2024年1月中旬



1月12日 金曜日 外は氷点下の朝でしたが…

 寒さで目覚める朝なのでした。居間の部屋に行って石油ストーブで暖まる。6時を過ぎたら蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物の片付けをしたり、洗濯物を干したりと、朝飯前のひと仕事を済ませて家に戻る。車外温度は久し振りに氷点下。暖かい冬だから尚更のこと寒く感じるのです。昨日の夜に「明日の朝はマグロの手巻き寿司が好いか、銀だらの煮付けが好いか」と女将に聞かれたけれど、どちらでも好いと応えておいたのです。寒いからやはり煮物が好い。

 朝食が10分遅かったので、食後のひと眠りも短かった。ウトウトと身体が休まったという感覚なのでした。洗面と着替えを済ませて9時前には玄関を出る。陽射しが暖かくてこんなに嬉しいことはない。庭の金柑も女将が採るのをやめたら、高い枝の先などには、まだ随分残っているのがよく判った。本当に今年は豊作なのでした。空気は冷たいけれど、昼は暖かくなると言うから、手袋をしていくほどでもない。蕎麦屋までひと歩きなのです。

 看板と幟を出して、チェーンポールを降ろして歩いたら、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。生舟に昨日の蕎麦が半分だけ残っていたから、今朝は500gだけ打つことにしました。昼は暖かくなるとは言っても、朝の寒さでお客は少ないだろうと思われるのです。均等な幅で5束を打ったら、残り80gほどが端切れとなる、これを綺麗に切れば大盛りの時にも使えるけれど、どうしても最後は雑になってしまう。自分で食べるしかないのです。

 昼を過ぎてやっとお客が入り、カウンターに座って「何がお薦めですか?」と聞かれたから、「天せいろを頼まれるお客が多いですね」と応える亭主。天せいろを注文して「ああ、美味しかった。幸せな気分」と言って帰られた。閉店時間まで待っても、彼女が今日唯一のお客なのでした。気温も上がって、陽射しも暖かいのに、やはり朝の寒さが響いたのか。野菜サラダも金柑大福も全部売れ残ったから、亭主のショックは否めない。明日に期待するだけです。

 かき揚げを揚げて端切れを含めて大盛りの賄い蕎麦を茹で、一人美味しいぶっかけ蕎麦を食べる亭主。こんなに美味しい蕎麦なのにと、一人で思うけれど詮方なし。早めに女将のいない家に帰って、夜のプールに備えて昼寝をするのでした。女将の夕食をおかずを作って、大盛りを食べて腹が一杯な亭主は、そのままプールに出掛ける。三日連続で泳ぐのは最近では珍しいのです。身体が慣れてきているから、かなり軽く泳げるのでした。今夜は熟睡できるか。



1月13日 土曜日 午前中は陽が差していたけれど…

 早朝から不安定な天気なのかと思っていたけれど、今日の午前中は晴れて陽射しがあったのです。朝飯前のひと仕事に蕎麦屋に出掛け、昨日の洗い物を片付けて、エアコンの暖房を入れてくる。家に戻れば、ぷーんと酢飯の匂いが漂って、魚が切れたからと朝はマグロの手巻き寿司なのでした。随分と贅沢な朝食です。今朝は3時起きだったから、食後は書斎に入って、ぐっすりと1時間も眠ってしまった。夜のプールの後はいつも熟睡するのです。

 手袋を付けて朝の蕎麦屋までの道を歩けば、昇っているはずの太陽も雲に覆われて光が弱い。午前中は晴れて午後から天気は崩れるという予報だったけれど、蕎麦屋の営業にどう影響するのかが心配なのでした。蕎麦屋に入ろうとしたら、軽トラックから降りて来た若者が「○○農園と申します。今度、前の畑を借りて薩摩芋を作るので宜しくお願いします」と丁寧に挨拶をされるのでした。「宜しくお願いします」と応えて、店の中に入る亭主。

