2024年6月下旬




6月20日 木曜日 今日は5組のお客が入って…

 早いものでもう6月も下旬。梅雨が遅いから昨日のうちにスモモの木の残りを切り終えて、庭にそのまま倒してある。これを小さく切ってゴミ袋に詰められるようにするためには、もう少し時間がかかるのです。5時過ぎに蕎麦屋に出掛ければ、向かいの森の木々の間から朝日が昇ってくる。雲はあるけれど何とか晴れているのでした。蕎麦屋の中に入って、まずは夕べ早い時間に漬けておいたお新香を糠床から取り出して、小鉢に盛り付けるのです。

 ついでに昨日漬けた大根のなた漬けを盛り付けて、冷蔵庫に収納する。それからやっと蕎麦打ち室に入ってたのが6時少し前。これから二回の蕎麦を打たなければならないのは、ちょっと大変なのです。加水率は41%弱で、捏ねていてもなかなか生地が纏まらない。ここで力を入れなければならないから、腕にはかなりの負担がかかる。左手首の腱鞘炎はまだ完治していないから、恐る恐る力を入れていきます。6時10分には二つの蕎麦玉を作って寝かせるのです。

 蕎麦玉を寝かせている間に厨房に戻って、今日の分のほうじ茶をわかす。綠の陶磁器の器に4杯分作ったら、冷まして冷蔵庫に入れておくのです。換気扇を回して一服したら、再び蕎麦打ち室に入って蕎麦玉を伸していく作業。ゆっくり落ち着いて伸し広げないと、どうしても厚味が均等にならずに、最後に四角形が崩れてしまうのです。それでも何とか八つに畳んで、包丁切りに入るのです。蕎麦玉二つを伸して畳むと、やはり1時間はかかる。

 7時20分に家に戻って、女将が用意してくれた朝食を食べる。食事が終わったら書斎に入ってひと眠り。今朝は9時近くに目覚めて急いで洗面と着替えを済ませるのでした。歩いて蕎麦屋に出掛ければ、朝は足の調子が好いから右足を引きずらなくても歩ける。これが、仕事を終えて帰りになると、疲れているからか、どうしても引きずってしまうのです。歩くスピードを落とせばふっうに歩けるのですが、急いで家に帰ろうとするから見てくれは気にしない。 

 定休日明けは、大根や生姜をおろして、薬味の葱も刻まなければならないから、野菜サラダを造る前も結構忙しいのです。木曜日は女将が来てくれるのが、開店の時間なので、野菜サラダを盛り付けたら床を掃いてテーブルを拭いて回る。野菜サラダは、先日の食品衛生の講習会ですぐに冷蔵庫に入れるべきだと教わったので、ラップを掛けて冷蔵庫に入れるのです。新しい油を天麩羅鍋に注いで、天つゆの鍋と一緒に火にかける。開店の準備は11時には終わる。

 女将もやって来て暖簾を出せば、すぐに駅前のマンションに越した常連さんが自転車でご来店。黙って新聞を読み始めるから、こちらも黙って辛味大根を擦って、大盛りのせいろ蕎麦を茹でる。少し後でいつも日曜日に来るカレーうどんのお父さん夫婦が車で隣町からいらっしゃった。それから二組ほどお客が入って、1時を随分と過ぎた頃に、常連さんの女性がやって来てカウンターに座る。野菜サラダとぶっかけ蕎麦にハラミの串焼き、そして白海老の掻き揚げまで頼まれる。結局、多すぎてお持ち帰りになるのでした。


6月21日 金曜日 梅雨入り初日は激しい雨が降り続いたが…

 5時半に家を出て蕎麦屋に着けば、パラパラと雨が降りだしている。蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打ち、昨日の残りと合わせて10食の蕎麦を用意しました。今日は一日中雨で、気温も上がらないという予報だったので、亭主一人の営業ということもあって、最低限の数を用意したのです。雨は次第に強くなり、道路も水浸しの状態なのでした。これではお客も来ないだろうと思ったのですが、今日は意外にもお客が入ったから有り難い。

