2023年7月下旬




7月20日 木曜日 梅雨明けまでもう少しの辛抱か …

 昨日は、病院・買い物・夜のパトロールと8000歩近い距離を歩いて、ぐっすりと眠ったから、今朝は5時には目が覚めて、蕎麦屋に出掛けて蕎麦を打つ。夕べ漬けておいたお新香も糠床から取り出して小鉢に盛り付けた。加水率を42%弱で蕎麦粉を捏ね始めたら、やはり生地が少し柔らかくなった。打ち粉を振って何とか切り終えたけれど、切りむらがあるのはまだまだ未熟な証拠。7時過ぎに家に戻って女将の用意してくれた朝食を食べるのでした。

 食後に書斎に入って少しだけ横になろうと思ったけれど、10分ほど眠ったらもう目が覚めたのです。それでもこれが大事なこと。早朝の1時間半のひと仕事の疲れがリセットできるのです。再び蕎麦屋に出掛けて、朝の仕事を終えたら、早速、蕎麦打ち室に入って二回目の蕎麦を打つ。今度は41%の加水で絶妙の硬さの生地に仕上がり、包丁の刃にもくっつかずに、均等な蕎麦が打てたのでした。今日は昨日よりも少しだけ気温が低く、エアコンが効いていた。 

 エプロンに付いた蕎麦粉を払いに玄関に出れば、雲は多いけれど青空が覗いて陽も差している。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、いつものように三皿だけ盛り付けてカウンターに並べるのでした。電話の鳴る音に気が付いて、出てみれば「7人で伺いたいのですけれど、ご迷惑かしら?」と言うので「もっと大きなお店に行かれた方が好いのではないですか。うちはテーブルも四人しか座れませんので」と体よくお断りしたのでした。

 もう少し若い頃なら、すぐに引き受けて売り上げも伸ばせたのでしょうが、開店間際に7人の注文を一度に受けても、まだ女将の来ない時間帯では、お客を待たせることになるから、逆に申し訳ないのです。それが好かったのか悪かったのか、今日は7人もお客が来なかったのです。それでも、暖簾を出したらすぐに車が2台駐車場に入って、3人のお客がご来店なのでした。3人ならば亭主一人でもすぐに対応できる。蕎麦を茹でて天麩羅を揚げるのでした。

 昼過ぎに女将がやって来て手伝いに入ってくれたのです。3人分の盆と蕎麦皿を下げて洗い物を済ませれば、傍らの女将がすぐに小皿や小鉢、蕎麦猪口を拭いて片付けてくれる。盆と蕎麦皿、蕎麦徳利はカウンターに並べて乾かすのです。昼を過ぎて車がもう1台入って来て、浴衣姿の若い女性がカウンターに座ってぶっかけ蕎麦をご注文。亭主は注文の品と蕎麦湯を出したら、奥の座敷でひと休みする。後で女将が言うには、民謡の会に参加した帰りなのだとか。

 閉店間際に、隣町の常連さんがいらっして、いつものせいろ蕎麦と辛味大根を頼まれる。普段は快活な方なのに、今日は元気がないと思ったら、暑さにやられたと言うのでした。辛味大根も小鉢も残して今日はお帰りになる。梅雨が明ける前に、もう夏ばての始まる時期なのかも知れない。暑さの中を女将と家に戻って、冷たい桃を剥いてもらった。ひと眠りして夕刻には業者の若者が食材を運んで来るのを待ちながら、明日の仕込みをする亭主。コーヒーを出して話をすれば、若い彼氏も今週は熱中症気味だったのだとか。



7月21日 金曜日 一転して涼しい一日でした …

 庭に続く入り口に植えた木槿が伸びてきたから、この間、剪定したばかりなのに、もう花が咲いているから驚きました。この木も挿し木で根付いた一本だから、元来が強い植物なのでしょう。今朝は5時半に蕎麦屋に出掛けて、今日飲むほうじ茶をグラスに三杯分作ったら、夏野菜の焼き浸しを作る。今週はなた漬けを作って、ぬか漬けも漬けたから、小鉢に不足はなかったけれど、週末の忙しい時期に次の小鉢を作るのは大変だからと、仕込んでおくのです。

