2022年7月末

7月26日 火曜日 朝から雨の降る定休日 …

 確か月の初めに咲き出したプルメリアが、まだ花を咲かせ続けているのでした。女将の稽古場はよほど居心地が好いらしく、花びらが散っていると思えば、くるくるっと巻いた蕾が開いて、また新しい花が咲くのです。今朝は雨の音で目が覚めるほどだったけれど、たまには適度なお湿りが欲しいと思っていた。蕎麦屋の草取りも月桂樹やモミジの剪定も気にはなっていたが、今日は朝飯前のひと仕事もお休みにして、ジュディーガーランドの伝記映画を観ていた。

 亭主が出掛けないのを知ってか、女将も朝食をゆっくりと支度として、小鰺の開きを焼いて豚汁を作ってくれた。肉や野菜が摂れるからと、蕎麦屋で大根の残った時には、最近、よく豚汁が出るのです。暇を見つけて大根やニンジンを煮て、冷蔵庫にストックしておけば、朝の忙しい時間に、油揚げと肉とを入れてすぐに出来るらしいから、女将も考えたもの。食後にまた映画の続きを見て、女将に話をすれば、ライザミネリの母親だとさすがによく知っている。

 朝ドラの終わる時間に、雨の中を車で蕎麦屋に出掛ければ、今朝も昼顔が咲き始めていた。昼まで花が萎まないところが朝顔とは違うのです。店の中に入って、今朝の新聞を見れば、昨日の市内のコロナ感染者数は200人を越えていました。足の指の故障で夜のパトロールにはしばらく参加出来ずにいたのですが、7月もコロナ感染者が増えたので中止になるという連絡が来た。参加者が老人達ばかりだから、かなり慎重に様子を見ているらしいのです。

 昨日の洗い物を片付け、洗濯物を畳み終えたところで、お袋様に電話をして、雨の中を今日の仕入れに出掛けるのでした。ナスやキュウリやピーマンなど夏の野菜が沢山並べられて、インゲンの細いのが出ていたから一緒にもらって帰る。隣町のスーパーに足を伸ばせば、雨が降っているからか、いつもより駐車場は空いていて、お目当ての野菜類はすべて手に入ったのです。出汁を取る昆布と干し椎茸を買ったからか、今日は少し予算をオーバーしてしまった。

 店に戻って沢山の野菜類を冷蔵庫に収納したら、少し早かったけれど家に帰って昼の準備をする亭主。先週はぶっかけ蕎麦があまり出なかったので、掻き揚げ用に刻んだ玉葱や人参が余ったので、昼は炒飯と餃子にしようと女将と話をしていたから、肉を加えてカレー炒飯を作るのは亭主の役目。隣の火口で餃子を焼いて、皿に盛るのは女将の仕事。お好み焼きに使う生姜と青海苔は、炒飯にも使えると喜ぶ亭主。滅多に飲まないコーンスープも今日は買って来た。

 満腹になったところで、朝寝をしなかった分、エアコンの効いた書斎で1時間ほど昼寝が出来た。2時過ぎには女将のスポーツクラブの予約をしてくれと言われていたので、起き出して居間の部屋に行けば、しっかりとスマホと予約を記す手帳が置かれていた。冷蔵庫に昨日買って帰った西瓜があったから、目覚ましにひと切れ。子供の頃に買ってもらった図鑑に、西瓜は野菜の仲間に入っていたから、それ以来、野菜かと思っていたのも不思議な経験です。

 夕刻を前に蕎麦屋に出掛けて、朝に昆布と干し椎茸を浸けておいた鍋で出汁を取る。最近はだいぶ手慣れてきたので、一時間はかからない。黄金色の澄んだ一番出汁を取って、返しを加えて3㍑近い蕎麦汁を作る。残った一番出汁は瓶に入れて予備にする。二番出汁は容器に入れて約4㍑。どちらも水で冷やしてそのまま冷蔵庫に入れてしまうのです。蕎麦汁も十分に冷えたところで冷蔵庫に鍋のまま入れて、明日、蕎麦徳利に詰めていきます。

