2025年1月中旬



1月13日 月曜日 成人式も遠い昔…

 定休日の一日目は、ゆっくりと食後のひと眠りをして蕎麦屋に出掛け、昨日持ち帰れなかった残りものを取りに行きました。陽の当たる南の庭は草も枯れて、この間、剪定した月桂樹の木が葉を茂らせている。気の早いもので、その手前辺りに、なんとか家の庭の金柑の木を移植できないかと考えている亭主。お客は少なかったけれど、最終日は残った蕎麦汁も全部持ち帰ったから、空の蕎麦徳利などが洗ってカウンターに干してあるから、それを片付ける。

 冷蔵庫に残ったキャベツやレタスの残りと、作ったばかりのキノコ汁や一番出汁、二番出汁を。全部家に持ち帰らなければいけなかった。昼は昨日打った蕎麦が随分と残っていたから、揚げて帰った天麩羅をフライパンで焼いて、蕎麦を茹でたら天麩羅蕎麦。店の大きな鍋で茹でるのと違って、やはり蕎麦の茹で上がりが違うのが残念なのです。亭主は1.5人分の蕎麦を平らげて満足する。お茶をもらってひと眠りしようと思うけれど、疲れていないから眠れない。

 書斎にゴミ袋を持ち込んで、CD類を全部詰め込んでいく。CDが燃えるゴミで出せることを初めて知ったのです。ゴミ袋二つ分を玄関まで運んで、次のゴミの日に出す事にしました。午後は蕎麦屋に出掛けて返しの仕込みをしようと思っていたので、蛍光灯の廃棄分を地区のコミセンに持って行ったけれど、月曜日は休館日なのでした。玄関のすぐ内側にある蛍光灯のゴミ捨て場は見えるのだけれど、中には入れないので捨ててくることは出来なかったのです。

 仕方がないからそのまま蕎麦屋に行って、返しの仕込みを始めるのでした。出汁取りよりもかかる時間は短いので、洗濯機の中の洗濯物を干したり、昨日固めた天麩羅油を捨てたりといろいろやることはあるのです。家に帰ってもまだ3時過ぎだったので、祭日でテレビは「ハリーポッター」を続けて放映していたから、居間の椅子に座ってじっと見ていた。あまりにも一本が長いので、飽きてしまっていつも途中で挫折してしまうのです。



1月14日 火曜日 朝夕はとても冷え込んで…

 朝の9時にお袋様を迎えに行けば、車外温度は3℃だったから、かなり寒い朝なでした。にもかかわらず、農産物直売所の駐車場は車が一杯なのです。幾つになっても母親だから「膝の具合は好くなったの?」と心配そうに聞いてくる。「もう二三日したら痛み止めの薬がなくなるから、今度は尿酸値を下げる薬に替えるんだよ」と説明する亭主。隣町のスーパーにも行って、食材を買いそろえるのですが、袋四つでもう一万円を越えている。野菜が高いのでした。

 農産物直売所では白菜が一把200円ほどだったから、これは安かった。店に戻って、食材を冷蔵庫に収納したら、早速、白菜を半分だけ漬け物器に塩で漬けておく。残りは家に持ち帰って家計の足しにしてもらうのです。買い物に出た女将よりも早く家に帰り、頼まれた食材を冷蔵庫にしまっておきます。昼はまた蕎麦なので、鍋のお湯が沸くまでテレビを観ている。お湯が沸いたら、亭主の出番で冷たい水で洗った蕎麦が美味しそうなのでした。

 昨日ぐっすり眠れたからか、今日は朝も昼も食後のひと眠りはしなかった。午後は2時過ぎに女将のスポーツクラブの予約を済ませたら、蕎麦屋に出掛けて出汁取りに取りかかるのでした。午前中に塩漬けにした白菜はまだ水が上がっていなかった。小一時間掛けて二番出汁まで取ったら、天つゆを作り、大きな鍋で追い鰹で取った二番出汁を使って、キノコ汁も作っておく。ステンレスの容器二杯分の二番出汁は予備。残りは明日のカレーに使う予定なのです。

 4時半に家に帰って、テレビで大相撲を観ながら夕食の準備を始める。一昨日残った野菜サラダ二皿分を使って、肉と海鮮ミックスとキクラゲを入れ、隣の火口のフライパンで堅焼きそばを焼いて、あんかけを作っていく。ものの5分で出来上がりだから、女将はその間テレビで相撲を観ている。一つ半の焼きそばの玉を二人で食べる。寒い時期はこのあんかけが、一番暖まるのです。居間で相撲の続きを観ていたら、女将が薬用の水とお茶を持って来てくれた。