 作り終えたら、カウンターに干してあった昨日の洗い物を片付けて、洗濯機の中に洗ったままになっていた昨日の洗濯物を干して、7時過ぎに家に戻るのでした。朝食は昨日仕入れた鮪のネギトロを酢飯に乗せて、葱と卵で美味しくいただく。現在は、コロナ禍でお客が減ってからというもの、蕎麦屋でご飯物は出していないのですが、次にご飯物を始めるときのために、家でいろいろと作って試食しているのです。それが何時になるのか、亭主にも判らない。

 食後は冷房の効いた書斎に入って10分ほど横になったけれど、最近は、夜がよく眠れているからか、少し眠っただけでもう目が覚めてしまうのです。9時前に蕎麦屋に出掛ければ、今朝は昨日とは違って、少し涼しい風が吹いていました。朝の仕事を終えたら蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打つ。加水率は41は%にして蕎麦粉を捏ねれば、ちょうど好い硬さで、伸して畳んで包丁切りをする。切りむらもなく、綺麗な蕎麦が打てたので嬉しかった。

 厨房で野菜サラダの具材を刻んでいると、急に激しい雨がザーッと降ってきて涼しいのに、ますます涼しくなって、店の中はエアコンで寒くなってくる有様。こんな日もあるのだと梅雨の明けない夏の日の一日。青空が覗いて、沢山の鳩が電線に止まって休憩しているではありませんか。暖簾を出してもお客は来なくて、とうとう閉店の時間まで一人も現れなかったから、何ヶ月ぶり。手伝いのスタッフが来てくれたのに、あまり仕事がなくて申し訳なかった。




7月22日 土曜日 昨日よりは暑くはなったけれど …

 昨日の涼しさに慣れてしまったせいか、今朝の陽射しはとても暑い気がしました。それでも明け方は気温が低かったので、夕べはぐっすりと眠れたのです。佐倉近辺はすっかり空梅雨で、これでも梅雨は明けていないのかと思うほど。今日は昨日の蕎麦がそのまま残っているから、蕎麦を打たないことにして、9時近くに家を出て、みずき通りを渡るのでした。陽の出ている分、じわりじわりと暑くなってきて、蕎麦屋に着く頃には汗をかく有様です。

 それでも店の中はまだ26℃と涼しく、朝の仕事を終えたら、早速蕎麦打ち室に入って、昨日の蕎麦の状態を確認するのです。14束の蕎麦が好い状態で残っているので、今朝は蕎麦を打たなくても大丈夫。大釜に火を入れて、お茶のポットを用意したり、小鉢の確認をしたり、山葵を新しく容器から移したりと、細かな仕事を済ませておくのでした。いつもの時間よりも少し早く野菜サラダの具材を刻み始め、女将がやって来て洗濯物を畳んで店の掃除をしてくれた。

 エアコンを入れても、すぐに涼しくなるので、やはり朝の涼しさが影響しているらしい。換気のために少しだけ窓を開けておくのですが、今日はそれでちょうど好い。11時過ぎにはもう駐車場に車が入って、店の中で待っていただいたら「この間は外で待っている女性もいらしたので」と言うご夫婦。天せいろとせいろ蕎麦と奥様が純米吟醸の「藤娘」を頼まれて、白海老のかき揚げとアカイカの天麩羅を注文された。続けて車が一台二台と入って昼前にもう満車。

 せいろ蕎麦を頼まれた老人が、やはり白海老のかき揚げとアカイカの天麩羅を注文して、美味しそうに食べていらっした。テーブル席からは先ほどの奥様が「白海老を値上げしなくて好いの?」とおっしゃる。どれだけ出るか判らなかったので、取りあえず掻き揚げ二つで150円にしてあるのでした。ところが、出してみると仕入れ値よりも安いことが判ったので、何とかしなければいけない。食べ慣れたお客の言うことも聞いておくべきなのです。

