2023年6月末




6月27日 火曜日 霧の濃い朝でしたが …


 午前5時に目が覚めて窓を開ければ、家の道路の前まで真っ白な霧に覆われ、これは凄いと思って蕎麦屋に出掛ける用意をしていたら、玄関を出ればもう霧はそれほどでもないのでした。短い時間で気温が上がったのでしょう。昨日の洗い物の片付けをして、空になった蕎麦汁の徳利を更に並べて、冷蔵庫に入れておきます。コーヒーを入れて今朝の仕事の段取りを考えるひととき。BGMには小野リサの歌う「ドッグ・オブ・ザベイ」をリピートで流している。

 寂しくもの悲しい曲なのだけれど、彼女が歌うと何故か心が癒やされる。8月にはまた関内でのコンサートがあるようだけれど、お互いに歳を取ってきたから、CDで聴いているだけの方が好いのか。出汁を取るのは好いけれど、返しがどれだけ残っているかを調べないといけない。昨日の午前中に届くはずだった再仕込み醤油は、夕方の6時過ぎに配達に来たらしいが、当然、再配送で、電話をして木曜日の午前中にお願いした。残っていた返しで蕎麦汁を作る。

 7時前に家に戻って、朝食には珍しくパンとベーコンエッグにしてもらった。新しいトースターは冷凍してあるパンもこんがりと焼けるから素晴らしい。若い頃なら、こんな量では足りなかったけれど、歳を取ると日常生活の活動量が減る分、食べる量も少しで済むのです。食後はひと眠りをせずに、パソコンで打ち出した買い物リストを眺めて過ごす。蒸し暑いからとハーフパンツで出掛けたかったが、長ズボンをはいてお袋様を迎えに行くのでした。

 農産物直売所では、いつも買う農家の親父様がトマトを運んで来たから話を聞くと、今年は早くから暑すぎてトマトがあまり美味しくないと言う。値段も半分にして出しているから、自信のなさがよく判るのです。茄子やピーマン、キュウリなどの夏野菜は、立派に仕上がっているからもらって帰る。隣町のスーパーで買い残した野菜類を仕入れ、蕎麦屋に戻って冷蔵庫に収納したら、月に一度の床屋に出掛ける亭主なのでした。さっぱりとして家に戻るのです。

 昼は昨日揚げて帰った天麩羅を焼いて、残った蕎麦を茹でて女将と食べる。食後に書斎に入ってひと眠りをしたら、女将のスポーツクラブの予約の時間に迫られて、緊張するひととき。女将は稽古場で書を書いている。無事に予約が取れたので、亭主は蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みに入るのでした。店の中が暑いからと入れたエアコンは1時間もすると止まってしまう。タブレットの調子も悪い。切り干し大根の煮物を作る準備をしてフライパンを取り出す。

 昨日の洗濯物を干したら、もう今日は終わりにしようと家に帰るのでした。夕刻まで、新しい看板やメニューの作成でパソコンに向かう。暑くなったのでキノコつけ蕎麦を外して、「月曜と金曜は亭主一人の営業のために、8食しか蕎麦を打たない」と看板に入れることにしました。メニューの方はまだ完成していない。業者やお客に、「これでは原価だ」と言われたアカイカの天麩羅や白海老のかき揚げは、値段を上げておかなければいけない。夕食は鰯と肉じゃが。



6月28日 水曜日 真夏の様な暑さの一日でしたが …


 今朝は久し振りにゆっりとして、9時過ぎに蕎麦屋に出掛けようと玄関を出れば、洗濯物を干しに出た女将が「もう真夏だわね」と言うのでした。四種類の木槿も次々と花を開いて、今年は何時もの年よりも早いのかも知れないと思う亭主。蕎麦屋に着いても、室温は27℃でエアコンを入れるけれど、一時間もすると切れてしまうから、やはりまた修理をしてもらわなければいけない。原始的な扇風機の首振りだけが音を立てて涼しい風を送ってくるのです。

 調子の悪かったタブレットも、リセットをしたら今度はインターネットに繋がらなくなってしまったから大変。そもそもが使っていたプラウザが古くなったので、更新すべきだったのに、やり方が判らないうちに使えなくなってしまった。もう10年も使っているから何もかも忘れているのです。コーヒーを入れながら、昨日の日記を読んだのが最後なのでした。水羊羹と蕎麦豆腐を仕込んだら、まだ少し悪戦苦闘するのだけれど、これも業者を呼ぶしかないのか。

