2024年4月初旬



4月5日 金曜日 花曇りとは今日の空のことか…

 今朝は5時半起床で、6時になったら家を出て車で蕎麦屋に向かうのでした。起きてからコーヒーを飲んで家を出るまでの時間を、なんとか短縮しようと頑張っているのです。店の中は17℃とやけに暖かい。蕎麦打ち室も16℃もあるから、今日こそはと46%の加水で蕎麦粉を捏ねるのでした。それでもまだ少し柔らかいので、気温と湿度を勘案して、45%まで落としても好いかも知れない。昨日の蕎麦がだいぶ残っていたから、今朝は500gだけ打っておくのでした。

 7時過ぎに家に戻れば、魚を焼いた匂いが居間の部屋にまで漂っている。今朝は久し振りに鯖の塩焼きが出た。青魚を食べた方が好いと言われるけれど、一週間すべてというわけには行かないので、ほっけや銀ダラなど白身の魚も混ぜて買って帰るのです。銚子の鰯が安く出たときには生の魚を買う。その時の値段にもよるのです。蓮根の金平と大豆の煮物の昆布も、蕎麦屋で残った食材を女将が美味くおかずにしてくれるから有り難いのです。

 朝食を食べ終えて居間でお茶をもらったら、書斎に入って1時間ほど眠ります。早朝に蕎麦を打つようになってから、朝食の後がだいぶゆっくりと出来るようになったのです。蕎麦屋に出掛けようと玄関を出れば、今日の風は少し冷たいと感じるのでした。ジャンパーの襟を立てて、幼稚園の裏の入り口から桜を見上げれば、なんともう五分咲きなのです。こんなに涼しくても花は開いてくるものなのだと感心する。寒いからか少し足を引きずるようにして歩く。

 うちの子ども達が幼稚園に通っていた頃は、今のように送り迎えもなかったから、家から1分もかからずにこの裏口の階段を昇って行ったのでしょう。それももう40年近くも昔のこと。階段の両脇に新しい家も増えたけれど、桜の花だけは昔と変わらず咲き続けている。家がなかった当時は、隣の空き地に義父母の買ってくれた大きな鯉のぼりを泳がせていたものです。空き地の持ち主に言われて、鍬を持って耕し、枝豆を作っていたのも懐かしい思い出です。

 蕎麦屋に着いて看板と新しい幟を出して、厨房に入ればまだまだ時間に余裕がある。金柑大福は昨日作ったものが残っていたので、少し早めに野菜サラダの具材を刻み始めるのでした。大釜の湯を沸かし、天つゆと天麩羅油を温めて、暖簾を出したのが開店時刻の10分前。しかし、昼過ぎまではお客は来なかった。やっといらっしたのが若い女性の一人客。ぶっかけ蕎麦のご注文で、すぐに天麩羅を揚げてお出しするのでした。今日の寒さではお客は来そうにない。

 お客も帰って1時を過ぎたので、油の冷めないうちにかき揚げを揚げて、亭主も賄い蕎麦を茹でて食べておく。食べ終えたところで裏の奥様が来るのが見えた。いつものように天せいろを蕎麦は生のままでお持ち帰りで、待っている間にいろいろと話を聞かなければならないのです。少し耳の遠い亭主には早口で喋る彼女の言葉が、半分くらいしか聞き取れない。ご主人が亡くなってからもう直ぐ1年になるらしく。40歳を過ぎた息子さんと二人の生活なのだとか。

 ラストオーダーの時間になったら、暖簾と看板と幟をしまって、後片づけに入るのです。油を使ったから洗い物はちょっと面倒だけれど、数が少ないからすぐに終わりました。揚げ物を入れたパッドをお湯に浸している間に、大釜の掃除して天麩羅油を漉し器にかける。2時過ぎには店を出て、女将の帰る前に家に着くのでした。書斎のパソコンに今日のデータを入力してひと眠り。早めの夕食はまた堅焼き蕎麦を亭主が作り、ひと休みして夜のプールに出掛ける。


