1月7日 土曜日 今日は七草、正月気分も終わり …

夕べはプールで泳いだせいか、夜がぐっすりと眠れたのです。結局、8時間は眠って6時半に蕎麦屋に向かい、暖房を点けてくるのでした。玄関からガレージに降りる階段には、買ったばかりのLEDライトが仄かに光って、雨の降っているのが分かったのです。どおりで今朝はあまり寒くなかった。久し振りの雨に乾いた地面もしっとりと濡れて、雪でなくて好かったと寒の入りを喜ぶのでした。去年は雪で大変だったから、印象に残っているのです。

蕎麦屋は8℃といつもよりかなり暖かかった。店の暖房を入れ、珈琲を沸かして一杯飲んだら、もう朝食の時間になるのです。家に戻れば、女将が昨日の鶏鍋の汁を使ってお粥を作っていた。七草がゆを真似たのだけれど、銀ダラの煮付けが付いたから亭主は美味しく頂くのでした。二人だけの静かな正月は暴飲暴食とは縁遠かったから、むしろ、週末から三連休の始めの今日がどれだけお客が来るのかが、気になっていたのです。

朝食を終えて着替えと洗面を済ませたら、いつもの時間に再び蕎麦屋に出掛ける亭主。家の前の通りからは青空が見えて、雨の上がったのは好い兆しです。それでも風は冷たいから、襟巻きと手袋は忘れない。犬の散歩から帰って来たご近所のご主人と会って挨拶をしたきり、誰とも会わないで蕎麦屋に着く。看板を出して、幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、十分に暖まっている蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つのでした。

お客の少ないときには、500gずつに分けて、毎日、細かく打つのが最近のスタイル。週末だからとだくさん用意しても、去年のデータをみても正月はあまりお客が来ていないのです。それでも毎回、均等な蕎麦を打てるようになったのも、一つの進歩なのかも知れない。蕎麦を打ち終えて厨房に戻れば、もう女将がやって来る時間。大根をおろして、金柑大福を包めば、後は野菜サラダの具材を刻むだけです。店の掃除は女将がしてくれるからとても助かる。

暖簾を出せば、開店と同時に週末の常連さんがご夫婦で現れる。「今日も主人はカレーうどんです」と奥様が先に店に入って、テーブル席に座る。彼女も最近はいつもキノコつけ蕎麦を頼まれる。串焼きも解凍してあるからすぐに焼き始めた。後はデザートの金柑大福だけ。調理をしている間に歩いていらっした常連さんも、いつもと同じくビールとカレー蕎麦のご注文。カレーのうどんと蕎麦にはサラダも付いているから、今日はサラダが捌けて嬉しい。

昼を過ぎて、もうやっているかと電話のあったご夫婦がいらっして、おろし蕎麦の大盛りと天せいろのご注文。「これが目当てだったのよ」と金柑大福を二つ持って帰られた。大晦日は混んでいると思って来なかったのだとおっしゃる。考えたら、正月は常連さんとリピーターさんだけしか来店していない。蕎麦屋のある所は、駅の近くの人の多い場所ではないので、とても有り難いことなのです。女将と二人で家に帰って、ひと眠りをしたらプールの終わる時間。

1月8日 日曜日 好く晴れたけれど、空気が冷たすぎて …

今朝も8時間の睡眠から目覚めて、ゆっくりと珈琲を飲み終えたら蕎麦屋に出掛ける亭主。庭の金柑がますます黄色くなって、先日は、ヒヨドリがやって来ていたと言うから「早めに実を取ってしまおうかしら」と女将が、金柑の実を巡ってもう鳥たちとの先陣争いを開始する構えなのです。3cmを越える大型の実は、さすがに鳥に食べさせるのはもったいない。8時過ぎの時点では、外は手袋にマフラーをしなければ寒くて堪らない気温。

晴れて青空が気持ちが好いのですが、朝日が当たっても暖かいと言う気がしないから、やはり寒の入りの空気は冷たい。今日は日曜日だから蕎麦屋まで誰とも会わずに歩いて行く。向かいの畑に降りた霜も、家の日影の部分だけはくっきりと白く残っているのです。蕎麦屋に着けば、室内は5℃。エアコンを入れて大釜に水を張って火にかけるのですが、なかなか暖かくはならない。昨日の洗い物を片付けて小鉢を盛り付けたりして、蕎麦打ち室の暖まるのを待つ。

