2022年8月末

8月27日 土曜日 夏の暑さが戻った日 …

 早くから起きていたのに、ぐずぐずしていたら蕎麦屋に出掛けるのが6時を過ぎてしまった。あまりすることがないと思っていたから、ちょっと気が緩んでいたのか。亭主の寝ぼけた頭のように、今朝の太陽もぼうっと森の向こうから昇って来たのです。昨日の洗い物を片付けて、小鉢を盛り付け、蕎麦汁の補充をしたら、もう7時を過ぎてしまいました。朝の30分は後になって効いてくるのです。急いで家に帰って食卓につく。

 ところが、こういう日は女将もゆっくりで、魚を焼きながらお新香を切り分けていたので、亭主が箸を並べ、小鉢を盛って、自分でご飯をよそうのでした。豚汁が出来上がってやっと「頂きま~す」なのです。今日は朝から何か蒸し暑いような気がして、二人ともエンジンがかかるのが遅かったか。食事を終えたら例によって亭主は書斎に入ってひと眠り。しかも、かなりぐっすりと眠ったのです。営業を始めてまだ三日目だというのに、朝から気怠いから困った。

 天気予報通りに雲が晴れて陽が差してきた。蕎麦屋の前のバス通りは、両側にひまわりの畑が広がって目を楽しませてくれる。夕べは雷の音がもの凄くて、怖いほどだったけれど、朝までには雨は上がっていた。看板を出し、幟を立ててチェーンポールを降ろせば、もう蕎麦打ちの準備をする時間。早朝にエアコンを入れておいたから、快適なはずなのに、今朝は湿度がまだ70%となかなか湿った空気がなくならない。外は相当に蒸しているのです。

 そのせいか、43%の加水で捏ね始めた生地は柔らかめで、打ち粉を振っても包丁に絡みつく感じなのでした。なんとか切りべら26本で135gに仕上げ、8束を打ち上げて、昨日の残りの蕎麦と合わせて13食を用意する。隣の西の小径では草を刈る機械の音がするから、厨房の窓から覗けば、亭主と一つ違いだと言う親父様が、汗だくになって小径に伸び広がっていた雑草を刈ってくれていた。蕎麦屋の始まる前に終わらせようと気を遣ってくれたのでしょう。

 刈り終えた頃に店の窓を開けて「暑いのに有り難うございます」と挨拶をする亭主。早お昼を終えて女将が下の階段を昇って来るときには、奥様も出て刈った草を掃き集めていたと言う。やはり有り難うございますと挨拶をしたと言うから、歳を取って今日の暑さの中を動くのは大変だと思ったのでしょう。蕎麦屋はエアコンが効いてきたけれど、厨房はやはり暑いのです。11時前に車が駐車場に入ったから、どうしたのだろうと窓から見れば宇都宮ナンバー。

 遠くからいらっして時間よりも早く着いたのだろうと、大釜のお湯も沸いていたから、店の中に入ってもらったのです。聞けばそれぞれ埼玉と栃木の人で途中で落ち合って、二時間も車を走らせたのだとか。蕎麦屋巡りが好きで、「霊犀亭」を調べたら是非行ってみようとやって来たのだと言う。お二人ともヘルシーランチセットの天せいろをご注文で、野菜サラダと蕎麦豆腐を食べていただいている間に、天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる。

 今日は四組8名だけのご来店だったけれど、大盛りが3名もいたり、デザートが出たりで、珍しくハラミとカシラの串焼きも随分と出たのです。週末だからか、皆さんゆっくりとされて、最後のお客が帰ったのは閉店時刻の2時少し前なのでした。前半のお客が昼前のご来店だったので、半分は洗い物が済んでいたから助かった。2時半には女将と二人で蕎麦屋を出る。外は猛烈な蒸し暑さで、夏が戻ったようなのでした。涼しさに慣れてしまったのが辛い。

 昼間、ノンアルコールビールを頼まれて、残りがなくなったと言うので、昼を食べ損ねた亭主は、家に帰るとすぐに隣町のスーパーに買い物に行く。パンでも買って食べようと思っていたのに、他の仕入れに忙しくてまたもや昼の食事を忘れてしまう。涼しい書斎でひと眠りして、夕刻には、再び蕎麦屋に出掛けて、小鉢がなくなったので、お新香を漬け、冬瓜を下茹でしておく。夜は女将の好物の鰹の刺身を買ってきたから、テレビを観ながら二人で食べる。

