2024年8月中旬



8月10日 土曜日 風は涼しい秋の風だったのに昼からは猛暑…

 涼しい朝の風に吹かれながら、5時に家を出て蕎麦屋に向かう。小鉢がお新香となた漬けと9鉢あったけれど、三連休はどんなことが起きるか分からないから、厨房に入って切り干し大根の煮物を作るのです。油揚げも戻した干し椎茸も冷凍してあるから、毎日出る人参の切れ端を刻んで、切り干し大根を水で戻せば材料は用意できた。一番無駄のない小鉢で時間も節約できるから、いざという時のためにいつも用意してあるのです。出来上がりまで約30分。

 次に今年はちょっと遅かった新蕎麦の粉を計量して、39%の加水率で捏ね始めれば、新蕎麦だけあってしっとりとした生地が出来上がる。包丁切りもスムーズで久し振りに思うような蕎麦が仕上がりました。土曜日だから、向かいのサツマイモ農園の朝市は、移動販売の野菜を買いに来たり、結構お客も入って賑わっているのです。今朝は7時前に蕎麦を打ち終わり、後片づけをして早めに家に帰ることが出来ました。風は涼しいけれど、ジリジリと陽射しが強い。

 朝食を食べ終えて家を出る頃には空は曇っていたから、今朝は帽子も被らずに蕎麦屋に歩いて出掛けました。朝市のマルシェの車にパプリカが見えたので、店に着く前に立ち寄って見れば、ちょうどなくなりそうなナスもあったからもらって帰る。帰りがけに農園の若旦那と話をして、先日、出来上がったばかりの黒いテントの中を見せてもらった。思ったよりも中は涼しいので驚いた。早朝にエアコンを点けたままにしておいた店は、23℃と涼しかったのです。

 女将が来たので「今日は梨も出ていたよ」と言えば出て行って、マルシェで梨を買ってきた。小さいけれど値段も安く、地元で採れた梨なので美味しいに違いない。蕎麦屋と同じで固定客が着けば、段々と賑わうのでしょう。大根と生姜をおろして、薬味の葱を刻んだら、野菜サラダの具材やかき揚げの玉葱を刻んで、開店の準備がと整ったと思ったら、気の早いお客が15分前にもういらっしゃる。「早く開けていただいて済みませんね」と言ってテーブルに座る。

 天せいろ二つを頼まれて、開店時刻の前のひと仕事。通りの向かいの朝市が気になるようだったから、「昼で閉まってしまうから、天麩羅が揚がる前に見ていらしたら?」と勧めれば、ご夫婦で出掛けて行った。「沢山買って来ました」と帰って来たので、蕎麦を茹でてお出しするのです。それから1時間はお客が来なかった。連休のお客の動きは分からないと女将と話していたら、ワゴン車が駐車場に入って、ご家族がぞろぞろと降りて来る。それからが忙しい。


8月11日 日曜日 今日の暑さはこの夏一番の猛暑でした…

 6時過ぎだというのに、今朝は雲一つない青空から、ギラギラと太陽が熱い陽射しを放っていました。蕎麦打ち室に入って春の新蕎麦の粉を捏ね、伸して畳んで包丁切り。昨日残った蕎麦と合わせて12食を用意して、今日の営業に臨むのです。日中の気温が37℃に達すると言うから、これは暑過ぎてお客が来ないだろうと考えたのです。7時過ぎに蕎麦打ちを終えて家に戻って朝食を食べる。夕べはぐっすりと眠れたから、食事の後のひと眠りはなしなのです。

 暑い朝だというのに、庭から通りに向かって、倒れかかった枝の先に紅葉葵が咲いていた。恐らく最後の一輪なのです。蔦が絡まって息も絶え絶えのはずなのに、しっかりと花を咲かせているから素晴らしい。元気を貰って蕎麦屋まで歩き、幟や看板を出す亭主。エアコンの効いた店の中に逃げ込むように入っていく。家から蕎麦屋まで歩いただけなのに、もう汗ばんでいるのでした。シャツをハンガーに掛けてノースリーブの下着一枚で厨房に入る。

