6月上旬



6月5日 月曜日 今日の暑さも半端ではなかった …


 店の混んだ休日の翌朝は、朝がなかなか起きられない。目覚めたかと思ってもまた眠ってしまうのです。昨日の夜のうちに蕎麦汁を作って、小鉢を盛り付け、カウンターに干した洗い物を片付けてきたから、今朝は早く蕎麦屋に出掛けても、あまりすることがないのです。9時過ぎに家を出ても間に合うように、疲れたときにはあらかじめ準備をしてあるから安心。ただ、昨日よりも暑くなると言うからちょっと心配。蕎麦は8人分しか打たないと決めてある。

 蕎麦屋に着けば、玄関脇の紫陽花が、昨日よりも大きく花を咲かせているから驚いたのです。まだ、色がはっきりしないけれど、そのうち目の覚めるようなブルーの花になる。あまり素敵なので、植木鉢で買って来た小さなものを、しばらくは店の中に置いていたのだけれど、駐車場の植え込みの隙間に二箇所植えたのです。それが今では未央柳や柊南天や馬酔木よりも大きくなって、毎年、綺麗に花を咲かせてくれる。生命力の強い植物なのです。

 看板を出して幟を立てたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。いつもと同じ42%の加水で打ち始めたら、室温が25℃と高かったからか、捏ねていくうちに今日は生地が少し柔らかくなった。打ち粉をふってなんとかごまかしながら、蕎麦切りを済ませたのだけれど、当然、所々で切りむらが出来るのです。野菜サラダの具材を刻み、女将のいない分、店の掃除や洗濯物の処理などいつもより仕事があったけれど、無事に開店時刻に間に合って暖簾を出す。

 外はかなり暑くなってきたので、窓を少しだけ開けてエアコンを入れていたのだけれど、何時の間にか止まって本体のランプが点滅しているではありませんか。この間、修理に来てもらったばかりなのに。取扱説明書を見ながら、コンセントからプラグを抜いて、しばらくしてまた入れたら動き出したのです。インターホーンの修理を頼んだセキュリティー会社からも電話が入って、やはり有料じゃないと治らないと言う。10年経つとあちこちで不具合が出て来る。

 12時まではお客が来なかったけれど、それからぽつりぽつりとお客が入って、最初の女性客が、ヘルシーランチセットの天せいろを頼まれたから、嬉しかったのです。その間に、何組かいらっして、鴨せいろとヘルシーランチセット、リピーターのご夫婦はせいろ蕎麦の大盛りと普通盛り。駐車場の車が入れ替わって、何度も来て下さる、亭主よりも少し年上の品のいい女性客が、天せいろを頼まれて、最後のお客なのでした。年代が近いと、会話も弾むもの…。

 洗い物をする暇がなかったので、残った蕎麦を亭主が賄い蕎麦にして食べたら、ゆっくりと片付け始めるのです。まだ、1時半前だったけれど、お蕎麦は売り切れの看板を出して、幟や暖簾は下げてしまうのでした。動いていたはずのエアコンがまた止まって、綠のランプが点滅している。店の中は午後の暑さで、28℃もあったけれど、窓を全開にして風を入れる。思ったよりも湿度が低かったから助かったのです。洗いかごに食器を伏せたまま、家に戻る亭主。



6月6日 火曜日 全身の疲労困憊の中から目覚めて …

 夕べはプールにも出掛けられずに、10時にはもう眠くなって床に就いた亭主。5時前に目が覚めて、身体中がだるくてならなかったのです。コーヒーは飲みたかったけれど、煙草が切れて、コンビニに買いに出掛けて、そのまま蕎麦屋で熱いコーヒーを入れて飲む。暑さのせいもあるのでしょう。目の前の洗い物を片付けたら、いよいよ西の小径に面した狭いスペースの雑草取りを始めるのでした。持って行った90㍑のビニール袋が一杯になったら終わりにする。

 木槿も背の高さまでで剪定して、和室のエアコンの室外機の回りまで終わったら、ちょうどゴミ袋が一杯になる。蔦の生える建物の周りには、根から刈らすという枯れ葉剤を撒いて、薬の効き始めるという一週間後を楽しみにする。家に戻って朝食を食べたら、書斎に入ってひと眠り。朝ドラの終わる時間には目が覚めて、洗面と着替えを済ませる。蕎麦屋に寄ってタッパやペットボトルの荷物を置いたら、お袋様に電話をして迎えに行くのです。