 いつもの通り幟を出したら、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。昨日の蕎麦が残っていたから、今朝も500gだけの追い打ちで、12食分の蕎麦を生舟に並べるのです。農園の若者たちは、朝から昼まで土作りに精を出している。女将がやって来て、買い物に行く通りにある店が撤退するらしいと話をするのでした。お客が減って家賃も馬鹿にならないから、店を閉めるのだろうと二人で話をする。亭も店を借りていればとっくに閉めているのです。

 外は昼になっても10℃は越えない寒さでしたが、陽射しがあったので、ポロポロとお客が入る。最初のお客は二週間に一度はいらっしゃるカレーうどんの小父さんご夫婦で、奥様は今日はキノコ付け蕎麦を頼まれた。作っている間に、老人が一人カウンターの奥に入って、熱燗と天麩羅の盛り合わせと鴨葱焼きをご注文なのでした。聞けば、開業当初にいらっしたお客らしく、もう90歳近いのです。車にはねられて正月は入院してたとかで、杖をついていらっした。

 1時を過ぎて完全防寒の姿で、駅前のマンションから常連さんが歩いていらっしゃる。亭主と同世代らしいけれど、来る度に老けたなと思うのですが、こちらも年を取ってきているから、お互いに聞こえなかったりで面白い。ビールや焼酎の蕎麦湯割りを頼まれて、白エビのかき揚げと赤いかの天麩羅をご注文で、辛味大根はお替わりをする。最後にせいろ蕎麦を食べて、少し足元が不安げだったけれど、寒い中をまた歩いて2キロほど帰るのでした。

 今日は夜の防犯パトロールがある日だったけれど、もの凄い雷の音で昼寝から目覚めて、外を見れば雨が降っていた。台所に来た女将が「今日は寒いから野菜サラダを食べたくないわ」と言うので、ホウレン草と豚のバラ肉で常夜鍋にするのでした。鶏の手羽元を焼いて酒のつまみにして、夜のパトロールがないのを嬉しく思った。途中から予報通りに雪に変わって、書斎の窓の障子を開ければ、冷気がスーッと部屋中に広がるのです。明朝も冷たい朝になりそう。



1月14日 日曜日 昨夜の雪が残った朝でしたが…

 夕べは雪になったので、朝方もかなり冷え込んで、居間の部屋も6℃まで室温が下がった。エアコンの暖房を点けても石油ストーブを焚いても、なかなか暖まらなかったのです。コーヒーを入れて暖まりながら、テレビのニュースを見てから蕎麦屋に出掛ける亭主。今朝の朝飯前のひと仕事は、白菜のお新香を切り分けて小鉢に盛り付け、大根のなた漬けも小鉢に盛っておくこと。昨日の洗い物を片付けたら、外が明るくなってきたので写真を撮っておくのです。

 団地の中のコンクリートの道路ではそんなでもなかったのに、畑は真っ白な雪に覆われていました。雪で白くなるのは今年始めて。例年、センター試験の頃には雪が降るのですが、今年は暖かかったせいか、佐倉では珍しかったのです。7時前に家に戻って、朝ご飯のおかずを亭主が作る。女将に話したら「今朝は寒いから鮪は食べたくない」と言うので、昨日店で残った野菜サラダに肉を入れて、あんかけ煮にしたのです。熱々のうま煮が惜しいのでした。

 朝の9時でも気温は1℃だから、相当に寒い朝なのでした。熱い味噌汁の若布が薫る。亭主はあんかけをご飯にかけて中華丼にしたかったけれど、女将は中華と名の付くものがあまり好きではないので、中華の皿に盛り付けてスプーンでやはりご飯にかけて食べる。昔、二人で中国を旅したときの印象が悪かったからなのだろうか。娘が大学の頃、中国人の友だちを連れて来たときには、とても真面目な子だと褒めていたけれど、食の世界ではまた別物なのかも。