8月28日 日曜日 激しい朝の雨に …

 5時30分に車で家を出て蕎麦屋に出掛け、夕べ漬けておいた糠漬けを取り出した。味はイメージしたとおりに、ぴったり11時間でちょうど好い漬かり具合なのでした。茄子の色止めも効いている。今日と明日の二日間持ってくれれば好いのです。昨日茹でておいた冬瓜を、オクラと一緒に出汁で煮て、塩と砂糖と生姜と唐辛子で味付けをしたら、少し硬めに水片栗でとろみを付ける。多分、全部は出ないと思うけれど、これも今日と明日の二日だけの小鉢です。

 空いた蕎麦徳利に蕎麦汁を詰めて、13人分の蕎麦汁を用意する。これは今日打つ予定の蕎麦と昨日の残った蕎麦を、合わせたよりも数が多い。雨の予報だったから、今日は12食の蕎麦で営業を開始するつもりでした。小止みになった雨の中を、西側の小径に出て、綺麗になった道路脇から、ひまわり畑の写真を撮っておく。家に戻れば、朝食の用意が調って「頂きま~す」食後は例によって書斎に入ってひと眠り。今朝は涼しかったからエアコンは点けなかった。

 これも最近の習慣なのでしょうか、食後の仮眠をぐっすりと1時間近く取るようになってしまった。目覚めたらザアザアと雨の音。外は酷い雨なのでした。午前中一杯この調子だと言うから、亭主は車を出して蕎麦屋まで行く。ガレージまで階段を下りる間も傘を差さないと歩けないほど。これではお客が来るはずもないのです。店に着いても、幟も出さず、チェーンポールも降ろさずに、蕎麦を打ちながら、しばらく様子を見ることにしたのです。

 北風のせいか北側の店の窓には雨が激しく当たって、店の中よりも外の方が涼しいくらい。昨日の暑さはまるで嘘のようなのです。蕎麦打ち室も暗かったから明かりを点けて、今朝は42%台で蕎麦粉を捏ね始めました。湿気があるとどうしても生地が柔らかくなってしまうから、昨日の失敗を繰り返さないように注意したのです。果たして、しっとりと仕上がりは好く、切りべら26本で135gの蕎麦が8束出来上がりました。今日は12食でも多い位なのかも知れない。

 ところが野菜サラダを盛り付け終える頃になると、雨は小降りになって、女将が早お昼から帰るとほとんど止んでいる。幟を出してチェーンポールを降ろせば、もう開店の準備。暖簾を出したら、程なくお客がやって来たのです。外の方が涼しいので、窓を少しずつ開けてエアコンは使わなかったけれど、十分に涼しい秋の風。女性の方は温かいぶっかけ蕎麦を頼まれて、男性はヘルシーランチセットのご注文でした。掻き揚げを揚げて汁を温め、蕎麦を茹でる。

 昼を過ぎれば今度は車二台で5人連れのお客がご来店。女性軍は天せいろが三つとお婆さんが温かい天麩羅蕎麦、そして男性は鴨せいろ大盛りなのでした。天せいろを先にお出しして、温かい天麩羅蕎麦はどうしても後になる。鴨せいろはその後でじっくりと鴨肉を焼いてお出ししたのです。お婆さんの食べた天麩羅蕎麦の汁を、女性たちが回し飲みしていたから、「汁が美味しいですか」と亭主が聞くと、「見られちゃった」と美味しさを隠せない様子。

 さすがに今日の天気では、これだけで十分なお客なのです。雨はその後も降ったり止んだりでしたが、天候には文句を言えない。コロナ以前の週末のお客の数と比べたら、半分ほどなのでしょう。それでも客の入りを見計らって、食材の用意をしているからあまり無駄はないのです。またしても昼を食べ損ねた亭主は、帰りにコンビニまで車を走らせ、サンドイッチと牛乳で空腹を満たす。風は涼しい秋の風。いつまで続くのか、無事に明日を終えたいところ。

8月29日 月曜日 午前中は秋晴れの陽気で …

 肌寒さで目が覚めた朝でした。外の陽気もすっかり秋の気配で、蕎麦屋に出掛ければ、青空に隣のひまわり畑が映えているのです。蕎麦汁の徳利は大盛り用も含めて10本、小鉢の数は8鉢用意して、打つ蕎麦の数は昨日の蕎麦と合わせて9人分と決めていた。天気は好いけれど、最高気温が25℃という予報だったから、お客はそんなには期待できないのです。今月の月曜のお客の数は4人止まりだから、これだけあれば十分に足りるはずなのでした。

