11月27日 水曜日 異様な暖かさの一日でしたが…
暖かい朝でした。雨が降っていたのですが、今朝のうちに蕎麦を半分だけ打っておかなくてはと思い、6時前に家を出て蕎麦屋に向かうのでした。外装塗装の足場に幕が張られているので、店の中は暗く、照明を点けなければいけなかった。まずは蕎麦打ち室に入って600gの蕎麦粉と小麦粉を計量して、お湯を汲んで蕎麦玉を作る。寝かせること30分。しっとりとした生地を伸して、6束半の蕎麦を仕上げるのでした。これで朝飯前のひと仕事は終わりです。
家に戻って食卓につけば、今朝は銀ダラの煮物と茶碗節が出て、とても美味しく頂くのでした。居間の椅子に座って食後のお茶をもらったら、書斎に入ってひと眠り。今朝は5時に目が覚めたので、もう蕎麦屋の営日日の生活に戻っている。9時過ぎにはまた蕎麦屋に出掛けて、午前中の仕込みを開始するのです。キノコ汁を仕込んで鶏肉を入れ、3人分の汁を作っておきました。次に油揚げを湯通ししたら、砂糖と出汁醤油で煮込み、ホウレン草を茹でるのです。
新しい低価格のメニューで、まだそれほど出てはいないけれど、寒くなって暖かい汁の蕎麦が食べたいというお客が増えれば、案外と人気になるのではないかと思うのです。昼前までいろいろ用意をしたら、11時過ぎには家に戻って昼飯の用意をしなければいけないのでした。何も用意していなかったから、今日は残っていたキャベツを切って豚肉と炒め、卵を加えて亭主が炒飯を作る。食べたらまた書斎に入ってひと眠りなのです。明日はもう昼寝は出来ない。
女将がスポーツクラブから帰って来たら、今度は映画を見終えた亭主が、蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをするのでした。昆布と干し椎茸を浸けておいた鍋で出汁を取って、天麩羅の具材を切り分けたら、空の徳利に蕎麦汁を補充して、最後にキュウリとナスのお新香を漬けて終わり。今日は暖かかったけれど、部屋の中は何故か寒く感じる。夕暮れ時のみずき通りは美しかった。家に戻れば、夕飯のおかずは豚のすき焼き風の鍋なのです。身体が温まった。
11月28日 木曜日 雲一つない快晴なのに外は冷たい風で…
午前4時起床。コーヒーを沸かして居間の部屋でひと休み。5時前につかまり立ちしながら、ガレージまで降りてシャッターを身体の前で持ち上げて開ける。車に乗り込むのにも両手でドアとハンドルを持って、なんとか座席に座る。ぎっくり腰はまだ治っていないのです。冷える朝は腰が痛いから尚更動くのが辛いけれど、動かないとじっと座ったきりになってしまいそうで怖いのです。蕎麦屋に着いたらまだ暗い時間で、お茶を入れて小鉢を盛り付ける。
立ったら立ったままの方が腰の調子は好いのだけれど、蕎麦を打たなくてはならないから蕎麦打ち室に入るのです。屈んで冷蔵庫から蕎麦粉を取り出すのにもひと苦労。蕎麦粉を計量したら今度は計量カップを持って厨房でお湯を汲んでくる。左手で木鉢の端を持って右手で捏ね始めて、少し馴染んできたら腰を屈めると痛いから、膝を曲げて水回しに入るのです。蕎麦玉が仕上がったところでやっと厨房でひと休みする。休みながら朝入れた温かい蕎麦茶を飲む。
6時半になったら、また蕎麦打ち室に入って蕎麦玉を伸す。加水率は43.5%だったから、少し柔らかめだったけれど、腰の痛いのにはちょうど好くって、あまり力を入れずに伸し広げられたのです。7時前には蕎麦打ちを終えて家に帰って朝食を食べる。食後は書斎に入ってひと眠り。少し外も暖かくなったから、今日はセーターを着ないで上着を羽織って歩いて出掛けるのです。300mの距離をゆっくりと10分もかけて歩いて、隣近所の木の枝に赤や黄色の実が…。
蕎麦屋に着いて看板と暖簾を出せば、今日は二人の職人さんが来ていた。外壁の洗浄後の養生が終わったらしく、コーキングと目張りをしているらしかった。陽射しはあるけれど、風もあって足場に掛けた網目の覆いが揺れていた。大根をおろし生姜を擦って、薬味の葱を刻んだら、野菜サラダの具材を刻み始めるのです。いつもと同じく三皿に盛り付けておいたら、開店と同時にいらっした女性二人が、ヘルシーランチセットを頼まれたのですぐに売れたのです。
なた漬けが美味しいと言うので、作り方を説明したり、いろいろな話をして1時間近くゆっくりとなさって帰られた。外は冷たい風が吹いて、それ以後はもうお客がないのでした。やはり陽射しがあっても冷たい風が吹くと、散歩の人たちの姿も見えないので、お客が来るはずもないのでした。1時半になったら女将のスポーツクラブの予約を取り、亭主は天麩羅を揚げて賄い蕎麦を食べてしまう。他に洗い物もないので、片付けをして2時半前には蕎麦屋を出る。