 ひと眠りして蕎麦屋に出掛ける頃には、明るくなっていたので、団地の家々の屋根に雪が残っているのが見えました。陽の当たらない道路にも雪が残っていたのです。だから、寒さはいつもより強くて、亭主は毛糸の帽子を被り、皮の手袋をして出掛けるのでした。蕎麦屋に着いて幟を立てる頃には、まだ白い雪が畑に残っていたけれど、じきに溶けて地面が現れる。向かいの畑を借りたという農園の男性達が、日曜日の今日も朝から土作りの仕事をしていました。

 蕎麦打ち室は13℃まで室温が上がったけれど、今日の寒さだからなかなか暖かくはならない。同じ加水率でも捏ねるのにいつもより時間がかかるのです。今日も500gだけ打って、昨日の残りと合わせて12食の蕎麦を用意しました。昨今は10人を越えるお客が来るのも珍しいから、かつての賑わいはないのが寂しい。駅前からの大通りの店屋が撤退するわけだ。小さな店は潰れてはまた新しい店が出来るというのを繰り返しているらしいのです。

 野菜サラダもいつもと同じ三皿を盛り付け、暖簾を出せば、今日はこの寒さにも関わらず、昼前に四人もお客がいらっした。最初のお客は男性お一人で、カウンターに座って天せいろを頼まれた。亭主と同じ年頃なのか、台湾の総統選挙の話が出て、日本の将来に不安を持っているようなのでした。年寄りがいくら心配しても、未来は現在の若者達が築くものだと、同じような考えを抱いているからほっとした亭主。喧嘩をしたことがなくても仲良く出来るのかも。

 リピーターの三人家族がいらっして、おろし蕎麦に暖かいぶっかけ蕎麦、キノコ付け蕎麦をご注文。皆さんが帰ってから、歩いていらっした年配のご夫婦がご来店で、天せいろと温かいぶっかけ蕎麦の大盛りを頼まれる。昼を過ぎてだいぶ気温も上がったようなのでした。閉店間際に大きなトラックに乗った若者が、天せいろの大盛りを頼まれた。思った以上にお客が来たのは嬉しかった。家に帰って、大相撲が終わったら蕎麦屋に出掛けて出汁を取るのでした。



1月15日 月曜日 冷たい風の吹く一日でした…

 今朝も4時半起床。外が明るくなるまで、テレビでアランドロンとジャンポールベルモントの映画を観ていた。二人とも年を取ってからの作品らしく、なかなか味のある映画なのでした。日の出前に蕎麦屋に着いて、エアコンの暖房を入れたら、カウンターに干した昨日の洗い物を片付け、冷蔵庫から糠床を出して、お新香を取り出すのです。7鉢だけ盛り付けて、足らなければまだなた漬けがあるからと思って、9鉢だけ用意しておくのでした。

 今朝は気温は昨日よりも高かったので、朝のご飯は鮪の手巻き寿司。魚がなくなったからと女将が言う。それにしてもちょっと鮪が多すぎる。夜にでも酒の肴にして食べるからと、半分残して冷蔵庫に入れておく。解凍したら早く食べないといけないと、女将は思ったらしいのです。金平牛蒡やひじきの煮物もあったから、栄養は十分に摂れている。早めに食事を終えて亭主は書斎に入ってひと眠りするのでした。朝が早いとどうしても眠くなるのです。

 今朝は蕎麦粉が届く日だから、普段よりも早くに家を出て蕎麦打ち室に入る。いつもと同じ加水率で今日も500gだけ打って、135gの蕎麦の束を5つと半分生舟に並べるのです。昨日の残った蕎麦と合わせて10人分を用意しました。平日だとそんなにお客は来るはずもないのだけれど、蕎麦があればとにかく安心なのです。外は冷たい風が吹く寒い朝なのでした。蕎麦打ちを終えたら、金柑大福を包んで、昨日なくなった天麩羅の具材を切り分けたり、何かと忙しい。