9時を過ぎても7℃にしかならなかったけれど、蕎麦粉と小麦粉を計量して篩に掛けるところまで支度をしたら、暖かいほうじ茶を飲んで気持ちを落ち着かせるのでした。女将の来る頃にやっと10℃になったから蕎麦を捏ね始める。「空気が冷たいのね」と玄関を入って来た女将は、洗濯物を干したり、店の掃除をしたりと動き回っていた。菊練りを済ませて蕎麦玉を寝かせている間に、厨房に戻って薬味の葱を刻み、大根をおろしておく。

昨日雨が降って湿り気が残っているのか、いつもと同じ加水率なのに、今日は若干柔らかめの生地に仕上がって、打ち粉を多めに振って伸しと畳みをしなければならなかった。切りべら26本で135gはいつもと変わらないが、ときどき太めに切れてしまうことがあったのです。ほんの少しでも柔らか過ぎるとやはり駄目。少しずつ加水していかないと危ない。厨房に戻って昨日は売り切れた金柑大福を包み、野菜サラダの具材を刻むのです。

前の通りを歩いて散歩に出る人たちが多いのに、朝の寒さが効いたのか、昼になっても蕎麦を食べに来る人はいなかった。コロナの感染者数の増えていることもあるだろうけれど、気温の低かった朝方の影響はあるに違いないのです。1時をだいぶ過ぎて女の子を連れた若いご夫婦がやっとご来店。せいろ蕎麦二つと天せいろのご注文でした。「随分と綺麗だから、何年目なのですか」と言われて、「今年で9年目になります」と応える。初めてのお客さんでした。

1月9日 月曜日 今日は少し暖かく …

夜明けがまた遅くなっている。6時過ぎに家を出て、蕎麦屋で朝飯前のひと仕事をしながら、日の出の時間を待つのでした。いつも夜明け前の写真しか撮れないから、今日こそはと思ったのです。昨日の洗い物を片付けたり、空になった蕎麦徳利に、蕎麦汁を詰め替えたりしていたけれど、もう6時40分台には陽は昇らないらしい。今日も外は氷点下のはずなのに霜が降りていない。空気が乾燥していると凍るはずの水蒸気も出ないのでしょう。

家に戻れば、女将が台所に立って今朝は親子丼を作っていた。蕎麦屋でご飯物を出さなくなって久しいから、懐かしい食べ物なのでした。亭主一人で営業をするようになって、味噌汁を作ったり、別の火口で違う作業をするのは、やはり大変なのです。コロナ禍でお客が少なくなって、ご飯物を頼むお客がめっきり減ったのも一因でした。時代の変化とともに、少しずつメニューも替えていかなければ。天丼もなくなったから、ちょっと残念な気もするのです。

調理をする側からすると、いろいろなメニューを作ってお客に提供したいのは山々だけれど、詰まるところは蕎麦屋なのです。焼売や餃子や野菜炒めなど、自分では作るのがいくら好きでも、ご飯を出すのが前提では、なかなか難しい。美味しい蕎麦を打ってなんぼのものなのです。この冬から出したキノコつけ蕎麦は、案外の人気で一番人気だった天せいろを越える勢い。これも寒くなって温かい汁の蕎麦が食べたいという人の心理なのでしょう。

昨日までの蕎麦が生舟にだいぶ残っていたから、思案した挙げ句に、今朝は蕎麦は打たなかったのです。女将に相談しても「それが妥当でしょ」と冷たい返事でした。残れば、どうせ家に持ち帰って毎日蕎麦を食べる事になるので、寒い時期に、それも負担なのでしょう。それでなくても、毎日寒いので野菜サラダの出が悪く、家に持ち帰ったサラダを消化するためにおかずを考える事が多い。蕎麦打ちをしない時間で、買い置きの金柑を甘露煮にするのでした。

