2023年1月末

1月27日 金曜日 青空は束の間で雪雲と雨とが …


 明け方の寒さに備えて、エアコンのタイマーをセットしたのは好かったけれど、目が覚めた頃にスイッチが入った。起きる時間に合わせてしまったからこれでは意味がなかった。それでも夕べのプールが利いたのか、ぐっすりと6時間は眠れたのです。5時半過ぎには家を出て蕎麦屋に向かった。辺りはまだ真っ暗でしたが、今朝は少しいつもと違う仕込みをしようとやる気満々。出入りの業者の若者が、旬の食材だと持って来たワカサギを南蛮漬けにするのです。

 定休日のうちに試しに作って家で食べたら、女将も美味しいと喜んだので、週末に向けて店でも出してみようと考えたのです。ただおろしたばかりの天麩羅油が汚れるのは避けたいから、試食と同じように天麩羅にして酢を効かせた出し汁に浸けたのです。千切りにしたニンジンは塩で柔らかくして、玉葱は薄くスライスして水で辛味を取った。小麦粉や片栗粉をまぶして揚げると、女将が言うには油がもう使えないほど汚れるのだそうな。

 夕べのうちに焼酎と炭酸とを買って店に置いてきたついでに、カウンターの洗い物は片付けておいたから、残った時間で洗濯機の中の洗い物を干して奥の座敷の暖房も入れておく。実は、冬場に出たことがない焼酎のライム炭酸割りを、例の若者が注文したのです。「御免ね。あまり出ないものだから、家に持って帰って飲んじゃった」と謝ったけれど、本当はそれではいけないと反省したのです。7時前に家に戻れば女将がもう食卓に配膳をしていた。

 鮭は塩辛いから好きではないと言う女将に、何とか鮭を出してもらおうと粕漬けを買ってきたのでしたが、これがあまり塩辛くなくて美味しい。亡くなった親父が、樺太生まれの北海道育ちだったので、鮭は我が家のソウルフードの一つなのです。これに美味しくなった白菜のお新香と味の薄い豚汁が付いて、少なめのご飯でも満足な朝食なのでした。食後のひと眠りをして、今朝も早めに蕎麦屋に向かう亭主。青空が覗いて、少しだけ陽も差していたのです。

 早朝から暖房は入れておいたけれど気温が低いから、店の中はまだ13℃。蕎麦打ち室は11℃しかない。それでも仕事は始めなければならないから、加水率を46%強にして蕎麦粉を捏ね始める。昨日よりは少しだけ柔らかいけれど、まだ十分ではないのです。それでもじっくりと伸して畳んで、包丁切りは切りべら25本で135g。奥行きがあったから、切りべらが少なくても重量はしっかりとある。八束と半分の蕎麦か取れて、半分は昨日の半分に合わせておく。

 蕎麦打ちに案外と時間がかかって、金柑大福を包み終える頃にはもう10時半近かった。それから野菜サラダの具材を刻んで、いつものように三皿盛り付けておきます。開店の時間まであと10分。急いでテーブルを拭いて回って、窓を少しだけ開けておく。先ほどまで青空が覗いていたのに、空はどんよりと雪雲に覆われていました。こんな雪の降りそうな寒い日に、お客が来るとは思えなかったけれど、定刻に暖簾を出して開店です。

 それでも昼前に駐車場に車が入って、女性二人がご来店。蕎麦茶とお手ふきと割り箸を出したら、ヘルシーランチセットの天せいろをご注文で、まずは作ったばかりの野菜サラダをお持ちする。蕎麦豆腐は一つしかなかったから半分ずつにしてもらい、その分値段を引きますと言う。デザートの金柑大福は亭主が作るのかと驚かれ、小鉢のお新香も自分で漬けるのかとまた驚いていた。女性の二人だから、たっぷり一時間は話をしていた。他に客はなかったのです。

 女将の帰るよりも早く家に戻って、データをパソコンに入力したら、横になってひと眠り。小一時間眠ったら、もう夕食の時間なのでした。「夜は何にする?」と女将に聞かれて、昨日と同じ常夜鍋ということになる。その名の通り、寒い日には続けて食べても飽きない。亭主は夜のプールに備えてひと休み。金曜日の夜はプールのコースも空いているから、ゆっくりと一人ひとコースで泳げるのでした。昨日よりも少し長い距離を少し速いスピードで泳ぐ。

