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2023年1月末

1月27日 金曜日 青空は束の間で雪雲と雨とが …


 明け方の寒さに備えて、エアコンのタイマーをセットしたのは好かったけれど、目が覚めた頃にスイッチが入った。起きる時間に合わせてしまったからこれでは意味がなかった。それでも夕べのプールが利いたのか、ぐっすりと6時間は眠れたのです。5時半過ぎには家を出て蕎麦屋に向かった。辺りはまだ真っ暗でしたが、今朝は少しいつもと違う仕込みをしようとやる気満々。出入りの業者の若者が、旬の食材だと持って来たワカサギを南蛮漬けにするのです。

 定休日のうちに試しに作って家で食べたら、女将も美味しいと喜んだので、週末に向けて店でも出してみようと考えたのです。ただおろしたばかりの天麩羅油が汚れるのは避けたいから、試食と同じように天麩羅にして酢を効かせた出し汁に浸けたのです。千切りにしたニンジンは塩で柔らかくして、玉葱は薄くスライスして水で辛味を取った。小麦粉や片栗粉をまぶして揚げると、女将が言うには油がもう使えないほど汚れるのだそうな。

 夕べのうちに焼酎と炭酸とを買って店に置いてきたついでに、カウンターの洗い物は片付けておいたから、残った時間で洗濯機の中の洗い物を干して奥の座敷の暖房も入れておく。実は、冬場に出たことがない焼酎のライム炭酸割りを、例の若者が注文したのです。「御免ね。あまり出ないものだから、家に持って帰って飲んじゃった」と謝ったけれど、本当はそれではいけないと反省したのです。7時前に家に戻れば女将がもう食卓に配膳をしていた。

 鮭は塩辛いから好きではないと言う女将に、何とか鮭を出してもらおうと粕漬けを買ってきたのでしたが、これがあまり塩辛くなくて美味しい。亡くなった親父が、樺太生まれの北海道育ちだったので、鮭は我が家のソウルフードの一つなのです。これに美味しくなった白菜のお新香と味の薄い豚汁が付いて、少なめのご飯でも満足な朝食なのでした。食後のひと眠りをして、今朝も早めに蕎麦屋に向かう亭主。青空が覗いて、少しだけ陽も差していたのです。

 早朝から暖房は入れておいたけれど気温が低いから、店の中はまだ13℃。蕎麦打ち室は11℃しかない。それでも仕事は始めなければならないから、加水率を46%強にして蕎麦粉を捏ね始める。昨日よりは少しだけ柔らかいけれど、まだ十分ではないのです。それでもじっくりと伸して畳んで、包丁切りは切りべら25本で135g。奥行きがあったから、切りべらが少なくても重量はしっかりとある。八束と半分の蕎麦か取れて、半分は昨日の半分に合わせておく。

 蕎麦打ちに案外と時間がかかって、金柑大福を包み終える頃にはもう10時半近かった。それから野菜サラダの具材を刻んで、いつものように三皿盛り付けておきます。開店の時間まであと10分。急いでテーブルを拭いて回って、窓を少しだけ開けておく。先ほどまで青空が覗いていたのに、空はどんよりと雪雲に覆われていました。こんな雪の降りそうな寒い日に、お客が来るとは思えなかったけれど、定刻に暖簾を出して開店です。

 それでも昼前に駐車場に車が入って、女性二人がご来店。蕎麦茶とお手ふきと割り箸を出したら、ヘルシーランチセットの天せいろをご注文で、まずは作ったばかりの野菜サラダをお持ちする。蕎麦豆腐は一つしかなかったから半分ずつにしてもらい、その分値段を引きますと言う。デザートの金柑大福は亭主が作るのかと驚かれ、小鉢のお新香も自分で漬けるのかとまた驚いていた。女性の二人だから、たっぷり一時間は話をしていた。他に客はなかったのです。

 女将の帰るよりも早く家に戻って、データをパソコンに入力したら、横になってひと眠り。小一時間眠ったら、もう夕食の時間なのでした。「夜は何にする?」と女将に聞かれて、昨日と同じ常夜鍋ということになる。その名の通り、寒い日には続けて食べても飽きない。亭主は夜のプールに備えてひと休み。金曜日の夜はプールのコースも空いているから、ゆっくりと一人ひとコースで泳げるのでした。昨日よりも少し長い距離を少し速いスピードで泳ぐ。

1月28日 土曜日 雪景色を眺めながら蕎麦を打つ朝 …

 ぐっすりと眠って今朝も5時起き。珈琲を一杯飲んで6時前には家を出る亭主。夕べは夜中に雨が降ったらしく、家の前の通りがところどころ凍っていた。蕎麦屋の前のバス通りに出れば、どうやら畑には薄く雪が積もっているらしかった。車外温度は-3℃。今朝も寒い朝なのでした。エアコンの暖房を入れて、二つの大釜に火を入れる。昨日売り切れた蕎麦豆腐の仕込みから始めて、ポットにお湯を沸かして、昼の水分補給にほうじ茶を3杯分入れておく。

 2日間で空になった蕎麦徳利に新しく蕎麦汁を詰めたり、山葵を容器に補充したりと、やることはいろいろあるのです。朝飯前に済ませておけば、朝食の後で蕎麦屋に来たときには、蕎麦打ちから始められるから、一日のやる気が出るというもの。洗濯機の中の洗い物を干して奥の座敷に運んで、7時前には家に戻るのでした。女将は台所に立って「お帰りなさい」「お早うございます」と言葉を交わす。「夕べは雪が降ったんだね」と言えば驚いていた。

 団地の中にいてはあまり判らないのです。庭の片隅にも多少雪の跡が残っていたけれど、畑の見えるバス通りまで出ると、はっきりと夕べの雪が積もっているのが見えた。空は限りなく青く、陽は差しているのだけれど、空気がとても冷たいのです。道路も全面凍っていて、朝の9時近くだというのに溶ける気配もない。店に着いて温度計を見れば、二時間以上も暖房を入れておいたのに、まだ10℃ちょっとしかないのです。蕎麦打ち室はやっと9℃になっていた。

 蕎麦打ち室の窓から外の雪景色を眺めながら、10℃を越えたところで蕎麦を捏ね始めたけれど、寒いから今朝は47%の加水率です。それでも生地はしっとりと仕上がるから、寒さと乾燥とで蕎麦粉も縮こまっているのか知らん。蕎麦切りをしている最中に、女将がやって来て「外は凄く寒いわねぇ。陽が差しているのに空気が冷たいのよ」と言う。確かに9時を過ぎても、まだ冷蔵庫の中より冷たいのです。蕎麦打ちが終わる頃に、店の中もやっと16℃になる。

 IHのヒーターの上に女将がキノコ汁の鍋を載せて、「これで足りるかしら」と言うので、亭主が冷蔵庫から作り置きのストック分を出して、蕎麦汁を入れて味付けをする。寒い日には出る一品だから、三人分は取れそうなのでした。店の掃除を終えた女将が早お昼を食べに家に戻って、亭主は金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻み始める。この寒さでは、サラダの付いているヘルシーランチセットかカレーうどんか鴨南蛮が出ない限り、頼むお客はいない。

 開店の準備が整って暖簾を出すけれど、冷たい北風は強くなる一方で、これではお客が来るはずもないと女将と話をするのでした。1時間待っても2時間待っても客は来ないので、亭主は昨日打った蕎麦を茹でてぶっかけで賄い蕎麦を食べる。コシがあって美味しいのが恨めしいのです。今年初めての誰も来ない営業日なのでした。二人で家に帰ってお茶を飲む。亭主は写真のデータをパソコンに入力したら、寒い夜の防犯パトロールまでひと眠りです。

1月29日 日曜日 寒さは変わらないけれど風がないから …

 夕べの寒い夜の防犯パトロールが効いたのか、朝までぐっすりと眠って5時に目が覚めた。珈琲を入れて飲みながら、朝飯前に今日は何をしてやろうかと考える。昨日は冷たい風に見舞われて、お客がなかったから蕎麦屋に行って片付けるものもないのです。やってしまわなければならない仕事としては、金柑の甘露煮づくりとカレーの仕込みなのでした。仕入れた鶏肉をキノコ汁に全部使ってしまったと言ったら、女将が家に買ってきた鶏肉を分けてくれた。

 まだ暗いうちに車で店に出掛ければ、300mしか走らないのに車外温度は-3℃になっている。予報では外は夜中から-5℃になっていたのです。まっ暗な間は金柑を煮込んで、東の空が少し明るくなった頃に、外に出て写真を撮った。向かいの畑は真っ白に霜もが降りて凍り付いているのでした。雪こそほとんど降らないけれど、今年は気温の低い日が随分と続くような気がする。7時前に家に戻れば、女将が起き出して「お早うございます」と顔を見せる。

 朝食を食べ終えたら、亭主は書斎に入っていつものひと眠りをするのでしたが、部屋を暖めておいたからか、今朝は1時間以上も眠ってしまったのです。昨日のの蕎麦がそのまま残っていたから、今朝は蕎麦を打たなくて好かったこともある。9時過ぎに家を出て、青空を見上げながら蕎麦屋に出掛け、朝の仕事を終えたら厨房に入ってカレーの仕込みをする。6人分の具材をジブロックに詰めて冷凍すれば完了。自分でも食べたいくらい好い香りが漂う。

 金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻んで三皿盛り付けたら、開店の準備に忙しい。開店の時刻の10分前に車が駐車場に入ってきたから、急いで暖簾を出して女将がお客を店に案内する。朝から動き続けた亭主は、ヘルシーランチセットの天麩羅を揚げて蕎麦を茹でたら、奥の座敷でやっと座ってひと休み。でもすぐに「お客さんですよ」と厨房に呼び戻される。見ればいつもの常連さんで、今日はカレー蕎麦ではなく、辛味大根とせいろの大盛りにビール。

 1時前に「まだ蕎麦は残っていますか」と電話が入って、女将が「大丈夫ですよ」と応えていた。30分ほどして三人連れの男性がやって来て、天せいろ二つとせいろのご注文でした。昨日と同じ気温で外は相当に寒いのでしたが、風がなかったからお客も入った。洗い物を片付けて、二人で家に帰って果物を食べる。大きなしらぬいを半分ずつ。居間のストーブで暖まっていたら急に眠気が差して、亭主は夕刻までまたぐっすりと眠るのでした。

1月30日 月曜日 早いものでもう一月も終わり …

 蕎麦屋でのひと仕事を終えて、家に戻る時間でした。朝日はまだ昇らずに、東の空が明るくなっている。今日も雲のない晴れた一日になりそうなのです。気温は低いから、真っ白に霜の降りた畑は凍って、足を踏み入れればバリバリと音がするのです。300mの距離を家に戻ると車外温度計は-3℃を表示しているのでした。今日で一月の営業は終わりですが、例年に比べて、雪こそ降らなかったけれど、寒い日が多かったような気がするのです。

 我が家の冷蔵庫もストックがなくなったらしく、今朝はベーコンエッグと茄子焼き、それに白菜のお新香が朝食のおかずでした。長女が古稀のお祝いにと贈ってくれた鮭の詰め合わせの中に、焼き鮭のフレークが入っていたらしく、熱いご飯に掛けて食べたらとても美味しかった。我が家のソールフードを知っていたのか知らん。食後にお茶をもらって、亭主はいつものように書斎でひと眠りです。30分ほど眠ったら、頭もすっきりしていよいよ今週最後の仕事。

 早朝の6時から暖房を入れているのに、外がやけに寒いから、店の中はまだ13℃しかなかった。蕎麦打ち室もやっと10℃と暖まるのが遅いのです。朝の仕事を終えたら、早速、蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。加水率はこの温度だと47%強で好いだろうというのが亭主の判断。それでも生地はしっとりと好い具合に仕上がるのでした。昨日の残りの蕎麦と合わせて、生舟に10食分の蕎麦を並べて今日の蕎麦打ちは終わりです。

 厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、薬味葱と大根おろしを用意して、今日の開店の準備を進める。朝は寒かったけれど、予報では南風に変わって昼は11℃まで上がると言うから、少しはお客が入るかと期待していたのです。前のバス通りを散歩で歩く人の姿もちらほちらと見えた。それでも暖簾を出して1時間、お客は来なかったのです。暇に任せて店の前のバス停の時刻表を見に行った。一日三本の駅までのバス。このほかに市のバスが一時間に一本はある。

 いつもの時間に隣町の常連さんが来てくれて、いつもと同じキノコ蕎麦に野菜サラダと辛味大根のご注文。テレビが何も面白い番組がないと、いつものように文句を言って、国会中継も馬鹿なことばかり言っているとまた文句。仕事着を着た若い男女が入って来て、彼の文句も止まったから亭主も救われた。ヘルシーランチセットと温かい天麩羅蕎麦のご注文だったから、亭主は調理に専念できる。2時前にはお客が帰って、亭主は残り物を揚げて賄い蕎麦を食う。

 月曜日は亭主一人だから、洗った皿を拭いて戸棚にしまったり、いろいろと後片づけが大変で、大鍋を洗って最後のゴミ捨てまで、たっぷりと一時間はかかるのです。そして、家に持ち帰る荷物を揃えて、重いビニール袋をぶら下げて家の前まで来たら、女将がちょうど帰って来たところなのでした。今日のデータをパソコンに取り込み、ひと眠りしたらもう夕食の時間。何とか今日はプールに行こうと思っていたから、ひと休みして出掛けて行くのでした。

1月31日 火曜日 一月最後の定休日は …

 夕べは夕食の後で頑張ってプールに出掛けたのです。火曜日はスポーツクラブそのものが休みだから、明日の水曜日は夜の防犯パトロールがあるので、また泳ぐことが出来ない。月曜に泳いでおかないと木曜日まで五日も水に入らないことになる。折角、慣れてきたのにまた振り出しに戻ってしまうのです。風の強くなってきた暗い夕刻に、プールに出掛ければいつもの顔ぶれ。空いているコースに入ってひと泳ぎ。土日の二日だけ泳がなかったけれど感が戻った。