4月6日 土曜日 小雨の降る涼しさなのでしたが…

 昨夜のプールで疲れたのか、熟睡したはずなのに夜中に目が覚めて、もう一度眠ったら、もう朝飯の時間で女将が起こしに来たのです。食堂に行けば、好物の鮭の塩焼きが豚汁と共に食卓に並ぶ。美味しくいただいて、居間でお茶をもらってゆっくりしていたら、大学時代の友人から電話が入って、今日は佐倉に行くので店に寄りたいと言うのでした。歴史博物館を途中で抜けるので、1時までに戻らなければいけないと言うから、いつもより30分早い11時開店。

 霧雨の降る中を傘も差さずに蕎麦屋に出掛ければ、幼稚園の佐倉はいつの間にか満開になって、この寒いのに花は早いのだと驚いたのです。空が曇っているから、写真に撮っても白い花は映えない。蕎麦屋に着いたら、新調した二本の幟を立てて看板を出すのです。すぐに蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打ち始める。11時からなら大丈夫と友人に言ったので、遅れてはならないと気が気ではなかったのです。加水率は45%にしてみたけれど、ちょうど好い加減。

 週末なので金柑大福を珍しく5皿分包んだものだから、求肥を包むのに熱くて閉口した。それでも全部なくなったから嬉しいのでした。時間通りに友人夫婦とその友だちが着いた時には、亭主はまだ野菜サラダの盛り付けをしていた。いつもなら開店の準備も終わる時間なのに、女将がお茶を出して挨拶をしているいる間にサラダは盛り付けを終えたのです。今回も奥様がたくさんのお手製のお土産を持って来てくれて、取ったばかりのクレソンは天麩羅にする。

 調理をしながらしばらく話をする暇はあったけれど、暖簾は出していないのに、車が入っているからかお客が入ってきてしまう。まだ開店の時刻15分前なのでした。12時前にもう店は満杯になって、友人夫婦とはゆっくりと話も出来なかった。蕎麦は沢山打ってあったから、1時過ぎまでなんとかお客に出せたけれど、蕎麦か残らないと、明日の蕎麦打ちを考えると大変なのでした。今日は少し涼しいせいか、鴨せいろや鴨南蛮蕎麦の注文が多かったのです。

 2時前には洗い物と片付けが終わって、「明日の蕎麦汁がないから、出汁取りの準備があるのでしょ」と女将に言われて、彼女は先に帰っていく。小鉢もなくなったから、お新香も夕方に来て漬けなければならない。桜も咲いて春の陽気なのですが、空が曇っているのが唯一、晴れ晴れとしない気分なのでした。家に帰って、ゆっくりと昼寝をしたら、夕食のおかずを亭主が作って、早めの食事を済ませたら、ひと休みしてまた蕎麦屋に出掛けるのでした。


4月7日 日曜日 昨日の疲れも癒えないうちに…

 今朝はいつものように5時に目覚めたけれど、なかなか起き上がれなくて、やっと床から立ち上がったのが5時半。コーヒーを沸かして飲んだら、何とか6時前には家を出られたのです。蕎麦屋に出掛けて朝の蕎麦を打ち始めるのですが、菊練りを済ませて厨房に戻れば、糠床を冷蔵庫から取り出して小鉢に盛り付けるために切り分ける。ここで頑張っておかなければ、後が大変になるから、徐々に目覚めてくる身体に鞭を打って、また蕎麦打ち室に入るのです。 

 室温は16℃、加水率は44%、湿度は60%を超えているから、それでもまだ少し生地は柔らかいのです。何とか打ち終えて、昨日の残りの蕎麦と合わせて12食の蕎麦を用意しておきます。雨の朝だったから、今日はそれほどお客が来ないと思ったのでした。家に戻って朝食を食べれば、食卓には大学の友人夫婦が持って来てくれたクレソンのお浸しが出ていた。豚肉や油に合うという季節の野菜も、やはり最初は和風で登場です。あっさりとしていて美味しかった。

 夜明け前からの雨は小雨になっていたけれど、煩わしいから傘も差さずに亭主は蕎麦屋に出掛けていくのです。早朝に蕎麦を打ったから余裕があって、多分、今日はいらっしゃるだろうカレーうどんのご夫婦のために、豚のハラミの串刺しを作っておく。出る時には随分と出るけれど、残っても家に持ち帰って亭主の酒の肴になるだけだから、なかなか難しいのです。10時前に金柑大福を包み始めて野菜サラダの具材を刻む亭主。いつもの時間通りの進行なのです。