 火曜日は二人で仕入れに出掛ける日だから、彼女も週に一度、遠くまで安い食材を買いに出掛けられる。「寒いんだか暑いんだか判らないのよね」とお袋様が言う。気温は高くなってきたけれど、空は曇り空でまだ肌寒く感じる時間帯なのです。農産物直売所では農家のトマトが沢山出ていて、新キャベツもなかなか好いものがありました。隣町のスーパーに出掛けても、買い物リストにある食材はすべて揃ったので、今日は満足して蕎麦屋に戻るのでした。

 買い物袋から取り出した野菜類に買い忘れがないかと、もう一度チェックして、冷蔵庫に収納するのです。疲れている日には、幾つも買い忘れがあって、またスーパーに出掛けていかなくてはならないことも。今日はスーパーの店の中で、自分の買い物籠を入れたカートが何処にあるのかと捜してしまう。買い物が沢山あるので、カートを置いたまま買い物リストの食材を捜していると、ついカートを置いた場所を忘れてしまう。歳は取りたくないものです。

 家に戻って昼食を食べ終えたら、午後は蕎麦屋に出掛けて、大根のなた漬けと寒天で漉し餡と煮詰めた水羊羹を仕込む。洗濯物を干して、午後の仕事は終わりにして、家に戻ってゆっくりとする。焼酎が切れたのに気が付いて、国道沿いの酒屋まで車を走らせ、いつもの伊佐錦と炭酸、カップ麺の凄麺を買って帰る。女将が夕食の支度をしていたから、亭主は氷とライムを用意して、店で残った串焼きを焼いて、ニュースを見ながら一足先に一杯飲んでおくのです。




6月7日 水曜日 朝は爽やかだったけれど …

 朝飯前のひと仕事はなかったけれど、朝食を終えていつもの時間に家を出る。定休日も二日目になると、身体の疲労も抜けている。空は青く白い雲が浮かんでいました。蕎麦屋に着いても爽やかな天気で、涼しい午前中に仕事を終えてしまおうと厨房に入る。まずは蕎麦豆腐を仕込んで型に流し込み、ほうじ茶を沸かして湯飲みに三つ作っておくのです。これは暑くなると言う明日の水分補給の爲。今日のところはまだ涼しいから、水を飲んで我慢するのでした。

 次に小鉢の二品目は、やはり、切り干し大根の煮物にしようと、先週、残った人参の端切れや、出汁を取り終えた干し椎茸を短冊に切って、冷凍室にあった油揚げも切っておきます。水で戻した切り干し大根の水を切り、胡麻油を引いて温めてあったフライパンに、次々と入れて軽く炒める。出汁を入れて煮込んだら、出汁醤油と砂糖を加えて、キッチンペーパーで落とし蓋をして更に煮込む。その間に、南瓜を切り分け、蓮根の皮を剥いて切って茹でる。

 これで午前中の仕事は終わりでもいいのですが、午後は夕刻から防犯パトロールがあるので、少しゆっくりとしたい。時計を見ればまだ10時過ぎだから、天麩羅の具材を冷蔵庫から取り出して、切り分けていく。切り分けた南瓜はレンジでチーンしてもう冷蔵庫に入れてあるのです。知り合いの農家で直売所に出しているピーマンを買ったのですが、これがあまりにも大きかったから、三等分に切り分けたら、上手い具合に種の部分が取れてちょうど好かった。

 今日の昼飯はスパゲッティーでも食べようかと、女将と話していたから、家に戻ってお鍋に湯を沸かす。最近、美味しいと評判のミートソースが家にあったので、これを温めて茹で上がったスパゲッティーの上に掛けたらはいお終い。その間に女将が店で残ったキノコ汁を温めてくれた。久し振りに食べて二人とも満足なのでした。亭主は書斎に入ってひと眠りして、女将はその間にスポーツクラブに出掛けていく。どう考えても女将の方が活動的なのです。