1月15日 水曜日 朝晩は寒く、日中は暖かい一日でした…

 今朝も6時に目覚めてコーヒーを入れ、朝食までテレビの映画を観ていた。昼間は暖かいと言うけれど、朝は寒いから外に出たくないのです。食事を終えたら、ヘップバーンの「ローマの休日」をやっていたので、これも最後まで観るのでした。白黒の映画だけれど何回観ても飽きないのです。やっと家を出て午前中の仕込みに出掛けたのが10時過ぎ。昼前にカレーを仕込んでおこうと決めていたのです。古いカレーが一袋だけ残っていたから、家に持って帰る。

 店の電子レンジが壊れているので、長いこと冷凍室に入れておくと、解凍するのに手間がかかるのです。家に帰って、店から持って帰った天つゆが残っていたので温め、同じくかき揚げの材料を持ち帰っていたから、玉葱や人参に肉を入れて、レンジで解凍したカレーを入れて煮込む。最後に水溶き片栗粉を加えれば、霊犀亭特製の美味しそうなカレーが出来上がるのでした。もともと味を濃くして冷凍してあるから、天つゆで薄めてちょうど好い味になるのです。

 午後も昼寝をせずに、女将がスポーツクラブに出掛けた後に、亭主は蕎麦屋に行って午後の仕込みを開始するのでした。まずは午前中に作ったカレーをジブロックの袋に詰めて、6袋分を冷凍室に入れておきます。それから空の蕎麦徳利に蕎麦汁を満たして、アルミホイルで蓋をして冷蔵庫に入れる。それから蕎麦豆腐を作って型に流し込み、冷蔵庫に入れるのです。ここで少しひと休み。ケトルでほうじ茶を沸かして陶器のグラス四杯分。明日の飲み物になる。

 次は筑前煮を作るのですが、これが案外と手間がかかるのです。牛蒡、人参、里芋などの根菜類はすべて皮を剥いて、乱切りにして火が通りやすくします。蒟蒻と出汁取りに使った干し椎茸とを切って鶏肉から順番に油で炒めていく。鶏肉の色が変わったら二番出汁を入れて少し煮る。里芋や人参に火が通ったところで、出汁醤油と砂糖で味つけをするのです。煮込むこと10分。蓮根を入れないのは隣の火口で天麩羅の具材として茹でているから。

 ここでもう終わりにしたかったけれど、天麩羅の具材を切り分けておかないと、明日の朝が大変になるから、最後の力を振り絞って玉葱、三ツ葉、生椎茸、ピーマン、茄子と切り分けていく。午後の仕込みを始めてから2時間以上が過ぎていた。使った鍋はその都度洗って洗いかごに入れてある。全部を乾かしてからいよいよ家に帰る準備に入るのです。使い切れなかった牛蒡と里芋は持ち帰る。陽は随分と傾いていた。夜の防犯パトロールは、膝の具合が悪いのでお休みにしろと女将に言われて、大相撲のテレビ中継を観る。


1月16日 木曜日 寒すぎて身体が動かないけれど…

 木曜日から4日間はスマホのアラームをセットしているので、今朝も5時には目を覚ますのでした。昨日の夜は10時に床に就いたので、すんなりと目覚めて居間の部屋に移る。コーヒーを沸かしていると遅くなるからと、支度をして車で蕎麦屋に向かうのです。辺りはまだ真っ暗で、丸い月が蕎麦屋の屋根の上にかかっていました。暖房を入れたら厨房に入って、漬け上がったお新香を取り出して、6鉢分だけ切り分ける。後は昨日作った筑前煮を四鉢盛り付ける。

 6時前に蕎麦打ち室に入って、8人分の750gを捏ね始める。蕎麦玉にしたら寝かせている間に、ケトルでお湯を沸かしてコーヒーを入れるのです。6時半になったところで再び蕎麦打ち室に入って、47%で打ち上げた蕎麦を伸して畳んで、切りべら21本で135gに切っていく。昨日の夜見たテレビの行列の出来る蕎麦屋では、若い女性が1.5kgもあろうかと思われる蕎麦を、手際よく切っている姿が放映されていた。一日100食を越えるような大きな店はさすがに凄い。

