2022年7月中旬

7月12日 火曜日 今日も蒸し暑い一日です …

 夕べは食事の前から頭がクラクラして、軽い熱中症になったようなのです。一人で営業の平日に珍しく混んだから、ネックレスのアイスノンもするのを忘れて、30℃を越える厨房で休む間もなく動いていた。チーズ揚げを食べながらいつもの焼酎を飲むけれど、まだ酔っていないのにふらつくから、エアコンの効いた居間の部屋でしばらく休んでいました。ブログも短めに終わらせ、10時には床に就いたのです。明け方に何度か目が覚めてやっと5時半に起き出す。

 いつもの習慣で蕎麦屋に出掛けて、今朝は最初にムクゲの落花を掃除する。近所の若いご主人がランニングに出ると見えて「お早うございます」と声を掛けてくる。「お早うございます」と挨拶を返せば、彼はもうバス通りに出ていた。厨房に入って昨日の洗い物を片付ける。洗いかごの中にも残った食器を伏せたままだったから、布巾で拭いて戸棚に収納する。洗濯物を畳んで片付けたところで、洗濯機の中の洗濯物を今度は乾していく。いつもの朝と一緒。

 家に戻れば、女将が台所に入る時間で、亭主は箸を用意したり、小鉢を並べたり、味噌汁をよそったりと、女将の作る韮の卵とじが出来上がるの待つのでした。ご飯も自分で盛り付けて、「いただきま~す」と先に食べ始める。随分と眠ったはずなのに、朝食を終えるとまた書斎に入って横になる。今朝は朝ドラが終わってもまだ目が覚めないのです。お袋様に少し遅くなると電話をしたら、珈琲を入れてもらってやっと目を覚ます。10分遅れで仕入れに出掛ける。

 空はどんよりと曇って、陽の差さない分だけ気温は低いようなのですが、やはり蒸し暑い。農産物直売所に出掛ければ、近所の農家のご夫婦が野菜を運び終えたところで、お袋様が挨拶をしていた。「この間のピーマン立派だったね」と言えば、今日はインゲンがないのだと言う。「胡瓜も茄子も今朝取ったものだよ」とご主人に言われて、幾つももらって帰る。隣町のスーパーは広告が出ていたせいか、朝から随分と込んでいました。蕪はもう終わりのようだ。

 蕎麦屋に戻って仕入れた沢山の野菜を冷蔵庫に詰め込んでいく。女将に頼まれた魚は買ったのに、肉を買ってくるのを忘れたので、今度は団地の中のスーパーに出掛けて買い足してくる。最近はタンパク質が不足気味だったから、やっと食べられるとひと安心。昼はお好み焼きにして、昨日残った野菜サラダを食べてしまおうかと話していたけれど、家に帰ったら買い物に出た女将も汗びしょで、急遽、冷やし中華に変更。野菜サラダはそのまま載せて肉を添えた。

 今日は間違わずにシマダヤの本生冷やし中華を買ったので、汁まで綺麗に飲んで満足な亭主。女将に言わせるとマルチャンの冷やし中華の方が汁の味が濃いのだそうで、その分だけお酢もきついから亭主が嫌がるのではないかとか。今朝は随分とゆっくり眠ったから食後のひと眠りはしなくて済んだ。しかし、居間で寛いでいたら、女将が2時過ぎのヨーガ教室の予約をお願いしますと、ノートを持ってくるものだから、午後の仕込みに出掛けられない亭主。

 定休日だからゆっくりとしろと言うことなのかと、テレビ映画を観ながら居間で寛いでいたのです。無事に一番好い席を取れたと報告すれば、今度は娘の所に書く手紙の写真をお願いしますと言うものだから、最近の我が家のお花の写真をポストカードに印刷して女将に渡す。やっと4時前に蕎麦屋に出掛けて、出汁を取るだけで精一杯。ゴミの回収に業者が来る今日は、ミニ菜園の草取りも出来なかったのです。海老と鴨肉の発注をかけて今日の仕事はお終い。

 夕食には豚汁とズッキーニとジャガイモのグラタンに、アスパラとウインナソーセージの焼き物が出た。スポーツクラブがお休みの女将は、頑張って準備をしてくれたらしい。大相撲を二人で見ながら、新聞を読んで知識の豊富な女将の解説を聞く亭主。冷房を入れなくても涼しくなる夕刻だから、横になれば直ぐにでも眠ってしまいそうなのでした。夜が眠れなくなるからと、ぐっと我慢をして、このブログを書き上げるのです。