 開店10分前に準備が整って暖簾を出す。そんなに早くお客が来るはずもないのに、これが蕎麦屋の宿命なのです。昼過ぎに自転車に乗った女性のリピーターがいらっして、カウンターの隅に座り、せいろ蕎麦の大盛りを頼まれる。今日はこのお客一人だけでした。かき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べたら片付けに入る。月曜日は持って帰る食材の支度や、洗う容器も多いのです。2時半には店を出て、家に帰ってひと眠り。大相撲が終わったら夜のプールに出掛ける。



1月16日 火曜日 冷たい風がとても強かった一日です…

 定休日でもいつもの習慣で午前5時前には目が覚める。外が薄明るくなるのを待って蕎麦屋に出掛け、昨日の洗い物の後片づけや、 今日の仕入れの準備をするのです。仕入れる食材は、昨日のうちにプリントしてあるのですが、もう一度忘れているものがないかと、冷蔵庫や膝下の戸棚を見て確認しておきます。7時になる前に家に戻って朝食の出来るのを待つ。今朝は昨日食べ損なったマグロの手巻き寿司だったから、美味しくいただいたのです。

 食後は例によって書斎に入ってひと眠りでしたが、20分ほど横になって身体を休めた程度の浅い眠りなのでした。お袋様に電話をして、店の残りものを家まで届けたら、そのまま一緒に仕入れに出掛ける。風がとても冷たい朝なのでした。店に戻って野菜を冷蔵庫に収納したら、大根のなた漬けの仕込みをして、白菜を塩で漬け込むのです。今日はゴミ回収の業者が来る日だから、生ゴミと昨日のうちに固めた油を袋に入れて、外のゴミ箱に溜めておくのでした。

 昼は昨日残った蕎麦を茹でてとろろ蕎麦を食べる。大盛りで食べているのに、天麩羅がないと、どうしても直ぐに腹が減るような気がするのでした。食後は書斎に入って今度はゆっくりと昼寝をするのです。女将のスポーツクラブの予約の時間前に目を覚まして、無事に予約を済ませる。女将にスマホの使い方を教えているのだけれど、なかなか自分で予約をするまでには自信がないらしい。亭主にやってもらえば楽だからという安心感があるのかも知れない。

 午後の仕込みに蕎麦屋に行けば、午前中にレンジ周りの掃除をしようと振りかけた重曹がそのままになっている。大釜には天麩羅鍋を入れて、これも重曹を入れて沸かしておいたけれど、もう少し沸かした方が好い。キノコ汁の食材を切って、鶏肉から出汁を取り、何種類ものキノコを入れていく。冷凍しておく分をタッパに入れたら、後は小さな鍋に移して冷蔵庫に入れる。夜は早くから大相撲を観るのだけれど、顔も知らない力士が半分なのでした。



1月17日 水曜日 今朝も6時過ぎには家を出て…

 今朝は6時過ぎに蕎麦屋に出掛けました。風もなく空は晴れ渡って、これからが放射冷却で気温の下がる時間帯なのです。蕎麦屋のエアコンで暖房を入れて、昨日浸けておいた白菜の水が上がっていたので、漬け物器に漬け直します。朝採りの新鮮な野菜は、漬け物にも絶大な影響を与えるから、食べてみれば甘く、これなら美味しい漬け物が出来ると確信するのでした。家に帰れば女将が今日は寝坊してしまったと慌てているから、亭主が朝飯のおかずを作る。

 前の日に冷蔵庫の中を見てから寝るから、だいたい今朝のおかずは蕎麦屋で残ったナスとピーマンと玉葱の味噌焼きだろうと思っていたのです。女将のナス焼きとは違って、亭主は肉と玉葱と人参、ナスとピーマンを炒めたら、焼き肉のタレで味付けして、水溶き片栗粉でとろみを付けるのです。寒い時期には熱々の野菜煮が美味しいし、色つやも好いのが美味しそう。遅れて台所に入った女将が味噌汁を作る前に、もう亭主はご飯を食べ始めているのでした。

