2022年10月下旬

10月20日 木曜日 久々に雲一つない秋晴れの一日で …

 昨日も10時半には床に就いたのに、今朝は7時過ぎに女将に起こされた。朝方が寒かったこともあるけれど、夕べの防犯パトロールで4キロ近く歩いたのが応えたのでしょう。食堂に行くとぷーんと好い匂いで、鰺の開きが焼かれていた。昨日の蕎麦屋の試作品で、野菜と肉と豆腐がたっぷりと入ったけんちん汁を持ち帰っていたから、これにカブの葉のお浸しが付いて、十分な質と量なのでした。食後に煙草を買いに出て、青空に映えるみずき通りを上って帰る。

 たっぷりと眠ったから、今朝は食後のひと眠りもせずに、シーツと枕カバーとを洗濯に出して、蕎麦屋に出掛けたのです。ご近所の蜜柑がもう黄色く色づいていました。いつもご主人が綺麗に庭木を手入れするお宅だから、蜜柑に陽の当たるように工夫されているのかも知れない。蕎麦屋の前のバス通りに出れば、何処を見渡しても今朝は雲一つないのです。蕎麦屋の中に入れば室温は15℃と寒いのですが、日中はこの陽射しなら暖かくなりそうでした。

 それでも木曜日の蕎麦は、750g8食分を一度打つだけで止めた。天気が好くてもお客が来ないと言うこともあるのです。この時期は平日に8人来ることはまずないから、加水率を41%にして少し硬めの生地に仕上げる。捏ねる時と伸す時に、少し力が必要だったけれど、昔はこれでよく打っていたものだと懐かしく思い出しながら、包丁切りもトントントンと綺麗に仕上がるのでした。店の窓を全開にしてあるから、外から金木犀の香りが漂ってくる。

 今年は二回花が咲いていると女将が言っていたので、駐車場まで出て匂いの元を確かめる。果たして、黄色い小さな花がまた咲いているではありませんか。隣のコスモス畑も今朝の青空に映えて、素敵な風景なのです。元気を貰って厨房に戻れば、今日は天気も好いからと、野菜サラダを以前のように三皿出すことにする。アスパラガスとブロッコリーを茹でている間に、瑞々しいレタスをちぎってキャベツを千切りにする準備をしておきます。

 気温が上がってきたらしいから、エアコンを消して窓を半開きにしておく。室温は19℃まで上がってきた。野菜を刻んでいる間に、後ろの二つの大釜の湯が沸いたので、お茶と温め用のポットにそれぞれ湯を詰めておきます。今日は新しい胡麻油の缶を開けるから、空の前の缶をビニール袋に詰めて外のゴミ箱に入れる。野菜サラダが仕上がったらひと休み。11時過ぎだったから、後は店の掃除でテーブルをアルコールで拭いて歩くのです。

 昼前に隣町の常連さんがいらっして、カウンターの野菜サラダをご自分で取って「ドレッシングをください」と言う。好物の辛味大根は明日入荷すると伝え、けんちんつけ蕎麦を勧めてみたら、「たまには変わったものを食べたいからね」と言うので、汁を温める。その間に、向かいの地区の常連さん三人がいらっして、いつもの天せいろのご注文。お茶を出して天麩羅を揚げている間、彼女たちはのんびりと会話を始めるのでした。皆さん亭主より年上の人たち。

 1時近くまで話は尽きずに、帰りに残っていた野菜サラダをお持ち帰りになる。スマホを持って女将がやって来て、亭主はやっと昼の賄い蕎麦を食べる。食べ終わるか終わらないうちに、自転車に乗った親父様がいらっして、天せいろのご注文。急いで調理を始め、女将のスポーツクラブの予約の時間に間に合わせる。最近の平日にしてはまずまずのお客の入りで、今日の天気に感謝するしかないのです。午後の陽射しは夏を思わせる暑さなのでした。


10月21日 金曜日 平日なのに今日は蕎麦日和で …

 今日も秋晴れの好い天気になりそう。日の出が段々と遅くなったので、蕎麦屋でひと仕事を終えた6時前は、東の空が明るく光っているだけでした。雲一つない空らしいけれど、まだ青い色になるほどは明るくないのです。昨日の夕食前に蕎麦屋に出掛けて糠漬けを浸けておいたから、今朝は早く起きて店に来た。厨房に入って冷蔵庫から糠床を取り出し、キュウリとナスとカブを水で洗って切り分ける。今日と明日の分があれば好いだろうと小鉢は九つ。