 今日は3件ほど店に電話があったけれど、後半の2件は1時を過ぎてもう蕎麦が売り切れた後なのでした。お盆だから営業しているかという問い合わせなのです。市原の方から亭を調べていらっしたと言うご家族もあった。歩いていらっしゃる常連さんは、暑い暑いと言いながらカレー蕎麦の大盛りとビールを注文する。他のお客も皆さん天せいろばかりなのでした。切り分けた天麩羅の具材が切れたところで、お蕎麦売り切れの看板を出す。1時半近くなのです。

 一番暑い時間帯に家に帰ったからか、汗で着る物もびっしょりになった。今日の佐倉は37℃を越えていたのです。そんな中を今日来てくれたお客様には感謝。冷たい桃を剥いてもらって、エアコンの効いた書斎でひと眠りすれば、今日は4時には目が覚めて、女将が買い物に出掛けていなかったから、聞けば「この暑さでは出掛けられません」と言う。蕎麦屋で返しと出汁と蕎麦汁を仕込んで、夕方に帰ったら、ちょうど汗だくになった女将が帰って来た。盆の墓参りの準備で草取りに行ってくれたのだとか。まったく暑い暑い…。


8月12日 月曜日 昨日よりも夜から朝から昼まで暑い…

 今週は最後の朝をしっかり勤めようと、夕べは10時に床に入ったけれど、タイマーで切れはずのエアコンの冷房が朝まで付いていたから、暑くて夜中にまたスイッチを入れたらしい。4時半に目覚めてコーヒーを沸かしてゆっくりとすれば、段々と頭がすっきりとしてくるから年を取ると時間がかかるのです。蕎麦屋に出掛けたのは5時半近く。やっと森の影から朝日が見えた。店の隣のひまわり畑も随分と沢山の花が咲いているのでした。

 まずは冷蔵庫の中の糠床を取り出して、夕べ漬けたお新香を切り分け小鉢に盛り付けます。明日は定休日だから、6鉢だけにして、足りない分は切り干し大根の煮物があるので大丈夫。残りはラップにくるんで家の朝食のおかずにするのです。それから蕎麦打ち室に入って、どれだけ蕎麦を打とうか考えたあげくに、いつもと同じだけの数に落ち着く。売れ残ってしまっても勿体ないし、足りなくてもお客に申し訳ないから、ここは思案のしどころだったのです。

 家に戻って朝食を済ませたら、エアコンの効いた書斎で1時間ほど眠り、また蕎麦屋に出掛けていく。昨日で最後かと思った紅葉葵の新しい花が咲いていた。枝の先端まで蕾があって、これが全部咲くのだろうかと命の不思議さに心を奪われたのです。蕎麦屋に着けばもう外にいるのが辛いほどの暑さで、早々に幟を立てて店の中に入るのでした。三連休の最後の日だからと言っても、どれだけお客が来るのかは分からない。去年は4人しか来なかったそうな。

 天麩羅の具材を切り分けながら、野菜サラダの盛り付けをして、11時にはひと休みと思っていたら、気の早いお客がもう駐車場に車を乗り入れている。暑いからと店の中で待ってもらうのでしたが、お茶だけはお出ししたけれど、やはり注文はしておきたい様子。30分も早いのに、一向に悪びれる様子がないから驚いた。車が止まっているともうやっているのだと思って次の車が入ってくる。10分前には女将も来たので、暖簾を出して開店するのでした。

 いつもの開店の時間に常連さんがいらっして、席が一杯なのに驚いていた。今日は昨日までのお客の数を超えて、12時半には生舟の中の蕎麦がなくなってしまう。歩いていらっした男性客には、蕎麦が売り切れたことを話して帰っていただいた。全員に料理をお出しして皆さんが帰られたのが1時だったから、蕎麦の数はちょうど好かったと言うべきなのか。去年とは違って、今年は一番暑い最終日が一番混んだのです。洗い物を片付けて2時には家に帰る。


