2023年3月中旬


3月13日 月曜日 何年振りかで5日間で40人を越えて …


 週末の疲れが出たのか、昨日も9時半にはもう眠くなって、今朝も6時まで起きられなかった。蕎麦は昨日打った分が生舟に一杯残っていたから、朝飯前のひと仕事で出来ることと言ったら、洗い物を片付けて洗濯物を干すだけ。それでも朝は少し冷えるから、店の暖房を入れておくのです。隣の畑には、背の低い菜の花が咲き始めて春らしい雰囲気なのでした。日の出の時刻には太陽が昇っているのに、雲に覆われて姿が見えないのです。

 家に戻って女将の支度する朝食を食べたら、お茶を一杯もらって洗面と着替えを済ませる。朝ドラの終わる時間を見計らって、亭主は台所に入り、お湯を沸かして珈琲を入れる。ドリップで入れる珈琲はモカブレンド。安物でも味わいがあるから美味しい。店で出していたイエメン産のモカマタリを飲んでいた頃をふと思い出すのです。開業して9年のうち、間近の3年はコロナ禍でお客も減ったから、何時の間にか店でも珈琲は出さなくなった。

 今日は昼から雨が降ると言うから、残った食材を持って帰る荷物を考えて車を出して蕎麦屋に出掛けました。この陽気ではお客も見込めないと思ったのです。蕎麦を打たないから、時間が余るので、買ったあった金柑の種を取って、甘露煮を作っておく。金柑大福もこれが最後の金柑なのです。時期の終わりの頃のものは、皮が少し固くなるような気がする。次は安くなった小粒の苺が出てくる時期だから、苺大福を包むつもりでいる亭主。果たしてお客が喜ぶか。

 駐車場に出て外の天気を眺めれば、予報通りに曇ってきて気温もそれほど上がっていない。膨らんできた馬酔木の花の隣で、柊南天の実がみずみずしく紫に色づいている。これをあの大きなひよどりが、一生懸命に食べに来るから、美味しいのだろうかと食べてみたくなる。厨房に戻って金柑大福を摘み、野菜サラダの具材を刻んで天麩羅の具材を切り分けたら、今朝の仕込みは終わりです。蕎麦打ちのない分、随分とゆったりとした開店前なのでした。

 開店時刻の10分前には、もうお客がいらっしたから店の中に入ってもらう。店に入ればもう営業していると言うことだから、お客はすぐに注文をするのです。鴨南蛮とキノコつけ蕎麦。昨日、鴨せいろが出たので、鴨肉が半分残っていたから、すぐに切り分けてフライパンで焼き始める。キノコ汁は朝のうちに温めておいたので、ほどなく出す事が出来た。ワカサギの天麩羅を追加でご注文。間もなく三人連れのご家族がいらっして、ちょっと忙しくなるのです。

 結局、その後もお客が入って、亭主一人の営業では、かなり忙しい思いをするのでした。お客を待たせるのには神経を使うけれど、待っていただく代わりに、明日は定休日だから、残してもしようがない金柑大福や野菜サラダをサービスでお出しする。家へ持ち帰って食べるよりは、お客様に食べていただいた方が好いと思うのでした。1時半になったら「お蕎麦売り切れ」の看板を出して、亭主は賄い蕎麦を茹でてぶっかけで食べる。今日も片付けが大変なのです。



 3月14日 火曜日 朝のうちは寒く曇っていたけれど …

 女将にスモモの花が咲いていると言われて、お隣の家との境に行ってみれば、見事に可憐な花が開いているのでした。今朝の曇り空には白い花が映えないけれど、その木の足元には黄色い連翹の花が開き始めている。我が家の小さな庭にも確実に春が訪れているのです。お袋様に電話をして今日も仕入れに出掛けていく亭主。中学校の桜が見事に咲いていたから、車を停めて写真に納める。今日は卒業式なのだろうか、黒い式服を着た家族が道を歩いている。