 朝食を終えてひと眠りしたら、車で蕎麦屋に出掛ける亭主。この雨では駐車場が満車になることはないと確信したのです。9時から野菜サラダを仕込む10時までの間は、わりとゆっくりとして今日の段取りを考える暇がある。割り箸やおしぼりが用意されているか、小鉢は足りているか、山葵や生姜は大丈夫かとチェックしながら、大根をおろすのです。水を張った大釜に火を入れて、ブロッコリーとアスパラを茹でたら、いよいよ野菜サラダの具材を刻みます。

 農産物直売所で買って来たキャベツが新鮮で、包丁を打っても軽く切れるので助かる。どうせサラダは出ないだろうと思うけれど、毎日の訓練のように野菜サラダを盛り付けるのです。家に持ち帰る事を予想して、今日はスポーツクラブの帰りに、女将が焼きそばの材料を買って帰るはず。11時前には開店の準備が整ったけれども、カウンターの隅の椅子に座って時間の経つのを待つ亭主。雨は激しくなるばかりなのです。定刻の5分前には暖簾を出すのでした。

 ところがこの激しい雨の中を、バス通りを傘を差して歩いて来るのは常連さんで、定位置に腰を下ろすなり「ビールとぶっかけの大盛り」とおっしゃるのでした。続けて駐車場に車が入ってきたかと思えば、雨の中を玄関まで走って女性がご来店。テーブル席に座って暖かいぶっかけ蕎麦を頼まれるのです。それぞれの注文の蕎麦を出し終えた頃に、今度は常連のご夫婦がいらっして、天せいろにぶっかけ蕎麦、酒好きのご主人はビールのご注文です。

 他のお客が帰っても、随分と長い間、話に夢中になっているご夫婦。ご主人は焼酎のライム炭酸割りを追加でご注文。1時を過ぎたから、お茶を差し替えようとすれば、やっと帰り支度をするのでした。1時半になったので、そろそろ賄い蕎麦でも茹でようかと思っていたら、また駐車場に車が入ってくる。リピーターの若い女性客で、キノコつけ蕎麦をご注文なのでした。この雨の日に今日は本当に有り難い限り。残った野菜サラダをサービスでお出しする。
 今日はプールも空いている金曜日だからと思っていたけれど、冷蔵庫の中を見たら、晴れると言う明日の分の蕎麦汁が足りない。小鉢もお新香を漬けないと足りないのでした。洗い物を終えたら、出汁を取る準備をして家に帰る。雨に降られながらも先に帰った女将が「お父さんの方が早く帰るかと思ったら…」と濡れた身体を拭きながら言う。今日は夕飯の後でまた蕎麦屋に行くと伝えて、ひと眠りです。出汁取りとお新香を漬けて小一時間。夜も忙しいのです。


6月22日 土曜日 晴れて暑くなるとまたお客が増えて…

 昨日とはうって変わって、今朝は青空と陽射しが懐かしかった。5時に目を覚ましたけれど、床の上でぼうっとしていたら何時の間にか6時になってしまう。慌てて朝飯前のひと仕事に出掛ける亭主です。6時過ぎに蕎麦屋に着いて、蕎麦打ち室に入れば、もうこの時間では一回しか蕎麦は打てない。8食分を打って昨日の残りと合わせて、12食分で今日は営業するしかないのです。天気の好い日だから、ちょっと心配なのでした。お新香を盛り付けて家に戻る。

 朝食を終えてひと眠りしようと横になったけれど、外の明るさで眠ることが出来ない。30分ほどで起き上がって、コーヒーを入れて飲む。今日は蕎麦茶の宅配が来る日だけれど、間に合うだろうか。蕎麦屋に着いて郵便受けをみれば、案の定、不在通知が入っていたのです。土曜日だから、向かいのサツマイモ農園も営業の準備をしてる。忙しそうに立ち働く若い人たちに元気を貰いながら、厨房に入った亭主も次から次へと仕事をこなしていきます。

