2023年5月上旬



5月5日 金曜日 こどもの日の様変わりか …

 夕べは疲れて10時半には床に就いたのです。そうしたら6時間眠って4時半にはもう目が覚める。コーヒーを入れて5時のニュースを見たら、蕎麦屋に出掛けてまずは蕎麦を打つ。今日は昨日よりも暑くなると言うから、売り切れた蕎麦をまた最初から用意しなければならない。加水率43%弱で、絶妙な柔らかさの生地が仕上がったので、気をよくして包丁切りに入る。昨夜漬けに来たお新香を糠床から取り出して小鉢に盛り付け、切り干し大根の煮物と並べる。

 それでも2時間近い朝飯前のひと仕事は、結構、きついのです。昨日の混み様はまるで週末のそれで、今日が日曜日なのかと錯覚してしまう。でも、今週はまだ始まったばかりで、大型連休の後半の中日なのでした。家に戻って、女将の用意してくれた朝食を食べたら、新しく購入した魚焼き器で焼いた鰺の開きが美味しかった。満足して、すぐに書斎に入って横になれば、ウトウトと40分。洗面と着替えを済ませて、また蕎麦屋に出掛けるのでした。

 家の前の通りに出れば、庭の芍薬の花が開ききって、もう花を終えようとしている。硬い蕾の時期は長いのに、ここ数日の間にすっかりと花を咲かせたのです。移ろう季節の速さに置いてきぼりを食ったように、亭主は今朝も半袖のポロシャツを着て、とぼとぼとみずき通りを渡るのでした。年配の奥様のいるお宅では、季節の花がとても綺麗に咲いている。バラの花の木が見事なのも、色とりどりのパンジーが咲き乱れている庭も、今の季節だけの贈り物か。

 例年、こどもの日は、あまりお客が来ないのだけれど、どういうわけか今日は昼前からお客が一杯なのでした。10人を超えてもまだ客が入るから、やはりコロナ禍の緊張も過ぎて、暖かい日だったからなのでしょう。カウンターの温度計は26℃を表示していた。女将と二人で次々と注文の蕎麦を茹でては、お客の席に運んで行く。ヘルシーランチセットもサラダがなくなって終わり、キノコつけ蕎麦も今日は随分出た。1時過ぎには蕎麦が売り切れ、洗い物に入る。




5月6日 土曜日 昨夜から強い風が吹き続けて …

 夕べは疲れ果てて9時にはもう床に就いたのですが、夜の間ずっと風が強くて、目を覚ましてはまた眠るといった具合。4時半には目が覚めたのですが、5時までは起き上がれない。コーヒーを入れて居間の部屋で30分ほど休んでいたのですが、今朝も蕎麦を打たなくてはならないし、糠味噌に漬けた野菜類が心配で、蕎麦屋に出掛けていく亭主なのでした。糠が少なくなって水っぽくなったので、煎り糠を足してまたかき混ぜておきます。

 蕎麦を打ち終えて、糠漬けを切り分けていたら、玄関が開いて、犬の散歩の途中らしい弟の顔が見えた。久し振りに顔を合わせて、まずは「長い間お勤めご苦労様でした」と、退職を慰労する亭主。彼は1週間ほど東北を回ってきたと言う。コンパクトなキャンピングカーでの生活を聞かせてもらったのでした。自分の経験からしても、新しい生活に慣れるまでには時間がかかる。それまでは、今までしたかったと思っていた生活を楽しんで欲しいもの。

 外は晴れていたけれど、相変わらず風が強いのです。風の強い日にはお客は来ないと、長年、自分に言い聞かせてきたけれど、立夏の今日は果たしてどうなることやら。苺大福を包んで、野菜サラダの具材を刻もうと思ったら、もう、大釜のお湯が沸いていた。四つのポットにお湯を入れて、お茶の用意は完了。3本で200円もする太くて立派なアスパラガスをカットして、ブロッコリーと一緒に茹でる。300円で出す野菜サラダの原価が幾らになるのか心配です。

