2022年11月上旬


11月5日 土曜日 思ったよりも陽が差したけれど …

 今日は一日曇りの予報でしたが、朝は少しだけ青空が覗いて、朝日の輝きが見えたのです。昨日にに比べたら、随分と気温が下がって、これで曇っていたらいくら土曜日でもお客は来ないと思った。そんな状況でも、営業の準備はしておかなければならないから、今朝の朝飯前のひと仕事に、キノコつけ蕎麦の汁の仕込みに出掛ける亭主なのでした。二日続けて随分とキノコつけ蕎麦が出たので、昨日の夕刻にキノコと鶏肉とを仕入れて来たのです。

 沢山の種類のキノコと鶏肉を使うから、どんぶり勘定で900円で出したのは好いけれど、あまり利益は上がらないのは計算済みなのです。ただ、天麩羅を揚げたり、鴨や長葱を焼いたりする手間がなく、作り置きの汁を温めて蕎麦を茹でれば済むから、少しは他の調理の時間を稼げるというメリットがあるのです。しかも、寒くなってきたこの時期に、熱々の汁はキノコの香りが漂って、美味しいと言うのが専らの評判だから、しばらくは作り続けるつもり。

 冷蔵庫の中の小鉢や蕎麦汁の数を確認して家に戻る。朝食は茄子とピーマンの味噌炒めと具だくさんの豚汁がおかずで、昨日残った大根おろしはシラスを載せて出されていた。食事を終えたら書斎に入ってしばらく横になる。昨日も10時には床に就いたから、睡眠は十分のはずなのに、腹が一杯になってウトウトするのが心地よいのです。30分ほどで正気に戻り、洗面と着替えを済ませたら蕎麦屋に出掛けていく。向こうの丘の上にある公園の木々が紅葉していた。

 今日は蕎麦がほとんど残っていなかったので、900g10人分を打ってみた。なぜ1kgで打たないかというと、伸した時に狭い伸し台の上では横幅が窮屈で、いろいろ片付けるのが面倒なのです。それに捏ねる時に力が更に要るから、ちょっとだけ減らしたのです。最近の反省から、四隅を綺麗に伸そうと巻き棒を使って、75cmの伸し棒で本伸しにかかる。加水率は43%にしたのだけれど、あまり柔らかくはならなかった。それでも30分以内に打ち終えたから好かった。

 42%の加水の時よりも、少しだけ柔らかくなった生地を畳んで、包丁切りに入れば、実に調子好く蕎麦が切れてくれた。蕎麦粉の好いせいか、打ち方が以前より少しは進歩したからか、最近は自分で食べてみてもコシがあって美味しい蕎麦だと感じる。蕎麦好きのお客は、そんな蕎麦の仕上がりに、結構、敏感なようなのです。今日は10分前にリピーターのご夫婦が来て、「春蕎麦のように新蕎麦と書いた幟を出せばいいのに」と言われたが秋蕎麦の幟にはない。

 昼前にもう一人お客がいらっしてカウンターに座り、ぶっかけ蕎麦のご注文。外は16℃と寒いから、それからがお客が来ない。まどから隣の畑をみれば、椋鳥たちが何やら地面を啄んでいるのです。1時を過ぎたから蕎麦を茹で、昼飯を食べて仕舞おうと思ったところで、駐車場に車が入ってくるのでした。男性客がテーブル席に座って天せいろの大盛りのご注文。十分に油を温めてから、揚げる天麩羅はカリッと仕上がった。奥の座敷で亭主も賄い蕎麦を食べる。

 今朝は忙しかったにもかかわらず、寒いからと蕎麦饅頭を茹でたのだけれど、結局、一つも出なかったのです。急速冷凍して明日と明後日に備える。小さなお子様達には、カルピスとバームクーヘンをサービスしているのですが、菓子が切れたというので、明日はこの饅頭を温めて出しても好いかも知れない。お客が来ればの話だけれど。洗い物も済んでいたから、今日は片付けにそれほど時間がかからなかった。女将と二人でやるから時間的にも助かるのです。