 今日は朝から雨が降ったせいか、それほど気温は上がらなかったけれど、その分湿度が高く、蒸しているという感じがしてならなかった。亭主は初めから、夜は冷やし中華を食べたいと思っていたのですが、女将の好みもあるからと、午後に聞いてみたら「今日は蒸し暑いからいいわ」とOKが出る。昨日のうちに買っておいた食材を使って、夜も亭主が麺を茹でる。麺が好きなことは勿論ですが、スープのお酢の味がさっぱりとして、美味しく感じられるのです。

7月27日 水曜日 本格的な夏になったかと感じた一日 …

 いつもの年ならやっと梅雨の明ける時期だけれど、今年は梅雨明けがやけに早かったから、なんともすっきりしない季節の変わり目なのです。それでも今朝は青空が広がり、夏らしい陽気で、煙草を買いに出た亭主は、そのまま蕎麦屋まで車を走らせるのでした。みずき通りを坂の上まで登れば、蕎麦屋の前のバス通り。西の小径の木槿の花を掃き集めたら、今朝の仕込みは昨日作った蕎麦汁を徳利に詰めて、蕎麦豆腐と水羊羹を作ることから始まるのです。

 常連さんの増えたせいか、最近は蕎麦豆腐の売れ行きが悪いのです。蕎麦屋で「蕎麦豆腐」と聞けば、珍しいから一度は食べてみようかという気になるけれど、決して美味しいものではないので、繰り返し頼むお客は少ない。自家製味噌ダレの甘さと柔らかな食感が好きだというお客もいるけれど、単品だと量が多いので敬遠するらしいのです。ヘルシーランチセットは半分の量にして出しているけれど、これが出ない日には蕎麦豆腐が残るのでどう改善するか。

 そんな課題を抱えながら、今日は型パッドに流し込む蕎麦豆腐の量を少し減らしてみたのです。蕎麦粉とタピオカ粉の量を四分の三にして、豆乳はそのまま、加える水を三分の二にして、少し小さめに作ってはみたけれど、果たして、どんな結果になるか。足りなくなる分には、また作れば好いけれど、週の営業が終わって残るのは耐えられないのです。蕎麦豆腐と水羊羹を流し込んだ豊缶を冷蔵庫に入れたら、早速、午前中のメインの揚げ浸しに取りかかる。

 出し汁を作って冷やしたら、夏の野菜を切り分け、ボールに入れて中華鍋に油を注いで揚げていくだけだったのですが、膝下の戸棚を見れば、油が足りないのでした。切った具材をボールに入れたまま冷蔵庫に入れて、少し早いけれど家に戻る亭主。昼は何にしようかと女将に言えば、「キャベツが随分と余っているのよ」と言うから、ホイゴウロウにしようとキャベツひとつ分を炒めて、亭主の得意の中華鍋を振る。今日は豆板醤を入れて辛めに仕上げました。

 食後は亭主はひと眠り、女将はスポーツクラブに出掛けていくのでした。午前中の仕込みが途中だったので、あまり家でゆっくりもしていられない。でも、糠味噌に野菜を漬けるのは、4時過ぎでなければ漬ける時間が長くなり過ぎるからと、午後の一番暑い時間帯に蕎麦屋に出掛けていくのでした。厨房の温度は33℃を越えて、エアコンを入れても31℃までしか下がらないので、首にアイスノンを巻いて、中華鍋に火を入れるのです。

 お客にもらった茗荷やシシトウ、農産物直売所で買ったオクラやパプリカが沢山あったので、今日は夏野菜が豊富。家から持って来た油を中華鍋に注いで、実の硬い物から順番に揚げていくのです。洗い物が少なくなるようにと、揚げては中華スプーンで鍋に冷やした出し汁に入れて行きます。全部の野菜を揚げ終わるまでに、随分沢山の油を使った。用意したタッパが二つでは足らないので、もう一つ用意して汁まで入れたら、冷蔵庫に入れて冷やすのでした。

 調理台が片付いたところで、冷蔵庫から糠床を取りだして、少し柔らかくなりすぎたから煎り糠を足して、キュウリとカブとナスを漬けておく。明日の朝まで16時間ほど、美味しく漬かると好いのですが。最後に、明日の天麩羅の具材を切り分けて、容器に入れてラップをかける。やはり、生椎茸はパックから取り出してビニール袋に入れた方が、ストレスを取り除くから、長持ちをするらしいのが判った。洗い物を済ませて、5時過ぎには家に帰るのです。

