2023年11月下旬



11月20日 月曜日 晴れて風の強い一日でしたが…

 夕べも風呂から出て、9時にはもう眠くなったので床に入った。そして今朝の5時まで目が覚めなかったから、先日の疲れがまだ残っているのだろうか。今朝は蕎麦が生舟に一杯残っていたし、朝飯前のひと仕事もない。クラス会の全体写真が送られて来たから、印刷したついでに、昼のランチ会食のツーショットも印刷して女将に見せるのでした。彼女は朝飯のしたくで忙しいから、その間に早い時間だったけれど、友人にメール添付して送っておきました。

 朝食は亭主の好物である銀ダラの煮付け。薩摩芋と切り昆布の煮物とかお新香は定番のおかず。最近の味噌汁はシメジに油揚げやホウレン草などを入れて栄養補給しているらしい。食後は居間でお茶をもらって、亭主は書斎に入ってひと眠り。今日は蕎麦打ちがないからゆっくりと眠ってしまったのです。8時半に目が覚めて、よくもまあこんなに眠れるものだと自分でも感心するのでした。黄色く色づいてきた金柑を眺めながら、「行って来ま~す」と蕎麦屋へ。

 外は風が強くて、出した幟も飛ばされそうなのです。11時には開店の準備が終わって、テーブルを拭いて回ったていたら、玄関に5人連れのお客が集まっていたので、暖簾を出して中に入ってもらった。11時15分。団地の中の新しい分譲を見に来たご家族らしいのです。天せいろ四つにキノコつけ蕎麦のご注文だったから、二回に分けて天麩羅を揚げ、その間にキノコ汁を温めて次々とお出しする。その間に、もう次のお客がテーブルに座っているから大変です。

 12時前に7人が入ったことになるから平日の新記録。コロナ前はその後もお客が続々と来たものです。お客が少なくなっても、いつも真面目に準備をしておくことが大切なのだと痛感しました。12時過ぎには注文の品を全部出し終えて、用意しておいた天麩羅の具材は全部なくなったのです。やはり天せいろ1200円は安いのだろう。「蕎麦が美味しかった」と言って帰られるご夫婦は、嬉しいね。その後は、最近の傾向でもうお客が来ない。かき揚げを揚げて遅い昼を食べ、片付けを始めて2時半には店を出るのでした。
 家に帰って間もなく、女将がスポーツクラブから帰って来たので、「今日は7人もお客が来たよ」と言えば、「えっ」と驚く。柿を剥いてもらって食べたけれど、さすがに今日はもう眠れないのでした。テレビで大相撲を観ながら、5時には夕食を食べて、6時半になる前にプールに出掛けた。普段の生活のペースに戻さなくてはと、亭主も結構、頑張っているのです。プールで泳ぎ終わって、一階のスーパーで食べ物を沢山仕入れ、夜はまた焼酎を飲むのです。


11月21日 火曜日 穏やかに晴れた日…

 午前6時前、日の出前の蕎麦屋は、まだ寒くて写真を撮るのがやっとです。夕べはプールで少しだけ泳いだから、ぐっすりと眠れて4時半にはもう目が覚めてしまった。コーヒーを一杯飲んで、朝飯前に蕎麦屋に出掛けたら、洗濯物を干したり、カウンターに干してある盆や蕎麦皿を片付けて、今日一日の段取りを考えるのでした。9時からはお袋様と仕入に出かけて、今週の買い物をするのです。7時前に家に戻って、女将の朝食の支度を手伝う。

 それから書斎に入ってひと眠り。最近は一時間は眠ってしまう。お袋様に電話をして迎えに行けば、何時もと変わらず元気にマンションの階段を降りて来る。農産物直売所に出掛ければ、野菜が少し安くなっていた。今朝は蕎麦屋の前の畑にも霜が降りていたから、白菜もそろそろ漬けた方が好いのかとも思ったけれど、糠床を替えたばかりだから、まだぬか漬けを漬けることにしました。知り合いの農家の大根は、今日も大きくて葉の付いているほど新鮮。

