1月13日 金曜日 日中はやっと暖かくなったけれど …

今朝も真っ白な霜が降りていました。夕べは10時半には床に入って、今朝の6時まで目が覚めなかった。夜のプールで泳いだのが効いた。まだ、身体が重くて思うようには泳げない。半年以上のブランクはかなり重症なのです。筋力もかなり落ちているとみえて、水を掻く腕に力が入らない。まあ、徐々にリハビリをするしかない。蕎麦屋の厨房は6℃で、昨日の朝よりは少し暖かい。それでも蕎麦打ち室は5℃だったから、エアコンを入れて大釜に火を入れる。

7時になったので家に帰ろうと蕎麦屋の玄関を出れば、ちょうど日の出の時刻なのでした。冬場はどんどん日の出の位置が南に寄って来る。今日も朝は寒いけれど空には雲がなかった。放射冷却で陽の昇る7時頃が一番寒いのです。昼は昨日よりも暖かくなると言うけれど、この朝の寒さは老体には応える。蕎麦屋のお客も午前中に寒さが残る日には少ないような気がする。午後から暖かくなっても閉店の時間には間に合わないから、痛し痒しなのです。

家に戻れば、女将が台所で朝食の支度をしてくれていた。茄子とピーマンの味噌炒めが先に出て、ホッケをグリルで焼いているようなのでした。蕎麦屋から持って来た白菜のお新香は、随分と水が出て、少し味が薄くなっている。それだけ新鮮だと言うことなのだ。小さなホッケの開きだったから、一人1匹ずつ焼いたらしいのですが、女将は食べきれずに昼に残りを食べると言う。食事を終えてお茶をもらったら、ひと休みして洗面と着替えを済ませる亭主。

9時前には家を出て、再び蕎麦屋に向かったのですが、蕎麦屋の西側の畑は、日影の部分にまだ白い霜が残っていた。9時だというのに、気温が上がらない場所らしい。店の中は15℃まで室温が上がり、蕎麦打ち室も快適なのでした。昨日の失敗を繰り返さないように、今日は45%の加水率と思っていたけれど、この暖かさではちょっと躊躇う。厨房から汲んで行った計量カップの重量を量ったら、ぴったり44%の加水分だったので、神のお告げと感じる。

まったく同じ加水でもこんなにも違うものかと思うほど、今日は柔らかく捏ねやすかったのです。やはり、温度にもかなり影響を受けるのです。閉店間際に賄い蕎麦で食べたけれど、コシのある蕎麦には変わりがないのでした。今日は10時には蕎麦を打ち終えて、厨房に戻って金柑大福を包む。野菜サラダの具材を刻んで11時にはもう準備か整うのです。テーブルをアルコール除菌液で拭いて、開店の時刻の5分前には暖簾をだすのでした。

カウンターの真ん中の椅子に座ってお客を待っていたら、いきなり玄関が開いて久し振りの常連さんが現れる。「正月だからビールをもらおうかな」と野菜サラダや天麩羅の単品でいろいろと頼まれて、最後に辛味大根でせいろ蕎麦。奥様と義母さんにお土産だと言って金柑大福を三つ持って帰るのでした。酒の肴の種類が多いと亭主も忙しい。その後は自転車に乗った若者がやって来て、天せいろと蕎麦豆腐にカシラとハラミの串焼きをご注文。

昼からは、確かに暖かくなって店の中は23℃もあったのです。洗い物と後片づけを早めに終わらせ、天麩羅鍋の油を空けて大釜を洗ったら、今日は生ゴミを外の回収箱に出さなければならなかった。家に戻ってもまだ女将は帰っていないから、残った金柑大福を食べながら紅茶を飲む亭主。夜はプールへ行く日だから、パソコンにデータを入力してひと眠り。4時半には目を覚まして、大相撲を見ながら女将の用意する夕食を待つのでした。