 定休日二日目の今日は、朝のうちに何ヶ月振りかでグリストラップの掃除をしたのが大きな進歩でした。ビニール袋二つ分の油の塊を取り出し、心もすっきりしたのです。午後の陽射しは一層強く、隣のお花畑の小さなひまわりも、ぐんぐん育っている様子。家に戻って夕食は何にするのと女将に尋ねれば、残った食材を片付けてと言うので、韮とモヤシの野菜炒めに、鶏肉の塩胡椒焼きと味見に持ち帰った揚げ浸しで、質素であっさりした食事となりました。

7月28日 木曜日 朝からとても暑い一日で …

 朝飯前のひと仕事で蕎麦屋に出掛けようと玄関を出れば、庭の隅に何やら真っ赤な花が咲いているのに気が付いた。近くに寄って見れば、なんとここ何年も咲かなかった真紅のモミジアオイなのでした。ピンクの方は普通のアオイだと、これではっきりと判ったのです。モミジアオイの葉は普通のアオイの葉よりも、細くモミジの形にをしている。女将に知らせると「肥料をやったのが好かったのかしら」と嬉しそうなのでした。目の覚めるような真紅が美しい。 

 蕎麦屋の駐車場に車を入れれば、今朝はやたらと沢山のツバメたちが飛び交っていました。めったにカメラには写らないのですが、近くを飛んでくるから思わずシャッターを切る。高い空まで飛んで行くものもあれば、畑のあちらこちらを低空で飛び回るものもあって、いよいよ巣立ちなのでしょうか。身体がひと回りもふた回りも大きくなっているのです。厨房に入って温度計を見れば、今日は朝から28℃もあるから、いつもより暑い朝なのでした。

 冷蔵庫から糠床を取り出して、夕べ漬けておいたお新香を取り出し、切り分けて小鉢に盛り付ける。漬けてから11時間ほどでしょうか、味は薄くもなく塩辛くもなくちょうど好い塩梅なのです。このところお客に好評の夏野菜の揚げ浸しも四皿だけ盛り付けておきました。洗濯物を畳んでから、7時過ぎに家に戻る。玄関を入れば、昨日一昨日と少し朝食の支度が遅かったから、少し心配でしたが、案の定、女将はそれに慣れてしまったらしいのです。

 それでも食後にエアコンの効いた書斎で10分ほど眠って、定休日明けの営業に出掛けるのでした。看板と幟を出してチェーンポールを降ろし、店のエアコンを入れたままにしておいたから、蕎麦打ち室まで涼しくなっていた。あまり気張らず、平日の来客数のデータに従って、750g 八人分の蕎麦を打つ。万が一、足らなくなれば、売りきれにして、ご免なさいで済ませるしかないのです。いろいろ考えると却っ気が疲れるから、最近は割り切るようにしている。

 野菜サラダも三皿だけ盛り付けました。出ない日には全部残ってしまうけれど、これも決めたとおりに用意するしかない。厨房の温度はエアコンを入れているにもかかわらず、昼になるに従ってぐんぐん上がってくる。外が相当に暑くなっているのでしょう。30℃を越えたところで、亭主はアイスノンを首に巻くのでした。昼を過ぎてもお客は来なかったけれど、今日は1時前から続けてお客が入ったのでした。せいろ蕎麦が多く出て、最後のお客だけが天せいろ。

女将のスポーツクラブの予約を取れと、彼女のスマホを持たされたけれど、前のお客の会計を済ませ、次ぎのお客にお茶を出したところで、隠れてスマホの操作をする亭主。家のご近所の奥様だったけれど、天麩羅が美味しいと言ってくださった。そこに遅れて女将が現れる。来週からは木曜日のレッスンがなくなるので、もっと早く来れると言うことだった。1時半の予約はまだ営業中だから、お客が続くと辛いのです。夜は残った野菜サラダで冷やし中華を作る。