 早めに家に帰って、女将の作った鰯の蒲焼き丼を食べる。午後は大谷選手の出る野球をテレビで観る。一試合に二本のホームランを打って大活躍をするのでした。しかも勝利投手だから、普段、あまり野球など見ない亭主も、つい最後まで観てしまうのです。涼しい廊下に出れば、女将が漬けたらっきょうの瓶が並んでいた。昔はこれを10個も漬けたというから、大変な事だ。暑い八月になったら食べられると言うけれど、もう暑い時期なのです。

 2時過ぎに蕎麦屋に出掛けて、午後の仕込みを始めるのでした。まずは空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めて、小鉢を盛り付けて起きます。エアコンの修理を頼もうと、コールセンターに電話をするけれどなかなか繋がらない。タブレットの iPad が wifi に接続できないのは、やはり、リセットを掛けてしまったからか。これは、何処に連絡をすれば好いのか知らん。便利な機器がいったん調子が悪くなると、もう手が付けられないのは、やはり歳を取ったせいなのか。

 明日の天麩羅の具材を切り分けて、糠床にお新香を浸けたら、昨日手に入らなかった赤のパプリカを捜しに、一番近い小さなスーパーに行ってみれば上手い具合に手に入った。夕刻からは雨になるという予報だったから、ちょっと期待していたけれど、雨雲は千葉まで南下してこなかった。早めに蕎麦を茹でて軽い夕食を食べて、ひと眠り30分。集合時間の7時に間に合うように、6時40分には家を出るのです。この時間でも28℃はあったから相当に暑いのでした。





6月29日 木曜日 11時前から駐車場にお客が来て …

 5時半には蕎麦屋に出掛ける湿った朝。西側の小径の様子を見れば、お隣のお花畑も綺麗に草刈りをして、蕎麦屋の側に生えた草も枯れ葉剤が効いて来たのか茶色く枯れていた。毎年、最後はこうやって草を根から枯らすのです。店の中に入れば厨房は室温25℃で、窓を開ければ清々しい朝なのです。夕べ漬けた糠床を冷蔵庫から取り出して、茄子と胡瓜と蕪を切り分け、小鉢に盛り付けておく。このほかに、南瓜と小豆の従姉妹煮があるから十分に足りる。

 蕎麦打ち室に入って、今朝は800gの蕎麦を打ちました。加水率は41%弱で、少し硬めに仕上がるかと思ったら、寝かせている間に今朝の湿気でちょっと柔らかくなる。この微妙な感覚は、実際に蕎麦を打っている者でないと判らないでしょう。130gずつ束にすれば、9束取れるはずでしたが、どうしてもいつもの習慣で、一束が135gになってしまうので、8束半しか取れなかった。打ち粉の分量を考えても、130gの方が一人分としては好いような気もするのですが。

 7時を過ぎたので家に帰る準備をする。女将の作った朝食を食べ終えて、今朝はひと眠りをしないで洗面と着替えを済ませる亭主。夕べは夜のパトロールで疲れて、10時に床に就いて今朝は5時まで目が覚めなかったのです。夜に6000歩も歩けば、十分な運動なのです。「行って来ま~す」と通りに出れば、通りの側にも木槿の花が沢山咲いているのでした。夏の花だというのに、今年は早くから暑いので、もう満開状態なのでした。むーっとした暑さの中を歩く。

 蕎麦屋に着いて看板と幟を出したら、チェーンポールを降ろして蕎麦打ち室に入る。二回目の蕎麦打ちは、今朝と同じく41%弱の加水で600gを打って、6束半の蕎麦を取るのでした。蕎麦玉を寝かせている間に、薬味の葱切りを済ませ、大根生姜をおろして、時間を少しずつ短縮していくのです。11時には仕込みが終わって、後は大釜のお湯が沸くのをまっているだけ、駐車場に車が2台も入ったので、急いで店の掃除を済ませるのでした。