 外は曇りの予報だったのに、雲は多かったけれどずっと晴れて、昼過ぎには気温も上がってきました。12時半を過ぎて、しばらくお客が来ない時間帯があったので、亭主は蕎麦を茹でて大根おろしと山葵で昼を済ませておく。ところが、こういうときに限って次のお客が来るもので、急いで食べ終えて対応するのでした。とろろ蕎麦と天せいろのご注文で、天麩羅を揚げながらとろろ芋をすり下ろすのです。店内は人気もなく、和やかな会話をしてお帰りになる。

 折角、作った野菜サラダは今日も売れのこってしまった。最後のお客にサービスで出しても好かったけれど、調理に夢中でつい忘れてしまったのです。お客がそれほど多くなかったから、洗い物はその都度終えて、2時過ぎには女将と蕎麦屋を出られた。一番暑い時間に家に帰るから、僅かな距離を歩いて汗だくになる。昨日のサラダも残っていたから、夜はしかたなく亭主がお好み焼きを作るのでした。波乱の大相撲を夫婦で見れば、女将が「エーッ」と叫ぶ。



7月23日 日曜日 昼の暑さとお客の数が戻って来たか …


 今朝も涼しかったから、ぐっすりと眠れたのです。5時には起き出して、珈琲を一杯飲んで蕎麦屋に出掛ける。昨日の洗い物を片付けて、蕎麦汁を補充したら、エアコンを入れたまま家に戻って、女将の用意した朝食を食べる。マグロの手巻き寿司に茄子焼きと豚汁が出て、朝から豪華な食事なのでした。解凍した鮪は早めに使い切らないといけないから、どうしても続くのは仕方がない。亭主は納豆巻きも食べたいのだけれど、鮪の処理に追われるのです。

 朝のうちに少しは動かなければと、蕎麦屋から50mほど歩いて、駅前の高層マンションの見えるところまで来たら、写真を撮っておく。蕎麦屋の隣のお花畑には、次の季節のひまわりが植えられて、夏の楽しみがまた増えた。今朝は800gの蕎麦を打って、9食分の蕎麦を用意したら、昨日の残りと合わせて14食。今週のお客の来店具合からすると、これで十分な気がするのでした。先週が連休だったから、気温の下がったのと合わせて、少しは数が減ると読んだ。

 テレビのニュースを見ていても、梅雨が明けたのかがはっきりとしないのは、最近の傾向か。女将が来て何処の新聞には梅雨明けと出ていたけれど、家の新聞には載っていなかったと言う。気象庁が言うよりも、最近の天候から、自分で勝手に梅雨が明けたと考えた方が無難なようです。とにかく朝は涼しいけれど、このところ晴れが続いて日中は暑くなる。厨房に入って野菜サラダの具材を刻み、今日はどんなお客がいらっしゃるかと楽しみにするのです。

 最初のお客が開店の時刻に合わせてご来店で、今日も駐車場はすぐに満杯になった。前半のお客が帰った後で洗い物を済ませたら、1時前から後半のお客がいらっして、また駐車場は満杯。間が空くから洗い物も出来て、今日は人数の割には楽なのでした。初めてのお客も結構いるから、上手く天麩羅を揚げて蕎麦を茹でなければと緊張するのです。2時過ぎには真夏の陽射しを浴びながら、女将と家に戻ってひと休み。亭主はざるラーメン餃子で遅い昼を食べる。

 思ったよりも蕎麦が出たので、今日よりも暑くなると言う明日のために少し残った蕎麦を食べずに帰ったのでした。向かいの畑は新しく借りたという農家が耕して、道路際にはひまわりを植えたらしい。畑は耕されてこそなんぼのものだから、美しい風景に感動。相変わらずシマダヤのつけ麺と大阪王将の冷凍餃子だったけれど、蕎麦屋の蕎麦を食べるよりは安く上がるので我慢するのでした。ひと眠りして、夜は女将と大相撲の千秋楽を興奮しながら観る。