 昼過ぎから時折は陽が差して、少しは温かくなって来たのです。でも遅かりし。家に戻って柿を剥いてもらったら、亭主は書斎のパソコンに向かって、今日の売り上げと写真のデータを入力する。女将はひと休みしたら歩いて買い物に出掛けるのです。これが彼女の疲労回復の秘訣らしい。亭主はテレビを観るでもなく、書斎で横になってまたひと眠りするのです。夜は亭主がお好み焼きを焼いて、今日残った三皿の野菜サラダをすべて消化するのでした。



11月6日 日曜日 昨日よりも寒く風が冷たい …

 今朝は7時までぐっすりと眠ってしまった。11時には床に就いたのに、朝が冷え込んだからかよく眠れたのです。お新香を漬けていないと、糠床から漬け物を出す心配がないので、ちょっと緊張感が途切れる。朝食には亭主が美味そうだと買ってきた焼き鮭がやっと出て来た。塩味が薄くて脂が乗っているから、ご飯のおかずにはちょうど好いのです。具沢山の豚汁は最近の定番。野菜は下茹でしてあるから、肉と葱を入れてすぐに出来る。身体が温まるので好い。

 今日も見事に晴れた朝でしたが、風が昨日よりも冷たく感じる。それでも陽の当たる場所は暖かいから、隣のコスモス畑まで足を伸ばして写真を撮る。コスモスも随分と息の長い花なのだと知った。蕎麦屋に戻って厨房に入れば、やはりヒンヤリとするので、暖房を入れる。昨日のうちに出汁取りの準備をしておいたのを、すっかり忘れていたから慌ててレンジに火を点ける。速攻で一番出汁、二番出汁を取っても40分はかかるから、大失敗なのでした。

 それでも今朝は蕎麦を、500gだけ打てば好かったので助かった。昨日の土曜日にお客があまり来なかったから、沢山用意した蕎麦が余っていたのです。9時過ぎには出汁を取り終えて蕎麦汁も作り、そのまま冷蔵庫に入れて急いで蕎麦打ち室に入る。湿度も室温も関係なく、今日も加水率を43%にして、綺麗な仕上がりの蕎麦を打てたのです。生地の硬さかがちょうど好いのと、打ち粉がたっぷり振りかけて、駒板の滑りがスムーズで包丁切りが手早く出来た。

 外は晴れていたけれど、気温は低く、陽射しがあっても、冷たい風が開けた窓の隙間から入って、なかなか暖まらないのです。そんな中を、暖簾を出したらすぐに、いつもの常連さんご夫婦がご来店なのでした。暖かい蕎麦かまたカレーうどんだろうと、キノコつけ蕎麦のご案内をしたら、お二人ともご注文。野菜サラダと串焼きを四本も頼まれて、ご主人は例によってデザートの蕎麦饅頭。続けていらっしたご夫婦は、ヘルシーランチセットのAとB。

 野菜サラダが一挙に三皿出て、蕎麦豆腐と蕎麦饅頭も出たので、亭主と女将は嬉しいのでした。キノコ汁の予備は冷蔵庫の鍋から移して、また温めておく。作った物が次から次へとなくなっていくのは、作る亭主も配膳する女将もやり甲斐があるというもの。昼前にまだ気温も低いのに四人お客があったので、今日はこれでお終いかと、1時を過ぎたら亭主は賄い蕎麦を作って食べておきます。ところが、まだ蕎麦があるならすぐに行きますと電話が入ったのです。

 向かいの畑の奥には柿の木が何本もあって、熟した柿を長い竿で落とした親父様が、その場で食べている風景がのどかなのでした。電話の主が友だちらしい女性を連れていらっしたのは、もう1時半近くなのでした。その後にもまたご夫婦がご来店で、結局、キノコつけ蕎麦は3杯も出たことになる。皆さん汁まで綺麗に飲み干して「美味しかった」とおっしゃってお帰りになるのでした。最後のお客が帰られたのは、もう閉店時刻の2時を回っていました。

 洗い物も片付けも女将と二人だからすぐに終わって、家に戻って亭主は女将に柿を剥いてもらうのです。夜はまた寒くなるからと鶏鍋にしようということになり、蕎麦屋から残りそうな長葱や椎茸などを持ち帰って、女将は足りない物を買いに出る。陽が出ているから暖かいけれど、陽が落ちる頃には随分と寒くなるのでした。取り皿に二杯ほど取って食べたらうどんを入れて、また二杯。亭主はそれですっかり腹一杯になるのです。すっかり身体が温まった。