7月29日 金曜日 暑すぎてかお客の来ない日 …

 今朝も早くから陽射しが強く、朝飯前のひと仕事に蕎麦屋に出掛けてみれば、店の中は朝から32℃になっていました。蕎麦打ち室を覗いて見れば、なんと34℃もあるから驚きです。朝日が外壁に当たった熱が、建物の中まで伝わってくるらしいのです。朝日があまりにも眩しいので、東側の窓のブラインドを下ろしてエアコンの効きをよくする。カウンターに干した昨日の洗い物を片付けて、小鉢と蕎麦汁の数を確認したら、洗濯物を畳んでおきます。

 昨夜のうちに印刷した今年の暑中見舞いの第一陣を、出そうと思ったけれど、切手の値段が気になっていたので調べて見れば、今年は63円になっているのだとか。何枚も買い置きをしても、値段が上がるから結局は二度手間になる。コンビニで一円切手を買って貼り付けたけれど、折角、印刷して仕上げたのに、体裁が美しくなくなったから興ざめです。親しい友人宛の葉書だったから、勘弁してもらおう。家に戻って朝食を食べ、今朝は書斎で30分眠った。

 9時前に日影を辿って蕎麦屋まで出掛ければ、日影のないバス通りでは、百日紅の花を眺めながら、あと50mの辛抱だとゆっくりと歩く亭主。やっと蕎麦屋に着いて、エアコンで冷えた店内に逃げ込むようにして入れば、生き返るのでした。やはりブラインドを下ろしておいて正解です。朝の仕事を終えたら、蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。室温は27℃で、湿度は35%と低めだったから、思い切って43%弱の加水で粉を捏ね始めました。

 やはりエアコンで空気が乾燥していたのか、43%近い加水でも、生地はそれほど柔らかくはないのでした。伸して畳んで包丁打ちをして、無事に八人分の蕎麦を仕上げる。昨日の蕎麦と合わせて10人分の蕎麦を生舟に用意できたのです。厨房に戻り、解凍しておいた豚ハラミを4本だけ串に刺して、大根をおろし、野菜サラダの具材を刻んで三皿盛り付ける。ハラミは真空フリーザーを氷温にして、ドリップが出ないように設定。サラダも直ぐに冷蔵庫に入れる。

 外は青空が広がって相当な暑さで、昼前にもう厨房は30℃になっていました。アイスノンを首に巻きながら、開店の準備を終わらせて、暖簾を出すけれど、この暑さでお客が来るのか心配なのです。今朝の新聞では、昨日の市内のコロナ感染者数は初めて300人を越えていたから、暑さにしてもコロナにしても、お客の来ない条件は出そろっている。ゆっくり身体を休めていようと思うのだけれど、どうも休憩モードにはなれないのです。

 それでも1時過ぎに隣町の常連さんがいらっしたから、亭主は黙っていつもの特別メニューをセットする。野菜サラダを出したら、辛味大根をおろして、インゲンとキスと稚鮎の天麩羅を揚げるのでした。月曜日に4回目のワクチンを接種した帰りに寄ったら、店が混んでいては入れなかったと言う。確かあの日は平日なのに、1時を過ぎてから混んだのでした。と、まだ営業中でお客もいるのに、県の調査だと言って若い視察員が前触れもなく現れる。

 今日の営業は常連さんお一人で終了。それでも有り難い事です。早めに片付けて、家に戻ってエアコンを効かせた書斎で、落胆のふて寝をする亭主。4時過ぎに目を覚まして、もう一度蕎麦屋に出掛け、明日の小鉢や蕎麦汁の補充をして、新しくお新香を漬けておくのでした。夜は店で残った野菜サラダで今日も冷やし中華かと思ったけれど、女将がチーズ揚げを作ってくれていたので、亭主が作って冷凍してある餃子を焼いてもらって一献なのです。

7月30日 土曜日 朝から眩しい太陽が …

 午前5時半、居間の部屋に入れば、食堂の窓に朝日が当たってとても眩しいのでした。毎日のように同じ時間に朝日が当たるのを見るけれど、こんなに眩しく感じたことはないのです。昨夜、冷蔵庫で冷やしておいたほうじ茶を一杯飲んで、朝飯前のひと仕事に蕎麦屋に出掛けるのです。夕べ漬けた糠漬けを取り出すのが目的でしたが、それだけでは勿体ないからと、玄関から入った所の床掃除もしておく。石けん水で床を磨き、雑巾で拭き取っていくだけです。