 蕎麦屋に戻って野菜類を冷蔵庫に入れたら、まずは大根を切ってなた漬けの準備をする。時計を見ながら駐車場のヤマボウシの剪定を少しだけ始めておくのでした。昼はずっと食べたいと思っていたあんかけ焼きそばを作るので、早めに家に帰れば、買い物から帰った女将がちょうど玄関を入るところなのでした。レンジを強火の設定にして、肉や海老、鶉の卵やキクラゲ、マッシュルームの他に、昨日残ったレタスや野菜サラダを全部入れて、熱々で仕上げる。

 満腹になった後は書斎に入ってひと眠り。女将のスポーツクラブの予約の時間に間に合うように起き出して、無事に予約を済ませたら、蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをするのです。なた漬けを漬け込むのに、柚子の皮を剥いて千切りにして漬け込んだら、途中からやりかけのヤマボウシの剪定を始めて、90㍑のゴミ袋に一杯になるまで木を切り始める。切っても切っても他の木の繁殖が凄いので、気が遠くなるような作業なのです。4時過ぎには家に戻る。

 夕飯にはまだ早いから、書斎に入って減塩醤油の発注など、出来ることを済ませておく。パソコンの前に立てかけてある先日のツーショットやクラス会の写真を眺めながら、また思いに耽るのです。若手の頑張る大相撲も気になって、居間の部屋で食事前から見はじめる。明日は好い夫婦の日だからと、午前中に城址公園に出掛けて年賀状の写真を撮ってこようと女将に言えば、彼女も天気が良いからと承諾してくれた。夜は昨日買って帰った初サンマを食べた。



11月22日 水曜日 穏やかな晴れた日が今日も続き…

 今朝も日の出前に蕎麦屋に出掛けていく。日の出の時刻が遅くなったのか。空は晴れて雲一つないのです。店の中は13℃と寒かったので、エアコンを入れて朝飯前のひと仕事。レンコンの皮を剥いて酢水で茹でている間に、大根を切り分けてレンジでチーンする。細かな作業だけれど、終わらせておくことが大切なのです。今朝は女将と城址公園に出掛けて、年賀状に使う写真を撮ろうと話していたから、午前中にはもう仕込みは出来ないのでした。

 和風にアレンジした卵焼きと納豆で簡単な朝食を済ませたら、亭主は書斎に入ってひと眠りするのです。1時間ほど眠って着替えを済ませたら、女将が居間の部屋にやって来て、亭主の服装をチェックする。去年の写真と同じ恰好では拙かろうという配慮なのです。車で20分ほど走ったら、歴史博物館の表示を右折して、駐車場に入る。平日だからまだ随分と空いていた。モミジもまだあまり紅葉していないから、今年は佐倉も随分と暖かいのでしょう。

 少し紅葉しているモミジの前でまずは一枚写真を撮っておく。遊歩道を歩いて行けば、栴檀の木が実を付けて青空に映えているのでした。足を引きずって歩く亭主を置いて、女将はどんどん先に進んでいく。銀杏並木まで行って、今年はまだあまり散っていないのを確認する。去年よりも好い写真が撮れるかと思ったら、時間が早すぎたのか、光の具合が悪いのでした。まあ、去年もこの場所で撮った写真を使ったから、ボツにすることにしました。

 駐車場への帰り道は、大きな蓮の池を巡る長い土の階段を下りて、また同じ距離を昇らなければならないから、亭主にはかなりきつかったのです。手を引いて欲しいほどだったけれど、女将は後ろを振り向くこともせずに、どんどんと登って行くから冷たい。「横浜まで往復したのだから大丈夫かと思ったわ」と言うのです。確かに今日は3000歩ほどしか歩いていないのでした。体力も落ちているのだろうか。帰りは隣町のスーパーで冷凍の白餡を買って帰る。

 朝食が軽かったから、早めに昼食の用意をして、今日は買って帰ったカツを載せて、スパゲッティのアサリソースを作ったのです。ところが女将の減らした分だけ亭主が食べるのでこれが多すぎて、食後はもう苦しいほど。お茶をもらって飲んだら、そのまま書斎に行って横になる。満腹だから直ぐに眠りについて、目覚めればもう2時過ぎなのでした。女将はとっくにスポーツクラブに出掛けているし、コーヒーを入れて飲んだら亭主も蕎麦屋に出掛けていく。