それでも昼過ぎに、「今日もカレー蕎麦とビール」と言って、正月二回目の常連さんがご来店で、続けて隣町の常連さんもいらっして、野菜サラダを頼まれた。これで終わりかと思っていたら、閉店の30分前に若いご夫婦が子ども達を連れてやって来た。天せいろの大盛りとキノコつけ蕎麦をご注文で、子ども達には小さなお椀を出してやる。残った天麩羅の具材を、家に持って帰るために揚げていたけれど、サービスでテーブルに運んで配る亭主なのでした。

1月10日 火曜日 朝から風が強くて …

今朝は風が強くて電線がビュービューと音を立てていました。玄関で出掛ける支度をしていたら、下駄箱の上に女将が採った金柑の実がボールに一杯。朝のうちに洗濯を済ませて、金柑まで採ったのかと彼女の仕事ぶりに感心する亭主なのでした。お袋様に電話をして新年二回目の仕入れに出掛ける。風のある分、雲一つない青空が広がって、車の中はとても暖かな陽射しだけれど、車外温度は7℃なのです。農産物直売所に行って、お目当ての白菜を買っておく。

今週は小鉢に筑前煮を作ろうと、箱から出してくれた牛蒡やブロッコリー、トマトなど新鮮な野菜を仕入れておく。その足で隣町のスーパーに出掛け、残りの食材を見て回る。二つの籠が一杯になるほど買いそろえて、お袋様を送り、蕎麦屋に戻るのでした。生ものは直ぐに冷蔵庫に入れて、野菜の買い忘れがないかチェックする。冷蔵庫の野菜籠に順序よく収納したら、漬け物樽とまな板を出して白菜の漬け込みです。美味しく仕上げるには時間がかかる。

今日、最初の塩漬けをしても、水が上がって白菜が全部沈むまでには二日はかかるから、それから漬け直しで水の上がるまでには、また一日はかかる。そして、小さくなった白菜を小型の漬け物器に移し、昆布や唐辛子、柚子を加えてもう一日ほど寝かせる。早くても週末にしか食べられないのが残念。それまでの繋ぎに、今日は浅漬け用のキュウリやカブも仕入れて来たのです。次に大根を切り分けてなた漬けの準備。こちらは二日あれば食べられる。

11時を回ったので、昼の支度に家に戻る。今日の昼に食べるだけの蕎麦は残っていたから、あっさりと大根おろしで蕎麦を啜る。なた漬けと蕎麦豆腐も先週の蕎麦屋の残りで、食べる物には苦労しないのです。亭主が家にある山葵は美味しくないと言えば、「蕎麦屋の山葵よりずっと値段が安いからね」と女将が応えた。考えたら、お客に出す山葵も好いものを使っているのです。だから、温かい汁のキノコつけ蕎麦にも「山葵ください」と言うお客がいる。

昼食を終えた後はお茶を飲んでひと休みしたら、女将は稽古場に入って今月提出の作品を書き始めるのですが、亭主は2時過ぎに彼女のスポーツクラブの予約をし終えるまで動きが取れない。テレビで映画を見始めると、予約の時間に上手く席を取れたのですが、見始めた映画が終わるまで居間の椅子に座っている。定休日だからゆっくり出来たと考える事にしている。3時半過ぎから蕎麦屋に出掛けて、白餡を煮詰めながら、家で採った金柑を氷糖蜜で煮る。

女将が採ったものよりも大きい実を摘んだつもりでしたが、市販の金柑に比べたらやはり小さいのでした。種も多くて取るのが大変で、完熟ではないから少し苦い感じがする。5時には家に戻ると言って出たから、時間通りに仕事を終わらせて帰れば、夜は常夜鍋なのでした。久し振りで美味しいのだけれど、最近は夜に肉を食べることが多いような気がする。亭主はたまには刺身が食べたいと言うけれど、女将は寒くて食べる気がしないと言うのです。