 四つのポットの半分は蕎麦茶用で、残りは器を温めるためにお湯を入れておく。大根や薬味の葱を刻んだら、野菜サラダの具材を刻んで盛り付けていく。時間が余ったから、今朝はハラミの肉を切り分けて串に刺しておく。女将が来ればもう開店の準備は整うのでした。最初にいらっしたのは、いつも白エビのかき揚げとせいろ蕎麦を頼む老人で、女将が「白エビの掻き揚げとせいろ蕎麦で好いですか」と先に聞いて注文を取るのでした。

 その後は続々と途切れることなくお客が入って、亭主はひたすら天麩羅を揚げて、蕎麦を茹でるだけ。雨の昨日とはうって変わって1時過ぎにはもう売りきれの看板を出すのでした。洗い物もほぼ終わって、1時半過ぎに賄い蕎麦を茹でて食べようとしたら、大きな車で若者がやって来て、天せいろのご注文なのでした。最後の力を振り絞って天麩羅を揚げ、蕎麦を茹でてお出ししたのです。今日は夜の仕事はしないつもりで、冷蔵庫をチェックして家に帰る。


6月23日 日曜日 朝から土砂降りの雨で…

 雨の音で目が覚めた朝。梅雨に入ったのだから、もういつでも降ってくれという気持ちもあるけれど、しとしとならまだしも、今朝はかなり激しく降っているのでした。車で蕎麦屋まで行って、玄関を入るまでにもう濡れてしまう。タオルで頭を拭きながら、コーヒーを入れて飲むのです。カウンターに干した盆や皿を片付けたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。久し振りに850g9人分の蕎麦粉を計量して、左手を庇いながら、ゆっくりと捏ねて行く。

 蕎麦玉を寝かせている間に蕎麦豆腐を仕込んでしまう。地伸しの段階から厚味が均等になるように注意して、今日は90cmの伸し棒で丁寧に伸していく。やはり少し太さの細い伸し棒は扱いやすいのです。どうしても量が少ないと短い伸し棒を使ってしまうのですが、少し太めなので伸しムラが出来やすいのかも知れない。短くて扱いやすい分、伸しが雑になるような気がするのです。7時を過ぎたところで9把を生舟に並べて、家に戻るのでした。

 「ご飯が出来ましたよ」と言われて食卓に着けば、鯖の塩焼きととろろ芋に卵が美味しそうなのでした。小鉢をつまみながら食事を済ませて居間に移れば、女将がお茶を運んできてくれる。ひと休みしたら書斎に入って横になるけれど、どうも今日も眠れない。30分ほど横になったら起き出して、今日は蕎麦粉が届く日だった事を思い出して、急いで洗面と着替えを済ませる。ガレージに下りる階段で降りしきる雨に濡れる。店に着けばちょうど宅配便が来ていた。

 道路沿いの最初の配達先らしく、「日曜日は道が空いているので、早く着いてしまいました」と言っていた。蕎麦粉と打ち粉を冷蔵庫の中に移して、まずは切り干し大根の煮物を作るのです。この雨と気温の低さでは、お客も来ないだろうけれど、明日のこともあるから、小鉢の用意はしておかなくてはならない。南瓜を切り分けて、天麩羅の具材も余分に作っておくのでした。女将がやって来る頃には少し雨も小降りになってきた。

 今日は珍しく沢山の鳩が電線に止まっていた。何かの拍子で一斉に飛び立つ姿は圧巻なのです。気温は低いけれど湿度は70%もあったから、開けていた窓を閉めてエアコンを入れる。今日は開店の時刻の5分前に車が入ってきたので、暖簾を出してご夫婦を迎える。カウンターに座って、天せいろと暖かいぶっかけ蕎麦のご注文で、すぐに天麩羅を揚げて蕎麦を茹でるのでした。ところが、これが今日の最初で最後のお客なのでした。やはり、雨で気温が低いから。


6月24日 月曜日 一転、今日は日が出て暑さも最高でした…

 今朝は5時半に家を出て蕎麦屋に向かう。朝から20℃を越える暑さで、昼は32℃まで気温が上がったのです。店の中も朝からエアコンを入れて、換気のために窓を少し開けておく。雲はあったけれども、青空が次第に広がって真夏の陽射しになるのでした。駐車場の紫陽花も暑さで少しバテ気味なのです。蕎麦打ち室に入って、今朝の蕎麦を打ち始めれば、加水率41%でちょうど好い硬さの生地が仕上がるのでした。伸して畳んで包丁切りをすれば綺麗に切れる。