1月28日 土曜日 雪景色を眺めながら蕎麦を打つ朝 …

 ぐっすりと眠って今朝も5時起き。珈琲を一杯飲んで6時前には家を出る亭主。夕べは夜中に雨が降ったらしく、家の前の通りがところどころ凍っていた。蕎麦屋の前のバス通りに出れば、どうやら畑には薄く雪が積もっているらしかった。車外温度は-3℃。今朝も寒い朝なのでした。エアコンの暖房を入れて、二つの大釜に火を入れる。昨日売り切れた蕎麦豆腐の仕込みから始めて、ポットにお湯を沸かして、昼の水分補給にほうじ茶を3杯分入れておく。

 2日間で空になった蕎麦徳利に新しく蕎麦汁を詰めたり、山葵を容器に補充したりと、やることはいろいろあるのです。朝飯前に済ませておけば、朝食の後で蕎麦屋に来たときには、蕎麦打ちから始められるから、一日のやる気が出るというもの。洗濯機の中の洗い物を干して奥の座敷に運んで、7時前には家に戻るのでした。女将は台所に立って「お帰りなさい」「お早うございます」と言葉を交わす。「夕べは雪が降ったんだね」と言えば驚いていた。

 団地の中にいてはあまり判らないのです。庭の片隅にも多少雪の跡が残っていたけれど、畑の見えるバス通りまで出ると、はっきりと夕べの雪が積もっているのが見えた。空は限りなく青く、陽は差しているのだけれど、空気がとても冷たいのです。道路も全面凍っていて、朝の9時近くだというのに溶ける気配もない。店に着いて温度計を見れば、二時間以上も暖房を入れておいたのに、まだ10℃ちょっとしかないのです。蕎麦打ち室はやっと9℃になっていた。

 蕎麦打ち室の窓から外の雪景色を眺めながら、10℃を越えたところで蕎麦を捏ね始めたけれど、寒いから今朝は47%の加水率です。それでも生地はしっとりと仕上がるから、寒さと乾燥とで蕎麦粉も縮こまっているのか知らん。蕎麦切りをしている最中に、女将がやって来て「外は凄く寒いわねぇ。陽が差しているのに空気が冷たいのよ」と言う。確かに9時を過ぎても、まだ冷蔵庫の中より冷たいのです。蕎麦打ちが終わる頃に、店の中もやっと16℃になる。

 IHのヒーターの上に女将がキノコ汁の鍋を載せて、「これで足りるかしら」と言うので、亭主が冷蔵庫から作り置きのストック分を出して、蕎麦汁を入れて味付けをする。寒い日には出る一品だから、三人分は取れそうなのでした。店の掃除を終えた女将が早お昼を食べに家に戻って、亭主は金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻み始める。この寒さでは、サラダの付いているヘルシーランチセットかカレーうどんか鴨南蛮が出ない限り、頼むお客はいない。

 開店の準備が整って暖簾を出すけれど、冷たい北風は強くなる一方で、これではお客が来るはずもないと女将と話をするのでした。1時間待っても2時間待っても客は来ないので、亭主は昨日打った蕎麦を茹でてぶっかけで賄い蕎麦を食べる。コシがあって美味しいのが恨めしいのです。今年初めての誰も来ない営業日なのでした。二人で家に帰ってお茶を飲む。亭主は写真のデータをパソコンに入力したら、寒い夜の防犯パトロールまでひと眠りです。

1月29日 日曜日 寒さは変わらないけれど風がないから …

 夕べの寒い夜の防犯パトロールが効いたのか、朝までぐっすりと眠って5時に目が覚めた。珈琲を入れて飲みながら、朝飯前に今日は何をしてやろうかと考える。昨日は冷たい風に見舞われて、お客がなかったから蕎麦屋に行って片付けるものもないのです。やってしまわなければならない仕事としては、金柑の甘露煮づくりとカレーの仕込みなのでした。仕入れた鶏肉をキノコ汁に全部使ってしまったと言ったら、女将が家に買ってきた鶏肉を分けてくれた。

