10月11日 火曜日 久々に秋の青空が広がって …

今朝は昨日大量に残った蕎麦を消化しないといけないので、亭主は責任上、肌寒い朝だからかけ蕎麦を食べるのでした。小鉢の野菜もすべて蕎麦屋の残り物。「蕎麦屋冥利に尽きる」と言いたいところですが、ちょっと寂しくもある。味は格別の出来なのですが、女将は納豆で白いご飯を食べている。食事を終えてひと休みしたら、天気が好いので、昨日の続きでムクゲの木の剪定を始めるのです。夏の前に剪定した高さまで切り戻して、30分ほどでもうお終い。

お袋様に電話をして、仕入れに出掛ければ、陽が差して段々と暖かくなって来た。8年使った店のエアコン修理を済ませたこと、20年も使っていた家の風呂釜を交換したことなどを伝え、人間と同じで古くなるとあちこちメンテナンスが必要だと、二人で笑うのでした。目も見えなくなるし、耳も聞こえなくなると言う話になって、悪いことばかりではないと前向きに考えようという話になる。農産物直売所に寄って、隣町のスーパーまで足を伸ばす。

お新香に漬けるカブだけは、まだ棚に並んでいなくて手に入らなかった。買い物を終えて、お袋様が「今日はいつもより値段が高かった」と言うから、「野菜も値が上がっているからね」と、自分も同じ感覚なのでした。それでも新鮮な大根が97円と、他に比べたら相当に安いのです。品物の新鮮さを吟味して買うのが大切です。店に戻って調理台に買った野菜を並べ、足りないものはないかと確認するのでした。今日はアスパラもちょうど好い太さなのでした。

空は本当に蒼い秋の空で、店の中はエアコンを入れる暑さなのでした。洗濯物を畳んで、洗濯機の中に洗ったままになっていた昨日の洗濯物を干しておく。今日はムクゲの剪定の続きが出来るかと、早めに家に戻ったのですが、やはり暑くなってきたので取りやめにしました。夕方少し涼しくなってから再開しようと思ったのです。書斎でパソコンに向かって今日の仕入れの金額を入力して、女将が沸かしてくれた鍋の湯が沸いた頃に台所に入る。

亭主は朝に続いて昼も蕎麦。それでもまだ三束ほど残っているから、明日の分を差し引いてもまだ余る。今日の夜は冬場に向けてけんちん蕎麦に挑戦してみようと、新しいメニューの作成に意欲を燃やす亭主なのでした。食後は女将が書を書いている間にひと眠り。夕方近くになって、ムクゲの剪定の続きを始め、やっと全部終わらせたのです。女将が出て来て切り落とした枝の袋詰めをしてくれました。亭主は蕎麦屋に出掛けてけんちん蕎麦の汁を作り始める。

10月12日 水曜日 20℃でも涼しく感じる今日この頃 …

定休日の二日目も、亭主はゆっくりと目覚めて外に出たら、昨日の木槿の剪定の後を眺めるのでした。左隣の南天の木がまた大きく伸びているから、これからの時期は、隣の金柑の実に陽が当たらないといけないとまた剪定。ついでに団扇サボテンの伸びた葉を切り落として、すっきりと通路を確保する。手伝おうと思ってはいたけれど、朝食の前に女将がこれらのゴミを捨ててくれた。朝の時間帯の彼女の活動力には頭が下がるのです。

朝食は茄子とピーマンの味噌炒めに、亭主が昨日試作したけんちん汁。これに蕎麦を付けて食べたらどうだろうと思ったのですが、汁そのものが今ひつだったので、これでは店では出せないのです。冬場に温かい汁で出せないかと考えたのですが、薄口の出汁醤油だけでは、どうも物足りない。やはり蕎麦汁を加えて濃い味にしないと、鴨せいろのように茹でた蕎麦を付けて食べるには今ひとつ。温かい汁で鴨南蛮のように出す事も出来るはずだけれど … 。

