2024年1月上旬




1月6日 土曜日 朝は寒く昼は気温が上がったけれど…

 朝は寒くて蕎麦屋に出掛ける気にもならない。蕎麦はあまり残っていないから、今朝はまた9食分打っておこうと考えた。でも、もたもたしていたら、家を出るのが9時を過ぎてしまったから、今日はちょっと忙しい。9時過ぎの太陽は随分と低い位置にある。空気はまだ冷たいけれど、陽射しが暖かいので助かるのです。蕎麦屋に着いて看板と幟を出し、チェーンポールを降ろしたら、早速、蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打つのです。

 800gの蕎麦粉を46%の加水で捏ねていけば、昨日と同じく腕の力がなくなったのかと思うほど、力が入らないから不思議です。それでもなんとか捏ね上げて、厨房で一休み。その間に女将がやって来て忙しく立ち働くから、こちらも刺激されて蕎麦打ち室に戻るのです。奥行き90cmの打ち台では、800gの場合はいつもより5cm広い80cmの幅になるように伸さなくてはならない。部屋がまだ寒いからこれが大変で、何度も伸し棒を往復させて何とか辿り着く。

 暖簾を出せば、昼前にお一人の男性が続けてご来店です。最初の方は橋の向こうの常連さんで、黙っていても亭主は辛味大根をおろして、大盛りのせいろ蕎麦を茹でる。向こうも新聞を棚から持って来て、黙って読んでいるから世話はない。次のお客さんは初めての方らしく、天せいろを頼まれて満足そうに食べていました。どちらも歩いて来たので駐車場には車がないのです。これは集客にはちょっと不都合で、外から見ると客が入っていないと思われる。

 長い待ちの時間を過ぎて、1時半になろうかという頃に、やっと車が入ってきて、またお一人の男性がカウンターに座る。天せいろ大盛りを頼まれて、黙々と食べて行かれた。珍しく今日は男性客ばかりなのでした。2時過ぎに女将と蕎麦屋を出て、家に帰って林檎を剥いてもらう。亭主がウトウトしながらテレビで映画を観ている間に、女将は買い物に出掛けたらしい。夕暮れ時の富士が見えるのではないかと、二階の出窓に出てみれば夕靄の中にシルエット。



1月7日 日曜日 朝から寒い一日でした…

 今朝はお新香を漬けてあったから、5時に家を出て蕎麦屋に出掛ける。昨日の洗い物を片付けてお新香を切り分け、小鉢に盛り付けたら、蕎麦徳利に蕎麦汁を補充しておくのです。6時前には家に戻って、もう一度布団に潜り込む。7時過ぎに女将が起こしに来てくれたから、無事に朝食を食べることが出来ました。外が朝日で眩しかったから、今日は晴れるのかと思っていたら、再び蕎麦屋に出掛けるときには、もう雲が一面に空を覆っていたのです。

 北から吹いてくる風は冷たく、今朝はマフラーと手袋をして出掛ける亭主。店の中は早朝にエアコンを入れてあったので、蕎麦打ちを始めたらもう暑くなってきた。セーターを脱いで長袖シャツの腕をまくり上げて、今日も蕎麦を打つ亭主。加水率はいつもと同じく46%で、今日は500gだけだったから、軽く捏ねていけるのでした。やはり粉の量が多いと重くて腕の力が要るのでしょう。綺麗に伸し上げて畳み、均等な太さで140gずつ計って切っていくのです。

 金柑大福は昨日作ったものが今日も出せる。悪くなるものではないけれど、三日目になると表面が少し硬くなることがあるので、お客には出さない。だいたい二日目で残れば、家に持って帰ってお茶を入れて食べるのです。だから今日はいきなり野菜サラダの具材を刻み始める。人参が薄くスライスできたので、ジュリエンヌも細く仕上がった。包丁の切れ味ばかりではなく、人参の質にも寄るのかも知れない。新鮮なものの程切りやすいのは何でも同じです。