 厨房に入って、まずは明日のデザートの水羊羹を仕込んで豊缶に流し込む。固まるまでに時間がかかるから、その間に空になった蕎麦徳利を出して、作ってある蕎麦汁を詰めていきます。アルミホイルで蓋をして冷蔵庫にしまったら、糠床を取り出してお新香を漬けるのです。最後に天麩羅の具材を切り分けて、容器に詰めていく。火の元と電気の消灯を確認したら、セキュリティーのスイッチを入れ、玄関の鍵を閉めて車に乗り込む。家に戻れば大相撲の最中…。


11月23日 木曜日 暖かかった勤労感謝の日…


 今朝は5時過ぎに蕎麦屋に出掛けて、昨日の夕方に漬けたお新香を出したり、一回目の蕎麦を打ったりして、やっと日の出の時間。夕べは9時半にはもう眠くなって床に入ったから、今朝はすこぶる元気なのでした。今日は勤労感謝の日で朝から暖かかったから、お客が来るかも知れないと、蕎麦を朝飯前と後とに二回に分けて打つことにしたのです。600g6人分ずつ二回に分けたら、140gで束ねたのに6.5人分出来たから、合計13食の蕎麦が用意できたのでした。

 7時前に家に戻って女将の用意してくれた朝食を食べる。銀ダラの煮付けは汁までご飯に掛けて、美味しくいただくのでした。食後に居間でお茶をもらって、書斎でひと眠りしようと横になったけれど、なかなか眠れずに、結局、起き出して、洗面と着替えを済ませるのです。今日は朝から随分と暖かいのが影響しているようです。8時半前には家を出て、また蕎麦屋に向かう亭主。庭の大きな金柑もだいぶ黄色くなった。今年は豊作のようです。

 みずき通りの角のお宅にある山茶花が随分と華やかに咲き出していました。朝は雨が降っていたけれど、青空も覗いて、今日は天気が好くなる様子。南風も手伝ってかなり暖かい昼になりそうです。蕎麦屋に着いて幟を立てたら、早速、蕎麦打ち室に入って二回目の蕎麦を打つ。今朝と同じく45%の加水率だったのに、今回は随分と柔らかく仕上がった。気温がどんどん上がっているのが原因のようです。こんな日にはお客が来ると確信が持てるのでした。

 案の定、暖簾を出せば直ぐに常連さんのご夫婦がいらっして、カレーうどんとキノコ蕎麦にハラミの串焼きのご注文。ハラミも朝のうちに串に刺しておいたから、直ぐに焼いてお出し出来た。続けて何時も来てくれる宅配便のお兄さんが、例によって、ヘルシーランチセットの天せいろを注文する。そして、毎週のように来て下さる常連さんが、息子さんとお孫さんを連れてご来店で、せいろ蕎麦にキノコ蕎麦の大盛りを二つ頼まれるのでした。

 その後も、たまにいらっしゃるお客が今日は鴨南蛮のご注文で、続けていらっしたこちらも久し振りにご来店の女性が、暖かい天麩羅蕎麦を頼まれる。時計はあっという間にもう1時を回っていた。温かい汁の注文が多かったから、ポット二つに用意しておいた湯では足りずに、女将がIHでお湯を沸かしていました。うどんがあったから、蕎麦は8食分出た計算で、今朝の読みが正解なのでした。片付けを終えて2時過ぎには家に戻るのでした。




11月24日 金曜日 風の強い午後、待てばお客が来ることも…

 夕べは早く休んだのに、夜中に目が覚めてなかなか眠れなかったから、朝方にもう一度眠って朝食の時間に起き出した。女将が言うには、「暖かすぎて眠れないのよ。布団を薄がけにしたらよく眠れたわよ」今朝も暖房を入れなくても暖かいくらいなのでした。髭を剃って着替えを済ませたら、少し早めに家を出て、蕎麦屋に出掛ける亭主。まずは幟を立てて蕎麦打ち室に入ったら、150gの小麦粉と600gの蕎麦粉を計量して、蕎麦打ちに入るのでした。