 家に戻って朝食を食べたら、さすがに今朝はひと眠りです。それでも今日は午前中に蕎麦粉と辛味大根が届く日だから、30分ほどウトウトしただけで、髭を剃って着替えて蕎麦屋に向かうのでした。青空が気持ちよくて、つい店を通り越して、隣のコスモス畑に足を踏み入れるのです。秋の桜と書くだけあって、もう花の散っている枝先もあるのでした。端正に並んで咲くというよりは、てんでに好きな方向に伸びて、花を付けるのがまたいいのかも知れない。

 蕎麦屋に戻って看板を出し、幟を立てて、チェーンポールを降ろしたら、早速、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。前掛けをしたところで店の前に宅配便が止まったので、外に出て蕎麦粉と辛味大根を受け取るのです。まだ育っていないという小さなものを無理を言って送ってもらったのですが、握り拳よりも小さいから、ちょうど一人分の分量で使い切れるから好かった。ただ、心配なのは育っていないと味はどうなのかです。

 今朝も750g八人分を41%強の加水で打ち始めたのですが、湿度が46%しかないのに柔らかいから不思議。早朝から暖房を入れておいたから、蕎麦粉が感じている自然の気温・湿度と違うのだろうか。それでも騙し騙し、地伸し・四つ出しを終えて本伸しにかかれば、もう後は打ち粉を振って包丁切りだけでした。切りべらは26本で、140g前後の束を八つ作って生舟に収める。昨日残った三束と合わせて、今日は11人分の蕎麦が用意できました。

 晴れた天気だからと、野菜サラダは三皿盛り付けておく。気温が高くなると野菜サラダは案外と出るのです。11時前に大釜の湯も沸いて、天麩羅油を天麩羅鍋に移し、天つゆの鍋も火にかけたら、最後に店の掃除を始める。開店の10分前に駐車場に車が入ったので、暖簾を出してお客を店の中に入れるのでした。若い青年が一人で入り口近くのカウンターの端に座る。天せいろと蕎麦豆腐と蕎麦饅頭と言うから、サラダが付いて割安なヘルシーランチを勧める。

 開店の時刻の前に暖簾を出したから、すぐに次のお客が入って来た。仕事らしいお兄さん達は天せいろのご注文。カウンターのお客に配膳しながら、テーブルにお茶を運んで注文を聞く。厨房に戻って盆に蕎麦皿や何やらをセットして、やっと天麩羅を揚げ始めたらもう次のお客が三人連れで入ってくる。どうやら先に入った仕事仲間の後輩らしい。お茶を出しながら注文を聞いているうちに、今度は女性客が来て、カウンターの奥に座るのでした。

 気持ちは焦るけれど「今お茶をお出ししますからね」と声をかけながら、一つ一つ順番に仕上げなければと、先に出す料理の準備に専念する。僅か30分で四組のお客が入って、もう目一杯の亭主なのでした。幸いにも全員が天せいろのご注文だったから、盆をセットして、天麩羅を揚げては蕎麦を茹でるの繰り返しなので助かった。三人組の若者達が全員大盛りの注文だったから、生舟の中の蕎麦はあっという間になくなる。最後の女性客に配膳したのが12時半。

 テーブルの盆や皿を片付けることも出来ずに、先に入ったお客の会計を済ませて、ヘルシーランチセットを頼まれた若い女性客一人が残ったので、デザートの蕎麦饅頭を出しながら「お腹の赤ちゃんの分まで食べなければね」と言えば「9ヶ月なんです」と応える。そこで駐車場に車が入ってきたので、天麩羅の具材は切れたし、どうしようかと思っていたら、温かい蕎麦とおっしゃるのでけんちん蕎麦を勧めた。リピーターの親父様だったからすんなりご注文。