 今日も長い伸し棒を使ったので、綺麗に伸せたのが好かった。薄めに伸せたから、切りべらは26本。昔はこの太さで包丁切りをしていたのです。切り幅は1.3mmで、亭主はこのくらいの細い蕎麦が好きなのですが、お客によってはこの蕎麦が細すぎるとおっしゃる方もいて、このところ大雑把な打ち方をして1.6mmほどで出していたのです。どちらもコシはあるけれど好みの問題だから、どちらが好きな人が多いのかで、評判が決まるのではないかと思っています。

 蕎麦打ちとしては、細い蕎麦を打つ方が難しいと思うのです。だから、忘れてしまわないように、たまには細く打ってみるのです。7時前に打ち終えて、今日は月曜日には珍しく12食の蕎麦を用意した。暑くなると思って少し多めに打ったのです。家に戻って朝食を食べたら、今日は書斎でゆっくりと眠った。昨日も7時間もぐっすりと眠ったのに、よく眠れると自分でも驚いているのです。洗面と着替えを済ませて、蕎麦屋まで暑い陽射しの中を歩いて出掛ける。

 幟や看板を出してすぐに厨房に入り、野菜サラダを刻んで盛り付けたら、ラップを掛けて冷蔵庫に入れておく。11時には掃除も終わって、椅子に座って開店前の精神統一。今日は一人の営業だから、暑くて沢山お客が来ても慌てないように、いろいろとシュミレーションをしておくのです。ところが、暖簾を出してしばらくすると、もう車が2台駐車場に入って、歩いて来た常連さんが、他のお客より先に、ぶっかけ蕎麦の大盛りとビールの注文をするのでした。

 二人連れの女性客は天せいろ、三人組の作業着姿の男性陣はせいろ蕎麦の大盛りのご注文なのでした。大盛りが四つもでれば、もうそれで蕎麦は六束なくなるから、後からいらっしてカウンターに座ったご夫婦が蕎麦を頼まれたら、もう売り切れ状態なのです。時計を見ればまだ12時半になっていなかった。「順番にお造りしますから」とお茶を出しながらお客に言って、盆や蕎麦皿、小鉢や蕎麦猪口、蕎麦汁を用意して、天麩羅を揚げて蕎麦を茹でるのでした。

 昼のひと時だけが混むので、それを過ぎればゆったりなのです。今日は蕎麦がなくなったから「お蕎麦売り切れ」の看板を出して、暖簾と幟をしまったら、まずは端切れと残った天麩羅の具材を揚げて賄い蕎麦を食べておきます。それからの洗い物と片付けが一人だと大変なのです。約2時間掛けて4時前にやっと家に着くのです。今日のデータをパソコンに入力したら、エアコンの効いた書斎でひと眠りするのでした。女将の分だけ焼きそばを作ったら、亭主は一週間ぶりでプールにに出掛けて、ゆっくりと泳ぎます。


6月25・26日 火・水曜日 定休日なのに何かと忙しかった…

 この時期は草木の伸びが早いので、家や蕎麦屋の草木が道路にはみ出して伸びてしまうのです。ずっと気にしていたから、今朝は朝飯前にまず、自宅の塀からはみ出していた草や木を切って綺麗にしました。すっきりとした塀際が気持ちが好い。梅雨入り前から剪定していた木槿の木もさっぱりと枝を落として、隣のお宅との境にあるスモモの木も大きく切り落としたので、夏らしく涼し気に見えます。それから蕎麦屋に出掛けて、今朝の仕込みを始めるのでした。

 出汁を取って蕎麦汁を仕込んだら、家に帰って朝食を食べる。お袋様との仕入れに出掛けて、食材を沢山買って来たら、冷蔵庫に収納して、午前中のうちに月に一度の床屋に出掛けるのです。珍しく今日は空いていたので、すぐに頭を刈ってもらい、さっぱりとして家に帰るのでした。床屋の駐車場に停めておいた車の外気温はなんと41℃になっていたから驚きです。青空は見えないのだけれど、たまに陽が差して、真夏の陽射しが照りつけるから熱くて堪らない。

