向かい、ひと眠りしたら蕎麦屋に出掛けてお新香を漬けてくる。夜は残った野菜サラダに肩ロースの肉を焼いて一献です。


8月20日 土曜日 久々の満員御礼、お蕎麦売り切れ …

 午前5時半、蕎麦屋に出掛ければ、森の向こうから雲間に朝日が昇ってきました。隣の畑のひまわりたちも朝の太陽を待つかのように、みんな東を向いている。朝はまだ少しの間、青空が見えたのです。夕べ漬けておいたお新香が心配で、厨房に入って冷蔵庫から糠床を取り出せば、ナスはちょっと硬めだけれど、皮を剥いたカブはちょうど好い味で、キュウリもすっきりと甘い香りがする。空の蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めて、今日一日の分を用意するのでした。

 カウンターに干してある盆や蕎麦皿を戸棚にしまい、洗濯物を畳んで、大釜に水を張ったところで、今朝の仕事はもう終わり。お客が少ない分、片付け物も少しだから楽なのです。朝早くから姿を見せるのは鳩の群れ。次ぎに鴉が現れて、燕の親子は9時過ぎになってやっと活発に飛び回る。このところ赤とんぼが畑の上を随分と飛んでいるのが見えるから、やはり季節は移り変わっているのです。名残惜しそうに蕎麦屋のたたずまいを眺めながら家に戻る亭主。

 夏の初めに蕎麦屋の向かいの親父さんが持って来てくれた南瓜の一つは、蕎麦屋で天麩羅にして使ったけれど、もう一つは女将が家に持ち帰って涼しい玄関に転がしてあった。昨日、これを煮て食べようと、鰺出刃で切ったけれどやはり切れないと言うから、亭主が蕎麦屋に持っていって牛刀で四つに切り分けてきた。家にも出刃があった筈なのに、古くなって使わない物は捨てるのが女将の習慣らしい。これが今朝はやっと食卓に上り、柔らかいので驚いた。

 朝ドラの終わる時間まで書斎で横になってひと眠り。雲が出て陽が翳った頃に家を出て蕎麦屋に向かえば、今朝は随分と蒸し暑いのに今ごろになって気が付いた。早く店についても、今朝はもうあまり仕事がない。昨日の蕎麦がそのまま生舟に残っているから、今日は500g5人分だけ打ち足して、13食の蕎麦を用意する。天気も悪くなると言うので、今日はこれだけあれば十分と考えたのです。蕎麦豆腐を仕込んで、野菜サラダは週末だからと四皿盛り付けておく。

 その写真を撮ってやろうとカウンターの向こうからカメラを構えていたら、大釜の湯が沸いて白い湯気が立ち上っていた。お茶のポットと温め用のポットに四本湯を入れて、天麩羅油を鍋に入れ、天つゆの鍋を冷蔵庫から出したら、もう開店の準備は出来上がり。早お昼を食べに帰った女将も、あまり仕事がないのを知ってか、11時を10分過ぎてやっとやって来る。早いお客が店の前で車を停めたけれど、暖簾の出ていないのを見て帰ってしまう。

 昼はしばらく見なかった椋鳥が戻って来たらしく、畑や電線に群れていた。昼前に3人のお客がいらっして、今日はこれで終わりかなと思っていたら、1時前から一挙に10人のお客が続けてご来店。厨房は嬉し楽しの大忙しで、女将もお茶出し、配膳、会計と休む暇がないのでした。新しいお客とリピーターの方と常連さんと、それぞれがゆっくりと食事をなさって帰って行く。最後のお二人がいらっして、「お蕎麦売れ切れました」の看板を出すのでした。

 二人で洗い物をして片付けても今日は後半が混んだから、珍しく3時過ぎになって家に帰る。いつも運動が足りないと買い物に出る女将も、雨が降ってきたこともあるけれど、今日は疲れて出掛けなかった。カレー蕎麦のお客に野菜サラダを出しただけだったから、サラダは三皿分持ち帰っている。万札を出したお客が多く、釣り銭もなかったから、亭主が車を出して夕食の総菜を買いながら両替をしてくる。かくして久々に出来合いのおかずでサラダを食べた。