1月14日 土曜日 雨の日なのに暖かかったから …

今日は早朝だけ青空が見えた。夕べもプールで泳いで夜は10時には床に就いたのに、朝の5時半まで目が覚めなかった。まだまだ眠れそうだったけれど、朝飯前のひと仕事に出掛けなければと頑張って床から起き上がる。蕎麦屋に出掛ければ今朝は随分と暖かく、厨房の室温も10℃を越えているのでした。空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を詰め、お新香を切り分けて小鉢の用意をする。暖房を入れておいたら、何時の間にか16℃になっていたので消して家に戻る。

暖かい朝だからか女将も早めに起きて、朝食のおかずに鰺の開きを焼いてくれた。昆布と柚子を沢山入れて漬け込んだ白菜のお新香がとても美味しい。今週はお客が少ないから、一把漬けた白菜が消化し切れそうにない。他の小鉢もあるので、どうしてもお新香は家に持ち帰ることが多いのです。7時半前には朝食が終わるので、お茶をもらって一服しても、7時半から亭主は食後のひと眠りに入れる。今朝も小一時間眠って、すっきりした頭で蕎麦屋に出掛ける。

昨日の蕎麦が生舟に随分残っていたので、今朝は500gだけ打ち足して、12食の蕎麦を用意したのです。冬場になって、やはり週末もお客が減るので、以前のように15食を打つ必要はない。年末に送ってもらった10kgの蕎麦粉もやっと残り少なくなったので、今日は農場に電話をして辛味大根と共に蕎麦粉を頼むのでした。蕎麦が出る季節には、月に二回は注文を入れるけれど、冬場は二ヶ月に三回ほどに減る。一度に二万円もかかるから、大切な蕎麦粉なのです。

蕎麦を打ち終えたら厨房に戻り、今日は野菜サラダを先に作っておく。雨が降りだしたけれど冷たい雨ではなく、室温もどんどん上がっているから、外は気温が高いのでしょう。天気予報では13℃まで上がると言っていたから、昨日よりも更に暖かい。そのせいか、雨がかなり降ってきているのに、昼前からお客が続けてご来店で、駐車場が一杯になって帰る人もいるほどでした。陽が出るとお客が増えるとばかり思っていたけれど、気温も関係があるのかしら。

単品で野菜サラダを頼む男性もいて、やはりこれは暖かい証拠。寒い日にはサラダは滅多に出ないのです。金柑大福も四皿包んだけれど、お土産にと持ち帰るお客がいたので嬉しかった。久し振りに混んだから、女将も亭主も忙しく立ち回って、いつもとは違うのです。最後にいらっしたご夫婦は、二人そろってキノコつけ蕎麦を頼まれたので、これもまた嬉しいのでした。今日は天麩羅も随分と出て、作った料理が出る喜びは、やはり調理人の生き甲斐か。

結局、亭主は昼飯を食べる暇もなく、洗い物を終えてひと休みした頃には、もう閉店の時間なのでした。窓の外には雀よりもずっと大きなヒヨドリの群れが何十羽も電線に止まって、時折、一斉に飛び立っていく。降りしきる雨だと言うのに、彼等はいったいどんな生活をしているのだろうか。家に戻って、女将に餅を焼いてもらって遅い昼飯代わりの亭主。夜は防犯パトロールがあるから、また変則的な食事になりそう。その前に書斎でひと眠りです。

1時間ほど眠ったら目が覚めて、ぼうっと部屋の中を見回している亭主。女将は一人で大相撲を見ながら夕食を食べている。亭主は珈琲を入れて目を覚ます。6時20分前には家を出て、集合場所の集会所に出掛けて行く。暖かい夕べだからと薄着で手袋さえも着けて行かなかった。まだ雨が降っていると思ったのか、いつもより少ない人数で今夜のパトロールに出掛ける。約6000歩だから、4㎞ちょっとの距離だけれど、やはり暑くなってメガネも曇るのです。

