2022年9月末

9月26日 月曜日 雲一つない青空の広がる秋晴れの日 …

 6時前の東の空に、蕎麦屋の向かいにある森の木々の間から、朝日が昇ってきました。雲一つない空で、今日も好い天気になりそうなのです。今朝の朝飯前のひと仕事は、昨日の洗い物の片付けと、蕎麦汁の詰替え、そして洗濯物を畳んで干しての繰り返し。昨日残った生舟の蕎麦を確認して、今日は蕎麦を打たないと決めた。蕎麦粉が足りないかと心配したのですが、嬉しくはないけれど上手い具合に今日出す分の蕎麦が残ったのでした。

 今週残った一番出汁と二番出汁を容器に入れて、家に持ち帰ったけれど、「今朝はレタスと若布のスープにします」と女将に言われる。古い食材から確実に食べて行くには、彼女の指示に従うほかはないのです。蕎麦屋で残った物を家に持ってくるのは好いけれど、廃棄をせずに最後まで食べるには、その管理をする必要がある。お客がたくさん入るときは好いけれど、先週のように当てが外れて、いろいろ残ると亭主には何が先だったかもう分からないのです。

 先週、亭主が味見に蕎麦屋から持ち帰った冬瓜の煮物はほど好い味で、ホッケの照り焼きと相性が良かった。シラスおろしも昨日の大根の残り。レタスと若布のコンソメスープーも十分に美味しい。満足して食事を終えたら、例によって書斎に入ってひと眠り30分。今日は天気が好いから、シーツの洗濯をしたいと思っていた女将には悪かったけれど、すっきりとした頭で玄関を出る亭主なのです。カッシアの花の手前に今年も金柑の実がびっしりと付いていた。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、あまりにも好い天気なので奥の座敷から風呂場や洗面所まで、全部窓を開けて風通しをする。最近、掃除機をかけていないので、小さな蜘蛛の巣が張っている。八畳間は、去年、親類が集まった時のままで、家から運んだ大きなテーブルを片付けていない。襖を開けたままの押し入れには、布団が入ったままだけれど、前に家が建ってからは干す機会がない。布団干しの道具を買いたいとは思ってもなかなかチャンスがない。

 南側の庭も手つかずだし、考えたらやることが多すぎて、亭主一人の力では手に負えないのは年齢のせいか。厨房に戻って、今日の大根をおろして野菜サラダの具材を刻み、平日だからと三皿だけ盛り付けておく。天気が好いから、もしかしてサラダが出たりするのではないかと期待するのです。朝は涼しいのですが、昼になるに従って気温も上がってくるから、エアコンを入れたけれどフイルター掃除の表示が出て、作動しないから困った。

 掃除を始めると客席が汚れるから、開店前の時間ではちょっと間に合わない。窓を全開にして、今日は涼しい自然の風で切り抜けるしかない。かくして暖簾を出せば、昼を過ぎてもいっこうにお客は来ないのでした。二週続けての連休の後なので、外食を控える人たちも多いのかも知れない。空は雲一つない秋晴れで、亭主にしてみれば絶好の蕎麦日和なのに、いつまで待ってもお客は現れなかったのです。コロナも収まらず、今日は救急車の通るのを三回も見た。

 1時半になったので、今日の分として用意した天麩羅の具材を、揚げて家に持ち帰る準備を開始する。茄子とピーマンはそのままビニール袋に入れて味噌焼きの材料になる予定。用意した小鉢も蕎麦豆腐も今週は出が悪かったので、タッパに入れて全部持ち帰る。結局、蕎麦もそのまま持ち帰って定休日の昼飯になるのです。それでも食べきれない分は、明日、お袋様に持っていってもらおう。洗い物もほとんどないから、今日は女将よりも先に家に帰った。

 今日は20年も使った風呂釜の具合が悪いからと、メーカーから人が来る日なのでした。果たして、古すぎてもう修理する部品もないと言うので、新しく付け替えてもらうことにした。家を建ててから三回目の交換です。日本製だからここまで使えたのだとか。大相撲も終わって、夕刻は少し寂しい静けがさ漂う。昼を食べていなかったのに気が付いた亭主は、早めに夕食にしてもらうのでした。当然のことながら、蕎麦屋で揚げて持ち帰った天麩羅がおかずです。