 蕎麦好きならば、その番組を見ただけで蕎麦が食べたくなるけれど、今朝のこの寒さでは亭犀亭にはどれだけお客が来るのやら。家に帰る頃には朝焼けの空が広がり、今日も晴れそうだと思いながら車に乗り込む。朝食には昨日作ったカレーが出て、女将の仕事も少なくて済んだのです。今朝も食後のひと眠りはせずに、8時半には再び蕎麦屋に出掛ける。定休日明けの朝は、薬味の葱を刻んだり、生姜や大根をすり下ろしたりとする事が沢山あるのでした。

 木曜日は女将が来るのが開店前だから、仕込みを終えた亭主がテーブルを拭いて回らなければならない。今日は早くから店に来ていたので、解凍した海老を袋から出して容器に詰めたり、天ぷら粉を空になった容器に入れたりと結構忙しい。野菜サラダを刻んでいつものように三皿に盛り付け、金柑大福を四皿分包んでカウンターに並べる。今日はサラダも大福も出なかったので残念。昼過ぎになってご夫婦が車でいらっして、天せいろのご注文なのでした。

 ご主人がビールを飲みたがったけれど、奥様に言われてノンアルコールのビールに替える。料理を出し終えた頃に、駅の向こうから自転車で若い常連さんがいらっしゃる。キノコ蕎麦の大盛りと蕎麦豆腐を頼まれて、亭主が「今日は自転車では寒いでしょ」と言えば「寒くて手が悴んでしまいました」と言う。1時過ぎには皆さんお帰りになって、亭主もかき揚げを揚げて賄い蕎麦を食べる。洗い物と片付けを済ませて、2時半には女将と二人で家に帰るのでした。


1月17日 金曜日 毎日が氷点下の朝…

 今朝も5時にアラームで目が覚めたけれど、今日は蕎麦打ちが少ししかなかったので、コーヒーを沸かして飲む時間があった。居間のエアコンだけでは寒いので、石油ストーブを点けるのですが、なかなか室温は上がらない。5時半を過ぎてやっと蕎麦屋に出掛ける支度を始めるのでした。手袋を捜しても見当たらないので、かじかむ手を我慢して車に乗る。この間は2日間もメガネがなくなって困ったし、物覚えが随分と悪くなったのです。

 カウンターに干した盆や蕎麦皿を片付け、大釜に湯を入れて火を点けてから、室温6℃の蕎麦打ち室に入って蕎麦粉を捏ねる。蕎麦玉を作って寝かせている間に、厨房に戻ってほうじ茶を沸かす。しばし休憩して、6時半になったら再び蕎麦打ち室に入って生地を伸しにかかるのです。外はやっと明るくなった。後で調べたら、今日がこの冬で一番日の出の遅い日で、6時48分。切りべら20本140gで5束打ち足して、今日は9食分の蕎麦を用意した。

 風も強いし、タブレットの気象予報では体感2℃となっている。窓から見渡す隣のお花畑も、真っ白な霜で覆われていた。この広い畑を吹き渡る西風が平屋の蕎麦屋を冷やすのだ。エアコンを入れてもまったく暖まらないのです。7時前に蕎麦打ちを終えて家に帰れば、今朝は鮭の塩焼きがおかずで、美味しく頂いてひと休みしたら書斎に入ってひと眠り。寒いからか、夕べも7時間も眠ったのに、1時間も眠ってしまうのでした。ゆっくりと蕎麦屋に歩いて行く。

 幟を出せば、風が強くてぱたぱたとはためいている。空は青いけれど、これではやはり体感温度2℃というのも頷けるのです。野菜サラダを作ってテーブルを拭いて回り、開店の準備が整ったのが、11時過ぎ。昼前に老夫婦が車でいらっして、鴨南蛮蕎麦と天せいろと金柑大福を頼まれる。調理をしている途中でまた一人、自転車で駅の向こうから常連さんがやって来た。何も言わなくても、せいろ蕎麦の大盛りと辛味大根を出す。今日は金柑大福を三つ持ち帰る。

 1時前には皆さんお帰りになったけれど、まだ油断は出来ないのです。洗い物を済ませて、天麩羅の具材や天つゆの鍋を片付け、二皿残った野菜サラダを包んで持ち帰る準備をしていたら、閉店の前にまた車が一台入って来る。老人が一人でカウンターに座り、おろし蕎麦の大盛りを頼まれた。少し気温が上がったのか、エアコンを効かせた店の中は24℃まで室温が上がるのでした。亭主はやっとかき揚げを揚げて蕎麦を茹で、お客が帰ったら賄い蕎麦を食べる。


