2022年12月初め

12月1日 木曜日 気温9℃なのにお蕎麦が売り切れた …

 まだ暗い5時半に家を出て蕎麦屋に向かえば、外は6時になっても明るくならないのでした。気になって今日の日の出を調べて見たら、なんと6時半。これから年末まで更に日の出の時刻が遅くなると言うのです。寒さも冬らしくなって、季節が移り変わっていくのを実感する。厨房に入って昨日までに仕込んでおいた小鉢を盛り付け、日中も更に気温が下がると言うから、7鉢もあれば十分だろうと思ったのです。蕎麦は8人分を打つ予定でした。

 いつ陽が昇ったのかは曇り空だから分からなかったけれど、家に戻って食事を済ませ、再び蕎麦屋に出掛ける時には小雨交じりで、傘を差して行かなければならなかった。定休日明けの木曜日は、いろいろと仕事があるのでゆっくりはしていられない。看板と幟を出してチェーンポールを降ろしたら、すぐに蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打つ亭主。早朝にエアコンを入れておいたから、店の中が暖かいだけでもストレスがなくなる。

 いつもと同じ44%弱の加水率で捏ねた蕎麦粉は、しっとりとした生地に仕上がり、四つ出しで伸した四隅もかなり好い具合なのでした。これだと本伸しで更に伸し広げても、四つの角がきちんと取れるから、畳んで包丁切りをする時にも最後まで綺麗に切れる。やはり少し柔らかめの方が好いのか。細く切るなら、少し硬めの方が切りやすいけれど、そこが亭主の葛藤なのです。いつまで経ってもそんな悩みは絶えないから、逆に面白味があるのかも知れない。

 蕎麦を切り終えたら、厨房に戻って金柑大福を包む。熱々の求肥で金柑をくるんだ白餡を包むのですが、たった四つ作っただけで、もう掌が真っ赤になっている。熱いうちに手早く包まないといけないので、あまり沢山の数は作れない。野菜サラダも三皿だから、最近は金柑大福も四皿で終わりにしているのです。時折、雨が降りだして道路は濡れていたけれど、雨は止んでも気温が上がるどころか下がっているから外は寒い。窓は少しだけ開けて暖房を入れる。

 暖簾を出して1時間ほどはお客の来る気配もなく、話し相手の女将が来てくれる時間を待つ亭主。ところが、昼を過ぎた頃にご夫婦でいらっしたお客が、鴨南蛮とキノコつけ蕎麦のご注文で、「鴨の肉がボリュームがあって満腹になった」と喜んでお帰りになる。続いてご来店の少し若いご夫婦は、天麩羅蕎麦の普通と大盛りを頼まれる。と、珍しく少し早い時間に女将が来てくれて、この寒さで亭主が一人で寂しかろうとやって来たのだと言う。

 これが今日は随分と助かったのです。次ぎにいらっしたのは常連さんのご姉弟で、今日は久し振りにお父様までご一緒でした。足の骨を折ったと、ギブスをして松葉杖をついてお姉様は大変そうでしたが、寒い中を市内の遠くから来て下さった。ヘルシーランチセットとお父様はキノコつけ蕎麦を頼まれて、ゆっくりと話をして行かれたのです。こんな寒い日に、蕎麦好きのお客が続けて来てくれたので、生舟の蕎麦はもう空になっていたのです。

 夫婦で洗い物と片付けを済ませて、家に戻ったのが2時半で、亭主はパソコンに今日のデータを入力したら、例によってひと眠り。4時になったらまた蕎麦屋に出掛け、昼の洗い物の片付けと、お新香を漬けている間に、業者の若者から電話があって、暗くなった頃に、鴨肉や海老を届けてくれた。熱いコーヒーを一杯入れてやって「気をつけて帰ってね」と言って別れる。夜は寒いから鍋にして、うどんを入れて夫婦で暖まるのでした。



12月2日 金曜日 寒い日が続きます …


 サッカーの対スペイン戦を見ようと3時から起き出したのは好いけれど、前半はスペインのパス回しに日本が負けていたから、やはり実力の差があるのだろうかと、もう一度床に入ったのです。夕べ漬けた糠漬けが気になって、6時半に目を覚まし蕎麦屋に行けば、厚い雲の向こうからどうやら朝日が昇っているらしい。糠床から野菜を取りだ出して切り分けたら、7時前に家に戻るのでした。7時のニュースでサッカーの結果を見たら、何と日本が逆転勝ち。