9月27日 火曜日 今日も爽やかに晴れた一日でしたが …

 7時間も眠ったのになかなか起きられない朝でした。室温は23℃だったのにとても寒く感じたのは、涼しい陽気になれてしまったからだろうか。ジャージの上着を着て食堂に入れば、夕べ女将と話しておいた蒸し野菜が出ていた。蕎麦屋で残った野菜サラダをどうやって食べようかと二人で話し合ったのですが、結局、涼しければ蒸し野菜ということになったのです。小鉢の冬瓜の煮物も、茄子の味噌汁もすべて昨日の残り物だから有り難いのです。

 食後のひと眠りはさすがにしなかったから、自分で珈琲を沸かしてひと休みしたら、お袋様との仕入れに出掛ける前に、蕎麦屋に寄って洗い物の片付けを済ませるのでした。店のエアコンのフィルター掃除がまだ終わっていないから、仕入れを済ませたらまずはそこから始めないとと思うのです。農産物直売所に行けば、今朝はあまり野菜が並んでいないから、ニンジンや茄子を買っただけて帰ろうと思ったら、知り合いの農家の親父様が野菜を持て来たのです。

 「オクラがいつも美味しいよ」と言えば、「今日も朝採ったばかりだよ」と言うのでもらって帰る。切り口の綺麗なオクラは五日間の営業には十分に耐えるのです。それでも今週でもう終わりなのだそうな。季節は変わるから仕方のないこと。天麩羅には使えないけれど、里芋がそろそろ出てくるのだろうか。筑前煮の季節なのかも知れない。スーパーの野菜もだんだんと北の地方のものが増えて来て、アスパラも今日はメキシコ産なのでした。

 みんな少しずつ値段が上がっているから、レジで会計をするときに随分と高いなと感じるほどなのです。コロナ以前なら9月はお客の多い時期なのに、なぜかお客の少なかった今月は、蕎麦粉を二回頼んだり、沢山の醤油類が届いたりして、売り上げよりも食材費の方が多かった。10月からは海老や胡麻油の値段も15~20%も値上がりする。明日からは、県内の市町村の感染者数が発表されないと言うけれど、それが好いのか悪いのか、亭主には分からない。

 昼は昨日揚げて帰った天麩羅の残りをグリルで焼いて、豪華な天せいろを夫婦で食べる。午後は女将のスポーツクラブの予約があったので、2時過ぎまでは家に居なければならなかったのです。前総理の国葬の中継があったから、夕刻までテレビの前にいて、葬儀の当日に反対派の集会があったりで、ひと昔前とはやはり時代が違うのでしょう。蕎麦屋に出掛けたのは遅い午後でした。まだまだ昼は暑くなるから、最初にエアコンのフィルターを掃除するのでした。

 ところが、普段は自動掃除で便利なエアコンも、ゴミや埃が溜まると大変で、全部、分解して綺麗にしなければならないから、カレーの仕込みも冬瓜の下茹でも出来ずに夕方になってしまう。リモコンに出るフイルター掃除の小さなサインは、目の悪い亭主にはなかなか見つけられなかったのです。家に帰って女将に話せば、彼女も今日は稽古場のエアコンのフィルターを掃除したのだという。夕食は女将の作った大根の煮物がメインで、後は蕎麦屋の残りもの。

 明日は朝から忙しくなりそう。月末なのに肝心の床屋にも今日は行けなかったけれど、その分ゆっくりと出来たのは好いのかも知れない。涼しい朝と陽射しの強い昼とが続く毎日で、長袖と上着と半袖を着替えるのに忙しい。明日の予定は、まずは朝飯前のひと仕事で、カレーを仕込み、冬瓜の下茹でをして、8時半の半の床屋の開店に合わせて親父様に髪を切ってもらおう。冬瓜の煮込みを作ったら、小鉢の二品目に煮た小豆が残っているので従姉妹煮を作ろう。お新香は漬けずに三品目に揚げ浸しを作っても好い。

 