 夜の運動は酒も進むけれど、ぐっすりと眠れるから素晴らしい。朝の7時まで眠って食堂に行けば、女将が塩鯖を焼いているところなのでした。冷蔵庫の食材がなくなったと思っていたら、最後の魚が残っていたか。茄子とピーマンの味噌炒めは蕎麦屋で残った天麩羅の具材。ある材料で食事を作る女将は、さすがに長年主婦をやって来ただけはあるのです。ひと休みしたら蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物を片付け、足りないものがないかと確認する亭主。

 お袋様に電話をして、いつもの道を農産物直売所に向かう。今日はトマトと白菜と椎茸、ニンジンを仕入れて、隣町のスーパーに出掛けるのです。先週はお客が少なかったこともあるが、小鉢の食材を作りすぎてしまったから、今週は少し控えめに仕入れておくのでした。女将の好きな果物には、食べにくい大きな蜜柑ばかりが並んでいたから、林檎とちょっと値が張るけれどデコポンを買って帰ることにする。アーリーレッドだけ棚に並んでいなかった。

 店に戻って仕入れた野菜を冷蔵庫に収納したら、白菜を切り分けて樽に塩で漬け込んでおきます。採れたての新鮮なものだから、今日のうちに水は上がって、明日は一把分が小さな漬け物器に漬け直すだけの分量になるのです。11時前だったけれど、出汁取りの準備をして家に戻って昼飯の支度を始める。女将は買い物に出掛けたらしく、亭主が買って帰った肉や魚は冷蔵庫に収納。昼は昨日残った蕎麦とキノコ汁とでつけ蕎麦にしてあっさりと食べるのでした。

 食事が終わったら、いつもならここでひと眠りだけれど、昨日はぐっすりと眠れたからか、朝に続いて昼寝もなし。女将のスポーツクラブの予約を済ませるまでパソコンに向かい、午前中のブログを載せるのでした。予約完了の2時を少し過ぎたら、今度は蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みに向かう亭主。その前に酒屋に寄って今夜の酒とつまみを見繕い、朝に行った農産物直売所で買い忘れたアーリーレッドを手に入れて、やっと蕎麦屋に着くのでした。

 先週もお客が少なかったけれど、寒かったから温かい汁が随分と出たので、二番出汁は5㍑の鍋で追い鰹をして出汁を取る。洗濯物を畳んだり干したりして、出汁の量も多いから一時間以上かかって全て完了。洗い物を済ませたら4時近かったから、小鉢の仕込みは明日にすることにして家に戻るのでした。早い夕食に長葱が沢山余っていると女将がまた鶏鍋にするのだけれど、味つけが薄くて酒のつまみにもご飯のおかずにもならなかったのでした。

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2023年1月下旬

1月20日 金曜日 日中は暖かくなったけれど …



 夜のうちに雨が降ったのか、6時過ぎに蕎麦屋に出掛けたときには、まだ道路が濡れていました。空は雲に覆われて、最近は朝に曇りという日が多い。本当に晴れるのかがいつも心配になるのです。それでも今日の準備を始めておかなくてはと、昨日、出尽くした小鉢を今朝も盛り付けておく。家にもだいぶ持って帰った白菜のお新香が、もう少しで終わるからそしたら大根のなた漬けを仕込んでおこうと考えている。一度に三種類の小鉢を用意するよりも好いか。

 朝食を食べ終えて書斎で横になるけれど、30分ほど眠ったのかどうか。洗面と着替えを済ませて、再び蕎麦屋に向かう亭主。庭の金柑の木の下にマンリョウの赤い実が目に付いた。あまり低い位置なので、鳥たちにも食べられなかったらしい。そう言えば、今年はヒヨドリたちがあんなに沢山群れているのに、我が家の庭にはあまり飛来しない。何処かに美味しい餌のある場所を見つけたのかも知れない。見つからないうちに女将が次の金柑の収穫を終えれば好い。

 朝の間、あんなに雲がかかっていたのに、蕎麦屋に着く頃にはもう青空が広がっていました。看板と幟を出してチェーンポールを降ろす。早朝のうちに暖房を入れておいたから、店の中は暖かく、蕎麦打ち室も15℃まで上がっていた。すぐに蕎麦粉を計量して、捏ね始めるけれども、途中で昨日は随分と硬かったのを思い出して、水を足して再び捏ねる。やはり46%がこの時期の適切な加水なのでしょう。今朝はしっとりとした生地を仕上げて蕎麦玉を寝かせる。

 スムーズに伸しを終えて八つに畳み、包丁切りをすれば、切りべら26本で135gと、いつもの調子で蕎麦を切り終えるのでした。蕎麦の束は8人分と半分。生舟に昨日残ったひと束と合わせて、今日は9人分の蕎麦が用意できました。昨日よりも暖かいという予報だったから、ちょうど好いかも知れない。端切れもちょうど一人分くらいはあるから、亭主が食べる賄い蕎麦の分もあるのです。無事に蕎麦打ちを終えて厨房に戻り、次の仕込みに入る。

 金柑大福は昨日作った残りがあるので今日は作らない。野菜サラダを刻むだけだから、かなり時間には余裕があるのでした。ニンジンのジュリエンヌも丁寧に刻んで、天麩羅鍋に油を入れて天つゆとキノコ汁を温め、店の掃除を終えてテーブルを拭く。開店の10分前には用意が出来て、少し早めに暖簾を出すのでした。カウンターの奥の席に座ってお客を待てば、昼前に車が入って男性が一人。玄関の扉を開けてじっとこちらを見ているので、「いらっしゃいませ」

 マスクを外して、初めて前の職場の同僚だと気が付く亭主。定年になってもう何年か経つはず。積もる話を聞きながら、次のお客の車がもう駐車場に入ってきているので、急いで注文を聞くのです。「最近は食が細くなって」と言うから、聞けば仕事を辞めてから、毎日、家にいるのだという。「社会復帰のリハビリに何年かかかるんだよ」と、自分は調理師学校に行って、次の準備をしたことを話す。次のお客は天せいろとキノコつけ蕎麦のご注文なのでした。

 ご夫婦のお客が帰った後も、カウンターに座ったままの昔の同僚は話したりないらしく、昔の職場の話や子供や孫の話をするのでした。奥様は今もまだ働いているとかで、普段一人でいるから話し相手がないのだろうかと少し心配になる。そんなお客も何人かはいるから、他のお客もないし、珈琲を出してゆっくりとしてもらうのでした。1時をだいぶ過ぎた頃になって、見覚えのあるお客の車が入って、やっと彼は帰っていく。天せいろと辛味大根のご注文 …。



1月22日 土曜日 冷たい風の吹く中を …



 夕べは一週間ぶりにプールでリハビリのひと泳ぎ。朝飯前のひと仕事が沢山あったので、今朝は6時に家を出た。よく眠れたから5時半には目が覚めたのです。まだ夜明け前で東の空も薄明るい。思ったよりも冷たい風が強く吹いていて、電線がビュービューと鳴っているのでした。蕎麦屋に着いてエアコンの暖房を入れたら、早速蕎麦汁の補充をする。そして、小鉢の盛り付け。白菜のお新香が今日でもう終わりなのでした。美味しい時期に食べてもらえたかな。

 7時過ぎに家に戻って朝食を摂れば、30分だけのつもりで書斎でひと眠り。髭を剃って着替えをしてから珈琲を入れれば、もう9時前なのでした。それでも慌てずに一服して、女将に声を掛けて家を出る。風は強い北風でとても冷たく、陽が差していても身体が冷えるのでした。看板と幟を出してチェーンポールを降ろしたら、すぐに蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。加水率は迷わずに46%、昨日の失敗はもう繰り返さない。しっとりとした蕎麦が仕上がる。

 空は青空なのに天気予報で言っていたよりも強い風で、これではお客が来ないだろうと思ってやる気がめげるのですが、開店の準備はしておかなければならない。ため息をつきながら金柑大福を四皿分包んだら、野菜サラダの具材を刻み、今日も三皿盛り付けておくのでした。朝の出だしが遅かったから、開店時間ギリギリに準備が終わる。女将に暖簾を出してもらって、亭主は天麩羅油と天つゆを温めるのです。キノコ汁をIHに掛けてこちらもスタンバイ。

 前の通りを歩く人もなく、この寒さではさもありなんと女将と話をしていたのです。昼になってもお客は来ないから、亭主は奥の座敷で一休み。「お客さんです」と女将に呼ばれて厨房に戻れば、見覚えるあるご夫婦が奥のテーブルに座って、カレーうどんとヘルシーランチセットのご注文なのでした。どちらも野菜サラダが付いているから、すぐに二皿のサラダがなくなる。注文の品を出している間に、車が2台連なって駐車場に入ってくる。

 五人連れのお客がいきなり入ってきて、テーブルとカウンターに分かれて座る。こちらも見覚えのあるお客なのでした。天せいろは一つだけで、残りの方は皆さん天麩羅蕎麦。しかも、大盛りが二つと言うから、もう温かい汁がなくなるのが目に見えていた。出汁を鍋に入れて汁を作っておく。天麩羅は二人分を揚げて、一度火を止めて油を休ませてから、また三人分を揚げる。大盛りが出ると汁もさることながら生舟の蕎麦もみるみる減っていくのです。

 最初のお客がランチセットの金柑大福を食べたら美味しいと、また二皿持ち帰ったので、残りは一皿。車が一台出たら、また大きな車が入ってきて、先週もいらっしたご家族連れが奥のテーブルに座るのでした。バスケの練習を終えてきたから、お腹が空いているんですと言う二人の娘さんが、とろろ蕎麦の大盛りと普通盛りを頼まれて、お母様は天せいろ。いつも一番小さな娘さんが大盛りを食べるから亭主も女将も感心する。閉店までゆっくりとするのでした。

1月22日 日曜日 こんな寒い日でも日曜日だからか …



 寒い明け方にいつも寒さで早く目が覚めてしまうから、夕べはエアコンのタイマーというものを初めて使ってみたのです。11時に床に入ったから、6時間後に暖房が入れば朝の5時には部屋が暖まって、ぐっすりと眠れるはずだった。これが効き過ぎて、6時半まで眠ってしまったから大変。急いで蕎麦屋に出掛け、昨日の洗い物の片付けと、小鉢の盛り付けをするのでした。7時過ぎに家に戻って女将の用意してくれた朝食を食べる。8時過ぎにはまた蕎麦屋へ。

 暖房を入れておいたから、寒い朝だったけれど店の中は暖かい。すぐに蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。加水率は46%と最近はこれで上手く打てているのです。今日の天気は始めは終日曇りという予報だったから、蕎麦もいつも通りに8人分を打って、昨日の残りと合わせて10人分しか用意しなかった。肌を刺すようなこの寒さでは、雪が降らないだけでも有り難いことで、蕎麦を食べに来る人がいるとは思えなかったのです。

 それでも、昨日のうちに売り切れた金柑大福は、今日も四皿包んでおくことにした。家の庭で採った金柑は大粒のはずなのに、やはり市販のものよりは少し小さいから、半分に切って種を取ったものを、二つ合わせて白餡で包む。これをさらに求肥で包むから、一つの大福がいつもよりかなり大きいのです。食べではあるけれど、上品なお客にはちょっと大きすぎるのかも知れない。作った日にすぐに売れてしまうから、まだ、亭主も試食をしていないのです。

 野菜サラダの具材を刻み、今日も三皿用意してカウンターに並べる。天麩羅の具材もなくなっているので、切り分けなければならなかった。昨日は温かい汁が随分と出たので、出汁が足りなくなりそうで困った。開店と同時に、いつものカレーうどんのご夫婦がいらっして、続けて若い女性が一人でご来店で天せいろのご注文。全部の品を出し終えたら、朝のうちに昆布と干し椎茸を2㍑の鍋に浸しておいたから、出汁取りにかかるのでした。これが今日は正解。

 1時前の後半に、またどっとお客が入ったのです。三人連れの親子は天せいろとキノコつけ蕎麦の大盛りと普通盛り、カウンターに座ったご夫婦のリピーターさんは二人ともキノコつけ蕎麦のご注文で、生舟の蕎麦はみるみるうちになくなっていくのでした。1時半を過ぎて、やっと亭主は端切れの蕎麦を茹でて賄い蕎麦を食べる。こんな寒い日だというのに、やはり、日曜日を馬鹿にしてはいけないのでした。今週は寒さの割には随分とお客が入ったのです。

1月23日 月曜日 昼も外は3℃の寒さで …


 夕べは何故か9時には眠くなって、床に就いたのは好いけれど、やはり6時間で目が覚めてしまった。蕎麦屋に行くにも早すぎたから、パソコンに向かって明日の仕入れの一覧表を作って、個々の品物の値段を最近のものに替えていったのです。普段あまり気にせずに仕入れをしているけれど、数値を入れ直して驚いたのは、野菜の値段が2割から3割は上がっていることでした。テレビのニュースではよく見るけれど、我が身にも降りかかっているとは …。

 4時過ぎからもう一度床に入ってひと眠り。6時には目覚めて車で蕎麦屋に出掛ける。今日の小鉢に大根のなた漬けを盛り付けて、昨日までに空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めていく。昨日の営業時間の合間に出汁を取っておいて好かった。今週はかなりお客が入ったので、小鉢も蕎麦汁もなくなっていたのでした。昨日は女将が家で作った大豆と昆布とニンジンの煮物で小鉢を盛り付け、なんとか凌いだのです。仕込んでおいた大根のなた漬けがここで生きる。

 7時過ぎに家に戻れば、「里芋がまだ煮えていないからちょっと待って」と女将に言われて、やっと朝食の卓に付く。カブと葉を入れた味噌汁と、農家でもらって来たというホウレン草のお浸し。それにホッケと里芋。一汁2菜の朝食は質素だけれどバランスは取れているのでした。昨日の夜に何か食べるものはないかと冷蔵庫の中を覗いたら、綺麗に何もなくなっていたから、朝食はどうするのかと心配していたのです。主婦の知恵なのか、美味しく頂いた。

