2023年9月上旬



9月5日 火曜日 今日は蕎麦屋の仕入れだけなのでしたが …

 朝食を終えてエアコンの効いた書斎でひと眠りしたら、時計を見ながら今日の活動の開始。ところが、居間の部屋に行ってみると、もう9時を過ぎているではありませんか。急いでお袋様に電話をして寝坊をしたからと待ってもらう。書斎の時計が電池切れで遅れていたのでした。15分程遅れてお袋様のマンションに着いた。秋晴れの好い天気で、朝は風も幾分涼しくなったけれど、日中は相当に暑くなると言う。農産物直売所に出掛ければ好い椎茸が入っている。

 何時もの農家のオクラやナスももらって、隣町のスーパーに車を走らせれば、蕎麦屋の前のバス通りは改修工事が始まって片側通行なのでした。今月いっぱいで終わるというから、秋の楽しみが増えたと思って気長に待つしかない。買い物の帰りに、何度掛けても電話が通じなかった弟の家に寄れば「誕生日は明日じゃなかった?」と言う。後で分かったのだけれど、亭主の掛けていたのは彼の家の番号で、こちらはすぐに留守電になる。二人ともちょっと呆けた。

 夜は用事を入れてしまったと言うから、2時からにしようと言うことになったのですが、仕入れた荷物を持って蕎麦屋に戻り、急いで家に帰って女将に話をする。彼女も書の提出で午後は忙しかったらしいので、亭主が料理やおかずを買いに、ショッピングモールに出掛けてお袋様の家に運んでおく。蕎麦屋に戻ってビールや酒やお袋様に持っていってもらうはずだった蕎麦や何やらをまた運び、汗だくになって家に女将を迎えに行くのでした。

 一年ぶりに久し振りに家族が集まって、いろいろな話をするのは楽しい。お袋様が元気だから、弟や亭主や女将もそれぞれの老後を楽しんでいられるとしみじみと思うのでした。弟のところも我が家でも、コロナ禍で子供や孫にも会えずにいるから、近くに住む年寄りだけの誕生日会。昼から久し振りに酒を飲んで、心地よく酔いが回った。歩くのが遅い亭主は、弟と女将を先に帰してお袋様の家を出る。午後の陽射しは強かったけれど秋晴れなのでした。




9月6日 水曜日 一転、夜は土砂降りの雨と雷で …

 午前中は蕎麦屋に出掛けて、洗濯物を畳んだり、蕎麦汁を徳利に詰めたりと細々とした仕事をする。水羊羹を作って豊缶に流し込んで、蕎麦豆腐を仕込んだところで、ちょうど家に帰って昼の支度をする時間になりました。昼は亭主の提案で胡麻だれのざるラーメンと大阪王将の冷凍餃子。珍しく女将が食べると言うので、張り切って麺を茹でるのでした。居間の椅子に座って、食後のお茶を飲んだら今朝はゆっくりと眠ったのに、書斎に入ってまたひと眠り。

 1時過ぎに目を覚ました時には、女将はもうスポーツクラブに出掛けていました。居間の椅子に腰を下ろして一服したら、亭主も蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みに入ります。お新香を漬けるのは一晩漬ける時間を考えて最後に回す。冷凍してある、出汁取りに使った干し椎茸を水で戻している間に、切り干し大根を洗って水で戻す。人参と冷凍室の油揚げと共に、胡麻油で全部を炒めて出し汁で煮ていくのです。出汁醤油と砂糖を加えて味が染みたところで終わり。

 新しく買ったのは切り干し大根と油揚げだけだから、この煮物はお新香以上に早く出来て安上がりなのです。それでいて他の小鉢よりは、お客に喜ばれるから不思議です。手間のかかるなた漬けもお新香も食べない人はそれこそ全部残すから、蕎麦を好むお客は和風の小鉢が好きなのかも知れない。かき揚げの材料の三ツ葉と玉葱を刻み、生椎茸、ピーマン、ナスを切り分けて、南瓜を切ってチーンする。4時近くになってやっとお新香の野菜を漬け始めるのです。