 農産物直売所に着けば、今日はまだ農家の人の車がないから、野菜は届いていないのだろう。白菜ももう地のものは終わりらしい。トマトもいつもの農家がまだ持って来ていなかったから、古いけれどへたが綠のものを選んでもらっておく。生椎茸はと見れば、半分は茶色く古いものだったから、まだ新しい2パックだけ買って帰るのです。知り合いの農家でホウレン草と小松菜を置いていたから、これは今朝の物らしいからもらっておく。後は隣町のスーパーへ。

 スーパーでも白菜はそろそろ終わりと見えて、中の状態がよく見える四分の一カットのものを三つもらって籠に入れる。後は印刷してきた買い物リストに従って、沢山の食材を揃えるのです。蕎麦屋に戻って野菜を冷蔵庫に収納したら、白菜を樽に漬け込んでいく。明日の朝までには水が上がってくるだろう。洗濯機の中に入れたままの洗濯物を干して、昼の用意があるからと家に帰るのでした。蕎麦は残らなかったので、今日は少し冷えるから肉うどんにした。

 昼飯を終えて、女将のスポーツクラブの予約を済ませたら、ひと眠りすることもなくまた蕎麦に出掛けて行く。やっと青空が広がって、天気予報通りに晴れに変わった。蕎麦屋の向かいの畑が菜の花が咲き始めて見事だったから、近くまで行って写真に撮っておく。これだけの広い畑に種を蒔くだけでも、大変な作業だろうと思う。かといって、農作物を作るわけでもないのが、少し寂しい気もするのです。高齢化が進んで手間を掛けて野菜を作る家も少ない。

 厨房に入った亭主は、5㍑の鍋に、残り少なくなった返しを作っておく。お客が増えるといろいろな食材が、みるみるなくなっていくから大変なのです。週にお客が50人を越えていた昔は、それこそ週に何遍かは出汁を取って、返しももっと頻繁に作っていたのだろう。コロナ禍の3年間は、自分の仕事を見つめ直す好い機会だったと、今では思えるようになった。人を雇わずに女将に手伝ってもらう程度で、何とかやっていけるくらいの商いで十分なのです。

 切り干し大根の煮物とキノコ汁を仕込んで、4時を過ぎたから、家に戻って大相撲の中継を見る時間。帰りに酒屋に寄って今週分の焼酎を買って帰る。夕食には女将に頼んで蛸の唐揚げを揚げてもらい、焼酎のライム炭酸割りで一献。メインのおかずの常夜鍋が出て来る頃には、相撲も佳境に入ってくる。最近は若い力士が増えてきたから、女将も亭主も力士の名前を覚えるのが一苦労。新聞を読んでいる女将の解説を交えて、定休日一日目の夕食を食べる。

3月15日 今朝は朝から晴れた好い天気で …


 夕べは何時の間にか眠ったのか、まったく記憶になかった。女将に言うと「昨日は顔が赤かったから飲み過ぎたんじゃないの?」という答えが返ってきた。風呂から出てテレビもほどほどにして、ブログを書こうと書斎に入ったまでは覚えているのだけれど、それから先の記憶がないのです。果たして、パソコンを開けば、昨日の記事が途中で途切れていたから、やはり気絶するように眠りに入ってしまったらしい。目が覚めればもう6時になるから、8時間以上は眠ったことになる。朝飯前のひと仕事に蕎麦屋へ出掛けました。

 蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めていたら、東の森の向こうから朝日が昇ってきたので、店の前のバス通りを渡って写真を撮る。雲一つない空だったから、今日も暖かくなるだろうと元気が出るのでした。厨房に戻ってしっかりと水の上がってきた白菜を漬け直す。先週は少し塩辛かったから、今日は一度軽く水で洗ってしっかりと絞ってから、小さな漬け物器に少なめの塩を振って、昆布と唐辛子を間に挟みながら漬け込んでいく。四分の三把の白菜が綺麗に納まる。