 女将が帰ってくるまで、亭主はゆっくりとテレビ映画を観て過ごすのです。今日はお新香も漬けなくて好いから、夜のパトロールまで何もなかったのだけれど、女将が帰って来たら、もう一度車庫を開けて、車で蕎麦屋に出掛ける亭主。明日の小鉢を盛り付けて、蕎麦徳利に蕎麦汁を入れておくのです。午後の陽射しはとても熱く、車外温度は27℃を越えていました。蕎麦屋に着いてエアコンを入れたら、上手く動いたのでひと安心でした。

 家に帰ればもう夕飯の時間で、テレビのニュースを見ながら、女将と肉の塩胡椒焼きをおかずにご飯を食べる。食べ終えて書斎で眠ろうとするけれど、身体が回復しているからそんなに眠れるはずもない。このブログを途中まで仕上げて、時間になったらパトロールの集合場所に出掛けて行く。車で蕎麦屋に出掛けているから、今日の歩数は500歩。集合場所までが1000歩。自分よりも年上の人たちについて歩いたのが4000歩強。汗だくになって家に戻るのでした。




6月8日 木曜日 梅雨入りの雨の降る前に満員御礼で …

 今日の朝飯前のひと仕事は、一回目の蕎麦を打って帰ること。木曜日は、最近、混むことが多いのです。昼から女将も来てくれるから、少し蕎麦を余分に打っておく。梅雨入りになったらしいと曖昧な表現で報道があったけれど、朝のうちは陽が差していました。明日は雨だと言うから、お客が来るなら今日しかないだろうと思ったのです。42%の加水で、750g8人分の蕎麦を打って、7時過ぎには家に戻るのでした。朝食の用意はまだ終わっていなかった。

 食事を終えてひと休みしたら、書斎に入って30分ほど横になる。今朝はしっかりと寝込んで、朝ドラの終わる時間には目が覚める。着替えを済ませて9時前に家を出たら、外は半袖でも暑いと感じるくらい気温が上がっていました。蕎麦屋に着いて看板と幟を出したら、早速、蕎麦打ち室に入って二回目の蕎麦を打つ。500g5人分の蕎麦を打って、合わせて13食分の蕎麦を今日は用意した。この暑さだから、お客は来るだろうと思いながら開店前の仕込みに入る。

 暖簾を出せば、昼前に四人連れの作業着姿の男性達が、テーブルに座ってヘルシーランチセットの天せいろと、ぶっかけ蕎麦の大盛り二つにとろろ蕎麦を注文された。天麩羅を揚げていたら、ご夫婦がいらっしてせいろと天せいろ。12時を過ぎているのに女将はまだ来てくれない。こんな日に限ってお客は続くもので、あれよあれよという間に、カウンターも一杯になったのです。女将が来てくれてほっとする。一度に11人ものお客が店に入るのは滅多にない。

 カウンターに座った母と娘三人は天せいろ。最後は常連さんが一人ずつカウンターに座って、とろろ蕎麦の大盛りとせいろ蕎麦の大盛り。これで生舟の中の蕎麦は空になる。お蕎麦売り切れの看板を出したのはまだ1時前なのでした。一つ一つ調理して行くしかないから、亭主は慌てない。女将が忙しく立ち動いていた。1時にはすべての注文をこなし、女性三人の話の相手をする。自転車を漕いで隣の市から来て、これからラベンダー祭りに行くのだという。

 定休日明けの平日なのに、用意した小鉢もなくなって、蕎麦汁も半分以上なくなっていたから、夕飯の前にまた蕎麦屋に出掛けてお新香を漬ける。そして蕎麦汁を蕎麦徳利に補充したら、もう次の蕎麦汁がなくなっている。鍋に干し椎茸と昆布とを入れて明日の朝に出汁を取ろうと用意しておくのです。天麩羅の具材もすべてなくなっていたから、蓮根の皮を剥いて切り分けたら茹で、南瓜を切り分けてチーンしたら、生椎茸、ピーマン、茄子を切り分ける。



6月9日 金曜日 朝からの雨で涼しく …

 朝の5時に蕎麦屋に出掛けて、お新香を取り出して切り分ける。今朝一番の狙いは、夕べ浸けておいた干し椎茸と昆布の鍋で出汁を取ることでした。定休日明けの営業二日目で、こんなことはあまりないように思うのですが、コロナ禍が開けてお客が急に増えたのが原因なのでしょう。予報通りしっかりと雨が降る梅雨入り後の朝。今日は午前中一杯雨だと言うから、お客はあまり期待できないのですが、明日のこともあるから、油断は出来ないのです。