11月7日 月曜日 昨日よりも寒い朝 …

 寒さで一度目が冷めて暖房を入れたら、また眠ってしまった朝。今日は9時間も眠った計算です。食堂に行けば女将がシャケ粥を作ってくれたから、二杯だけ食べてもう身体が温まる。朝ドラが終わるのを見計らって「行って来ます」と声をかけて家を出る亭主。陽は出ているけれど昨日よりも寒いのです。ゴミ出しに出て来た隣のご主人に会って「もう出掛けるんですか」と言うから、「お客が来なくても準備だけはしておかなくては」と応える亭主なのでした。

 空を見上げれば絹雲が青空にたなびいて、今朝は鳥たちの姿も見えない。玄関前に看板を出し、幟を立てて「ヨイショ」とかけ声をかけ、屈んでチェーンポールを降ろしていたら、ご近所の奥さんが通って「ヨイショが出ましたね」「何をするにもヨイショですよ」と言って笑う。こんなに広い空に絹雲が出るのも珍しいのです。蕎麦打ち前に片付けなければならない仕事は、結構、あるのでした。カウンターの上の洗い物を戸棚にしまって、次の仕事は … 。

 空の蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めて、昨日作っておいた南瓜と小豆の従姉妹煮を小鉢に盛り付け、割り箸やおしぼりを用意する。蕎麦打ちに入る時間を気にしながら、座敷に干してある昨日干した洗濯物を畳んで、今度は洗面所に行って洗濯機の中の昨日の洗い物を干すのです。女将のいる日はみんな彼女がしてくれるけれど、亭主一人の平日は、全部自分でやらなければいけない。身体を動かすのが健康には好いとは思っても、時間に追われるのはとても嫌なのです。

 それでも洗濯物を両手でパシッと広げて、綺麗に干していかないと、畳む時に面倒になるから、子どもの頃にお袋様に教わったとおりに、干していくのです。客が多いと盆や皿を拭く布巾類を沢山使うので、仕方がないとは思うのですが、これも習慣なのでしょう。9時過ぎには仕事を終えて、やっと蕎麦打ち室に入る。昨日の蕎麦が残っていたから、今朝はまた500g5人分だけ打って、今日は9人分の蕎麦を用意するつもりでいたのです。これなら楽勝です。

 昨日と同じく43%の加水で蕎麦粉を捏ね始めて、しっとりとした生地を仕上げて蕎麦玉を作る。ビニール袋に入れて寝かせている間に、厨房に戻って大根と生姜をおろしておきます。再び蕎麦打ち室に入って、蕎麦玉を伸していく作業は、60cmの伸し棒で十分なのでした。生地がちょうど好い柔らかさだから、綺麗に50cm幅で奥行き90cmまで伸ばして、八つに畳んで包丁切りです。切りべらは26本で140gといつもより心持ち太いのは、500gだと端切れが余るから。

 昨日よりも少し寒いと感じるから、窓は開店の直前まで閉めておいた。外は16℃だから、暖房を入れておいても22℃までしか上がらないのです。湿度が40%だから、体感では寒く感じるのでしょう。店の前のバス通りを通り過ぎる車を眺めながら、1時間は待ったでしょうか。こんな寒い日にはお客はなかなか来ないものと、諦めかけていたら、隣町の常連さんが車で乗り付けて、「キノコ蕎麦ください」と言う。野菜サラダに辛味大根もご注文なのでした。

 今日の話題はまたもや海外での体験談で、仕事でパキスタンやモルジブに行った時の怖かったというお話なのでした。何年前の話なのか、記憶力が好いとみえてつい最近の事のように話をされる。キノコつけ汁が美味しかったと帰られたのは、もう1時半近くなのでした。カウンターの盆や皿を下げて洗った亭主も、賄い蕎麦をぶっかけで食べる。暖簾も幟も下げて、チェーンポールも半分上げた後で、2時前にお客の車が入ってきたから驚きなのです。