 対ドイツ戦の時もそうだったけれど、亭主が途中でテレビを観なくなると勝っているから不思議です。ともあれ強豪を相手によく頑張ったものだと、女将の用意してくれた朝食を食べるのでした。後半までテレビを観ていたら、眠る暇もなくきっと疲れただろうと、今朝は食後のひと眠りをせずに蕎麦屋に出掛けたのです。風は冷たく曇り空。今日は晴れると言った予報は、また変わったのです。蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、珈琲を一杯飲んでひと休み。

 それでも西の空には雲の切れ目から青空が覗いていた。店の暖房を入れて、蕎麦打ち室の暖まるのを待つ間に、洗濯物を畳んで大鍋には水を張っておきます。少しでも先にやっておけることは済ませておかないと、一人で営業の日は、後から時間が足りなくなるのです。蕎麦打ち室が15℃になったところで、蕎麦粉600gと小麦粉150gを計量して、篩にかけてきめの細かい粉にする。そして計量カップに330cc強の水を入れて水回しの始まりです。

 気温のせいか湿度のせいか、最近はこれで柔らかすぎないので、しっとりとした生地が仕上がるのです。菊練りを終えて蕎麦玉を作ったら、厨房に戻って大根をおろします。お湯を入れるポットを用意したり、天麩羅鍋に油を入れたり、出来ることは済ませておく。そうやって少しずつ時間を短縮したら、伸しを打ち始めるのが9時半になります。地伸し、丸出し、四つ出しと、ある程度、生地が柔らかいから順調に進む。ただ、この時点でも伸しむらがある。

 伸し棒にかかる右手と左手との圧力が違うからか、生地を回しながら伸していくのですが、どうも少し薄いところがあるような気がしてならない。時折、掌で生地の具合を確かめてはいるのですが、気にしすぎなのだろうか。幅75cm、奥行き90cm弱に生地が広がったら畳みに入ります。上下に伸していくから、75cmの幅も少し狭くなるから要注意なのです。包丁切りに入れば、綺麗に太さのそろった蕎麦が無事に8.5人分取れました。

 10時前には蕎麦打ちを終えて、大釜に火を入れ、金柑大福を包むのですが、売り切れた翌日はいつも作らなければならないのです。15分ほどで四つの大福を包んで皿に載せ、野菜サラダの具材を刻み始める。10時半前にブロッコリーとアスパラを茹でて、レタスを洗い終わればいつものペース。キャベツとアーリレッドを刻み、レタスを敷いた皿に盛り付けたら、パプリカ、ニンジン、キュウリ、トマト、パイナップルを載せ、ブロッコリーとアスパラを添える。

 開店の準備が整うまでが忙しいのですが、暖簾を出した後は、お客が来るかと待つのが辛い。今日も寒さのせいか、1時前までは客の姿は見えなかったのです。やっと隣町の常連さんがいらっして、キノコつけ蕎麦と辛味大根のご注文。昨日は寒くて家から出られなかったのだとか。更に中年のご夫婦が歩いていらっして、鴨せいろ二つを頼まれる。来たのが遅かったから、帰るのも遅かった。カウンターの常連さんが初めてのなた漬けを食べて感動していた。

 洗い物を終えて店を出たのは2時半。西の方からやっと青空が広がっていたのです。今日は野菜サラダが全部残ったから、家に持ち帰って、夜は亭主がお好み焼きを作るのでした。今日は女将が地区の班長のパトロールで、7時前に家を出るのです。寒いけれど歩くと暑くなるからと薄着をして行ったら、亭主の防犯パトロールとは違って歩く距離が足りないと、汗もかかずに寒くなったと帰って来た。明日は土曜日で女将も手伝いに来てくれる。寒い朝だと言う。

12月3日 土曜日 いよいよ本格的な冬の寒さが …


 6時を過ぎていたけれど、蕎麦屋が気になって出掛けて行く亭主なのでした。夕べの天気予報では、早朝が4℃ということだったけれど、霜は降りていなかった。それでも、店の中の温度はこれまでになく低く11℃、蕎麦打ち室は10℃という寒さなのです。暖房を入れて、冷蔵庫の中を確認すれば、お新香の他の小鉢が盛り付けてなかったから、なた漬けと筑前煮とを二鉢ずつ盛り付けておく。ほうじ茶を沸かして昼に飲む分はラップをかけて冷蔵庫に入れる。