 お腹の大きな若い女性は「上の子が幼稚園に行っているので帰るまでに蕎麦屋に来ようと思って」と、次の子供も男の子だと言う。隣に座った親父様も交えて、子育ての大切さを話をするのんびりとした午後なのです。「けんちん蕎麦おいしかったよ」と言われて、嬉しく思う亭主。「また来ますね」と言って帰る女性を有り難いと感じる亭主。お蕎麦売りきれの看板は出したけれど、時計を見ればまだ1時前なのでした。昼を食べるのも忘れて洗い物に精を出す。
 3時過ぎに家に帰って、パソコンに今日の売り上げと写真のデータを入力したら、蕎麦粉の支払いに郵便局に出掛け、コンビニで牛乳とサンドイッチを買って家に戻り、遅い昼飯を食べるのです。やっとひと眠りの午後なのでした。1時間ほどぐっすりと眠って、夕食は女将の手料理で塩胡椒で味つけした鶏肉のカリカリ焼き。パンを食べたばかりの亭主はもう腹が一杯で、風呂上がりの焼酎を飲みながら、このブログを書き終えるのです。


10月22日 土曜日 曇り空、昨日までの賑わいは夢のよう …

 店の混んだ日の翌日は、いろいろとやることが多い。コロナ以前はそれが毎日だったから、あまり苦にもならなかったけれど、暇な時期が続いたからさあ大変と思うのです。6時前に蕎麦屋に出掛けて昨日の洗い物を片付けたら、まずは蕎麦汁の詰め替えで空になった蕎麦徳利に蕎麦汁を入れていく。週末は暖かくなるからお客が来るだろうと思って、出来ることは全てやっておこうと思うのです。暖かい朝だけれど、外は曇り空なのでした。

 昨日は天麩羅ばかりが随分と出たから、天麩羅の具材が一つもなくなったので、レンコンの皮を剥いてゆがいている間に、南瓜を切り分けてチーンする。生椎茸とピーマンとナスは容器に入るだけ用意しておくのです。7時を回っていたので、蕎麦豆腐は朝食後に来てからで好いだろうと家に戻って朝食を食べる。食後は今朝もひと眠りなのでしたが、30分ほどウトウトしたらもう出掛ける時間。今朝は蕎麦を二回打たなければいけなかったのです。

 蕎麦屋の前のバス通りに出れば、青空がかき消されてしまうほど雲が多くなっていました。向かいの畑が綺麗に耕されていたから、昨日の午後に仕事から帰ったお兄さんが、耕耘機で耕したらしい。お父さんの元気だった頃は、休耕地の隣の広い畑を含めて、ここは落花生の畑で家族揃って草取りに出ていたのです。秋になると沢山の「ぼっち」と呼ばれる山状に積み上げた姿が見られたものです。お兄さんもまだ勤めているから、田んぼだけで今は何も作らない。

 蕎麦屋に着くと、電線にスズメたちが止まって何やら朝の会話を交わしている。近づいていくと金木犀の木の枝の中からも何羽か飛び出していくのでした。微笑ましい光景だけれど、亭主はもう蕎麦打ちの事を考えている。昨日の蕎麦は売り切れたから、今日は二回打たなくてはならない。しかし、この天気ではとちょっと考えるのでした。晴れていれば暖かくはなると言うから、750gを二回と思ったのですが、二回目は500gで好さそうなのです。

 看板を出したら幟を立ててチェーンポールを降ろし、手洗いを済ませて蕎麦打ち室に入る。今朝は41%の加水で蕎麦粉を捏ね始めたけれど、どうもまだ生地が柔らかいのです。室温は18℃で、湿度は58%だから、間違いはないだろうと思ったのに不思議でならない。捏ねるのに力は要っても、もう少し硬めの方が、包丁切りの際にトントントンと調子よく切っていけるのです。二つの蕎麦玉を作って時計はとうに9時を回っている。寝かせている間に厨房へ戻る。

 葱も大根も生姜もなくなっていたので、この間にすべて用意してから一服です。その間にタブレットの天気予報を確認して、やはり今日は曇りだとがっかりする。気温は23℃までは上がるらしい。多少の期待は残るのです。開店までに2時間毎に更新される天気予報を、何度も見るのが最近の習慣になっている。再び蕎麦打ち室に戻って地伸しから四つ出し、本伸し、畳みを終えて、今日の蕎麦を切っていくのです。切りべら26本で140g前後の束を13束用意。

 10時を少し過ぎていたけれど、今日は女将が来てくれるから、店の掃除や細かな準備は彼女に任せて、大釜に火を入れたら、亭主は野菜サラダの具材を刻むのに専念するのでした。ちょっとだけ陽が差すこともあるのでしたが、空には厚い雲がかかっている。夏場の週末は四皿を準備していたのに、勢いを失って今日は三皿だけ盛り付けるのでした。木、金と三皿ずつ用意したけれど、昨日は一皿だけ残っただけで、持ち帰って家で夫婦で食べるのにも適量だった。