7月24日 月曜日 やはり梅雨は明けていた …


 今朝は5時に目覚めて、5時半には家を出て歩いて蕎麦屋に出掛けました。このところ足の調子が悪かったので、車に乗っていくことが多かったけれど、いつまでも自分を甘やかしてはいけないと、わずか300mの距離だから歩いてみたのです。右足に若干の違和感はあるものの、痛いわけでもないのですが、潰れた右足の親指の軟骨が歩きにくくしているのです。蕎麦屋の向かいの森から朝日が昇って、今日も暑い一日になりそうなのでした。

 厨房に入って、昨日の洗い物を片付けて、蕎麦汁を詰めたら、小鉢を盛り付けておきます。それから、朝飯前のひと仕事のメインである南側のミニ菜園の草取りを始めたのです。ついこの間草取りをしたばかりだと思っていたら、もう雑草が生い茂り、蔦が絡まっているので、お隣にも申し訳ないと思っていたのでした。90㍑のビニール袋が一杯になるまで頑張って、汗だくになってしまいました。朝の涼しい時間帯しか出来ない仕事です。

 家に戻る帰り道は、まだ太陽が高く上がっていないので、日影が続いて涼しかったけれど、汗だくになっているので、来ている物は全取っ替えなのでした。朝食を終えてひと眠りしたら、またこの道を歩いて蕎麦屋に出掛けるのでしたが、その時間にはもう日影はなくなって、ジリジリと夏の太陽が照りつけるのです。エアコンを入れておいた蕎麦屋に着いてホットする。幟と看板を出してチェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。

 加水率41%で蕎麦粉を捏ねて、ちょうど好い硬さで蕎麦玉を作って寝かせる。その間に厨房に戻って薬味の葱を刻み、大根をおろしておきます。明日はお休みだけれど、今日の食材は揃えておかなければならないから、蕎麦を打ち終えてからも、蓮根の皮を剥いて、輪切りにしたら鍋に入れて湯がく。南瓜も足りないといけないので種を取って切り分ける。野菜サラダの具材を刻むまでに、細かな仕事か沢山あるのでした。それでも11時過ぎには仕込みが終わる。

 外はだんだんと暑くなり、エアコンを効かせた店内も27℃まで室温が上がってきた。外は34℃まで上がると言うから、果たしてお客は来るのか。午前中は客の姿もないので、手伝いのスタッフがやって来たら、西側の小径に木槿の花殻が散っているのを掃いていたのです。見慣れた高級外車が駐車場に入って来たので、見れば習志野からの常連さんの母娘で、今日もお孫さんを連れていらっした。天せいろを二つ作ってお出ししたら、次のお客がやって来るのです。




7月25日 火曜日 日中は酷い暑さでした …


 今朝も5時前には目が覚めて、コーヒーを一杯飲んで蕎麦屋に出掛けました。朝飯前のひと仕事は、洗濯物を畳んで昨日の洗い物を片付けたら、駐車場に出てモミジの枝を長鋏で切り落とすこと。先日、手前だけは切っておいたから、奥の長く伸びた枝を一本一本丹念に挟んで切っていくのです。まだ6時前だというのに、向かいの畑の親父様がやって来て、畑で取れたばかりのキュウリをくれながら、「ちょうど好い具合に切りそろえているね」と言う。

 時間があったから、西の小径の木槿やタラの木も剪定したら、ビニール袋が一杯になる。まだ陽が差していないので、汗もかかずに仕事を終えることが出来たのです。家に戻って朝食を食べ終えたらいつものように書斎に入ってひと眠り。エアコンが効いているので1時間近く眠って、お袋様に電話をして仕入れに出掛ける。農産物直売所では、帰りがけに馴染みの農家の親父様がオクラを沢山持って来て、「昨日の残りだから」と手渡してくれたのです。

 今日は月末の火曜日だから床屋に行く日。珍しく誰もいない店に入って、髪を刈ってもらうのでした。「土曜日に梅雨が明けたんだってね」と話をすれば、「梅雨が明けたの?」とやはり知らなかったらしい。テレビでもあまり放映していなかったのです。亭主よりも10歳も年上の親父様は、昔のことをよく思い出すらしく「最近は潜りに行かないのか」とか「釣りに行っていないのか」と言うものだから「電車にも乗らずに暮らしていますよ」と応える亭主。