 洗濯物を畳んで、洗濯機の中の洗濯物を干したら、車に乗ってコンビニに煙草を買いに出る。空は何処までも青く、風は冷たい秋の風。早朝の中央通りはまだ車の数も少なく、家々が長い影を落としていました。家に戻れば女将が台所で朝食の用意をしてくれていたから、居間で一服したらちょうど食事の時間となるのです。家の中でも半袖ではもう涼しすぎる温度のようで、今朝は20℃ほどしかなかった。タオルケットにくるまって食後のひと眠りです。

 夜もしっかりと7時間は眠っているのに、食後のひと眠りも最近は1時間も眠ってしまう。気候が涼しいからよく眠れるのかな。酒を飲んで寝るから眠りが浅いのだと言われそうで、女将にはあまり言わないようにしている。まあ、身体が要求している睡眠が好きなだけ取れるのは、何と言っても隠居の特権なのかも知れない。しっかり髭を剃って、今朝は珍しく車で蕎麦屋に出勤した。月曜日は持って帰る荷物が多いので、一人だから大変なのです。

 週末ならお客が車を停められなくては困るからと、近い距離だからほとんど車では行かないのに。もしかして、一人で営業の日は一度に、一度に沢山お客が入っても大変だと、無意識のうちに思っているのも知れない。3台停められる駐車場の端を亭主の車が塞いでしまうと、あと2台しか入れないから、一度にお客が来ても知れているのです。そんなことを考えながら、厨房の椅子に座って珈琲を飲む。外は気持ちの好い陽気だから、窓は開けたままです。

 蕎麦打ち室に入って今朝は500g五人分の蕎麦を打ち、予定通り昨日の残りと合わせて九人分の蕎麦を生舟に並べる。野菜サラダはいつも平日の通りに三皿だけ盛り付ける。天麩羅鍋に油を注ぎ、天つゆの鍋を出して火口に据える。テーブルをアルコールで拭いてまわり、大釜の湯も沸いて、お茶の用意も出来たから、暖簾を出せば、珍しくすぐにお客の車が入ってきたのです。ご主人がぶっかけ蕎麦で奥様が天せいろのご注文なのでした。

 電話が鳴るので取れば、宅配会社からまた醤油の瓶が割れたと連絡があったので、先月も割れてキャンセルになったから今月は倍の1ダースも頼んだのに、返しが作れずに困っていると、つい大きな声で怒鳴ってしまった。狭い店だから、お客様にはお詫びをして事情を話したのでした。取りあえず割れなかった分を持って来て欲しいと言ったら、昼過ぎには大きな段ボール箱に横に並べて持って来た。これでは割れるはずだと、取り扱いの杜撰さに驚く亭主。

 昼過ぎには続けざまにお客がいらっして、そんなに車を停められないはずなのにと思ったら、歩いて来たご夫婦もいたのでした。最後の女性お二人がいらっしてカウンターに座ったところで、「お蕎麦売り切れ」の看板を出して、順番に天麩羅を揚げて蕎麦を茹で、蕎麦湯を作ってお出しする。小鉢もなくなり、天麩羅の具材も切れたので、「最後の方はお待たせしたので、大サービスです」と言って、海老や野菜の天麩羅をぶっかけ蕎麦に載せてお出しした。

 カウンターの女性たちは厨房の亭主に話しかけ易いのか、「私より若いわね」などと会話の糸口を見つけてくる。団地の中に住んでいるのに、田んぼを借りて米を作っているのだと言う。デザートの水羊羹まで頼まれて、ゆっくりと話をしていかれる。閉店の時刻を過ぎて、亭主はやっと昼の賄い蕎麦をぶっかけで食べる。一人で洗い物と片付けをすると、一時間以上かかってしまうのでした。今日は残り物もなかったから、車で来る必要もなかったのでした。