 今日のお客は皆さん初めての方ばかりで、最初に来た男性は、ヘルシーランチセットにキスと赤いかの天麩羅を追加して、仕事が終わって美味しい物を食べたら満足できたと、綺麗に蕎麦湯まで飲んで帰られた。次もその次も男性一人のお客で、天せいろにせいろ蕎麦の大盛りのご注文。一人に蕎麦を茹でて出せば、また一人来るという具合なのでした。カウンターに座った高齢の男性も、蕎麦が美味しかったと、綺麗に蕎麦湯を飲み干して帰られたのです。

 外は相変わらず雲が多かったけれど、時折、陽が差して青空が覗く程度。外気温は10℃しかなかったのです。最後にいらっしたのは少し若いカップルで、おろし蕎麦の大盛りとせいろ蕎麦をご注文。デザートの金柑大福も頼まれたから、少し物足りなかったのか。2時過ぎには洗い物も終わって、女将と一緒に蕎麦屋を出るのです。夕食は鰻と決めていたから、今日は珍しく酒を飲まずにご飯を食べた。風呂上がりに焼酎でも飲むとしようか。



1月8日 月曜日 昨日よりも更に北風の冷たい日だったけれど…

 午前6時半、まだ陽は昇らない。蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物を片付け、エアコンを入れてくる。外は氷点下の寒さだから、暖めておかないと朝食後に来た時に動けない。家に帰れば女将が先日の蟹雑炊に味をしめて、家にあった蟹の缶詰を開け、雑炊にしたのだけれどこれが美味しくない。フレーク状の蟹は添加物が入っているから、温めることでその匂いが出てしまうらしい。亭主の作った残り物の野菜サラダのあんかけの方が美味しかったのです。

 食後は書斎に入って20分ほど横になったけれど、ウトウトするばかりで時間が気になってぐっすり眠れなかった。蕎麦打ちと今朝は金柑大福を作らなければならないので、少し早い時間に出掛けなければならなかった。毛糸の帽子をかぶり、マフラーをして、ポケットには革の手袋を入れて蕎麦屋に向かう。空は青く晴れて雲一つない。蕎麦屋に着いて温度計を見れば、まだ14℃にしかなっていなかった。外がいかに寒い日なのかがよく判るのです。

 今朝も昨日打った蕎麦が残っていたから、500gだけ打つことにして、いつもと同じ46%の加水で捏ねていけば、好い感じで蕎麦玉が出来て、ビニール袋に入れて寝かせている間に、厨房に戻って大根をおろす。再び蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打てば、140gで5束半取れた。昨日の蕎麦と合わせて11食半の用意です。成人の日で休日だからとは思ったけれど、北風も吹いて来てこの寒さでは、あまり期待ができない。厨房に戻って金柑大福を包む。

 最近はあまり金柑大福が出ないので、今日は三皿だけ用意しました。野菜サラダも二皿にしようかと思ったけれど、いつもと同じがいいんじゃない?と女将に言われて三皿用意した。結果として、金柑大福は売り切れて、サラダは一皿残ってしまった。思いの外お客がいらっして、正月以来一番の賑わいなのでした。1時半には売り切れの看板を出す。外は8℃だから昨日よりも寒いのに、三連休の最後の日に混むとは女将も亭主も思っていなかったのです。

 洗い物を終えて2時半には蕎麦屋を出る。家に帰ってもこの時期は蜜柑しか果物がない。パソコンに今日のデータを入力したら、亭主は昼寝を決め込む。女将はその間に買い物に出掛けるのです。4時過ぎに目覚めて今で一服していたら、女将が帰ってきた。今日は寒いからスーパーも人が少なかったと言う。肉を切ってもらって、亭主が残った野菜サラダを使ってお好み焼きを作る。肉と野菜を取れるから、女将も嫌ではないらしいのです。



1月9日 火曜日 空気は冷たく陽射しは暖かく…

 休みの日だというのに毎日の習慣は恐ろしい。今朝も午前5時前に目が覚めて、最近続いている5時間ほどの睡眠なのでした。6時までは居間でテレビを観たりコーヒーを飲んだりして時間を潰す。辺りが明るくなったら車を出して蕎麦屋に出掛け、昨日の洗い物の片付けをする。家に戻れば女将が朝ご飯の支度をしている。今朝はマグロのたたきと酢飯を海苔で巻いて、手巻き寿司と洒落ていた。正月用にいろいろ買ったけれど、二人の生活では食べきれない。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