 蕎麦汁まで作って、二番出汁で天つゆを作り、家に戻って、今日はまだ6時半だったから、朝食前にひと眠りする亭主。7時過ぎに女将が起こしに来て、食堂に行って朝のご飯を食べるのです。ひじきの煮物と鰺の開きを半分だけ焼いて、これでは足りないと思ったのか、卵が出ていたから納豆を出してもらって、卵かけご飯を食べた。雨が降っていたので車で9時前に家を出て、蕎麦屋に着けば、玄関脇の紫陽花がやっとブルーに咲き始めている。

 蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を750gだけ打っておく。昼まで雨ならば、8人分もあれば十分なはずです。今日は亭主一人の営業だから、三台分ある駐車場も一台分は亭主が占有してしまう。蕎麦は加水率42%で捏ね始めたけれど、蕎麦玉を寝かせてから伸していく間に、じわりじわりと湿っぽくなってきたから驚いた。蕎麦打ち室の湿度は80%で、やはり今日の雨が影響しているらしい。天候の変わり目は適正な加水をするのが難しいのです。

 それでも何とか打ち粉を振って、8食分の蕎麦を生舟に並べる。厨房に戻って野菜サラダの具材を刻むのだけれど、今日はサラダなど出るはずもない。でも、少し涼しいから、鴨南蛮やカレーうどんなどが出ても、サラダを付けるからと思って、いつもと同じ三皿だけ盛り付けておくのです。エアコンは除湿にして23℃の設定にしてある。雨は降り続いて、到底、お客が来るはずもない状態。それでも、開店の準備を整えて、テーブルやカウンターを拭いて回る。

 それでも昼過ぎには、リピーターさんのご夫婦が雨の中をいらっして、まずはビール、そして温かい汁のぶっかけ蕎麦と、天せいろにキスの天麩羅を頼まれるのでした。仲が良いご夫婦なのか奥様が喋り続けて、出した蕎麦もなかなか食べ終わらない。「雨が上がってきましたね」とおっしゃっていたご主人は、ビールを飲み終えて、ライムと炭酸割りの焼酎を二杯も飲んで行かれるのでした。1時半になったので、亭主は盆と皿を片付けにテーブルに行く。

 2時前には雨も止んで、幟や看板をしまいながら後片づけに入るのです。お客の食べた蕎麦皿や盆や皿を洗い終わったら、亭主は天麩羅を揚げて賄い蕎麦を食べる。お客が少なくても、大釜を洗わなくてはならないし、天麩羅鍋の油を空けて、パッドを洗わなくてはならない。生ゴミを外の容器に移して、火元の点検と明日の準備の下見をしたら、3時過ぎに家に帰ってひと眠りするのでした。5時になったら店で残ったサラダでお好み焼きを作って、女将と二人で食べる。6時半を過ぎたら、夜のプールに出掛けてひと泳ぎです。



6月10日 土曜日 混むかとは思ったけれど …

 昨日はお客が少なかったから、今朝は朝飯前のひと仕事はお休みで、9時前にゆっくりと蕎麦屋に出掛ける。雨こそ降っていないけれど、蒸し蒸しと梅雨の様相なのでした。この時期に元気になるのが玄関脇の紫陽花で、どんどん鮮やかなブルーに花びらが替わって行くのが楽しみです。看板を出して幟を立て、チェーンポールをおろしたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。昨日の蕎麦がちょうど五食分残っていたから、800g8人分を打つことにしました。

 今日の加水は42%ぴったりで、これがちょうど好い塩梅なのでした。包丁切りをしても蕎麦が刃にくっつかずに、綺麗に切れていくから、切りべら26本で140g前後の束を八つ作ったら生舟に並べていく。13食だけれど、最近の蕎麦屋夫婦のスピードでは、上限を切っておかないと、万が一、混んだ場合に店が回らないのです。今日は暖簾を出したらすぐにご夫婦がいらっして、ぶっかけ蕎麦とヘルシーランチセットの注文が入りました。