1月15日 日曜日 昨日よりも更に混んだ …

今朝は6時過ぎに家を出て、蕎麦屋に向かう亭主。雨の上がった空はどんよりと曇っているのでした。蕎麦屋の室温は10℃と昨日とあまり変わらない。陽は出ていなくても、南風のおかげで暖かな朝なのです。厨房に入って蕎麦汁を詰めたら、小鉢用に残っている煮物やなた漬けを全部盛り付けておく。白菜のお新香が少し残っているから、今日もお客が大勢来たら明日の小鉢は何もなくなる。そんなこともあろうかと、浅漬けにする野菜は確保してあるのです。

二日続けて混むということは滅多にないけれど、お客が来てしまったらどうしようかと、いつも考えているのです。打つ蕎麦の数を調整して、小鉢の数だけにしておくのも一つの手なのです。寒い時期にはなかなか出ない野菜サラダも、小鉢の代わりに使っても好いのです。そんなことを考えながら、家に戻って朝食の食卓に着く。今日はベーコンエッグとキンピラと白菜のお新香。多すぎないのが最近の我が家の食事で、足りなければ梅干しや海苔を食う。

今朝は食事を終えてお茶をもらったら、ひと眠りをせずに早めに出掛ける用意をした。二日続けては混まないとは思っていても、馬鹿に出来ない日曜日なのです。残った蕎麦の数を確認して、今日打つ蕎麦の数を決めなければならない。玄関を出て水仙の花の写真を撮っておく。毎日見ているけれど好いアングルでなかなか取ることが出来ないのです。葉の枯れ落ちた木槿の木の下に、びっしりと根を張って何時の間にか広がっているからたいした生命力です。

今日は朝のうちに暖房を入れたままにしておいたから、蕎麦屋は暖かく、蕎麦打ち室も15℃まで上がっていた。生舟に残った蕎麦を確認したら、三束で端切れの寄せ集めが一束。750g八人分を打って合計11食の蕎麦があれば、何とか足りるだろうと考えた。10人を越えるお客は最近の週末ではなかったからです。しかも、この天気で通りを歩く人もいない有様だったのです。昨日と同じく44%の加水率で柔らかめの生地にして蕎麦粉を捏ね始めました。

菊練りを終えて蕎麦玉を寝かせている間に、厨房へ戻って大根と生姜をおろし、薬味の葱を刻んでおく。再び蕎麦打ち室に戻って、生地を伸せば、柔らかめだと四隅が丸まらずに、綺麗な四角形が出来る。蕎麦切りをすれば、端まで綺麗に切れるから8束と半分ほどの蕎麦が取れたのです。後はいつものように金柑大福を包んで、野菜サラダの具材を刻むだけ。天麩羅の具材のレンコンが残り少なくなっていたので、新しいものの皮を剥いて切り分けて茹でておく。

開店時間に間に合って暖簾を出したら、昼前にはもうお客がいらっしゃる。若い女性の三人連れがテーブル席に座って、天せいろと天麩羅蕎麦を二つ頼まれた。ところが、天麩羅を揚げている間に、また三人連れの親子がテーブルに座り、続けて年配のご夫婦がカウンターに座るのでした。「順番にお造りしますから」と女将が大茶を出して、亭主は黙々と天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる。駐車場は満杯だから、店の前で車を停めてもまた走り出す車もいる。

ただ今満席の看板を出しておいたから、最初のお客が帰ったところで外で待っていたお客が入ってくる。駐車場に空きが出来たのでご主人が車を入れるのでした。3人連れのご家族で、女将が急いでテーブル席を片付ける。1時前だというのに、もう生舟の蕎麦はなくなるのでした。久し振りのお蕎麦売り切れ。10人を越えるのは今年になって初めてのことでした。洗い物をする暇もなく、今日は天麩羅がよく出た。やはり、日曜日は馬鹿に出来ないのです。