 まだ暗いうちに車で店に出掛ければ、300mしか走らないのに車外温度は-3℃になっている。予報では外は夜中から-5℃になっていたのです。まっ暗な間は金柑を煮込んで、東の空が少し明るくなった頃に、外に出て写真を撮った。向かいの畑は真っ白に霜もが降りて凍り付いているのでした。雪こそほとんど降らないけれど、今年は気温の低い日が随分と続くような気がする。7時前に家に戻れば、女将が起き出して「お早うございます」と顔を見せる。

 朝食を食べ終えたら、亭主は書斎に入っていつものひと眠りをするのでしたが、部屋を暖めておいたからか、今朝は1時間以上も眠ってしまったのです。昨日のの蕎麦がそのまま残っていたから、今朝は蕎麦を打たなくて好かったこともある。9時過ぎに家を出て、青空を見上げながら蕎麦屋に出掛け、朝の仕事を終えたら厨房に入ってカレーの仕込みをする。6人分の具材をジブロックに詰めて冷凍すれば完了。自分でも食べたいくらい好い香りが漂う。

 金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻んで三皿盛り付けたら、開店の準備に忙しい。開店の時刻の10分前に車が駐車場に入ってきたから、急いで暖簾を出して女将がお客を店に案内する。朝から動き続けた亭主は、ヘルシーランチセットの天麩羅を揚げて蕎麦を茹でたら、奥の座敷でやっと座ってひと休み。でもすぐに「お客さんですよ」と厨房に呼び戻される。見ればいつもの常連さんで、今日はカレー蕎麦ではなく、辛味大根とせいろの大盛りにビール。

 1時前に「まだ蕎麦は残っていますか」と電話が入って、女将が「大丈夫ですよ」と応えていた。30分ほどして三人連れの男性がやって来て、天せいろ二つとせいろのご注文でした。昨日と同じ気温で外は相当に寒いのでしたが、風がなかったからお客も入った。洗い物を片付けて、二人で家に帰って果物を食べる。大きなしらぬいを半分ずつ。居間のストーブで暖まっていたら急に眠気が差して、亭主は夕刻までまたぐっすりと眠るのでした。

1月30日 月曜日 早いものでもう一月も終わり …

 蕎麦屋でのひと仕事を終えて、家に戻る時間でした。朝日はまだ昇らずに、東の空が明るくなっている。今日も雲のない晴れた一日になりそうなのです。気温は低いから、真っ白に霜の降りた畑は凍って、足を踏み入れればバリバリと音がするのです。300mの距離を家に戻ると車外温度計は-3℃を表示しているのでした。今日で一月の営業は終わりですが、例年に比べて、雪こそ降らなかったけれど、寒い日が多かったような気がするのです。

 我が家の冷蔵庫もストックがなくなったらしく、今朝はベーコンエッグと茄子焼き、それに白菜のお新香が朝食のおかずでした。長女が古稀のお祝いにと贈ってくれた鮭の詰め合わせの中に、焼き鮭のフレークが入っていたらしく、熱いご飯に掛けて食べたらとても美味しかった。我が家のソールフードを知っていたのか知らん。食後にお茶をもらって、亭主はいつものように書斎でひと眠りです。30分ほど眠ったら、頭もすっきりしていよいよ今週最後の仕事。

 早朝の6時から暖房を入れているのに、外がやけに寒いから、店の中はまだ13℃しかなかった。蕎麦打ち室もやっと10℃と暖まるのが遅いのです。朝の仕事を終えたら、早速、蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。加水率はこの温度だと47%強で好いだろうというのが亭主の判断。それでも生地はしっとりと好い具合に仕上がるのでした。昨日の残りの蕎麦と合わせて、生舟に10食分の蕎麦を並べて今日の蕎麦打ちは終わりです。

 厨房に戻って野菜サラダの具材を刻み、薬味葱と大根おろしを用意して、今日の開店の準備を進める。朝は寒かったけれど、予報では南風に変わって昼は11℃まで上がると言うから、少しはお客が入るかと期待していたのです。前のバス通りを散歩で歩く人の姿もちらほちらと見えた。それでも暖簾を出して1時間、お客は来なかったのです。暇に任せて店の前のバス停の時刻表を見に行った。一日三本の駅までのバス。このほかに市のバスが一時間に一本はある。