7月13日 水曜日 朝から雨模様で …

 朝から雨の音で目が覚める。そう言えば夕べの天気予報では今朝は雨だと言っていたっけなと、ぼうっとした頭で記憶を辿るのでした。少し涼しいので熱いコーヒーでも飲もうと湯を沸かして、居間の椅子に座れば、時計はまだ5時前なのでした。マグカップを片手に持ったまま、テレビのニュースを見ているうちに、意識が途切れて「あちっ」と、ハーフパンツから出た地肌に、コーヒーをこぼして目を覚ます。これは悔しいけれどコーヒーより効果があった。

 雨の振る中を草刈りも出来ないし、厨房で二つあるレンジ周りの掃除をし始める亭主。辺りを見回せば、店の換気扇も随分と長い間掃除していないから、すっかり埃が溜まっている。厨房の床もなかなか掃除が出来ないでいる。窓の外を見れば、折角、グリストラップの蓋の周りの草取りを終えたのに、なかなか手つかずでまた草が生えてきている。やることが多すぎて、とても一度には片付かないので、今朝は奥の座敷に積んであった段ボールを潰して片付ける。

 家に戻れば朝食の用意が出来て、少し涼しいから豚汁が美味しいのでした。銀だらの塩焼きも随分と久し振りで、実に美味しい。今朝はゆっくりと眠ったので、早くから起き出したのに、食後のひと眠りもなし。いつもの時間に蕎麦屋に出掛けて、ほんの一時、雨の止んでいるうちにと、西側の小径のムクゲの落花を掃除しました。厨房に戻って蕎麦豆腐を仕込んだり、明日のデザートの水羊羹を仕込んだり、やることは幾らでもあるのです。

 切り干し大根の煮物の準備をして、隣の火口で一緒に小豆を煮ておこうと思ったら、砂糖が足りないのに気が付いた。昨日、買ってくるのを忘れたのです。仕方がないから、切り干し大根を煮込んだところで仕込みは終わりにして、砂糖と粉寒天を買いに、団地の中のショッピングモールに出掛ける。余裕があれば他の買い物もするのだけれど、今日は業者の持ってくる海老や鴨肉の支払いがあるので、大事を取ってすぐに家に帰るのでした。

 昼は女将と朝話していた通りに、久し振りにカレー炒飯を亭主が作る。あっさりとしてとても美味しかった。11時半には女将のスポーツクラブの予約があったから、今日は女将のスマホを借りて、小さな画面で席取りに集中する。パソコンの大画面よりもカーソルの移動距離が少ないので、時間がかからない分、5Gではなくても直ぐに一番好い席を取れるのでした。満腹なのと席が取れた安堵感で、書斎に入って横になったらすぐに寝入ってしまう。

 寝起きに冷えたプラムを食べて、午後の仕込みに蕎麦屋に向かうのです。まずは午前中に終えるはずだった揚げ浸しの仕込みに取りかかる。黄色のカボチャと赤のパプリカは、全体の彩りを鮮やかにするので、最初に火が通るまで揚げる。次ぎに茄子やオクラや茗荷にシメジと一度に中華鍋に入れて火を通す。隣の火口では時間のかかる小豆を煮ている。揚げ浸しの汁は最初に作って水でボールごと冷やしてあるから、揚げた野菜を次々にボールに入れて冷蔵庫へ。

 天麩羅の具材を切り分けて容器に入れたら、小豆を小分けして冷凍室で保存する。揚げ浸しは二つの大きなタッパに入れて、一つは家に持ち帰るのでした。女将が何の宣伝で見たのか、揚げ浸しの汁で素麺を食べると言う話をしていたから、いつもより味見の量を増やしたのです。糠味床を冷蔵庫から取り出して、お新香を漬ける。ミョウバンを買うのを忘れたので、野菜の新鮮さを信じて茄子を漬ける。煙草を買いにコンビニまで車を走らせ、そのまま家に戻る。

 5時過ぎには大相撲の中継を観ながら、夕食の食卓に着く。タンパク質がないからと、女将が鶏肉と長葱をグリルで焼いて、作ったばかりのポテトサラダを添えてくれた。さて、揚げ浸しの素麺は、以外と美味しいものなのでした。汁は京風の出汁醤油を薄めたものにして、同じく出汁醤油で甘く味つけした揚げ浸しを入れて、素麺を食べるのです。二人ともかなり美味しいと満足な夕餉。今日はあまり動かないのに、三食しっかりと食べて体重が増えていた。