1月16日 月曜日 終日の冷たい雨で …

混んだ昼の疲れか、夕べは10時にはもう眠たくなって、あまりお酒も飲まずに寝入ってしまった。それでも3時過ぎに目が覚めて、もう一度眠ろうとしたのだけれど、蕎麦屋でやることが沢山あったので、気になってなかなか眠れない。眠ってしまうと朝飯前のひと仕事が出来ずに、大変なことになるという強迫観念に駆られたのです。大量の片付け物に、天麩羅の具材の入れ物が空っぽで、小鉢が何もないと言う状態だったから、5時過ぎには家を出たのです。

1時間あまりで朝飯前の仕事を終えて家に戻ったけれど、まだ6時半だったから、もう一度眠れば好かったのかも知れない。ちょうどテレビで「ジャック・サマースビー」というリチャード・ギアとジョディ・フォスターの出る映画をやっていたから、朝食を夾んでつい最後まで観てしまう。30年も前の映画だけれど、まだ観たことがなかったのです。寝不足のまま「行って来まーす」と玄関を出て蕎麦屋に向かえば、また雨がぱらついて来たのです。

朝飯前のひと仕事が効いたのか、暖房も入って店の中は暖かかったから、すぐに蕎麦打ち室に入って蕎麦を打つ。昨日は完全に蕎麦が売り切れたので、今朝はいつものように750g 8人分を捏ね始めるのでした。蕎麦打ち室の室温は16℃とかなり暖かかった。加水率は暖かい部屋の温度でこのところ44%にしている。少し柔らかいという程度の生地が一番打ちやすいのが分かってきたから、今朝も四隅があまり丸くならずに、畳んで最後まで蕎麦を取ることが出来た。

丸みが大きいときは、最後はみんな端切れになって賄い蕎麦にするしかないけれど、最後まで蕎麦が取れるとかなり助かるのです。8束半の蕎麦が取れるので、大盛りの注文があっても大丈夫。この雨と寒さとでは、なかなかお客が来るはずもないけれど、昨日までの混みようがせめてもの成果なのでした。蕎麦打ちを終えて厨房に戻れば、後は野菜サラダの具材を刻むだけ。大根と生姜は蕎麦玉を寝かせている間に擦っておいたから、慌てなくても好い。

11時には支度が終わって、やっと休憩する亭主。天麩羅油も鍋に注いで温めたし、天つゆの鍋にも火を入れて温めて、キノコ汁もIHのヒーターに載せて温めてある。後はテーブルをアルコール除菌液で拭いて回るだけ。暖簾を出して1時間経ってもこの雨ではお客が来るはずもなかった。外は7℃と雪にならないのが幸いなのです。1時少し前にやっと車が駐車場に入って、年配のご夫婦がご来店。天せいろを二つ頼まれる。有り難いお客様なのでした。

天せいろが出て、蕎麦も茹でたから、やっと亭主も賄い蕎麦が食べられる。亭主一人の分を茹でたり揚げたりすれば、後片づけが大変になるから、昼を食べないで家に戻るのです。1時半にはお客も帰ったので、盆と皿を下げてテーブルを拭いたら、温まっている油でかき揚げを揚げて、ぶっかけ蕎麦を食べる。一人の営業の日は、ここからが大変で、休憩をしてから洗い物を終え、大鍋や天麩羅鍋を綺麗にする。家に持ち帰る食材を揃えて、布巾類の洗濯です。

家に着いたのはもう3時過ぎで、女将はまだスポーツクラブから帰っていない。昼飯を食べた後で眠くてしょうがなかったから、パソコンに今日のデータを入力し終えたら、やっと書斎でひと眠りです。5時過ぎにやっと目が覚めて、相撲中継を観ている女将のいる食堂に行けば、今日持ち帰った野菜サラダの包みが調理台におかれている。フライパンを温めて粉を溶いたら、10分でお好み焼きが出来上がる。二人で大相撲を観ながら、夕食を食べるのでした。
1月17日 火曜日 冷たい朝 …