 食後は例によってひと眠り30分で、髭を剃って着替えをしたら、蕎麦屋に出掛けようと玄関を出れば、雨が降っているのでした。月曜日の帰りは持ち帰る荷物が沢山あるから、傘を差しては到底持って帰れないので車で出掛ける亭主。天気予報では曇りだったのに。まあ、雪でなくて好かったと言うべきか。暖房の設定温度を上げても、店の中はなかなか暖まらない。それほど今朝は寒いのです。二つの大釜にも火を入れて、お湯を沸かしてほうじ茶を入れる。

 やっと蕎麦打ち室の温度が10度を超えたから、蕎麦粉を計って捏ね始める。今日はこの天気だから、お客も来ないのではないかと、500g 五人分を打って、昨日の残りと合わせて八束の用意で済ます。500g でも蕎麦打ちは真剣だから、伸して畳んで綺麗な蕎麦を打ち上げるのでした。雨はひとしきり強く降って、外の寒さも増しているから、これで蕎麦を食べに来るお客がいるかと、さすがの亭主も弱気になっている。月曜日の常連さん達もこの寒さでは外出すまい。

 それでも野菜サラダはいつも通りに三皿盛り付けて、定刻には暖簾を出して開店の準備。客を待つ長い時間の合間に、金柑の甘露煮や白餡作りなど、他の事をできればいいのだけれど、調理台を使ってしまうと、いざ来客と言う時に支障があるので、急ぎのことでない限り、なかなか始められないのです。斯くして待つこと一時間。1時前にやっと車が駐車場に入ってきたのでした。年配の母親と息子らしかったけれど、ヘルシーランチセットのご注文でした。

 野菜サラダと蕎麦豆腐を出して、食べてもらっている間に、天麩羅を揚げて蕎麦を茹でてお出しする。デザートの金柑大福もこれで全部売り切れ。「美味しく頂きましたわ」とお母様が言って帰られた。1時半を過ぎたので、亭主もかき揚げを揚げて賄い蕎麦をぶっかけで食べる。天麩羅油も今日で終わりだから、先週仕入れたワカサギの冷凍物を解凍して、南蛮漬けを作って見た。食べるもののない我が家では、これが夕食のおかずになるから嬉しいのです。

 ひと休みしたら夜のプールに出掛ける亭主。月曜日は一人の営業で片付け物が沢山あるから、ひと眠りした後で夕食を食べると遅くなってしまう。それでいつもプールに行き損なってしまうから、今日は頑張って出掛けたのです。行けば行ったで身体を動かすから、血流も好くなるのでしょう。夜の酒が美味しかった。ブログを書きながら、明日の予定を復唱すれば、仕入れに出掛けた後で床屋に行く日なのだと気が付いた。結構、また忙しくなりそうなのです。

1月24日 火曜日 今朝も朝から冷たい雨で … 


 夜に少しでも泳いだ晩は、ぐっすりと眠れるのです。7時間目覚めることもなく眠って、6時に居間の部屋に入ってストーブに当たる。コーヒーを飲みながら今日一日の予定を考えて、そろそろ蕎麦屋に出掛けなければと思うけれど、なかなかストーブの前から立ち上がることが出来ない。やはり今朝も寒いのです。歳を取るにつれて、この寒さに弱くなるらしい。無理をせずに動き出せば好いとは思うけれど、いつまで経っても椅子に座っていることになる。 

 30分以上じっと座り続けて、やっとスイッチが入ったのか出掛けるモードに入る。朝飯前のひと仕事は、カウンターで乾かしておいた盆や皿、ボールやバッドを片付けたら、天麩羅鍋の固めた油を外のゴミ箱に移すのです。洗濯で洗ったままのタオルや布巾などを干して、今日の仕入れのメモを見ながら、膝下の戸棚や冷蔵庫の中を確認して、7時過ぎには家に戻る。亭主が定休日で時間に余裕があるからと思ってか、女将もまだ台所に入っていなかった。

 銀ダラの煮付けにカブの味噌汁で朝食を食べれば、カブが随分と甘いので驚いた。今朝は食後のひと眠りもせずに、朝ドラの終わる時間に家を出て再び蕎麦屋に出掛ける亭主。出汁を取るにしても、肝心の返しの甕が空になっていたから、残り二本になっていた減塩醤油で、作れるだけの返しを作っておく。最近はいろいろな食材を余分に仕入れないようにしているから、なくなってくると急に困るのです。出汁取りの準備をして、お袋様を迎えに行く。

 昨日の夜から随分と考えた仕入れの食材でしたが、女将に頼まれる家の買い物もあるので、とにかく種類が多すぎて何を買ったか点検しないと忘れていることがある。今日は確かに買ったと思っていた珈琲がないので驚いたのです。なくてもいいものだから好かったけれども、これが店で使う食材だと、またそれだけを買いに出掛けるのも大変なのです。大根も一本97円でかなり得をした気分なのでした。新鮮な野菜がそろったときにはやはり嬉しいのです。

 午前中に床屋に行くのを諦めて、農産物直売所で買って来たばかりの白菜を、早速、塩で樽に漬けていく。早ければ今日の夕方には水が上がってくるはずなのでした。野菜は新鮮なうちに処理をした方が、間違いなく美味しくなるのです。塩の加減は経験値で、好い塩梅とは好く言ったものです。少し早かったけれど、午前中の仕込みはこれで終わりにして家に戻る。女将もすぐに買い物から帰って来て、二人で昼の支度に入るのでした。

 昨日作ったワカサギの南蛮漬けをおかずにして、昼は店で残ったキノコ汁を温めて蕎麦を茹でる。亭主は大盛りで汁に三ツ葉を沢山載せて、お客がどんな物を食べているのだろうかと、自分で実際に食べてみるのでした。大盛りだと蕎麦を食べ終わるまでに、少し汁が薄まってしまうのが分かって、ここは改善の必要があると感じたのです。ワカサギの南蛮漬けは小鉢に使えると嬉しくなった。いつも同じものばかりでは、特に常連さんは飽きてくるからです。

 女将のスポーツクラブの予約が2時過ぎだから、それまで書斎で1時間ほどちょっとひと眠り。テレビの映画も初めて見るものだったから、3時過ぎまで居間の椅子に座って寛いでいたのです。定休日なのだから、あまり慌てないでゆっくりとした方が好いと思うからなのでした。映画が終わって気を取り直し、蕎麦屋に出掛けていく亭主。午後の仕込みは、出汁取りと蕎麦汁の仕込みなのです。寒い時期は、温かい汁に使う出し汁が沢山出るので油断できない。

 4時過ぎに仕事が終わって西の空を見れば、寒空に輝く太陽も決して暖かくはなかった。家に帰れば、明日にかけて更に寒くなると言うので、鍋にしようかと女将が近所の農家に白菜をもらいに行った。それでも一把は食べきれないからと、半分は亭主が漬け物に漬けてやるのでした。夜は珍しく店で残った野菜を使って、女将が春巻きを揚げてくれた。その昔はよく食べた物だねと、二人で夕食の卓について、亭主は焼酎をあおるのです。

1月25日 水曜日 一日中冷蔵庫の中のような寒さで …


 今朝も早くから蕎麦屋に出掛けた。車の車外温度は300m走っただけで、ガレージの中に置いてあった時の4℃から0℃まで一気に下がる。外は-4℃というのが天気予報の数値です。昔も-6℃などになって水道が凍ったこともあるけれど、若い頃は寒さなどは全く苦にならなかったから、変われば変わるもの。それでも蕎麦屋の中は、4℃と昨日の温もりがまだ残っているのか。エアコンを入れて大釜に火を入れ、ポットにお湯を沸かしてほうじ茶を入れる。

 丸ごと一把を漬けた白菜は、すっかり水が上がっていたので、調理場に桶ごと持って行って小さな漬け物器に移すのです。今朝は、家でも夕べ漬けた半把の白菜を、漬け直して昆布を入れて来た。どちらも農家で採ったばかりのものだから、水の上がりが早い。子供の頃、母がやはり白菜を何把も樽に漬けて、毎日のように食卓に出していたのを思い出す。今は少し値の張る昆布を、何枚も入れて旨味を出して食べるから、それだけ贅沢になったのかも知れない。

 調理台が片付いたら、今度はまな板を出してニンジン、牛蒡、里芋などの硬い根菜類を下茹でしておく。レンコンは天麩羅の具材の残り物。干し椎茸も出汁を取った残りで、食材は粗末に扱わない。生もの用のまな板を出して、鶏肉を小さく切り、半分はキノコ汁用に冷蔵庫で保管する。残りを十分に加熱した中華鍋に油を引いて炒めたら、次々と野菜や蒟蒻を入れて炒めるのです。出汁を入れて少し煮込んだら、出汁醤油と砂糖で味付けをして、筑前煮の完成。

 7時過ぎに味見用に熱々の筑前煮を少し持って家に戻れば、女将が鰺の干物を焼いて味噌汁を作っていた。最近の鰺の干物は小骨を取ってあるし、薄味だから食べやすい。亭主の持ち帰った筑前煮も少しだけ小鉢に盛られていた。朝食を終えて、亭主は書斎に入ってひと眠り。定休日だからと油断をしたら、なんと1時間以上も眠って、床屋に出掛けるのが遅くなってしまう。9時過ぎでも車外温度1℃だったから、先客が来ているはずもないのでした。

 親父様も相変わらず元気で、あまりの寒さで自宅の水道が井戸水なのに凍ったと話していた。亭主と同じで店のストーブの前を離れられないのだとか。一時間あまりでさっぱりと髪を切ってもらい、帰る道は青空が広がっていた。昼近い時間だというのに、車外温度は2℃だから、相当な寒さなのです。通りを歩く人影さえない。定休日は亭主が昼の食事を用意するから、今日は残り物の野菜と昨日買ってきた肉とで久し振りにカレー炒飯にする。

 女将は午後からスポーツクラブでヨーガ教室だから、亭主は蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをするのです。まずはキノコ汁の仕込みをして、1600ccの鍋一杯に5人分ほどのキノコ汁を仕込む。500ccの出汁でキノコと鶏肉を煮たら、塩で味つけをしておいて、食べる直前に蕎麦汁を加えて温めるのです。次に南瓜を切り分けレンジでチーンしたら、蓮根の皮を剥いて切り、酢水で煮て、天麩羅の具材を切り分ける。最後に蕎麦豆腐を仕込んで午後の仕込みは完了です。

1月26日 木曜日 朝は-6℃、日中は7℃まで上がった …


 エアコンのタイマーを上手く使ったせいか、朝の5時過ぎまでぐっすりと眠れたのです。いつもなら3時過ぎには寒さで目が覚めてしまう。珈琲を入れて朝飯前のひと仕事で何をするのかを考え、6時過ぎには家を出る。車の車外温度計は-4℃を表示していた。路面凍結注意の表示も出ている。寒すぎて霜も降りていないのです。蕎麦屋に着けば、蕎麦打ち室の温度計は1℃。さすがに寒いのでした。エアコンを入れて、厨房の大釜に湯を汲んで火を点ける。

 午前6時の東の空は夜明け前のほのかな明かり。どうやら雲はないらしい。天気予報で朝の7時が一番気温が低くなるのは、放射冷却で更に地表が冷えるからだろう。冷蔵庫から漬け物器を取り出して、白菜取り出し、切り分けたら小鉢に盛り付けるのだけれど、厨房の中そのものが3℃しかないので、冷蔵庫の中で作業をしているようなもの。そして、次に筑前煮を同じ数だけ盛り付けておく。蕎麦は八束しか打たない予定なので、これで十分なはずです。

 家に戻れば、女将がいつもより早くおじやを作って待っていた。昨夜の鍋の残りに三ツ葉と卵を散らして、身体が温まるからと亭主は一味を振りかけて食べるのです。小さ目の茶碗に二杯食べたら、もう終わりなのはいつものこと。朝は身体を温めるだけで十分だとこの歳になって腹八部を実践している。残りは女将が食べるから、彼女の方が沢山食べていることになる。お茶を入れてもらって、亭主は書斎でひと眠り30分なのです。

 洗面と着替えを済ませて、朝ドラの終わる時間に家を出る亭主。風はなかったけれど外は冷蔵庫の寒さで、空は澄んだ青空なのですが、今朝はこれまでにない寒さなのでした。早く蕎麦屋に着いて暖まりたいと思うのは人情で、暖房を入れてきた甲斐があるというもの。全国的に寒波が襲っているとはニュースで聞くけれど、それぞれの地方でいつもと違った寒さを、皆が味わっているに違いないのです。蕎麦屋の中に入ると暖かいからホッとするのでした。

 それでも蕎麦打ち室はまだ12℃にしか室温が上がらず、いつもと同じ46%の加水で捏ね始めたら、やはり少し硬い。気温が低いと蕎麦は硬くなるのです。蕎麦玉を寝かせている間に厨房に戻り、葱切りを済ませて、大根と生姜をおろしてまた蕎麦打ち室に戻る。硬い生地を何とか伸し終えて蕎麦切りに入れば、今日は切りべら24本と少し太い蕎麦に仕上がった。カレー蕎麦や暖かい蕎麦にはいいけれど、せいろ蕎麦で出すにはちょっと太いと感じるのでした。

 10時には厨房に戻って金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻むのです。開店の準備を整えて暖簾を出せば、いつもならビールとカレー蕎麦を頼まれるお客が来るはずなのに、今日はぶっかけ蕎麦を頼まれたお客がカウンターの奥に座る。すぐにいつもの常連さんがいらっしてビールとカレー蕎麦のご注文。天せいろの大盛りのお客は入り口のテーブルに座る。珍しく皆さんお一人の男性客ばかりなのでした。一人ずつだと亭主の仕事は増えるから大変。