 食後は書斎に入ってひと眠りしたら、お袋様に電話をして迎えに行く。農産物直売所では顔見知りの農家の夫婦に挨拶をして、採ったばかりの大根や白菜をもらう。生椎茸も新鮮なものが入っていたから3パックももらって帰る。隣町のスーパーに出掛けて、ほとんどの食材が手に入ったけれど、アスパラガスはもう萎びたようなものしかなかったので、後で何処かで手に入れなければ。空気は冷たいけれど陽射しがあるので、車の中は暖かいのです。

 蕎麦屋に戻って野菜類を冷蔵庫に収納したら、まずは一年ぶりで白菜の漬け物を漬ける。上手く出来るかどうか判らないので、取りあえず今日は四分の一だけ買って帰ったのです。そして大根のなた漬けの準備に、大根を小さく切って塩で漬けておきました。新鮮だから午後には本漬けが出来るでしょう。朝のうちに作っておいた蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めて、午前中の仕込みは終わりです。家に帰ってパソコンに向かい、今日仕入れた物の値段を入力する。

 昼は昨日残った蕎麦を茹でてとろろ蕎麦を食べる。なた漬けの残りもすべて蕎麦屋で出したもの。寒い日は蕎麦を食べたくないと言う女将は、歩いて買い物に出掛けて身体が温まっているかから、文句も言わずに蕎麦を啜っている。亭主は蕎麦湯までしっかりと飲んで美味しかったと満足するのです。食後は書斎に入ってひと眠りしようと横になったけれど、一向に眠れずにまた居間に戻ってくる。女将のスポーツクラブの予約が済むまでは動けないのです。

 2時過ぎに予約が取れて、亭主は蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みに入るのです。水の上がった大根は甘酒の素と砂糖を入れて、刻み柚子と唐辛子の輪切りを加えて冷蔵庫に入れておきます。白菜はまだ十分に水が上がっていないので、漬け物器の蓋を開けて中身をひっくり返し、昆布と刻み柚子と唐辛子を入れてまた浸けておく。蓮根の皮を剥いて輪切りにして、南瓜を切り分けてレンジでチーンする。そして、二番出汁で天つゆと温かい汁を作っておくのです。

 4時過ぎに家に戻って居間で休んでいたら、女将が台所で鰯を捌き始めた。そろそろ夕食の支度かと、亭主は昨日残った野菜サラダと肉であんかけを作る。油で炒めて水から煮たら、塩と胡椒と砂糖を入れて、片栗粉でとろみを付ける。寒い日にはこれが案外と美味しいのです。炒め鱠は女将の作り置き。鰯が新鮮だったから、これで十分に美味しい夕食なのでした。明朝はマイナス3度まで気温が下がると言うから、今夜は冷えそうです。



1月10日 水曜日 昨日よりも寒い朝でした…

 夕べも11時過ぎまで起きていたけれど、朝は寒くてなかなか起きられなかったのです。お蔭で暖かいとこの中で6時過ぎまで眠れたから好かった。朝食は久し振りにシジミの味噌汁で、鰺が焼かれていた。食後はさすがに眠くはならなかったので、女将が朝ドラを見ている間に、ガソリンスタンドに行って灯油を買い、ドラッグストアに行って頼まれていたトイレットペーパーを買ってくる。なんと灯油は一缶2000円を越えていたから驚いたのです。

 車の外気温度計は3℃のままで、家に帰る頃には2℃まで下がった。寒い朝なのでした。もう少し暖かくなるまでと、居間の椅子に座ったままインド映画を見始めた。長い映画の前半を見たことがなかったので、10時前まで見たところで椅子から立ち上がって蕎麦屋に出掛ける。午前中の仕込みは、水の上がった白菜の漬け物を昆布や柚木切りを入れて漬け直し、キノコ汁を仕込んで、鴨せいろに使う小松菜を茹でて冷凍しておくこと。