7月14日 木曜日 時折、陽が差しても、降り続いた雨 …

 雨のそぼ降る朝でした。梅雨明けが早かった分、梅雨の戻りとでも言うのか、最近は雨の日が多いのです。6時前には車で家を出て蕎麦屋に向かう。目覚めのコーヒーも、蕎麦屋の厨房で飲んだのです。夕べ漬けておいた糠漬けを冷蔵庫から取り出して、胡瓜と茄子と蕪を切り分ける。色止めのミョウバンは使わなかったけれど、やはり新鮮な茄子は色が落ちていないから嬉しい。作った農家の親父様に感謝なのです。揚げ浸しも綺麗に仕上がりました。

 家に戻れば女将が朝食の支度で手一杯のようだったから、亭主は味噌汁をよそって、納豆にオクラを入れて盛り付ける。涼しい朝なのでした。昔懐かしい作り置きのポテトサラダは、ハムエッグにはよく合うのです。食べる時間はわずか5分間だから、亭主は居間の椅子に座ってもう眠くなる。少し我慢をしていると、女将がお茶を入れてくれるから、これでゆっくりと食後のひと眠りが出来るかと思ったら、書斎で横になっても今朝は眠れなかった。

 洗面と着替えを済ませて、朝ドラの時間に家を出れば、陽が差しているのだけれど、雨が降っているのです。仕方がないから傘を差して、蕎麦屋までとぼとぼと歩いて出掛ける。いつもより時間が早かったので、幟を立ててチェーンポールを降ろしたら、西側の小径に行って、ムクゲの落花を掃き集める。ゴミ出しから帰るご近所の奥様に出会って「まったく変な天気ですね」「ほんとほんと … 」と挨拶を交わすのでした。

 8時半には蕎麦打ち室に入って、今日の蕎麦を打つ。春の新蕎麦は昨日届いたけれど、今日は秋の蕎麦粉の最後の残りを使って、8人分750gの蕎麦を打つのでした。天候も優れないから、お客も期待できないし、これで十分に足りるはず。店のエアコンは入れていなかったけれど、室温は25℃、湿度は65%だったから、加水率を40%弱にして、蕎麦粉を捏ね始めればやはり硬い。繰り返し捏ねてやっと菊練りを終えれば、滑らかな生地に仕上がるのでした。

 加水が少なくて滑らかに仕上がれば、伸しで畳んで包丁で打っても、蕎麦は綺麗に仕上がるのです。包丁の音もトントントンと乾いた感じで、切った蕎麦がくっつかないから綺麗に仕上がる。包丁打ちした8束のうち、6束が135gぴったりの重量だったから、今日は珍しく大正解。やはり、柔らかすぎる生地は要注意なのです。力は要ってもこのペースで頑張らなくてはいけない。明日からの新蕎麦ではねまた少し新しい加水率になるのかと、ワクワクするのです。

 薬味の葱切りを済ませ、大根と生姜をおろしたら、野菜サラダの具材を刻んで、新しい油を天麩羅鍋に入れる。大釜のお湯が沸いたから、お茶と温め用のポット四つにお湯を入れ、天麩羅の具材を冷蔵庫から取り出して、天つゆと油を温めたら、店のテーブルをアルコールで拭いて回る。玄関の取っ手やトイレの取っ手を塩素の入った消毒液で拭いて、開店時刻の15分前。暖簾と営業中の看板を出して、いよいよ開店なのです。雨の中を今日は早くからお客が来た。

 三人連れのご家族がいらっして、天せいろ三つのご注文だったから、盆と蕎麦皿などを揃えてから、天麩羅を揚げて蕎麦を茹でる。出し終えたところで、雨の中を歩いていらっした男性客が、テーブル席に座りビールと天せいろを頼まれる。最初のお客は若い男性がよく話すので、なんと皆さん1時間近くも座ったままで、カウンターのお客はビールを飲みながらパソコンを出して作業を始める。空いている平日だからと、亭主は何も言わずに見守るのでした。

 そのうちに隣町の常連さんがやって来て、家の近所でもコロナの感染が広がってると言う。「明日から春の新蕎麦になります」と言えば、「明日も来ますから」とおっしゃる。また駐車場に車が入って、男性客が今日最後の蕎麦を大盛りで頼まれる。スポーツクラブが休みの女将が早めに来てくれたので助かった。亭主にスマホを渡して次の予約を取ってくれと言う。雨の降る日だというのに、平日にしてはよくお客が入ったのでした。夜は大相撲を見ながら一献。