8月13日 火曜日 ガレージの車の車外温度計が40℃を越えた…

 午前5時のまだ涼しいうちに、蕎麦屋に出掛けて駐車場のモミジとヤマボウシの剪定を始めました。朝の蕎麦打ちがない定休日を逃すことは出来ないのです。脚立と剪定ばさみを持って玄関を出たのは好いけれど、まだよく目が覚めていないから、脚立に昇るのはちょっと躊躇われた。腱鞘炎で痛めた左手で長い鋏を支えながら約30分間動いただけで、汗をかくから並の朝の気温ではなさそう。夏場は伸びた枝だけの剪定で好いと言うことなのですが難しい。

 7時前に家に戻って朝食にマグロ丼を食べる。ナス焼きとお新香だけがおかずで質素なものだけれど、腹は一杯になってエアコンを効かせた書斎に入ってひと眠りするのでした。9時前にお袋様に電話をして、女将も一緒に車に乗って隣町のスーパーに出掛ける。農産物直売所はお盆休みなので新鮮な野菜は手に入らないのでした。お盆休みだから店は朝の8時から営業しているらしく、駐車場も店内ももの凄い人なのでした。無事にお墓のお花も買って帰る。

 お袋様と女将を家まで送って蕎麦屋に行けば、朝から点けたままのエアコンが効いていて生き返る涼しさ。買って来た野菜類を冷蔵庫に収納したら、大根の皮を剥いて切り分けたら、塩を振って漬け物器に漬けるのです。なた漬けの準備に最近では大根を丸ごと一本使う。今日一日の仕込みの段取りを考えて、家に帰って昼食の時間を待つのでした。玄関前の木槿が元気に花を咲かせている。沖縄でもよく見る暑い時期の花だから気持ちが和らぐのでした。

 昼はスーパーで揚げたてのトンカツを買って来たので、素麺を茹でて食べる。今日は女将のスポーツクラブの予約があるので2時までは家を出られない。涼しくなっている書斎に入ってまたひと眠りするのでした。無事に予約が取れたら冷たい西瓜が出て、亭主は午後の仕込みに蕎麦屋に出掛ける。何を勘違いしたのか、蕎麦屋の裏に住む年配の女性が玄関を開けて「お願いできますか」「今日は定休日なので、今、掃除をしているところなんですよ」と応えた。

 レンジ周りの掃除を終えたら、午前中に漬けておいた大根に甘酒の素と砂糖と刻み柚子、唐辛子を入れて漬け直すのです。そして、寒天の粉を水で溶き、氷砂糖を入れて沸かしたら、練りあんを入れて荒熱を取る。後は豊缶に流し込んで冷めるのを待つだけ。その間に熱い駐車場に出て、朝切った枝をビニールの袋に入れておく。明日の朝は、西側の小径の木槿の枝を切れるだろうか。5時前に家に戻って、エアコンの風で涼みながら夕飯を待つのでした。



8月14日 水曜日 盆の墓参りの日も朝から猛暑で…

 定休日の二日目は、朝の5時から家を出て蕎麦屋に向かいます。涼しい朝のうちにしか出来ない駐車場の植木の剪定をするために、夕べも9時過ぎには床に入りました。門の脇の木槿が出掛ける亭主を見送ってくれる。自然の草木に元気を貰わなければ動けない年齢になったのです。蕎麦屋に着けば、朝日がひまわり畑を照らして、やけにひまわりの花が綺麗に見えたから、店に入る前に少し歩いて写真を撮りました。残暑見舞いの一枚にしようかと考える。