朝食を終えたら、亭主はまたテレビの洋画を観てまったりとしている。忙しくしている女将には悪いのだけれど、これが定休日の過ごし方で緩急自在の極意なのです。9時になったら蕎麦屋に出掛けて、まずは蕎麦豆腐をしこんで、午前中の仕込みの準備をするのでした。気分転換に隣のコスモス畑まで歩いて、曇り空の下で写真を撮って帰る。種がこぼれて育ったコスモスは、てんでばらばらであまり絵にならないのでした。店の厨房に戻って午前中の仕込み。

冷蔵庫の中に残っている食材を使って、南瓜の従姉妹煮と冬瓜の煮物を作る。小豆は煮上がるのに一時間はかかるから、その間に南瓜を煮て味つけをしたら、冬瓜も茹で上がって透明になるのです。小豆はゆで汁が減ってきたところで硬さを確認して、同量の砂糖を三回に分けて加えていきます。南瓜は身が崩れないように弱火で火が通ったら、竹串で確認をしてから火を止める。それぞれを冷ましたら、タッパに移して冷蔵庫に入れるのです。

11時を過ぎていたから、家に戻って昼食の支度をする。女将が大鍋に湯を沸かしてくれていたから、亭主は蕎麦を茹でて蕎麦座に盛り付けるだけ。よーく水を切って少しずつ盛り付けていくのが固まらない秘訣。食べるのが遅い女将の蕎麦は、ともするとくっついて硬くなるのです。二人分の蕎麦を茹でて、女将には少し減らして、100gぐらい、亭主は160gの蕎麦にして盛り付ける。蕎麦汁まできれいに飲み干して、満腹になった亭主は書斎に入ってひと眠りです。

その間に亭主は書斎で1時間ほどひと眠り。ぼうっとした頭で目覚めて、午後の仕込みのことを思うのでした。まずは昨日の仕入れ出てに入らなかったカブを買ってこなければと、隣町のスーパーに出掛ける。そのまま蕎麦屋に向かって、ジャンパーを脱いで厨房に入る。午前中に仕込んだ従姉妹煮と冬瓜の煮物を小鉢に盛り付け、天麩羅の具材の仕込みにかかるのでした。時折、雨の降る天気でしたが、明日もかなり雨が続いて寒くなりそうなのです。

レンコンの皮剥きをしたら酢水で茹でて、その間に南瓜を切り分けてレンジでチーンする。生椎茸とピーマンを切ったら、茄子に包丁を入れて容器に詰めてラップをする。玉葱を刻んで三ツ葉をサグ切りにして容器に入れてラップをする。4時半を回っていたので、最後にお新香を糠床に漬けるのです。まな板の消毒と洗い物を済ませて、まだ時間があったので、包丁研ぎを始める。僅か20分くらいの時間だったけれど、これが明日からの仕込みの準備なのです。

10月13日 木曜日 冷たい雨が降り止まない一日 …

寒い朝でした。外を見れば雨が降っている。予報では一日中雨マークが出て、気温は16℃ぐらいまでしか上がらないと言う。女将の用意してくれた朝食を美味しく食べて、今朝は朝ドラの終わる前に家を出るのでした。定休日明けの木曜日は、糠漬けを取り出して小鉢に盛り付けたり、薬味の葱を切り、大根と生姜をおろす作業があるから、ちょっと時間がかかるのです。蕎麦屋に着いたら、まずは幟と看板を出して、エアコンの暖房を入れたら、珈琲を一杯。

9時前に蕎麦打ち室に入り、41%の加水で蕎麦粉を捏ね始める。最近の気候を身体で覚えているから、加水もそれほど間違わない。しっとりとした生地に仕上がり、地伸しの段階で今日は好い仕上がりになるだろうと思っていた。本伸しを終えて八つに畳んだら包丁切り。切りべら26本で140g前後になったので、まずまずの仕上がりなのでした。やはり500gを打つよりは750gの方が、生地が均等に伸されて厚味が揃い易いのかも知れない。