1月18日 土曜日 今朝は特別に寒い朝でした…

 今朝も5時起き。5時半には家を出て、室温6℃の蕎麦屋で蕎麦を打つのでした。捏ね鉢を洗ってから、昨日の洗い物を片付ける。大釜に湯を汲んで火を点ければ、少しは背中が暖かいのです。6時前には蕎麦打ち室に戻って、伸し方を始めます。47%の加水にしてから、四角形は綺麗に出来るようになったけれど、伸しムラがあるらしく、どうしても中央部分が厚くなって最後に飛び出てしまう。技術的な問題だから解決が出来るだろうけれど、急いでは駄目。

 12人分の蕎麦を用意して7時前に家に帰るのでした。今日は卵と煮物だと聞いていたから、すぐに朝食を食べてひと休みです。40分ほど眠ったら、洗面と着替えを済ませて再び蕎麦屋に出掛けます。
今日は土曜日だから向かいのサツマイモ農園では朝市を開催しています。若旦那が「お早うございます」と亭主の姿を見て声を掛けてくれる。女将もサツマイモとホウレン草を買って帰ったそうな。厨房に入る前に幟と看板を出して、チェーンポールを降ろした。

 野菜サラダの具材を刻んで盛り付けに入る。キャベツは300円もするのに随分と小さくて刻むのにもひと苦労するのでした。パプリカは週4日の営業になってちょうど1個で間に合うのです。人参のジュリエンヌは包丁が切りないと上手く刻めないけれど、今日はそれでも納得のいく細さで切りそろえられました。このサラダがすべて売れたから嬉しいのです。それから大福を仕込んで4皿分作っておく。今日はお客が多かったから蕎麦豆腐も大福も残りは一つ。

 寒いからどうしても温かい汁の蕎麦やカレー蕎麦などが出たけれど、ヘルシーランチセットやキノコ蕎麦も出たから忙しい。1時をだいぶ過ぎてお客は皆さん帰られた。亭主が賄い蕎麦を食べたら、女将と二人で洗い物と片付けを始めて2時半前には家に帰る事が出来ました。今日は地元の不動産屋が来て、家の買い取りの話をする日なのでした。1時間ほど話を聞いて、家の中と家回りを見て帰った。蕎麦屋は8月までは営業できそうなのでした。 



1月19日 日曜日 机の引き出しで見つけた一枚の写真…

 毎日少しずつ部屋の中を整理している昨今ですが、先日、昔懐かしい一枚の写真を見つけました。今はもう亡くなってしまったけれど、自分の父親と15歳も離れた伯父夫婦と一緒に写った写真。祖母も亡くなって、法事以外では本家を訪れたことが亡かったけれど、確か水泳の関東大会が近くであったので、顔を見せに寄ったのでした。ネクタイをしていなかったから、伯父のネクタイをもらって締めて出掛けたのを覚えている。小さな頃から随分と世話になった。

 ぐっすりと眠れたので、今朝は5時に目覚めて5時半には蕎麦屋に出掛ける。蕎麦打ち室に入って今日も47%の加水で蕎麦を打つ。次第に白んでくる外は真っ白な霜に覆われて、寒い朝なのでした。昨日、キノコ汁が全部なくなったので、今日は新しく作っておかなくてはと、家への帰り道に1キロほど離れた場所にあるビッグエーに、キノコと鶏肉を買って帰宅するのでした。今朝も食後のひと眠りをせずに、早めに蕎麦屋に出掛けて仕込みをしておく。

 今日は日中も寒い一日だったから、このキノコつけ蕎麦が出たので嬉しかった。解凍してあったハラミも串に刺して準備しておいたけれど、これは出なかったので家に持ち帰って夜の酒の肴になる。蕎麦豆腐も残り一つだったから作っておいたけれど、野菜サラダと同様に今日は出なかったのです。今週の最後の日だからと言って、「今日はありません」と言うのも気が引けるから、女将に言われて全部用意しておいたのです。店屋とはそんなものなのです。

 昼までは青空が覗いていたが、陽射しは弱くやはり冬の一日なのでした。去年よりは少しはお客が増えた週ではありましたが、寒い時期はやはりお客の数も少ない。8月に店を閉めてからのことを、女将といろいろ話しながら過ごしたのです。閉店前に客が来て最後の天せいろを揚げる。2時半には二人で家に戻って、女将は美容院へ出掛け、亭主は書斎に入ってひと眠りするのでした。夜は久し振りに雨が降ったので、少しは暖かな夕べとなった。