 大釜の火も落としていたのけれど、「ちょっと時間がかかりますよ」と言って店の中に入って頂いた。女性はホワイトボードに書いたメニューを目ざとく見つけたらしく、キノコ付け蕎麦をご注文。男性客はせいろの大盛りを頼まれたのです。以前にも来たことがあるらしく、そろそろ秋の新蕎麦の季節だろうと寄ってくれたらしかった。2時半近くまでゆっくりとなさって、気の長くなった亭主も休み休み後片付けをするのでした。有り難いと思わなければ … 。



11月8日 火曜日 日中は小春日和で …

 今朝も7時起きで9時間も寝たことになるから、習慣というものは良きにつけ悪しきにつけ馬鹿には出来ない。お袋様を迎えに行くにはまだ早かったから、珈琲を一杯飲んで蕎麦屋に出掛け、今日の仕事の段取りを考えるのです。日中は暖かくなると言うから、先日の金木犀の剪定に続けて、駐車場のヤマボウシの木の剪定をしようかと、様子を見るのでした。夏に一度剪定したままで、その後に伸びた枝がぼさぼさになっているのです。

 今日は生ゴミの回収業者が来る日なので、午後の早い時間までに刈り取った枝を袋に詰めておかなければいけない。時間があれば、玄関前の柊南天の枝ももう少し短く刈り込みたいところ。空は何処までも青く、気温も少し上がってきたようなのでした。小春日和というのは今日のような陽気を言うのでしょう。農産物直売所には、沢山の旬の野菜が並んでいました。生産者の名前が書いてあるから、名前を知っている品質の好い農家の野菜を幾つも買い集める。

 隣町の魚屋スーパーでは、今日は太い長葱やパプリカがとても好い状態で出ていた。レンコンも新鮮なものが並んでいたので、嬉しいのでした。今週もキノコ汁を作るためにキノコを沢山仕入れておいた。そろそろ柚子も出て来たので、大根の美味しくなる季節だから、今年もなた漬けを漬け始めよう。白菜は随分出ているけれど、霜が降りるまでは買わないというのが亭主の考え。漬け物にするにはその方が甘くなると思うのです。

 今日は天麩羅の油も固めて捨てるから、その前に昨日残った天麩羅の具材を揚げて家に持ち帰る。昨日は閉店後までお客がいたのでもう天麩羅を揚げる気力がなかったのです。お蔭で家に戻って、揚げ立ててまだ暖かい天麩羅を食べられた。蕎麦の残りは二つ半だったから、亭主は大盛りを食べられたから好かった。美味しい蕎麦湯を飲むのが習慣だけれど、店のお客のように何杯もは飲めない。よほど蕎麦が好きな人が通ってくれているのだろうか。

 食後は例によってひと眠りかと書斎で横になるけれど、夕べ9時間も眠ったからさすがに眠れずに、意を決して蕎麦屋に出掛けて、駐車場の木々の剪定作業に取りかかる。ヤマボウシの枝を落とし、届かないところは長い剪定ばさみで切っていく。どうも朝日の当たる側だけが、葉が茂っているような気がしてならない。ついでに玄関前の柊南天のえだも大胆に短く切りそろえておく。成長が早いので、馬酔木や紫陽花の木が隠れてしまうのです。

 小一時間の作業で90㍑のビニール袋が一杯になったところで、上手い具合に業者がゴミを回収に来てくれたのです。洗濯物を畳んで昨日の洗濯物を干し、大根を短冊に切って塩漬けにしたら、午後の仕事はお終い。いつも幟や日除け暖簾を頼んでいる会社から電話が入った。今日は4時から五回目のワクチン接種に出掛ける予定なので、家に戻れば女将もちょうど作品を書き終えたところで、今日の仕入れのついでに買って来た柿を剥いてもらう。

 集団接種の会場に着けば、いつもより早い時間から長い行列が出来ていた。それでも大勢のスタッフが手際よく整理して、看護師のチェックが済んだら、接種場所に案内される。お酒と運動と長風呂は禁止と張り紙がしてあって、血行が良くなると副反応が起こりやすいのだそうな。風呂に入らなくても好いから、酒だけは少し飲みたいねと女将に話していたら、隣の女性が笑っていた。夕食後に夫婦で二階の階段の裏窓から月食を観る。もう直ぐ赤くなるのかな。