 蕎麦打ち室の冷蔵庫の生舟を確認したら、昨日打って残った蕎麦が5食あった。今日は週末だから、8食打ち足して13食の用意をしておけば十分だろだろうと考える。この寒さで曇り空だから、まずお客は見込めないのです。最近の天気予報は前日までは晴れのマークが出ていても、翌朝になると午前中は曇り、その後、夕方だけ晴れということが多い。家で洗濯をする女将は一喜一憂で、シーツや枕カバーを洗えるのかどうかと気になるところなのです。 

 家に戻れば今朝は鯖の塩焼きと豚汁にシラスおろしと、シンプルだったので、最近、食が細くなった亭主にはちょうど好いのです。今朝は女将が早朝に寒くて目覚めたので、寝坊をしてはいけないとエアコンを入れたら、暖かい風が顔に当たって、気持ちが悪くなったと言う。目眩もしたと言うから心配になったけれど、外は晴れているというので、朝の沢山の洗濯に余念がないのでした。市内の予報では曇りでも、青空が広がっているから嬉しいのです。

 食後のひと眠りから覚めて、珈琲を飲んだら家を出る亭主。塀際の水仙がもう蕾を沢山付けていたから「今年は随分と早いね」と洗濯を干す女将に言えば「陽当たりの好いところはもう咲いているお宅もあるのよ。行ってらっしゃい」と声が返って来る。朝日を背中に浴びて暖かいのだけれど、風はさすがに12月。襟元が寒いのでジャンパーのチャックを首まで上げて歩くのでした。幼稚園から少し離れた駐車場には車が並んでいた。今日はお遊戯会なのだそうな。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を済ませたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。このところ44%の加水で粉を捏ねているけれど、捏ね易く伸し易いのが嬉しい。ちょっと気を抜くと、ズルッと包丁が滑って太くなってしまうから要注意なのです。蕎麦を打っている間に空はどんどん雲が増えて、なんだ曇りじゃないかとタブレットで最新の予報を確認すれば、やはり午後まで曇りに変わっているから残念。寒さは変わらず風もあるからお客は来ないと思えるのです。

 それでも野菜サラダはいつもと同じく三皿盛り付けて、昨日作った金柑大福と一緒にカウンターに並べる。昨日はサラダが全部残ったから、夕食はお好み焼きにして、三皿分の野菜を消化したのですが、今日は果たしてどうなることか。暖簾を出してもお客は来ないから、女将と二人で話をすれば「去年の今日もゼロだったわよ。夜にお客が3人来たとかいてあったわ」と、三年日記の記録を読み返してくれている彼女には頭が下がるのです。

 それでも昼過ぎに橋の向こうの地区の常連さんがいらっして、いつもと同じくせいろの大盛りと辛味大根のご注文。「今年も年越し蕎麦をやるんですか」と聞かれて「まだ予約の準備していないけれど」と言えば、他の人の都合を聞いて次の機会に頼みますと言う。1時を過ぎてお客も来そうにないから、月曜日に打った蕎麦の最後のひと束を茹でて賄い蕎麦を食べる。きちんと打てているから締まって美味しいのです。西の空はまた晴れて陽が差してきた。

 結局、金柑大福と野菜サラダはすべて家に持ち帰って、今日もお好み焼きで夕食を済ませる夫婦。亭主が隣町のスーパーに買い物に出掛け、足りなくなりそうなキノコ汁のキノコと鶏肉と、鴨せいろに使う小松菜を買ったついでに、お好み焼きの粉を買ってみたのです。早めの夕食に台所に立って、いつもと同じようにフライパンで焼けば、外はカリカリ中はもっちりのお好み焼きが出来上がった。「小麦粉より高い分だけやはり違うわね」とは女将の言葉です。

12月4日 日曜日 寒いけれど午前中に晴れたのが幸いしたか …

 寒い朝でしたが、青空が広がって陽の差すのは嬉しいもので、蕎麦屋の前のバス通りに面した畑も、綺麗に耕されているのでした。今朝は今季初めて蕎麦打ち室が9℃を記録しました。真冬になれば2℃とか3℃とかの日もあるから、霜が降りないだけまだまだ暖かいのですが、今年は暖かさに慣れて寒く感じるのだろうか。店のエアコンの設定温度を上げて、室内を暖める朝なのでした。今日は昨日の蕎麦が随分と残っていたから、蕎麦を打たずにゆっくりです。