 陽は差しているけれど、向かいの森の木々が激しく揺れて、蕎麦屋の幟も千切れるほどの風の強さだから、暖簾を出してもなかなかお客は来なかった。蕎麦も茹でないから、大釜を汚さないようにと亭主も昼の賄い蕎麦を食べずに我慢している。1時半を過ぎた頃にやっとお客がいらっして、お花畑の見えるテーブルに座って、せいろ蕎麦とぶっかけ蕎麦をご注文なのでした。苺大福を「半分に切ってくれますか」と二人で一つを仲良く食べて行かれた。

 やっと亭主も昼飯にありつけた。洗い物もほとんどないし、片付けも簡単。残った蕎麦は生舟に一杯あるから、一日中雨だと言う明日は、蕎麦を打たなくても済みそう。たまにはゆっくりとしなさいと言われているようで、気分良く、女将と二人で家路をたどるのです。明日はまだ日曜日だから、今週の営業はあと二日もある。前半が忙しかったから、気分的にも疲れているのでしょう。書斎に入ってひと眠りしたら、早い夕食にざるラーメンを食べた。



5月7日 日曜日 土砂降りの雨の中を …


 未明から雨の降る暗い朝でした。早くから目覚めていたけれど、蕎麦屋に行ってもすることがないから、今朝はゆっくりとしていたのです。それでも7時前には食材の確認のために蕎麦屋に出掛け、帰りに煙草を買って帰る。朝食を終えてひと休みしたら、書斎に入ってもうひと眠り。8時半まで1時間ほど眠って、すっきりした頭で傘を差して蕎麦屋に出掛ける。まだ、それほど強く雨は降っていなかったのです。こんな日にお客が来るのだろうかと思う。

 朝の二回の蕎麦打ちがないから、珍しく家を9時半に出て、蕎麦屋に着いても大釜に水を汲んだり、昨日の後片づけをしながら、10時になってやっと苺大福を包み始める。雨の具合を見るために外に出れば、昨日の強い風で幟がちぎれていた。もう一つ一緒に作ったものがあるから、新しい幟に取り替えなければ。業者が言うには幟の寿命は3ヶ月なのだとか。でも、毎日片付けるから、日に焼けて色も褪せたけれど、1年以上は持ったのではないだろうか。

 10時半前になったら、お湯を沸かしてアスパラとブロッコリーを茹でる。この30分で野菜サラダの具材を刻んで盛り付けるのです。11時になったら、天麩羅の具材を調理台に並べ、天麩羅油を鍋に入れて、天つゆの鍋を温める。天ぷら粉の容器を所定の位置に置き、キノコ汁を温めたら、準備は完了なのです。雨は降り続いていたけれど、今日はカレーの小父さんの来る日だと女将と話していたら、本当に開店直後に奥様と一緒に現れたから有り難い。

 お父さんは何時ものカレーうどんで奥様は今日は鴨せいろ。串焼きとデザートの注文も忘れていなかった。雨は段々と激しく降ってくる様子。ご夫婦が帰られて今日はこれで終わりだろうと思っていたら、大きなワゴン車が駐車場に入って来て、ご家族四人連れのお客がご来店。車から玄関まで来るのにもひと苦労するほどの雨の降りようなのです。ヘルシーランチセットの大盛りを二つに、天麩羅蕎麦と天せいろのご注文で、生舟の中の蕎麦も一気になくなる。

 サラダや蕎麦豆腐を出している間に、二度に分けて天麩羅を揚げて、全員の蕎麦を茹で終わる。土砂降りの雨が少し収まるまで昼を食べて、ゆっくりとしていかれたのです。1時半近くになって、さすがにもうお客は来そうにないのでした。女将が盆や皿を下げている間に、亭主はかき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べてしまう。洗い物はすぐに終わって、女将のスポーツクラブの予約をするのでした。夕刻になって急に寒くなってきたから、暖房を入れるのでした。