11月9日 水曜日 今日も晴れて寒い一日でした …

 今朝も寒い朝でした。夜中に寒さで目が覚めて、エアコンを入れれば好かったのに、我慢してそのまま眠ったら、やはりよく眠れなかったのです。7時まで眠って食堂に行けば、女将が朝食を用意してくれていた。定休日も二日目だけれど、朝ドラが終わる時間に蕎麦屋に出掛け、駐車場の剪定したヤマボウシを眺めるのです。後はモミジの上に伸びた枝を刈れば少しは綺麗になるかと思えた。お客の来る入り口だから、やはり、あまりみっともないのは好くない。

 雲一つない青空が出ていても、何故か寒い朝なのです。厨房に入って、昨日塩で浸けておいた大根を取り出し、小さなボールに甘酒の素を入れて漬け込んでいく。やっと店屋に出て来た柚子の皮を刻んで、唐辛子と共に漬け足します。一年ぶりだから、砂糖の量も好い加減で、味見をしてもよく分からないのが本当のところ。それでも、甘い分には浸けておけば味はこなれてくるはず。今回は柚子もまだ小さいから、大根も少量にして試作品のつもりなのでした。

 珈琲を飲み終えて筑前煮の仕込みに入るのでしたが、考えたら筑前煮は手間がかかるのです。ニンジン、蒟蒻、茹でたレンコンを切ったら、冷凍してある干し椎茸を戻して、更に里芋の皮を六方に剥き、半分に薄く切る。牛蒡を金タワシで洗って乱切りにして下茹でをしたら、笊に取って水を切っておく。最後にまな板を替えて鶏肉を切って、中華鍋で炒めていくのです。少しだけ作ろうと思ったけれど、やはり具が多いから量が増えてくる。

 隣の火口では、天麩羅の具材に使う新しいレンコンを茹でておきます。中華鍋には二番出汁を入れて煮込んだら、出汁醤油と砂糖で味付けをして、汁が少なくなるまで更に煮込んでいくのです。昼食の支度があるから、区切りの好いところで煮物はタッパに入れて、洗い物を済ませて家に戻る。昼はスパゲッティーをホワイトソースでとも思ったけれど、やはり寒いから野菜をたっぷり入れて湯麺にしました。冷凍室に残っていた餃子を焼いてちょっと中華風。

 食後のひと休みをしたら、女将はもうスポーツクラブに行く準備で、いつもなら亭主はここでひと眠りなのですが、夕べあまり眠れなかったにもかかわらず、このところの習慣で、今日は朝飯の後も昼飯の後も眠くならないから不思議。蕎麦屋のメニューや看板の写真を入れ替えて、最近人気のキノコつけ蕎麦を加えて何枚も印刷しておきました。ついでに店置きのパンフレットもなくなっていたので、新蕎麦の案内と共に15枚だけ印刷しておく。

 3時を過ぎて女将が帰ってきたら、今度は亭主が蕎麦屋に出掛けて午後の仕込みをするのです。空には少し雲が出て、少しは気温も上がったのでしょうか。蕎麦屋の中は18℃だつたから、エアコンは点けなくても動いていれば寒くはない。まずは天つゆを作って、予備の一番出汁にかえしを加えて蕎麦汁を作る。週末までは持たないダウけれど、キノコ汁の味つけにも使うから、余分にあった方が好いのです。天麩羅の具材を切り分けて、容器に入れてラッピング。

 最後に鶏肉を二番出汁で茹で、キノコをどんどん入れていく。出汁醤油で味つけをしたら、蕎麦汁を加えてちょうど好い味の濃さにするのです。陽も傾いてきたから、酒屋に寄って焼酎と炭酸を買いながら、コンビニのATMで明日の荷物の代金を引き出しておく。最近は売り上げの入金がないのでちょっと心配です。5時近くに家に戻れば、夜はまた里芋や隠元を茹でて好い酒のつまみ。昨日のワクチン接種の副反応などまったくなかったから嬉しいのです。