 夕刻になるに従って、空は曇ってきました。女将は「今夜はパトロールはお休みね」と言うけれど、亭主は雨が降れば、防犯パトロールは休みなので、プールに行こうと考えていた。5時に食べる夕食には、亭主がキャベツを刻んで、女将が冷凍のカキフライを揚げてくれた。美味しく食べ終えて、書斎で今日の写真の整理をしていたら、6時過ぎから土砂降りの雨の音。ほっと安堵して横になったら、そのまま7時過ぎまで眠ってしまったのです。




9月7日 木曜日 涼しくなったのに何故かお客は来ない …

 朝の6時に蕎麦屋に出掛け、お新香を糠床から取り出して小鉢を盛り付けました。向かいの森の彼方から朝日が昇って、一日中、曇りだという最後の輝きを見せていた。関東地方にも影響を及ぼすと言う台風の影響なのか、空は複雑な様相を呈していたのです。家に戻って朝食の食卓に着けば、今朝は随分とおかずの品数が多いのでした。鯖の塩焼きがメインなのでしょうが、夏野菜の揚げ浸しや、とろろ芋にオクラを散らして、それだけでもご飯が食べられる。

 それでも小さな茶碗にご飯は一杯。全部平らげて「ご馳走様でした」と居間の椅子に座れば、女将がお茶を入れて持って来てくれるのです。満腹になったらよく眠れるかと書斎に入って横になれば、昨日は7時間も眠ったので、身体を休めているだけで、意識はしっかりと目覚めているのでした。女将が見ている朝ドラの終わる時間に起き出して、髭を剃って洗面を済ませるのです。今朝は倒れかけた茎から、モミジアオイが三つも咲いていました。

 涼しい朝だったので、歩くのも楽なのです。みずき通りはもう秋の装いで、薄陽が差していました。蕎麦屋までは5分ほどで到着。幟と看板を出してチェーンポールを降ろす。店の中も26℃といつになく涼しくて、蕎麦打ちの加水も41%ではどうなのかと思ったけれど、いつものように上手い具合に菊練りまでこぎ着けました。もう少し生地がなめらかになるまで捏ねても好いのでしょうが、最近は腕の力がなくなったのか、少し好い加減になっている。

 蕎麦玉を寝かせている間に、厨房に戻って葱切りを終えたら、大根と生姜をおろす。定休日明けの木曜日は、開店までにやっておくことが多いのです。再び蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。切りべら26本で135gで、9人分の蕎麦を用意しました。最後のひと束は、集中が途切れたのか、途中から太さが揃わずに150gを取って、キッチンへーパーに包んでおきます。お客はこんなに来ないから、このひと束は亭主が賄い蕎麦にして食べる分なのです。

 昼過ぎに常連さんがやって来て、いつもの辛味大根とせいろ蕎麦の大盛りのご注文。今日はこのお一人だけがお客なのでした。習志野から常連さんが、特大の梨を一箱で持って来て下さる。有り難い事なのです。昼から手伝いに来てくれた女将と二人で時間をもてあましながら、過ごすのもまた一興。1時半になって女将のスポーツクラブの予約を取ったら、亭主は賄い蕎麦を食べる。洗い物も片付けもないので、2時前に女将には帰ってもらった。




9月8日 金曜日 台風の影響で今日は大雨でした …

 台風は随分と離れたところにあるのに、前線の影響なのか今日は朝から酷い雨でした。一日中、強い雨だと言うから、お客も来ないだろうと車で蕎麦屋に出掛けて、とにかく店だけは開けておこうと支度をする。幟も看板も二の次で、蕎麦を打っておくのが一番だと蕎麦打ち室に入る。店の中は23℃といつになく涼しいので、エアコンは除湿にして、蕎麦を打ち始めるのでした。加水率は湿気が多いので40%強にして、しっとりとした生地に仕上げるのでした。