厨房に戻って、寒い一日になりそうだからと、一年ぶりでデザートに蕎麦饅頭を作る。蕎麦粉と小麦粉を90gずつ計って、忘れてはいけないのが重曹を少々。これに氷糖蜜を加えて捏ねていくのですが、この分量が記憶にないから、同量にしてみたらまだ少し硬かったから、100ccまで増やして丸めては潰し、餡を包んでいく。クッキングペーパーを敷いた鍋の中に並べて、下段の鍋に沸いたお湯の上に載せ15分。ふっくりと仕上がった饅頭の出来上がりです。

隣の鍋ではブロッコリーとアスパラを茹で、今日の野菜サラダは二皿だけ作ることにするのでした。この雨と寒さでは、まずお客が来ることはないだろうと思っていたら、暖簾を出して昼前に、常連さんの女性がいらっしゃった。いつもバイクでやってくる方なのでしたが「今日は寒いわねぇ」と暖かい蕎麦を食べたいと言うので、昨日作って夜中に試食したけんちんつけ蕎麦を勧めてみたのです。これが好評で味も好いと言うから嬉しかった。

昼を過ぎた頃に、バス通りをお袋様のマンションの方から、例の少年が歩いて来るのが見えた。亭主はすぐに天麩羅油に火を入れ、カルピスを作ってバームクーヘンの用意をする。海老を一本揚げたら、蕎麦を茹でて出してやる。辛いのが好きだといつも唐辛子を沢山振りかけて食べるから、最近は山葵を少し薬味皿に盛って出してやるのです。野菜は出しても食べないから困ったものなのです。これで12時半を回ったけれど、その後はお客の姿は見えない。

1時になったら雨の止んでいる間に女将がスマホを持ってやって来る。今日は1時半にスポーツクラブの予約があるのです。客がいないから好かった。その分、後片付けも手伝ってくれるから、亭主は楽なのです。天麩羅を揚げて賄い蕎麦も食べられた。家に戻ってパソコンに今日の売り上げと写真のデータを入力して、亭主は夕刻までひと眠り。薄暗くなった時間に目が覚めて食堂に行けば、今日残ったサラダを盛り付け、鶏の手羽先を塩で焼いてもらって一献。

10月14日 金曜日 肌寒い曇り空だったけれど …

今朝も小雨が降っていたので、朝飯前のひと仕事に車で出掛ける亭主なのでした。何度も試作を繰り返して、蕎麦に浸けるけんちん汁を考えていたから、今朝は少しまとまった量を作っておこうと、意気込んでいたのです。目標があると早朝の仕事も嫌にならずに、頑張って食材を刻んでいくから、人間って不思議なものです。大根ニンジン、里芋、牛蒡、蒟蒻、シメジ、豆腐、肉と食材を煮込みながら、味つけをしていくのですが、これが一番の問題なのです。

作った汁は既に冷凍して保存出来ると実証済みだから、冷凍する段階では薄口の出汁醤油で味を付けておけば好い。これに前回は蕎麦汁を足して煮込んだだけなのですが、冷蔵庫の蕎麦汁はもう今日明日の分しかない。そこで甕に入れてある返しを加えてみたのですが、この分量が多すぎたのか、かなり味が濃くなった。考えたら、蕎麦汁は一番出汁と返しを合わせて作るのでした。慌てて砂糖を入れたら今度は甘くなりすぎて、修正するのに時間がかかった。

朝食の支度が出来た家に戻れば、今朝は珍しく親子丼でした。寒い朝に暖かい食べ物は有り難いのです。店で残った三ツ葉もちゃんと使われている。これに味噌汁と小鉢二つが付いて、最近の亭主の朝食には十分な量なのです。食後もひと眠りをせずに、朝ドラの時間が終わる頃に蕎麦屋に出掛ける。今朝は昨日残った蕎麦があるので、500gだけ打てば足りるから、あまり慌てることはないのです。今朝は41%強の加水で、50cm幅に広げて本伸しが出来た。