今朝はやけに寒くて夜中に目を覚まし、エアコンの暖房を入れてまた眠るのでしたが、5時過ぎにはもう目を覚ましてしまった。定休日なのだから、早朝からあまり頑張らなくても好いのだけれど、明日の夜にはもう防犯パトロールがあるので、逆算すると少しでもいろいろなことをしておいた方が好いと思うのです。車の車外温度は3℃といつになく寒い。向かいの畑は真っ白な霜が凍り付いて、朝の光にキラキラと輝いている。今までにない風景なのでした。

昨日の片付けをして、昆布と干し椎茸を鍋に入れて水を張り、出汁取りの準備をしたら、沢山ある洗濯物を畳んで、選択して洗濯機の中の洗濯物を干すのです。昨日持って帰れなかったキャベツなどの野菜類を家に持ち帰る。7時過ぎに家に戻れば、定休日なのに女将が早くから台所に立って、朝食の用意をしてくれていました。鯖の切り身の塩焼きと、昨日蕎麦屋で作った浅漬けに納豆と海苔がおかずでした。これで亭主は大満足の朝食なのです。

食事を終えたら亭主は書斎に入ってひと眠り。やはり疲れているのか、目が覚めたらもう9時15分前で、着替えも済んでいなかったから、お袋様に電話をして10分遅れて迎えに行く。車の車外温度は相変わらず3℃で寒い朝なのです。農産物直場所でいつも野菜を出している農家の白菜を始めとして、今日はいろいろと買い込んだ。女将の誕生日のプレゼントに今が旬の苺まで買って、隣町のスーパーに行ったら寒いからか、今日は駐車場も空いていたのです。

何度も買い出しのメモを見直して、今日はすべての食材がそろったのを確認する。野菜類をすべて冷蔵庫に収納したら、買って来たばかりの白菜を、早速、塩漬けにするのです。農家の朝取りの野菜は新鮮だから、今日のうちに水が上がって明日は漬け直しが出来るのはずです。隣のガスレンジでは出汁取りを始めていて、一時間はかかるけれど、湯の沸く間に白菜は漬け終わる。11時半になったから、昼の支度があるので急いで家に戻る亭主。

果物の好きな女将に、遅れたけれどと誕生日のプレゼントに地元のいちご園の苺を渡して、昨日残った蕎麦を茹でて昼食はキノコ汁が残ったからつけ蕎麦です。美味しく食べたけれども、何回も沸かし直したキノコ汁はやはり味が落ちる。食後のデザートは買ってきたばかりの苺で、女将は苺が甘いと喜んでくれた。女将のスポーツクラブの予約が2時過ぎなので、蕎麦粉の支払いに郵便局に出掛けて、その次いでに店の備品を買い、灯油を二缶買って帰る。

昼の食事の終わった後も、食後のひと眠りは諦めて、テレビの映画を途中で切り上げ、蕎麦屋に出掛ける亭主。曇りという予報だったけれど、空は青空が広がってくる様子でした。午後の仕事は、最近よく出るカレーの仕込みから。鶏肉を切って炒めたら、茄子や玉葱、人参を入れて火を通して、残った食材を次々と入れて煮込むのです。6人分のカレーを作り、ジブロックに詰めて冷凍します。袋が5つ分しかなかったから、残りは家に持って帰る。

カレーの蕎麦やうどんを注文するお客は、決まった常連さんばかりで、2、3人だから、これで一週間は大丈夫。普通の蕎麦屋とは違って、具の多い本格的なカレーを作っているから、知る人ぞ知るメニューなのです。鶏肉と葱を煮てとろみを付けただけの一般的な蕎麦屋のカレー蕎麦やうどんと違って、しっかりとカレーを味わえるようにしているつもり。ご飯物を出していたコロナ禍以前には、カレーライスという注文も結構あったほどなのです。

次に小鉢のひと品を作っておこうと、切り干し大根の煮物を作り始める。便利な出汁醤油が切れたので、基本に返って醤油と味醂と砂糖を入れて、胡麻油で炒めた具材を出し汁で煮る。これで白菜のお新香と合わせて二品目の小鉢が出来上がった。いつもなら、大根のなた漬けを作るところでしたが、お客の入り具合を見てから作れば新鮮なものが出来ると考えて、今日のところは我慢しておくのです。保存用のタッパに入り切らない分は、家に持って帰るのです。