9月28日 水曜日 今日も秋らしい陽気で …

 6時過ぎに蕎麦屋に出掛ければ、駐車場に隅にある金木犀の甘い香りにふと足を止める。昨日分解して水洗いをしたエアコンのフィルターは、すっかり乾いたので今朝は取り付け作業を始めた。すべての部品を元あった通りに戻して、コンセントにプラグを入れて、リモコンのスイッチを入れてみたところ、運転の綠のライトが点滅してしまう。何処か不具合があるようなのです。何回か繰り返しても同じ状態なので、家に戻って取扱説明書をダウンロードする。

 女将の用意してくれた朝食は、例によって先週の蕎麦屋の残り物でした。残ったキュウリは糠味噌に漬けて、天麩羅の最後の残りも煮付けて、様々な工夫をしてあるのが涙ぐましい。亭主はとろみを付けてある冬瓜の煮物を、ご飯にかけて美味しく頂くのでした。今朝は後の予定が詰まっていたから、床屋の開店の時刻に合わせて、親父様の顔を見に出掛ける。今朝は先客もいなかったから、すぐに髪を刈ってもらって、そのまま蕎麦屋に行ってエアコンの様子見。

 取扱説明書を見ながらもう一度エアコンを分解して組み立ててみる。幸いに今日は涼しいからエアコンは使わないですんだけれど、何遍やっても運転を開始しないから困った。もう一度取扱説明書を熟読して、それでも解決しなければ、いよいよカスタマーセンターに連絡するほかはない。家の居間のエアコンも同じような経過を辿ったのですが、こちらは最後にもう一度フィルターをセットし直して、今は無事に運転しているのです。何が問題なのか不思議。

 11時半になったので家に戻って昼食に蕎麦を茹でる。今日はやはり店で残ったとろろ芋をおろしてとろろ蕎麦。女将の作った大根と鶏肉の煮物も、柔らかくて美味しかったのです。蕎麦はしっかりと茹でたお湯を残しておいて、蕎麦湯まで飲み干す亭主。蕎麦が大盛りだったから、満腹になってひと眠りしたいところなのでした。でも、昨日考えた予定はエアコンのフィルターのお蔭で、どんどん遅れているから、すぐに蕎麦屋に出掛けて仕込みを開始する。

 冬瓜の皮を剥いて大きな賽の目に切ったら下茹で。15分ぐらいは茹でるから、厨房の椅子に座って、次の段取りを考えながらひと休みする。カレーに入れる具材を用意しながら、デザートの水羊羹を先に仕込んでおかないと、冷えて固まるまで時間がかかる。小さな鍋に粉寒天を水と氷糖蜜に溶き、練り餡を入れて火にかけながら、豊缶を水で洗っておくのです。ミニ菜園に月桂樹の葉を採りに言ったら、生姜を刻んでいよいよカレーの具材を炒め始める。

 水の量は目分量で鍋の半分ぐらいまで入れ、隣の火口では鶏胸肉の粗挽きを炒めて冬瓜の煮物を煮始める。カレーの鍋が十分に煮立ったら二種類のルーを入れ、火を弱めて更に加熱。その間に、揚げ浸しの具材を用意するのです。いつも具が多くなりすぎて量が増えてしまうから、今日は8鉢分と決めて野菜を刻む。京唐辛子の種を取り、冬瓜の鍋に入れたら、水溶き片栗でとろみを付けて火から下ろす。中華鍋を用意して揚げ浸しの具材を炒め始める。

 野菜に火が入ったら、水で冷やしておいた出し汁に入れていくのです。ここまで一気に調理をして火を使っても、厨房は25℃と今日は涼しい。冷めて固まってきた豊缶の水羊羹にラップをかけて、冬瓜も揚げ浸しも容器に入れ、冷蔵庫に入れたら、いよいよカレーの袋詰め。8人分のルーを5袋に詰めて、冷凍室で保存する。鍋類を洗って調理台が片付いたら、明日の天麩羅の具材を切り分けて、やっと終わり。3時間以上もかけて午後の仕込みを終えるのでした。

 4時を過ぎたので家に戻れば、女将が「まだ野菜サラダが二つ残っているけれど、夕飯は何にしましょうか」と言う。カレーを作って残った鶏肉を持ち帰ったから、グリルでカリカリに焼いてもらって、その間に亭主が豚のバラ肉と野菜サラダの具材を炒めて、あんかけを作る。大皿にカリカリ焼きを載せて、このあんかけをかけたら、晩のおかずが出来上がり。レタスは若布とスープにするのでした。二日間の定休日で、やっと蕎麦屋の残り物が消化できた。