8月30日 火曜日 朝はヒンヤリ、昼はムシムシ …

 定休日だと言うのに、今朝は4時起き。4時半には車で蕎麦屋に出掛けて、昨日の洗い物を片付け、洗濯物を干したら、返しを作り始めるのでした。涼しいうちにやることは沢山あるから、6時前には家に戻って、女将に頼まれていた裏の無花果の樹の剪定をしたのです。今年は随分と実が付いて熟しているので、食べられそうな実はボールに取っておく。タラの樹も大きくなったから、短く刈り込んでやる。蚊がブンブンと顔や足を刺していくのが分かる。

 それでも30分ほどで退散して、切った枝の始末は後で女将に任せるのです。ボールに一杯の無花果の実は、ジャムにでもしてくれるのか、一粒食べてみたら甘い桃のような味わいなのでした。粒をもう少し大きくするには、摘果して実の数を減らさなければいけないのは分かってるけれど、そこまでは手が回らない。テレビのニュースを見ながら、女将の起き出して来るのを待つ。炊飯器のスイッチが切れたようだから、そろそろ朝ご飯の支度にやって来るはず。

 亭主が店で残った冬瓜のそぼろ煮を小鉢に盛っている間に、女将は豚汁を作り、ベーコンエッグを焼いて、お新香を切り分ける。自分でご飯を盛り付けて、「頂きま~す」と食べ始めるのでした。やはり朝が早かったからか、ひと仕事を終えてもう眠くて仕方がないのです。書斎に入って横になれば、涼しい朝だったから、あっという間に熟睡の境地。最近は1時間近くぐっすりと眠ることが多いのです。目覚めればもう8時半。洗面と着替えを済ませて蕎麦屋へ。

 まだ暗かった早朝に仕込んだ返しを甕に注ぎ、お袋様に電話をして週に一度の仕入れに出掛けるのです。最初に団地の外れの農産物直売所に向かう。ちょうど知り合いの農家の奥さんが野菜を運んで来たところで、「うちのは今日は稲刈りで」と言って新しく取れたばかりの茄子を籠に入れてくれた。「この間もらった南瓜もオクラも美味しかったよ」と言えば、「有り難うございます。今日も持って来ましたよ」と新鮮なものをくれるのでした。

 礼を言って車に乗り込み、隣町のスーパーに向かえば、運好く駐車場は最初に来た人たちが帰った後で、入り口に近い場所に停めることが出来たのです。夕べパソコンのプリンターで印刷した買い物リストに載っている品物は、全部揃えることが出来て大喜び。今日はレンコンがとても好いものが並んでいたので助かる。新レンコンの値段も、だいぶ落ち着いてきたらしい。店に戻ってすべての野菜類を冷蔵庫に収納し終えたら、11時近かったので家に帰って昼食。

 買い物から帰ったばかりの女将に、温かい湯麺と冷やし中華とどちらが好いかと尋ねれば「汗だくなので冷やし中華が好い」と言うので、麺と肉を茹でて昨日残ったサラダを載せてはい出来上がり。珍しく食後のひと眠りはせずに、朝の無花果の樹の剪定で使った脚立や剪定ノコを、もう一度車に積んで蕎麦屋に出掛ける。今度は蕎麦屋の月桂樹の木を剪定です。屋根まで伸びてしまった新しい枝をどんどん切っていたら、雨が降りだしたので厨房に戻る。

 8月の初めに草取りをした南側のミニ菜園は、今年は絹さやの後は何も植えていなかったから、もう草が伸びて大変な有様。暖かかったからか、今年は随分と草の伸びるのが早いような気がする。明日は少しは草取りが出来るだろうか。そんなことを考えながら、朝のうちに準備をしておいた出汁を取る。一番出汁を取って蕎麦汁を仕込んだら、二番出汁は5㍑の鍋に追い鰹で多めに作っておくのでした。涼しくなってくると温かい汁が出るのです。

 3時前に注文してあった床掃除の機械が届いて、早速、梱包を開けて見れば、コードレスの充電式で自走式の優れもの。屈んで雑巾で店の床を拭くのは、この歳になるととても大変なので、どんな成果を上げるのか明日が楽しみです。2万円以上する高価な物だから滅多なことでは期待外れはないと思うのだけれど。このほかに、床を磨く機械も頼んであるから、この秋は店の掃除が楽しみです。明日は何から手を着けようかと考えながら、夕食の食卓に着く。