 昨日の朝に剪定したヤマボウシやモミジは、まだまだ切り足りなかったので、今朝は小さな剪定ばさみを持って脚立に昇って切っていく。モミジの上に伸びた枝も、長い剪定ばさみで切り落としたのです。やっと少しは見られるようになったから、ビニール袋に切った枝を詰めてゴミに出すのでした。40分ぐらいの作業だったけれども、汗びっしょりなって家に帰るのです。明日こそは、西の小径に伸びた枝を切り始めよう。なかなか南の庭の草取りは出来ない。

 朝食を終えたらひと眠りしたら、9時前にお袋様に電話をして、女将と迎えに行って盆の墓参りに出掛ける。暑い日が続くからか、今年はまだ墓参に来ている人が少ないのです。先日、女将があらかじめ草取りに来てくれたけれど、今年は暑さのせいなのか、草が伸びすぎて、隣同士の三つの墓所の草は、なかなか取れなかったらしい。しばらく三人で残った草を取り除いて、それから線香を焚いて墓参するのでした。それだけでもう汗だくなのです。

 お袋様と女将とを家まで送ったら、亭主は蕎麦屋に戻って午前中の仕込みをするのでした。小鉢に切り干し大根の煮物と大根のなた漬けを盛り付けて、後は夕方にお新香を漬けに来れば好い。お新香が嫌いなお客もいるし、麹につけた大根の苦手な人もいるから、3種類の小鉢があるのが理想的なのです。昼まではまだ時間があったから、天麩羅の具材を切り分けて容器に詰めておきました。南瓜をチーンして、蓮根も皮を剥き、輪切りにして酢水で茹でるのです。

 家に帰れば廊下はとても暑いけれど、エアコンを点けたままの居間は27℃の設定でも涼しく感じるのです。同じくエアコンを点けた女将の仕事部屋の扉が開いて、台所に入って昼の食材の準備をしてくれる。手首の痛い亭主のために中華鍋まで出してくれるのです。キャベツや肉も切ってくれたし、後は亭主が玉葱と人参をみじん切りにして、油を引いた中華鍋で味つけをして炒めるだけ。食材に綠の細葱を出すのを忘れたと後から女将が言うのでした。

 食事を終えてお茶をもらったら、亭主はエアコンの効いた書斎に入ってひと眠り。女将はその間にスポーツクラブに出掛けていく。1時過ぎには目が覚めたけれど、お新香を漬けるだけだから、遅い時間の方が好いのです。女将が戻るまでテレビで映画を観て、3時半過ぎにやっと重い腰を上げる。書斎の下にあるガレージに置いた車の車外温度は、なんと41℃、出掛けて行った蕎麦屋の中は33℃なのでした。時間があったので明日の蕎麦の一回目分を打っておく。



8月15日 木曜日 台風前の天気の好い暑い一日で…

 今朝は早い時間に濃い霧が出て、5時過ぎに蕎麦屋に出掛けたときにもまだ少し残っていました。ひまわり畑を背景にして、剪定したばかりのヤマボウシとモミジも、それなりに落ち着いているのでした。明日の台風前に一段落してホッとしている亭主。果たして営業が出来るのかが、ちょっと心配なところです。厨房に入って冷蔵庫から糠床を出したら、夕べ漬けたキュウリとナスとカブを取り出して切り分ける。8鉢分だけ盛り付けて、冷蔵庫に入れておく。

 蕎麦打ち室に入って、夕べ打った蕎麦に、500gだけ打ち足しておくのでした。加水率は40%。室温28℃、湿度58%で、ちょうど好い生地の仕上がりなのでした。合わせて12食分ちょっとが今日用意した蕎麦の数です。台風が来る前の日だし、お盆の休みでお客が来るかも知れないと考えたのです。幸い、天気は好くなって日中はかなり暑くなったのです。7時前に朝飯前のひと仕事は終えて、家に戻って朝食を食べるのでした。食後はすぐにひと眠りする。