7月15日 金曜日 戻り梅雨、結局、夜まで雨 … 。

 最近は、夜10時前に床に就いて、朝の5時前に起きるという生活が続いている。これだと不思議なことに、朝食後のひと眠りも、仕事が終わってからの午後の昼寝もしないでいられるから好い。むやみに眠らないから、一日が随分と長く感じられるのです。いつまで続くかは保証の限りではないけれど、今朝も6時前に蕎麦屋に出掛けて、朝飯前のひと仕事です。夕べから降り続いていた雨も、霧雨になって空はどんよりと曇り空なのでした。

 カウンターに乾してあった昨日の盆や蕎麦皿を片付け、天麩羅の具材を切り分けて補充したら、洗濯物を干したり畳んだりと結構やることはあるのでした。7時過ぎにやっと家に戻って、女将の用意してくれた朝食を食べる。今朝は鰯の蒲焼きと豚汁にとろろ芋をおろしたのが付いた。揚げ浸しは先日亭主が仕込んで、味見にと持ち帰ったもの。少し涼しい朝だったから、豚汁がとても美味しく感じられた。野菜類とタンパク質が摂れるので優れた一品なのです。

 今朝も食後のひと眠りをせずに、洗面と着替えを済ませたら朝ドラの最中に「行って来ま~す」と家を出るのです。雨が降っていたから傘を差して歩いて出掛ける。蕎麦屋に着く頃には雨も小降りになってきたので、まずは西側の小径に散ったムクゲの花を掃きに出る。家の近所のご主人が朝の散歩で通りかかったから挨拶をする。今日はいよいよ新蕎麦を打つのだと、気持ちも新たに蕎麦打ち室に入れば、室温は26℃、湿度は75%なのでした。思案する亭主。

 結局、加水率を39%まで落として蕎麦粉を捏ね始めたのですが、これがやはり少し硬くて、水が馴染むまでじっくりと捏ねていく。新蕎麦は少し水分が多いような気がしていたけれど、考えたら蕎麦粉を作る農場では水分が何%といつも決まって蕎麦を挽くから、大きく変わるはずもないのです。お蔭で、捏ねてひと汗、伸してひと汗、涼しい朝なのに汗だくになって、それでも綺麗な仕上がりで、新蕎麦を打つ朝にふさわしい出来栄えなのでした。

 春の新蕎麦独特の薄緑色の蕎麦がとても美しいと感じられるのです。大釜で茹でるときは綠色が最も濃くなるから、お客様にも見せて上げたいくらい。水で洗って氷で締めるといくらか色が落ちてしまうので、お客様には熱い蕎麦湯をポットに入れて、綠色の蕎麦湯を見て頂くことにしている。野菜サラダの具材を刻み、三皿盛り付けて開店の準備。外は雨がかなり強く降っている。折角の新蕎麦披露の日だというのに、宣伝もしていないから今日はどうだろう。

 1時間待ってもお客は来ない。この天気では仕方がないと思っていたら、店の前で速度を落とした車が、一度通り過ぎたのにまた戻って来たらしい。年配の女性が「いつも気になっていたのよね」と天せいろのご注文なのでした。「今日からちょうど春蕎麦の新蕎麦なのですよ」と言って天麩羅を揚げていたら、昨日、新蕎麦を食べに今日も来るからと言って帰られた常連さんが、珍しく遅い時間に現れる。「今、お茶を差し上げますから、ちょっとお待ち下さい」

 前のお客の注文の品を出し終えて、「昨日と同じものを」とおっしゃる常連さんの調理をやっと始める。まずは盆と蕎麦皿を用意して、天麩羅の皿と天つゆの器、蕎麦汁に小鉢、薬味の葱と山葵を盆に載せたら、キスと稚鮎を揚げ始めるのです。そして、辛味大根を摺りおろし、蕎麦を茹でてはい出来上がり。「今日も怪しい電話がかかって来ましたよ」と昨日話題になった詐欺やなりすましの話を亭主がすれば、「ホントに今は多いよね」とおっしゃる。

 Amazonからの偽のメールは、送付されるメールの履歴を調べれば嘘だと判ると、いろいろ調べた亭主が応える。大手の電力会社を語って個人情報を得ようと電話をかけてくる輩には、「郵送で送ってください」と言うことにしている。閉店時間も迫って、今日は昨日にもましてお客が少なかった。女将も午後からがスポーツクラブなので、手伝いには来てくれないから、亭主一人でのんびりと片付けをするのでした。3時前には家に帰ったら女将も帰っていた。
 「夜は何にしようか?」と女将が言うので、珍しく二人で隣町のスーパーに出掛ける。亭主もちょうど店で茄子を漬ける色止めのミョウバン切れていたのでした。この雨で女将が買い物に出掛けない時は、家の冷蔵庫が直ぐに空になるのです。毎週、亭主が店の食材を仕入れに行くスーパーは、かなり値段が安いらしく、女将は胡瓜やジャガイモなどを買い込んで、魚のコーナーも覗いていた。結局夕食には、新鮮な刺身を買って帰って、珍しく日本酒を飲む亭主。