5月8日 月曜日 今朝もまた雨で …


 一晩中、降っていたのか、今朝も本降りの雨で寒さが身に凍みるのでした。4時半には目を覚まして、居間の部屋へ行ってコーヒーを啜るのです。それでも、今週最後の営業日だからと、蕎麦屋に出掛けて、カウンターに干してある盆や蕎麦皿を片付けたら、足りなくなった食材を補充する。天つゆを作って、蕎麦汁も仕込んでおきます。天麩羅の具材を切り分けて、容器に入れて準備をしておくのです。僅か一時間の作業だけれど、朝飯前だから出来ること。

 家に戻って朝食を食べたら、例によって書斎に入ってひと眠り。一時間ほど眠ったら、洗面をして髭を剃る。今日は亭主一人の営業だから、ひげ面の顔ではお客に失礼だと思うのです。雨は間欠ワイパーでは間に合わないほどの降りようで、今日の帰りは持ち帰る荷物も多いからと、車で蕎麦屋に出掛けて行くのでした。すぐに蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打つ。雨の日だから湿気が多いので、思い切って42%強の加水で生地を捏ね始めるのです。

 少し水分が少ないかと思いながら捏ねて行けば、粉の間に水が回って柔らかくなってくる。長い経験から分かってはいるはずなのだけれど、この時間を待つまでが長く感じられるのです。昨日残った蕎麦と合わせて9人分の蕎麦を用意して、厨房に戻るのでした。この雨と寒さとでは、お客は来ないのではないかと思われたけれど、用意はしておかなくてはならないから、昨日、売り切れた苺大福を包んで、野菜サラダの具材を刻むのです。

 11時過ぎには雨も上がったけれど、気温は16℃と寒いままなのでした。店の中は窓を少し開けたまま、暖房を22℃の設定で入れて、暖かくしてある。風にたなびく幟が、この数日で裂けてしまったのが痛々しい。新しい幟の布も用意してあるのだけれど、雨の上がる明日にでも付け替えようと思っている。この寒さでは当然のことながらお客は来ない。昨日の例もあるので、ラストオーダーの時間までは待ったけれど、平日だから今日は完敗なのでした。

 残った具材を片付けながら、天麩羅を揚げて賄い蕎麦を食べておく。この間、業者の若者が持って来た赤いかの天麩羅も揚げてみたけれど、これがなかなか好い食感で、使えそうなのが嬉しかった。客はなくても、持ち帰る食材を整理するのに時間がかかるのです。家に戻ったのが3時前。女将はまだ帰っていなかった。ひと眠りしたら、夕食に、残りものを揚げて帰った天麩羅をおかずにご飯を食べて、ひと休みしたら夜のプールに出掛ける亭主なのでした。




5月9日 火曜日 何日かぶりに晴れて …

 今朝も4時半に目が覚めて、1時間ほど居間の部屋でゆっくりとしたら、蕎麦屋に出掛けて懸案だったグリストラップの掃除を始めるのでした。寒い季節は外の作業が出来ないので、放っておいたのですが、油を拭いて洗っているからか、思ったほどは汚れていなかった。それでも、溜まった油の塊は時間と共にと壁に張り付いて剥がすのに時間がかかる。二つのシンクに溜めたお湯を流して、ある程度綺麗になったらお終い。30分ほどの作業なのでした。

 家に戻れば7時だというのに女将はまだ台所に現れない。定休日だからとゆっくりしているのでしょうが、亭主は朝から身体を動かしているから、もうお腹が空いていたのです。茄子とピーマンの味噌焼きを手伝って、早めにご飯をよそって朝食を済ませる。いつもより10分ほど遅れて書斎に入りひと眠りなのです。ぐっすりと寝込んでしまったらしく、目が覚めればもう8時半なのでした。急いで洗面と着替えを済ませ、お袋様に電話を掛けて迎えに行く。

 天気は好いのだけれど、寒く感じるのは湿度が低いからなのか、次の仕事は道路脇の草を取らなくてはと考えながら、迎えに行ったお袋様も「朝が寒いから大変なのよね」と車に乗り込んでくる。農産物直売所では、いつものトマトと生椎茸を買い、ナスやキュウリももらってくる。そのまま隣町のスーパーに出掛けたけれど、今朝の寒さのせいか今日は随分と空いていました。蕎麦屋にある物は買い控えて、出来るだけ費用がかからないようにする。