 サラダなど出さなければ30分は時間に余裕が出来ると、思うこともあるけれど、メニューにサラダを付けているものが多いので、もっと歳を取ってから考えようと思い直すのです。今日は暖簾を出しても1時間以上お客が来なくて、やはり天候のせいなのかと女将と話をしていたところ。1時前になってやっとリピーターのご夫婦がいらっして、なんとかゼロは免れた次第。県の感染予防対策事務局から電話が入って、閉店時刻に合わせて検査に来るという。

 女将を先に帰して、係員の来るのを待っていたら、9月と同じ人がやって来て、型どおりの質問をおえたら無事にクリア。二酸化炭素の測定機器があるかとか、客席のしきり板がないのかとか、それでなくても客の少ない小さな蕎麦屋には、そんなにお金をかける余裕はない。三組で満席にしていると亭主は応える。家に戻ってひと眠りしたら、足らなくなりそうな生椎茸やピーマンと豆乳に加え、キノコ汁のつけ蕎麦をつくるのにきのこ類を買いに出掛ける。

10月23日 日曜日 爽やかな風の吹いた午後 …

 暖かな朝でした。ゆっくりと目覚めて定刻に朝食。青空が広がって、風は涼しい秋の風なのです。朝ドラがない日なので、時間の感覚が違って、亭主は髭を剃って着替えを済ませたら、もう蕎麦屋に出掛けるのでした。家の珈琲が切れていたから、蕎麦屋に行ってからゆっくりしようと考えたのです。隣のコスモス畑では相変わらず賑やかに花を咲かせている。夕べ糠漬けを漬けたのを思い出して、朝の仕事を済ませたら、急いで厨房に入るのでした。

 時間的には少し長すぎるくらい漬けたのですが、塩を少なめにしておいて好かった。キュウリが少し小さかったので、六鉢しか用意できなかったけれど、他に二種類の小鉢があるので安心。蕎麦は昨日の蕎麦がほとんど残っていたから、今日は蕎麦を打たないことにするのでした。12食もあれば十分だろうと考えたのです。となると時間にかなり余裕が出来るので、昨日の夕刻に仕入れに出掛けて、買ったきのこ類を眺めながら、キノコ汁の作り方を考える。

 西側の小径を通って女将がやって来て、木槿の枯れ葉や亭主が枯れ葉剤で枯らした雑草を綺麗に掃いてくれたから、感謝感謝。隣の畑は綺麗に草が刈られているから、気が付いてはいたのだけれど、なかなか手が回らなかったのです。南側の狭い庭もしばらく手を付けていないから、来年は何か植えられるようにこの冬の前に草を刈って耕しておかなくては。身体を動かすのが億劫になったのか、毎日の活動に一つ余分に何かを加えるのが大変なのです。

 時間があったので、今日は野菜サラダを早い時間から作り始める亭主。昨日持ち帰った野菜サラダもまだ食べ終わっていないから、やはり夏場と違ってサラダを注文する人は少ない。それでも、カレーうどんや鴨南蛮に付けるから、今日も三皿だけ用意しておきました。果たして、ヘルシーランチセットで一皿が出て、単品でまた一皿が照る。今日は日曜日だからお客の出足が遅く、1時前から急に混み出して、まずまずのお客の入りなのでした。

 最後のお客は例によって女将の古くからの友人で、いつも1時半頃にいらっしゃる。洗い物を終えて奥の座敷で休んでいた亭主は、話し声が聞こえたので厨房に戻るのでした。彼女が帰って後片付けをしたら、女将がスマホを持って来たので、スポーツクラブのヨガの予約をしてやる。今日も昼飯を食べ損なった。家に戻ってすぐにコンビニに出掛けて、サンドイッチと牛乳を買って食べるのです。女将は早く昼を食べて蕎麦屋に来るから、夕食の時間が難しい。

 蕎麦屋の冷蔵庫に週末用と思って解凍してあったハラミとカシラが、ドリップが出始めていたから今日は家に持ち帰って焼いて食べる。ちょうど好い具合に焼き上がって、味は最高なのでした。具合の悪かったエアコンが今日は珍しく作動したので、寒くなるという明朝に向けて今日は運転したままにしておこうか。予備に用意してある石油ストーブも、古い灯油を入れたままだし、次から次へとやらなくてはならないことが現れるのに、行動が追いつかない。