 定休日の二日目は、前日も9時台には床に入ったのに、朝はゆっくりと7時前まで寝てしまいました。朝食を終えてもひと眠りはせずに、気になっていた蕎麦屋の西側の小径に、はみ出した木々の剪定を始めるのです。小径とは言え、通りに面した場所は多くの人々が通るので、ゆめゆめ放っておけない。一番南側の木槿の場所まで来ると、蕎麦屋の建物の南側の庭が見えるのだけれど、これが手の付けられないほどに草木が伸びて、早く剪定をしなければと思う。

 午前中はデザートの水羊羹と蕎麦豆腐だけをしこんで、家に帰って昼食にカツ丼を食べる。キュウリの酢の物や梅干しがさっぱりとして、美味しくいただくのでした。食後は書斎に入ってひと眠り。その間に女将はスポーツクラブに出掛けて、1時間ほど眠った亭主は、コーヒーを入れて飲むのです。ブルース・ウイルスの主演した映画が面白かったので、最後まで観ているうちに女将が帰って来た。ちょうど好い具合だと蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをする。

 明日の天麩羅の具材を切り分けたら、蓮根と南瓜を仕込んで、最後にお新香を糠床に漬けて4時になる。家に戻って早めの夕食にしてもらって、夜のプールに出掛けるのです。子ども達のスイミングか終わって、スタッフが道具を片付けるのを待ち、ゆっくりと泳ぎ始める。この時間帯に来るお客はいつも同じメンバーだから、邪魔にならないように、最近はゆっくりと泳ぐコースを選んで泳ぐ。明日はまた暑くなるのだろうかと心配もするけれど、朝は二度打ち。



6月27日 木曜日 蒸し暑い一日でした…

 今朝は4時半に起きて、珈琲を一杯飲んだら5時には蕎麦屋に出掛けました。お新香を糠床から出さなくてはならなかったのと、蕎麦を二度打たなくてはいけないからなのです。農産物直売所に出ている夏の野菜も、ぐんぐんと大きくなる物が増えて、漬物用に買った胡瓜は一本が太くて長いから、二本漬けて12人分の小鉢が出来ました。ナスも長めのものを二つ漬けたのです。ラップを掛けて冷蔵庫にしまえば、時計はもう5時半になっていました。

 蕎麦打ち室に入って、750gと500gの8割の蕎麦粉と2割の小麦粉を計量して、篩に掛けて捏ねていきます。今日もかなり硬く打って、菊練りをして蕎麦玉を二つ作るのに15分以上かかった。寝かせておく間に、次の作業の準備をする。6時20分になったらもう一度蕎麦打ち室に入って、伸しを開始するのです。硬い生地を伸していると身体が熱くなって、エアコンを入れて涼しくするのでした。打ち終えたのが7時10分で、朝食の時間にぎりぎり間に合った。

 外は陽射しはあるものの雲が多いから、どうしてもジメジメとした梅雨特有の陽気になる。みずき通りも空はすっかり雲に覆われていたけれど、不思議と陽射しがあるのです。蕎麦屋に着いたら、看板との幟を出し、早速、葱切りを済ませ、大根と生姜をおろして、野菜サラダの具材を刻む。突然、女将からの電話が鳴って、本家の大伯母が亡くなったと従兄から連絡があったのだそうな。97歳だというから、長生きだった。お袋様と弟に電話をして知らせる。

 暖簾を出せば、いつもの常連さんがやって来ていつものビールとぶっかけ蕎麦の大盛りのご注文。掻き揚げを揚げている間に、次々とテーブルが埋まり、カウンターにも常連の宅配のお兄さんが座ったのです。ヘルシーランチセットの大盛りをご注文。これは週末の混みようで、女将が早く来てくれて好かった。閉店間際にもバイクの老人がやって来て、ぶっかけ蕎麦の大盛りを頼まれる。天麩羅の具材も切れて、蕎麦も端切れしか残っていなかったので、ここでお蕎麦売り切れの看板を出す。ちょうど閉店の時間なのでした。