 休みの日だからか、今日は3人連れや4人連れが多く、昼過ぎには、やはり混んできたのです。注文を受けても3人4人の場合は、蕎麦を出すまでに時間がかかるから、結局、最後のお客に蕎麦を出し終えたのが1時半近かった。鴨せいろは肉を解凍してから焼くので、時間がかかるのですが、今日は三つも出たから驚いたのです。1歳の男の子はうどんを茹でて出せば、完食したから大したもの。80歳前のお爺様が、天せいろの大盛りを頼んだから家系なのか。

 先日の二の舞とならないように、暇を見つけて洗い物をしておいたから、少しは早めに片付いた。同じ容器を先に集めて洗うお袋様のやり方が、一番効率的なような気がする。無事に3時前には夫婦で家に戻って、ひと休みしたら女将は買い物に出掛けた。亭主は書斎に入ってパソコンに今日のデータを入力したら、1時間ほど眠って夕食になる。それから、お新香を漬けて蕎麦汁を補充しに、また蕎麦屋に出掛けていくのです。デザートの水羊羹も作っておく。

 庭のスモモの実が色づいてきました。



6月11日 日曜日 雨の予報が外れて今日もお蕎麦が売りきれ …

 朝から雨が降っていたのですが、6時には車で蕎麦屋に出掛け、夕べ漬けたお新香を糠床から取り出して、小鉢に盛り付けておきます。そして、一回目の蕎麦を打つために蕎麦打ち室に入って、750gの蕎麦粉を41%の加水率で捏ね始める。蕎麦打ち室の湿度は80%だから、いつもと同じでは柔らかくなりすぎると考えたのでした。果たして、ちょうど好い硬さの生地が仕上がり、蕎麦玉を寝かせている間に、厨房でお新香を盛り漬け、蕎麦汁を補充するのです。

 雨だとは言え、暖かい日曜日だから、昼は小雨と言うことだったから、もしかしてお客が沢山来るのではないかと、ちょっと心配なのでした。朝食後に二回目まで蕎麦を打っておけば、残っても明日使えるので心配はないのです。それを面倒がっていたら、折角のお客様を逃がすことになる。昨日の疲れもまだ抜けていないけれど、気合いを入れて蕎麦を伸し、畳んで包丁切り。切りべらは26本で、135gの蕎麦を8.5人分取って、生舟に並べておきます。

 7時をだいぶ過ぎた時間に家に戻ったのに、朝食の支度は終わっていなかった。やはり女将もかなり疲れているのでしょう。今週、女将の来てくれた日には、必ず10人を超えるお客があったのです。コロナ禍で楽を覚えてしまったからと言うよりも、この何年間かで女将も亭主も歳を取ったという方が正しいのかも知れない。亭主も夕べは早く床に就いたのに、朝まで7時間も眠り続けたのです。飲んだ酒の量も、何時もの夜の半分以下なのでした。

 朝食を終え、雨の中を傘を差して蕎麦屋に出掛けたのですが、お隣との境に植えてある紫陽花の「墨田の花火」が薄青く清楚に咲いていたので、写真に撮っておきました。雨で滑ってはいけないと、今朝は編み上げの運動靴をきちっと縛って、リハビリの気分で地面を歩く。ゆっくり歩けば、右足を引きずることもないのだけれど、裸足で履いている靴の底で、やはり右足には違和感があるのです。元通りになるのだろうかと心配しながら蕎麦屋まで歩く。

 看板を出し、幟を立てて、チェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って二回目の蕎麦を500gだけ打つ。同じく41%の加水だから、早朝と同じで好い生地に仕上がる。一回目と合わせて13.5人分蕎麦を用意して、今日の営業を始めるのでした。昨日、少なくなった天麩羅の具材を切り分けて、蓮根も酢水で茹でて用意する。野菜サラダもいつもと同じく三皿用意しておきました。暖簾を出す10分以上前に、最初のお客がいらっしたので、店の中に入ってもらう。

 亭主がまだ服も着替えていないのに、女将がお茶を出せば、天せいろとぶっかけ蕎麦の温かい汁のご注文。初めてのお客さんらしかった。開店の時刻になったら、常連のカレーうどんのご主人と奥様がいらっして、蕎麦やうどんの他に、ワカサギの天麩羅や串焼きを頼まれる。これが今日の始まりで、次々とお客が入って1時前にはもう蕎麦がなくなるのでした。やはり、雨も早めに上がって、暖かかったのが幸いしたのでしょう。今週はとてもお客が多かった。