11月29日 金曜日 窓からの明かりもなしで営業したけれど…
今日も5時には目が覚めたけれど、蕎麦は打たなくても足りるだろうし、小鉢も今日の分ぐらいはありそうだったので、ゆっくりとコーヒーを沸かして飲んだのです。あまり時間があったので、洗面所に行って髭を剃る亭主。普通に規則正しく暮らして入れば、二日に一度ぐらい髭を剃れば十分なのです。朝食を食べて歯磨きをしたら、着替えを済ませて一服。9時半近くに蕎麦屋に出掛けるのでした。だいぶ暖かくなってきたので、今朝もセーターを着なかった。
バス通りに出れば、上空に雲は出ていたけれど、陽射しは暖かかったのです。南天の実のなるお宅を曲がって、種がこぼれて出て来た鶏頭が歩道に咲き並んで、ちょっと風情があるのでした。蕎麦屋に着けば、もう職人さんが来て仕事を始めていた。壁と覆いの隙間から顔を出して挨拶をする。今日はいよいよ壁を塗るのだそうで、暖簾を出すことは難しそうだつたので、営業中の看板を覆いの前に出して、幟だけいつもの場所に立てるのでした。
店の中は覆いと目張りのために薄暗かったから、朝から電気をすべて点けなければいけなかった。大根をおろして野菜サラダの具材を刻んだころに、玄関の扉を叩く音がしたので返事をすれば、職人さんが「入り口の軒下は後から塗りますので、暖簾を出しても好いですよ」と言ってくれた。そして、早速、若い夫婦がいらっして、ヘルシーランチセットのご注文なのでした。続けて、常連さんが人を連れてやって来てカウンターに座るのでした。
続けての来客で野菜サラダや蕎麦豆腐を出したり、蕎麦饅頭を蒸かしたりと忙しかったけれど、天せいろが続いたので調理は楽なのでした。あれやこれやですぐに1時になってしまいました。この調子だとまだお客が来るかも知れないと思って、賄い蕎麦を食べるのを我慢していたら、案の定、お客はやって来たのです。こちらも常連さんで、カウンターの隅に座っていつものカレーうどんを頼まれる。外は寒いかと尋ねたら、カレーうどんで暖まると応えた。
少しずつは洗い物をしていたのですが、片付け終わらなくて次のお客が来てしまった。結局、お客が帰ってから昼を食べたので、片付け物が終わったのは3時近かった。外装工事の職人さんに挨拶をして家に帰れば、女将はもう帰っていたのです。庭の金柑が随分と黄色くなっていたから、そんな季節なのかと女将に尋ねれば、もう鶏が食べに来ているわよという返答。今年は黄色い実が沢山落ちているけれど、例年は年明けに収穫しているのでした。
11月30日 土曜日 いよいよ11月も最後…
午前5時起床。蕎麦屋に出掛ける支度をして玄関を出れば、冬の暁前の空には満天の星が輝いていました。こんなに好く星が見えるのは、気温が相当に下がっているからなのです。予報では6時の時点で0℃。昨日の熱気が残っている蕎麦屋の中も、11℃しかありませんでした。まずは蕎麦打ち室に入って蕎麦粉と小麦粉との分量を量り、軽量カップを手に厨房に戻ってお湯を汲んでくるのです。計った粉を篩に掛けて、お湯を入れながら水回しを始める。
蕎麦玉にして6時半近くまで寝かせたら、再び蕎麦打ち室に入って蕎麦玉を伸していきます。43.5%の加水率だと、柔らかさの限界で、これ以上加水すると生地が包丁にくっついてしまいそう。無事に打ち終えて生舟の中に並べたら家に戻るのです。表に出れば隣の畑は霜で真っ白。今日も好く晴れそうな空なのでした。家に戻って食卓につけば、今朝は厚揚げの卵綴じで、店で残った三ツ葉か一緒に綴じられていました。お茶をもらって書斎でひと眠りです。
少し暖かくなった9時には家を出て、土曜日の朝市を始めている向かいのサツマイモ農園の若旦那と挨拶を交わし、幟と看板を出すのです。外壁の足場には「営業中」という大きな看板を出してくれたらしく、遠くからもよく見えるのでした。今日は10時半に女性が一人いらしたけれど、さすがに「11時半からなのですよ」とお断りしました。野菜サラダを作り終え、天麩羅の具材を切りそろえ、やっと開店の準備が整って暖簾を出したけれど、お客の出足は遅い。
昼をだいぶ過ぎてから、ご夫婦のお客様が二組入って、皆さんご新規の方だったから、やはり「営業中」の大きな看板が効いたのだろうか。陽射しはあるけれど、外は15℃と寒いから、やはりお客は少ないのでした。1時半になってぶっかけ蕎麦を作って昼を食べる亭主。お新香が残り少なくなったから、夕方にまたナスとキュウリを漬けに来なくてはならない。腰の具合も少しずつ好くなっているのだろうか。歩く速度を少しだけ早めて、家路をたどるのでした。