最近の天気予報はあまり当てにならないから、雨上がりの駐車場に幟を立てて、いつもの通り野菜サラダの具材を刻み、今日は二皿だけ盛り付けておく。暖簾を出してしばらくしたら、車が入ってきて男性客お一人のご来店。天せいろのご注文で、カウンターの隅で静かに食べて帰られた。その後、ご夫婦連れのお客が二組、ぶっかけ蕎麦の温かい汁を頼まれたご夫婦には、けんちん蕎麦もありますよと言えば、ご主人が注文なさって美味しいとおっしゃる。

他にお客はいなかったので、店の開業の時期や名前の由来などを聞かれて、話をするのでした。次ぎにいらっしたご夫婦はとろろ蕎麦と天せいろのご注文。天気の悪い平日にしては珍しくお客が続いたのです。しかし、それも前半だけで、やはりコロナは勿論ですが気温が低いからなかなか客足は伸びない。今日は女将も手伝いに来てくれない日だから、亭主一人でゆっくりと洗い物を済ませる。帰り道、店から50m程のバス停の蕎麦のお宅の柿の木を写真に撮る。

10月15日 土曜日 少し気温の上がった週末だからか …

新メニュー開発中のけんちん蕎麦の仕込みに、今朝は5時起きで5時半には蕎麦屋に着いた。冷蔵庫の中をチェックしたら、昨日は意外とお客が入ったせいか、蕎麦汁が残り少なくなっているのでした。まずは出汁取りの準備をして、一番出汁のストック分で蕎麦汁を仕込んで、残りの火口でけんちん汁の汁を作る。昨日残った汁の中に、冷凍保存してある具材を入れて、出汁醤油を加えて煮込めば終わり。定休日に仕込みを済ませれば五日間の営業は出来る計算。

家に戻って食卓につけば、今朝は豪華なおかずが顔を揃えているのでした。最近の亭主の食べる量からすると、ちょっとおかずか多すぎる。大食いだった若い頃を記憶にとどめている女将は、このくらい出さないと亭主が文句を言うと思っているらしい。器の配色や形状も工夫してあるから、朝早くにひと仕事に出掛けた亭主を労う意味なのかと思った。食後にテレビの映画チャンネルを点ければ、チャールストン・ヘストンの「十戒」をやっていた。

同じ監督が、二回目の同じ作品を撮ったらしいのですが、「出エジプト記」を題材にした、モーゼの生涯を描いた見所のある映画なのです。リバイバル上映で恐らく父と映画館に観に行ったらしく、海が割れて人々が逃げる場面が印象に残っていたのです。学生の頃に世界史にとても興味があったのも、父親の与えてくれた書物やこうした映画作品の観賞に寄るところが大きいのかも知れない。高校の頃に聖書は面白いぞと言われて読んだのを覚えているのです。

9時前までテレビ映画に見入って、雨上がりの道を蕎麦屋に歩いて出掛ければ、向かいの畑の休耕地に雑草が生え広がっていた。近隣の農家の人々はこの様子をあまり好ましいとは思っていないらしい。何百年も続いている農地を冒涜していると考えるのだろうか。わずか何十年前だけれど、大手の開発業者が昔の山林や農地を団地に変えて、私たちが住みついたのだけれど、土地を大切にすると言う意識は、学ぶべき点が多いのかも知れない。

今朝は750gの蕎麦を一回打って、昨日の残りと合わせて14食を用意した。気温は昨日とあまり変わらないけれど、今日は湿度が高かったので、加水率は42%弱で生地を作った。野菜サラダは週末だからと三皿だけ盛り付けておきました。包丁を研いだばかりなので、キャベツもニンジンも面白いように細く切れる。少し暖かかったせいか、暖簾を出したら次々とお客が入ってくる。今日もけんちん蕎麦が出て、「美味しく頂きました」と言われたから嬉しい。

