2023年7月末



7月28日 金曜日 今日も朝から暑かった …


 午前5時。駅前の高層マンションに当たった朝日が眩しい朝なのでした。今朝は蕎麦打ちはなかったけれど、夕べ作ったカレーを鍋のまま冷蔵庫に入れて帰って来たから、これを袋詰めして冷凍しなければいけない。8人分のカレーを6袋に詰めて、凍って袋同士がくっつかないように、ラップでくるんで容器に入れるのです。朝から暑いから、窓を全開にして外気を入れたら、エアコンを入れて店の中に冷気を送る。今日も暑くなりそうな気配なのでした。

 店の入り口に置いてある青年の樹のボツとの脇に、いつの間に入り込んだのか、蝉が死んでいるのかと思って、羽を掴んでゴミ箱に入れようとしたら、急にバタバタと飛び始めたから、慌てて玄関を開けて外に逃がしてやる。そのまま駐車場の金木犀の木の方に飛んで行った。よく炎天下の道路に同じように死んでいる蝉を見かけるけれど、涼しい蕎麦屋に逃げ込んで仮死状態だったのを救ったのかと思うと、ちょっと嬉しかった。短い命だから、全うして欲しい。

 家に戻って朝食を終えたら、書斎に入ってひと眠りする。今日は蕎麦打ちがないのでゆっくりとコーヒーを飲んで、9時過ぎに、蕎麦粉を頼んでいる農場に電話をして、蕎麦粉を注文したら、家を出て蕎麦屋に向かう。家の前の通りの突き当たりお宅のノウゼンカズラが、暑さにめげずに今が盛りと花を咲かせていた。熱い陽射しを浴びながら、蕎麦屋はエアコンを入れたままだから、涼しくなっているだろうと、それだけを頼みに頑張って歩くのでした。

 カウンターに載っている昨日の洗い物を片付け、奥の部屋に干してある洗濯物を畳んだら、洗濯機の中に入ったままの洗濯物を干して、厨房に戻る。次の仕事はレンジ周りの掃除で、この一週間、汚れたままで我慢していたのです。重曹の粉を振りかけて、沸かしたお湯を撒いて、コーヒーを冷やしたのを飲んで一服している間に、油分は浮いてくる。金のタワシで軽く擦って、後は雑巾で拭いていく。何度も雑巾を揉み出しながら、少しは綺麗になったかな。

 蕎麦打ちのない分、時間に余裕があるので、野菜サラダの具材もいつになく丁寧に刻んだ。大釜の湯が沸いたら、蕎麦茶や蕎麦湯の入れ物を温めるポットに湯を入れて、また、大釜に水を入れて湧かしておく。天麩羅鍋と天つゆの鍋を火にかけて、温めたところで、店の床を掃いてテーブルを拭くのです。暖簾を出せば、常連さんがすぐにご来店で、せいろ蕎麦の大盛りと辛味大根のご注文でした。昼から頼んでいるスタッフもやって来て、今日の営業が始まる。

 暑さが続く毎日ですが、続けばお客も暑さに慣れて来るから、少しずつ増えてくるらしい。ご夫婦でいらっしたお客は、ヘルシーランチセットのご注文で、作ったばかりの野菜サラダが出たので嬉しかった。春蕎麦の新蕎麦の綠がかった色に驚いて、蕎麦粉を溶いた蕎麦湯も綺麗に飲み干して帰られた。自転車でいらっした若いお客も、蕎麦が美味しかったと言って帰られたのです。スタッフがいると、亭主は調理に専念できるから楽しさが倍増するのです。

 2時前にスタッフを帰して、後の始末は亭主が一人でこなす。それでも2時半には蕎麦屋を出て、暑い最中を家に戻るのでした。エアコンを効かせた書斎でひと眠りして、目覚めればもう夕飯の時刻なのです。今週は月水金とプールに行こうと決めていたから、頑張って6時半には家を出る。週に三日、少しずつでも泳げば身体の調子も好くなるので、今日はかなり身体が軽かったような気がする。明日は地域の盆踊り大会が何年かぶりであると言う。



7月29日 土曜日 暑い昼だったけれどお蕎麦売り切れで…

 今朝も5時起き。6時には蕎麦屋に出掛けて、小鉢の盛り付けや蕎麦汁の補充をしておく。今日も36℃という予報が出ていたから、相当に暑くなるらしい。暑さも続けばお客も慣れてくるから、蕎麦を食べに来てくれるのです。エアコンを入れたまま家に戻り、女将の作った親子丼を食べて、エアコンを効かせた書斎でひと眠りです。今日は朝飯前のひと仕事があまり大変ではなかったから、眠りも浅くすぐに目が覚めてしまいました。コーヒーを入れて目を覚ます。

