2023年5月初め


5月1日 月曜日 風薫る五月も朝は雨 …

 芍薬の二輪目が咲いた。朝飯前のひと仕事から帰って朝食を食べたら、ひと休みしてまた蕎麦屋に出掛ける亭主。予報とは違って雨が降っていたから、傘を差して行かなければなりませんでした。通りに出たら庭の芍薬がまた一輪花を咲かせていたのが何よりです。蕎麦屋に着いて看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、早速、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。加水率は43%でちょうど好い硬さの生地に仕上がるのでした。

 切りべら26本で135gの蕎麦を8つ打って、今日の蕎麦打ちは終わり。大型連休は毎年思ったほどはお客が来ない。皆さん何処かに出掛けて行くか、家族が集まって食事をするかで、蕎麦屋に来て蕎麦を啜るのは、よほどの蕎麦好きなのです。だから、きちっと打った蕎麦を用意して、美味しく食べてもらえれば好いと思う亭主なのでした。雨は上がって、時折、薄陽も差すから、まんざら天気予報も外れているわけではなさそうで、どんな展開になるのかが楽しみ。

 隣のお花畑にも陽が当たって、随分と賑やかに花が咲いているから、外に出て写真を撮る。昨日のうちにお隣の息子さんが芝刈りをして、団地の歩道の切れたところから、自分の土地を同じ幅で綺麗に歩けるようにしてくれたらしい。90代の後半になるお爺さんはもう家の周りだけを耕して、亭主よりも一つ下の息子さんが、休みの日にこのお花畑を手入れしているのです。蕎麦屋の窓からもこの風景が見えるから、風情の分かるお客はとても喜んでいる。

 厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、大根をおろして油や天つゆの鍋を火にかけたら、店内のテーブルやカウンターを拭いても開店の準備が整うのでした。暖簾を出せば、昼前に男性客が一人いらっして「夜のパトロールでご一緒させていただいている○○です」とおっしゃるのですが、暗い時間にマスクをして会うだけだから、顔を覚えていない。続けて、若い作業着姿の男性がカウンターに座って、同じく天せいろを大盛りでご注文なのでした。

 天せいろを二つ同時に調理して、先にいらっしたお客から配膳するのです。「平日は女将がスポーツクラブに出掛けるので、私一人なんですよ」と言えば、テーブル席に座った○○さんは「うちの家内も行っているのですよ。今度は家内も連れて来ますよ」と言う。大盛りを頼まれた若い男性が先に会計を済ませる。二人とも帰られた後で、亭主は盆や皿をカウンターに片付けて、テーブルやカウンターを拭いて回る。二人とも綺麗に蕎麦湯を飲んでくれた。

 12時半を過ぎていたから、次は同なるのかと気が気ではないけれど、待ってもお客は来ないのでした。1時になったので、亭主は端切れのレンコンや南瓜を天麩羅にして、野菜のかき揚げを揚げて昼を済ませておく。片付けを始めた1時半を過ぎた頃にまたお客がいらっして、せいろ蕎麦の大盛りとキノコつけ蕎麦のご注文でした。早めに洗い物と片付けを済ませて、女将の帰るよりも早く家に戻る亭主。夜はプールに出掛けてひと泳ぎ。今日は身体が重かった。


5月2日 火曜日 朝はちょっと涼しかったけれど …

 夕べはプールで泳いだから、夜の酒も量が増えて、今朝はなかなか起きられなかった。8時間は眠っただろうか。女将が起こしに来たのも分からずに、7時半まで眠ってしまったのです。大好きな茄子焼きが食卓に並んで、ニンニクをおろして醤油をかけ、温かいご飯の上に載せて食べる。タンパク質がないからと女将が納豆を用意してくれた。お新香や若布と豆腐の味噌汁までついて、亭主にしてみれば極上の朝食なのです。外は晴れて気持ちの好い朝でした。

 お袋様に電話をして一緒に今日の仕入れに出掛ける。新緑の眩しい並木道を走り、農産物直売所に出掛ければ、最近は開店の時間から随分とお客が来ているのです。農家の車はまだ来ていなくて、仕方がないから、知った名前の農家のトマトや胡瓜と、ピーマンや生椎茸を買って、隣町のスーパーに向かうのでした。ここで予定の食材を仕入れ、ついでに家の肉や魚を買って、昼はカレーにしようと女将と話していたから、揚げたての豚カツも買って帰る。