夜になっても風は収まらず、居間の椅子に座って今日届いた年賀状を読んでいたら、脇で女将が「皆さん歳を取っても働いているから偉いわね」と言う。「俺だって毎日働いているよ」と亭主が笑って応えるけれど、働く意味が違うから偉いとは思われない。隠居の蕎麦屋は、所詮、趣味の延長だから、少しでもお金を稼ぐという仕事ではないのです。老後の生活を、何を以て好しとするかは人それぞれ。屈託のない生き方をするのが一番だと思う今日この頃です。
1月11日 水曜日 昨日よりも寒い朝 …

4時過ぎに寒くて目が覚めて、部屋の暖房を入れたら、今度は暖まって寝過ぎてしまう。「もう魚を焼いても好いですか?」と女将に起こされて時計を見れば7時半なのでした。「食堂が5℃だから寒くてご飯が食べられない」と、居間のエアコンと食堂のストーブを入れたと言う女将。9時前に家を出ようと車に乗り込めば、車外温度が4℃になっていたのです。空は雲が多かったけれど、青空が見えて日中は晴れると言う。蕎麦屋の室温はやはり5℃でした。

塩で漬けて二日目の白菜の樽も水が上まで上がっていたから、薄めの塩で漬け直したら、小さな漬け物器に入ってしまった。前回は二度目も樽で漬けたのですが、やっと去年までのやり方を思い出した亭主。ひと工程省ければ、それだけ早く食べられるようになる。そうやって漬ける期間を短縮してきたのでした。大きめに切った昆布を少し多めに入れて、柚子の皮と唐辛子は二回目の水が上がったら入れるのだった。これなら、その週のうちにお客に出せるはず。

次に大根のなた漬けの水を絞って、唐辛子と甘酒の素と柚子の皮を入れ、砂糖を加えてかき混ぜる。こちらは漬け直さなくても十分に食べられるのです。これで午後から筑前煮を作れば、三種類の小鉢の品が出来上がる。そのためには出汁を取って干し椎茸を使わなくては。昆布と干し椎茸を水に浸した鍋を用意して、午後に備えるのでした。午前中はキノコ汁を四人分ほど作って、洗濯物を畳んだり、干したりしながら昼の時間に間に合うように時間調整。

ちょうど宅配便のトラックがやって来て、蕎麦茶を届けてくれたのです。家に戻れば、買い物に出た女将はまだ帰っていなかった。長年通っている近くの薬局に出掛けたら、小母さんと話し込んで時間がかかってしまったのだと言う。亭主はキャベツや冷蔵庫に残っている野菜を刻んで、肉と炒めてあんかけ湯麺を作り始める。三つ目の火口では餃子を焼いて、ものの10分で昼食の出来上がり。寒いから暖まると思ったけれど、効果覿面で汗をかいてしまった。

午後の予定は悩みに悩んだ。プールにも行きたいし、整形外科にも行かなければならないし、午後の仕込みもあるので、思わぬところで予定が詰まってしまうのでした。結局、あと三日分しかない薬をもらいに医者に行って、受付前に着いたのにもう行列が出来ていた。連休の後の休診日明けだから混んでいたのです。薬だけもらって帰るのに、一時間近くかかって蕎麦屋に戻り、午後の仕込みを始めるのでした。女将に電話をして夕食は5時半にしてもらった。

午前中に出汁取りの準備をしてあったから、小一時間で出汁を取り終え、蕎麦汁を作るのでした。次は、筑前煮の仕込みだから、手際よく野菜を刻んで、根菜類は下茹でをして、鶏肉を切って油で炒め、中華鍋で炒めるのです。出し汁を入れて煮込んだら出汁醤油と砂糖を加えて更に煮込むのです。その間に、蓮根の皮を剥き、酢水で茹でている間に、南瓜を切り分けレンジに掛けて、天麩羅の具材を切り分けて明日の具材の準備をする。

5時半前に家に戻れば、女将はもう鶏鍋の支度をしてくれていたのです。味見に持ち帰った筑前煮となた漬けの小鉢と共に、暖かな夕飯なのでした。大相撲の最後の場面をテレビで見ながら、女将の解説で亭主も面白く見る。明日からは少し暖かくなると言うから、蕎麦屋もお客が来るのではと期待をしてしまう。蕎麦は850gを打って9人分を用意しようか。蕎麦豆腐も造らなければいけないし、今日のやり残した仕事を朝飯前に片付けられるだろうか。