使った鍋やフライパンを洗って、午後の仕込みも終わりです。夕方の空はまた雲が出て、沈む夕陽に赤く色づいていました。寒くても雪にならないのが救いです。家に戻れば、女将が大相撲のテレビを点けたまま台所で夕飯の支度をしていた。先日食べきれなかった牛肉を、今日はまたすき焼きにして食べるらしい。亭主は鶏の手羽中を塩で焼いてもらって、一杯飲みながら相撲中継を観る。女将が相撲を観るようになって、夫婦の会話も増えたのです。

1月18日 水曜日 何故か物憂い午後 …
昨日のうちに頑張っていろいろと仕込みをしておいたから、今朝はさすがに朝飯前のひと仕事がない。それでも朝食を終えてひと休みしたら、いつもの時間に蕎麦屋に出掛けていく。昨日の朝よりは店の中もだいぶ暖かく、エアコンの暖房も弱めに入れておく。今日は晴れると言うけれど、9時の時点では空は雲に覆われたままで、西の空の端だけ少し青みがかっている。あそこで雲が切れているのだろうか。厨房での仕事は天気に一喜一憂する必要はないのです。

まずは珈琲を沸かして、何から始めようかとぼうっとした頭で考える。夕べはかなり酒を飲んだから、8時間眠ってもまだ眠り足りない。一週間も掃除をしていなかったレンジの周りが汚れていたので、重曹を振りかけてお湯を撒いておきます。これで油汚れは綺麗に落ちる。大釜を置いている後ろのレンジも、蕎麦を茹でるお湯を沸かしているだけなのに、随分と汚れている。茹でたお湯が飛び散って、湯垢が溜まるのか知らん。30分ほどで全部を綺麗にする。

次に気になっていたのは昨日漬け込んだ白菜の桶。寒い蕎麦打ち室に置いてあるから見に行けば、重しがすっかり沈んで水が上まで上がっていた。農家の朝採りの白菜はやはり新鮮だから、水の上がりが早いのです。一把の白菜を丸ごと漬けたのに、小さな漬け物器に入ってしまうほど水が出たのでした。大きめに切った昆布を敷きながら、少量の塩を振って漬け直す。今まではこの時に唐辛子や柚子の皮を入れていたけれど、もう少し水が出るのを待つことに。

蕎麦豆腐をしこんで型に入れ、白餡を煮込んでいる間に、南瓜をチーンしたら蓮根の皮を剥いて酢水で茹でる。始まったら、何を先にすれば好いのかが自然と分かってくるものです。火口と鍋を使い回さなければならないから、自ずと順番がある。2時間ほど仕込みをして、家に戻って昼食の時間。昼は昨日持ち帰ったカレーを、久し振りにご飯に掛けて食べるのでした。食後に1時間ほど昼寝をしたら、女将はもうスポーツクラブに出掛けていた。

明日は食材の配達のある日だからと、電話で注文しようとしたけれど、幾ら掛けても繋がらない。会社の事務所に掛けたら「本日の営業は終わりました」と声が流れる。初めてメッセージ機能を使って、連絡をくれるように伝言したら、午後の仕込みが終わる頃にいつもの若者から電話が入る。今年から水曜日が休みになったらしいのですが、「連絡してくれなければ分からないよ」「忘れました。ご免なさい」取りあえず海老と山葵を確保して、仕込みを終える。

午後はキノコ汁の仕込みだけだったから、残った時間で包丁を研いだ。プールに行けなくもなかったけれど、何となく身体が重いのでやはり無理。家に帰って市から送られてきた償却資産の申告書を書く。今日は夜の防犯パトロールがある日だから、早めの夕食を食べておこうかと思ったけれど、昼のカレーを大盛りで食べたから、腹も減っていなかったのです。そのうちに女将が帰ってきて、亭主はブログを書き終えて夕刻を待つだけ。
1月19日 木曜日 寒い日なのに開店からどどっとお客が …