 いつもながら冷凍の鰺も鯖も四つで550円ととても安いのです。もう直ぐ90歳になるというお袋様も、200円台と安く売っていた油をレジで400円台に印字されたレシートを見て、亭主に細かな文字を読んでくれと言うから、見れば確かに油は400円台に印字されていた。レジに言って訂正してもらう堅実振り。まだまだ現役だと感心するばかり。蕎麦屋に寄って昨日の残りの蕎麦と金柑大福を持たせて家まで送る。野菜を冷蔵庫に収納したら、亭主もすぐに帰宅。

 豚カツが冷めないうちに戻って、カレーの準備をするのでした。やっと身体が目覚めて、昼食の後は庭に出て、この時期伸び放題の木槿や南天の枝を切り、隣の家との境にあるスモモの木を剪定するのでした。女将のスポーツクラブの予約を終えたら、再び蕎麦屋に出掛けて、蕎麦汁を蕎麦徳利に詰めたら、キノコ汁を仕込み、天つゆを作りながら、カレーの具材を刻んで午後の仕込みを終える。洗濯機の中の洗濯物を干して、4時過ぎには家に帰るのです。

 出入りの業者の若者が持ってくるものだから、10袋もごまだれの蕎麦汁を買ってしまったけれど、店では出せそうになかったから、一袋35円のラーメンの麺だけ買って来て、夜は久し振りに亭主だけざるラーメンを食べた。昨日の残りの野菜類を肉と炒めて副菜にして、早い夕食は軽く済ませておくのです。ゴミ回収の業者に支払いを済ませて、風呂から上がったら、例によって焼酎を飲み始める。明日の予定はスモモの木の剪定の続きが最初の仕事なのです。

 連休だというのに夜の防犯パトロールがあるから、それまでに小鉢の仕込みを済ませて、お新香を糠味噌に漬けなければならない。大型連休中の世間の動向をテレビのニュースでは見ているけれど、コロナの感染者が増えているのも気になるところです。若い人たちとは違って、片肺飛行で古稀を迎えようとする高齢者は、まだまだ油断をしてはならないのです。庭の芍薬も次々と咲き出して、季節は気持ちの好い初夏。身近な自然の推移を堪能するばかりです。



5月3日 水曜日 朝からスモモの木の剪定で …

 昨日一日ゆっくりと休んだから、今朝は早くから目が覚めた。でも、蕎麦屋には出掛けずに、庭に出てスモモの木の剪定をどうやって続けようかと眺める亭主。少し背の高い脚立は庭に出したままだったけれど、右側の木の剪定が済んで、今度は左側の木に取りかかるのには使えそうもない。家の中から背の低い踏み台を持って来てこれでお隣の庭との境にある塀に昇れば好いと考える。朝食を食べてひと休みしたら、洗濯物が干されないうちにと作業を始める。

 庭の道路際の芍薬が次々と花を開いていた。1m程の塀に昇るのに、以前はひょいと飛び乗っていたのに、歳を取ったせいか最近は高いところが怖くなって、踏み台を昇って安全に昇るのでした。脚力も全身の筋力も落ちているからなのでしょうが、15cmの幅の塀の上を、まるで綱渡り出もするかのように歩くのです。木の枝につかまりながら少しずつ切り進み、1時間ほどで作業は完了する。もうスモモの実が幾つかなっているから今年は楽しみです。

 9時を過ぎたら蕎麦屋に出掛け、出汁取りの昆布と干し椎茸を鍋に浸けたら、小鉢にする切り干し大根を煮始める。今日は女将と魚焼き器を見に行く予定だったから、早めに切り上げて駅の近くの大型家電店に出掛けるのでした。ところが、高機能の魚焼きグリルが三点あっただけで、今はレンジと一緒とか高価な物ばかり。ネットで亭主が調べたものの方が、ずっと沢山種類があるのでした。家のガスレンジと一体型の物を取り替えるよりも遙かに安い。