 「歳を取ったら遠くまで行かなくても好いんだよ」というのが、若い頃は床屋をやりながら船に乗って、世界中を旅したという親父様の考えで、二人の意見が合ったのでした。昼食は久し振りに蕎麦屋で残った蕎麦を茹でて女将と食べる。新蕎麦になってからは初めてのことなので、とても美味しくいただいた。先週は珍しくお客が少なかったのです。食後は女将のスポーツクラブの予約を済ませてから、書斎に入ってひと眠りする。外は暑い最中です。

 夕飯の前に蕎麦屋に出掛けて、残っている一番出汁や二番出汁で来週の天つゆや蕎麦汁を仕込む。それでも週末には足りなくなるから、干し椎茸と昆布を水を入れた鍋に浸しておくのです。食堂に飾ったカサブランカは、母の日におまけでもらった球根から目が出て咲いた一輪。花が重いからと切り花にしたのですが、香りが強くて居間に入るだけでももう香ばしい。今朝もらって来たオクラを茹でて、ポークステーキを小さく切って、酒の肴にするのでした。




7月26日 水曜日 今朝は家にいて朝飯前のひと仕事 …

 蕎麦屋の駐車場の剪定が一区切りついたので、今朝は家の裏手の無花果とタラの木などを切り始める。5時から起きているのに、なかなか身体が動かないから、6時になってやっと剪定ばさみを持って外に出たのです。蚊に食われないようにと長袖長ズボンで裏庭に出たけれど、足元や手首にしっかりと刺されていました。以前は、狭い裏庭はすべて亭主が手入れをしていたのですが、やはり年齢と共に蕎麦屋と両方は出来なくなり、大きな刈り込みだけをする。

 切った枝は女将が後で暇を見てゴミ袋に詰めてくれるから、亭主は30分間、猛烈な勢いで枝を切るのです。ついでに玄関から庭に出るところに植えてある団扇サボテンが、また伸びてきたので、庭に出るときに棘が刺さってもいけないと、切っておくのでした。今日も朝から汗をかいて、家の仕事は女将に感謝されるから、やり甲斐があると感じるのです。暇があれば涼しい朝にいつでも仕事をするのだけど、蕎麦屋では朝飯前のひと仕事が待っているのです。

 今朝も食事を終えたらいつもの時間に家を出て、蕎麦屋に向かうのでしたが、今日は昨日よりも少し暑いのでした。朝がこの間の頃よりも気温が上がっているらしく、蕎麦屋の中も30℃を越えていたのです。エアコンを20℃強風の設定で入れて、扇風機を回しながら厨房に立つ。出汁取りに準備しておいた鍋に火を入れて、隣で南瓜を二番出汁で煮はじめる。小豆が残っているから、まずは小鉢の一品目として、従姉妹煮を作っておくことにしたのです。

 出汁取りには、一番出汁、二番出汁と取って冷やせば、どうしても小一時間はかかるので、蕎麦汁を作りながらじっくりと待つ。その間に、煮えた南瓜に出汁醤油と砂糖を加えて、冷ましたらタッパに入れて冷蔵庫で保存しておきます。使った鍋類を洗って10時半。午前中の仕込みはこのくらいがちょうど好い。今日は夜のパトロールもないので、午後は好きなように使えるのです。家に戻って、久し振りに素麺を茹で、残った野菜や蕎麦豆腐を女将と食べる。

 馴染みの農家の親父様にいただいたオクラは、女将が塩ずりをして茹でて切っておいてくれたから、素麺と一緒に茹でた梅干しを添えて美味しくいただいたのです。暑さの厳しくなる午後は、食休みを兼ねて書斎でひと眠り。女将はスポーツクラブに出掛けていく。どう考えても彼女の方が元気なのです。亭主は冷たく冷えた幸水を剥いて、丸かじりしながらテレビでアカデミー賞の受賞作を観る。女将が帰ってやっと重い腰を上げ、午後の仕込みに出掛ける。