 だいぶ前に塗った床のワックスが剥がれているから、土足で歩くところがもう汚れ放題なのです。毎朝、涼しいうちに少しずつやれば、少しは綺麗に見えるだろうと、昔のように一気に片付ける元気のなくなった亭主は、持久戦で臨む決意なのです。電動のポリシャーを購入したらどうかと、いろいろ調べてはいるけれど、狭いみせの中の一部分だから、手で拭いた方が確実で安上がりのようなのです。向かいの森から昇る太陽の光も、今朝は随分と眩しい。

 糠床からキュウリとナスとカブを取りだして切り分けたら、小鉢に盛り付けて今日のお客に備える。ところが、あまりもの暑さのせいか、天麩羅がほとんど出なくて、せいろ蕎麦などには夏野菜の揚げ浸しを付けるので、前のお新香は家に持ち帰って食べる始末。今朝も女将の作ってくれた卵焼き以外は、全部、蕎麦屋で残った食材ばかりなのでした。それでも美味しく食べられるから幸せというもの。キュウリの梅漬けがさっぱりとして食が進む。

 早く終わった朝食の後は、エアコンの効いた書斎でゆっくりと朝寝。夜が暑くて目が覚めるので、寝ても寝てもまだ眠い。やっと起き出して再び蕎麦屋に行く頃には、陽もだいぶ高く昇っているのでした。蕎麦屋に着けば玄関前に西瓜と長ナスが置いてあるではありませんか。向かいの畑の親父様が持って来てくれたらしい。トラクターで畑を耕している彼方に向かって「有り難うございます」と大声で叫べば、運転席から手を振って分かったという合図。

 早朝からエアコンを入れているから、蕎麦打ち室も27℃まで下がって、加水率43%で今朝の蕎麦を打つ。ちなみに湿度は45%なのでした。夏場は水が少なくて好いと思っていたのは、間違いだったのか、エアコンで除湿もされるから、自然の中の蕎麦粉の状態とは少し違うのかも知れない。そうなると、年間を通して43%というのが一つの目安になるのでしょう。今朝も切りべら26本で135gの蕎麦を八人分打って、今日も15食の蕎麦を用意したのです。

 あとから来てくれた女将が、店の掃除を終わらせて、サラダのドレッシングの入れ物の掃除や、蕎麦豆腐のタレの用意など、こまごまとした準備を整えてくれる。野菜サラダは週末だからと四皿盛り付けたけれど、最近は野菜サラダがなかなか出ない。女性のお客が来ないと、ヘルシーランチセットも出ないから、デザートと一緒に残ってしまうことが多いのです。今日も最初にいらっしたカレーうどんの常連さんが、野菜サラダを食べてくれただけでした。

 後はせいろ蕎麦の大盛りばかりが随分と出て、蕎麦好きの男性客はあまり他の物には目もくれないのです。真昼の外はうだるような暑さで、こんな暑い中を蕎麦を食べに来てくれるのは、やはり常連さんたちなのでした。市内のコロナ感染者数もこのところ相当に増えているから、皆さん外食をするのを控えているのかも知れない。先週も週末よりは平日の方がお客が多いのでした。明日の日曜日もお客が少なければ、コロナ野感染拡大の影響だと言えるかも。

 早めに店の片付けを終えて、家に帰ってから女将と二人で西の町のスーパーに出かけることにしました。亭主はホームセンターで割り箸やらペーパータオルなどを買い込み、女将は今日の夕食のおかずを見て歩いた。魚屋の寿司も気にはなったけれど、野菜サラダの残りが沢山あるというので、肉だけ買って夕食はまたしてもお好み焼き。一人分でサラダ二皿分の野菜を食べられるから、確かに効率的だけれど、酒の肴としては今ひとつなのでした。