 家に戻って朝食を食べたら、書斎でひと眠りしたかったけれど、昨日のブログを書き終えていなかったから、頑張って終わらせる。少し気分転換をしなければと思い、今日は夜の防犯パトロールでまた随分と歩くのだけれど、靴を履いて歩いて近所の花を求めて出掛けるのでした。遅い梅の花が青空に映えているお宅もあった。みずき通りの坂道を登って、バス通りまで出たら幼稚園の先にいつも気になっいた辛夷か白木蓮の花があったので、歩いて行くのでした。

 近づいて見ればバス通りに面した幼稚園の園長先生のお宅に咲く花で、これは辛夷なのか木蓮なのか、古くて随分と大きな木だったから、亭主には区別が付かない。青空を背景に白い花が咲き乱れて、春の訪れを告げているようなのでした。反対方向の蕎麦屋に向かう道すがら、いつも蕎麦屋に来てくれる農家の小母さんのお宅の前を通れば、小母さんがちょうど草取りに出ていたから挨拶をする亭主。「声で誰かと判ったよ」と言って春の花の話になる。

 わずか300mの距離を車で移動しては、見られない景色を天気が好く暖かい今日は、じっくりと堪能したのです。蕎麦屋に戻って午前中に出汁取りをしなければと、朝のうちに浸けておいた昆布と干し椎茸を入れた鍋に火を入れる。小一時間かけて出汁を取って蕎麦汁を仕込んだら、昼飯の用意に家に戻る亭主。蕎麦屋の残りものが何かを知っているので、女将の予想も同じく昼はカレー炒飯。食べ終えてひと休みすれば、女将はスポーツクラブに出掛けて行く。

 いつもなら亭主は書斎に入ってひと眠りなのですが、今日は整形外科に行って先月の検査結果を聞かなければならない。果たして、尿酸値の値は正常に戻って、次は8月に検査しましょうと医者に言われる。そのまま薬局に行って薬をもらい、蕎麦屋に行って午後の仕込みをするのでした。暖房を入れなくても暖かい。小鉢の切り干し大根の煮物を盛り付け、洗濯物を畳んだら、女将の帰った家に戻って夕食の支度をしてもらう。まだ明るいけれど夜はパトロール。

 集合場所の集会所に集まれば、丘の上の高い木の枝に沢山の鳥が集まっていた。鳴き声から鴬らしいと皆が言う。鳥に詳しいらしい老人が、鶯色なのはメジロで、鴬そのものは黒いんだよと言っていた。パトロールで道を歩きながら、最近亡くなった著名人の話になり、亭主が「大江健三郎が亡くなったのに、テレビのニュースでは原爆や平和の話ばかりしますよね。彼が『想像力』と言うのは文学の芸術性なのに」と言っても、誰も反応しないのが寂しかった。


3月16日 木曜日 今日も日中はかなり暖かかった …


 昨日は昼の散歩と夜のパトロールで、1万歩以上歩いたからか、10時半に床に就いたのに、朝の6時過ぎまで目が覚めなかった。急いで蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物の片付けを済ませる。室内は13℃ほどしかなかったから、エアコンを入れて家に戻るのでした。女将の用意した朝食はいつになくご馳走で、古くなった蕎麦屋の残り物のナスも、大蒜醤油で食べればご飯が進む。国内産の大蒜は一つ200円以上もするけれど、ひとかけら30円で味は好いのです。

 今日は暖かくなると言うから、やはり蕎麦は二回打たなければならない。女将の朝ドラが終わるのを見計らって「行って来まーす」と家を出る亭主。小鉢は昨日のうちに盛り付けてあるけれど、定休日明けはやることが沢山あるから忙しいのです。みずき通りを渡ってバス通りに出れば、青い空の下に広がる菜の花畑が、春を感じさせるのでした。朝は少し肌寒いから、ジャンパーを着て蕎麦屋に出掛けたけれど、店の中は暖かくすぐに脱いで活動を開始する。