 夜になって女将が亭主に、珍しくスマホで撮った写真を見せに来た。露出やズームの知識もない彼女なのですが、公園の空に出た鰯雲が綺麗に映っているではありませんか。広告のメールやメッセージが頻繁に届いて煩わしいと思う夫婦だけれど、スマホを持ち歩く習慣のない彼女も、少しは新しい時代のアイテムを使う気になるのだろうか。今日は暑すぎず涼しすぎず、爽やかな一日なのでした。明日は寒くなると言うから、蕎麦屋はどんな展開になるやら。

 

 

10月24日 月曜日 冷たい雨の降る中を …

 今朝は7時過ぎに女将に起こされた。夜中に雨の音で目が覚めてしばらく寝付けなかったが、3時過ぎにまた眠りに入ったら熟睡してしまったらしい。今朝は寒くなると思っていたけれど、エアコンが壊れていてもなんとか凌げたのです。それでも食事か終わると、女将もエアコンのある稽古場に引き上げてしまうし、亭主も珈琲が飲めないから、早めに家を出て蕎麦屋に出掛けたのです。玄関を出たら冷たい雨が降っていたから、車を出して店に行く。

 予報では曇りのはずだったけれど、午前中は店の前の道路が乾くことはなかった。看板を出し、幟を立ててチェーンポールを降ろしたら、まずはカウンターの洗い物を片付けながら、大釜に水を張るのです。それから冷蔵庫の中の蕎麦徳利を出して、空の徳利に蕎麦汁を詰めていく。珈琲を入れて飲みながら、今朝の段取りをじっくりと考える亭主。なくなっていた小鉢を盛り付けて、蕎麦は500gだけ打てば好いだろう。そして問題は野菜サラダの数なのでした。

 今朝の寒さからすると、単品でサラダの出ることはまずないけれど、カレーうどんや鴨南蛮、ヘルシーランチセットを頼まれたら、出さないわけにはいかないのです。蕎麦豆腐やデザートの蕎麦饅頭は用意してあるから、いつものように三皿盛り付けておこうか。そんなことを考えながら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打ち始める。昨日までの加水率の多さを反省して、今朝は41%弱で蕎麦粉粉を捏ね始めた。しかも計量カップに少し水を残しておいたのです。

 すると、水が足りないかと思いきや、水回しをしていくうちに、じわじわと水分が伝わってくる。室温は18℃、湿度は56%だけれどエアコンの暖房が効いているので、あまり当てにはならない。結局指先の感覚を頼りに捏ね上げて、ちょうど好い硬さになった。蕎麦打ちに慣れて来ると、急いで捏ね上げようと思う心が、やはり加水の多さに繋がるのかも知れないのです。蕎麦玉を作って寝かせている間に、厨房に戻って大根をおろしておくのでした。

 蕎麦打ち室に戻って、伸して畳んで包丁切りをすれば、切りべら26本で140g前後の束が五つ取れた。135gにすると、最後に5cmほど切り残しが出来てしまうのです。最近は、あまり切りムラを気にしなくなったから、気楽に打てるようになりました。上手く均等に切れるときもあれば、多少は太さが違った束の出来ることもあるのです。それが手打ちらしいと思えばストレスが軽減する。名人への道は遠くなるけれど、機械で切るのとはわけが違うのです。

 蕎麦打ちの台を掃除したら、前掛けの蕎麦粉を払いに玄関を出れば、雨は止んでいるのでした。昼の気温が14℃と言うから、かなり寒いはずなのに、暖房の効いた店の中にいたからあまり感じない。それでも厨房に戻って野菜サラダの具材を刻む頃には、窓を開けておけないくらい雨が吹き付けている。タブレットで佐倉市の天気予報を見れば、折りたたみの傘マーク。気象庁もずるいな。レタスを敷いてキャベツ、赤玉葱、パプリカ、ニンジンの順に載せていく。

 少し小振りになったのでまた窓を少し開けて換気の体勢。テーブルをアルコール出吹き終えた頃に、駐車場に車が入ってくる。開店時刻の10分前で、大釜の湯も沸いているから、暖簾を出して店の中に入っていただく。カウンターの奥に座って天せいろのご注文で、壁に掛けてある霊犀亭のいわれを読んで、「ご主人も書家なのですか」と言われて「いや、家内なのですよ」と応える。なんでも男性の奥様も謙愼に出品しているのだとか。今となっては懐かしい話。