夕べの夜のパトロールが効いたのか、たいして酒も飲まなかったのに、今朝は8時間眠って7時に目が覚めたのです。身体を動かすということがこれほど健康に好いのかと実感するのでした。女将の作ってくれた朝食を食べて、洗面、髭剃り、着替えを済ませて、出掛ける前に珈琲を入れて一服です。実はやることが沢山あったのに朝飯前に蕎麦屋に行けなかったから、どうなることかと玄関を出たのです。庭の金柑はまだ取り終えていない実がだいぶあった。

蕎麦屋に着いて看板と幟を出し、チェーンポールを降ろしたら、厨房に入って白菜のお新香を切り分け、切り干し大根とともに小鉢に盛り付ける。蕎麦は八人分打つつもりだったけれど、そんなにはお客が来ないだろうと七鉢で止めておく。寒い朝で昼も気温が上がらないというので、陽が出てもお客は期待できないのです。店のエアコンの暖房を強めて、蕎麦打ち室の暖まるのを待っていた。蕎麦粉と小麦粉を750g計り、篩に掛けて捏ね鉢に入れる。

加水率はいつもと同じ44%だったのに、室温がまだ上がっていなかったからか、今朝は随分と硬めの生地に仕上がるのでした。蕎麦玉にして寝かせている間に、厨房に戻って、薬味の葱を刻み、大根と生姜をおろしておく。再び蕎麦打ち室に入って、蕎麦玉を取り出せば、あれっと思うほど硬く締まっているではありませんか。これは大変だと伸し棒に力を入れて伸し広げるが、なかなか言うことを聞かない。横にして伸していたら、四辺の端がひび割れてきた。

これを何とか修正して、八つに畳んで切りべら26本で135gの束を八つ作る。生地が硬いと伸すのに時間がかかるから、予定時間をだいぶオーバーしたのです。その分、蕎麦は硬く仕上がるから、今日の蕎麦は美味しく出来上がったのかも知れない。厨房に戻って金柑大福を包むのでしたが、今日からは家で収穫した金柑を使うので、少し小さめだから丸ごと一つ分を白餡で包む。当然のことながら少し大きめの大福が出来上がるのです。

白玉粉の分量はちょうど袋に残っていた60gで、一個あたり20gの求肥を作ったから、包むのには十分でした。三皿分の金柑大福を仕上げて、時計を見ながら野菜サラダの具材を刻み始めるのです。包丁は昨日研いだばかりだから切れ味も好く、11時過ぎには三皿のサラダを仕上げて、天麩羅鍋に新しい油を注いで、天つゆの鍋を温めたら、天麩羅の具材と天ぷら粉を調理台に並べ、キノコ汁を温めれば、後はテーブルをアルコール除菌液で拭いて回るだけ。

なんとか時間通りに暖簾を出せば、今日は開店と同時にお客が入るのでした。最初にカレー蕎麦とビールの常連さんがいらっしたと思ったら、すぐに駐車場に車が2台続けて入って、二人連れと三人連れのお客がテーブル席に座る。しかも、温かいぶっかけ蕎麦とヘルシーランチセットの天せいろに、天せいろを三つのご注文で、亭主一人ではもう手が回らない。女将に電話をして少し早めに来てくれるように頼むのです。寒い昼前だというのに不思議なことです。

いつもなら、カウンターに座ってカレー蕎麦とビールを頼む常連さんと、12時半頃にいらっしゃる隣町の常連さんが、辛味大根とキノコつけ蕎麦を注文してゆったりとした昼なのです。生舟の中の蕎麦も残り少なくなって、いつも来るお客が来るまでに、蕎麦がなくなるのではないかとハラハラする。そんなことも知らずに、いつもの時間に件のお客がやってきて、野菜サラダの最後の一皿をカンターから自分で取って食べ始める。外は寒いのにこんな日もある。