7月31日 日曜日 今までにない暑さの日 …

 雨戸を開けた女将が「今朝もモミジアオイが咲いているわ」と言うので、庭に出て写真を撮った。朝から暑いのに品好く綺麗に咲いているから、見ているこちらもしっかりしなくてはと思うのです。昨日はお客が少なかったから、今朝は朝飯前のひと仕事はなしにして、女将もゆっくりと朝食の支度をしていた。ハッシュドポテトに目玉焼きのおかずだったけれど、子供の小さな時分によく食べたからか、歳を取っても美味しく食べられるのです。

 朝食を終えて蕎麦屋に出掛ける前に、暑中見舞いの第二陣を出しに1km先のコンビニまで車を走らせる亭主。車でなければ、葉書も出しに行けないほど不便な場所に住んでいるんだなぁと、改めて思うのでした。それでも何不自由なく暮らしているのは、歳を取って行動範囲が狭くなったからか。その倍ほどの距離を、女将は毎日歩いて出掛けるから偉いものです。今朝は朝の8時からもう外は30℃を越えているから、相当に暑くなると思えるのでした。

 家から300mの距離を蕎麦屋までゆっくり歩いて、時々、家々の日影で立ち止まる亭主。今朝も青空が広がって、陽射しはジリジリと肌を焼くようなのです。店の前に来たところで、お隣の軒下から飛び出してくる燕の群れに遭遇する。6、7羽の大きなツバメが何度も滑空して、蕎麦屋の駐車場の周りを飛び回るから圧巻でした。スピードが速いので、とてもカメラでは追えないから、一方向だけを狙って、視界に入ったところでシャッターを切った。

 ちょうど巣のある軒下に近づくときには、翼を広げて減速するので画角の端にその姿が写っていたのです。朝の陽射しは強いし、長い時間は付き合えないから、幟を出してチェーンポールをおろせばまだ飛び回っている。この暑いのによく疲れないものだと、感心しながらもう一枚蕎麦屋をバックにシャッターを切れば、群れの中の一羽が屋根の上に写っていました。みんな以前よりも相当に身体が大きくなっているから驚いたのです。

 活発な燕たちに元気をもらって、今日も蕎麦を打つ亭主。昨日の蕎麦が生舟に半分以上残っているから、今朝は500gだけ打ち足して合わせて15食を用意した。加水率は迷わずに43%。家の仕事を終えた女将がやって来て「外はお風呂の中みたいに暑いわよ」と言う。エアコンを効かせた厨房も、今朝は早い時間から30℃を越えているのでした。首に凍らせたアイスノンを巻いて、薬味の細葱を刻み、大根をおろしたら、あまり出ない野菜サラダを三皿にして用意。

 先週の日曜日は、コロナの急拡大もあってかお客がほとんど来なかったから、今日はどうだろうと思っていたら、開店から続けてお客が入って、五人家族がいらっしたところで満席の看板を出す。カウンターにも中年のリピーターご夫婦が座って、ヘルシーランチセットのご注文でした。12時半前にもう10人は越えたのでしょうか、厨房は32℃の暑さになって、一区切りして亭主は、エアコンを効かせてある奥の座敷に涼みに入るのでした。

 「奥さんも暑いでしょう」とカウンターのご主人が言えば、「火のそばが特に暑いのよ」と涼しい顔の女将。背の高い亭主は、尚更、暑い。蕎麦は乾燥に弱いから、狭い蕎麦打ち室にも厨房にもエアコンは入れていないのです。何度も電話をかけてきたご近所の奥さんが、娘と孫を連れていらっしたのは1時前でした。一度来たけれど満車で入れなかったと言う。この暑いのに鴨せいろの大盛りを頼まれた娘さん。今は大阪で暮らしているのだそうな。

 お蕎麦売り切れの看板を出したのは1時頃。幸いその後はお客が来なかった。女将と二人で洗い物と片付け物をこなしながら、お盆の休みはいつにしようかと話をする。今日で7月も終わりだから、そろそろ案内を出しておいた方が好いのです。家に戻れば、居間の部屋はなんと35℃になっていた。二人で冷えた西瓜を食べたら、亭主は売り上げと写真のデータをパソコンに入力してひと眠り。女将は夕刻から買い物に出掛けたらしい。夜はまた冷やし中華を作る。