 

9月29日 木曜日 金木犀の花が香る一日 …

 今朝は6時過ぎに蕎麦屋に出掛け、蕎麦豆腐を仕込んで昨日作った小鉢を盛り付けて来た。外ではスズメたちが煩くなき騒いでいたけれど、写真を撮ろうと玄関を出るだけで、もう遠くに飛び去ってしまう。どうやら蕎麦屋の屋根の辺りに寝床があるらしいのです。エアコンの調子は相変わらずで、運転ランプの点滅が治らない。エラーコードの確認をしても、どのコードにも該当しないらしく、本当に壊れているのだろうかと思ってしまうのです。

 7時過ぎに家に戻って、女将の用意してくれる朝食を食べ、今朝も美味しく満足な亭主。昨日は午後の仕込みで疲れたからか、夜は9時過ぎにはもう眠くなって、ブログも途中で眠ってしまったのです。今朝は3時過ぎには目が覚めて、このブログの続きを書いたらまた眠ってしまう有様。満腹になった食後のひと眠りも、今日はぐっすりと40分も寝入ってしまうのでした。それもなかなか起きられずに、お茶をもらって9時前にやっと家を出るのでした。

 蕎麦屋に近づけば遠くから金木犀の香りが漂う。店の中の室温は23℃と涼しかったけれど、蕎麦を打つとまた暑くなるからと、奥の座敷に行って長袖を脱いでくる。前掛けをして先日届いた蕎麦粉を計量し、今日の蕎麦を打ち始めるのです。春蕎麦は終わったというので去年の秋の蕎麦だから、念のために加水率は42%にして捏ね始めれば、これがちょうど好い具合で、しっとりと粘りのある仕上がりなのでした。蕎麦玉にしてビニール袋に入れて寝かせておく。

 伸して畳んで包丁切りをすれば、切りべら26本で140g前後の束が8食分綺麗に生舟に並ぶのでした。今日も涼しいから、そんなに多くのお客は見込めないけれど、蕎麦だけは最低限用意しておかなくてはならないのです。厨房に戻って大根と生姜をおろし、薬味の葱を刻んだところで、大釜の湯が沸いたので4つのポットに入れる。10時を過ぎたから、そろそろ野菜サラダを作る準備。ブロッコリーとアスパラガスを茹でて水にさらし、レタスを洗って笊に取る。

 いつもの国産のアスパラに比べると、随分と太いメキシコ産だったけれど、3分ほど茹でたら柔らかくなっていた。一本60円近くする代物だったから、硬くて筋があったのでは堪らないのです。この天気だからお客が来ないのも予想されたし、ましてや野菜サラダが出るとは思えなかったのですが、最初に決めたとおりに三皿盛り付けておく。残ったら残ったでまた家に持ち帰って、今夜は何に添えて食べようかと、ついつい考えてしまうのです。

 暖簾を出してお客を待てば、昼前に自転車に乗ったお父さんと娘さんがいらっして、今日は幼稚園の模擬入園に参加してきたのだと言う。天せいろとせいろ蕎麦を頼まれたから、娘さんの蕎麦を先に茹でてお出ししてから、天麩羅を揚げる。お父さんが、もう直ぐ三歳になる娘さんに蕎麦を食べさせている間に、天せいろが出来上がるのでした。小さな女の子が「お蕎麦が美味しい」と言うから驚いた。家ではラーメンばかり食べているのだとか。

 それっきりお客はなく、1時を過ぎたら女将がやって来て、例によって亭主がスマホでスポーツクラブの席取り予約をしてやる。それでも片付け物を手伝ってくれるから随分と助かるのです。2時半前には蕎麦屋を出て、家に戻れば庭のカッシアの黄色い花が、青空の覗いた午後の空に映えているのでした。梨を剥いてもらって、今日の売り上げと写真のデータをパソコンに入力したら、書斎のエアコンを効かせて、亭主は夕刻までぐっすりと眠るのです。