 大釜の湯も沸いてポットにお湯を入れたら、天つゆと天麩羅油を温めて、開店の準備が整う。開店時刻の10分前にはもう駐車場に車が入ってきました。一台から随分と沢山人が降りると見ていたら、昨日いらっした年配のご夫婦がご両親を連れて来たらしく、入り口のテーブルに座って、カレーうどんと天麩羅蕎麦、鴨南蛮蕎麦を二つご注文なのでした。手間のかかるものばかりで、素早く準備を始めたら、いつものカレーうどんのご夫婦が定刻にやって来る。

 後を追うように次のお客が3人連れでいらっしてカウンターに座るのでしたが、まだ最初のお客のカレーうどんや鴨南蛮が出来ていない。お茶を出すことも出来ずに「済みませんもう少しお待ちください」と亭主がアナウンスする。そこに二人連れのご夫婦が歩いてきたから大変なのでした。カウンターに座るけれど、まだ最初のお客の鴨南蛮が出来ていない。女将は鴨南蛮に使う長葱を家に取りに帰っていなかったから、亭主は冷や汗もので調理を続けるのでした。

 まだ12時前なのです。長葱を持って帰って来た女将が、店が満席なのにびっくりして、慌ててお茶を入れて各席に持って行く。お客様たちもこの常況では仕方がないと、諦めて待ってくれている様子なのでした。店主一人が調理をする小さな店だから、いちどきに沢山お客が来ても順番にしか作る事は出来ない。慌てずに一つ一つの料理を丁寧にこなしていくことが大事と、奮闘すること30分。野菜サラダもデザートの金柑大福もすべて売り切れたのです。

 カレーうどんが二つも出たから、蕎麦はまだ残っていたので、次のお客もその次のお客もどんどん店に入って来る。1時過ぎには蕎麦がなくなったので「お蕎麦売り切れ」の看板を出して、暖簾と幟とをしまうのでした。息もつけないほどの忙しさは何年ぶりだろうか。満開になった桜の花ではないけれど、人間も暖かくなって急に外に出掛けるようになったのかも知れない。洗い物をまったくする暇がなかったから、それから1時間、夫婦は無言で洗い物をする。

  家に戻ったのは3時前で、外は晴れ間が出て青空が覗いていました。幼稚園の満開の桜が今日は青空を背景にとても綺麗なのでした。亭主は今日の売り上げや写真のデータをパソコンに入れたら、早速、昼寝をし始める。女将は桜を観に近所を歩いて来たと言う。疲れて果てて足の調子が好くない亭主は、幼稚園の桜だけで満足するしかなかったのです。今日来たお客の数は13人。昔と違ってそれでも大変に感じるのは、やはり年を取った証拠なのでしょう。}


4月8日 月曜日 霧の朝だったけれど終日曇り空で…

 6時前に蕎麦屋に出掛けて、時間と共に霧が深くなるのを目の当たりにする。普通だったら霧の濃い日には晴れるものだけれど、今日は霧の合間からぼうっとした太陽が見えただけで、終日、曇り空なのでした。蕎麦屋に入ってまずは蕎麦打ち。加水率44%で今朝はかなり好い感じの硬さで生地を仕上げたのです。水が少ないと伸した時に角が綺麗に取れないというジレンマがあるけれど、今日は比較的綺麗に四隅が取れて、8食分の蕎麦を生舟に並べるのでした。

 家に戻って朝食を済ませ、幼稚園の桜が気になって二階へ続く階段の踊り場から見たら、もう満開なのでした。足の具合が悪いから今年はこれで見納めでも好いと思って、取りあえず写真を撮っておく。天気が好くないのもそう思う原因なのでした。書斎で横になっても眠れないから、今朝は早めに蕎麦屋に出掛ける。金柑大福を包むにも早すぎる。レンジ周りの掃除をしたり、洗濯物を干したり、奥の座敷に溜まった段ボールを畳んで紐で縛り、掃除機をかける。