7月16日 土曜日 終日の小雨で蒸し暑く …

 降っていないかと外に出れば、霧のような細かな雨。今日は一日中この雨が降ったり止んだりで、とても蒸し暑いのでした。蕎麦屋のエアコンを22℃に設定して運転しても、厨房の温度計は27℃で、26℃台だったのは朝のうちだけでした。今朝も6時になったら家を出て蕎麦屋に出掛け、昨日の片付けやら、小鉢の補充やら、浅漬けの漬け込みやらで、何かと仕事はあるのです。洗濯物の始末までは手が回らなかった。7時を少し過ぎた頃にやっと家に戻る。

 食堂に入れば、女将がもう朝食の支度を終えて、ホッケの塩焼きをグリルから出して、味噌汁とご飯をよそってくれました。ご飯を食べると何故か急にからだが熱くなるから不思議で、女将に言わせるとそれが朝食の効能らしい。それでなくてもジメジメと湿った部屋の空気が気持ち悪いのに、亭主は我慢できずに書斎に入り、エアコンを効かせて横になる。乾いた涼しさの中で、今朝は以前のようにひと眠り。それも小一時間ぐっすりと眠ったのです。

 家を出たのは9時を過ぎていたけれど、雨が降ると言うから傘を持っていった方が好いと女将が言う。ちょうど霧雨が途切れている間に蕎麦屋に着いて、まずは西側の小径に散ったムクゲの花を、箒を持って掃き集める。幟を出したところで、もう少し雨に変わっているから、今日の天気も梅雨時のしとしとふる雨のようなのです。今朝は春蕎麦の新蕎麦を少しは宣伝しようと、蕎麦の農場から送ってもらった「常陸春蕎麦」の幟も立てて、駐車場の入り口に飾る。

 店はエアコンを入れているけれど、蕎麦打ち室は室温26℃、湿度は75%で、外の方が気温は低いはずなのに、後で予報の画面を見たら、湿度は終日90%を越えているから驚いた。蒸し暑いはずです。三日目になる新蕎麦の蕎麦打ちも、今朝は加水率を40%に戻して、捏ね始めたのですが、やはり硬い。自分の力がなくなったのかと、亭主は少し怯むけれど、これが打てなくては蕎麦屋も店じまいだろうと、汗を拭きながらしっとりとした生地に仕上げるのです。

 蕎麦玉を寝かせている間に厨房に戻り、大根と生姜をおろして、次の作業の準備をしておきます。再び蕎麦打ち室に入って、蕎麦玉を地伸しする作業に入るのですが、生地が硬いのでこれがまた大変です。また汗を拭きながら丸出し、四つ出しを終えるのでした。明日は思い切って41%まで加水を戻してみようか。蕎麦粉の変わる時というのは、いつも適正な加水率を捜すのに時間がかかるのです。それでも無事に蕎麦を打ち終えて、今日は14食の用意をしました。

 野菜サラダの具材を刻んで、週末だから四皿に盛り付け、暖簾を出せば程なく最初のお客さんがいらっしゃる。いつも天せいろに出汁巻き卵と、鴨葱塩焼きを頼まれる方だったけれど、「コロナになってメニューを減らしたので、卵料理は止めたのです」と言えば、「天麩羅の海老を追加して、辛味大根をお願いします」その後も、雨にもかかわらず次々とお客が入って、せいろ蕎麦とおろし蕎麦を頼まれたご夫婦は、「とても美味しかった」と言って帰られる。

 今日は最初のお客が入ったときに、亭主がふと目眩を感じて、気温が低いのに熱中症なのかと、女将に言われて直ぐに首にネックレスのアイスノンを巻く。厨房の温度計は27℃だったけれど、湿度が70%を越えていたから、単に温度だけではないのかと怖くなった。車が入れ替わり駐車場が満車になる頃に、例のカレーうどんのご主人が一人でカウンターに座り、他のお客様の注文の品を出終えた後で、うどんを茹でてゆっくりとカレーの汁を仕上げるのでした。

 天候の割にはお客が入ったので、家に戻ってひと休みしたら、また蕎麦屋に出掛けて出汁を取り、蕎麦汁を仕込んでおくのでした。小鉢も盛り付けて、明日の分のお新香を糠床に漬けるのです。5時半近くに家に帰れば、大相撲も残り何番かで、昼食の早かった女将は先に夕食を済ませていました。亭主は今日残った野菜サラダを載せ、自分で冷やし中華を作って食べる。明日は晴れると言うから、今日以上にお客が入る可能性がある。蕎麦をどれだけ打とうか。