 玄関を出て看板を出し、幟を立ててチェーンポールを降ろせば、馬酔木の花が満開で春らしい。紫陽花の新芽も出て来ていた。柊南天の実が鳥たちに食べられて、沢山の種だけを地面に出しているのが小憎らしいのです。大きなヒヨドリだけではなく、最近は雀たちもこの実を食べに来るから、もう丸裸の状態。まあ、これが自然界の生業なのかと微笑ましくもある。早速、蕎麦打ち室に入って、今日は750g八人分と600g六人分の二回分の蕎麦を捏ねるのでした。

 二回の蕎麦を打って、いつもの時間に厨房に戻る。金柑大福を包み、野菜サラダを刻む。ポットにお湯を見たし、天麩羅の具材を調理台に並べて、天麩羅油を銅の鍋に空けて、天つゆの鍋を火にかける。IHの調理台にはキノコ汁を載せて温める。店の明かりを点けて、後はテーブルをアルコール消毒液で拭いて回れば、開店の準備は整うのです。BGMのスイッチを入れて、暖簾を出そうかと思っていると、開店時刻の5分前には駐車場に車が入るのでした。

 ご家族3人でのご来店でしたが、注文が決まらないうちにもう次のお客がテーブル席に座っている。お茶をお出しして「前の方からお造りしますのでしばらくお待ち下さい」と亭主が言う。まだ昼前なのにこの勢いだから、女将に電話をして早く来てくれるように言うのでした。前のお客の鴨せいろの鴨を焼いているうちに、次のお客もビールと串焼きと鴨せいろに天せいろのご注文。5人がほぼ同時の注文だから、亭主は一人では無理だと判断したのでした。

 ところがその後が続かずに、1時過ぎまでお客は来なかった。外は暖かい風か吹き、蕎麦屋の室内も暖房はとっくに消して、窓を開けている状態なのです。外を歩く人の姿も見えて、お客が来る気配はあったのですが、1時半近くにやっと歩いて年配のご夫婦が歩いていらした。お二人ともせいろ蕎麦のご注文だったけれど、蕎麦を食べてもらえるのが嬉しい亭主。ラストオーダーの時間になってやっとお帰りになる。亭主は天麩羅を揚げて遅い賄い蕎麦を食べる。




3月17日 金曜日 朝だけ少し晴れたけれど …


 大相撲と野球中継を観て、ゆっくりとした宵は、合間にブログを書き続けて、早めに休むのでした。5時前に一度目が冷めたけれど今日はあまり仕事もなかったから、6時過ぎまでまた眠って、蕎麦屋に出掛ける亭主。日の出の時間も随分と早くなって、朝のうちだけと言いながら、太陽が拝めたのは嬉しいのです。「ただ今」と家に戻れば「お帰りなさい」と女将が台所から応えてくれる。今朝は塩鯖の焼き物に菜の花のお浸しが付いて、春を感じさせる朝食。

 食事を終えてお茶をもらったら、洗濯物を干すのに忙しい女将が「スモモのもう一本の木にも花が咲いたわよ」と言うので、庭に出て写真を撮る。園芸センターで苗を買った時は、雌雄の木を植えなければいけないと説明書きがあった様な気がするのですが、後から調べて見れば雌雄の区別はなく、剪定さえ適切にすれば毎年実を付けると言うので驚いた。我が家のスモモはまだ一度しか実を付けていないから、はやく沢山の実を付けて食べてみたいのです。

 蕎麦屋に出掛ければ、朝の太陽は何処へやら、天気予報の通りに今日は曇り空が広がるらしい。看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。昨日の蕎麦がまだ残っていたので、今日は500g5食だけ打っておく。この天気だとあまりお客は見込めないだろうけれど、それでも準備をしておくのが商売。最近は47%の加水率で打っているけれど、どうも何か物足りない。柔らかくて切りむらが出来るのが嫌なのです。