 女将の来てくれた時間には、もう二回転目のお客が入っていた。晴れてはいるけれど外は7℃だから、こんな寒い日によくお客が来てくれるものだと有り難く思うのでした。カウンターには若い男性客が座って、串焼きに蕎麦豆腐とビールを二本も続けて頼まれる。聞けば飲食業で働いているのだと言う。いろいろな店を経験して自分で店を出したいと言うから、人ごととは思えないのでした。常連さんも次々といらっして、こんな寒い日なのに蕎麦売りきれです。

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2023年1月中旬


1月13日 金曜日 日中はやっと暖かくなったけれど …


 今朝も真っ白な霜が降りていました。夕べは10時半には床に入って、今朝の6時まで目が覚めなかった。夜のプールで泳いだのが効いた。まだ、身体が重くて思うようには泳げない。半年以上のブランクはかなり重症なのです。筋力もかなり落ちているとみえて、水を掻く腕に力が入らない。まあ、徐々にリハビリをするしかない。蕎麦屋の厨房は6℃で、昨日の朝よりは少し暖かい。それでも蕎麦打ち室は5℃だったから、エアコンを入れて大釜に火を入れる。

 7時になったので家に帰ろうと蕎麦屋の玄関を出れば、ちょうど日の出の時刻なのでした。冬場はどんどん日の出の位置が南に寄って来る。今日も朝は寒いけれど空には雲がなかった。放射冷却で陽の昇る7時頃が一番寒いのです。昼は昨日よりも暖かくなると言うけれど、この朝の寒さは老体には応える。蕎麦屋のお客も午前中に寒さが残る日には少ないような気がする。午後から暖かくなっても閉店の時間には間に合わないから、痛し痒しなのです。

 家に戻れば、女将が台所で朝食の支度をしてくれていた。茄子とピーマンの味噌炒めが先に出て、ホッケをグリルで焼いているようなのでした。蕎麦屋から持って来た白菜のお新香は、随分と水が出て、少し味が薄くなっている。それだけ新鮮だと言うことなのだ。小さなホッケの開きだったから、一人1匹ずつ焼いたらしいのですが、女将は食べきれずに昼に残りを食べると言う。食事を終えてお茶をもらったら、ひと休みして洗面と着替えを済ませる亭主。

 9時前には家を出て、再び蕎麦屋に向かったのですが、蕎麦屋の西側の畑は、日影の部分にまだ白い霜が残っていた。9時だというのに、気温が上がらない場所らしい。店の中は15℃まで室温が上がり、蕎麦打ち室も快適なのでした。昨日の失敗を繰り返さないように、今日は45%の加水率と思っていたけれど、この暖かさではちょっと躊躇う。厨房から汲んで行った計量カップの重量を量ったら、ぴったり44%の加水分だったので、神のお告げと感じる。

 まったく同じ加水でもこんなにも違うものかと思うほど、今日は柔らかく捏ねやすかったのです。やはり、温度にもかなり影響を受けるのです。閉店間際に賄い蕎麦で食べたけれど、コシのある蕎麦には変わりがないのでした。今日は10時には蕎麦を打ち終えて、厨房に戻って金柑大福を包む。野菜サラダの具材を刻んで11時にはもう準備か整うのです。テーブルをアルコール除菌液で拭いて、開店の時刻の5分前には暖簾をだすのでした。

 カウンターの真ん中の椅子に座ってお客を待っていたら、いきなり玄関が開いて久し振りの常連さんが現れる。「正月だからビールをもらおうかな」と野菜サラダや天麩羅の単品でいろいろと頼まれて、最後に辛味大根でせいろ蕎麦。奥様と義母さんにお土産だと言って金柑大福を三つ持って帰るのでした。酒の肴の種類が多いと亭主も忙しい。その後は自転車に乗った若者がやって来て、天せいろと蕎麦豆腐にカシラとハラミの串焼きをご注文。

 昼からは、確かに暖かくなって店の中は23℃もあったのです。洗い物と後片づけを早めに終わらせ、天麩羅鍋の油を空けて大釜を洗ったら、今日は生ゴミを外の回収箱に出さなければならなかった。家に戻ってもまだ女将は帰っていないから、残った金柑大福を食べながら紅茶を飲む亭主。夜はプールへ行く日だから、パソコンにデータを入力してひと眠り。4時半には目を覚まして、大相撲を見ながら女将の用意する夕食を待つのでした。



1月14日 土曜日 雨の日なのに暖かかったから …


 今日は早朝だけ青空が見えた。夕べもプールで泳いで夜は10時には床に就いたのに、朝の5時半まで目が覚めなかった。まだまだ眠れそうだったけれど、朝飯前のひと仕事に出掛けなければと頑張って床から起き上がる。蕎麦屋に出掛ければ今朝は随分と暖かく、厨房の室温も10℃を越えているのでした。空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を詰め、お新香を切り分けて小鉢の用意をする。暖房を入れておいたら、何時の間にか16℃になっていたので消して家に戻る。

 暖かい朝だからか女将も早めに起きて、朝食のおかずに鰺の開きを焼いてくれた。昆布と柚子を沢山入れて漬け込んだ白菜のお新香がとても美味しい。今週はお客が少ないから、一把漬けた白菜が消化し切れそうにない。他の小鉢もあるので、どうしてもお新香は家に持ち帰ることが多いのです。7時半前には朝食が終わるので、お茶をもらって一服しても、7時半から亭主は食後のひと眠りに入れる。今朝も小一時間眠って、すっきりした頭で蕎麦屋に出掛ける。

 昨日の蕎麦が生舟に随分残っていたので、今朝は500gだけ打ち足して、12食の蕎麦を用意したのです。冬場になって、やはり週末もお客が減るので、以前のように15食を打つ必要はない。年末に送ってもらった10kgの蕎麦粉もやっと残り少なくなったので、今日は農場に電話をして辛味大根と共に蕎麦粉を頼むのでした。蕎麦が出る季節には、月に二回は注文を入れるけれど、冬場は二ヶ月に三回ほどに減る。一度に二万円もかかるから、大切な蕎麦粉なのです。

 蕎麦を打ち終えたら厨房に戻り、今日は野菜サラダを先に作っておく。雨が降りだしたけれど冷たい雨ではなく、室温もどんどん上がっているから、外は気温が高いのでしょう。天気予報では13℃まで上がると言っていたから、昨日よりも更に暖かい。そのせいか、雨がかなり降ってきているのに、昼前からお客が続けてご来店で、駐車場が一杯になって帰る人もいるほどでした。陽が出るとお客が増えるとばかり思っていたけれど、気温も関係があるのかしら。

 単品で野菜サラダを頼む男性もいて、やはりこれは暖かい証拠。寒い日にはサラダは滅多に出ないのです。金柑大福も四皿包んだけれど、お土産にと持ち帰るお客がいたので嬉しかった。久し振りに混んだから、女将も亭主も忙しく立ち回って、いつもとは違うのです。最後にいらっしたご夫婦は、二人そろってキノコつけ蕎麦を頼まれたので、これもまた嬉しいのでした。今日は天麩羅も随分と出て、作った料理が出る喜びは、やはり調理人の生き甲斐か。

 結局、亭主は昼飯を食べる暇もなく、洗い物を終えてひと休みした頃には、もう閉店の時間なのでした。窓の外には雀よりもずっと大きなヒヨドリの群れが何十羽も電線に止まって、時折、一斉に飛び立っていく。降りしきる雨だと言うのに、彼等はいったいどんな生活をしているのだろうか。家に戻って、女将に餅を焼いてもらって遅い昼飯代わりの亭主。夜は防犯パトロールがあるから、また変則的な食事になりそう。その前に書斎でひと眠りです。

 1時間ほど眠ったら目が覚めて、ぼうっと部屋の中を見回している亭主。女将は一人で大相撲を見ながら夕食を食べている。亭主は珈琲を入れて目を覚ます。6時20分前には家を出て、集合場所の集会所に出掛けて行く。暖かい夕べだからと薄着で手袋さえも着けて行かなかった。まだ雨が降っていると思ったのか、いつもより少ない人数で今夜のパトロールに出掛ける。約6000歩だから、4㎞ちょっとの距離だけれど、やはり暑くなってメガネも曇るのです。



1月15日 日曜日 昨日よりも更に混んだ …


 今朝は6時過ぎに家を出て、蕎麦屋に向かう亭主。雨の上がった空はどんよりと曇っているのでした。蕎麦屋の室温は10℃と昨日とあまり変わらない。陽は出ていなくても、南風のおかげで暖かな朝なのです。厨房に入って蕎麦汁を詰めたら、小鉢用に残っている煮物やなた漬けを全部盛り付けておく。白菜のお新香が少し残っているから、今日もお客が大勢来たら明日の小鉢は何もなくなる。そんなこともあろうかと、浅漬けにする野菜は確保してあるのです。

 二日続けて混むということは滅多にないけれど、お客が来てしまったらどうしようかと、いつも考えているのです。打つ蕎麦の数を調整して、小鉢の数だけにしておくのも一つの手なのです。寒い時期にはなかなか出ない野菜サラダも、小鉢の代わりに使っても好いのです。そんなことを考えながら、家に戻って朝食の食卓に着く。今日はベーコンエッグとキンピラと白菜のお新香。多すぎないのが最近の我が家の食事で、足りなければ梅干しや海苔を食う。

 今朝は食事を終えてお茶をもらったら、ひと眠りをせずに早めに出掛ける用意をした。二日続けては混まないとは思っていても、馬鹿に出来ない日曜日なのです。残った蕎麦の数を確認して、今日打つ蕎麦の数を決めなければならない。玄関を出て水仙の花の写真を撮っておく。毎日見ているけれど好いアングルでなかなか取ることが出来ないのです。葉の枯れ落ちた木槿の木の下に、びっしりと根を張って何時の間にか広がっているからたいした生命力です。

 今日は朝のうちに暖房を入れたままにしておいたから、蕎麦屋は暖かく、蕎麦打ち室も15℃まで上がっていた。生舟に残った蕎麦を確認したら、三束で端切れの寄せ集めが一束。750g八人分を打って合計11食の蕎麦があれば、何とか足りるだろうと考えた。10人を越えるお客は最近の週末ではなかったからです。しかも、この天気で通りを歩く人もいない有様だったのです。昨日と同じく44%の加水率で柔らかめの生地にして蕎麦粉を捏ね始めました。

 菊練りを終えて蕎麦玉を寝かせている間に、厨房へ戻って大根と生姜をおろし、薬味の葱を刻んでおく。再び蕎麦打ち室に戻って、生地を伸せば、柔らかめだと四隅が丸まらずに、綺麗な四角形が出来る。蕎麦切りをすれば、端まで綺麗に切れるから8束と半分ほどの蕎麦が取れたのです。後はいつものように金柑大福を包んで、野菜サラダの具材を刻むだけ。天麩羅の具材のレンコンが残り少なくなっていたので、新しいものの皮を剥いて切り分けて茹でておく。

 開店時間に間に合って暖簾を出したら、昼前にはもうお客がいらっしゃる。若い女性の三人連れがテーブル席に座って、天せいろと天麩羅蕎麦を二つ頼まれた。ところが、天麩羅を揚げている間に、また三人連れの親子がテーブルに座り、続けて年配のご夫婦がカウンターに座るのでした。「順番にお造りしますから」と女将が大茶を出して、亭主は黙々と天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる。駐車場は満杯だから、店の前で車を停めてもまた走り出す車もいる。

 ただ今満席の看板を出しておいたから、最初のお客が帰ったところで外で待っていたお客が入ってくる。駐車場に空きが出来たのでご主人が車を入れるのでした。3人連れのご家族で、女将が急いでテーブル席を片付ける。1時前だというのに、もう生舟の蕎麦はなくなるのでした。久し振りのお蕎麦売り切れ。10人を越えるのは今年になって初めてのことでした。洗い物をする暇もなく、今日は天麩羅がよく出た。やはり、日曜日は馬鹿に出来ないのです。



1月16日 月曜日 終日の冷たい雨で …


 混んだ昼の疲れか、夕べは10時にはもう眠たくなって、あまりお酒も飲まずに寝入ってしまった。それでも3時過ぎに目が覚めて、もう一度眠ろうとしたのだけれど、蕎麦屋でやることが沢山あったので、気になってなかなか眠れない。眠ってしまうと朝飯前のひと仕事が出来ずに、大変なことになるという強迫観念に駆られたのです。大量の片付け物に、天麩羅の具材の入れ物が空っぽで、小鉢が何もないと言う状態だったから、5時過ぎには家を出たのです。

 1時間あまりで朝飯前の仕事を終えて家に戻ったけれど、まだ6時半だったから、もう一度眠れば好かったのかも知れない。ちょうどテレビで「ジャック・サマースビー」というリチャード・ギアとジョディ・フォスターの出る映画をやっていたから、朝食を夾んでつい最後まで観てしまう。30年も前の映画だけれど、まだ観たことがなかったのです。寝不足のまま「行って来まーす」と玄関を出て蕎麦屋に向かえば、また雨がぱらついて来たのです。

 朝飯前のひと仕事が効いたのか、暖房も入って店の中は暖かかったから、すぐに蕎麦打ち室に入って蕎麦を打つ。昨日は完全に蕎麦が売り切れたので、今朝はいつものように750g 8人分を捏ね始めるのでした。蕎麦打ち室の室温は16℃とかなり暖かかった。加水率は暖かい部屋の温度でこのところ44%にしている。少し柔らかいという程度の生地が一番打ちやすいのが分かってきたから、今朝も四隅があまり丸くならずに、畳んで最後まで蕎麦を取ることが出来た。

 丸みが大きいときは、最後はみんな端切れになって賄い蕎麦にするしかないけれど、最後まで蕎麦が取れるとかなり助かるのです。8束半の蕎麦が取れるので、大盛りの注文があっても大丈夫。この雨と寒さとでは、なかなかお客が来るはずもないけれど、昨日までの混みようがせめてもの成果なのでした。蕎麦打ちを終えて厨房に戻れば、後は野菜サラダの具材を刻むだけ。大根と生姜は蕎麦玉を寝かせている間に擦っておいたから、慌てなくても好い。