 冷えた書斎は実に心地よくて、最近は1時間は眠ってしまうのです。今朝も8時半まで眠って、コーヒーを入れる間もなかった。洗面と着替えを済ませて、9時には家を出るのでした。外は相変わらずの暑さだったけれど、青い空に白い雲が浮かんで、ノウゼンカズラの赤い花が暑苦しそうに咲いている。夏場の花はだいたい元気なものが多いのか。人間が暑さに参っているから、変わらずに咲く花から元気を貰うのか。ジリジリと照りつける太陽の下を蕎麦屋へ。

 幟を立てて看板を出し、チェーンポールを降ろしたら、エアコンを入れたままだった店の中に逃げ込んでくる。ひんやりと生き返るようなのです。ほうじ茶を沸かして冷蔵庫に入れ、大根と生姜をおろして、大釜に水を入れながら薬味の葱を刻み、野菜サラダのアスパラとブロッコリーを切って茹でる。最近は、野菜サラダの出来上がるのが早くなった。暑い時期だからと、直ぐに冷蔵庫に入れるので、早く出来てもカウンターに並べないから気が楽なのです。

 店の椅子に腰をかけて涼んでいたら、開店の10分前にもう車が駐車場に入ってくる。今日は閉店の時間までお客がいたから、随分とよく働いたのです。油を降ろしたばかりだったので、天せいろが随分と出たのが嬉しかった。ヘルシーランチセットと単品で野菜サラダが二つ出たのも嬉しいのです。女将の友だちも来て、天麩羅の盛り合わせと白エビのかき揚げを持ち帰りで頼みながら、蕎麦を食べて行かれた。最後のお客は閉店時間に出て行かれたのに、駐車場から出るときに、縁石に乗り上げてJAFを呼ぶ騒ぎだったから、夫婦は家に帰るのがいつもと同じく3時になってしまうのでした。


8月16日 金曜日 台風のため蕎麦屋は臨時休業にしたけれど…

 台風の悪い方向のニュースばかりが多かったような気がするけれど、実際には少しずつ進路は東へと移って、雨雲の通過する場所だけが雨も酷かったらしい。メディアの影響というものは恐ろしい。蕎麦屋もご多分に漏れず、早朝に「台風のため臨時休業」という張り紙を出しに行った。一時期、激しい雨は降ったものの、店を閉めなくても好かったぐらいなのでした。まあ、無理をしないことが一番だからと、今日は何処にも出掛けずに家にいたのです。

 女将も予約してあったスポーツクラブを休んだのでした。電車も飛行機も動かない天候で、雨も相当に降ると言われていたから、大事を取って亭主と二人で家にいたのです。前回の台風では、家の屋根の瓦が飛ばされて大変なことになったから、今朝は早くから二階の雨戸を閉めておきました。10時半頃に、強い雨と風が訪れたけれど、30分もしたら雨も止んで、送電線を吹く風の音だけが続いていました。家に食べ物があまりなくなってきたけれどある物で我慢。

 昼は蒸し焼きそばが買ってあったから、キャベツや長葱、人参の残りを刻んでソース焼きそばにする。レタスと若布でスープを作って美味しくいただくのでした。今日は外に出ないと決め込んだ亭主は昼から焼酎を飲んで、テレビの映画を見続ける。結果的には、身体を休めるための臨時休業でもあったのです。昨日多くのお客が来てくれたのも、今日の爲であったかと思えば嬉しくもなる。車で夕食のおかずを買いに出掛けられるくらいの風だったけれど断念。

 書斎に入って横になるけれど、そんなに眠れるはずもない。夕方になって、女将が夕飯は何を食べようかと言うので、「何でも好いよ」と応えたけれど、車エビの揚げ物とモヤシの塩コショー炒めが出て来たので、何も言わずに焼酎を飲む。家にある食材がどんどんなくなっていくのもたまには好いものです。彼女は納豆でご飯を食べていた。送電線を吹く風の音は止まず、雨は降り続いているけれど、それほど酷くはない。明日は晴れると言うからまた大変です。