 家に戻って冷蔵庫に残っていた野菜を使って湯麺を茹でる。この間作っておいた餃子も焼いて、亭主好みの中華。寒い日だから女将も嫌がらずに、「身体が温まったわ」と喜んでくれた。食堂も石油ストーブを焚いて足元を暖めなければならないほど寒いのです。食べ終えて一時間もしないうちに、女将はもうスポーツクラブに出掛ける。亭主は居間でまったりとしながら、午後の仕込みについて考えている。お新香は漬けたからぬか漬けは必要ないのか…。

 3時過ぎに女将が帰ったところで、やっと重い腰を上げて蕎麦屋に出掛ける。大根のなた漬けと白菜の漬け物を小鉢に盛り付けて、天麩羅の具材を切り分けて容器に入れる。先週、正月は市場も休みだからと、余分に仕入れておいた三ツ葉や生椎茸は、半分ほどはもう色が変わって使えないのでした。やはり新しくないと何でも駄目なのです。5時前に家に帰り、簡単に夕食を済ませて、夜のプールに出掛けていく亭主。ゆっくり泳いで身体も温まるのでした。



1月11日 木曜日 一日中冷蔵庫の中のような気温でした…

 早朝6時前に蕎麦屋に出掛けて、まずはエアコンを入れて、洗濯機に二日も入れたままの洗い物を干す。室内の温度は7℃とかなり寒いのですが、例年、冬場の寒い時期は3℃などということもあるから、今年はかなり暖かいのです。とは言え、身体が暖かい冬に慣れてしまっているから、厳しい寒さに感じるのです。昨日洗った鍋類を片付け、7時前には家に戻る。台所では女将が肉を入れてナスとピーマンの味噌焼きを作っていました。久し振りの茄子焼き。

 早めに朝食を終えて、書斎に入ってひと眠りする亭主。定休日明けの今日はやることが沢山あるから、ゆっくりとは眠っていられない。朝ドラの終わる時間に目が覚めて、洗面と着替えを済ませて、家を出るのです。蕎麦屋は暖房を入れておいたから暖かく、看板と幟を出してチェーンポールを降ろしたら、直ぐに蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。一日中曇りで気温の上がらないという予報だったから、今日は750g八人分の蕎麦を打ってお終いです。

 暖冬とは言え、この寒さでは到底、お客の来るようには思えなかったのです。それでも、金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻んで、いつもと同じように三皿ずつ用意しておきます。生姜と大根をすりおろして、薬味の葱を刻んだら、天麩羅鍋に油を入れる。もう11時を過ぎていたから、天つゆを温めて、四つのポットに大釜で沸いた湯を入れる。木曜日は女将が来るのが遅い日だから、テーブルをアルコール除菌液で拭いて回るのも亭主の仕事です。

 女将が来てくれた時間には、お客は誰もいなかった。昼を過ぎて男性客が一人カウンターの隅に座って、温かい汁の天麩羅うどんを頼まれる。折角、蕎麦を打ったのに、最初のお客がうどんとはがっくりとするけれど、大切な一人なのです。続けて橋の向こうの常連さんがいらっして、本箱の上にある新聞を取ってカウンターに座るから、女将が「いつものですね」と断って、亭主は辛味大根を擦り始める。せいろ蕎麦の大盛りを茹でてお出しするのでした。

 今日はこれで終わりかと思ったら、病院の帰りだと言う父親と娘がテーブル席に座って、天せいろとキノコ付け蕎麦を頼まれる。最近はあまりキノコ蕎麦が出ないけれど、作っておいて好かった。この寒い日にお客が来てくれたのは有り難い事なのです。人通りの多い場所ではないので、美味い蕎麦を食べたいと思って来てくれるお客だけが頼り。2時には洗い物を終えて家に帰る。早めの夕食を終えて、亭主は二日続けてプールに出掛けるのでした。業者の若者がコロナに罹ったと連絡があって、今日は思わず泳いだのです。