11月10日 木曜日 昼は気温も上がってすっかり蕎麦日和 …

 今朝も6時半までぐっすりと眠ってしまいました。夕べも10時には床に入っているから、最近は8時間から9時間は眠っていることになるのです。お蔭で体調は頗る好いのだけれど、今朝も朝飯前のひと仕事に行かなかったから、やることが沢山あって朝ドラが始まったらもう家を出るのでした。蕎麦屋に着いたら新しく印刷した看板や幟を出して、厨房に戻って蕎麦豆腐を造る。そして小鉢を盛り付けて、やっと蕎麦打ちに取りかかるのでした。

 今朝も加水率43%で新蕎麦の粉を捏ね始める亭主。店の中の湿度が40%だから、15℃の室温も寒く感じるのです。朝のうちだけだからと、エアコンを入れて蕎麦打ちに専念すれば、そのうちに暑くなってきて暖房を止めるのです。菊練りをして蕎麦玉を作ったら、ビニール袋に入れて寝かせている間に、厨房に戻って大根と生姜をおろし、薬味の小葱を刻んでおくのです。これで随分と時間が稼げるから、休憩もせずに蕎麦打ち室に入って蕎麦を伸して包丁切り。

 ここまで急いで仕事をしたので、やっといつもの時間に間に合って、二つの大釜に火を入れて野菜サラダの具材を刻み始めるのでした。 農産物直売所で仕入れたばかりのブロッコリーは、いつも買う女性の生産者で、丁寧に仕上げた野菜ばかりなので、180円で買ってもお釣りが来るくらい立派なのでした。トマトもいつも買う農家の作った物で、同じく直売所に出入りする農家の親父様も、褒めるくらい良く出来たものなのです。

 野菜サラダを盛り付けたら、新しい天麩羅油を鍋に入れて、天つゆの鍋を火にかけ、温まる間に店の掃除とテーブルを拭きを終えるのです。大釜の湯も沸く頃だから、ポットにお湯を入れて、11時過ぎには開店の準備が整う。外は青空が広がって段々と暖かくなったから、ちょうど好い数だけお客が来ればいいと、暖簾を出して開店の時間です。最初の一人がやって来て、ヘルシーランチセットを頼まれたら、続けてご夫婦がご来店。「順番にお出ししますから」

 そう言ってお茶を出したら、天せいろの天麩羅を揚げ始めるのです。「ご主人お一人でやっているのですか」と言われて、「土日は女将が手伝いに来るのですけれど、コロナ禍で平日は2、3人しかお客が来ないのです」と、お茶のポットをテーブルに置いてくる。のんびりとしたお昼時だと思っていたら、月曜日にいらっしたばかりの隣町の常連さんが車で乗り付ける。「辛味大根とキノコ漬け蕎麦をお願いします」と、だいぶキノコ汁が気に入ったようなのです。

 暖かくなったからか今日はその後もお客が続いて、1時に女将が手伝いに来てくれた頃には、もう蕎麦は売り切れていたのです。定休日直後の木曜日に売り切れになるのは珍しい。二人で洗い物と片付けをするから、2時過ぎには帰路に就き、後は夕刻に食材を届ける業者から荷物を受け取れはいい。昼を食べ損なった亭主は餅を焼いてもらって、書斎でパソコンに向かって今日のデータを入力。夕刻まで横になってひと眠りなのでした。

 4時を過ぎたら珈琲を入れて目を覚まし、再び蕎麦屋に出掛け、カウンターに干しておいた蕎麦皿や盆を片付ける。全部なくなった小鉢を補充して、空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めるのです。明日はまた出汁取りをしなければならない。いつもより早い時間に新人の業者が来たから、どうしたのかと思ったら、注文の品が全部そろわずに申し訳なさそうに「他の店を飛ばして来ました」と言う。珈琲を入れてやり、お勧めの冷凍牡蛎フライを二袋買うのでした。夕食には、早速、冷凍カキフライを揚げて試食するのです。


11月11日 金曜日 えっ、今日もお蕎麦売り切れ

 午前4時過ぎに目が覚めて、もうひと眠りしたかったけれど、昨日の反省から、今朝は朝飯前のひと仕事に出掛けようと頑張った。それでもまだ早すぎるから、珈琲を入れて一服したら、冷蔵庫の中に買ったままになっていた餃子の皮と韮と挽肉を取り出し、餃子を包むのでした。毎週のように蕎麦屋で残るキャベツの始末を、野菜スープを作って飲む女将だけに押しつけておくのも悪いから、たまには亭主がキャベツを消化する手伝いをするのです。