 厨房で金柑の甘露煮を作っていたら、向かいの畑から親父様がやって来て、大根を置いていってくれました。畑の中を戻っていく後ろ姿を見つけて「いつもどうも済みません」と礼を言って挨拶を交わしたのですが、作業に夢中で気が付かなかったから申し訳なかった。金柑大福を四皿分包み、野菜サラダを三皿盛り付けたら、いつもの時間に開店の支度が終わったので、やっと腰を下ろしてひと休み。それでも今日は蕎麦打ちがないから、楽なのでした。

 寒くても陽射しがあれば暖かく感じるから不思議です。蕎麦屋の前のバス通りも人が行き来しているから、散歩に出掛けたり、ジョギングをしたりと、昨日とは違った風なのでした。暖簾を出して間もなく、やはり歩いていらっしたご夫婦がデーブル席に座る。ぶっかけ蕎麦と天せいろをご注文で、天麩羅とかき揚げを揚げたら、蕎麦を茹でてすぐにお出しする。昼前にもうひと組ご夫婦でいらっして、カウンターに座ってぶっかけ蕎麦を二つご注文なのでした。

 晴れていると冷たい蕎麦と天麩羅が出るのは不思議なことです。亭主が奥の座敷に入って休もうとすれば「お客さんですよ」と女将の声がする。厨房に戻ってみれば、いつもビールをまず頼まれる近所の常連さんが、カウンターに座ってカレー蕎麦のご注文。カレー蕎麦には野菜サラダが付いているから、突き出しとサラダとでビールを飲んでいた。今日は丼物のメニューが多かったけれど、皆さん汁まで綺麗に飲み干されているから嬉しいのでした。

 昼を過ぎたら雲が出て、暗い空模様になってきたのでした。女将も亭主もこれで終わりかと思っていたら、常連さんの女将の友人が車でいらっして、いつものせいろ蕎麦と野菜サラダ。続けてこちらも常連さんの老夫婦がテーブル席に座って、いつもと同じ日本酒と天せいろ、せいろ蕎麦と過辛味大根を頼まれる。隣の市から車でいらっしゃるそうで、決まって奥様が日本酒を飲まれるのです。閉店の時間を過ぎて、やっとお帰りになるのでした。

12月5日 月曜日 日中は真冬の寒さで雨風まじり …

 日の出の時刻に蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物の片付けと小鉢の盛り付けだけ済ませて来る。暗い雲に覆われた寒い朝でした。昨日の青空がまるで嘘のよう。これも季節の移り変わりなのだと思いながら、少しずつ真冬に向かっていくのに慣れてくるのでしょう。小鉢は残りをすべて盛り付けて9鉢。今日の蕎麦の数と同じだけ。この天候と寒さだから、お客が来るはずもないけれど、準備だけはしておくのが亭主の信条なのです。

 朝食食べ終えて朝ドラの時間が過ぎたら、珈琲を一杯飲んでまた蕎麦屋に出掛ける。今にも降り出しそうな空模様でしたが、ぽつりぽつりと降って来たところで店に着いたから好かった。看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つのです。早朝に暖房だけは忘れずに入れておいたから、店の中は20℃近くまで温度が上がっていました。昨日の蕎麦が4束だけ残っていたから、500gを打って9人分の用意です。

 今朝は無理をせずに、伸した蕎麦を奥行き90cmまで伸ばさないで、四角形の形が崩れない程度で止めておいたら、畳んで包丁切りをした時に新しい発見。包丁の運びが軽やかで、綺麗に等間隔で蕎麦が切れたのです。いつもは生舟の長さ一杯になるように、90cmに出来るだけ近づけようとしているけれど、そもそもが包丁もそれほど刃渡りがあるわけでもないので、無理をせずに80cmほどで畳むのが正解なのかも知れない。次の機会に750gで試してみよう。

 片側を切り落としても、蕎麦の一本の長さが40cmになるわけだから、食べるのにそれほど不都合はないのです。むしろ、四隅の仕上がりを気にした方が、綺麗な蕎麦が出来るのかも知れない。目から鱗の気づきなのでした。厨房に戻って野菜サラダを三皿盛り付けたら、もう開店の準備は終わったようなもの。11時過ぎには店の掃除を始めて、定刻の10分前に暖簾を出しました。ここまでは緊張感溢れる朝のひとときなのですが、今日は通りに人の姿も見えない。