 洗いかごに入れたままの鍋類を片付けたら、午前中に作った蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めて、天麩羅の具材を切り分けて容器に入れる。明日のデザートや蕎麦豆腐は明日の朝に仕込む事にして、糠床にお新香を漬けて午後の仕込みを終わりにするのでした。5時過ぎに家に帰って夕食を食べたら、6時半からはプールに出掛けてひと泳ぎするのです。今日は十分に休んでいたから、身体の調子も好かったから、帰りにスーパーに寄って酒の肴に冷凍食品を買った。




7月27日 木曜日 今日は朝から暑い一日でした …

 今朝は4時起き。夕べは10時にはもう眠りに落ちていた。月・水と夜にプールに行く習慣がやっと戻って、健全な生活に復帰した気がするのでした。しかし、動き出すまでには、やはり時間がかかるので、居間の椅子に座ってひと休みです。5時なったら出掛けようと決意して、歩いて蕎麦屋に行けば、朝は少し雲が出て陽射しが遮られので、幾分、涼しいのでした。店のエアコンを入れて、蕎麦打ち室に入ったら、今日、一回目の蕎麦を打ち始めるのです。

 厨房に入って糠床からお新香を取り出して、南瓜の従姉妹にと共に小鉢に盛り付けておく。蕎麦玉を寝かせている間に仕込んだ蕎麦豆腐も水羊羹も固まって、後はすべて冷蔵庫に収納して朝飯前のひと仕事は終わりです。家に帰る頃には、雲も晴れて陽射しが暑い。今日も36℃になると言うから、暑すぎてお客が来るかどうか。暑い平日の昼にわざわざ蕎麦を食べに出掛ける人は、あまりりいないだろうと考えてみても判るのです。

 それでも朝食後のひと眠りを終えて、また歩いて蕎麦屋まで出掛ける亭主。木曜日の朝の習慣で、二回目の蕎麦を打つのでした。今日は昼から女将が手伝いに来てくれるから、万が一、お客が沢山来た場合に、蕎麦がないのでは話にならないのです。今月の半ばまでは本当に木曜日が混んでいたのです。しかし、ちょうど夏休みが始まってからというもの、暑い平日にはお客が来ないという日が多いのです。今日も女将が来るまでお客は一人も来なかった。

 1時前にやっとご夫婦のお客がいらっしたけれど、ご主人はカレーうどんのご注文なのでした。今朝打った蕎麦を食べてくれたのはおろし蕎麦を注文した奥様だけなのです。この暑い中をお客が来てくれただけでも喜ばなければならないと言うくらいの暑さで、頃合いを見計らって、亭主は端切れの蕎麦を茹でてぶっかけにして賄い蕎麦を食べるのでした。閉店の時刻の2時にはもう女将を帰して、亭主もガスや電気と明日の準備の確認をして家に戻るのです。

 涼しい書斎で1時間ほど昼寝をしたら、今日は業者の若者が食材を届けに来るので、また蕎麦屋に出掛ける。コーヒーを入れる支度だけしたら、昼間、カレーうどんが出て、残り少なくなってきたから、カレーの仕込みを始める亭主。家で女将が買ってあった鶏肉を半分分けてもらって、あとはすべて店にあるもので揃った。油で食材を炒めたら、1㍑ほどの出汁で煮込んでルーを入れる。その間に業者の車が到着したから、コーヒーを入れて荷物を受け取る。

 今日はいつになく早い時間だから「今日は随分早いね」と言えば「どこも暑さでお客が少なくて注文がなかったのです」と言う。カウンターのホワイトボードを見て「しら海老の掻き揚げ、まだこんな値段で出しているんですか?」と言われて「知っている人は安すぎると言うけれど、知らない人にはね」「何処の店でもこの倍の値段ですよ」「そうじゃないと採算は取れないだろうね」暢気な亭主なのです。価格をそろそろ見直さなくてはいけない時期か。