2023年上旬



8月5日 土曜日 コロナ前の夏に戻ったかお蕎麦売り切れ …

 朝飯前のひと仕事は、昨日の洗い物の片付けと、小鉢を盛り付けることでした。わずか30分で終わる仕事だから、エアコンを入れて7時前に家に戻ったのです。空は晴れて今日も暑い一日になりそうな気配でした。朝食を終えてひと眠りしたら、髭を剃って着替えを済ませ、朝からの強い陽射しの中を歩いて蕎麦屋まで行く。今日は何年かぶりで佐倉市の花火大会だから、コロナの始まる数年前までは混んだ土曜日になっていたと、出がけに女将が言う。

 店の前の通りに面したひまわり畑に、やっとひまわりの花が咲き始めていました。以前からある隣のひまわり畑も、今年は大きなひまわりを植えたらしいのですが、雨が降らないので花が咲く前に葉が枯れ始めている。そう言えば、すぐ向かいの畑もキュウリの畑がもう終わっている。あまりに広すぎて水撒きもままならないのでしょう。蕎麦屋の駐車場もたまには水撒きをしてやりたいけれど、人間の方が暑さにやられてそのままになっている。

 朝のうちにエアコンを入れておいたから、なんとか30℃にはなっていたけれど、蕎麦を打つのに首に保冷剤を巻いているのも異常。昨日の残りの蕎麦と合わせて13食の蕎麦を用意して、厨房に戻って野菜サラダの具材を刻むのでした。開店の準備を済ませて暖簾を出せば、昼前からこの暑い陽気に、駐車場に次々と車が入ってくる。ほとんどのお客が天せいろで、女将も亭主も洗い物をする暇もなく動いていた。キスやアカイカの天麩羅も幾つか出た。

 大盛りが二つ出ただけで、最後の三人連れの常連さんが、いつもと同じくぶっかけ蕎麦をご注文なのでした。これで生舟の中の蕎麦が完全になくなる。閉店の時刻近くまでお客がいたので、それから洗い物を始めたから、今日は終わったのが3時を過ぎてしまう。女将も相当に疲れた様子。亭主も昼を食べられずに、家々の日影を辿りながら、家までよろよろと歩いて帰るのでした。あと50mで家の門に着く。夜は印旛沼の花火が二階からよく見えたのです。




8月6日 日曜日 晴れたり曇ったり土砂降りになったり …

 混んだ日の翌日は忙しいのです。朝の5時から蕎麦屋に出掛け、デザートの水羊羹を最初に豊缶に流し込み、隣の火口では出汁を取る。出汁取りは1時間はかかるから、その合間に昨日の洗い物を片付けるのです。6時を過ぎた頃にやっと蕎麦打ち室に入って、一回目の蕎麦を打つ。9食分の蕎麦を打ったから、これも小一時間かかった。急いで家に帰って朝食を食べる。早朝の2時間の仕事は、疲れるような年頃になった。食後は書斎で熟睡するのでした。

 朝は雲一つない空だったのに、出掛ける頃の空は沢山の雲もが出て、天気予報も雨のマークが出ているほどでした。お蔭で陽が翳ると少し涼しいので、蕎麦屋まで歩くのに少しは楽なのでした。ひまわり畑の長いバス通りにさしかかると、急に真夏の陽射しが戻ってジリジリと照りつける。今日は9時の時点で外はもう32℃もあったのです。看板と幟を出してチェーンポールを降ろしたけれど、10時から雨という予報は見事に外れていました。

 蕎麦打ち室に入って二回目の蕎麦を打ち、今日は14人分の蕎麦を用意したのですが、結局、半分ちょっとしか出なかった。それでも今日は天せいろ以下の値段の注文がなかったので、内容が濃かったような気がします。最後のお客が帰った1時半を過ぎたところで、かき揚げを揚げて、亭主もぶっかけの賄い蕎麦を食べる事が出来で好かった。明日は5人分の蕎麦を打てば、何とか間に合いそうなのです。天麩羅の具材が足りるかちょっと心配ではあります。