 暑くなってきたので、あまり外でお客を待たせるのもどうかと思って、少しはエアコンの効いて涼しい店内に入っていただく。まだ開店20分前なのでした。どうしてこんなに早く来るのかと聞けば、「駐車場が少ししかないと聞いたので」と応えるご新規さん。車が三台も入れば小さな店はもう満席なのに、自分勝手な人が多い。女将に電話をしたら、まだ昼飯も食べていなかったのです。それでもおにぎりを作ってすぐに来てくれたから助かった。店はすぐに満席。

 あっという間に10人を越えたお客様がいらっして、蕎麦も天麩羅の具材も天つゆも残り僅かなのでした。外はもう30℃は優に超えているでしょう。常連の若いお客が、カボチャの従姉煮が初めてで美味しかったと言って喜んでくれた。カウンターの老夫婦のご主人が白海老のかき揚げを頼まれたら、先の常連さんも「食べたことがないから」とご注文なのでした。12時半にならないのに、最後に三人連れのお客が入ったところで「お蕎麦売り切れ」の看板を出した。




6月30日 金曜日 今日も暑くて、お蕎麦売り切れでした …

 今日で6月も終わり。今朝も5時には家を出て、蕎麦屋に着いてからコーヒーを入れるのでした。まだ気温は高くはないけれど、湿気が酷くて、昨日連絡をしたら、エアコンの修理が最短で今日の午後と言うから、首を長くして待っていたのです。玄関前の木槿もどこか暑そうで、蕎麦屋に着いて、向かいの森から日の出を見たけれど、どうもすっきりとした天気ではなさそうなのでした。何時雨になっても可笑しくないような空模様なのです。

 蕎麦打ち室に入れば室温は28℃。湿度は65%。今朝の湿度を考えると、加水率41%でもまだ柔らかくなりそうな気がしたので、この時期、初めて41%を切って加水したのです。ところが、それでも菊練りを済ませると、まだ少し柔らかい感触なのでした。蕎麦玉にして寝かせている間に、更に柔らかくなるから、今日はどうなるのだろうかと心配する。朝一番からこれでは先が思いやられるのです。朝のうちは、外の方が涼しいので窓を開け放って風を入れる。

 心配したとおり、包丁切りはかなり手こずった。打ち粉を振って生地がくっつかないようにはしたけれど、そもそもが生地の厚味が均一ではないような気がするのです。それでも何とか7束半の蕎麦を仕上げて、厨房に戻って、小鉢に切り干し大根を盛り付けるのでした。昨日の蕎麦が二束だけ残っていたので、大盛りが出たとしても、8人分はある計算。普段の金曜日なら、そんなにお客が来ることはないのだけれど、今日も暑くなると言うから分からない。

 大根をおろして野菜サラダの具材を刻めば、11時前には仕込みが終わって、店の掃除を始めるのです。一人で営業をする日は、どこか心細いもので、箸もおしぼりも八人分だけ用意しておく。玄関前の看板には、「月曜と金曜は八食限り」と明記しておいたのです。暖簾を出して10分ほど経った頃、見覚えのある高級外車が駐車場に入ってきたのです。見れば、数年前までよくいらっしていた娘さんとお母様。積もる話を聞いけば「変わらないですね」と言われた。

 そのうちに段々と店が混んできて「また来ますから」と言って帰られた。駐車場はもう満杯で、最後に歩いていらした家の近所のご夫婦は、カウンターの隅に座った。ほとんどの方が天せいろのご注文で、最後の奥様だけがせいろ蕎麦。大盛りも幾つか出たから、ちょうど用意した蕎麦がなくなったところで、「お蕎麦売り切れ」の看板を出すのでした。天麩羅の具材もちょうどなくなった。亭主一人の営業に同情してか、カウンターまで盆を下げるお客もいた。

 1時過ぎには歩いて年配の女性が二人いらっしたけれど、玄関まで亭主が出て「お蕎麦も天麩羅の具材もなくなってしまったのですよ。ご免なさい」と丁寧にお断りしたのです。亭主はうどんを茹でて、かき揚げを揚げて賄いうどんを食べる。片付けをしていたら、2時過ぎに業者から連絡があって、5分で着くと言う。去年の暮れに来てくれた人で、室外機のファンのモーターが壊れていると言う。過電流が流れて、替えたばかりの基盤まで交換することに。交換するのに20分。手際の良い仕事ぶりなのでした。快適な涼しさです。