リピーターの親父様は焼酎の蕎麦湯割りを頼まれて、お替わりまでされたから厨房は忙しいのでした。他のお客の注文の品を作っている間に、やれ串焼きだ蕎麦豆腐だと頼まれるのが、嬉しくもあり飲めば話もするからその対応が大変なのです。1時過ぎにやっと一段落して「ご免なさいお蕎麦売り切れです」の看板を出し、洗い物をし始めたら、駐車場に車が入ってくるではありませんか。生舟にはあと四束の蕎麦があったので、女将に言って店に入ってもらう。

今日もけんちん蕎麦の注文があったから、ホワイトボードに書くだけではなく、そろそろ正式なメニューに昇格させても好いかも知れない。お客に認められるのが一番。最後のご夫婦は二人とも鴨せいろのご注文で、天麩羅の具材や天つゆの鍋も片付けてしまったから、ちょうど好かったのでした。「鴨肉が多くて嬉しかった」「ご主人のブログを読んで来ました」と言って冷凍の蕎麦饅頭をお持ち帰りになられた。夜は半年ぶりで防犯パトロールに参加する。
10月16日 日曜日 珍しく二日続けて混んだ蕎麦屋 …

午前5時半はまだ夜明け前で、今日は晴れそうな空なのでした。昨日の売り切れで蕎麦も蕎麦汁もなくなったから、今朝は朝飯前に出掛けてひと仕事。カウンターに干しておいた昨日の洗い物を、片付けるだけでも時間がかかるのです。小鉢を盛り付け、浅漬けを漬け込んで、蕎麦豆腐を仕込んでおきます。あっという間に時間が過ぎて、もう7時近くになっていました。青空が広がるのかと思っていたけれど、雲がかかって陽が差すどころではなくなった様子。

家に帰って朝食の食卓に付けば、「天気予報では晴れと言っていたのに」と、女将が大きな洗濯物をどうしようかと不満そうなのでした。確かに亭主もデータ放送で、午前中は晴れると言う予報を見ているのでした。それでも気温は少し上がると言うから、今朝は蕎麦を二回打たなければいけないと、早めに家を出るのです。ゆっくりと歩いて蕎麦屋に着いたら、隣の畑のコスモスが元気に花を咲かせているので、気になって写真を撮りに行く。

毎朝、沢山の花がシャンとしているから不思議です。元気を貰って蕎麦屋に帰り、看板を出して幟を立て、チェーンポールを降ろしたら、早速、蕎麦打ち室に入って今朝の蕎麦を打つ。加水率は42%弱で750gと500gの蕎麦玉を二つ作ったところで、ビニール袋に入れて寝かせておくのです。その間に厨房に戻り、今朝漬けておいた浅漬けを取り出して、水気を切りながら小鉢に盛り付ける。他の小鉢と合わせて14鉢もあれば足りるだろうと考えていた。

蕎麦打ち室に戻って二回分の蕎麦を伸す。加水の段階から好い具合だったので、包丁切りも綺麗に終わって、無事に生舟に蕎麦の束を並べ終えるのでした。いつもより多少時間がかかったから、10時を10分ほど過ぎていた。厨房に戻って、野菜サラダの具材を刻む。湿度が70%以上もあるせいか、気温は23℃と低いのに汗ばむ陽気なのでした。こんな日は、野菜サラダも出るかも知れないと、久し振りに週末の四皿を用意したのです。暖簾を出せばすぐにお客さん。

各週毎にいらっしゃるカレーうどんの親父様と、奥様は今日は鴨南蛮蕎麦。調理をしている間にもう次のお客が入って、日曜日なのに早くから忙しい。歩いていらっしたお客の方が多かったのです。カウンターに座った女性客が天せいろを食べてお帰りになれば、やっと一段落で洗い物と片付けに終われる夫婦。じきに後半のお客がいらっして、ビールも頼まれ、また厨房は忙しくなる。最後のお客はリピーターの方らしく、鴨せいろを頼んだ奥様が冷凍した蕎麦饅頭を全部持って帰られた。外は晴れ間が出て暖かな陽射しでした。