 空は晴れて雲一つなく、風が幾分強いのだけれど、暖かな南風だから気持ちが好い。何時もの通りに蕎麦打ちを終えたら、厨房に戻り大根をおろして野菜サラダの具材を刻む。今日は亭主一人の日だから、普段、女将がしてくれる割り箸を出したり、おしぼりを出したりと、細かなことも忘れないように気をつける。11時過ぎにはテーブルも拭いて回って、開店の準備か整うのでしたが、外を歩いている人の姿はないのです。風がだいぶ強くなったらしい。

 お客を待つこと1時間。こんな暖かくて天気の好い日に、お客が来ないはずはないのだけれど、やはり風のせいなのだろうか。1時を過ぎてやっと車が駐車場に入ってきた。年配の男性二人で、いろいろと悩んだ挙げ句に、とろろ蕎麦と天せいろの大盛りのご注文。キスの天麩羅と蕎麦豆腐を追加で頼まれる。やっと調理をし終えた頃に、次のお客が店に入ってこられた。三人連れの女性たちで、天せいろを三つに蕎麦饅頭の注文なのでした。

 蕎麦饅頭は冷凍したものがちょうど三つあったので、サービスでお出しする。窓際に座ったお婆さんは、97歳になるのだという。天麩羅もお新香も残さずに綺麗に食べて帰られたから立派。食べるのがゆっくりだから、皆さんがお帰りになったのはもう2時過ぎなのでした。それから亭主はかき揚げを揚げて、賄い蕎麦を食べるのです。のんびりゆっくり後片づけをして、家に帰るのはもう3時過ぎなのでした。みずき通りに夕陽が随分と早く沈みかけていた。

 パソコンに立てかけたクラス会の写真と初めてのツーショットの写真を眺めて、今日のデータをパソコンに入れる。暖房も入れずに横になって眠ったら、5時過ぎまで寝込んでしまった。大相撲の最後の方だけやっと見られて、夕食はプールの後で何か食べようと、取りあえずは蕎麦屋に出掛けてぬか漬けを漬けてくる。そのまま、プールに出掛けるのです。金曜日はプールも空いているから、端のコースで一人でゆっくりと泳ぐのでした。買い物をして家に帰る。


11月25日 土曜日 昼は11℃で冷たい風が吹いて…

 午前5時過ぎに蕎麦屋へ出掛け、今朝は出汁取りをしなければいけませんでした。寒い季節になったので、二番出汁で作る汁が足りなくなったのです。いつもなら3㍑作れば、一週間は持つはずなのに、このところ急に冷えてきたので、温かい汁の蕎麦がよく出る。鴨南蛮や温かい汁の天麩羅蕎麦、ぶっかけ蕎麦の温かい汁、温かい汁で作るカレーうどんなど、キノコ蕎麦は汁を作っているから大盛り用の蕎麦汁を入れて温めるのです。強火で作って50分はかかる。

 蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めて、二番出汁も水で冷やしてから冷蔵庫に収納する。調理台が空いたら、今度は冷蔵庫から糠床を取り出して、夕べ浸けておいたお新香を切って小鉢に盛り付ける。これでもう7時前になるから、朝から随分と仕事をしました。家に戻れば、女将が台所で朝食の支度をしていた。昨日のプールの帰りに買って帰った鮭を焼き、ナス焼きまで用意してくれたから今朝はご馳走です。大根の葉にじゃこを絡めた小鉢や、ひじきの煮物も美味しい。

 食後は書斎に入ってひと眠りする亭主。最近は朝のひと眠りも1時間は寝てしまうことが多いのです。「昨日の夜はプールで泳いだから、仕方がないわね」と女将に言われて、再び蕎麦屋に出掛けるのです。隣のお宅の蜜柑が、今年は大きくなっているのに、取らずに放ってあるから、鳥たちが啄みに来る。うちの金柑もそろそろ狙われる頃なのです。蜜柑の木に網を掛けているお宅や早めに採ってしまうお宅もあるけれど、熟するまで置いておくのが好さそう。