 明日からは、やはり、46%に戻して、少し硬くてもそちらに慣れた方が好いと考えるのです。厨房に戻って野菜サラダを刻めば、そろそろ包丁を研がないと切れ味が好くない。小野隆治の作だと言う皿は、目利きのお客が「これは素晴らしい」と言うだけあって毎日盛り付けていても不思議と飽きない。亭主と同じ年なのに先年亡くなったから、琥山窯の皿が安く手に入ったけれど、陶芸をする古くからの友人に言われて、最近は少し盛り付ける量を減らしている。

 暖簾を出してもこの天気ではなかなかお客は来ない。駐車場の柊南天の実を、ヒヨドリが二羽もやって来て無心で食べていた。昼過ぎに車が入ってきて、以前にもきた宅配便の若者が、カウンターに座ってヘルシーランチセットの天せいろ大盛りを頼まれる。続けて常連さんのご夫婦がいらっして、ヘルシーランチセットの天せいろとただの天せいろ。こんな天気なのに有り難いリピーターの方々なのでした。続けて隣町の常連さんがいらっしていつものご注文。

 カウンターに座った話し好きの常連さんに付き合っていたら、テーブル席のお客にデザートを出すのが遅れて大失敗。お客の話もほどほどに聞いていないと、目配りが疎かになるのです。今日は近所の小学校の卒業式らしく、若い親御さんが子供を連れてバス通りを帰って来るのが見えた。以前なら、帰りに蕎麦屋に寄って食べていくお客もいたのに、時代が変わったのか、誰も寄っていかなかったのです。明日は寒い雨の一日だと言うから、どうしようかと悩む。

3月18日 土曜日 朝から冷たい雨の降る一日でしたが …


 今朝も6時過ぎまでぐっすりと眠った亭主。それでも朝飯前にはひと仕事と蕎麦屋に出掛けていく。冷たい雨の降る中、車を降りれば、早起きのスズメたちがチュンチュンと鳴いている。まずはエアコンの暖房を入れて、カウンターに並べた昨日の洗い物を片付け、昨日空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を補充しておく。たったこれだけのことだけれど、次に来る時にはすぐに蕎麦打ちにかかれるから、気持ちと時間の切り替えには有効なのです。

 朝食を終えて、今度は雨の降る中を傘を差して蕎麦屋に出掛ける亭主。みずき通りの角のお宅にピンクと白との椿が綺麗に咲いていた。特に白い椿は花びらが開くと。汚れたようになるのが常だけれど、ここの椿は最後まで立派に咲いているから素晴らしい。よく奥様が庭木の手入れをしている姿を見かけるのです。蕎麦屋に着いて雨の中を幟を立てて、チェーンポールを降ろせば、今日の始まり。店の中は寒い外に比べたら随分と暖かく感じた。

 蕎麦打ち室に入って、今朝は46%の加水で蕎麦粉を捏ね始めた。いつもより10ccほど水が少ないから、ちょっと心配だったけれど、水回しを終えて捏ね始めれば十分な柔らかさで、今日は思うような蕎麦が打てたのです。厨房に戻って金柑大福を包めば、古い瓶の中には金柑が五つあったので、五つ分の白玉粉と氷糖蜜を計って、冷たい雨の日でお客が来るかも判らないのに、五皿も包んで並べる。野菜サラダの具材を刻み、こちらはいつも通りに三皿盛り付ける。

 雨は強く降りだして、エアコンの設定温度を26℃の上げたのに、室内の気温はなかなか上がらない。外がよほど寒いのだろう。そのうち家に戻って早お昼を終えた女将が帰ってきて、「凄い雨ね。今日は駄目かもね」と言う始末。亭主もこの雨と寒さではと思っていたのですが、昼を過ぎた頃に車が2台駐車場に入ってきた。お母さんと娘らしく、ヘルシーランチセットの天せいろを二人でご注文なのでした。1時間近く二人でゆっくりと話をして帰るのでした。