 いつもの時間に隣町の常連さんが来てくれて、いつもと同じキノコ蕎麦に野菜サラダと辛味大根のご注文。テレビが何も面白い番組がないと、いつものように文句を言って、国会中継も馬鹿なことばかり言っているとまた文句。仕事着を着た若い男女が入って来て、彼の文句も止まったから亭主も救われた。ヘルシーランチセットと温かい天麩羅蕎麦のご注文だったから、亭主は調理に専念できる。2時前にはお客が帰って、亭主は残り物を揚げて賄い蕎麦を食う。

 月曜日は亭主一人だから、洗った皿を拭いて戸棚にしまったり、いろいろと後片づけが大変で、大鍋を洗って最後のゴミ捨てまで、たっぷりと一時間はかかるのです。そして、家に持ち帰る荷物を揃えて、重いビニール袋をぶら下げて家の前まで来たら、女将がちょうど帰って来たところなのでした。今日のデータをパソコンに取り込み、ひと眠りしたらもう夕食の時間。何とか今日はプールに行こうと思っていたから、ひと休みして出掛けて行くのでした。

1月31日 火曜日 一月最後の定休日は …

 夕べは夕食の後で頑張ってプールに出掛けたのです。火曜日はスポーツクラブそのものが休みだから、明日の水曜日は夜の防犯パトロールがあるので、また泳ぐことが出来ない。月曜に泳いでおかないと木曜日まで五日も水に入らないことになる。折角、慣れてきたのにまた振り出しに戻ってしまうのです。風の強くなってきた暗い夕刻に、プールに出掛ければいつもの顔ぶれ。空いているコースに入ってひと泳ぎ。土日の二日だけ泳がなかったけれど感が戻った。

 夜の運動は酒も進むけれど、ぐっすりと眠れるから素晴らしい。朝の7時まで眠って食堂に行けば、女将が塩鯖を焼いているところなのでした。冷蔵庫の食材がなくなったと思っていたら、最後の魚が残っていたか。茄子とピーマンの味噌炒めは蕎麦屋で残った天麩羅の具材。ある材料で食事を作る女将は、さすがに長年主婦をやって来ただけはあるのです。ひと休みしたら蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物を片付け、足りないものがないかと確認する亭主。

 お袋様に電話をして、いつもの道を農産物直売所に向かう。今日はトマトと白菜と椎茸、ニンジンを仕入れて、隣町のスーパーに出掛けるのです。先週はお客が少なかったこともあるが、小鉢の食材を作りすぎてしまったから、今週は少し控えめに仕入れておくのでした。女将の好きな果物には、食べにくい大きな蜜柑ばかりが並んでいたから、林檎とちょっと値が張るけれどデコポンを買って帰ることにする。アーリーレッドだけ棚に並んでいなかった。

 店に戻って仕入れた野菜を冷蔵庫に収納したら、白菜を切り分けて樽に塩で漬け込んでおきます。採れたての新鮮なものだから、今日のうちに水は上がって、明日は一把分が小さな漬け物器に漬け直すだけの分量になるのです。11時前だったけれど、出汁取りの準備をして家に戻って昼飯の支度を始める。女将は買い物に出掛けたらしく、亭主が買って帰った肉や魚は冷蔵庫に収納。昼は昨日残った蕎麦とキノコ汁とでつけ蕎麦にしてあっさりと食べるのでした。

 食事が終わったら、いつもならここでひと眠りだけれど、昨日はぐっすりと眠れたからか、朝に続いて昼寝もなし。女将のスポーツクラブの予約を済ませるまでパソコンに向かい、午前中のブログを載せるのでした。予約完了の2時を少し過ぎたら、今度は蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みに向かう亭主。その前に酒屋に寄って今夜の酒とつまみを見繕い、朝に行った農産物直売所で買い忘れたアーリーレッドを手に入れて、やっと蕎麦屋に着くのでした。

 先週もお客が少なかったけれど、寒かったから温かい汁が随分と出たので、二番出汁は5㍑の鍋で追い鰹をして出汁を取る。洗濯物を畳んだり干したりして、出汁の量も多いから一時間以上かかって全て完了。洗い物を済ませたら4時近かったから、小鉢の仕込みは明日にすることにして家に戻るのでした。早い夕食に長葱が沢山余っていると女将がまた鶏鍋にするのだけれど、味つけが薄くて酒のつまみにもご飯のおかずにもならなかったのでした。