 隣の菜の花畑はもう時期が終わりなのか、駐車場のモミジの新芽が伸びているのに気が付いた。季節はどんどん移り変わっていくのです。やっと金柑大福を包んで、野菜サラダの具材を刻みながら、今日の天麩羅の具材を切り分けるのです。蓮根の皮を剥いて酢水で茹で、南瓜を切り分けてレンジでチーンする。大根をおろして天つゆと油を温めたら、暖簾を出してお客の来るのを待つのです。最初のお客は昼前に近所の常連さん。ビールとぶっかけ蕎麦の大盛り。

 1時過ぎに年配の男性二人が車でいらっして、天せいろを頼まれる。向かいの畑では、少し若い人たちが朝から仕事を始めていた。せっかく作った大福も野菜サラダも出なかったから、家に持ち帰って食べるだけ。片付けもあまりなかったけれど、月曜日は最後のゴミ出しをしなければならない。女将の帰る前に家に着いて、蕎麦粉の代金を振り込みに郵便局まで出掛ける。ひと眠りして早い夕飯を食べたら、今夜もまたプールでひと泳ぎなのでした。



4月9日 火曜日 春の雨、よくぞまあこんなに降り続く…

 夕べのプールが疲れたはずもないけれど、今朝も4時前から目が覚めて、居間の部屋でコーヒーを飲んだのです。それでもまだ眠れそうだったので、定休日だからともう一度床に入れば、7時過ぎに女将が「ご飯ですよ」と起こしに来てくれた。外は夜明け前から雨が降っている。今日は激しく降ると言う予報だったから、お袋様との仕入れに出掛けるのが大丈夫だろうかと心配するのでした。食堂に入れば、予想通りおかずはベーコンエッグなのでした。

 朝食を食べ終えて居間の椅子に座ってお茶をもらえば、まだ眠り足りないのでしたが、洗面を終えたら着替えを済ませる。動かないでいるとずっとそのままの恰好で座り続けてしまいそうなのです。雨が少し小降りになっので、お袋様に電話をして迎えに行く。この雨では農家も野菜を持ってこないのではと話ながら、農産物直売所に出掛ければ、知り合いの農家の夫婦が葉物や大根を運んで来た。実に真面目なご夫婦だと二人で感心するのでした。

 小学校や女子大の桜を眺めながら隣町のスーパーに出掛ければ、雨だから人は少ないかと思ったら、意外なほど混んでいるではありませんか。後で女将に言ったら、今日は新聞の広告が入っていたのだとか。お袋様を家まで送り蕎麦屋に戻って、仕入れた荷物の袋を5つ車から厨房に運ぶ。夕べのプールの帰りに質が好いと、地階のスーパーで買って帰ったアスパラやレタスやパイナップルは、既に冷蔵庫に入れてある。家の分の買い物を持って家に戻るのです。

 昼は亭主があんかけの堅焼き蕎麦を作る。女将が肉を切って大粒のミックスベジタブルを解凍してくれていた。左の火口で堅焼き蕎麦を作り、その間に右の火口で肉とミックスベジタブルを炒め、昨日の残りの野菜サラダ二人分を入れて、鶏ガラスープの顆粒に塩、砂糖、胡椒を加えたら水を入れてぐつぐつと煮るのです。戻しておいたキクラゲと鶉の卵を入れたら、水溶き片栗粉を加えてまた煮込む。カリッと仕上がった焼きそばを皿に盛ってあんかけをかける。

 夫婦で満腹になったら、亭主は居間の椅子に座って一休み。書斎で横になったけれど、今日は何故か眠れないのです。女将のスポーツクラブの予約を取り終えたら、蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みを開始するのでした。午前中に作ったカレーを冷ましておいたから、ジブロックに詰めて冷凍する。塩漬けしてあった大根も柔らかくなって水が上がったので、唐辛子を輪切りにして、刻み柚子と砂糖と甘酒の素を加えてかき混ぜ、冷蔵庫で保存するのでした。

 3時前に仕事を終えて、西の町のホームセンターまで、月に一度の買い出しに出掛ける。なくなってきた天削げの割り箸を100本の袋を二つ買って、ラップや消毒液、ペーパータオルを買って、来た道を戻るのでした。あちこちで桜の花がもう散っているから驚いたのです。休耕田の向こうに雲のように続く桜の花がとても見事なのでした。夜は純和風のおかずで一献。すべて蕎麦屋の残りものだけれど、女将のアレンジで美味しくいただくのでした。