7月17日 日曜日 空模様に翻弄された一日 …

 朝飯前のひと仕事を終え、朝食後に亭主が家を出るときには、空には青空が広がって、木槿の花が映えていたのです。車で蕎麦屋に出掛けた6時過ぎには、まだ霧雨が降っていたというのに。夕べ漬けたお新香を切り分けて小鉢に盛り付けたら、蕎麦汁を蕎麦徳利に補充して、少なくなった天麩羅の具材を切り分けるのでした。最近は天せいろが随分と出るから、週末は日に二回は具材を補充しなければならない。天麩羅油も新しいものを注ぎ足して使っている。

 7時前に家に戻れば、家の前の通りに庭の木槿の花が散っているので、女将のひと手間を省いてやろうと亭主が掃き集めておく。実際、朝は彼女にとってとても忙しいのです。洗濯をしてその間に台所の洗い物をするから、洗濯物を干して蕎麦屋の手伝いに来るまでに休む暇はないから、亭主も何か少しは手伝おうと心がけているのです。特に夏場は、蕎麦屋もかなり熱くなるから、女将も熱中症になって熱を出したこともある。お互いそれ相応に歳だから心配。

 蕎麦屋に着いたら、昨日から出している春蕎麦の幟を今朝も一番で立てておく。チェーンポールを降ろしたら、箒とちりとりを持って西側の小径に行って、ムクゲの花が散ったのを掃き集めておく。この時は雨も止んで、青空も少し覗いていたのですが、長くは続かないのです。もくもくと群雲が現れて、雨が降り出すのは時間の問題。大気が不安定と言うのはこのことなのか。今朝も気温は低いけれど、店の中の湿度は70%を超えていました。

 蕎麦打ち室に入れば、もう天気のことなどどうでもよくて、新蕎麦の加水率を今朝は41%にして、蕎麦粉を捏ね始めるのでした。これが見事に的中したから、今朝はしっとりと仕上がった蕎麦玉を二つ作って、厨房に戻る亭主。8時前には家を出たので、時間は十分にある。日中の水分補給のために、お湯を沸かしてほうじ茶を何杯分も作っておく。蕎麦を打つと身体が熱くなるからと、熱中症予防に、ネックレスのアイスノンを首に巻いてまた蕎麦打ち室に戻る。

 室温はまだ27℃なのですが、湿度があるから要注意。エアコンを効かせてはいるけれど、狭い蕎麦打ち室では亭主が蕎麦を打つだけで、もう温度が上がってくるから不思議。500gを二回打って、昨日の残りの蕎麦と合わせて15食を用意しました。お客が10人を越えても、15人は越えないのが、コロナ禍の後に客が戻った最近の週末なのです。1.5人分の大盛りの注文がどれだけ入るかで残る蕎麦が違ってくる。今日の天気の状態で、果たしてどれだけのお客が来るか。

 いつもより30分は早くから準備を始めたので、蕎麦を二回打ってもまだ時間が余った。熱い厨房では、根を詰めずに休み休み仕事をして、熱中症の予防には十分に気をつけているのです。野菜サラダの具材を刻み、休日だからと四皿盛り付けておきます。すべての準備を終えてもまだ11時。平日だと、これから店の掃除を始めるのですが、女将がいる週末はもうそれも終わっている。10分前に暖簾を出して、女将と二人でお客の来るのを待つのでした。

 日曜日なのに珍しく、早くからお客がいらっして、初めてらしいご夫婦が天せいろのご注文。蕎麦を出し終える頃に駐車場にもう一台車が入って、ご家族連れの5人がご来店。「テーブルは4人しか座れないので、お一人はカウンターにどうぞ」と亭主が案内する。一度には調理が出来ないので、お子様のせいろ蕎麦から出して、お婆様の天麩羅うどん、ご夫婦の天せいろと手際よく注文の品を出すのでした。前のお客が「お蕎麦が美味しかった」と帰られる。 

 その後はもう入れ替わり立ち替わりお客が入って、1時半になる前にお蕎麦売り切れの看板を出すのでした。その後にいらっした車のお客は、看板を見て帰られた。新蕎麦が美味しかったと言ってくれたのは3組ほどで、蕎麦湯まで綺麗に飲んで帰られたのです。蕎麦好きの女将の友人も歩いていらっして、途中で凄い雨に降られて日傘を雨傘に転用して来たのだとか。3時前には洗い物を終えて家路に就いた女将と亭主。雨はすっかり上がっていたのです。