11時には支度が終わって、やっと休憩する亭主。天麩羅油も鍋に注いで温めたし、天つゆの鍋にも火を入れて温めて、キノコ汁もIHのヒーターに載せて温めてある。後はテーブルをアルコール除菌液で拭いて回るだけ。暖簾を出して1時間経ってもこの雨ではお客が来るはずもなかった。外は7℃と雪にならないのが幸いなのです。1時少し前にやっと車が駐車場に入って、年配のご夫婦がご来店。天せいろを二つ頼まれる。有り難いお客様なのでした。

 天せいろが出て、蕎麦も茹でたから、やっと亭主も賄い蕎麦が食べられる。亭主一人の分を茹でたり揚げたりすれば、後片づけが大変になるから、昼を食べないで家に戻るのです。1時半にはお客も帰ったので、盆と皿を下げてテーブルを拭いたら、温まっている油でかき揚げを揚げて、ぶっかけ蕎麦を食べる。一人の営業の日は、ここからが大変で、休憩をしてから洗い物を終え、大鍋や天麩羅鍋を綺麗にする。家に持ち帰る食材を揃えて、布巾類の洗濯です。

 家に着いたのはもう3時過ぎで、女将はまだスポーツクラブから帰っていない。昼飯を食べた後で眠くてしょうがなかったから、パソコンに今日のデータを入力し終えたら、やっと書斎でひと眠りです。5時過ぎにやっと目が覚めて、相撲中継を観ている女将のいる食堂に行けば、今日持ち帰った野菜サラダの包みが調理台におかれている。フライパンを温めて粉を溶いたら、10分でお好み焼きが出来上がる。二人で大相撲を観ながら、夕食を食べるのでした。



1月17日 火曜日 冷たい朝 …


 今朝はやけに寒くて夜中に目を覚まし、エアコンの暖房を入れてまた眠るのでしたが、5時過ぎにはもう目を覚ましてしまった。定休日なのだから、早朝からあまり頑張らなくても好いのだけれど、明日の夜にはもう防犯パトロールがあるので、逆算すると少しでもいろいろなことをしておいた方が好いと思うのです。車の車外温度は3℃といつになく寒い。向かいの畑は真っ白な霜が凍り付いて、朝の光にキラキラと輝いている。今までにない風景なのでした。

 昨日の片付けをして、昆布と干し椎茸を鍋に入れて水を張り、出汁取りの準備をしたら、沢山ある洗濯物を畳んで、選択して洗濯機の中の洗濯物を干すのです。昨日持って帰れなかったキャベツなどの野菜類を家に持ち帰る。7時過ぎに家に戻れば、定休日なのに女将が早くから台所に立って、朝食の用意をしてくれていました。鯖の切り身の塩焼きと、昨日蕎麦屋で作った浅漬けに納豆と海苔がおかずでした。これで亭主は大満足の朝食なのです。

 食事を終えたら亭主は書斎に入ってひと眠り。やはり疲れているのか、目が覚めたらもう9時15分前で、着替えも済んでいなかったから、お袋様に電話をして10分遅れて迎えに行く。車の車外温度は相変わらず3℃で寒い朝なのです。農産物直場所でいつも野菜を出している農家の白菜を始めとして、今日はいろいろと買い込んだ。女将の誕生日のプレゼントに今が旬の苺まで買って、隣町のスーパーに行ったら寒いからか、今日は駐車場も空いていたのです。

 何度も買い出しのメモを見直して、今日はすべての食材がそろったのを確認する。野菜類をすべて冷蔵庫に収納したら、買って来たばかりの白菜を、早速、塩漬けにするのです。農家の朝取りの野菜は新鮮だから、今日のうちに水が上がって明日は漬け直しが出来るのはずです。隣のガスレンジでは出汁取りを始めていて、一時間はかかるけれど、湯の沸く間に白菜は漬け終わる。11時半になったから、昼の支度があるので急いで家に戻る亭主。

 果物の好きな女将に、遅れたけれどと誕生日のプレゼントに地元のいちご園の苺を渡して、昨日残った蕎麦を茹でて昼食はキノコ汁が残ったからつけ蕎麦です。美味しく食べたけれども、何回も沸かし直したキノコ汁はやはり味が落ちる。食後のデザートは買ってきたばかりの苺で、女将は苺が甘いと喜んでくれた。女将のスポーツクラブの予約が2時過ぎなので、蕎麦粉の支払いに郵便局に出掛けて、その次いでに店の備品を買い、灯油を二缶買って帰る。

 昼の食事の終わった後も、食後のひと眠りは諦めて、テレビの映画を途中で切り上げ、蕎麦屋に出掛ける亭主。曇りという予報だったけれど、空は青空が広がってくる様子でした。午後の仕事は、最近よく出るカレーの仕込みから。鶏肉を切って炒めたら、茄子や玉葱、人参を入れて火を通して、残った食材を次々と入れて煮込むのです。6人分のカレーを作り、ジブロックに詰めて冷凍します。袋が5つ分しかなかったから、残りは家に持って帰る。

 カレーの蕎麦やうどんを注文するお客は、決まった常連さんばかりで、2、3人だから、これで一週間は大丈夫。普通の蕎麦屋とは違って、具の多い本格的なカレーを作っているから、知る人ぞ知るメニューなのです。鶏肉と葱を煮てとろみを付けただけの一般的な蕎麦屋のカレー蕎麦やうどんと違って、しっかりとカレーを味わえるようにしているつもり。ご飯物を出していたコロナ禍以前には、カレーライスという注文も結構あったほどなのです。

 次に小鉢のひと品を作っておこうと、切り干し大根の煮物を作り始める。便利な出汁醤油が切れたので、基本に返って醤油と味醂と砂糖を入れて、胡麻油で炒めた具材を出し汁で煮る。これで白菜のお新香と合わせて二品目の小鉢が出来上がった。いつもなら、大根のなた漬けを作るところでしたが、お客の入り具合を見てから作れば新鮮なものが出来ると考えて、今日のところは我慢しておくのです。保存用のタッパに入り切らない分は、家に持って帰るのです。

 使った鍋やフライパンを洗って、午後の仕込みも終わりです。夕方の空はまた雲が出て、沈む夕陽に赤く色づいていました。寒くても雪にならないのが救いです。家に戻れば、女将が大相撲のテレビを点けたまま台所で夕飯の支度をしていた。先日食べきれなかった牛肉を、今日はまたすき焼きにして食べるらしい。亭主は鶏の手羽中を塩で焼いてもらって、一杯飲みながら相撲中継を観る。女将が相撲を観るようになって、夫婦の会話も増えたのです。




1月18日 水曜日 何故か物憂い午後 …



 昨日のうちに頑張っていろいろと仕込みをしておいたから、今朝はさすがに朝飯前のひと仕事がない。それでも朝食を終えてひと休みしたら、いつもの時間に蕎麦屋に出掛けていく。昨日の朝よりは店の中もだいぶ暖かく、エアコンの暖房も弱めに入れておく。今日は晴れると言うけれど、9時の時点では空は雲に覆われたままで、西の空の端だけ少し青みがかっている。あそこで雲が切れているのだろうか。厨房での仕事は天気に一喜一憂する必要はないのです。

 まずは珈琲を沸かして、何から始めようかとぼうっとした頭で考える。夕べはかなり酒を飲んだから、8時間眠ってもまだ眠り足りない。一週間も掃除をしていなかったレンジの周りが汚れていたので、重曹を振りかけてお湯を撒いておきます。これで油汚れは綺麗に落ちる。大釜を置いている後ろのレンジも、蕎麦を茹でるお湯を沸かしているだけなのに、随分と汚れている。茹でたお湯が飛び散って、湯垢が溜まるのか知らん。30分ほどで全部を綺麗にする。

 次に気になっていたのは昨日漬け込んだ白菜の桶。寒い蕎麦打ち室に置いてあるから見に行けば、重しがすっかり沈んで水が上まで上がっていた。農家の朝採りの白菜はやはり新鮮だから、水の上がりが早いのです。一把の白菜を丸ごと漬けたのに、小さな漬け物器に入ってしまうほど水が出たのでした。大きめに切った昆布を敷きながら、少量の塩を振って漬け直す。今まではこの時に唐辛子や柚子の皮を入れていたけれど、もう少し水が出るのを待つことに。

 蕎麦豆腐をしこんで型に入れ、白餡を煮込んでいる間に、南瓜をチーンしたら蓮根の皮を剥いて酢水で茹でる。始まったら、何を先にすれば好いのかが自然と分かってくるものです。火口と鍋を使い回さなければならないから、自ずと順番がある。2時間ほど仕込みをして、家に戻って昼食の時間。昼は昨日持ち帰ったカレーを、久し振りにご飯に掛けて食べるのでした。食後に1時間ほど昼寝をしたら、女将はもうスポーツクラブに出掛けていた。

 明日は食材の配達のある日だからと、電話で注文しようとしたけれど、幾ら掛けても繋がらない。会社の事務所に掛けたら「本日の営業は終わりました」と声が流れる。初めてメッセージ機能を使って、連絡をくれるように伝言したら、午後の仕込みが終わる頃にいつもの若者から電話が入る。今年から水曜日が休みになったらしいのですが、「連絡してくれなければ分からないよ」「忘れました。ご免なさい」取りあえず海老と山葵を確保して、仕込みを終える。

 午後はキノコ汁の仕込みだけだったから、残った時間で包丁を研いだ。プールに行けなくもなかったけれど、何となく身体が重いのでやはり無理。家に帰って市から送られてきた償却資産の申告書を書く。今日は夜の防犯パトロールがある日だから、早めの夕食を食べておこうかと思ったけれど、昼のカレーを大盛りで食べたから、腹も減っていなかったのです。そのうちに女将が帰ってきて、亭主はブログを書き終えて夕刻を待つだけ。



1月19日 木曜日 寒い日なのに開店からどどっとお客が …

 夕べの夜のパトロールが効いたのか、たいして酒も飲まなかったのに、今朝は8時間眠って7時に目が覚めたのです。身体を動かすということがこれほど健康に好いのかと実感するのでした。女将の作ってくれた朝食を食べて、洗面、髭剃り、着替えを済ませて、出掛ける前に珈琲を入れて一服です。実はやることが沢山あったのに朝飯前に蕎麦屋に行けなかったから、どうなることかと玄関を出たのです。庭の金柑はまだ取り終えていない実がだいぶあった。

 蕎麦屋に着いて看板と幟を出し、チェーンポールを降ろしたら、厨房に入って白菜のお新香を切り分け、切り干し大根とともに小鉢に盛り付ける。蕎麦は八人分打つつもりだったけれど、そんなにはお客が来ないだろうと七鉢で止めておく。寒い朝で昼も気温が上がらないというので、陽が出てもお客は期待できないのです。店のエアコンの暖房を強めて、蕎麦打ち室の暖まるのを待っていた。蕎麦粉と小麦粉を750g計り、篩に掛けて捏ね鉢に入れる。

 加水率はいつもと同じ44%だったのに、室温がまだ上がっていなかったからか、今朝は随分と硬めの生地に仕上がるのでした。蕎麦玉にして寝かせている間に、厨房に戻って、薬味の葱を刻み、大根と生姜をおろしておく。再び蕎麦打ち室に入って、蕎麦玉を取り出せば、あれっと思うほど硬く締まっているではありませんか。これは大変だと伸し棒に力を入れて伸し広げるが、なかなか言うことを聞かない。横にして伸していたら、四辺の端がひび割れてきた。

 これを何とか修正して、八つに畳んで切りべら26本で135gの束を八つ作る。生地が硬いと伸すのに時間がかかるから、予定時間をだいぶオーバーしたのです。その分、蕎麦は硬く仕上がるから、今日の蕎麦は美味しく出来上がったのかも知れない。厨房に戻って金柑大福を包むのでしたが、今日からは家で収穫した金柑を使うので、少し小さめだから丸ごと一つ分を白餡で包む。当然のことながら少し大きめの大福が出来上がるのです。

 白玉粉の分量はちょうど袋に残っていた60gで、一個あたり20gの求肥を作ったから、包むのには十分でした。三皿分の金柑大福を仕上げて、時計を見ながら野菜サラダの具材を刻み始めるのです。包丁は昨日研いだばかりだから切れ味も好く、11時過ぎには三皿のサラダを仕上げて、天麩羅鍋に新しい油を注いで、天つゆの鍋を温めたら、天麩羅の具材と天ぷら粉を調理台に並べ、キノコ汁を温めれば、後はテーブルをアルコール除菌液で拭いて回るだけ。

 なんとか時間通りに暖簾を出せば、今日は開店と同時にお客が入るのでした。最初にカレー蕎麦とビールの常連さんがいらっしたと思ったら、すぐに駐車場に車が2台続けて入って、二人連れと三人連れのお客がテーブル席に座る。しかも、温かいぶっかけ蕎麦とヘルシーランチセットの天せいろに、天せいろを三つのご注文で、亭主一人ではもう手が回らない。女将に電話をして少し早めに来てくれるように頼むのです。寒い昼前だというのに不思議なことです。

 いつもなら、カウンターに座ってカレー蕎麦とビールを頼む常連さんと、12時半頃にいらっしゃる隣町の常連さんが、辛味大根とキノコつけ蕎麦を注文してゆったりとした昼なのです。生舟の中の蕎麦も残り少なくなって、いつも来るお客が来るまでに、蕎麦がなくなるのではないかとハラハラする。そんなことも知らずに、いつもの時間に件のお客がやってきて、野菜サラダの最後の一皿をカンターから自分で取って食べ始める。外は寒いのにこんな日もある。

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2023年1月上旬


1月7日 土曜日 今日は七草、正月気分も終わり …


 夕べはプールで泳いだせいか、夜がぐっすりと眠れたのです。結局、8時間は眠って6時半に蕎麦屋に向かい、暖房を点けてくるのでした。玄関からガレージに降りる階段には、買ったばかりのLEDライトが仄かに光って、雨の降っているのが分かったのです。どおりで今朝はあまり寒くなかった。久し振りの雨に乾いた地面もしっとりと濡れて、雪でなくて好かったと寒の入りを喜ぶのでした。去年は雪で大変だったから、印象に残っているのです。