 昼過ぎからザーッと雨が降りだして、それこそ土砂降りになったけれど、黒い雲がいなくなったら、熱くなっている道路は乾き始めている。帰り道、通りを掃いていたご近所の親父様に「少し涼しくなりましたね」と挨拶をすれば「異常な天気ですよ」という言葉が返ってきた。今朝方は、その向かいのご主人に「暑くて家の中から出られませんよ」と挨拶されて「雨が降るらしいですよ」と応えたばかりなのに、雨が上がればまた暑さが戻ってきたのでした。




8月7日 月曜日 台風6号の影響か、今日も天気は不安定で …

 いつもよりは涼しい朝なのか、昨日の洗い物の片付けに蕎麦屋に出掛けたら、ひまわり畑のひまわりが一斉に咲き出していました。ところが、ひまわりの花は朝日の出る方角を向いて咲くから、道路とは反対側で、見る人に背を向けて咲く形になっているのでした。新しくこの農地を借りたという人が、そこまで考えなかったのか、畑の奥は森があるばかりで、通りを通る人が咲きそろった花を見ることは出来そうにない。写真を撮るにもこれが限界…。

 家に戻って食べるものがなくなった食卓には、蕎麦屋の残りものに卵を焼いてくれたけれど、彩りが綺麗だったので写真に撮っておきました。今日は食後のひと眠りをしないで、コーヒーを一杯飲んで早めに家を出る亭主。月曜日だから蕎麦だけ打ち足せば好い。小鉢も蕎麦汁も昨日の分だけで十分に足りるはずでした。空が曇っていたので、歩くのにも強い陽射しがなくて楽なのです。蕎麦屋の店内も30℃まで室温は上がっていないから、エアコンが効いていた。

 500gだけ蕎麦を打ち足して、昨日の残りと合わせて10人分の蕎麦を用意したけれど、到底、出るはずもないのです。野菜サラダもいつものように三皿用意したけれど、これも残るのを覚悟で盛り付けている。今日からやっと夏休みに入ったという女先生が、久し振りに来てくれたから、野菜サラダとデザートをサービスで出して、ぶっかけ蕎麦の器も大盛り用にして、白海老の掻き揚げを載せてお出ししたのです。明日は飛行機で実家に帰ると言う。

 明日から定休日という月曜日は、残りものを家に持ち帰るよりもお客に出した方が好いと、サービスをすることが多いのです。それでも残った食材は、スタッフと手分けして家に持ち帰る。時折、ザーッと雨が降るのだけれど、暖まった地面はすぐに雨を乾かしてしまう。重い荷物をぶら下げて家まで辿り着いたら、やはり汗だくなのでした。夕飯の時刻までひと眠りしたら、早く夕食を済ませて夜のプールに備える。今日のプールは一人一コースでゆっくり。




8月8日 火曜日 今日は立秋のはずだけれど …

 車内のクーラーの冷気でカメラのレンズが曇った。外は朝からもう30℃を越える暑さなのでした。お袋様を乗せて今朝も仕入れに出掛ける亭主。暑中見舞いを出した親戚の叔父伯母から、亭主に宜しく言ってくれと電話があったと言う。農産物直売所には、昨日入った生椎茸が綺麗な形で冷蔵庫に並んでいたから、全部もらって帰るのです。肉厚で形も良い生椎茸が、8つ入って290円なのは安いのです。この時期は保存状態が悪いとすぐに傷んでしまう。

 隣町のスーパーまで足を伸ばして、買い物リストに印刷した食材はすべて揃えた。蕎麦屋に帰れば、今朝はエアコンを入れに来なかったので、店内は30℃を越える暑さになっていた。首にアイスノンを巻いて、調理台に野菜を並べ、検品していく。しっかりと巻いたレタスが100円以下で売られていたのには、生産者はさぞかし大変だろうと思ってしまう。夏野菜もそれほど高値になっていないのは嬉しい。帰り道、例のひまわり畑の脇に車を停めて写真を撮る。