7月18日 月曜日 晴れ間も見えたが蒸し暑い一日 …

 亭主の10時就寝5時起床の生活はまだ続いている。今朝も6時前には車で家を出て蕎麦屋に着いたら、まずは西側の小径のムクゲの落花を見に行ったのです。今朝はあまり多くないし、雨も降りそうにはないので、後で掃けば好いだろうと思っていたら、隣の畑のクローバーが綺麗に刈られているのに気が付いた。お隣の親父様が昨日の午後から仕事をしたらしい。機械で刈るとはいえ、畑は広いから大変な労力なのです。夏の花の準備も整えて偉いものです。

 亭主も頑張って厨房に入り、昨日からになった蕎麦徳利に蕎麦汁を補充する。すっかりなくなった小鉢も新しく盛り付けたけれど、作ってあった切り干し大根も尽きたので、次はカボチャの従姉妹煮を作ろうと、小さな雪平鍋に出しを入れて、冷凍してある南瓜の端切れを煮始める。出汁醤油に砂糖を足して、コトコトと煮ていく。茹でた小豆も昨日のうちに解凍してある。その間に今日のほうじ茶を沸かして、南瓜が柔らかくなるのを待つのでした。

 家に帰ればいつものように、女将が台所で朝食の支度をしているのです。シャカシャカとスライサーでジャガイモを削る音が聞こえたから、邪魔をしないようにと亭主は通りに落ちたムクゲの掃除をして戻る。ハムエッグとハッシュドポテトは、何十年ぶりかで復活した我が家の人気メニューの一つなのです。今日も食後のひと眠りをせずに、亭主は女将の朝ドラの時間が終わったら「行って来ま~す」と蕎麦屋に出掛ける。みずき通りも厚い雲に覆われていた。

 蕎麦屋に着いて朝の仕事を終えたら、箒と塵取りを持って西の小径に出る。ムクゲの花を掃き集めて玄関に戻れば、向かいの畑から南瓜を抱えて親父様がやって来たのです。「今、採ったばかりだから」と亭主に渡すから、冷蔵庫に取っておいたお茶の袋を「いつももらってばかりで申し訳ないから」と持って帰ってもらう。今朝は珍しく畑の作物について立ち話をするのでした。亭主は下着一枚になってエプロンをしたら、蕎麦打ち室に入って今日の蕎麦を打つ。

 今日も二回の蕎麦打ちで、昨日打った蕎麦がほとんど残っていなかったから、今日は750gと500gの蕎麦玉を作る。41%の加水で水回しを始めたら、新蕎麦の淡い緑の色が好く出ていたので、写真に撮っておいたのです。適正な加水率が掴めたら後はこちらのもので、伸して畳んで綺麗に包丁切りを済ませ、15食の蕎麦を用意する。三連休の営業はいつもの週末と違って、毎日が混むとは限らないから難しいけれど、混んだ場合も対応できるように15食なのです。

 10時過ぎからお客は来たけれど、店置きのパンフレットを渡して「11時半からなのですよ」とお断りする。しかも二組もいらっしたと女将に言えば、「便利な生活に慣れているから、いつでもやっていると思うのよ」と案外冷たい。それだけ初めてのお客が増えていると言うことかも知れない。今日も10分前には野暖簾を出して、少しでも早くいらっしゃるお客に応えようと思ったけれど、最初のお客が来たのは11時半過ぎなのでした。

 12時半を過ぎたらしばらくお客が途切れたので、亭主はかき揚げを揚げてぶっかけで賄い蕎麦を食べておく。後半は1時過ぎからお客が入って、最後に今週二日もいらっした常連さんが、また新蕎麦を食べに来てくれて四方山話。全英ゴルフが始まったという話題とコロナの感染の話が主でした。今日は初めてのお客が多く、常連さんは二人だけでした。早めに洗い物を片付けて、女将と家に帰り、夕方からの四回目のワクチン接種に備えるのでした。

 ショッピングモールの接種会場に着けば、待っている人たちがやけに年配の人たちばかりだと思ったら、自分たちもその年配の部類なのだと気が付いて思わず笑ってしまった。家に戻れば大相撲はもう最後の頃なのでした。今日残った野菜サラダを使って、亭主が冷やし中華を作って夕食にする。野菜サラダの一皿分を食べられるからと、女将も嫌がらずに食べてくれた。三日間も亭主の道楽の蕎麦屋に付き合ってくれた女将には感謝してもしきれないのです。