 昼前にご家族連れでお客がいらっして、また皆さん天せいろのご注文だった。降ったり止んだりの雨の中をよくぞ来て下さったと、亭主は予想外の来客に喜んでいる。一人だとお客は少なくても洗い物と片付けがあるから、どうしても昼飯を食べる気になれない。今日もゴミ捨てや洗濯まですませて2時半過ぎには、持ち帰る荷物を車に積み、コンビニに行ってサンドイッチと牛乳を買って食べた。夜は持ち帰った野菜サラダとコンビニで買ったハラミで一献です。

10月25日 火曜日 真冬のような寒い一日で …


 午前6時の西の空にはまだ青空が見えていた。今日も寒い一日になりそうですが、少しでも朝焼けの見られたのを好しとしよう。寒さが尋常ではなかったから、灯油の入れ物を玄関の戸棚から出して近くの24時間営業のスタンドに寄ってこようと蕎麦屋に出掛ける。カウンターに干してある昨日の盆や蕎麦皿をしまって、洗いかごに伏せたままのボールやパッドを片付ける。ポットに湯を沸かして珈琲を入れたら、今日一日の段取りを考えながら一服です。

 国道沿いにあるスタンドの石油は、いつも買っている団地の中のスタンドより灯油が少し安いような気がした。家に戻って早速ストーブに灯油を入れて温まる。金曜日に修理の業者が来るというエアコンの暖房よりも、ずっとこちらの方が温まるのでした。子どもの頃は、朝早くに炬燵に入れる練炭をお袋様が火鉢で熾す間、寒さに耐えて我慢していたのをふと思い出す。用意された朝食に温かい豚汁が出てほっとする。さあて今日は仕入れに出掛ける日。

 ひと休みしたら洗面と着替えを済ませ、お茶を飲みながら出発の時刻を待つ亭主。石油ストーブが点いているので部屋の中はかなり温かいのです。外の気温は14℃で、まるで真冬のような寒さに感じる。お袋様を車で拾って農産物直売所へ行けば、やはりもう白菜が出ていた。今夜の鍋の具材にしようと、取りあえず四分の一だけ買っておく。里芋やニンジンも隣町のスーパーよりこちらの方が品が良いとお袋様と話しながら、次の店に仕入れに行くのでした。

 お袋様を家まで送って店に戻れば、調理台が朝のうちに用意した出汁取りの道具を置いたので使えなかったから、空いた場所に野菜を積み上げる。冷蔵庫に仕分けをしながら収納している間に、もう出汁取りの鍋には火を入れておく。一番出汁を取って蕎麦汁を仕込んでいる間に、後ろのガスレンジに大きな釜を沸かして、二番出汁を取る準備をしておくのです。40分ほどで出汁取りと蕎麦汁、天つゆの仕込みが終了して、家の買い物を持って帰宅するのでした。

 昼食は寒いので先週蕎麦屋で残ったけんちん汁を温め、蕎麦を茹でてつけ蕎麦にする。汁が温かくてなかなか美味しい。新しいメニュー用に盆と蕎麦皿は蕎麦屋から持って来て写真を撮っておいた。午後はすぐに床屋へ出掛けようと思ったけれど、女将のスマホと予約ノートが居間のテーブルに置いてあるのでした。2時5分の予約開始に、ログインして席を取らなければならないので、2時間も時間を潰さなければと、午前中の写真でこのブログを書いてしまう。

 昼寝もせずに、ヨーガ教室の希望の席を予約することが出来て、ひと安心。それから床屋に出掛けたから、随分と遅い時間なのでした。久し振りに顔を見た親父様は今日は無口で、あまり元気がないのでちょっと心配。帰りがけに、「家で採れた蜜柑だから」と袋煮一杯の蜜柑をくれようとしたけれど、今日は家の果物に蜜柑を袋一杯買って帰ったから、「他のお客さんに上げて」と言って断った。蕎麦屋に寄ったけれど、何かするにはちょっと時間が足りない。