8月17日 土曜日 台風一過でまた猛暑が戻った…

 佐倉は思ったよりも台風の影響が少なく、午前5時に蕎麦屋に出掛けて様子を見たけれど、事前に準備しておいたから、風で飛ばされたものもなかった。奥の座敷の雨戸を開けて、蕎麦打ち室に入るのでした。加水率40%で捏ねた生地は、少し寝かせてちょうど好い柔らかさ。750g8人分の蕎麦を仕上げ、昨日の残りと合わせて11食を用意したけれど、果たして足りるかどうか心配なのでした。予備の一番出汁に返しを合わせて蕎麦汁も作っておきました。

 家に戻って朝食を食べたら、例によってエアコンの効いた書斎に入り、たっぷり1時間は眠るのです。9時過ぎに家を出て、照りつける陽射しが熱くて堪らなかった。曇っていたのは早朝だけなのでした。蕎麦屋に着いたら隣のひまわり畑を見れば、やはり風で随分と倒れている。道路を挟んで向かいの畑には、折角、コスモスを沢山植えたのに、こちらも花の咲く時期の前に、風にやられて斜めになっているのでした。自然の営みの大変さをつくづく思うのです。

 看板と幟を出したら、厨房に入って蓮根の皮を剥いて酢水で茹でる。隣の火口ではブロッコリーとアスパラを湯がいています。お紙が「今日はまた暑くなるわね」と言いながらやって来て、洗濯物を畳み、店の掃除を終えたら、小鉢を盛り付けてくれた。昨日はお新香を漬けなかったので、切り干し大根の煮物となた漬けが今日の小鉢なのでした。女将が早お昼を食べに家に帰っている間に、亭主は野菜サラダの具材を刻んで盛り付けておく。

 11時過ぎには準備か整ったので、西の小径の剪定を前に様子を見に行ってくる。人の通り歩きには邪魔にならないけれど、南の端の木槿やタラの木の枝が随分と伸びている。手前のモミジや金木犀の枝も道に延びているのは切り落とさなければならない。お隣のお花畑の端も、盆の休みが終わったら草刈りをするだろうから、同じ頃に終わるようにしたいもの。建物の南の庭の草刈りは一番最後になるけれど、放っておくことは出来ないのです。

 今日は暖簾を出したらすぐにお客が来て、あれよあれよという間に7人入ったのでした。大盛りのお客もいるから、蕎麦の残りは僅かで危ういところ。台風の影響で雨の降った昨日の涼しさから考えると、いきなりそんなに多くのお客は来ないだろうと読んだ、亭主の勘が当たってちょうど好い具合なのでした。ところが蕎麦汁は明日の分には足りそうにない。今日は防犯パトロールがある日だったけれど、夕食後に蕎麦屋に来て出汁取りをしなければならない。

 家に戻って冷たい梨を剥いてもらったら、冷えた書斎に入ってひと眠りする。4時に目覚めて書斎で一服していたら、女将が暑い最中を汗だくになって買い物から帰って来た。冷やし中華の麺を買ってくるはずが、焼きそばもシマダヤの麺はみんな売り切れだったとか。お盆で沢山の人が買いだめをしたらしい。店で残った野菜サラダを消化すべく、我が家は豚のステーキを焼いて夕食にするのでした。今日は四回目の蕎麦屋行き。夜の仕事は8時過ぎに終わる。



8月18日 日曜日 曇った空でも暑さと湿気とで疲れる日…

 隣のひまわり畑が満開なのに、台風のお蔭で茎が倒れてみっともなくなってしまった。自然の営みの厳しさと強さとに心打たれる。午前6時過ぎに蕎麦屋に出掛け、今朝はまず冷蔵庫から糠床を取り出して、切り分けたら小鉢に盛り付ける。ちょうど10鉢分取れたから、他の小鉢と合わせて今日の営業には十分なのです。曇り空だったから、日曜日とは言えそれほどお客は来ないだろうというのが、亭主の読みなのでした。果たしてお客は8人だけでした。