 蕎麦屋は8℃といつもよりかなり暖かかった。店の暖房を入れ、珈琲を沸かして一杯飲んだら、もう朝食の時間になるのです。家に戻れば、女将が昨日の鶏鍋の汁を使ってお粥を作っていた。七草がゆを真似たのだけれど、銀ダラの煮付けが付いたから亭主は美味しく頂くのでした。二人だけの静かな正月は暴飲暴食とは縁遠かったから、むしろ、週末から三連休の始めの今日がどれだけお客が来るのかが、気になっていたのです。

 朝食を終えて着替えと洗面を済ませたら、いつもの時間に再び蕎麦屋に出掛ける亭主。家の前の通りからは青空が見えて、雨の上がったのは好い兆しです。それでも風は冷たいから、襟巻きと手袋は忘れない。犬の散歩から帰って来たご近所のご主人と会って挨拶をしたきり、誰とも会わないで蕎麦屋に着く。看板を出して、幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、十分に暖まっている蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つのでした。

 お客の少ないときには、500gずつに分けて、毎日、細かく打つのが最近のスタイル。週末だからとだくさん用意しても、去年のデータをみても正月はあまりお客が来ていないのです。それでも毎回、均等な蕎麦を打てるようになったのも、一つの進歩なのかも知れない。蕎麦を打ち終えて厨房に戻れば、もう女将がやって来る時間。大根をおろして、金柑大福を包めば、後は野菜サラダの具材を刻むだけです。店の掃除は女将がしてくれるからとても助かる。

 暖簾を出せば、開店と同時に週末の常連さんがご夫婦で現れる。「今日も主人はカレーうどんです」と奥様が先に店に入って、テーブル席に座る。彼女も最近はいつもキノコつけ蕎麦を頼まれる。串焼きも解凍してあるからすぐに焼き始めた。後はデザートの金柑大福だけ。調理をしている間に歩いていらっした常連さんも、いつもと同じくビールとカレー蕎麦のご注文。カレーのうどんと蕎麦にはサラダも付いているから、今日はサラダが捌けて嬉しい。

 昼を過ぎて、もうやっているかと電話のあったご夫婦がいらっして、おろし蕎麦の大盛りと天せいろのご注文。「これが目当てだったのよ」と金柑大福を二つ持って帰られた。大晦日は混んでいると思って来なかったのだとおっしゃる。考えたら、正月は常連さんとリピーターさんだけしか来店していない。蕎麦屋のある所は、駅の近くの人の多い場所ではないので、とても有り難いことなのです。女将と二人で家に帰って、ひと眠りをしたらプールの終わる時間。



1月8日 日曜日 好く晴れたけれど、空気が冷たすぎて …


 今朝も8時間の睡眠から目覚めて、ゆっくりと珈琲を飲み終えたら蕎麦屋に出掛ける亭主。庭の金柑がますます黄色くなって、先日は、ヒヨドリがやって来ていたと言うから「早めに実を取ってしまおうかしら」と女将が、金柑の実を巡ってもう鳥たちとの先陣争いを開始する構えなのです。3cmを越える大型の実は、さすがに鳥に食べさせるのはもったいない。8時過ぎの時点では、外は手袋にマフラーをしなければ寒くて堪らない気温。

 晴れて青空が気持ちが好いのですが、朝日が当たっても暖かいと言う気がしないから、やはり寒の入りの空気は冷たい。今日は日曜日だから蕎麦屋まで誰とも会わずに歩いて行く。向かいの畑に降りた霜も、家の日影の部分だけはくっきりと白く残っているのです。蕎麦屋に着けば、室内は5℃。エアコンを入れて大釜に水を張って火にかけるのですが、なかなか暖かくはならない。昨日の洗い物を片付けて小鉢を盛り付けたりして、蕎麦打ち室の暖まるのを待つ。

 9時を過ぎても7℃にしかならなかったけれど、蕎麦粉と小麦粉を計量して篩に掛けるところまで支度をしたら、暖かいほうじ茶を飲んで気持ちを落ち着かせるのでした。女将の来る頃にやっと10℃になったから蕎麦を捏ね始める。「空気が冷たいのね」と玄関を入って来た女将は、洗濯物を干したり、店の掃除をしたりと動き回っていた。菊練りを済ませて蕎麦玉を寝かせている間に、厨房に戻って薬味の葱を刻み、大根をおろしておく。

 昨日雨が降って湿り気が残っているのか、いつもと同じ加水率なのに、今日は若干柔らかめの生地に仕上がって、打ち粉を多めに振って伸しと畳みをしなければならなかった。切りべら26本で135gはいつもと変わらないが、ときどき太めに切れてしまうことがあったのです。ほんの少しでも柔らか過ぎるとやはり駄目。少しずつ加水していかないと危ない。厨房に戻って昨日は売り切れた金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻むのです。

 前の通りを歩いて散歩に出る人たちが多いのに、朝の寒さが効いたのか、昼になっても蕎麦を食べに来る人はいなかった。コロナの感染者数の増えていることもあるだろうけれど、気温の低かった朝方の影響はあるに違いないのです。1時をだいぶ過ぎて女の子を連れた若いご夫婦がやっとご来店。せいろ蕎麦二つと天せいろのご注文でした。「随分と綺麗だから、何年目なのですか」と言われて、「今年で9年目になります」と応える。初めてのお客さんでした。



1月9日 月曜日 今日は少し暖かく …



 夜明けがまた遅くなっている。6時過ぎに家を出て、蕎麦屋で朝飯前のひと仕事をしながら、日の出の時間を待つのでした。いつも夜明け前の写真しか撮れないから、今日こそはと思ったのです。昨日の洗い物を片付けたり、空になった蕎麦徳利に、蕎麦汁を詰め替えたりしていたけれど、もう6時40分台には陽は昇らないらしい。今日も外は氷点下のはずなのに霜が降りていない。空気が乾燥していると凍るはずの水蒸気も出ないのでしょう。

 家に戻れば、女将が台所に立って今朝は親子丼を作っていた。蕎麦屋でご飯物を出さなくなって久しいから、懐かしい食べ物なのでした。亭主一人で営業をするようになって、味噌汁を作ったり、別の火口で違う作業をするのは、やはり大変なのです。コロナ禍でお客が少なくなって、ご飯物を頼むお客がめっきり減ったのも一因でした。時代の変化とともに、少しずつメニューも替えていかなければ。天丼もなくなったから、ちょっと残念な気もするのです。

 調理をする側からすると、いろいろなメニューを作ってお客に提供したいのは山々だけれど、詰まるところは蕎麦屋なのです。焼売や餃子や野菜炒めなど、自分では作るのがいくら好きでも、ご飯を出すのが前提では、なかなか難しい。美味しい蕎麦を打ってなんぼのものなのです。この冬から出したキノコつけ蕎麦は、案外の人気で一番人気だった天せいろを越える勢い。これも寒くなって温かい汁の蕎麦が食べたいという人の心理なのでしょう。

 昨日までの蕎麦が生舟にだいぶ残っていたから、思案した挙げ句に、今朝は蕎麦は打たなかったのです。女将に相談しても「それが妥当でしょ」と冷たい返事でした。残れば、どうせ家に持ち帰って毎日蕎麦を食べる事になるので、寒い時期に、それも負担なのでしょう。それでなくても、毎日寒いので野菜サラダの出が悪く、家に持ち帰ったサラダを消化するためにおかずを考える事が多い。蕎麦打ちをしない時間で、買い置きの金柑を甘露煮にするのでした。

 それでも昼過ぎに、「今日もカレー蕎麦とビール」と言って、正月二回目の常連さんがご来店で、続けて隣町の常連さんもいらっして、野菜サラダを頼まれた。これで終わりかと思っていたら、閉店の30分前に若いご夫婦が子ども達を連れてやって来た。天せいろの大盛りとキノコつけ蕎麦をご注文で、子ども達には小さなお椀を出してやる。残った天麩羅の具材を、家に持って帰るために揚げていたけれど、サービスでテーブルに運んで配る亭主なのでした。



1月10日 火曜日 朝から風が強くて …


 今朝は風が強くて電線がビュービューと音を立てていました。玄関で出掛ける支度をしていたら、下駄箱の上に女将が採った金柑の実がボールに一杯。朝のうちに洗濯を済ませて、金柑まで採ったのかと彼女の仕事ぶりに感心する亭主なのでした。お袋様に電話をして新年二回目の仕入れに出掛ける。風のある分、雲一つない青空が広がって、車の中はとても暖かな陽射しだけれど、車外温度は7℃なのです。農産物直売所に行って、お目当ての白菜を買っておく。

 今週は小鉢に筑前煮を作ろうと、箱から出してくれた牛蒡やブロッコリー、トマトなど新鮮な野菜を仕入れておく。その足で隣町のスーパーに出掛け、残りの食材を見て回る。二つの籠が一杯になるほど買いそろえて、お袋様を送り、蕎麦屋に戻るのでした。生ものは直ぐに冷蔵庫に入れて、野菜の買い忘れがないかチェックする。冷蔵庫の野菜籠に順序よく収納したら、漬け物樽とまな板を出して白菜の漬け込みです。美味しく仕上げるには時間がかかる。

 今日、最初の塩漬けをしても、水が上がって白菜が全部沈むまでには二日はかかるから、それから漬け直しで水の上がるまでには、また一日はかかる。そして、小さくなった白菜を小型の漬け物器に移し、昆布や唐辛子、柚子を加えてもう一日ほど寝かせる。早くても週末にしか食べられないのが残念。それまでの繋ぎに、今日は浅漬け用のキュウリやカブも仕入れて来たのです。次に大根を切り分けてなた漬けの準備。こちらは二日あれば食べられる。

 11時を回ったので、昼の支度に家に戻る。今日の昼に食べるだけの蕎麦は残っていたから、あっさりと大根おろしで蕎麦を啜る。なた漬けと蕎麦豆腐も先週の蕎麦屋の残りで、食べる物には苦労しないのです。亭主が家にある山葵は美味しくないと言えば、「蕎麦屋の山葵よりずっと値段が安いからね」と女将が応えた。考えたら、お客に出す山葵も好いものを使っているのです。だから、温かい汁のキノコつけ蕎麦にも「山葵ください」と言うお客がいる。 

 昼食を終えた後はお茶を飲んでひと休みしたら、女将は稽古場に入って今月提出の作品を書き始めるのですが、亭主は2時過ぎに彼女のスポーツクラブの予約をし終えるまで動きが取れない。テレビで映画を見始めると、予約の時間に上手く席を取れたのですが、見始めた映画が終わるまで居間の椅子に座っている。定休日だからゆっくり出来たと考える事にしている。3時半過ぎから蕎麦屋に出掛けて、白餡を煮詰めながら、家で採った金柑を氷糖蜜で煮る。

 女将が採ったものよりも大きい実を摘んだつもりでしたが、市販の金柑に比べたらやはり小さいのでした。種も多くて取るのが大変で、完熟ではないから少し苦い感じがする。5時には家に戻ると言って出たから、時間通りに仕事を終わらせて帰れば、夜は常夜鍋なのでした。久し振りで美味しいのだけれど、最近は夜に肉を食べることが多いような気がする。亭主はたまには刺身が食べたいと言うけれど、女将は寒くて食べる気がしないと言うのです。

 夜になっても風は収まらず、居間の椅子に座って今日届いた年賀状を読んでいたら、脇で女将が「皆さん歳を取っても働いているから偉いわね」と言う。「俺だって毎日働いているよ」と亭主が笑って応えるけれど、働く意味が違うから偉いとは思われない。隠居の蕎麦屋は、所詮、趣味の延長だから、少しでもお金を稼ぐという仕事ではないのです。老後の生活を、何を以て好しとするかは人それぞれ。屈託のない生き方をするのが一番だと思う今日この頃です。



1月11日 水曜日 昨日よりも寒い朝 …



 4時過ぎに寒くて目が覚めて、部屋の暖房を入れたら、今度は暖まって寝過ぎてしまう。「もう魚を焼いても好いですか?」と女将に起こされて時計を見れば7時半なのでした。「食堂が5℃だから寒くてご飯が食べられない」と、居間のエアコンと食堂のストーブを入れたと言う女将。9時前に家を出ようと車に乗り込めば、車外温度が4℃になっていたのです。空は雲が多かったけれど、青空が見えて日中は晴れると言う。蕎麦屋の室温はやはり5℃でした。

 塩で漬けて二日目の白菜の樽も水が上まで上がっていたから、薄めの塩で漬け直したら、小さな漬け物器に入ってしまった。前回は二度目も樽で漬けたのですが、やっと去年までのやり方を思い出した亭主。ひと工程省ければ、それだけ早く食べられるようになる。そうやって漬ける期間を短縮してきたのでした。大きめに切った昆布を少し多めに入れて、柚子の皮と唐辛子は二回目の水が上がったら入れるのだった。これなら、その週のうちにお客に出せるはず。

 次に大根のなた漬けの水を絞って、唐辛子と甘酒の素と柚子の皮を入れ、砂糖を加えてかき混ぜる。こちらは漬け直さなくても十分に食べられるのです。これで午後から筑前煮を作れば、三種類の小鉢の品が出来上がる。そのためには出汁を取って干し椎茸を使わなくては。昆布と干し椎茸を水に浸した鍋を用意して、午後に備えるのでした。午前中はキノコ汁を四人分ほど作って、洗濯物を畳んだり、干したりしながら昼の時間に間に合うように時間調整。

 ちょうど宅配便のトラックがやって来て、蕎麦茶を届けてくれたのです。家に戻れば、買い物に出た女将はまだ帰っていなかった。長年通っている近くの薬局に出掛けたら、小母さんと話し込んで時間がかかってしまったのだと言う。亭主はキャベツや冷蔵庫に残っている野菜を刻んで、肉と炒めてあんかけ湯麺を作り始める。三つ目の火口では餃子を焼いて、ものの10分で昼食の出来上がり。寒いから暖まると思ったけれど、効果覿面で汗をかいてしまった。