 早めに家を出たので、まだ家々の日影があった。みずき通りを渡ったら、もう日影はないので、エアコンの効いた蕎麦屋の涼しさを頼りに頑張って歩くのでした。やっと蕎麦屋に着いて、幟と看板を出したらチェーンポールを降ろす。店の中は涼しくて生き返るようなのです。今年の暑さは去年以上なのではないか知らん。30℃で暑い暑いと言っていた昔を思い出すと、人間もまた環境に順応してきたのだろうかと思う。熱中症という言葉も最近のものだ。

 蕎麦打ち室に入って、41%の加水で蕎麦を打てば、しっとりとした生地に仕上がった。蕎麦粉も残り少なくなってきたから、明日は果たしてどれだけ打てるのか。蕎麦粉の届く時間まで何とか持てば好いけれど。今日は11食の蕎麦を用意して、お客を迎えることになる。週末だから足りなくなることもあるだろうけれど、せめて1時までは持って欲しい。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、開店の準備を進める亭主。開店前にやはりお客がやって来た。

 続けてもう一台車が入って、見れば宅配便の若者で、よくいらっしゃる方でした。先に入ったご夫婦がメニューを見て考えている間に、若者はいつものヘルシーランチセットの天せいろをご注文。二人の夫婦も続けてヘルシーランチセットの注文だったから、女将が野菜サラダや蕎麦豆腐を出している間に、亭主は天麩羅を揚げるのでした。その間に、カウンターにリピーターの親父様が座って、せいろ蕎麦にアカイカと白海老のかき揚げを頼まれる。

 まだ12時前だったけれど、女将も忙しい。「蕎麦豆腐はもう一つありますか?」と若者が言うけれど、今日はもう売り切れ。カウンターの親父様は「白海老は次に来る時もあるかね?」「なくなればまた仕入れますよ」前回も同じ注文だったから、よほど気に入ったらしい。午前中の四人が食べ終わったのが12時過ぎで、少し時間があったから急いで洗い物を済ませてしまう。案の定、後半のお客が続々と来店して、最後は1時過ぎ。お蕎麦売り切れの看板を出す。

 2時半には女将と家に戻り、冷たい梨を剥いてもらった。亭主は涼しくなった書斎に入って、今日のデータをパソコンに入力したらひと眠り。4時に目覚めて急いで蕎麦屋に出掛けて、片付けと天つゆ作りに蕎麦汁の補充。小鉢も蕎麦豆腐もなくなっていたから、作らなくてはいけなかったけれど、女将に夕飯の買い物を頼まれて、ショッピングセンターまで出掛けて、果物と夕食に鰻を買って帰るのでした。明日は早朝からまた忙しくなりそうなのです。



7月30日 日曜日 二日続けて地域の盆祭りで …

 四年ぶりで地域の盆踊り大会が開かれて、夕べは1kmほど離れた団地の中央の公園から、太鼓の音や盆踊りの音楽が聞こえていました。暗くなってから、今度は花火の音が聞こえるので、二階の窓から眺めたら、綺麗に大きな花火が見えたから、女将を呼んで二人でしばらく眺めたのです。お袋様も、近くの集会所で行われていた盆踊りの練習には、顔を出していたらしい。夏の風物詩として、長い間人々の生活に潤いを与えてくれたので、郷愁があるのです。

 今朝は6時に蕎麦屋に出掛けて、一回目の蕎麦打ちを済ませる。加水率41%でしっとりとした生地を畳み、均等の厚味で切りそろえていく。昨日は小鉢もすっかりなくなっていたけれど、朝の1時間では蕎麦汁を補充してもう時間切れなのでした。7時過ぎに家に戻れば、昨日の晩に寿司や鰻を買って食べたものだから、用意した冷しゃぶがそのまま食卓に載って、朝から豪華な食事なのです。食後は涼しい書斎に入ってひと眠りする亭主。

 今日の小鉢が気になって、10分ほどうととうとしたらもう目が覚めて、8時半には家を出て蕎麦屋に向かうのです。外は涼しい風が吹いて、思ったほどに暑くはなかった。強い朝の陽射しを避けて、家々の日影を辿ってまずは通りの突き当たりまで進み、高台にある家の影でひと休み。蕎麦屋までわずか300mなのに、まるで南の孤島に漂着した寅さんのように、日影を求めて進むのです。みずき通りを渡ればもう日影はないから、エアコンの効いた蕎麦屋を目指す。