8月31日 水曜日 雨の音で寝覚めたけれど …

 珍しく夕べは夜更かしをして、0時近くに床に入ったのですが、これも習慣か朝は雨の降る音でいつもの時間に目が覚めて、居間で一服したけれどやはりまだ眠い。再び目が覚めたのは朝食の時間の少し前で、いつもと同じように7時間近くは眠ったことになる。蕎麦屋の剪定した木の枝を袋に詰めようと思っていたけれど、今朝の雨で濡れているからと諦めたのでした。さすがに朝食後のひと眠りはせずに、今朝は蕎麦屋に出掛ける亭主。

 バス通りの向こうにあるひまわり畑は、遅く種を蒔いたから今がちょうど盛りの時期なのに、どうもひまわりの花は陽の昇る東に向かって咲くらしく、バス通りからは花の顔が見えないのです。蕎麦屋の隣のひまわり畑はもう花も終わりらしく、種のこぼれて育ったという秋桜の花も盛りを過ぎていました。アゲハチョウが花に止まって、秋の訪れを感じさせるのですが、どうも今日はまた暑さがぶり返すらしく、あさから蒸しているのです。

 蕎麦屋の厨房に入って、今朝の仕込みは夏野菜の揚げ浸し。隣の火口では冬瓜を下茹でして、鶏胸肉の挽肉とのそぼろ煮を作る準備をするのでした。昨日届いた電動の床掃除機は、充電に3時間もかかるというので、セットしてコンセントに繋いだままにしておく。午後一番で試しに運転してみようと、楽しみにしている亭主なのでした。長い間に汚れた床は、一朝一夕で綺麗になるとは思えないけれど、新しい器材を導入して店を綺麗にする契機となればと思う。

 冬瓜を15分茹でたら透き通って竹串が通るようになったので、笊に上げて水で洗う。ピーラーでレンコンの皮を剥いて、隣の火口で下茹でをしてあったのを、水で洗い天麩羅の具材用にタッパに入れて冷蔵庫で保存しておく。午前中の仕込みはこのくらいにして、11時になったので家に戻って、昼の支度をしなければ鳴りませんでした。味見用に揚げ浸しを小さな容器に入れて、夕べで夜の酒がなくなったから、酒屋によって煙草と焼酎を買って家に帰る。

 昼は先週から残ったキャベツの処理に女将が困っていたので、焼きうどんにして大量のキャベツを消化する。フライパンに蓋をして油で炒めると、キャベツの半分の量がしゅんとなって、野菜が沢山摂れるのです。小鉢には午前中に作った揚げ浸しを添えて、焼きうどんは塩味に醤油を少しだけ垂らし、美味しく頂くのでした。食後のひと眠りも今日はパスをして、女将がスポーツクラブに出掛けたら、再び蕎麦屋に出掛ける亭主なのでした。

 フル充電を終えた床掃除機は、コードレスなので扱いやすく、リモコンのスイッチを入れれば散水する機能も付いていて、一分間に1000回という振動で床を擦るから優れもの。ただ、汚れの酷いところは、さすがにすぐには落ちないから、雑巾でこすって汚れを落とす。以前のように床に屈んで全部の作業をするよりは、確かに楽なのです。こんな機械を制作者が考えた理由は、やはり小さな店舗の掃除に苦労をしている人たちがいるからなのでしょうか。

 一時間ほどでトイレから店の入り口までの狭いスペースを洗ったら、もう午後の仕込みにかかる時間なのでした。午前中に下茹でをした冬瓜を入れる前に、二番出汁と塩と砂糖で出し汁を作って唐辛子と鶏胸の挽肉を入れて煮ておく。そこに輪切りにしたオクラを入れ、冬瓜を入れて最後に少しだけ出汁醤油を垂らす。水溶き片栗粉を加えて少し硬めに仕上げれば完成。今回は粗挽きの鶏胸肉を入れたので、ちょっと違う仕上がりですが味は抜群でした。

 明日の天麩羅の具材を切り分け、お新香を漬けたところで、業者が注文をしておいた食材を届けに来る。9月で会社を辞めるという担当者が、新しい若手を連れて挨拶に来た。来週からはこの地区を回るのが木曜日になるというので、亭主は忘れないようにカレンダーに記しておくのでした。とにかく、夏の暑さの戻った今日は、店の外も蒸し暑く、風も湿った生ぬるい風でした。家に戻ればもう夕食の時間で、味見に持ち帰った冬瓜のそぼろ煮とキュウリの梅和えで、早速、一献。メインのおかずは鶏腿肉のカリカリ焼きでした。