 午後の予定は悩みに悩んだ。プールにも行きたいし、整形外科にも行かなければならないし、午後の仕込みもあるので、思わぬところで予定が詰まってしまうのでした。結局、あと三日分しかない薬をもらいに医者に行って、受付前に着いたのにもう行列が出来ていた。連休の後の休診日明けだから混んでいたのです。薬だけもらって帰るのに、一時間近くかかって蕎麦屋に戻り、午後の仕込みを始めるのでした。女将に電話をして夕食は5時半にしてもらった。

 午前中に出汁取りの準備をしてあったから、小一時間で出汁を取り終え、蕎麦汁を作るのでした。次は、筑前煮の仕込みだから、手際よく野菜を刻んで、根菜類は下茹でをして、鶏肉を切って油で炒め、中華鍋で炒めるのです。出し汁を入れて煮込んだら出汁醤油と砂糖を加えて更に煮込むのです。その間に、蓮根の皮を剥き、酢水で茹でている間に、南瓜を切り分けレンジに掛けて、天麩羅の具材を切り分けて明日の具材の準備をする。

 5時半前に家に戻れば、女将はもう鶏鍋の支度をしてくれていたのです。味見に持ち帰った筑前煮となた漬けの小鉢と共に、暖かな夕飯なのでした。大相撲の最後の場面をテレビで見ながら、女将の解説で亭主も面白く見る。明日からは少し暖かくなると言うから、蕎麦屋もお客が来るのではと期待をしてしまう。蕎麦は850gを打って9人分を用意しようか。蕎麦豆腐も造らなければいけないし、今日のやり残した仕事を朝飯前に片付けられるだろうか。



1月12日 木曜日 暖かくなると言ったのに寒い朝で …


 今朝は蕎麦屋の向かいの畑に真っ白な霜が降りていました。蕎麦打ち室は4℃と寒くて、暖房を入れて大釜二つに火を入れて暖を取る。少し暖かくなるまでにと、蕎麦豆腐を造って型煮入れたら、昨日作った筑前煮を小鉢に盛り付けて、食べ頃になった白菜のお新香を取り出して切り分ける。床はコンクリートだから、足元から冷えてくるのです。時折、蕎麦打ち室に温度を見に行くのだけれど、まだ7℃にしかなっていない。寒い朝はなかなか暖まらないのです。

 珈琲を飲み終えて、小鉢の用意も終わったら、後は蕎麦を打たなくては時間に追われる。日中は暖かくなると言う予報だから、もしかしてお客が来るかも知れないと、今朝は蕎麦粉と小麦粉を合わせて800g計量して、木鉢に篩を掛けて入れたら、計量カップに水を汲んで335gをキチンと計る。これで44%強の加水率になるはずだけれど、今朝は寒いからか随分と捏ねるのにも時間がかかった。なめらかな生地になるまで、何度でも捏ねていくから力が要るのです。

 生地を寝かせている間に、大根と生姜を摺り下ろし、薬味の葱を切る。硬めの生地に仕上がったから、伸し広げるのにもかなり時間がかかった。やっと80cm弱の幅で奥行き85cmほどに伸し広げて、畳んで行くけれど、綺麗な四角形にはならなかった。硬い生地はどうしても端が丸くなってしまうのです。八つに畳んで包丁切りをするのだけれど、今日は切りべら24本。生地の厚味があるから、少し太めの蕎麦に仕上がるのでした。135g弱で9束しっかりと取った。

 時計を見ればもう10時を回っている。今朝は金柑大福も包まなければいけなかったので気持ちが焦る。焦って雑な仕事になってはいけないと、野菜籠からサラダの具材を取り出して、丁寧に速く刻んでいくのでした。天麩羅の具材の入れ物を調理台に並べ、天ぷら粉の缶を脇に置いて、新しい油を天麩羅鍋に入れる。天つゆの鍋はもう温めてあるから、天麩羅鍋に火を入れてキノコ汁の鍋をIHのヒーターに掛ける。こちらはよく見ていないと吹きこぼれるから注意。

 11時20分に全ての用意が終わったので、急いでテーブルをアルコール除菌液で拭いて回るのでした。開店と同時にお客が来ることは最近はあまりなくなったけれど、来ても大丈夫なように用意をしておくことが大切。今日は蕎麦打ちに時間がかかったから、ちょっとギリギリでしたが、まずは無事に暖簾を出し終えるのでした。昼前に車で家族連れのお客がご来店で、とろろ蕎麦の大盛りと普通、せいろ蕎麦のご注文。蕎麦が茹で終わる頃に近所の常連さんが来る。

 例によってビールと今日はカレー蕎麦の大盛りを頼まれる。よほどカレーが好きらしい。三人連れのお客は老夫婦がデザートの金柑大福をご注文。お母さんが「お蕎麦も蕎麦湯も美味しかったわ」と言って満足そうに帰られる。やっと女将が来てくれたから、亭主は奥の座敷で一休み。厨房に戻れば、今度は隣町の常連さんがいらっして、キノコ蕎麦と辛味大根のご注文。カレーの男性と二人、正月から六日の営業で三日も来てくれたのです。

 早めに洗い物と片付けを終えて、亭主はやっと遅い賄い蕎麦を茹でて食べる。今朝打った蕎麦だからどんな感じだろうと食べたら、やはり硬く打った蕎麦は茹でても硬い蕎麦なのでした。噛み応えがあるのは好いけれど、これが美味しいと言う人は、よほどの蕎麦好きなのでしょう。お年寄りにはもう少し柔らかくても好いような気がする。明日は46%の加水率で打ってみようか。昼はやはり暖かくなると言うけれど、一人の営業だから時間に追われたくない。

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2023年1月初め


1月1日 日曜日 この冬一番の好い天気でお正月気分 …



 大晦日の夕べは若い人ばかりの紅白歌合戦を見ずに、近年映画化されたハリソン・フォード主演の『野生の叫び声』をテレビで観ていた。犬や動物たちの行動をどうやって撮すのだろうと不思議に思いながら、やっと終わってブログを書き始めたから、寝るのは深夜になってしまいました。目覚めればもう7時半。遅く起きた女将が台所で雑煮を作っていた。朝はかなり寒かったけれど、陽が昇るに従って寒さが緩んで来た様なので、歩いて蕎麦に出掛ける。

 正月だからと少しは普段と違う服を着ようと、二階の洋服ダンスから持って来たセーターには、洗濯屋のタグが付いていた。「去年は着ていないということよ」と女将に言われて、暖かかったこともあるけれど、それだけ蕎麦屋通いに徹していたと言うことかと思った。しばらく履いていなかった革靴を下駄箱から出して、履いて歩けば、足の指の違和感が少し薄らいだのです。蕎麦屋の中は6℃といつもの冷たさだったけれど、片付けと洗濯物を干して終わり。

 昨日、持ち帰りきれなかった食べ物をタッパに入れたまま袋に連れて、お袋様のマンションに向かう亭主。太陽は低く輝いて、風もなく、雲一つない空は真っ青なのでした。元日だと言うのに珍しくバス通りを何人もの人が通る。店屋もほとんど開いていないだろうに、何処へ行って来たのやら家族連れらしい。きれい好きなお袋様は、元日でも午前中から部屋の掃除をしていました。日当たりの好い場所を亭主に勧めながら、お茶を入れてくれるのでした。

 玄関には自分で活けたと言う花を飾り、ユリの蕾が開いているの「あら、咲いたわ」と喜んでいる。下駄箱この上には、とうの昔に亡くなった親父様の故郷の彫り物が飾られている。今朝は二人の妹と電話で話をしたのだと言う。陽の当たる広い居間の部屋で、亭主は久し振りに実家に帰ったようにゆっくりとするのでした。すぐ近くだから、よく食べ物を届けに来たりはするけれど、親父様の仏壇に線香を上げることもない。近くの墓所の方がよく行くのです。

 帰り道、またぞろぞろと歩く家族連れに出会う。暖かいから皆さん気持ちが好いらしいのです。家に戻れば郵便受けに年賀状が届いていた。60枚ほどは年の内に出したのだけれど、午後はまた年賀状を作成しなければ。昔の教え子たちの中には、もう還暦を迎えるという者もいると、傍で読んでいた女将が驚いていた。自分たちの歳のことはすっかり忘れているのでした。昼はキノコ蕎麦を茹でる前に、酢蛸と蕎麦豆腐でお屠蘇代わりの焼酎の炭酸割りを飲む。

 午後は二週間後の女将のヨーガ教室を予約してやったら、今日届いた年賀状の返信を刷る。女将が散歩がてらに郵便局まで行って出して来てやると言うので、好意に甘んじる。蕎麦屋に行って白菜のお新香を漬け直してこようかと思ったけれど、書斎に差し込む午後の陽射しに誘われてひと眠り。眠りから覚めたらもう夕刻だったから、残っている野菜サラダをお好み焼きにして、夕食にするのでした。今日一日が終わるのは本当に早い。明日までが休日です。



1月2日 月曜日 今朝は寒さで目が覚めたけれど …



 やけに寒いと思って居間の部屋に入れば、なんと5℃。エアコンとストーブを点けて暖まるのでした。夕べは早めに床に就いたのに7時間は眠ったから身体は快調。6時のニュースを見て、データ放送で佐倉の天気予報を確認すれば、今日も昨日と同じく穏やかな晴天だという。二階に上がって西の空を眺めると、遙か彼方に白く雪を被った富士山が朝日を浴びているのでした。家々の屋根には白く霜が降りて、寒く空気が澄んでいるのがわかる。

 7時を過ぎても雨戸を開ける音も聞こえず、女将が起きてこないから、どうしたのかと思ったら、元日はあまり歩かなかったのでよく眠れなかったと言う。彼女が雑煮の餅を焼いている間に、亭主は暮れに買って来た蒲鉾類と自分で作った鱠を盛り付けて、朝食の支度を手伝うのでした。去年に続いて質素な正月の朝食なのです。食べるのも片付けるのもさっと終わってしまうから、食後の時間をもてあまし、亭主は白菜のお新香の漬け直しに蕎麦に出掛ける。

 隣の畑にもびっしりと白い霜が降りて、朝日の当たった部分だけが少しずつ溶け始めている。午前8時を過ぎた時刻にまだこんな状態だから、今朝は相当に冷え込んだのです。樽に漬けた白菜は、重しがすっかり沈んで、白菜一把が全部沈むほどに水が上がっているのでした。やはり最初のつけ込みには二日を要する。大きな笊に上げて水を切っている間に、唐辛子や昆布を切って冷凍してあった柚子皮を取り出して、少なめの塩でもう一度樽の中に漬けておく。

 今日は温かくなったら、蕎麦屋の床の掃除をしようと考えている亭主。まずは厨房の床だろう。履物を履き替えて厨房に入るのに、どうしてこんなに汚れるのだろうかと思うほどだから、去年、買った二台の電動の床磨き機が威力を発揮してくれるだろうと楽しみ。少し早めの昼食には、野菜サラダが残っていたから、インスタント焼きそばで簡単に済ませる。肉と野菜がたっぷり入って、油も使わずに割と美味しい。冷凍してある餃子も焼いて食べるのでした。

 すぐに食べ終わってしまうから、眠くならないうちに蕎麦屋に出掛けて、予定通り厨房の床磨きを始める。油汚れの酷いレンジ前は重曹を振りかけてお湯をかけ、しばらくしてから床磨き機で擦るのです。今までは膝をついてゴシゴシとタワシで擦っていたのだけれど、屈まないから随分と楽なのです。モップで拭き取って、更に雑巾で仕上げをしたら、見違えるように綺麗になる。長年溜まった油汚れは、さすがになかなか落とせないけれど、完璧は望むまい。

 ここまで1時間掛けて一服したら、今度はレジの前の廊下を磨くのですが、厨房ほどしつこい汚れではないので、中性洗剤を撒いて床磨き機を掛けたら、後はモップで拭くだけ。店側と一番汚れている蕎麦打ち室の床は、明日以降、時間があれば取りかかることにして、家に戻るのでした。朝のうちに漬け直した白菜のお新香が、また水がたっぷりと上がってきたので、味見にと家に持ち帰る。夕食には何を食べるのだろう。確か鴨肉と酢蛸が冷蔵庫に残っていた。

 結局、今日は朝も昼もひと眠りをせずに、夕食の食卓に着くのでした。午後からはあまり好い天気も続かずに、夕刻からは急に冷えてきたので、夜は残り物で鍋とおじやということになりました。明日は今年最初の仕入れの日。四日まで蕎麦屋が休みなのが救いで、最初の週の小鉢は何にしようかと考える暇があるのです。まずは白菜のお新香で一品。大根のなた漬けを作ってもいい。先週の出汁や蕎麦汁がまだ残っているから、あまり慌てなくてもいいのです。



1月3日 火曜日 年の初めの仕入れは …



 正月三日の朝飯前のひと仕事は、厨房がまだ6℃しかないから、まず、二つの大釜に水を張って火を点ける。5㍑の鍋に水を入れ、沸騰したら小松菜を茹でておくのです。その間にIHでポットに湯を沸かし、珈琲を入れて飲む。6時半の東の空は、薄明るく光っていたけれど、まだ太陽の姿は見えない夜明け前なのです。今朝はどうも霜が降りていないようでした。それでも相当な寒さなのです。大根の皮を剥いて切り分けて、漬けもの器に塩をして漬けておく。

 7時前に家に戻れば、女将はもう台所に立っていた。ベーコンエッグに豚汁で今朝も簡単に朝食を済ませる。亭主が蕎麦屋から味見に持ち帰った白菜の漬け物は塩辛いからと、水で塩抜きをしてくれたのですが、まだ味が馴染んでいないのです。やはり昆布の旨味が出てくるのには四五日かかるらしい。早めに洗面と着替えを済ませて、お袋様と今年初めての仕入れに行く準備をする。農産物直売所は、まだ営業していないから、今日は隣町のスーパーにだけ行く。