 蕎麦屋に着いて幟を立てたら、早速、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。今朝は45%の加水率で打ったのに、ちょうど好い硬さの仕上がりなのでした。風は冷たく寒い朝なのに、加水の加減が判らずに試行錯誤する毎日です。蕎麦打ちを終えたら厨房に戻って、野菜サラダの具材を刻む。昨日までに天麩羅の具材が容器の中になくなったので、今朝は天麩羅の具材も切り分けなければならない。南瓜も蓮根も用意しなければならなかったので結構忙しいのです。

 開店の準備が終わって暖簾を出したけれど、今日もお客は来なかった。天気は好いのだけれど、やはり寒すぎるのだろうか。女将と二人で暇をもてあましながらお客を待てば、1時過ぎにやっと車が駐車場に入ってくる。ご夫婦でのご来店で、ヘルシーランチセットの天せいろとせいろ蕎麦を頼まれて、ゆっくりと召し上がるのでした。「美味しかった」と言って帰られたから、満足されたのかな。2時過ぎには店を出て、家に帰って柿を剥いてもらうのでした。

 大相撲の中継を途中まで観たところで、週に一度の防犯パトロールに出掛ける。集合場所に着けば、なんと今日は5人しか集まらない。身体の故障や寒さで来られない人がいるのでしょう。メンバーが少ない時は、二手に分かれて町内を回るコースの外回りを全員で回ることになっている。先週の横浜行き以来、足の具合が良くない亭主にとってはかなり辛い。5000歩を歩いてやっと家に帰る。後継者はいないだろうかという話も出て、何処も寂しい晩秋なのです。


11月26日 日曜日 日中の気温9℃、しかも冷たい雨で…

 久し振りに朝飯前のひと仕事はなかったけれど、毎日の習慣で4時半には目が覚めてしまうのです。テレビでニュースを見て、今日の佐倉の天気を確認したら、コーヒーを入れてもうひと眠りする。朝食前に再び目覚めて食後はひと眠りもせずに着替えを済ませる。今日は新蕎麦の粉が午前中に届く日だから、8時半前には蕎麦屋に行かなくてはならない。蕎麦屋は団地の端の位置だから、配送業者がどうしても最初に回ってくるらしいのです。

 昨日の蕎麦がまだ随分と生舟に残っていたから、今朝は蕎麦を打たないことにしました。時間があるので、一年振りに白餡を仕込んで、大粒の金柑の種を取り、氷糖蜜で煮込んで甘露煮を作る。10時前には終わったけれど、どうやって金柑大福を作るのだったかと、レシピも残していないので記憶を辿るばかりなのでした。外は細かな雨が降り続けて、寒いこと寒いこと、真冬の陽気なのでした。こんな日はお客が来ないと判っているから、尚更、寒いのです。

 11時には開店の準備は整ったけれど、女将は家に帰ったままだしまだ暖簾を出すには早すぎる。と、自転車に乗った二人の男性が、蕎麦屋の看板を眺めている。開店の時刻を見て諦めたらしい。よほど店の中に入れてやろうかと思ったけれど、20分前ではちょっと早すぎると躊躇っている間に、いなくなってしまったのです。開店の10分前に女将がやって来て、話をすれば「私が来るのが遅かったからお客が帰ったのね」と言われて、そうだとも言い切れない。

 結局、今日も1時過ぎまでお客は来なかった。この寒さでは仕方がないのかと諦めていたら、小雨の降る中を自転車でさっきの男性達がやって来て、天せいろの大盛りと白エビの掻き揚げ、辛味大根を注文するのでした。なんでも東京から来て畑を借りているのでやって来たらしい。「せいろ蕎麦に引かれてきました」と、雨の止むのを待っていたけれど、小雨になったら帰って行かれた。これが、今日唯一のお客なのでした。それでも実に有り難い事なのです。

 2時半には家に戻って、亭主は居間で剥いてもらった柿を食べ、ストーブに当たって微睡んでいたのです。雨が止んだら買い物に出掛けると言っていた女将は、しとしとと降り続く雨に振り込められて、仕事部屋で何をしているのやら。今日は疲れていないから、横になって眠るということも出来ない。大相撲の千秋楽で、早くからテレビの放映が始まっていたから、早めの夕食にして晩飯はホウレン草と肩ロースの薄切りで常夜鍋。寒い晩なのでした。