 食後は例によって書斎でひと眠りするのですが、やはりウトウトするだけで熟睡出来ない。洗面と着替えを済ませ、蕎麦屋に出掛けて、漬け直したお新香を小鉢に盛り付けるのでした。ついでに、大根のなた漬けも三鉢だけ盛り付けておきます。全部で9鉢。明日のお客はどれだけ来るかは判らないけれど、蕎麦は8食しか打たないと決めているので、それ以上は小鉢も出ないのです。この寒い時期では、最近はお客は少ないから、多分大丈夫なのです。

 昼の時間までは間があったので、洗濯機に入れたままの洗い物を干して、店の扉の鍵を閉める。車に乗ろうとすれば、蕎麦屋の屋根裏に巣を作っているらしい雀が、二羽だけ紅葉の枝の上の電線に止まっているではありませんか。寒いからか身体の毛を立てて、何を話しているのやら。空は雲ひとつない青空で、陽射しは暖かいのです。家に戻れば、まだ女将は買い物から帰っていなかった。彼女の買い物は、往復3㎞ほど歩いて身体を温めるという手段なのです。

 昼は月曜日に打って残った蕎麦を茹で、とろろ芋を添えて食べるのです。亭主は大盛りにして食べたから、さすがに腹一杯になったのです。食後は例によって書斎でひと眠り。女将がスポーツクラブに出掛けている間に目覚めて、テレビで映画を観る。これが最近の水曜日の過ごし方。女将が帰ったら蕎麦屋に出掛けて、天麩羅の具材の仕込みをする。傍らでは、昼前から仕込んでいた白餡を煮詰めて、後ろのレンジでは天麩羅鍋を大釜に入れて掃除している。

 蕎麦徳利に蕎麦汁を詰め、4時過ぎにすべての仕事が終わって、夜は防犯パトロールがあるから、早めに家に帰って夕食を食べておかなくてはいけない。夕食を食べて集合場所に出掛ければ、元気な老人達の後について、今日もまた途中から足を引きずりながら歩く亭主。どうも歩いているうちに疲れて来るとこうなるようだ。自己流のリハビリの効果もあってか、最初は普通に歩けるのですが、まだまだ筋肉が回復していないらしい。あまり気にしないのです。



1月18日 木曜日 予報と違って昼過ぎまで晴れて…

 早朝のテレビで天気予報を見たら、今日は終日曇りというので、あまりテンションも上がらずに、蕎麦屋に出掛けて朝飯前のひと仕事。ところが日の出の時間になると、空にはほとんど雲がなく、家に戻れば、女将が9時間では晴れに変わったと言う。朝食を食べて再び蕎麦屋に出掛け、まずはレンジ周りの掃除をする。昨日のうちに振りかけておいた重曹にお湯を注いで、しばらく置いてから金タワシで軽く擦って雑巾で拭いていけば、新品のように綺麗になる。

 蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打ち始めれば、まずは伸し棒を二本使って60cmの幅で80cmほど伸ばして、これを横にしてまた伸していくのです。90cm近くまで伸したら、畳んで包丁切りです。140gでひと束にして、8束取ったら生舟に入れて冷蔵庫にしまう。天気が悪くなると言うから、あまりお客も来ないだろうと、今日は750gまでしか打たなかったのです。ところが、暖簾を出したら、昼前に4人連れのお客がいらっして、最初から大変なのでした。

 蕎麦は打ち立てだから自信があったけれど、金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻みながら、薬味の葱切り、生姜と大根をおろしているうちに、どんどん時間は過ぎていく。テーブルを拭いて回って、やっと11時半に暖簾を出す始末。それでも女将が早くから来てくれたから、お客が来る頃には、もうスタンバイ出来た。新しい油で揚げた天せいろや、作ったばかりの野菜サラダや蕎麦豆腐、金柑大福が出て、開店過ぎから忙しい時間となりました。