 やっと辺りが薄明るくなって車で蕎麦屋に出掛ければ、ちょうど店の常連の女性が、犬の散歩をしながら店の前を通って「お早うございます」と後ろから挨拶をするから「お早うございます。随分と早いですね」と言えば「旦那さんこそ早いじゃない」と声が返って来た。まだ、顔の輪郭が分かる程は明るくないのです。厨房に入って、まずは蕎麦豆腐を仕込んでおく。昨日は二つ出たから冷蔵庫にはまだ二つ残っていたけれど、忙しい週末の分を作っておく。

 それからキノコ汁を店のIHで使える小さな鍋に移して温め直す。2㍑の鍋で全種類のキノコと鶏肉を入れて作ると、8人分ぐらいは出来るのだろうか。最近は天せいろに続いて人気のあるのがキノコつけ蕎麦だから、味見をしながら丁寧に仕上げておく。冷蔵庫の小鉢と蕎麦汁の数を確認したら、洗濯物を畳んで家に戻るのでした。7時前の東の空に森の向こうから朝日が昇って来る。日の出の位置が随分と真東に移っていたから、季節が変わってきたのです。

 今朝のおかずは鰺の開きでした。あまり塩辛くなくて脂ものっているからとても美味しい。最近の魚の開き物は、皆、薄味になってきているらしい。女将の漬ける糠漬けは更に薄味だから、身体には良いのでしょうが、ご飯のおかずにはちょっと物足りない。「ご馳走様でした。美味しかった」と言って、亭主はすぐに書斎に入って横になるのです。やはり、朝があまり早いから食べたら急に眠くなる。朝ドラの終わる時間まで1時間ほど熟睡しました。

 洗面と着替えを済ませて今日もまた蕎麦屋に出掛けていく亭主。途中で誰にも会うことがないから、いつもマスクは外して出掛けるのです。朝の空気は少しヒンヤリしているけれど、雲一つない青空が広がって、今日も日中は暖かくなりそうなのでした。蕎麦打ち室に入り、今日の蕎麦を打ち終えて、野菜サラダの具材を刻む。11時前にはすべての準備が整って、あとは店の掃除をするだけです。5分程で終わるから、カウンターの椅子に座ってひと休みです。

 昼前に一人二人とお客がいらっして、天せいろとキノコつけ蕎麦が出る。洗い物を終えた頃に次のお客が来るといった具合だったから、今日はゆったりとこなすことが出来ました。大盛りが多かったので、まだ6人しか入っていないのに、1時前にはもう蕎麦が売り切れてしまった。こんなこともあるのだと亭主もびっくり。これが続けば、平日の8食打ちも増やさなければならないでしょう。それは嬉しい事だけれど、果たしていつまで続くだろうか。

 筑波から仕事に来ているという現場作業の若者が「ご飯物はなくなったのですか」と言うから、「コロナでご飯が出なくなったんですよ。ご免なさいね」と、温かい汁のかき揚げと天麩羅が付いたぶっかけ蕎麦の大盛りに、メゴチを二匹揚げて出してやる。せいろ蕎麦の並と大盛りを頼まれた若いご夫婦は「蕎麦と蕎麦湯が美味しかったです」と言って帰られたのです。半人前だけ残った蕎麦にかき揚げを揚げて、遅い昼飯を食べ、片付けを終えて家路につく。

 亭主が家に着く手前の路地で、右手の緩い坂道を上ってくる女将が手を振るのが見えた。この暖かさの中を2km近くを歩いて来るのだから、さぞかし暑いだろうと思ったら、家に入れば彼女はもう半袖だから大したものです。柿を剥いてもらって亭主は書斎で夕刻までひと眠りする。出汁も取らなくてはならなかったから、4時半に家を出て蕎麦屋に出掛け、出汁取りとお新香を漬けてくる。今日は野菜サラダが一つも出なかったので、夕食はポークステーキ。