9月31日 金曜日 爽やかな秋の日に値上げの足音が …


 午前五時半の蕎麦屋からの眺めは気持ちが好かった。冷えた空気が畑の中から昇る温かな湿気を冷やして朝靄が広がるのです。昨日はお客が少なかったから、今朝はあまり仕事はなかったけれど、心配なのは運転できないエアコンの事で、コーヒーを飲みながらもう一度取扱説明書を読み直してみる。もう一度エラーコードを確認しても、耳の遠くなった亭主には、特に高音のピッという音が聞こえずらく、どのコードで鳴っているのかの確認は難しいのです。

 昨日の洗い物を片付け、洗濯物を畳んで、蕎麦汁の数と残った蕎麦の確認をして家に戻るのでした。昨日よりは天気が好いらしく、女将も朝の洗濯に精を出しているのです。朝食は昨日と同じ鰺の開きと茄子とピーマンの味噌焼きに、お新香が付いて亭主には十分な質と量なのでした。今日は蕎麦は500g打てば十分だから、少し眠れるかと思ったけれど、そう言う日に限って眠ることが出来ない。朝ドラの終わる時間に家を出て、蕎麦屋に向かうのでした。

 みずき通りのハナミズキもすっかり紅葉して、今朝の青空に映えているのでした。蕎麦屋に着けば例によって小雀たちが集まって、モミジや金木犀の木で遊んでいる。駐車場に近づけばすぐに飛び立って、逃げ遅れた二羽だけが電線に止まっているのでした。身体が随分と大きくなっているのには驚きました。看板と幟を出してチェーンポールを降ろして、店の窓を全開にして涼しい空気を入れる。室温は昨日よりも1度高く24℃なのでした。

 昨日の蕎麦がだいぶ残っていたから、今朝は500g五人分だけ打ち足して、生舟に蕎麦の束を並べる。温度が1度高いだけなのに、湿度のせい、今朝は同じ加水率でも少し柔らかい生地に仕上がった。伸し加減を強めにしたら幅が60cmほどに広がってしまい、生地は薄めで、包丁切りの際に切りべら28本にする必要があった。柔らかい生地だから、当然、多少の切りむらも出てくるのです。最近は、あまり神経質にならずに、手打ちだからしようがないと考える。

 10時40分だったか、蕎麦屋の前に団地の中を回って駅前のショッピングモールに行くバスが止まる。駅から左回りで来る市のコミュニティーバスは、停留場が50mほど先にあるけれど、この辺りは手を上げれば止まってくれる区間なのだとか。どちらも車に乗らない老人が多く利用しているのです。全開にした窓からは金木犀の香りが漂ってくる。今日は北からの風だから、店の中は思ったよりも涼しいので助かった。エアコンを早く何とかしなければいけない。

 蕎麦打ちも少しで朝が少し早かったからか、休み休みやっていても、野菜サラダの具材を刻んで盛り付けを終えたら、まだ10時半なのでした。この時間に奥の座敷と廊下と洗面所の掃除機をかける。大釜の湯が沸いてポットに湯を入れ、油を天麩羅鍋に入れ、天つゆの鍋を隣の火口にかけ、天麩羅の具材と天麩羅粉を冷蔵庫から出したら、もう開店の準備は終わっていた。これで11時だからちょっと早すぎる。テーブルをアルコールで拭いてひと休み。

 開店10分前に駐車場に車が入って来たので、見れば隣町の常連さんでした。「早いけど好いですか?」「お湯が沸いているからどうぞ」と亭主は暖簾を出す。いつものご注文で、野菜サラダに特注の天麩羅と辛味大根にせいろ蕎麦。全部出し終えた頃に、もう一台の車が入って、こちらは高齢の女性と娘さんらしいお二人で、天せいろとヘルシーランチセットのご注文。追加で串焼きまで頼まれた。90歳を越えるというお婆さんが、しっかりと天せいろを食べた。

 皆さんが帰られてからは、1時になってもお客は来そうになかったから、洗い物を終えたら、亭主は賄い蕎麦を食べておく。あとは閉店の時間を待つばかり。昨日よりはお客が増えたので好しとするべきなのでしょう。家に帰れば女将はまだスポーツクラブから帰っていなかった。ひと眠りして、夕刻にはまた蕎麦屋に出掛けてぬか漬けを漬けてくる。帰りに酒屋を回って酒を買う。今日は何故か駐車場も満配で、客は皆、ビールを何ケースも買っているのでした。