10月17日 月曜日 雨の降り止まぬ一日で …

今朝も4時半には目覚めて、珈琲を一杯飲んだら、明るくなるのを待って蕎麦屋に出掛けました。昨日も混んだから、小鉢がないのです。夕べはもう疲れて糠漬けを漬けに来る元気がなかったので、今朝も安易に浅漬けで勘弁してもらう。細かな雨が降り続き、道は濡れているのでした。残った野菜をかき集めて、漬けもの器に入れて浅漬けの素を入れ、重しをかけて置くだけで、3時間後には小鉢に盛り付けられるから、とても便利ではあるのです。

4㎞近くの道程を歩く夜の防犯パトロールに久々に参加したら、二日経ってやっと筋肉痛になった。右足の親指が変形したままだから、まだ多少足を引きずるので、不自然な歩き方をしているのでしょう。パトロールの人たちも気づかってくれたので、なんとかこなしたけれど、正常に戻る日が来るのだろうか。朝食を終えて蕎麦屋に出掛ける道すがら、そんなことを考えながら歩く。今朝は歩道に咲いている鶏頭の花を写真に撮ってやろうとシャッターを切る。

蕎麦屋に着いて朝の仕事を済ませたら、窓を開け放って蕎麦打ち室に入る。気温は23℃、湿度は75%。暖かいと感じるのは気温よりも湿度が高いからなのでしょう。加水率42%で、少し柔らかめだったけれど500g5食分の蕎麦を打つのでした。生舟には、昨日打った蕎麦が6食分だけ残っていたけれど、これで営業を始めるのはちょっと心配なのでした。合わせて11食分の蕎麦を用意して、お客が来なければ自分で食べるほかはないと覚悟しているのです。

それでも天気予報では気温が少しは高くなると言うので、野菜サラダも三食分盛り付けて、開店の時刻を待つのです。デザートには冷凍保存の効く蕎麦饅頭を作って、11時過ぎには蒸し上がるように準備をしておきます。外は曇り空で何時の間にか雨まで降っているから、寒くはないけれど今日は道路が乾くことがなかったのです。タブレットで雨雲レーダーを見れば、今日はずっと雨雲がかかっているので、あまり期待が出来ないことが分かる。

それでも饅頭が蒸し上がれば嬉ししくて、もっと寒くなれば食べてしまいたいほど美味しそうなのです。今週はけんちん蕎麦をメニューに加えて、お客にも食べてもらったけれど、やはり五日間の営業には向いていないらしく、火を入れる度に野菜が煮崩れて味が濃くなるのです。親子丼をやっていた時のように、小分けにして冷凍しておくのが一番好いかも知れない。蒟蒻は冷凍すると食感が変わってしまうから、食べる直前に火を通すのが好い。

お客が来ないことを好いことに、けんちん蕎麦を作って試食してみたのです。やはり、作ったばかりの時より味は濃いし、見てくれも好くないから、がっかりしました。雨が降り止まないので、今日は持てるだけの荷物を家に持ち帰る。エアコンの修理代の請求書がやっと届いたので、コンビニに支払いに出掛ける。そのついでに蕎麦屋に寄って、残った食材を車に積んで家まで運んだのです。夜は早速、残り物の処理で、ハラミとカシラの串焼きが美味しかった。

10月18日 火曜日 暗い朝 …

夕べも定休日前だというのに10時半には床に就いた。今日の仕入れの一覧票も印刷したし、今朝は子ども会の廃品回収の日だから、早い時間に蕎麦屋に行って、新聞紙と段ボールを束ねなければと、考えながら床に横になったらすとんと寝入ってしまう。5時前に寝覚めてみれば外は雨。明るくなったら出掛けようと思ってお茶を飲んでいたら、いつまで経っても暗い朝なのでした。また床に入れば眠れるとは思っても、一日が短くなると気を取り直して家を出る。