7月19日 火曜日 梅雨の再来は …

 雨こそ降らなかったけれど、朝からどんよりとした曇り空。夕べは少し床に就くのが遅かったのです。それでもいつもと同じ時間には目が覚めて、朝のコーヒーを飲んだら、6時前には車で蕎麦屋に出掛けるのでした。厨房で昨日の片付けを始める前に、軍手をして箒と塵取りを持って西の小径に出るのです。アスファルトの間から生える雑草を引きむしりながら、散ったムクゲの花びらを掃き集める。毎朝の習慣になって、最近は苦ではなくなったから不思議。

 7時前には家に戻って、今度は、前の通りに散ったムクゲの花びらを掃き集める。これも毎朝の習慣になって、ちっとも苦ではないのが素晴らしい。朝食には、焼いた鯖と銀だらを女将と半分ずつ食べて、蕎麦屋の残り物のお新香や小鉢を平らげる。天麩羅の具材で残った南瓜も、焼いたり味噌汁に入れたりで大活躍。それにしても亭主の道楽で続ける蕎麦屋の食材の廃棄率はいつもゼロだから、女将の協力には本当に感謝しているのです。

 朝飯を食べ終えたら30分だけ横になって、寝足りなかった分を回復する。お袋様に電話をして迎えに行き、農産物直売所に出掛ければ、今朝はまだ新しい野菜があまり入っていなかった。知り合いの農家の出している茄子やパプリカを買い込んで、隣町のスーパーに出掛ける。女将に頼まれた果物や魚や肉の他に、トイレットペーパーまで買わなければならなかったので、カートに乗せる品物はもう手一杯。いつもお袋様に手伝ってもらって袋に詰めるのです。

 帰り道、蕎麦屋に寄って、昨日、売れ残った新蕎麦をお袋様にも持って帰ってもらう。仕入れた野菜類を冷蔵庫に収納して、いつもなら家に戻るのだけれど、今日は返しがすっかりなくなっていたから、こちらも仕込まなくてはならなかったのです。ワインビネガーと味醂を煮立たせて、減塩醤油と再仕込み醤油を鍋に注ぎ、最後に氷糖蜜と塩を加える。沸騰をさせてはいけないから、表面が白くなるのを見計らって火を止めるのです。これで二週間分の返し。

 最後に、先日、向かいの畑の親父様から頂いた南瓜を骨切り包丁で切って、中身を確認するのでした。黄色く柔らかいのが、畑で採ったばかりの新鮮さを物語っていた。これなら少し小振りだけれど天麩羅の具材に十分使えるのです。レンジの消火をしっかりと確認して家に戻れば、女将が昼の支度を始めてくれていた。亭主は煮立った鍋で蕎麦を茹でて水で洗うだけ。トマトやお新香、山芋もすべて蕎麦屋の残り物だけれど、とても美味しく頂いたのです。

 2時過ぎから女将のスポーツクラブの予約があるからと、昼食後の昼寝もせずに待っている亭主。時間になってスマホを片手に待機していたけれど、いざ予約の時間と画面を操作すれば、「チケットをご購入ください」と表示が出て、どんどん席が埋まっていくではありませんか。既に二週間分の予約をしているから、それ以上の予約はさらに有料となるのです。稽古場で仕事をしていた女将に伝えて、亭主は午後の仕込みに出掛けるのでした。

 今日は空模様の割には雨が降っていなかったので、蕎麦屋に着いたら軍手と鎌を手にして、直ぐに東側のミニ菜園に向かう亭主。南側の菜園まで、残る2m ほどの間の雑草を刈り取って、ビニール袋に詰めていく。以前なら一日で終わった作業を、二週間かかった。やはり歳か? 後は、屋根より高く伸びた月桂樹の枝を剪定して、南側の菜園の草取りを終えれば目標達成。最初に草取りをした所には、もう新しい草が生えているから、気の長い話なのです。

 厨房に戻って手洗いを済ませ、いよいよ午後の仕込み。夏野菜の揚げ浸しを作って、出し汁に浸ける。4時前に蕎麦屋を出て家に戻れば、夕飯にはまだ早いから、テレビの大相撲中継を観ながら、先週残ったキャベツを刻んで餃子を包む亭主。包み終わる頃に女将が現れて、今日仕入れたトウモロコシを茹でてくれた。インゲンを捜して団地の中のスーパーに行けば、何十個も小さなジャガイモが入った袋が100円で売っていたので、これを買って帰ったから、夜はジャガバター。それに餃子を焼いて二人とももう満腹なのでした。