 ところが、開店前にいらっした中年のご夫婦は、とろろ蕎麦の大盛りを二つ頼まれる。蕎麦は昨日の夜に打っておいたから、12食分あったのだけれど、続けてご来店の四人家族にも大盛りの男性がいたから、蕎麦は一気になくなっていくのでした。天せいろを四つ頼まれて、二人分ずつ天麩羅を揚げていくのでしたが、まだ12時前だったから、後が心配なのです。電話が鳴って「お蕎麦まだありますか」と言う問い合わせ。「後4つになりました」と女将が応える。

 しばらくして、車でいらっしたのは女性二人で、先ほどの電話の主なのでした。ノンアルコールのビールに赤いかと稚鮎の天麩羅を二人分ずつ注文して、その他に天せいろを頼まれた。少し多いのではないかと思ったけれど、滅多なことは言えないから、先に抹茶塩で食べるイカと稚鮎を出して、後から天せいろを作ったのです。ゆっくりと話をしながら1時近くまで食べていらっしたけれど、結局天麩羅を全部食べられずに、お持ち帰りなのでした。

 天麩羅の具材も切れたので「お蕎麦売り切れ」の看板を出す。今日は3組8人だけで終わりなのです。洗い物も早くに終わったので夫婦で2時過ぎにはもう家に戻った。明日は亭主一人の営業です。エアコンの効いた書斎で横になって1時間半ほど眠ったら、女将は買い物に出掛けていた。明日の朝飯前に、蕎麦を打って天麩羅の具材を切り分けたら、いつものように営業できる。台風で一日臨時休業にしたけれど、大した影響もなく無事に今週も終わりそうです。


8月19日 月曜日 外は蒸し風呂の様な暑さで…

 朝の5時半に家を出て蕎麦屋に向かう。夜中にエアコンを点けたままで朝を迎えたから、身体が冷えていたのかそれほど暑いとは思わなかった。蕎麦打ち室に入って温度計を見たら30℃を表示していたので、店のエアコンを入れてから蕎麦打ちを始めるのでした。左手首の痛みは相変わらずで、蕎麦を打つにも多少は支障がでてきたので困っている。何とか右手中心で蕎麦を捏ね、伸して畳んで包丁切りをするけれど、伸し棒も左手を使わなければならない。

 家に戻って朝食を食べたら、エアコンの効いた書斎で横になって1時間ほど眠る。洗面と着替えを済ませたら9時には家を出て再び蕎麦屋に向かうのでした。陽射しは強く、看板と幟を出してチェーンポールを降ろしたら、もう汗ばんでいる。下着一枚になって厨房に入り、大根と生姜をおろします。天麩羅の具材がすべて切れていたから、生椎茸とピーマン、ナスを切り分けて、容器に入れる。後はいつものように野菜サラダの具材を刻んで、三皿盛り付けます。

 開店の10分ほど前に、防犯パトロールで一緒の親父様がいらっして、暑いからと中に入っていただく。待ち合わせたもう一人も同じくパトロールの方なのでした。暖簾を出す前に注文を聞いて、天せいろを二つ作ってから、11時40分に暖簾を出した。お二人がいらっしたのは、先日の暑気払いの話を聞いて、また違う集まりで同じようにやってもらえないかというのでした。前回は予想外にお酒も沢山出て赤字だったからと、そのお話しはお断りしたのです。

 そもそも40年来のご近所のお年寄りに頼まれて、定休日に引き受けた宴会だったのですが、誰でも同じようには受けられない。こちらも年を取ってきた分、朝の4時から夜の8時までの仕事は相当に疲れたのです。ましてや利益の出ない営業はしたくない。今日は、6人のお客がいらっして、盆の明けた月曜日としてはまずまずのお客の入りなのでした。8月も明日から下旬に入るけれど、暑さはまだまだ続くらしい。明日は女将も一緒に仕入れに行ってくれる。