暗いから部屋や廊下の電気をすべて点けて、奥の八畳に積んであった段ボールを潰してビニルの紐で縛る。店で取っている新聞は朝刊だけだから、ひと月分だとそんなに量はないのです。これを車のトランクに載せたら、今度は乾いている洗濯物を畳んで、洗面所に行って洗濯機の中の洗濯物を干す。昨日はお客がなかったけれど、布巾類と一週間が終わったから前掛けや制服も洗っておくのです。6時半を過ぎて、やっと家に帰って車の荷物を指定の場所に置く。

昨日は天麩羅を揚げて帰ってこなかったので、天麩羅の具材がそのまま残っていた。それを女将が上手に使って茄子とピーマンの味噌炒めを作ってくれた。掻き揚げ用の玉葱と人参に豚肉を加えたから、かなりボリュウムがあるのでした。それと店で残った小鉢を合わせて、おかずはもう十分。蕎麦も沢山残っていたけれど、こちらは今日の昼から少しずつ消化していくしかない。30分ほどひと眠りしたら、お袋様に電話をして小雨の降る中を仕入れに出掛ける。

農産物直売所も雨の降る日は農家が野菜を持ってくるのが遅い。昨日の野菜が随分残っていたけれど、綠の葉が付いたカブと小松菜は今朝届いたものらしく瑞々しいのでした。ニンジンや里芋、キャベツも籠に入れて会計を済ませる。隣町のスーパーにも行って、残った食材を買い足すのがいつものこと。お袋様も亭主が沢山の買い物をしている間に、ゆっくりと店内を見て歩くのです。いつも混んでいるレジも雨の朝だからか比較的空いていました。

先週は鴨せいろが随分と出たので、小松菜を茹でておこうと大鍋に湯を沸かす。小さなタッパに二回分ずつ詰めて冷凍しておくのですが、お湯が沸く間に出汁取りの準備をしようと思ったら、干し椎茸と昆布を買ってくるのを忘れたのに気が付いた。買い物リストに印刷するのを忘れていたらしく、気が付かなかったのです。買い物の途中で一度チェックをするから、メモに載っていれば忘れることはないのですが、午後からまた出掛けて行かなくてはならない。

魚や肉や果物など、家の買い物を沢山持って家に戻れば、女将が「重すぎて一度には運べない」と言う。亭主が今日の食材の買い物データをパソコンに入れている間に、買い物を冷蔵庫に収納した女将が、蕎麦を茹でる鍋に湯を沸かしておいてくれる。昼食の支度は亭主の仕事だから、寒いのでけんちん汁の残りを温めて、けんちん付け蕎麦にしました。野菜がたっぷりで、多少に崩れてはいたけれど味は美味しい。残った蕎麦の数を数えたら気が遠くなるのです。

午後は酒屋へ出掛けて少なくなったビールをケースで買い求め、ついでに焼酎も買ったら、隣町のスーパーに再び出掛けて、干し椎茸と昆布を買って蕎麦屋に戻るのでした。明日の出汁取りの準備をしたら、切り干し大根の煮物を作り始めるのです。4時半過ぎに家に帰って夕飯の支度を待てば、テレビは国会中継だから間が持たない。やっと焼けた手羽中とサラダをつまみに、今日一日を慰労して焼酎を飲むのです。今日買って帰った鰯のフライも出て来た。

10月19日 水曜日 随分と冷えてきた朝 …

夕べも10時半には床に入ったのに、今朝は6時過ぎまで目が覚めなかった。思ったより朝が寒かったので、暖かい床の中が気持ちが好かったのです。車を出して蕎麦屋まで行けば、ちょうどお隣のご主人が出勤する時間なのでした。今朝の仕事は昨日から昆布と干し椎茸を浸けておいた鍋に火を入れて、一番出汁と二番出汁を取る事です。いつもより少し遅い時間だったから、強火で鍋を温めて沸騰する直前で削り節を入れて灰汁を取る。