 日影の風は涼しくても、陽射しがあると熱風に変わる。冷房の効いた蕎麦屋の中に逃げ込んで、朝の仕事を済ませるのでした。蕎麦打ち室に入って二回目の蕎麦を打ち、厨房に戻って今日の小鉢に夏野菜の焼き浸しを作る。冷蔵庫に残っていた野菜を集めたから、彩りも今ひとつなのでしたが、何とか10人分の小鉢を作って、野菜サラダの具材を刻み始めるのです。11時を過ぎるともう駐車場に車が入ってくる。ちょっと早すぎるから、サラダを優先するのです。

 今日も12時前に三組のお客が入り、大盛りのお客が多いので、生舟に残った蕎麦の数が気になる。一度に入って来るから、後から来たカウンターのお客はどうしても料理を出すまでに時間がかかる。お客も亭主が一人で調理しているのが見えるから、黙って待ってくれるのです。今日の最後のお客は、カレーうどんのご主人と鴨せいろの奥様の常連さんで、車が一杯で入れなかったのだと言う。全部出し終えて1時20分。ちょうど好い時間なのでした。




7月31日 月曜日 例年のことだが祭りの翌日はお客が少ない…


 朝の5時半には、家々の影が長く伸びて、涼しい風が吹いているのでした。蕎麦屋に出掛けて、まずはデザートの水羊羹を仕込む。冷蔵庫から糠床を取り出して、夕べ漬けておいたキュウリとナスとカブを切り分ける。昨日残った煮物の小鉢と合わせて、今日は9鉢だけの用意なのです。祭りの次の日はお客が来ないとデータが物語っているから、万が一にも、10人を超えることはない。去年もお客は二人だけだったと、夕べ女将に言われたのです。

 朝の6時過ぎの店内は、日が差し込んで明るいのです。洗濯物を畳んで、洗濯機に入ったままの昨日の洗濯物を干したら家に帰る。今朝は昨日のカレーの残りがあったので、レンジで温めて早めに朝食を食べる。やはり、八人分のカレーだから、一人分の分量が多すぎて丼に入りきれなかったのです。早く食べ終えれば、それだけ食後のひと眠りがゆっくりと出来るから、今日は30分以上ぐっすりと眠れた。夕べも9時に寝て5時まで起きなかったというのに。

 9時前には家を出て、蕎麦屋の前の通りまで頑張って歩く。もう陽射しは真夏の暑さだったけれど、向かいの畑のひまわりがだいぶ育ってきたので、写真に撮っておきました。まだ花は咲いていないけれど、青空と森を背景に、今年の暑中見舞いに使えそうな画像なのでした。今年は暑すぎたせいか、蕎麦屋も忙しかったからか、花の写真もきちんと撮っていなかったから、なんとかこれで勘弁してもらおう。親戚と友人だけだから許されるでしょう。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。加水率 41.4%が、今までになく打ちやすいことが判ったのです。昨日残った4束の蕎麦と合わせて、9束の蕎麦を用意しました。ちょうど小鉢の数と同じで、なくなるときは一緒だから、区切りが好い。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻みながら、昨日売り切れた天麩羅の具材を切り分け、お客は来ないだろうとは思っても、最低限度の支度はしておくのです。

 明日が休みだから、野菜サラダの具材も残らず使って大盛りになってしまう。開店前に何時も来る常連さんが、珍しく早くいらっしゃる。「暑いねぇ」といつもはカレー蕎麦とビールを頼むのに、今日は冷たいとろろ蕎麦の大盛りをご注文なのでした。暖簾を出してBGMの音楽を流して、お茶と割り箸とお手拭きをカウンターの隅まで持って行く。ビールの付け出しには茶豆を解凍して、小鉢に入れてお持ちする。とろろ芋を擦って蕎麦を茹でるだけだから簡単。

 スタッフが来て会計をしてくれたけれど、これが今日最初で最後のお客なのでした。1時を過ぎたら賄い蕎麦を食べて、1時半には持ち帰る食材を整理して、天麩羅を揚げる。昨日までのお客が多かったから、今日のために用意したものだけ残った。2時前にはスタッフを帰して、大釜を洗ったり、最後の片付けを済ませるのです。7月も今日で終わり、売り上げは4年前と同じに戻ったけれど、夜の営業をしていない分、辛うじて黒字の月なのです。