 結局は、家にカシラとハラミの串刺しを持ち帰って、新しいメニュー表の写真を撮ることにしました。夕食のメニューは茸のたくさん入った鴨鍋で、最後にうどんを入れて汁まで啜る。塩味と醤油少しの味付けだったけれど、女将もとても美味しいと満足そうなのでした。テレビのニュースに二人でコメントをし合って、いろいろなことを語るのも、認知症予防には効果があるのかも知れない。明日は少し暖かくなると言うから、何から始めようかと考えるのです。


10月26日 水曜日 今朝はふたたび青空が広がった …


 天気予報では6時から晴れマークでしたが、日の出前に蕎麦屋に出掛けた時には、まだ少し雲が出ている様子なのでした。さすがに寒いので店のエアコンを点けて、厨房でまな板を敷いて筑前煮の材料を冷蔵庫から取り出す。鶏肉、蒟蒻は家から持って来たし、ニンジン、里芋、牛蒡はストックがある。干し椎茸は出汁を取った昨日の残りがあったし、レンコンも茹でたものが取ってある。鶏肉を半分だけ使って油で炒め、根菜類を入れて馴染ませる。

 少しだけ作るつもりでも、根菜の種類が多いから、いつも多くなってしまう。まあそれが筑前煮の好いところなのかも知れない。灰汁を取りながら10分ほど煮たら、薄口の出汁醤油と砂糖を入れて味つけをするのです。落とし蓋をして更に煮込んで、汁が少なくなったところで火を止める。これで今週の小鉢が一品出来上がったけれど、さあてもうひと品は何にしたら好いだろうか。夕方にぬか漬けを漬ければそれで二品だけれど、三品目が決まらないのです。

 家に戻ってもまだ6時半過ぎだったから、ちょっと床に入って横になる。ウトウトしたら女将が「ご飯が出来ましたよ」と起こしに来てくれて、時計を見れば7時過ぎ。寒い朝は具沢山の豚汁が有り難いのです。さすがに食後はひと眠りをせずに、今日は休日だからとテレビで映画を観る。昔懐かしいロバート・デ・ニーロ 、 トミー・リー・ジョーンズ 、 モーガン・フリーマンの出演する喜劇は最近の作品らしく、皆さんかなりの年齢なのでした。

 映画を見終えて蕎麦屋に出掛ければ、空は昨日よりもずっと晴れて青かった。隣の畑のコスモスが、毎日のように新しい花を元気に咲かせて、秋の深まりを思わせるのです。厨房に入って昨日の洗い物を片付け、蕎麦豆腐を仕込んだら、材料を用意しておいたキノコの蕎麦汁を作ってみた。蕎麦汁に鶏肉と何種類かのキノコを入れて煮込むだけなのですが、味は好いのだけれどちょっと見てくれが濃いのでお客に出せるか。塩味をベースに薄く作った方がいいのか。

 洗濯機の中の洗濯物を干して、乾いた洗濯物はカウンターの下に置いたままにして、昼飯を用意する時間だからと家に戻るのです。今日は久し振りにスパゲッティを茹でて、先週残った玉葱のスライスとキノコが沢山あるから、肉と炒めてミートソースと絡めたのです。市販のソースは味が濃いので、ちょうど好い味になって美味しかった。折角タバスコを出したのに、粉チーズを捜したりしているうちに、もう入れるのを忘れてしまったから世話はない。

 満腹になった午後は、書斎の窓から差し込む午後の陽を浴びながら、やっと昼寝の時間です。女将はその間にスポーツクラブに出掛ける。女将の帰るのを待って、亭主は蕎麦屋に行って午後の仕込みをするのでした。南瓜をチーンして明日の天麩羅の具材を用意し、蓮根の皮を剥いて酢水でゆがいている間に、椎茸の飾り切り、ピーマンや茄子を切り分けて、玉葱をスライスし、三ツ葉を刻む。使ったまな板を消毒している間に、蕎麦汁を蕎麦徳利に詰める。

 一番最後に、冷蔵庫から糠床を取り出して、キュウリとカブとナスを漬け込むのでした。時計は5時少し前。コンビニに寄って煙草を買ったらやっと家に戻り、車をガレージに入れるのです。気温の下がった夜は、肩ロースの肉を入れてキノコ鍋にしてもらう。昨日とは違って今日はご飯を入れておじや。夕食には珍しくアルコールはなし。昨夜は酔ってふらついた亭主がひっくり返って、居間の入り口のドアのガラスの小窓を割ったのです。怪我は軽症でしたが。