 昼は昨日残った蕎麦を茹でてとろろ蕎麦。切り干し大根も、なた漬けもすべて蕎麦屋の残りものなのです。暑いからか女将がなかなか台所に現れないので、亭主がとろろ芋を擦って食卓の準備をするのでした。茹でた蕎麦はやはり氷で冷やした方が、この時期は美味しく食べられると反省しました。食後はエアコンの効いた書斎に入って昼寝をする。1時間ほど眠って目が覚めるけれど、なかなか起き上がれないのが亭主の最近の傾向なのです。

 冷たく冷えた西瓜を食べて、椅子に座って午後の洋画を見終えたところで、やっと「蕎麦屋に行って来ます」と女将に告げて車に乗るのでした。昨日の洗い物を片付けたら、大根のなた漬けを仕込んで、切り干し大根の煮物を作る。エアコンを入れても店の中は暑いから、再び首にアイスノンを巻いて動いていたら、そのまま家まで戻ってしまった。台所では女将が、ポテトサラダを作ってレタスと一緒に盛り付けて、夕食の準備をしているのでした。

 亭主のリクエストは蛸の唐揚げで、女将はロースの薄切りを茹でてごまだれで食べていた。テレビは6時までは高校野球しかやっていないので、リモコンの受信部が壊れている食堂のテレビは、いちいち手作業でチャンネルを変えなければならないから、点けずにそのままにしてある。「食事の時はテレビを消しなさい」と言われて育った世代の夫婦だから、殊更、不便に感じないのです。食後は風呂の時間まで、また書斎に入ってひと眠りする亭主なのでした。

8月9日 水曜日 台風の影響が心配される昨今 …

 蒸し暑さで目が覚めた朝でした。曇り空だから気温は高くないのに、台風の影響なのかやたらと蒸し蒸しとしているのです。朝食を終えて書斎で横になったけれど、5分程ウトウトとしただけで、コーヒーを入れて蕎麦屋に出掛ける準備をする。定休日二日目の今日は、夜のプールで泳ぐのを目標に、頑張って仕込みをしなければいけない。蕎麦屋に着いたらまずはデザートの水羊羹を仕込んで、蕎麦豆腐を型に流してひと休みなのです。

 不思議な事に、厨房に入ると次は何をするのかと頭がはっきりとしてくる。すっかり空になっている蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めて、昨日、塩漬けにしておいた大根のなた漬けを仕込む。水を切ってタッパに入れたら、甘酒の素と砂糖と唐辛子の輪切りを加えて漬け込んでおく。刻み柚子は明日の仕入れで業者が持ってくるから、それから更に漬け込めば好い。昼食には天麩羅を揚げて持って帰ることになっていたから、海老と南瓜と蓮根を揚げて帰る支度をしていた。

 そこに電話が鳴って習志野の常連さんのお母様から「梨を買ってしまったから持って行きたいのだけれど」と電話が入るのでした。小一時間かかると言うので、家に帰って蕎麦を茹で、女将と二人で食べ終えたら、急いで蕎麦屋に戻って待っていた。昼を食べると言ったら、蕎麦を茹でて天麩羅を揚げてやろうと準備だけはしておくのでした。果たして、娘さんの運転する外車が前の道路に止まり、「これから船橋のデパートに行くのよ」と忙しそうなのです。

 どうしていつもこんなに好くしてくれるのか不思議でならない。『小僧の神様』ではないけれど、自分がまるで幼い少年になったように感じるのでした。梨の入った箱を家に持って帰れば、女将が開けて冷蔵庫に入れる。見たこともないような大きさの梨に、女将も驚いていました。真面目に蕎麦を打っていれば好いことがあると、素直に喜ぶ亭主。明日はお袋様にも持って行ってあげよう。台風の来る前に墓参りに行こうと、今朝、電話をしたばかりなのでした。

 ひと眠りして今日の仕込みを終わらせなければと蕎麦屋に出掛けていけば、ひまわり畑は満開で後ろ向きに咲いたひまわりも立派。雨は降ったり止んだりで、道路はその度に暑い陽射しで乾いて、台風の影響はこんな遠くまで及んでくるのです。最後に明日のお新香を漬けたら、家に戻ってざるラーメン・餃子を作って食べておく。夜のプールの時間が何故か今日は待ち遠しく感じる。身体の調子が少し好くなったのかも知れないと、ゆっくり泳いで帰るのでした。