 1時間待ってもお客が来るはずもなく、雨が降りだして風も強くなるのでした。カウンターの椅子に座って、通りを走る車を眺めていた亭主も、このままではいけないと腰を上げて、買い置きしてある金柑の実を切って種を取り出すのでした。調理台で作業を始めると、お客が来たときに困るからと、いつもならただ待つだけなのですが、今日は一工夫して種を取った金柑を鍋に入れて、いつでもまな板を使えるようにしたのです。お蔭で金柑の甘露煮が完成。

 段々と道路も雨で濡れてきた。帰る時に降られなければ好いけれどと、今日は残り物を持ち帰るから心配なのでした。結局、閉店の時間までお客の姿は見えないから、亭主は賄い蕎麦を食べるのを諦めて、大鍋や天麩羅のパッドを洗うのを避けたのです。撤収は速やかに、雨の止んでいる間に家に戻って、餃子ライスを作って遅い昼を食べるのでした。女将が雨に降られて帰って来たのは3時過ぎ。夜は寒いので鶏鍋にして、うどんを入れて暖まるのです。



12月6日 火曜日 今日は寒くて終日の雨模様 …



 深夜から対クロアチア戦の放映があったけれど、夕べは10時半になったらやはり眠くなって床に就いたのです。でも、やはり気になっていたからか、11時50分にふと目が覚めて居間に行くのでした。対スペイン戦の時よりも動きが好いように見えて、前半に得点を挙げたから嬉しかった。後半も点を入れられたけれど、何故か負けるような気がしないのでした。果たして延長戦にもつれ込んで、かなりの接戦だったから見応えがあったのです。最後のPK戦が残念。

 真夜中に興奮したせいか再び床に就いたのは4時過ぎで、7時半過ぎまでぐっすりと眠ったのです。女将が食堂でひとり朝食を食べていた。亭主も納豆とお新香で簡単に朝食を済ませ、珈琲を入れてもらってお袋様と仕入に出かけるのでした。外は冷たい雨だったので、農産物販売所にも野菜が届いていないかと思ったら、新鮮な葉の付いたカブや長葱、キャベツが並んでいたので買って帰る。キャベツは大きすぎて毎週使い残しているから困った。

 ちゃんこ鍋やホイゴウロウにでもしないと、なかなか一度にはなくならないのです。ロールキャベツなどという選択肢は和食中心の我が家ではなかなかない。買って来た野菜を冷蔵庫に入れたら、先週行くのを忘れた床屋に出掛けるのでした。どうして忘れたかは未だに謎ですが、月末と思っていたら何時の間にか12月になっていたのです。床屋の親父様も「歳を取ると時間が経つのが早いからね」と言う。家に戻ればもう12時を回っていました。

 昼は昨日残った蕎麦とキノコ汁でつけ蕎麦にする。キノコ汁も作ってすぐは美味しいけれど、何回も温め直しているとやはり味が落ちてくる。一度に沢山作らない方が、お客にも美味しく出せるのかも知れない。キノコも鶏肉も冷凍できるから、来週はその作戦で行ってみようか。女将のスポーツクラブの予約の時間まで1時間以上あったから、亭主は書斎に入ってひと眠りするのでした。今日は久し振りに夜更かしをしたから、寝ても寝てもまだ眠たいのです。

 予約開始の15分も前に、女将がスマホを持って書斎に亭主を起こしに来た。仕方がないのでまだ眠たい目を擦りながら、亭主は机に向かって煙草を燻らせ、窓の障子に陽が差しているような気がしたので、障子を開けて外の景色を眺める。ところが雨は辛うじて上がったものの暗い雲ばかりで、ほんの一瞬だけ太陽が姿を見せたのでした。寝入っているのを起こしたから悪いと思ってか、女将がお茶を運んで来たり、柿を剥いてくれたりとサービス満点なのでした。

 家に居ても寒いだけだから、蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みに取りかかる。まずは朝のうちに干し椎茸と昆布を浸しておいた鍋で出汁を取る。お湯が沸くまでに大根を切ってなた漬けの準備。今日は塩をして重しをかけておくだけなのです。小一時間かけて蕎麦汁と二番出汁を作ったら、冷蔵庫に収納したら家に戻るのでした。なんとなく寝たりないのか、頭がクラクラとして気分が優れないから、早めに夕食のお好み焼きを作って、風呂の時間までまたひと眠り。