1月12日 木曜日 暖かくなると言ったのに寒い朝で …

今朝は蕎麦屋の向かいの畑に真っ白な霜が降りていました。蕎麦打ち室は4℃と寒くて、暖房を入れて大釜二つに火を入れて暖を取る。少し暖かくなるまでにと、蕎麦豆腐を造って型煮入れたら、昨日作った筑前煮を小鉢に盛り付けて、食べ頃になった白菜のお新香を取り出して切り分ける。床はコンクリートだから、足元から冷えてくるのです。時折、蕎麦打ち室に温度を見に行くのだけれど、まだ7℃にしかなっていない。寒い朝はなかなか暖まらないのです。

珈琲を飲み終えて、小鉢の用意も終わったら、後は蕎麦を打たなくては時間に追われる。日中は暖かくなると言う予報だから、もしかしてお客が来るかも知れないと、今朝は蕎麦粉と小麦粉を合わせて800g計量して、木鉢に篩を掛けて入れたら、計量カップに水を汲んで335gをキチンと計る。これで44%強の加水率になるはずだけれど、今朝は寒いからか随分と捏ねるのにも時間がかかった。なめらかな生地になるまで、何度でも捏ねていくから力が要るのです。

生地を寝かせている間に、大根と生姜を摺り下ろし、薬味の葱を切る。硬めの生地に仕上がったから、伸し広げるのにもかなり時間がかかった。やっと80cm弱の幅で奥行き85cmほどに伸し広げて、畳んで行くけれど、綺麗な四角形にはならなかった。硬い生地はどうしても端が丸くなってしまうのです。八つに畳んで包丁切りをするのだけれど、今日は切りべら24本。生地の厚味があるから、少し太めの蕎麦に仕上がるのでした。135g弱で9束しっかりと取った。

時計を見ればもう10時を回っている。今朝は金柑大福も包まなければいけなかったので気持ちが焦る。焦って雑な仕事になってはいけないと、野菜籠からサラダの具材を取り出して、丁寧に速く刻んでいくのでした。天麩羅の具材の入れ物を調理台に並べ、天ぷら粉の缶を脇に置いて、新しい油を天麩羅鍋に入れる。天つゆの鍋はもう温めてあるから、天麩羅鍋に火を入れてキノコ汁の鍋をIHのヒーターに掛ける。こちらはよく見ていないと吹きこぼれるから注意。

11時20分に全ての用意が終わったので、急いでテーブルをアルコール除菌液で拭いて回るのでした。開店と同時にお客が来ることは最近はあまりなくなったけれど、来ても大丈夫なように用意をしておくことが大切。今日は蕎麦打ちに時間がかかったから、ちょっとギリギリでしたが、まずは無事に暖簾を出し終えるのでした。昼前に車で家族連れのお客がご来店で、とろろ蕎麦の大盛りと普通、せいろ蕎麦のご注文。蕎麦が茹で終わる頃に近所の常連さんが来る。

例によってビールと今日はカレー蕎麦の大盛りを頼まれる。よほどカレーが好きらしい。三人連れのお客は老夫婦がデザートの金柑大福をご注文。お母さんが「お蕎麦も蕎麦湯も美味しかったわ」と言って満足そうに帰られる。やっと女将が来てくれたから、亭主は奥の座敷で一休み。厨房に戻れば、今度は隣町の常連さんがいらっして、キノコ蕎麦と辛味大根のご注文。カレーの男性と二人、正月から六日の営業で三日も来てくれたのです。

早めに洗い物と片付けを終えて、亭主はやっと遅い賄い蕎麦を茹でて食べる。今朝打った蕎麦だからどんな感じだろうと食べたら、やはり硬く打った蕎麦は茹でても硬い蕎麦なのでした。噛み応えがあるのは好いけれど、これが美味しいと言う人は、よほどの蕎麦好きなのでしょう。お年寄りにはもう少し柔らかくても好いような気がする。明日は46%の加水率で打ってみようか。昼はやはり暖かくなると言うけれど、一人の営業だから時間に追われたくない。