 結局、ネットで注文することになって明日には店に届くという。夫婦二人だけだから、簡単な作りの物でいいのです。送料は無料で5900円だから、一体型のレンジを取り替えるよりずっと安かった。朝は肌寒かったのに、暑くなってきたので、昼は亭主だけざるラーメン餃子を食べる。女将は鶏肉と葱とで親子丼を作っていた。家の中にいると何故か涼しいのです。もう一杯食べたくなるほど美味しかったので、満足して食後は書斎でひと眠りするのでした。

 1時過ぎに目覚めて、蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをする。出汁を取りながら明日の天麩羅の具材を切り分け、3時過ぎになったところで冷蔵庫から糠床を出して、キュウリとカブとナスを漬けるのです。ナスは塩をまぶした後でミョウバンをすり込んで漬ける。家に戻った夕刻は、70年代のスーパーマンの映画を見始めて、新キャベツの千切りだけ手伝って、豚のバラ肉をしゃぶしゃぶにして胡麻だれで食べるのでした。夜は防犯パトロールがあったのです。

 連休中でもパトロールがあるのは何故なのかと、女将と話をしていたら、70歳以上の人は子ども達が帰ってこない限り暇があるというのです。80歳を過ぎた何人かの人も一緒に、夜の通りをライトを照らして歩き、行き会う人には「今晩は」「ご苦労様です」と声を掛け合って、汗だくになって帰って来るのでした。夜の4㎞の運動は身体には好いに決まっているから、家に戻って焼酎を飲みながら、風呂に入ってこのブログを書いているのです。


5月4日 木曜日 連休だからか、暖かいからか、お客が多い …

 今朝は5時に起きて、蕎麦屋に出掛ける。あさひが昇る時刻なのに、ひんやりとした空気の中、電線にツバメが二羽止まっていた。厨房で小鉢にお新香と切り干し大根の煮物を盛り付け、蕎麦打ち室に入り、一回目の蕎麦を打つ。加水率は43%で、ちょうど好い硬さの生地に仕上がる。朝食後に来て二回打つのは、時間的にも押してくるので、気持ちも落ち着かないのです。朝の時間のある時に打つ蕎麦は、しっかりと仕上がるから嬉しい。ただ、時間がかかる。

 それでも、生地が柔らかくない分、切りべら27本で135gと少し細めの蕎麦が仕上がった。生舟に8束の蕎麦を並べて冷蔵庫に入れたら、家に戻って居間で朝食の出来るのを待つのです。食べ終わったら書斎に入って横になればすぐに眠くなる。朝の2時間近い仕込みはやはり疲れるのです。30分以上眠ったのか、目覚めればもう女将の朝ドラの始まる時間なのでした。洗面と髭剃りを済ませて着替えたら、「行って来ま~す」と、また蕎麦屋に向かうのです。

 8時半のみずき通りは、連休だからか車も人も見当たらない。陽射しは強く、今日は暑くなると言うので、亭主はもう半袖のシャツ一枚で歩くのでした。蕎麦屋につて朝の仕事を済ませたら、まずは二回目の蕎麦打ちを済ませて、苺大福を包む準備をする。今週仕入れた苺は少し大きかったので、勿体ないけれど下半分は切って高さを揃える。それでも少し大きめの大福になってしまうのでした。女将が9時半にやって来たから、「随分早いね」と驚く亭主。

 「連休の時は毎年、週末と同じ時間なのよ」と、有り難い言葉。店の掃除や、ドレッシングや醤油の入れ物をチェックしたりと、細かな準備がない分、亭主はゆっくりと仕込みが出来るのです。女将は10時過ぎには早お昼を食べに家に戻ったけれど、亭主は野菜サラダの具材を刻んでカウンターに並べ、天麩羅の具材を並べたり、天ぷら粉を用意して、天麩羅油や天つゆの鍋を温める事が出来た。今日は12時前に3組のお客が入って、週末並の混みようなのでした。

 1時過ぎには蕎麦が売り切れて、10人を越えるお客が次々とご来店。ヘルシーランチセットも三つ出て、野菜サラダも完売なのでした。洗い物をする暇もなく、お蕎麦売り切れの看板を出したら、亭主はかき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べる。厨房の中は24℃にもなって、今までになく暑い昼なのでした。1時間ほどかけて洗い物と片付けを終えたら、店に届いた魚焼き器の大きな箱を持って、家まで歩いて帰る。女将も疲れたらしく昼寝をしたのだとか。