 さすがに今日はこれで終わりかと思ったけれど、お客は次々と来て下さって、テーブル席は一杯なのでした。ほとんどの方が天せいろのご注文で、金柑大福も売れる。昼頃が一番小降りだった雨もまた激しくなって、こんな雨の日にお客がくるなんてと女将と驚いていた。二人で洗い物と片付けを終えて、雨の中をまた傘を差して家まで帰るのでした。さすがの女将も今日は買い物に出掛けずに、夕飯は亭主が久し振りにお好み焼きを焼くのです。




3月19日 日曜日 コロナ禍以後、初めての15人越えで …


 夕べも7時間以上は眠って目覚めた朝。少し腰が痛いので、今朝は朝飯前のひと仕事に、昔のように歩いて蕎麦屋に出掛ける亭主。血行が悪いから腰が痛くなるのだとは、我が家のヨーガの先生女将の意見だったから、昨夜も珍しく15分も風呂に浸かって身体を温めたのです。元来、いつも身体の温度が高いのが取り柄だったのに、やはり加齢には勝てないのか、最近では身体が冷えると感じることがあるのです。わずか300mを歩いても余り変わりはないけれど。

 蕎麦屋の前のバス通りに出れば、向かいの畑はうっすらと霜が降りているではありませんか。今朝は冷えたから腰が痛くなったのかと、頭でっかちの現代人の解釈で納得するのでした。まだ6時20分だというのにもう朝日が昇っている。しかも、日の出の場所は随分と北に移動しているのです。日常の忙しさにかまけているうちに、季節はどんどんと移り変わっているのでした。ヒンヤリとした朝の空気だけれど、この青空なら今日は暖かくなると思える。

 蕎麦屋に入ってエアコンの暖房を入れ、厨房に入ったらカウンターに干したままの昨日の洗い物を片付けて、小鉢を盛り付けるのです。週の後半のメインはワカサギの南蛮漬け。切り干し大根の煮物と白菜のお新香を合わせて、12鉢も用意すれば好いだろうと手際よく鉢を用意する。足らなくなったら、また盛り付ければ好いだけのことなので、朝飯前のひと仕事にはこれで十分と思ったのです。空になった蕎麦徳利には、新しい蕎麦汁を補充しておきます。

 7時過ぎにまた歩いて家に戻り、女将の用意してくれた朝食を食べる。ナス焼きの大蒜醤油は、いつ食べてもご飯には美味しいから嬉しい。食後のお茶をもらったら、亭主は居間の椅子に座って、電気もテレビも点けずに、じっと座っているだけ。実は、ここで書斎に入ってひと眠りしようかと悩んでいたのです。今朝は午前中に串焼きの食材が届くから、早く蕎麦屋に行かなければいけない。でも誘惑には勝てずに30分だけ横になって眠ったのでした。

 少し外気は冷たいけれど暖かい陽射しの中を蕎麦屋まで歩いて、朝の仕事を終えたらすぐに蕎麦打ち室に入る。今朝も46%の加水率で蕎麦粉を捏ねて、切りべら26本で140gの蕎麦を8人分あまり仕上げるのでした。金柑大福は5皿用意し、野菜サラダも珍しく4皿盛り付けておきました。暖かくなると言うから、きっとお客が来るだろうと予想したのです。その予想通りに、開店時刻の前からご家族がいらっして、続けて常連さんがやって来たのです。

 昼前にもう8人のお客が入って、亭主も女将も大忙しでした。駐車場は満杯で、一息つく暇もなく次々とお客が入るから、用意した温かい汁も作り足し、天麩羅の具材も新たに切り分けなければなりませんでした。1時前には最後のお客が入って、蕎麦は売り切れるのでした。駅前から歩いていらっしゃる常連さんが、ビールとライムサワーを飲みながら、最後に鴨せいろを頼まれて、お帰りになったのが2時半前。洗い物と片付けは4時近くまでかかった。