 さすがに三が日はお客が少ないと見えて、駐車場もガラガラでした。いつもよりずっと少ない量の仕込みなのに、何故か支払った額はあまり変わらない。女将に言ったら、「正月は野菜も高いのよ」値段を見てから買う主婦の買い物ではないから、必要なものは籠に入れるから仕方がないのです。しかし糸三つ葉が一把200円を超えるのは正月とは言え痛い。レッドアーリも最近は一つ200円を超えているのです。農産物直売所では120円で買えるのに。

 野菜を冷蔵庫に収納したら、まだ時間に余裕があったから、甕に入れてある返しがなくなっていたので、返しの仕込みをする。ワインビネガー75ml、味醂540ml、氷糖蜜390ml、再仕込み醤油810mlに醤油2700mlと塩30g。長年やっているとすっかり頭に入っている。醤油は全て50%減塩なので、名人のレシピよりもかなり割高になっているのです。沸騰する前に火を止めて冷まします。昼の支度があったから、鍋はそのまま冷まして家に戻るのでした。

 朝のうちに女将と話をして、野菜サラダの残りとかき揚げの玉葱ニンジンの残りを使って、昼はカレー炒飯と言うことになっていたのです。中華鍋を高熱炒めにセットして、油を引いて具材を炒めたらご飯を入れて鍋を振る。温度が高くなっていれば中華鍋には焦げ付くこともなく、今日は綺麗に仕上がったので好かった。いつもは使わないから、ついつい忘れて失敗することが多いのです。これでほとんど年末の蕎麦屋の残り物は処分できたので好かった。

 2時過ぎに女将の二週間後のスポーツクラブの予約を取ったら、蕎麦屋に出掛けて午後は蕎麦打ち室の床磨きです。掃除機で飛び散った蕎麦粉をすべて取り除いてから、中性洗剤を撒いて床磨き機で一通り洗うのです。到底、これだけでは綺麗にならないから、今度は回転ブラシで床を磨く。最後に雑巾を取り付けたモップで拭く。以前の綺麗さは戻らないけれど、屈んで掃除をしないので腰が痛くならないのが一番。一汗掻いて厨房に戻るのでした。

 4時を過ぎていたので、残った時間で出来るのはなた漬けの仕上げ。塩漬けにして水の上がっていた大根を絞ってビニール袋に入れたら、柚子皮の千切りと唐辛子の輪切りを入れ、甘酒の素を加えて砂糖をたっぷり。よく揉みほぐしたらそのままタッパに入れて冷蔵庫で保存するのです。昨日までの生ゴミと今日の瓶類を外のゴミ箱に出して、午後の仕事は終わりなのです。勝手口から夕陽がだいぶ傾いているのが見えた。終日青空の好い天気なのでした。



1月4日 水曜日 今までになく寒い朝だったけれど …


 午前5時半。まだ夜は明けない。いつもの習慣だから、そろそろ正月気分を払拭して平常に戻らなければと、蕎麦屋に出掛けるのでした。漬け直した樽の白菜もすっかり水が上がっていたので、今度は小さな漬けもの器に移してまた漬けておく。丸ごと一把の白菜がこんなに小さくなってしまうのかと思うほど、量が少なくなった。小鉢に盛り付けたら、次は更に小さな漬けもの器に移す必要がありそうです。隣の小火口に掛けた出汁取り用の鍋が沸くのを待つ。

 鍋肌に泡が出て来たら鰹の削り節を入れて、沸く直前に火を消すまでに灰汁を取る。苦味や雑味が出てしまうと宜しくないのです。2㍑の鍋に一番出汁を濾して入れ、600ccの返しを加えて火にかけるのですが、これも沸かしてはいけない。沸騰する直前で火を止めて冷たい水で冷やしておく。残った一番出汁はボールで冷やして、1㍑のペットボトルに入れて冷蔵庫に入れる。二番出汁は今日は4㍑だけ作っておく。天つゆは昨日のうちに先週の二番出汁で作った。

 時計が7時を回ったので、朝食の時間に遅れないように家に戻らなければ。森の影からはまだ太陽が見えない。向かいの畑には一面の白い霜が降りているのでした。寒いはずです。今朝は車外温度がこの冬初めて氷点下になった。蕎麦屋の中も3℃と初めての気温。暖房を入れ、大釜の湯を沸かしても7℃までしか上がらなかった。蕎麦打ち室は3℃と変わらない。蕎麦を打つ明日からは、暖房を点けたままにして朝食を食べに帰ろう。

 女将の用意してくれた朝食は、鰺の開きと茄子とピーマンの味噌炒め。三ツ葉と椎茸のお吸い物には、先週、蕎麦屋から持って帰った一番出汁を使っていた。味見用に持ち帰った白菜も含めて、今朝はどれも美味しいのです。最近の鰺の開きは骨も取ってあるし、塩も控えめでとても食べやすくなっている。これも時代なのだろうと女将と話をする。テレビは面白い番組がないからと、点けずに二人は食事を終えたのでした。その分、少しはお互いに会話をする。

 食後のひと眠りはせずに、蕎麦屋に出掛けて仕込みの続きをするのです。今日から夕刻に防犯パトロールが始まるから、早め早めに仕事を終えたほうが好いと考えたのです。午前中には仕込みが一段落したところで、半年振りでプールにも出掛けようと思っていたのです。次にやることがあると、自然と能率は上がるもので、切り干し大根の煮物を作りながら、隣の火口ではキノコ汁を仕込み始めるのでした。出汁に鶏肉を入れて煮上がったらキノコを入れていく。

 二つとも無事に仕上がったところで10時前だから、これからプールに出掛けて久々にひと泳ぎしてこようと、期待に胸を膨らませて車を走らせたのです。駐車場に車を入れて、陽の当たる外の階段からゆっくりとスポーツクラブのある四階まで昇っていけば、懐かしい入り口が見えて来ました。会員証を出して前の人に続いて中に入ろうとしたら、オートロックがかかっていてドアが開かない。掲示板を見ると11時までは無人の利用となるらしいのです。

 左手に会員証をかざして下さいと書いてあったので、前の人に続いてカードをかざせば、一向に反応しない。24時間営業になったから、何か仕様が変わったのだろうか。有人の営業となる11時までにはまだ時間がありすぎたので、一度、家に戻ることにしました。帰って女将に話をすると、彼女の行く時間帯のことしか分からないと言うので、会員証を預けて聞いてきてもらうことにする。後の時間が押しているから、結局、今日はもうプールへは行けず終い。



1月5日 木曜日 今年の仕事始めなのだけれど …


 昨日は朝も昼もひと眠りをしなかったからか、夜のパトロールで疲れたからか、夜の9時にはもう眠たくなって床に入ったのです。当然のことながら、今朝は3時半にはもう目が覚めてしまう。生活習慣というのは恐ろしいもので、6時間から7時間、眠ったら目が覚めるようになってしまっている。蕎麦屋に行くにも早すぎて、居間でテレビを見ながらお茶を飲んで、暖房で暖まったらまた眠くなって床に入る。次ぎに目覚めればもう6時なのでした。

 このまま朝ご飯の時間を待とうかとも思ったけれど、蕎麦屋は寒いから暖房を入れておかなければすぐに蕎麦が打てないと、車を出して本当に暖房を入れるためにだけ出掛けたのです。隣の畑には薄紫の空が広がって、今日も晴天だと分かる。帰りがけに東の空から陽が昇るかと思ったけれど、6時45分でも森の向こうが明るくなるだけなのでした。湿度が低いからか霜は降りていなくて、地面がそのまま凍っているようなのです。今朝も相当に寒い。

 家に戻れば、女将が台所に立って朝食の支度をしてくれていたけれど、冷蔵室にはもうあまり食材がないことを亭主は知っている。野菜籠にはまだ先週の店の残り物があったらしく、茄子焼きとキュウリのお新香が出て、ベーコンエッグとレンコンに牛蒡とニンジンの煮物が付いていた。蕎麦屋で何が残るかが分からないから、女将のメニュー作りも人知れぬ苦労があるのです。卵とベーコンが唯一のタンパク源で、冷凍室の魚類は明日以降のお楽しみらしい。

 食事を終えたら髭を剃り、着替えて出掛ける準備をする。テレビでは『レ・ミゼラブル』のミュージカル映画をやっていた。どうもこのミュージカルというのが亭主は昔から苦手なのですが、ヴィクトルユゴーの原作とはほど遠いけれど、なかなかの名作らしく、最後まで観てしまうのでした。「げにや安楽世界より、今この娑婆に示現して…」という曽根崎心中の人形浄瑠璃の方が身近に感じるけれど、日本と欧米で受け継がれた文化の歴史の違いなのだろうか。

 早朝の暖房が効いて、蕎麦打ち室は13℃になっていた。前掛けをして今年初めての蕎麦を打つ。暖房を入れたせいか湿度が27%になっていたから、加水率は45%強。それでも柔らかすぎずにしっとりとした生地に仕上がった。年の初めの蕎麦打ちとしては満足のいく結果なのでした。厨房に戻って金柑大福を包み、時間に追われながらも、野菜サラダの具材を刻んで、天麩羅油を鍋に入れ、天つゆの鍋を温め、テーブルを拭いて、ぎりぎり11時半に間に合うのです。

 時間通りに開店はしたものの、去年は初日と雪の積もった二日目は寒すぎてお客はなかったから、あまり期待は出来ない。それでも正月休みが終わったら、蕎麦でも食べようという人がいるかも知れないという淡い期待が元気の素。首を長くしてお客を待てば、12時半には隣町の常連さんがやって来た。いつものキノコつけ蕎麦と辛味大根を食べながら、年越し蕎麦を食べに来てから今日まで外には出なかったのだと言う。ちょうど女将も来てくれて二人で笑う。

 1時半近くにお客が帰って、亭主はかき揚げを揚げ、賄い蕎麦をぶっかけで食べるのです。大晦日におろした油の具合を見たかったのと、今日打った蕎麦の仕上がりを知りたかった。どちらも合格点だったのでとても嬉しかった。洗い物も少ないから、女将と二人で片付けを済ませたら、早く家に戻ったのです。疲れていないから、午後の昼寝はせずに、4時を過ぎたらスポーツクラブに出掛けて、7ヶ月振りでプールで泳いだのです。少しずつリハビリをしよう。




1月6日 金曜日 今朝はこの冬一番の寒さ …


 寒さには慣れてきたのに、今朝は一段と寒い朝でした。朝の5時から7時までマイナス4℃の寒さなのです。千葉県の天気予報などをテレビで見ると、最低気温の表示される地域はどこも海の近くだから、佐倉に比べたら5℃は高いのです。防寒をして今朝はレッグウォーマーまで履いて蕎麦屋に出掛けた亭主。乾燥しているから霜柱も立たないようで、蕎麦屋の店内は5℃なのでした。エアコンを入れて二つの大釜に水を張って火を点ける。

 寒すぎてすぐには蕎麦打ちが出来ないから、昨日出たキノコ汁を作り足しておきます。とにかく湯気の出る作業を何かしなければと厨房で動き回るのでした。空の蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めておく。やっと蕎麦打ち室が7℃になったから、蕎麦粉と小麦粉とを計量して篩に掛ける。冷蔵庫の中で蕎麦を打つようなものだから、指先の感覚がいつもとは違うのでした。プールの時間が加わって、夕べは寝るのが遅かったから、早朝に暖房を入れに来れなかったのです。

 蕎麦打ち室に亭主が入れば人間の熱で室温は少し上がり、菊練りを終えて蕎麦玉を作ってビニール袋に入れて寝かせておく間に、厨房に戻って大根をおろす。再び蕎麦打ち室に入ったときには、もう10℃になっていた。蕎麦を伸し始めれば、汗こそかかないけれど、身体は温まって、今日も切りべら26本で135gの蕎麦を打ち終える。蕎麦打ち室の湿度は32%だったから、加水率は45%強でちょうど好い感じなのです。やはり、この時期は空気が乾いているのです。

 金柑大福は昨日のものがそのまま残っていたので、今朝は野菜サラダの具材を刻むだけで済んだ。去年の今日は雪が積もって、雪かき用のシャベルを家から持って来て、駐車場の雪を掻いたのです。そんな日には勿論、お客は来なかったけれど、今日は薄い雲がかかっているものの、太陽が出ているからまだまし。ちらほらと道を歩いて散歩に出る人の姿も見えるのでした。いつもの時間に畑に行く人やジョギングで走る人も通りすぎていく。

 それでも1時過ぎまでお客がなかったから、元気を出そうとかき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べておく。食べ終えたところで、駐車場に車が入ってきたから嬉しいのでした。奥のテーブル席に座った女性のリピーターさんは、寒いと見えて温かい天麩羅蕎麦のご注文。天麩羅を揚げている間に、玄関が開いて歩いていらっしたと見えるご夫婦が入り口のテーブル席に座る。こちらも奥様がリピーターの方で、キノコ汁を二日続けて食べたからよく覚えている。 

 小鉢にお新香を出したら、とても美味しいと言ってくださった。始め「奥さんが漬けるの?」と聞かれたから、「私が漬けています」と応える。大晦日に漬けて二日で水が上がって漬け直し。一日おいてまた水か上がって昆布や柚子を入れて更に漬け込む。「一週間はかかるのね」と奥様が言う。天麩羅蕎麦を食べ終えた女性は、頬が真っ赤になって身体が温まったと言う。ご夫婦はキノコつけ蕎麦と天せいろで、こちらも綺麗に汁まで食べて帰られた。

 洗い物を始める頃には、もう閉店の時間なのでした。今日は出だしが遅かったのです。家に戻ればもう3時過ぎだから、売上伝票をパソコンに入力したり、今日の写真をパソコンに取り込んだりしているうちにもう4時。昨日はこの時間にプールに行ってしまったから、夜が忙しくなって寝るのが遅くなった。今日はゆっくりと早い夕食を食べて、7時過ぎに出掛ける予定。ブログも書き終えてから出掛けるので、昨日のように夜更かしにはならないと思う。