2リットルの一番出汁に返しを600cc加えて火にかけたら、干し椎茸と昆布を入れて後ろのレンジで火にかけてあった5リットルの鍋に、出汁を取り終えた削り節を入れ、沸騰直前にもう40gだけ新しい削り節を入れる。追い鰹で少し多めに二番出汁を作っておくのです。最近は寒くなってきたから温かい汁をよく使う。足りなくなっても二番出汁だけを作る事は出来ないから、多めに作っておくのです。7時を回っていたから、水に冷やしたまま家に戻る。

台所では昨日買って帰った鰯を女将が蒲焼きにしてくれていた。小鉢が並んで味噌汁とご飯が運ばれ、今朝も有り難く朝食を頂く。食後の一服をしたら、洗面と着替えを済ませ、書斎のパソコンに向かって、筑前煮のレシピの確認をしておく。小鉢の二品目にと思って、材料は昨日のうちにすべて揃えてあったのです。ネットの天気予報やニュースを見て、今日の段取りを考える亭主。夕刻にはまた防犯パトロールがあるので、それまでが勝負なのです。

朝食後はいつものひと眠りもせずに、買い忘れた綠の野菜を求めて近くの農産物直売所に寄ってから蕎麦屋に向かう。やはりこの時期はインゲンが出ていた。茹でて筑前煮に添えようと買って帰る。厨房に入ってまな板を取り出し、レンコンと牛蒡を切って下茹でをしておく。次は里芋を六方に剥いてさらに半分に切ったら、これも火を通して笊に取る。出汁を取った残りの干し椎茸を切って刻み、蒟蒻を茹でて水を切つたら、ニンジンを刻んで準備をする。

最後に生もの用のまな板を出して鶏肉を少し小さめに切り、中華鍋に油を引いてまずは鶏肉を炒める。色が変わってきたら根菜類を入れて鶏の油を絡ませる。野菜に火が通ったところで干し椎茸と里芋を加え、全体が色よく炒められたら出し汁を入れ、出汁醤油と砂糖で味付けをするのです。中火で落とし蓋をして約10分、味見をしながら中華スプーンで全体をかき混ぜて、汁が少なくなるまで弱火で煮詰める。一年振りだったから丁寧に時間をかけて作った。

11時を過ぎていたから、洗い物を済ませ、味見の筑前煮を小さなタッパに入れて家に帰る。女将が小鉢を盛り付け、蕎麦を茹でる湯を沸かしておいてくれたから、亭主はとろろ芋を擦って蕎麦を茹でるのです。持って来たばかりの温かい筑前煮も鉢に盛られて、豪華な昼飯となりました。亭主は昨日の夜食にとろろ蕎麦を食べたけれど、まだ蕎麦が残っているから、今夜で終わりにしようと考える。午後はパトロールの時間まで、仕込みの続きをしなければ。

明日は相当に冷え込むと言うから、お新香は明日の夕方に漬けることにして、けんちん蕎麦の汁を作るのが午後の課題。デザートには冷凍の蕎麦饅頭があるし、蕎麦豆腐も月曜日に仕込んだのを使える。そして天麩羅の具材を切り分ければ終わりだからと、午後はゆっくりと昼寝が出来るのでした。それでも30分も眠ったらもう目が覚めてしまうから、このブログを書いて女将がスポーツクラブから帰るのを待つ。やっと陽が差してきた。窓辺は暖かくなった。

明朝は10℃を切る寒さになると言う。晴れて放射冷却の到来なのです。寒い陽気で蕎麦屋にはどれだけお客が来るのか。粛々と明日の支度をしながら、無事にけんちん汁も作って、野菜サラダの具材も切り分けた。家に味見のけんちん汁を持ち帰って、亭主は夜の防犯パトロールの支度を始める。10人ほどのメンバーが集まり、今日も亭主の足を気づかってくれて、楽なコースを割り当てられる。片足を多少引きづりながらも、歩き終わって汗をかくのでした。