 橋の向こうの常連さんが、何時の間にかカウンターに座っているではありませんか。4人のお客が注文した蕎麦を出し終えてから、やっと辛味大根をするのでした。せいろ蕎麦も大盛りのご注文だから、生舟に残ったのはあと2.5人分の蕎麦だけなのでした。朝の天気予報を信じたばかりに、とんだ目にあったかと思えば、それ以後はもうお客が来なかったのです。それでも、閉店直前までは、賄い蕎麦は食べられない。1時半を過ぎてやっと遅い昼飯にありついた。

 ヘルシーランチセットを頼んだ四人連れのご主人が、デザートの金柑大福を「四つに切ってくれ」と言うから、それはちょと難しいと応えたら、奥様が「二つに切ればいいわよ」と救いの声。中に包んだ金柑を入れて二つに切るならまだしも、四つに切るのは至難の業なのです。「もう一つ頼めば好いのにね」とは客が帰ってからの女将の言葉なのでした。天せいろやキノコ付け蕎麦でお腹が一杯になったから、一口味見に食べれば好かったのでしょう。



1月19日 金曜日 5年振りのお客様がいらっして…

 夕べは深夜までテレビで映画を観てしまったので、今朝は6時半まで起きられなかった。『ジェイソン・ボーン』シリーズの続編という解説だったから、どうせ見たことがある物だろうと思ったら、初めて見る映画なのでした。久し振りに初めて見る作品に、興奮してなかなか寝付かれなかった。食堂に行けばもう女将が朝食を用意してくれていて、銀ダラの煮付けで美味しくいただくのでした。まだ沢山実のなっている庭の金柑を見ながら蕎麦屋に出掛ける。

 今朝の蕎麦打ちはいつもと同じ46%の加水で、無事に8束を打って生舟に並べる。昨日の残りの1束と合わせて、今朝は9束の蕎麦を用意しました。天気予報と違って朝から晴れていたから、もしかするとお客が来るかも知れないと思ったけれど、昼を過ぎるまで、誰もお客は来なかったのです。やっといらっした老夫婦が天せいろを頼まれて、ご主人が「蕎麦をもう一枚もらえますか」とおっしゃるので「食べてから直ぐに茹でますよ」と言って様子を見る。

 結局、奥様が食べきれずにご主人が蕎麦を半分もらって食べていたのです。天麩羅も今日は具材がちょっと大きめなのでした。とても美味しい蕎麦だとおっしゃって、蕎麦湯まで綺麗に飲み干して帰られた。1時過ぎになって、随分と久し振りのお客がご夫婦でいらっしゃる。以前は経営する会社の若者達とよくご来店されていたけれど、コロナ禍の時期に大病を患ったのだとか。初めてご来店の奥様も朝から何も食べていないと、お二人とも大盛りを頼まれた。

 天せいろのヘルシーランチセットと、天せいろの大盛りのご注文で、白エビのかき揚げと赤いかの天麩羅を追加で頼まれる。店も閉店の時間に近かったから、残れば家に持ち帰らなければならない、野菜サラダとデザートの金柑大福を奥様にサービスしたのです。仕事は忙しいらしく、人手が足らないとおっしゃるから、「好いことじゃないですか」と言えば、単価の安い仕事ばかりで大変なのだとか。綺麗に食べ終えて、また来ますと言って帰って行かれた。

 閉店の時刻を過ぎていたから、取りあえず幟と看板をしまって、カウンターに盆を下げ、亭主は賄い蕎麦を茹でて食べる。せいろをもう一枚と言ったご主人のために、用意しておいた盆と蕎麦皿をそのまま使ってたまには違った気分。洗い物をすっかり片付けて、明日の天麩羅の具材を切り分け、家に戻ったのは4時近かったのでした。腹も減っていないから、女将には先に食べていてと言って、ひと眠りする。夕食を食べる前に夜のプールでひと泳ぎするのです。