 生地が上手く仕上がると、切りむらもなく蕎麦は綺麗に打てる。外の雨は時間と共に激しくなって、向かいの畑にも水が溢れているのです。スタッフに電話をして、今日は来なくても好いからと言ってやる。表に出られるような状況ではなかったのです。歩いてスポーツクラブに出掛ける女将にも電話をしたら、今日はキャンセルするつもりだと言う。店の窓も隙間から雨がにじみ出てくる始末で、久々に危機感を覚えた。携帯に緊急避難情報の知らせも届く有様。

 タブレットで雨雲の推移を見ながら、野菜サラダの具材を刻み、大根をすりおろろして開店の準備を済ませる亭主。この激しい雨では到底、お客が来るはずもないのですが、雪が降っても店を開けていた頃を思い出す。ごく稀に、お客がいらっして「開いていて好かった」と言うお客がいると、「営業して好かった」と思った時もあるのです。しかし今日は、台風を控えて防災無線の放送がしきりと注意を喚起する。こんな時もあるものだと椅子に座ってひと休み。

 1時を過ぎた頃に腹が減ってきたので、今朝打った蕎麦を茹でてかき揚げを揚げ、賄い蕎麦を食べて起きます。誰もお客は来なくても、天麩羅のパッドや大鍋を洗う覚悟は出来ていました。打ち立ての蕎麦は歯ごたえがあって、揚げたてのかき揚げは美味しい。腹ごしらえが出来たら、少しは仕事をしておこうと、解凍してあった豚のハラミを切り分けて、串に刺して焼き物の用意をしておく。最近隣町のスーパーでも置いてあるので、手に入りやすくなった。

 肉を切り分けて串に刺す手間はあるけれど、大量販売で仕入れる串焼きとは味が違うのです。以前はこれを出していたのですが、買ってくる店で置かなくなったので、しばらく諦めていた。一本120円で出しても少しは利益があるので、しばらくは続けてみようと思うのです。今日は店を早仕舞いして、2時前には車に乗って家に向かうのでした。夜になっても雨が止まずに、台風の行方も定まらないから、プールに行くのはお休みにして、焼酎をあおる夕べです。




9月9日 土曜日 雨は上がったけれど雲行きが怪しい …

 朝はまだ道が濡れていたから、明け方まで雨が降っていたのかしら。お客の来なかった昨日は、天気の行方を気にして気づかれしたのか、今朝は朝食の時間までゆっくりと眠ってしまったのです。蕎麦屋に出掛けても特にすることもなかったから、女将の朝ドラの時間には、居間の椅子に座ってのんびりコーヒーを飲んでいた亭主。霧で高層マンション群も霞んで、外は雨上がりの曇り空で、涼しいかと思ったら薄陽が差して蒸し暑いのでした。

 蕎麦屋に着いたらまずは幟を立ててチェーンポールを降ろし、看板を出したら。蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。昨日の蕎麦が残っていたので、500g5人分だけ打ち足しておきました。湿度が高かったので、加水率は40%で捏ね始めたら、それでもまだ柔らかい感じなのです。無事に打ち終えて厨房に戻れば、女将は早お昼を食べに家に帰るところなのでした。昨日も家に持ち帰った野菜サラダを、性懲りもなく、今日も修行と思って三皿盛り付ける。

 常連さんがみえてビールととろろ蕎麦の大盛りを頼まれる。女性の二人連れがいらっして天せいろのご注文。今日は何故かこれだけのお客しか来なかった。昼を過ぎた頃には青空も見えて、外はかなり蒸し暑いという陽気なのです。家に戻って冷たい桃を食べたら、書斎に入って4時過ぎまで眠る。5時には夕食のおかずを作るからと言って、蕎麦屋に出掛けて今日の片付けと、明日のぬか漬けを漬けてくる。夕食は野菜サラダで肉野菜炒めのカレー味なのでした。