 野菜の片付けが終わったら、洗濯物を畳み、通りに出て生えた雑草を抜いていく。道路脇に溜まった畑の土に生えているだけだで、根も張っていないから土ごと取ってゴミ袋に詰める。ついでに、駐車場の内側に伸び広がった金木犀の枝を、車が止まっても擦らないように剪定しておく。全体の剪定は、家から脚立を持ってこなければならないので、明日にでもするとして、取りあえずは昼食の用意に家に戻るのでした。女将はまだ買い物から帰っていなかった。

 蕎麦を茹でる鍋に湯を沸かし、昨日の天麩羅を焼くために、新しい電気グリルを温めて、女将の帰るのを待つのでした。昼は天せいろ蕎麦。亭主は大盛りで昨日残った蕎麦を食べるのです。食後はまた書斎に入ってひと眠り。外で動いている間は身体が温まるけれども、家の中でじっとしていると冷えてくるのです。1時間ほど眠ったら居間に行き、朝から用意されていた女将のスマホで、スポーツクラブの予約の準備をする。夕刻は蕎麦屋に出掛けて出汁を取る。




5月10日 水曜日 寒い朝でしたが身体を動かして…


 今朝も4時半に目が覚めて、1時間ほど居間の部屋で寛いでいたのです。寒いからストーブを点けて、残り少ない石油を使い切ろうとするのだけれど、なかなか空焚きにはならない。車に脚立を積み込んで蕎麦屋に出掛ける。90㍑のビニール袋にお花畑側の金木犀の枝を切って、詰めていくのでしたが、正面の通り側の枝を切る前にもう袋が一杯になってしまう。背の高さ以上の枝も切らねばならないのに、とても一回の作業では終わりそうにないのでした。

 7時になるからと家に戻れば、もう朝食の支度が出来ていて、今朝は塩鯖の焼き物が半身で食べ応えがあった。満足したところで書斎に入ってひと眠りです。朝から身体を動かしたから暖かくなったけれど、じっとしてるとまた冷えてくる。部屋のエアコンの暖房を入れて眠ったら、9時近くまでぐっすりと寝込んでしまった。やっと起き出して、洗面と着替えを済ませたらまた蕎麦屋に出掛ける。庭の片隅にさつきの花が咲き始めていた。

 午前中の仕込みは、白餡を煮詰めながらキノコ汁を作ること。大きな鍋で4~5人分を一度に作って、塩味をつけただけで小さな鍋とタッパに入れて冷蔵庫へ入れておく。蕎麦汁を入れて味つけをするのは明日になってから。洗濯物を畳んで、洗濯機の中の洗い物を干しておく。ついでに裂けた幟を新しいものに替えて、明日からは綺麗な幟が使えそう。11時を過ぎたから、家に帰って昼の支度をする。昼はキノコ汁の残りで蕎麦を茹でてつけ蕎麦にする。

 家の大鍋では、二人分の蕎麦を茹でると温度が下がって、どうしても美味しく茹でられない。ざるとボールも小さいから、蕎麦を洗うのにも水を出しっぱなしでも冷たくならない。前は一人分ずつ茹でていたけれど、最近はそれを忘れて失敗しているのです。キノコつけ汁の場合は特に水切りがよくできていないと、汁の味が薄まって締まりのない味になる。蕎麦屋の亭主が家で不味い蕎麦を食べてどうするのだと腹が立つのでした。それでも満腹になるから不満。

 午後は夕刻にお新香を漬けにいったときに仕込みをすれば好いからと、ゆっくりとテレビで映画を観ていた。いろいろとやることは山のようにあるのだけれど、定休日に少しゆっくりしないと、明日からの営業に響くのです。女将がスポーツクラブから帰った3時過ぎになって、やっと蕎麦屋に出掛けていく亭主。お新香を漬けて小鉢に煮物を作って、明日の朝盛り付ければ好いようにしておく。女将はワクチン接種の電話申し込みをしてくれていた。